日銀は4日に公表した7月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国9地域のうち東北を除く8地域が景気判断を2期連続で上方修正した。8地域以上が判断を2期連続で上げるのは3年9カ月ぶり。地方経済に上向きの動きが広がってきた格好だ。同日の支店長会議であいさつした黒田東彦総裁は「金融緩和の効果はしっかりと働いている」と強調した。
黒田総裁は「日本経済は順調に回復への道筋をたどっている」と述べ、物価についても「次第にプラスに転じていく」との見通しを示した。
■生産・消費けん引
地域経済報告では、東北を除く8地域が「持ち直し」との表現を使い景気判断を4月に続き引き上げた。全体的に4月にあった「下げ止まり」や「弱め」など下向きの表現が消え、上向きの表現が目立った。東北は「回復しつつある」で判断を据え置いた。
けん引したのは企業の生産活動や個人消費だ。生産は7地域、消費は6地域が上方修正した。
東海地域では自動車や部品、鉄鋼などの生産が増加。同日に記者会見した宮野谷篤・名古屋支店長は「輸出関連企業が多く、円安や外需回復の効果が出やすい」と述べ、昨年後半以降の円高是正が寄与しているとの認識を示した。また東海地域の製造業について「前年度比2割増の増益が予想される」と語った。
企業業績の回復や、株高を背景に個人の消費マインドも改善。4月には宝飾品など高額商品の持ち直しが目立ったが、ここにきて外食や旅行などに広がりも出てきた。
市川能英・福岡支店長は「企業業績の回復を反映し、宴会や社員旅行などの動きが活発になっている」と語った。また曽我野秀彦・札幌支店長は「円安の影響で観光客が海外から国内にシフトしているとともに、アジアからの観光客も増えている」と説明。改装したホテルなどで宿泊単価の上昇も見られるという。
■所得には厳しさ
設備投資にも前向きの動きが出てきた。日銀がまとめた各地の設備投資動向によると、名古屋などのコンビニエンスストアが「女性や高齢者などの利用者拡大で出店を増やしている」と報告。非製造業の業容拡大の動きが目立った。
製造業でも金沢の自動車関連企業が「円安による収益改善で老朽設備を更新する」動きや、仙台の電機メーカーが「海外経済が持ち直し、新製品の生産ライン導入投資を行う」など、投資マインドが持ち直してきた。
雇用情勢は多くの地域が「労働需給が緩やかに改善している」と持ち直しが広がった。しかし、所得情勢をみると「引き続き弱め」(関東甲信越)や、「賃金は弱い動き」(近畿)など引き続き厳しさも残る。櫛田誠希・大阪支店長は「消費は二極化しており、本格的な消費回復には雇用・所得環境の改善が欠かせない」と指摘した。
日銀、黒田東彦、さくらリポート
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長期金利(%) | 0.855 | -0.025 | 4日 15:43 |
NY原油(ドル) | 101.24 | +1.64 | 3日 終値 |
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