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『ジャンヌ』 ―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―
制作発表が行われました

▲写真左より、中嶋しゅう、今井朋彦、笹本玲奈、
伊礼彼方、浅野雅博、村井國夫
公演について(公演資料より抜粋)
<<<作:バーナード・ショー>>>
この作品は、イギリスの作家、バーナード・ショーが15世紀フランスの悲劇のヒロイン、ジャンヌ・ダルクを社会と葛藤する一人の人間として描いたものです。
フランスのロレーヌ地方に生まれたジャンヌは、ある時突然“神の声”を聞きます。その“声”に導かれるまま、彼女はフランス軍の先頭に立ってイギリス軍を破りました。だが、“神”と直接話す力を持つジャンヌに人びとは恐れを抱き始めます。やがて異端とみなされた彼女は、宗教裁判にかけられることに。なぜわずか17歳の少女が火刑台で死ななければならなかったのか・・・。
ショーはただの歴史劇に終始しない、スリリングなせりふ劇として書き上げました。社会と個人、男性と女性、そして神と人。相対的な世界から、自らが信じる絶対的な世界へと挑もうとした一人の少女の生きざまが、野心を抱く男性たちとの対比の中で描かれます。
<<<44年ぶりの上演>>>
本作の日本初演は1926年の築地小劇場。その後1963年には劇団雲が上演し1969年に再演。日本初演から約90年、劇団雲の再演より44年の時を経て、上演されます。
<<<演出は、世田谷パブリックシアター主催公演初登場の鵜山仁>>>
各世代で活躍する俳優陣、スタッフが集結し、この作品を創り上げます。
戯曲後半は法廷劇のスタイルを取り、最終幕ではジャンヌの名誉が復活した1920年当時のイギリス紳士が舞台に登場してジャンヌと語り合うシーンがあるなど、劇中劇の趣向も垣間見られる興味深い構成に。「死してもなお生き続けるジャンヌ」をも描き、時を経た“特殊な再会”も見どころになりそうです。
<<<ジャンヌを演じるのは、笹本玲奈>>>
数々のミュージカルに出演し、今年芸能生活15周年を迎えた笹本玲奈がジャンヌ・ダルクに挑みます。笹本は「ジャンヌは女優になった頃からの憧れの役でした。戦うという勇ましいイメージがありましたが、バーナード・ショーのジャンヌはごく普通の少女としても描かれています。その少女が徐々に聖女になっていく。戦場で男たちと同じテントの中で寝ていても周りの男たちはジャンヌを女性として全く意識していなかったといいます。女性の性を超えた存在、確固としたぶれない意思を持った人間の強さや、素朴でありながらも強い意志をしっかりと表現したいと思っています」と語ります。
このほか、今井朋彦/伊礼彼方/大沢健/浅野雅博/馬場徹/
石母田史朗/金子由之/今村俊一/酒向芳/石田圭祐/新井康弘/
小林勝也/中嶋しゅう/村井國夫というキャスティングで、どのような作品が誕生するのでしょうか。
制作発表が行われました(2013年7月1日/世田谷パブリックシアター)
◆小田島雄志(翻訳)

本当は翻訳の中川龍一さんに来ていただきたかったんだけど、今日はどうしても来られないということで・・・といってもだいぶ前に亡くなってしまったのですが(苦笑)。この本の翻訳は本来は全部中川さんがされているはずで、6場のうち3場まで中川さんが訳されて病気で倒れられたので、4~6場を僕が訳しました。バーナード・ショーの作品に携わったのはこれしかありませんが、彼の作品の中で一番好きです。ジャンヌ・ダルクに対する愛情があるんです。ジャンヌ・ダルクを最初に英語で書いたのはもしかしたらシェイクスピアで、シェイクスピアの『ヘンリー六世』で、ジャンヌは悪霊を呼び出す魔女になっています。ところがバーナード・ショーは愛情を込めた。なぜかというと、ショーはアイルランド人なんですね。アイルランド人はイングランド人と非常に仲が悪い。そしてイングランド人とフランス人は百年も戦争をした敵同士です。だからアイルランド人はフランス人を受け入れて仲良くなれる。だからショーもオルレアンの乙女に非常に興味を持ったんだろうと思います。僕は50年前に『ジャンヌ』を観ました。今回、笹本さんで観られるなんてこんなに嬉しいことはないです。長生きはするもんです。先日、週刊誌の仕事でオルレアンに行ってきました。どこを向いてもジャンヌの銅像などがあって、ジャンヌの記念館のようなものも見てきました。一緒に行った記者が「この町はジャンヌ・ダラケですね!」と。僕もダジャレ好きだけど先を越されました(笑)。
◆鵜山 仁(演出)

ここのところ、僕自身もそうなんですが、世の中のものの見方や考え方が大きなうねりで徐々に変わって来てるんじゃないかと思っています。演目発表の際にも申し上げましたが、人間の一生を80年のスパンで捉えている時の価値観と、800年、8000年というスパンで考える時とでは、人間にとっていいこと悪いことが180度違う場合もあると思います。じゃあどの価値観や考え方にのっとって、この世の中や人生をつくっていったらいいのかを、ちゃんと真面目に考えて行かなきゃいけないんじゃないかと感じています。そういう時に、ヒーローやヒロインの誕生というか、我々の遺伝子、DNAにジャンプをさせてくれるような世の中に風穴を開けてくれる存在が、ヒーローやヒロインなんじゃないかと思います。長い目で見て世の中を変えて行く力になる人というか、それにまつわる物語というか、それを舞台で表現することで、世の中を変えて行けると信じなきゃいけないんじゃないかと思っています。浮き沈みは色々ありますので、こんなことで世の中は変わるのか、僕のやっていることは狭い意味でのエンタメなんじゃないかと考えることもあります。でも、世の中をちょっとずつ変えるというか、人間が生きる世界の風通しをよくするために役立っているんじゃないかと、信じざるを得ない年齢になってしまった。それを笹本さんに全部託すという訳ではないのですが、今回僕も含めて結構なおじさんたちが集まっていますので、紅一点です。人間をよりよく変えていく力を世田谷から発信しようという思いで結集していますので、宜しくお願いします。広いスタンスの芝居ができるのは公共劇場ならではです。最近、古典や近代古典が持つ長く広いスタンスが面白くて、そのエネルギーに感動しています。仕事をしながら多少は自分の背丈が伸びたような実感があります。そういうことにも力を借りて、膨大なセリフなど難しい面は色々あるんですけれども、その高いハードルを跳びたいと思います。
◆笹本玲奈(ジャンヌ・ダルク役)

