ウイグル:大規模暴動から5日で4年…市内は厳戒態勢に
毎日新聞 2013年07月03日 21時19分(最終更新 07月04日 00時10分)
中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市での大規模暴動から5日で4年となるのを前に、市内では厳戒態勢が敷かれている。先月末からトルファン地区やホータンで襲撃事件が相次ぎ、習近平指導部も事態収拾を図るため、不審な動きへの監視を強める。ウルムチでは市民の多くが口をつぐみ、観光にも影響が出ている。【ウルムチ工藤哲、北京・石原聖】
ウルムチ市内の観光名所「国際大バザール」や、「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長が20年近く前に建てた商業ビル「ラビア大厦」。この一帯で2009年に197人(当局発表)が死亡した大規模暴動が起きた。3日も数十メートルおきに監視カメラが各方向に向けられ、武装警察の集団が待機していた。
バザールに入ると客はまばらで、外国人は少ない。建物の入り口付近には「暴力事件の容疑者拘束につながる情報提供に5万〜10万元(約80万〜160万円)」という趣旨の自治区公安庁の1日付の張り紙があった。
地元で観光業に携わるウメルさんによると、トルファン地区で35人が死亡する襲撃事件が6月26日に起きてから自治区を訪れる国内外の観光客は大きく減った。シルクロードの遺跡群で知られるトルファンには1日1万人以上が訪れていたが、現在は昨年の半分程度になった。
バザールの南にある新疆大学の前にも武装警官約10人が待機。多くの学生が「(最近の事件の)話はしたくない」と口を閉ざした。法律を専攻するウイグル族の女子学生(23)は「先月下旬、ウルムチでもウイグル族が警察官に発砲された事件があったと聞いた。ウイグル族の生活は漢族と比べ経済的に苦しく、ここには問題がたくさんある」と語った。
米政府系放送局ラジオ自由アジアによると、ホータン地区で6月28日に発生した襲撃事件では、警察当局がモスク(イスラム礼拝所)周辺で抗議活動中のウイグル族に発砲し、10〜15人が死亡、50人以上が負傷した。当局がモスクを閉鎖させてウイグル族数人を拘束したことへの抗議活動だったといい、200人が逮捕されたとしている。
習指導部は6月28日夜、政治局会議を開催し、事件への対処を「テロとの戦い」と位置づけた。中国人民政治協商会議の兪正声(ゆせいせい)主席(政治局常務委員)を現地に派遣し、ウイグル族が住む地域に周辺各省から武装警察を集めて大量投入している。