傷ましい事件が起きるたびに、精神科への通院歴をことさら強調するマスコミの報道に疑問を覚える。
漫画「ブラックジャックによろしく」9巻~13巻にも、こうした問題が描かれているが・・。
下記は、精神科医の高木俊介氏著の「こころの医療 宅配便」からの抜粋である。
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精神障害者とは「何をしでかすかわからない」「危険な存在」で、さらには「犯罪に走ることが多い」というイメージである。特に、世間の耳目を集めるような事件が起こり、その事件の容疑者が精神障害者であったり、その可能性が取り沙汰されると「精神病はやっぱりこわい」「野放しにするな」という世論がいっせいに盛り上がる。
しかし、世間が抱くこのような精神障害者像は、実際正しいのだろうか。私たち精神医療関係者が身近に知っている精神障害者の人たちは、どちらかというと内向的で心優しい人が多い。そして特に統合失調症の人たちは、病気の性質のためになおさらエネルギーが乏しく、引きこもって暮らしており、そもそも激しく攻撃的な犯罪行為に手を染める力すらないという障害を抱えている。
実際に、最近の統計的数字をみてみると、交通事犯を除く刑法犯検挙数に占める精神障害者の割合は、その疑いがある者を含めても0.6パーセントに過ぎない。この数字から、精神障害者全体の中で犯罪行為を行う者の割合を計算すると、一般人口全体の中で犯罪行為を行う者の割合の三分の一以下になるのである。つまり、精神障害者でない人が犯罪を行う割合のほうが、はるかに高いのだ。
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