ずっと憧れ続けていたこのジャンヌ・ダルクの役を、デビュー15周年となるこの年に演じることができて心から嬉しく思っております。普段はミュージカル女優として歌うお仕事の方が多いので、このようなストレートプレイは2回目で、ほとんど初めてのようなものです。ここにいらっしゃる素晴らしい俳優の先輩の皆さま、おじさんというか、お兄さまに助けていただきながら(笑)、そして初めてご一緒する鵜山さんにご指導いただきながら、タイトルにもある「ジャンヌ・ダルクの真実」を全身全霊で演じることができたらと思っています。来月、オルレアンに行ってジャンヌ・ダルクを肌で感じてきたいと思います。そうして全ての準備を整えた上で、お稽古を頑張って本番に挑んでいきたいと思っています。女性の自由が制限されていた時代に、1人の少女がひとつの信念を貫き通して進んでいった姿に私は凄く憧れます。私自身もミュージカルがやりたいと思い、その夢に向かって突き進んできました。自分と彼女とを照らし合わせると、すごく共感するものがあります。
◆今井朋彦(ウォリック イギリスの伯爵役)

おじさんとお兄さんの微妙なボーダーライン上におります、今井です(笑)。ウォリックという役を聞いたとき、フランスの敵国であるイギリスの軍人ですので、全国のジャンヌ・ファン、全国の笹本玲奈さんファンを完全に敵にまわすなと思ったんですが、よく台本を読みますと、必ずしもウォリックだけが敵だったわけではなく、ある意味よってたかってジャンヌを火刑台に送ったというようなところもあります。僕はウォリックの立場から、なぜジャンヌを火刑台に送らなければならなかったのかを、きちんと演じられたらと思っています。僕は鵜山さんとは何度もご一緒させていただいています。芝居を始めたころ、演出家は稽古場でどんな要求を突き付けてくるのか分からない怖い存在だったんですが、経験を積み最近はそこが逆に楽しみであると実感しております。特に鵜山さんは突拍子もないことを要求されることが多いので、それにどう応えて初日を迎えられるのか、自分自身も楽しみにしております。
◆伊礼彼方(デュノア オルレアンの私生児)

(司会者のジャンヌと共に戦うフランス側の貴公子、オルレアンの私生児デュノア役という説明をうけて)貴公子の伊礼彼方です(笑)宜しくお願いします。貴公子なんですよね。台本のト書きに美青年とか、着飾っているとか、装飾品だとか、たくさん書いてありまして、これは真面目に取り組まないといけないなと思いました。オルレアンの私生児デュノアは、笹本さん演じるジャンヌに近しい存在で、ジャンヌが一番フラットでいられる存在なんじゃないかと思います。(笹本さんとは)実年齢も近いですし、これから稽古を通して打ち解けていい関係が作れたらと思っております。ちなみに・・・僕はおじさんではなく、お兄さん側です(笑)。この際白黒はっきりつけておきましょう、その方が今後稽古を進めやすいですから(笑)。若手として皆さまの経験にたどりつけない部分もありますが、若さで勝負して素敵なデュノア、そして素敵な作品になるよう、みなさんと一緒に作りあげていけたらと思います。デュノアは、ジャンヌと親しくはありますが、もしかしたら今井さん演じるウォリックよりも「ジャンヌを利用する」という意味で腹黒いところがあるのかもしれない・・・この辺りは鵜山さんに聞いてみないと分からないところなので、これから役を深めていきたいと思います。
◆浅野雅博(シャルル フランス王太子)

僕は確実にお兄さん側だと思うんですけど(笑)。この濃いキャスティングで稽古場がどのような感じになるのか、いい意味でわくわくしております。歴史的にもジャンヌの神々しい愛に満ちた行動から一番恩恵を受けたのはシャルルだと思います。シャルルは彼女にどういう風に導かれるのか。ジャンヌとシャルルの2人の密室のシーンがあるんですが、ジャンヌは最後まで裁判でもしゃべらなかったそうなんです。それは劇中でも出てくるので、ジャンヌのどんなところにひかれたのかをどのように作り込んでいくか、僕自身楽しみにしています。
◆中嶋しゅう(ロベール 領主・将軍/ジョン・ルメートル 査問官)

(マイクのスイッチを入れ忘れてしゃべりだし)確実におじさんの方だね、いや、おじいちゃんだな(笑)。抱負と言えるかどうか分からないんですが、大好きな鵜山仁という演出家と、大好きな俳優たちと、日々楽しく過ごせたらいいなと思っています。いい作品は、楽しい稽古場からしか生まれないと、私は信じています。宜しくお願いします。
◆村井國夫(コーション フランスの司教)

この芝居、非常に難しい芝居だと思います。シェイクスピアのロマンティック劇みたいにすれば、なんてことないんだろうけど、バーナード・ショーなので、そうはいかないですね。20世紀は戦いの世紀だと言われていますが、21世紀はどうなのか。今でも世界各地で色んな戦争があり、色んな人が犠牲になり、色んな人が無為に死んでいくという状況があります。「キリストの受難だけでは足りない、もっともっと犠牲が必要なんだ。想像力のない人間のために」というセリフがあります。心してかからなければと思っています。鵜山さんの稽古場は非常に楽しい稽古場です。何言ってるのかわからないところもあるんですけれども・・・(笑)。私は今井くんの次ぐらいにセリフが多いんじゃないかな。『コペンハーゲン』という芝居で700ぐらいのセリフがあったのですが、(鵜山さんから)1000以上のダメ出しをされました。「お前、ほめることはないのか!」って言った位ほめることがない人で(笑)。今回もきっといいものができると期待しています。
『ジャンヌ』
―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―
作:バーナード・ショー
翻訳:中川龍一/小田島雄志
演出:鵜山 仁
出演
笹本玲奈/今井朋彦/伊礼彼方/大沢健/浅野雅博/馬場徹/
石母田史朗/金子由之/今村俊一/酒向芳/石田圭祐/新井康弘/
小林勝也/中嶋しゅう/村井國夫
【東京公演】
2013年09月05日(木)~2013年09月24日(火)
世田谷パブリックシアター
お問い合わせ:世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515
【兵庫公演】
9月28日(土)16時、29日(日)13時開演
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【豊橋公演】
10月5日(土)14時開演
穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【札幌公演】
10月9日(水)19時開演
札幌市教育文化会館 大ホール
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2013/09/20139.html
