指定暴力団道仁会の会長小林哲治容疑者(57)らが29日、逮捕された。警察は、ゴルフ場が約款で暴力団員の利用を禁止しているのに、暴力団であることを隠して利用したのは詐欺容疑にあたると判断した。同様の容疑での摘発は全国で相次ぐ。ただ起訴されなかった例もあり、識者は暴力団トップの摘発の難しさを指摘する。
トピックス:指定暴力団「道仁会」大阪府警は昨年11月に指定暴力団山口組の最高幹部の一人、愛知県警は2011年6月に山口組弘道会のナンバー2を、それぞれ同じ容疑で逮捕した。だが大阪の事件は不起訴に。愛知の事件では、名古屋地裁が無罪を言い渡したものの、名古屋高裁は有罪とした。宮崎でも摘発があり、宮崎地裁は山口組系組長に対し、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
道仁会は1971年に結成され、九州最大規模の暴力団。一部の組が離脱してできた指定暴力団九州誠道会(本拠地・福岡県大牟田市)と06年から抗争を続けている。今月11日に抗争終結を宣言したとはいえ、福岡県警などは、和解を装っている可能性があるとみて警戒を続けている。
暴力団に詳しいフリージャーナリスト鈴木智彦さんは「組織の象徴である会長の摘発は組の弱体化に有効」とする一方、「今回のような詐欺容疑で実刑判決を受ける例は少ない。実刑を受けさせるような罪で摘発しないと実質的な意味はない」と指摘する。暴力団側も警戒を強めており「こうした容疑で摘発せざるを得ないという状況こそ、暴力団の取り締まりの難しさを表している」と話した。