Updated: Tokyo  2013/07/04 19:16  |  New York  2013/07/04 06:16  |  London  2013/07/04 11:16
 

豪最大の運用会社、6月末から日本株買う-安倍変革に期待感

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  7月4日(ブルームバーグ):豪州で最大の資産運用 ユニット、AMPキャピタル・インベスターズは、安倍晋三首相が7月の参院選で勝利すれば、規制緩和が進むとみており、日本株を買い増している。

同社の資産配分責任者、ネーダ・ナイエミ氏(シドニー在住)がこのほど行われたブルームバーグ・ニュースの取材で明らかにした。年末までに日本株は20%上昇すると予想、6月末から再度買い始めたと言い、小売 や不動産 、金融 、輸出 関連セクターは株価が十分に調整し、投資対象として利益が見込めるとしている。同氏は、日本株相場の5月後半の調整の深さや2009年春のボトムを過去に言い当てた。

ナイエミ氏は6月に3日間の日程で日本を訪問、上場企業や日本銀行、財務省の担当者らと会談し、安倍首相が衆参両院で力を得て、3年間は自由に政治をコントロールできるとの認識に至った。「彼はこの3年間を使って日本経済を変える。日本株に悲観的になるのは早過ぎる」と指摘、7月21日の参院選後は「日本株のエネルギーが出てくるだろう」と予測する。

日本の有力者と会い、「われわれはより短いターゲットが見えた」とナイエミ氏。10年や20年に及ぶ政策では誰も自信が持てないが、「これからはもっと短い期間に関する政策が出てくるはずだ」と言う。

投資・消費刺激策が重要、為替は円安予測

中でも、企業や家計の投資・消費を増やす改革の優先順位が最も高くあるべきと強調。これら政策は、ニュースのヘッドラインを飾り注目されるものではないが、「日本の家計や企業はバランスシートが健全なため、お金を使わせる政策が必要」としている。このほか、消費を増やす方法としては、女性の就業率向上を手助けする政策もあるとした。

一方、為替市場についてナイエミ氏は、年末までに1ドル=110円まで円安が進むと予想。米国の金融政策が出口戦略を模索する半面、日本銀行は金融緩和を継続するため、実質金利が米国で上昇、日本で下落するという金利差の読みがシナリオの背景にある。

相場が弱含む中で多くの日本株を買ってきた同氏は、5月以降の下げ について「ただの調整で、悪い下げではない」と回顧。参院選後には「新たな政策のアナウンスメントがたくさん出るだろう」とみているが、仮に期待された政策が出なければ、日本株のウエートを下げていく引き金になるとも話した。

AMPキャピタル・インベスターズは運用資産13兆円以上を管理している。ナイエミ氏は昨年10月、日本株の投資スタンスを「オーバーウエート」に引き上げた。ただ、5月にかけての日本株急騰は「泡だって行き過ぎていた」とし、押し目局面を待っていた。

参院選は4日に公示され、21日の投開票日に向けた選挙戦が正式にスタートした。定数242のうち、121が改選される。安倍首相は3日の党首討論会で、「われわれは参院選に勝ち、ねじれを解消し、政治の安定を手に入れ、まさに実感を皆様の手にお届けしたい」と述べた。

4日の日本株は、TOPIX が前日比0.3%安の1170.71と6日ぶりに反落。一時プラス圏に浮上する場面もあったが、米国の祝日休場、重要統計の発表を前に様子見姿勢が強く、ポルトガル、エジプトなど国際政治情勢の混乱も買い控えに拍車を掛けた。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net;東京 Anna Kitanaka akitanaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net

更新日時: 2013/07/04 16:51 JST

 
 
 
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