これらの記事もご覧ください(既に終了している公演やイベント等もあります)
朗読活劇レチタ・カルダ『ジャンヌ・ダルク』ご出演
新妻聖子さんにインタビューしました
朗読活劇レチタ・カルダ『ジャンヌ・ダルク』公演について(公演資料より)
レチタ・カルダ・・・それはイタリア語で「熱い朗読」という意味。
朗読・芝居・音楽が織り交ぜられて進行する新たなジャンルの舞台、それが朗読活劇です。
今までに、大沢たかお、要 潤、早乙女太一や坂本真綾などの出演で公演が行われました。
今回は「ジャンヌ・ダルク」を題材にした作品を、上野水上野外音楽堂で上演します。
時代に愛され、翻弄された女性。時代を疾風のように駆け抜け、そして散った少女。神の啓示を受け時代の流れにあらがいながら儚くも砕け散ったジャンヌ・ダルク。「オルレアンの乙女」とも呼ばれ、フランスの国民的英雄であり、カトリック教会で聖人となる。百年戦争の際にオルレアン解放に貢献し、シャルル7世をランスで戴冠させ、フランスの勝利に寄与し、平和実現のために立ち上がった悲劇のヒロイン、ジャンヌ・ダルクの生涯を、「朗読」「活劇」「音楽」の三つから「朗読・活劇舞台」として構成・演出し、原作の持つ魅力をエンターテインメントとして表現します。
聖人にして異端、凛として可憐。
六百年の時を超え、
いまジャンヌ・ダルクに、新妻聖子が挑みます。
<出演者>
◆語り・歌:新妻聖子
◆演 奏:スパニッシュ・コネクション
新妻聖子さんプロフィール
<新妻聖子 SEIKO NIIZUMA>
1980年10月8日生まれ。愛知県稲沢市祖父江町出身。
父の仕事の都合で、11才から17才までをタイのバンコクで暮らした帰国子女。幼少の頃からJ-POP、洋楽、クラッシクと様々なジャンルの音楽に触れ、自然と歌手を志すようになる。上智大学法学部在学中の2001年、TBS「王様のブランチ」でタレント活動を開始。
2003年、5,000倍のオーディションを勝ち抜きミュージカル「レ・ミゼラブル」エポニーヌ役で初舞台。続く大作「ミス・サイゴン」ではヒロインのキム役を松たか子らと交互に演じ、豊かな声量と表現力で来日した海外スタッフからも絶賛された。
2006年、ポニーキャニオンよりCDデビュー。
2007年、第31回菊田一夫演劇賞 、平成18年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞受賞。
2010年、初主演映画「アンダンテ~稲の旋律~」(共演:筧利夫、松方弘樹 他)公開。
2010年・2012年と連続で、ミュージカル誌が選ぶ女優部門第一位を獲得している。
新妻聖子さんインタビュー(取材日2012年5月1日/写真・インタビュアー 住川絵理)
―――朗読活劇レチタ・カルダ『ジャンヌ・ダルク』に初挑戦なさるそうですね。
出演が決まりどのようなお気持ちでしょうか。
最初はレチタ・カルダって何だろう?と思ったのですけど、過去の公演の資料を見せていただいて、大沢たかおさんの『義経』や早乙女太一さんの『沖田総司』などのチラシを見たときに、いろんな演劇を観に行った時にこのチラシを見たことがあった、ということを思い出しました。
朗読活劇ということで、座って読むだけでなく、音楽とのコラボレーションがあったり、時には本を置いて客席に下りたりする、新しいジャンルの朗読劇だということで、おもしろいなと思いました。さらに、題材がジャンヌ・ダルクと聞いて、これは面白くなりそうだなと。
朗読はNHKで放送された「日本怪談物語」という番組で日本の怪談を朗読したのですが、その経験がすごく私自身も楽しかったので、挑戦してみたいなと思いました。
―――今回、語りだけでなく歌も入るそうですね。
音楽はスパニッシュ・コネクションさんが演奏してくださいます。ジャンヌ・ダルクという、クリスチャン色が強い登場人物なのでパイプオルガンなどのイメージがあるのですけど、壮絶な人生を若くして駆け抜けたジャンヌ・ダルクの情熱を表すのにスパニッシュのギターの音などはすごくマッチしそうで楽しみです。
レチタ・カルダの『ジャンヌ・ダルク』は過去に坂本真綾さんが演じられ、その時歌はなかったのですが、私が今回この作品に挑戦させていただくのであれば歌も是非入れたいです、と申し上げたところ入れさせていただけることになりました。ジャンヌの言葉の延長戦上に歌がある形が自然なのではないかと考えまして、讃美歌、そして孤独や寂しさを表す手段として子守唄など、今のところ全部で3曲位入れられたらと思っています。既存の歌にストーリーに沿った歌詞を乗せる形を考えています。
―――台本を読んでの感想は。
今回の作品は、数あるジャンヌ・ダルク本の中の一つを脚本化したものです。今まで私の中でジャンヌ・ダルクはイメージしかなくて、詳しいことは知りませんでした。今回演じるにあたり、リュック・ベッソン監督の映画や資料を見た上で台本を読ませていただいて、悲劇のヒロインとか、フランス目線で見ると英雄、という存在そのものが美化されている印象の中、実際に起こったであろう出来事を知るにつれ、自分の中でひとつ消えないしこりがありました。
戦争の時代に生まれ、生き抜いた人なので、戦いを避けて通ることはできなかったとは思いますが、でもやっぱり彼女が名を馳せるに至ったのには、「戦争」が果たした役目も大きく、ある意味で武勇伝という戦果によって伝説となっている人でもあるんですよね。それをあまり美化したくないなという思いが自分の中に出て来ました。スタッフの方にこの気持ちを投げかけさせていただき、何か一行でも、ちょっとしたニュアンスでもジャンヌ自身が戦争に加担したことの重さや痛みを感じているという、そんな表現を追加できないものかとリクエストさせていただきました。
ジャンヌは神の啓示で行動を起こした人ですが、きっと戦いの中に身を置くにつれ、彼女の中には仲間の兵士を殺された時のうらみつらみの気持ちもあったでしょう。一種のアドレナリンが出ていないと戦場にいられないと思うのです。生身の人間である以上なんらかの感情とリンクしているのではないかと。
私たち役者も、人前で服を脱いでラブシーンをするとか、泣き叫ぶような場面など、トランス状態じゃないと出来ないようなこともするわけで、それに似ているところがあるような気がします。ただ役者と大きく違うのは、ジャンヌの指揮によって実際にたくさんの敵兵が死んでいったということ。その重さをジャンヌ自身が受け止めた上での行動であったと思いたいのです。私がそういう信念を持って演じ、お客様がどう感じてくださるかは、それぞれの方の中で考えていただけたらと。
―――今回のジャンヌ・ダルクもそうですが、歴史上の人物を演じる時、
難しい部分もありますか?あまり意識はしませんか?
