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【韓国会計】域外脱税防止に向けて国税庁が動き出す

ここ数年、多くの国の課税当局で最も重要とされている分野の1つは国際租税分野です。特にギリシャ財政危機の様な最近の世界経済で一番話題になっている財政健全性問題と重なり、各国政府は政治的に負担になる増税より従来の税源管理を強化する政策を運用しています。国際取引が活発になり、自由化が進展するほど、多国籍企業や個人はこれを通じて自分の実質所得(税抜き)を極大化するために努力してきました。例えば国家間の複雑な取引構造を作り、低税率国家に利益を移転させる、または課税当局が把握しにくい国家に財産を隠す方法で巧妙に税金を逃れてきたものです。

 

これにより課税当局は、域外脱税行為による税源流出を防ぐため持続的に税法を整備しており、これに関する税務調査も強化しています。中国の場合は移転価格(Transfer Price)に対する課税を強化することで、中国に進出した多国籍企業が内部取引価格の調整で中国法人の利益を下げる行為に対して莫大(ばくだい)な税金を賦課しており、米国のオバマ政権は去る2010年海外口座納税方案(FATCA:Foreign Account Tax Compliance Act)を通過させ、米国の納税者が自分の海外資産に対して自発的に申告するようにしました。特にこの法案は、外国の金融機関にも米国口座の所有者に対しては必ず米国国税庁に報告するように求めており、これに応じない米国資産から発生する収益に対しては30%の税率で源泉徴収されるため、強力な法案であると言えます。

 

韓国国税庁もこのような国際的な流れに便乗し、毎年税法改正による多様な国際租税関連法案を新設および改正しています。去る2010年には米国のFACTAの様な海外金融口座申告制度を導入し昨年から施行しています。海外金融口座申告制度とは、居住者および内国法人が保有している海外金融口座の合計残高が1年のうち1日でも10億ウォン(約7,200万円)を超える場合、最高残高などの口座内訳を翌年6月1日から31日までに納税管轄税務署に申告する制度です。

 

この法による申告義務者は、海外金融機関に開設された海外金融口座を保有する居住者および内国法人であり、居住者とは前回の記事に掲載した通り、国内に住所を置くか、または1年以上居所を置く個人を示します。ただし、居住者・内国法人であるとしても、最近10年間で国内に住所または居所を置いた期間が5年以下である外国人または在外国民のうち、申告対象年度終了日の2年前から国内に居所を置いた期間の合計が1年以下の者には申告義務を免除しています。また、借名口座の場合は名義者および実所有者全員、共同名義口座の場合は共同名義者全員に申告義務を付与しています。さらに、申告対象口座は預金口座・積み金口座などの銀行業務に関する口座および証券取引のため開設した口座であり、申告時には同口座の現金および上場株式を評価して申告するようにしています。

 

2012年税法改正では、海外金融口座の積極的な申告を促すため、修正および期限後申告を導入して過料減免規定を新設し、申告義務の不履行に対する過料は従来の3~9%からおのおの1%ずつ引き上げました。また、海外金融口座の情報提供に対する報奨金制度を導入し、海外金融口座申告義務違反の摘発に重要な資料を提供する者には1億ウォンを限度に海外金融口座の未申告・過少申告に対する過料納付金額の2~4%を支給するようにしました。

 

韓国国税庁は海外金融口座申告制度の定着のため持続的に努力しています。特に国際的にも租税回避地およびスイスなどの域外金融センターが自国の絶対的金融秘密主義を放棄して金融情報を交換しており、各国の課税当局間でも域外課税情報の交流および接近を拡大している状況での制度導入に自信を持っています。この制度を通じて、国税庁は今後自発的申告により申告義務者を厳しく管理し、自発申告者に対しては関連法で規定された秘密保持義務を順守し税務干渉を最小限とする一方、未申告者に対しては過料を法定最高限度額まで賦課し、脱税金追徴および関係機関への告発など、厳重に措置すると発表しました。従って、海外金融口座申告制度に該当可能性のある個人や法人はあらためて自分が申告義務者に該当するか否かを正確に判断し、該当する場合には規定に従って申告しなければなりません。

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