村田　デビュー戦いきなり２冠王者

　村田、プロデビュー戦がいきなり２冠王者！　ロンドン五輪のボクシングミドル級金メダリスト村田諒太（２７）＝三迫＝が８月２５日、東京・有明コロシアムで東洋太平洋ミドル級＆日本スーパーウエルター級王者の２冠王、柴田明雄（３１）＝ワタナベ＝とノンタイトル戦を行うことが３日、発表された。試合は７３キロ契約の６回戦。８月２５日は怪物ボクサー井上尚弥（大橋）が日本ライトフライ級王者田口良一（ワタナベ）に挑戦する日でもある。２大ビッグマッチは、フジテレビのゴールンデタイムで二元中継される。

　これは、前代未聞。村田がデビュー戦でいきなり、２冠王者と対戦する。通常ならあり得ない、無謀極まりないマッチメーク。しかし、金メダリスト村田の相手ならこれぐらいの肩書は必要だ。

　ガッチガッチになっても不思議ではない現役王者との同席発表会見で、どっちがチャンピオンなのか分からなくなるくらい、村田はひょうひょうと落ち着き払っていた。

　「生意気だと思われるかもしれないですけど、今、日本で一番強い柴田さんとデビュー戦ができて光栄です。ボクなら大丈夫だと判断されて、カードが組まれたんだと思う。ＫＯで勝つとか判定で勝つとか言えない。デビュー戦ぐらい楽しみたかったけど…。精いっぱい挑戦して、自分の力を出し切りたい」。ルーキーらしい謙虚な言葉のオンパレードなのだが、余裕すら感じてしまう。

　実は、２人は以前、拳を交えている。ロンドン五輪前の昨年５月、３ラウンドのスパーリングを行った。村田は当時、無冠だった柴田に何もさせずボッコボッコにしている。村田は「あれから時間がたっているし、柴田さんもタイトルを取って強くなっている。ボクは挑戦する立場に変わりない」と気を引き締めたが、格の違いは隠しきれない。

　６月に米ラスベガスで武者修行を行った村田は７月１４日から８月１１日までラスベガス合宿を敢行する。ポンイト重視のアマ仕様から、１発ＫＯを狙うプロ仕様へのモデルチェンジも着々と進行中。

　８・２５、村田がどれだけのインパクトを残せるか。新たな伝説の幕開けはそこにかかっている。　（竹下陽二）