昨年、『GOLD~カミーユとロダン~』という作品でカミーユ・クローデルを演じました。最近生きていた人なので資料もたくさん残っていて、動画も探せばあるのではないかという時代の人だったので、色々な資料も見ましたが、フランス人と日本人という差異もありますし、カミーユ・クローデルを演じさせて一番うまい人が居たとしたらそれはカミーユ・クローデル本人だと思うので、形態模写することに大きな意味はないような気がしました。私というフィルターを通したカミーユの人生を表現したいなと。私がもしカミーユとして生まれ、同じ感情が芽生えたらどうなるかというところに落としこまないと、と思いました。
―――一人芝居は経験がおありですが、一人で演じることの楽しさ、難しさはいかがですか?
昨年一人芝居をやったのですが、稽古期間中はとにかく孤独でした。こんなに孤独なのかと思いました。もちろん、演出家やスタッフさんもいるので、みんなが同じ方向を向いて作品を作り上げるのですが、舞台上に上がるのは私一人。単純に言えば、稽古場でお疲れ様でしたと声を掛け合う共演者がいない、もうそれだけでかなりの孤独です。これがこんなにきついということをその時に初めて知りました。あとは、膨大なセリフ量を覚えて一人で話さないといけないという大変さ。セリフ覚えはいい方なのですが、稽古期間も10日しか無かったりして、さすがに無理かもと思いましたね。
私はフランスものを題材にした作品が多いんですよ。『レ・ミゼラブル』に始まり、『21C:マドモアゼル・モーツァルト』『マリー・アントワネット』『サド公爵夫人』など。今回の『ジャンヌ・ダルク』もそうですね。ジャンヌは名前のイメージから「まっすぐ」とか「白」という印象があって、すごく惹かれるキャラクターです。サバイバルな感じが自分に合っている気がします。『ジャンヌ・ダルク』を野外の朗読活劇で、しかも音楽付きでやるというのは、個人的に心が寄り添える要素がたくさんあるので、「一人旅」を存分に楽しめそうな匂いがします。一人芝居の醍醐味をこの公演で見つけられそうです。
―――劇場ではない空間でやることについてはいかがですか。
芝居としてはやったことないと思います。野外で開放感はあっても屋根があるそうなので、雨の心配もそんなにないし、6月の夕方5時開演なので徐々に日がしずむ感じも自然の舞台装置としてお楽しみいただけるので、いいと思いますね。虫対策だけしていただいて(笑)、お楽しみいただけたらと思います。
―――子供の頃から歌うことが好きでした?
アイドルになりたかったんですよね。カラオケに行ったりはしていましたが、特に習っていたわけではなく。高校時代の部活動でコーラス部に入っていました。友達とバンドを組んだりもしていましたね。
―――子供の頃の夢は?
アイドルだったんじゃないかな。小学校1年生くらいの時、光GENJIさんやWINKさんが全盛期で、歌番組にかじりついていて、CDを買ってもらってソファーの上に立ってまねしていましたね。5年生の時は「世界ふしぎ発見」のレポーターになりたいとか言っていた気がします。高校卒業後は政治家や医者にもあこがれていたし、せっかく海外にいたのだから通訳もいいなと思ったりしました。結局大学受験では、一番就職に有利そうな法学部を選んだんですけど。
―――法学部を出て、芝居していく上で役立ったことは?
あまりないですね、残念ながら(笑)。試験が終わったら忘れてしまうんです・・・。
―――今年も数々の作品に出演しますが、原動力となっているのはどんなお気持ちからでしょう。
過密スケジュールで色々なことを同時進行なさっていますよね。
お仕事に関しては、今までやれと押し付けられたことはほとんど無くて、自分も中身を理解した上で、こういう形だったらやりたいと提案させていただいたものをやっているので、自分で選んだのだから責任を持ってやり切ろうと思っています。あとは、やっぱり皆様に喜んでいただけるのが嬉しいから、頑張れちゃうんじゃないでしょうか。
―――今年また歌も出されるそうですね。今後やりたいことは。
シンガーソングライターの方と違って、女優業にしろ、歌にしろ、ボーカリストやアクターとして既存の作品を表現する立場なので、その中で自分のイデオロギーを持って、作品をアウトプットするにとどまらないようにしたいです。作品が裸の状態であるならば、私色にラッピングしてお届けできるような器を作っていきたいなと思っています。あとは、追求し続けること。いつも、昨日の自分の作品を観てヘタだなぁと思うんですよ。それをずっと思い続けていたい。いつまでも、昨日より今日の私の方がいいと思えるようであれば、また次のステージに進んでいけるような気がします。
―――最近運転免許とられたそうですね。
友達に免許を取ったと言ったら、みんなから叫んでいる絵文字で返事が来ました(笑)。でも、意外と慎重派なんですよ。
―――全く違うジャンルのことに新たな挑戦、楽しいんじゃないですか。
教習所の学科の授業は楽しかったですね。普段と全然違う刺激はもらいましたが、勉強は基本的には好きじゃないのです(笑)。
―――今後挑戦したいことはありますか。
うーん、役としては振り幅のある事をやらせてもらってきていますし、気がふれる系はやりつくした気がしますしね(笑)。男の子も子供も母親もやったし・・・。あ、先生とかいいかもしれないですね。役との出会いは自分で脚本とか書かない限り受身じゃないですか。でもね、最近自分から発信するのもありかなぁと考えたりもします。でも私、そっちに足を踏み入れちゃったら抜け出せなくなる気がして。性格的には多分、作る方に回るのも好きだと思うんですけどね、まだちょっと早いかなぁと。“その時”が来たら、やらざるをえない状況になると思うのでその時は挑戦してみたいかな。流れに身をまかせつつ、これからも力強くバタフライで泳いでいきたいと思います。
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★新妻聖子さん今後のスケジュール
◆三人芝居「骨唄 」
2012年6月28日(木)~7月1日(日)
東京 池袋あうるすぽっと (他、全国公演)
◆ミュージカル「Bitter days, Sweet nights 」
2012年8月2日(木)~8月11日(土)
東京 CBGK シブゲキ!!
