「宗教」という語られぬ巨大な「差別」—「宗教リテラシー教育」の必要性

2013/07/04


とある学生の方から素敵な事業アイデアを聞いて痺れました。そんな課題があったのか!


宗教という語られない「差別」

日本社会においては、「宗教」という言葉は少し特殊な意味を持ちます。

たとえば、みなさんの目の前に「私、宗教を信じているんだ」と語る人がいるといます。さて、みなさんは彼/彼女について、どのようなことを思うでしょう。

まぁ十中八九、「なんか危ない人なのかもしれない…」と懐疑的な気持ちを抱くのではないでしょうか。

日本社会では、「なんか宗教っぽい」というのは、それだけで相手を侮蔑する言葉にもなります(「あの人言っていることはいいんだけど、なんか宗教っぽくてねw」とか)。そういえば、ぼくも「イケダハヤト師」とか揶揄されますね。この日本社会では、かくも「宗教」は差別の対象になっているのです。


しかし、「宗教というだけで差別的な眼差しを向けられる/向けてしまう」ことは、明示的に「差別」として問題視されることはほとんどありません。

なぜか。それは「不当な差別」と問題にできるほど、ぼくらの社会は成熟していないということなのでしょう。


まず、「普通の人たち」は「宗教にハマっている人たち」を、当然のように「違う人たち」と捉えられているため、「普通の人たち」の側から「それは差別的である」という声が上がることは困難です。差別的な視線を持っていることに、ほとんど無自覚で、かつ半ば当然のことと捉えている。

また、「宗教にハマっている人たち」側は、自分がマイノリティであることを自覚しているけれど、その種の差別をある意味受け入れているようにも思います。ゆえに、多くの人は自分が宗教を信じていることを「慎重に」語るのでしょう。


構造としては、ちょうど、かつて女性が当然のように「差別」されていたことに似ているのでしょう。女性は専業主婦をするものであり、男性は会社勤めをするものである。女性の側も、そのことを受け入れている。差別的な状況があることは間違いないが、誰も声を挙げることをしない。


日本社会は「宗教の時代」を迎える

しかしながら、これからの日本社会も「宗教の時代」を迎えることは確実です。

もっともわかりやすいのは、グローバリゼーションの影響です。すでに隣人がイスラム教徒である、なんて世界は来ています。さらに進めば、子どもや孫が「異教徒」である可能性も高まるでしょう。ちきりんさんも「未来の働き方を考えよう」で言及されていますね。

現在10歳以下のお子さんをお持ちの方は将来「インドからの電話で孫の誕生を知る」とか「今年の夏休みには、ブラジルから孫が初めて帰ってくる」という体験をし、なかには「うちの嫁はインドネシア人でイスラム教徒だから、家にお祈りのスペースをつくったの」というケースさえ出てくるでしょう。

そういう時代が来れば、「宗教っぽい」という揶揄的な表現も、ほとんど無力化していくのでしょう。その代わりに、無知に根ざしたトラブルが発生してくることも懸念されます(昔の味の素騒動のような)。


また、ぼくら日本人自体も、宗教的な世界観を受け入れるようになっていくでしょう。ここら辺は湯川さんが予言的に書かれています。

「スピリチュアルな考え方が主流になる」と主張すれば否定されるが、「目に見えない世界の存在を信じ直感を大事にする人が増える」という表現にすれば、多くの人は同意してくれるだろう。
経済至上主義、科学万能主義に懐疑的な人が増えるなかで、真理は別のところにあることにうすうす気づいている人は増えているはずだ。

湯川鶴章氏が語る、「スピリチュアルな考え方が主流になる」5つの理由 – ihayato.書店 | ihayato.書店

かくいうぼくも、特定の宗教は信じていませんが、自分では感知しえない何かが存在していることは、普通に確信しています。実際、宇宙のエネルギーや物質はまだまだわからないことですしね。何かが作用している可能性は、まったく否定できません。


そこで「宗教リテラシー教育」です

そんなわけで、これからの時代には正しく宗教について理解するための「宗教リテラシーの教育」が必要になると考えられます。


わかりやすいところでは、グローバルに仕事をしようとしている方は、まず間違いなく、宗教に関する教育を受けた方がいいでしょう。

また、外国人の子どもも共に学ぶことも増えているわけですから、公教育のなかに宗教に関する教育を入れこんでいくことも大切です。

「カルト」にまつわる問題を解決するためにも、宗教教育は役立ちます。ここ最近、大学生がカルトにハマるのが問題になっているらしいですね。

もちろん「宗教教育」は、宗教に対する無理解、嫌悪感、差別意識を払拭する効果も持ちうるでしょう。特定の宗教を信仰している当事者の方々からも、求められそうな取り組みです。


というわけで、宗教教育は大変重要だと思えるのですが、その割に、ほとんどプレーヤーがいません。

企業向けの研修サービスなんかはあるかと思いきや、検索してもヒットしないんですよね…宗教の根強い国に出張する人とか、いったいどうやって学んでいるんでしょうね。

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お会いした学生さんは、ライフワーク的に宗教教育について取り組んでいこうと考えているとのこと。これ、普通にNPOで起業できるテーマなので、のんびりライフワークと言わず、フルコミットで取り組んでいただくことを個人的に願っております。応援します。


関連本を探してみたのですが、これほとんど見つかりませんね…。こちらの一冊が近そうだけど、レビューがないのでいまいち内容がわからず。フロンティアの匂いがする。

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