「肉」なのか「草」なのかでその人の生き様が決められてしまう昨今。「肉」の字を見ない日はないといっても過言ありません。
漢字にはたいてい音読みと訓読みがあるわけで、では「にく」は音読み・訓読みのどちらでしょう。
「にく」が音読みなら訓読みは…?
「にく」は音読みか訓読みかと問われたら、おそらく多くの人は「訓読み」と答えるのではないでしょうか。でもじつのところ、「にく」は音読みなんです。
通常、音読みはそれを聞いても意味がわからず、訓読みでは意味がわかる場合が多い。たとえば「衣:イ/ころも」「鳥:チョウ/とり」などですね。ですから、ぱっと聞いて意味がわかる「にく」を訓読みだと思っても無理はありません。
では「肉」の訓読みは何でしょうか?
それは「しし」です。
イノシシ=イノシシの肉
「肉」を「しし」と読むのは古事記にも記されるとても古い読み方で、「しし」は食用の獣肉のことを指していました。(獣肉だけでなく人肉を指す場合もあり)。
かつては「ゐ(猪)」の1字だけでイノシシのことを表していましたから、「ゐのしし」は「イノシシの肉」を意味しています。
ただ、「しし」は肉がとれる獣そのものを指す意味もあったので、のちに「ゐのしし」は現代と同じように動物としてのイノシシを指すようにもなります。
こうなるとややこしそうですが、話し言葉で「ゐのしし」が動物を指すか肉を指すかは話の流れでわかるでしょうし、書き言葉なら「ゐ」と「ゐのしし」で書き分ければよさそうなので、とくに問題はなかったのかもしれません。
◎「イノシシの肉」という名の動物 Author:Sander van der Wel Creative Commons
もはや現代では方言以外で肉のことを「しし」と読むことはまずないと思いますが、肉と同じ意味の漢字「宍(しし)」は地名や姓で広く残っており、また鹿のことを「しし」と読むケースもあります。
とはいえ、いっぺんに書くと長くなりますので、「宍」と「鹿」についてはまたの機会に。
※前述のように現代では肉を「しし」と読む機会は失われているので、肉に訓読みはないとする考え方もあります。
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