◆ミュージカル「ミス・サイゴン 」
2012年8月22日~9月8日
東京 青山劇場 (他、全国公演)
◆新妻聖子ライブツアー 2012
2012年11月17日~12月8日
東京、神奈川、他 関東7ヵ所開催
◆CDリリース
New Maxi single 「ありがとう」
2012年5月16日 ポニーキャニオンより発売決定
歌 新妻聖子 × 作詞作曲 辛島美登里 × 編曲 武部聡志
新妻聖子さん公式サイト
http://www.seikoniizuma.com/
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井上ひさし生誕77フェスティバル2012
多彩な演目が発表に!
公演について(公演資料より)
2010年4月9日、井上ひさしは、少し長い、眠りにつきました。
2011年11月16日に、77歳の誕生日を迎えることを祝い、2012年に喜寿のフェスティバルの開催を予定していました。
「それは、大変おもしろいね」と、井上ひさし本人も楽しみにしていたのです。
1969年の『日本人のへそ』から2009年の『組曲虐殺』まで、40年にわたり70作にも及ぶ戯曲を世の中に生み出しました。
1984年には自身の劇団「こまつ座」を旗揚げするなど、本当に演劇を愛した生涯でした。
今回、井上戯曲とつながりの深い名演出家の方々をお迎えし、生前に親交のあった皆様のお力添えを頂き、
その感謝の想いを胸に、少し趣向を変え、生誕77年のフェスティバルとして開催させていただきます。
生前、とある詩を引き「悩みごとや悲しみは最初からあるが、喜びはだれかが作らねばならない。
この喜びのパン種である笑いを作り出すのが私の務めです」と語った井上ひさし。
その想いを受け継ぎ、舞台のチカラ、演劇のチカラで喜びを未来へとつなげていきたいのです。
蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁に加え、井上戯曲初挑戦となる
長塚圭史。
名だたる演出家による、8作品を、一年を通じて、公演。
名作は、喜びを、未来まで届けるのです。
このフェスティバルの舞台は、舞台。さぁ、歓喜、観劇。
【特設ホームページ http://inouehisashi77.jp/】
井上ひさし生誕77フェスティバル2012 上演作・公演期間・主な出演者
『十一ぴきのネコ』
長塚圭史が井上作品初演出。舞台を子どもたちの笑顔で包む。
独自の劇空間を構築し続ける現代演劇の気鋭・長塚圭史が、井上作品を初演出。井上ひさしが馬場のぼる作の絵本
「11ぴきのねこ」を原作に書き上げた初期戯曲『十一ぴきのネコ』をどう演出し、どう蘇らせるか、必見。
劇場はきっと、たくさんの子どもたちの笑顔であふれる。
【演出】長塚圭史
【出演】北村有起哉 中村まこと 市川しんぺー 粟根まこと 蟹江一平 福田転球
大堀こういち 木村靖司 辰巳智秋 田鍋謙一郎 山内圭哉 勝部演之
【上演スケジュール】1月10日(火)~31日(火) 紀伊國屋サザンシアター
【主催】こまつ座&ホリプロ (予定)
※主催につきましてはお問合せください。
『雪やこんこん』
鵜山仁が装い新たに紡ぐ、2012年の冬をあたためる人情芝居。
演出家・鵜山仁が1987年に井上作品に初挑戦したのが本作『雪やこんこん』。
その時の演出で第39回芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。その後、91年、99年に再演。
鵜山仁×『雪やこんこん』の名コンビが装い新たに11年ぶりの復活。豪華出演者にも注目!
【演出】鵜山仁
【出演】(台本順)高畑淳子 金内喜久夫 今拓哉 村田雄浩 山田まりや
宇宙 佐藤麻衣子 新井康弘 キムラ緑子
【上演スケジュール】2月19日(日)~3月11日(日) 紀伊國屋サザンシアター
【主催】こまつ座 (予定)
※主催につきましてはお問合せください。
『闇に咲く花』
戦争の記憶、そして、人間の強さ、やさしさを未来へとつなぐ。
忘れてはならない戦争の記憶を語り継ぐ戯曲を、栗山民也が本作6回目の演出で再演。
生前、井上ひさしが「この舞台をごらんになることで歴史の証人におなりになる。
こんなめでたいことがあるでしょうか」と語った作品。ぜひ、その目に、人間の強さ、やさしさを、映してください。
【演出】栗山民也
【出演】(台本順)辻萬長 石母田史朗 浅野雅博 増子倭文江 山本道子 藤本喜久子
井上薫 髙島玲 大樹桜 ...
記事を読む
ミュージカル『ジキル&ハイド』
制作発表が行われました
▲写真左より演出:山田和也、濱田めぐみ、石丸幹二、笹本玲奈
公演について(公演資料より)
2001年、2003年、2005年、2007年と、鹿賀丈史主演による過去四度の公演で日本ミュージカル界に新たな伝説を刻んだ傑作ブロードウェイ・ミュージカル「ジキル&ハイド」。2012年3月、日生劇場で、新たなジキル役にミュージカル界のプリンス石丸幹二を迎え、人間の持つ"光と影"、"表と裏"を描いた衝撃のミュージカルが、ニュー・プロダクションとして生まれ変わります!
