オウム教団施設立ち入り検査をフジテレビが独自取材しました。
公安調査庁によるオウム真理教への立ち入り検査で、ナイフで串刺しにされた写真の束が見つかりました。この中には、監視を続けている公安調査庁の幹部や、弁護士らが写っていました。
滋賀県内にある教団施設への立ち入り検査を、フジテレビが独自に取材しました。
2013年5月、滋賀県内にある教団施設への立ち入り検査を、フジテレビが独自に取材した。
公安調査庁の調査官を相手に、オウム真理教(現・アレフ)の男性信者は「あのさ、おたく! おたく! おじさんはOK! おたくらは、これよりこっちに行くな!」と、まくし立てた。
教団施設の周辺には、住民による、教団に対する反対の立て看板が立てられていた。
施設の中から出てきた信者は、調査官らに対し、1人ずつ身分証を提示するよう要求するなど、なかなか調査官を施設の中に入れようとしなかった。
調査官が、「わたしたちはね、公安調査庁の調査官だということでね。それで十分だからね」と説明すると、男性信者は「いや! 違います! 違います! 立ち入りには、立ち入りの許可証が必要です!だから、『公安調査庁だから』というだけで、ここに入室することはできません!」などと、食い下がった。
無差別大量殺人などを行った団体への措置として制定された「団体規制法」に基づき、これまで公安調査庁は、アレフに対して、このような立ち入り検査を行ってきた。
その背景には、近年、アレフが信者数を増やしているという現状がある。
公安調査庁によると、1995年、地下鉄サリン事件を起こした当時、1万人以上いたオウム真理教の信者は、その2年後には、10分の1に減少した。
ところがその後、少しずつ信者を増やし、現在では、全国で1,650人いるといわれている。
教団は、20代前半の若者を中心に勧誘活動を行い、2013年のゴールデンウイークには、埼玉県内で大規模なセミナーを実施し、多くの信者が集まっていた。
こうした中、公安調査庁による立ち入り検査で、日本刀の形をしたペーパーナイフを突き刺した、16枚の写真が見つかった。
その中には、「スーパーニュース」の2012年11月の放送から勝手に抜き出した写真もあり、監視を続ける公安調査庁の幹部や、被害者対策などにあたっている弁護士らの姿が写っていた。
また、串刺しにされた写真の束の後ろにある絵は、麻原彰晃こと、松本 智津夫死刑囚が怒っていることを表す、「シバ神」だという。
これらが何を意味するのか、公安調査庁の安村隆司調査第1部長は「彼らの体質は、『自分たちの意に沿わぬ者』については、容赦なく攻撃をして、排除しようと。そういうもの(写真)にナイフを刺すということで、そういうもの(自分たちの意に沿わぬ者)を除去しよう、除外しようという強い危険な意思を感じますね」と話した。
写真に写る人物の1人、公安調査庁の安村部長は、教団の体質が何ら変わっていないと指摘する。
安村部長は「この写真も、祭壇の一番中央の目立つところに置いてありましたので、彼らが、いわば見つかっていいといいますか、隠す意図が全くなかったということも言えるかと思います。麻原(死刑囚)の教えを守る、要するに、目的のためには手段を選ばない。『ポア』と言いまして、人を殺すことも、ちゅうちょしないということですから、社会に対する危険性は、全く減じていない」と話した。
また、教団に何度も命を狙われた滝本太郎弁護士は、1日午後、FNNの取材に応じた。
オウム真理教問題にくわしい、滝本弁護士は「オウムとしては、わたしを殺したいんでしょうね。また、『ポアリスト』1番のままですかしら。気持ち悪いですね、せっかく生き残った者ですが、あらためて具体的に不安を感じます。当時の報道を見ていなかった人は、悪いことをした人は全部捕まっているんだということしか、覚えていないんですね。オウム真理教、アレフの勧誘に、うまいこと引っかかってしまう状況があります」と話した。