Updated: Tokyo  2013/07/05 04:08  |  New York  2013/07/04 15:08  |  London  2013/07/04 20:08
 

英中銀新総裁、時間軸政策を実質開始-低金利長期化を示唆

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  7月4日(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー新総裁は4日、今月の就任後初めて開いた金融政策委員会(MPC)で将来の政策に対する考えを示すとともに、政策金利については市場が想定したよりも長期にわたって過去最低に据え置くことを示唆した。

MPCは資産買い取りプログラムの規模 を3750億ポンド(約56兆5000億円)に維持したほか、政策金利 であるレポ金利は過去最低の0.5%に据え置く決定を下した。この発表後の声明で英中銀は「将来的に政策金利が上がる道筋を暗示する動きは、最近の国内経済動向を見れば正当化できない」と説明した。

資産購入枠の維持は、ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト44人を対象に実施した調査 で全員が予想した通り。金利据え置きも別の調査でのエコノミスト53人全員の予想と一致した。

キング前総裁の後任に就いたカーニー氏は、319年の歴史を持つ英中銀で初の外国人総裁。新総裁は将来の金融政策見通しを示すガイダンスの提供に前向きで、同中銀はその方向に傾いているもようだ。国債利回り上昇や市場のボラティリティ(変動性)は景気回復を脅かしており、緩和的な金融政策を続ける姿勢もMPCは示唆した。

英中銀の元当局者で現在はBNPパリバのエコノミストを務めるデービッド・ティンズリー氏は「やや曖昧なやり方ではあるが、英中銀は既にガイダンスを始めた」とし、「資産購入を今後拡大する可能性を残した」と語った。

ポンドの対ドル相場は政策発表後に下落。ロンドン時間午後0時41分現在は前日比1.2%安の1ポンド=1.5099ドルと、5月31日以来の安値となった。金利先物は利上げ観測の後退を示唆した。

金利の急上昇

中銀声明の背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が債券購入縮小の可能性を示唆し、世界的に国債相場が下落した事情がある。英10年債利回りは先月24日に2.59%と、2011年以来の高水準に達した。

中銀は声明で「市場金利は世界的に急激に上昇し、資産価格も不安定となっている」と指摘。経済見通しは5月公表時と「おおむね同様」だが、「市場金利の著しい上昇が見通しへの重しになる」として警戒感を示した。

MPCは景気を支援する新たな措置を検討している。カーニー氏を新総裁に指名後、オズボーン財務相は英中銀にはフォワードガイダンス(時間軸政策)といった非伝統的措置を利用する権限があると確認し、その中で数値基準が機能する方法について検証するよう要請。MPCは8月に報告する予定となっている。

原題:Carney Starts Early Forward Guidance as BOE Holds BondPurchases(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Scott Hamilton shamilton8@bloomberg.net;ロンドン Jennifer Ryan jryan13@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net

更新日時: 2013/07/05 01:50 JST

 
 
 
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