<ミュージカル界屈指の歌い手3人の夢の競演が実現>
人間の深淵に潜む闇を描いたR・L・スティーブンソンの余りにも有名な原作「ジキル博士とハイド氏」を、「ビクター/ビクトリア」で有名な作詞家L.ブリカッス氏の作詞とフランク・ワイルドホーンの荘大かつ流麗な音楽により、余すところなくミュージカル化した伝説の大ヒット作品『ジキル&ハイド』がキャストを一新して新たに蘇る。医師として理想を追求するも、分裂する人格を制御しきれず、愛と欲望の挟間で深く苛まれるという難役に挑む石丸幹二、複雑な思いを胸にハイド氏の凶暴な人格に心惹かれる妖艶な娼婦ルーシー役を演じる濱田めぐみ、ジキル氏の婚約者であり一途に彼を愛する可憐な姿が切ないエマ役には笹本玲奈と、日本ミュージカル界で屈指の歌唱力を誇る3人の夢の競演が実現、これはまさに「事件」だ!
<珠玉の名曲で綴られる現代に通じるストーリー>
楽曲を聞いただけで虜になってしまう、これこそまさに心奪われる名曲のオンパレードミュージカル。その中でも、ジキルが歌う、名曲中の名曲『時が来た』は、R&B界のクィーンであるホイットニー・ヒューストンの世界的ヒット曲『ブロークン・ハーツ』を手がけたF.ワイルドホーンならではの躍動感と格調の高さが溶け込み、人生最大の決意に直面したジキルの感情の高まりが見事に表現されています。さらに、ルーシーが歌う情熱的な歌『連れてきて』と、切ない女心を歌い上げる『あんなひとに』、そしてこの2曲に加え、ピュアな気持ちを余すところなく表現した『新たな生活』に観客はぐいぐい引き込まれていきます。また、権力の横暴が入り乱れる『理事会』のシーンで、歌が効果的に使われたり、ハイドが次々と殺戮を繰り返す恐怖を、群集が歌いつなぐ『事件、事件』などは、歌がいかにサスペンスを高めるのに効果的かを見事に証明してくれています。圧巻なのは、特殊な効果を一切使わず、自らの肉体だけで二つの心の葛藤を表現した『対決』は、舞台の醍醐味であるライブ感を堪能させてくれる1曲です。これほどまでの名曲で構成されたミュージカルは、ほかに類を見ません。本来、ミュージカルが持つロマンチシズムやダイナミズムもしっかり刻んだこの舞台は、まさに、21世紀型ミュージカルです。
あらすじ
1888年秋、ロンドン。医者のヘンリー・ジキルは、セント・ジュード病院の最高理事会に臨んだ。長年研究を続けてきた、「人間の善と悪を分離する薬」の人体実験の許可を得るためだった。すべては精神のコントロールを失った父を救うため。ひいては人類の幸せと科学の発展にも寄与できるとジキルは確信するが、婚約者エマの父ダンヴァース卿、そして友人のアターソンから「死神よりも危険な理論だ」と忠告される。二人の危惧は的中、上流階級の面々が集う理事会で、ジキルの要求はほとんど一方的に却下された。
その夜、リージェント・パーク地区のダンヴァース卿邸では、ジキルとエマの婚約パーティーが開かれた。そこに出席した理事会のメンバーは、この婚約を快く思ってはいない。なかでも、秘書官のストライドはエマに結婚を考え直すように迫るが、エマとジキルは強い愛情の絆で結ばれていた。
パーティーを逃れ、ジキルはアターソンに誘われるまま、カムデンタウンにある娼館も兼ねるパブ"どん底"を訪れる。そこには蠱惑的な娼婦ルーシーがいた。その場の雰囲気にとまどっているジキルに、ルーシーは甘くささやく。「私で試してみたら?」その言葉に、ジキルは自ら開発した薬を"自分で試す"という解決法を見出す。
ハーレー・ストリートの自宅に戻ったジキルは薬を服用。ほどなく体に異変が起こる。頭痛、恍惚感、痛みが全身を貫き、呼吸困難に・・・。ジキルの心と体は、エドワード・ハイドに変わった。「自由だ!」-ハイドは叫び、ロンドンの夜の闇の中へ出てゆく。
それから1週間。ジキルはエマやアターソンとも会おうとしなかった。ある日、ルーシーの体の傷を治療した彼は、加害者がハイドであることを知り、愕然とする。いっぽう街中では理事会のメンバーが次々に惨殺されていった。エマとの結婚式が近づく中、ジキルは、ハイドをほとんど制御できなくなってゆくのを感じていた。
アターソンにすべてを打ち明けた彼は、ルーシーの身を案じ、「ロンドンからすぐに立ち去るように」との手紙を託すのだった・・・。
製作発表が行われました(2011年11月15日)
◆演出:山田和也
この『ジキル&ハイド』は、2001年の初演から10年経つということで、愕然としまして、つい昨日かおとといのことのような気がしていたのですが。この作品が日本で愛される理由は、正直なところ本当はよく分かっていないのですが、僕なりに考えると、まず圧倒的な音楽の魅力が一番大きいと思います。CDを聞いただけでも遠いところに連れていかれるように、イメージが豊かで誘惑されるような音楽が次から次へと出てくるその強さがあります。もうひとつはストーリー。世の中を良くするという理想に燃えた青年の医師が、理想に反して犯罪を犯してしまうというドラマティックなストーリーに、また、その青年に二人の女性が絡みロマンスもあり、サスペンスもありというミュージカルとして非常に巧みだったのではないかと思うのです。全篇に美しい音楽や美しい場面もありながら、恐ろしい場面もあり、様々なものがないまぜになって進んで行くストーリーの作り方が魅力であると思います。それに加えて初演以来、日本のミュージカル界を代表する非常に実力の伴った役者さん達が出演してくださったことも、この作品の水準をとても高いものにしていたと思います。この3つが揃ってやはりこの作品が日本でも愛され続けてきたのではないかと思います。今回2007年以来、キャストも一新されますので、演出としては前回のものは封印して新たなバージョンをゼロから作りたいと思っています。もう一度台本とスコアに戻って美術・ステージングなどクリエイティブチームの力を結集して作っていけたらと思っています。当然、今回は音楽的には何の不安も不満もないです!(笑)どうぞご期待頂ければと思います。
◆ヘンリー・ジキル&エドワード・ハイド役 石丸幹二
ジキル&ハイドは、皆さんご存知の通り、同じ人間が二つの人格を持つ役を演じさせて頂きます。この作品に出演させて頂く事が決まった時、まさに「時が来た!」そういうふうに思いました。もちろん、鹿賀(丈史)さんが演じてらっしゃった舞台も何度も拝見し、鹿賀さんの素晴らしい演技や歌唱力にいつも胸を打たれたのですが、ニューヨークでの初演も見ておりまして、素晴らしい歌の力、演技力が伴った俳優がやる作品なんだと。いつかこの作品に自分が挑戦できる日がきたらいいなと思っていました。それから十数年経って、まさに時が来たのかなという心境でございます。この作品は色々なみどころ、聴きどころがございますが、僕が初めて今回演じるにあたって目標とするのは、やはり「人は物事に直面した時に、選んでいかなくてはならない。人というのはそういう生き物である」そこを強く打ち出したいと思っています。ジキルが父のために自分の体に新薬を入れて開発をし確かめるのですが、それも選んだ瞬間だと思うんですね。結果は色々ありますが、人生ってそういうものなんじゃないかと思います。自分の人生にもそういうことがあるんだなと、そう思えるような『ジキル&ハイド』を演じていけたらと思っております。ご期待ください。
◆ルーシー役 濱田めぐみ
私が『ジキル&ハイド』に出会ったのは、鹿賀さんとマルシアさんの舞台を拝見して、世界観と、体ごと持っていかれるようなすごく誘惑的であり幻想的であり、人間誰しも持っているような全てを彷彿させているような何とも言えない不思議な気持ちになりました。ルーシーという女性像は自分の中でもとても響く部分がありまして、彼女が生れてから売春宿に行くまでの生い立ちは興味深く思いました。今回この役をいただいたときに、そのあたりの生き方を大事にして、自分のルーシーが演じていけたらと思いました。前に演じられたマルシアさんともお話させて頂いており、分からないことがあったら相談させていただけたらと思っています。このオリジナルの日本版のルーシーという役をより膨らませて、世界の中に溶け込んでいきたいと思います。自分の中ではまだどのように膨らんでいくかは分かりませんが、これからお稽古を重ねて魅力的なルーシーを演じられるように頑張りたいと思います。
◆エマ役 笹本玲奈
私は日本初演を見て、楽曲の素晴らしさに圧倒され、CDも何度も聴いていたので、大好きなミュージカルの上位に入っている作品です。今回出演のお話を頂けてとても光栄です。エマという役は、本当に優しくて芯が強くて、そしてジキル氏を心から愛している、その愛の深さを繊細に演じていけたらいいなと思います。この作品の魅力はたくさんありますが、とにかく楽曲が素晴らしいので、美しいメロディーに感情を流されず、しっかり芯のある役を演じたいと思います。
質疑
★★★今回の演出で、山田さんはキャストの皆さんのどんな部分を引き出そうとお考えですか。それに対してキャストの皆さんはいかがですか。
◆山田和也:
石丸さんについては、ハイド的な自己中(自己中心的)で凶暴な石丸さんを引き出したいと思います。濱田さんは、エッチな濱田さんですね。いや、役柄・作品のためであって僕自身はエッチじゃないです(笑)そういう部分でルーシーという役は生きていくわけですから、そこを引き出そうと思います。笹本さんは、すごく明るく快活で親しみやすい女優さんですが、この作品では唯一芯のある女性を演じるわけで、そのフレンドリーな中に強さを持った、本当は頑固で強情な人だと思うので(笑)貴族として生まれたエレガントさや強さを引き出したいと思います。
◆石丸幹二:
私のハイドな部分を思いっきり出したいと思います。
◆濱田めぐみ:
頑張って、エッチでセクシーな感じに頑張ります(笑)
◆笹本玲奈:
やっぱり演出家は怖いなと思いました(笑)見抜かれていました(笑)すべて山田さんについていきます。
歌唱披露
▲「時が来た」歌:石丸幹二
▲本番の舞台が楽しみです!
▲「その目に」歌:濱田めぐみ&笹本玲奈
▲美しく力強いハーモニー
ミュージカル『ジキル&ハイド』
日程:2012年3月6日~3月28日
会場:日生劇場
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『おのれナポレオン L'honneur de Napolèon』
制作発表が行われました
▲写真左より、三谷幸喜、天海祐希、野田秀樹、内野聖陽、山本耕史
▲写真左より、三谷幸喜、野田秀樹
『おのれナポレオン L'honneur de Napolèon』公演について(公演資料より)
フランス史上最大の英雄 ナポレオン・ボナパルト、
その生涯の隠された真実とは…。
偉人たちの、意外な一面を描いて定評のある三谷幸喜が、野田秀樹にあてて描くのはフランス史上最大の英雄ナポレオン・ボナパルト!!
天才か、狂人か? 神か 悪魔か? 高潔な英雄か 人格破綻者か?…
その存在のあまりの大きさゆえに、
その人間性のあまりの幼さゆえに、
あがめられ、
畏れられ、
愛され、
憎まれた男、ナポレオン。
幽閉の地、大西洋の絶海の孤島セント・ヘレナ島での最期は、病死とも暗殺とも伝えられ、その死はいまだに謎に包まれている。
「おのれナポレオン」と殺意を胸に抱く者たち、「ナポレオンの名誉 L’honneur de Napoleon」をかけてその企てに立ち向かう者たち。
そしてナポレオン自身が仕掛ける一世一代のたくらみとは…。
野田秀樹が、自ら作・演出しない舞台に出演するのは今回が初めて。三谷が演劇界の大先輩からのこの信頼に応えて猛烈に筆をふるう歴史ミステリー・三谷版「ナポレオン伝」、どうぞこころゆくまでご賞味ください。
制作発表が行われました(2013年1月23日/東京芸術劇場)
◆三谷幸喜(作・演出)
最初に野田秀樹さんを役者として何か作品ができないかとお話をいただきまして、それはすごく魅力的だなと思いました。以前、『新選組!』というドラマをやらせていただいたときに、僕のリクエストで野田さんに勝海舟を演じていただいたのですが、そのときから役者・野田秀樹に魅力を感じておりまして。僕の本で、出来れば舞台で野田さんを動かしてみたいな、僕のセリフを話して欲しいなという思いがありました。こういう話が来て、具体的になったところで、ではどういう物語にしようかと考えました。普段野田さんがご自分のお芝居でやられていないような世界がやりたいなと思い、最初は社長漫遊記のようなものもいいなと思ったり、国定忠治もいいなと思ったり。そこから歴史上の人物を野田さんにやってもらうのもいいかなと思い、西郷隆盛もいいかなと。どの人物も野田さんが演じると思うと面白くなってくるんですよね。それはもう野田さんの力だと思うんですけど。それで、海外に目を向けてダヴィンチだと当たり前かな、モナリザの方がいいかなと、考えるうちに辿り着いたのがナポレオンです。僕は実はあまり野田さんのことは存じ上げていないのですが、お仕事でお会いする位だったので。僕のイメージしている野田さんとナポレオンは、すごく共通点があります。若干こじんまりされていて、非常にせっかちである、常に動きまわっていて、ものを食べるときにやたらこぼす。実はナポレオンもすごくこぼしていたらしいんです。そういうのを読んだ時に、これはもうこれしかないなと。ナポレオンはなぜ死んだのかという部分は未だに謎の部分があるので、それを自分なりに解釈して物語ができないかなと思っております。中心は野田さんですから、誰が共演したら面白いかを考え、誰がラブシーン、ベッドシーンをやったら面白いかを考えたら、もう天海さんしかいないなと(笑)。内野さん、山本さんを始めみなさん野田さんと絡んで面白い方々を集めていただきました。ナポレオンは、胃がんで死んだという話もありますが、殺されたんじゃないかという話もあります。じゃあ誰が殺したのか。この場で言いますが、ナポレオンは誰かに殺されて、犯人はこの中にいます。あ、僕以外の方です(笑)。台本は半分近く出来ています。本当は途中の段階で見せるのは嫌なのですが、みんなが見せろというので見せました。犯人の部分はまだ書いていないので、キャストのみなさんは驚いていると思います。僕の中では完成していて鋭意執筆中です。僕にとっては野田さんとお仕事できるということは、こんなに幸せなことはないですし、光栄なことだと思っております。二大なんとかと言われますが、とんでもなくて、学生時代から憧れな先輩です。がんばって歴史に残る作品にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
◆野田秀樹 ナポレオン役
この劇場(東京芸術劇場)の芸術監督になりましたときに、どういう形で進めていこうかと考え、一番最初に浮かんだのが三谷幸喜さんにこの劇場で演出してもらことでした。リニューアルの前にも一度やっていただいています。企画を進める中で僕が役者として三谷さんの作品をやるという話を進めていいかというのを立ち話のような感じで聞いて、いいよと返事をしたのがきっかけです。僕はそのときは真ん中のような役のつもりでは全然無くて。それがもう3年くらい前の話です。やっと実現にこぎつけました。台本は途中までのものを読ませていただいて、あきらかにあて書きであるなと。三谷さんが私を今までどういう風に見ていたかということをしみじみと見て、本当に申し訳なかったなと(笑)。そのぐらいちゃんと嫌なヤツに描かれていてやりがいのある役です。「偉くなりすぎて周りで言うヤツがいなくなっちゃったんだよ」というようなことが出てきて、そういうイメージなのかなと(会場大爆笑)。反省することがいっぱいです(笑)。とても楽しみにしております。
◆天海祐希 アルヴィーヌ役
三谷さんの舞台でとお声をかけていただいて、後先考えずに「出たい!」とお返事いたしました。後から野田さんを始め素晴らしい方々とご一緒だということで「わぁ嬉しいな」と思いましたが、後から「こんなすごい人たちの中でどうしよう」という思いがふつふつとわいてきております。いただいた途中までの台本を読んで、モノローグも長かったですね。今から覚えておかなければと思っている毎日です。野田さんと三谷さんの舞台に出させていただいたこともある人間が、今度は野田さんが出演で、三谷さんの作・演出ということで、また違った方向からも私自身も楽しめるんじゃないかなと。本当は私も客席から見たかったですね。でも、見たら見たで「なんで私、こっちの客席にいるんだろう」とくやしくなったかもしれません。みんながくやしがるような舞台になったらいいなと思います。足をひっぱらないようにがんばりますのでよろしくお願いいたします。
◆山本耕史 モントロン伯爵役
三谷さんの作品は2001年『オケピ!』という作品に出演させていただき、その後いくつも出させていただき、先ほどお話しにもあった『新選組!』というドラマで野田さんとも共演させていただきました。天海さんや内野さんとは映像で共演させていただいていますが、今回は舞台なのでそれだけで自分が出演できることを幸せに思います。どんなものになるのかなとわくわくしながらも、まだ台本を読んでいません(笑)。先ほど野田さんにその話をしたら、「一ヶ月じゃ覚えられないから読んだ方がいいよ」と言われたので、今日帰って早急に読みます。天海さんもおっしゃったとおり、自分でこの作品が見られないということが自分でくやしくなるような作品にしたいと思います。
◆内野聖陽 ハドソン・ロウ役
私の役はナポレオンを徹底的にいじめ抜く、ねじくれた感じで、尊敬しているのに憎んだりねたんだりしているという役です。好きなのに嫌いというような、アンビバレンツな気持ちを内包している男で、そのあたりが役者として面白そうだなと思うところです。野田さんは一度お酒の席でご一緒しましたが、客席で見ていると雲の上の方です。三谷さんとは『我が家の歴史』の将棋さしの役でご一緒させていただきましたが、現場ではお会いしなかったので、お二方と戦う現場でご一緒できることがとても楽しみにしております。あたかもセントヘレナに行くときのハドソン・ロウのような気持ちでいます。野田ナポレオンに会ったときに、ハドソン・ロウの内部で自分の期待が崩れ落ちるような音が聞こえてくるような感覚を台本を読んで感じました。がちょーんとか、がびーんとか。そういう音が心の中で聞こえてくるような、愛くるしいハドソン・ロウ役になったらいいなと思っています。
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