「運転手が罪犯せば会社のタクシー減車」 ソウル市が方針

タクシー業界は求人難の深刻化を懸念

 先月22日午前1時50分ごろ、ソウル市中浪区の路上で20代の女性がタクシーに乗り込んだ。タクシー運転手(45)は女性が酒に酔っているのをいいことに、2時間ほど走行しながら性関係を迫った末、酔いに勝てず意識を失った女性をホテルに連れ込み、性的暴行を加えた上に現金2万ウォン(約1700円)とクレジットカードを盗んで逃走した。

 ソウル市で今後、こうしたタクシー運転手の犯罪が大幅に減る見通しだ。ソウル市は先月30日までに、タクシー運転手の就職時に犯罪前科者を徹底的に排除し、運転手が罪を犯した場合にタクシー会社のタクシー台数を減らすことなどを盛り込んだ「運輸従事者の資格管理強化・改善案」をまとめた。

 市によると、これまではタクシー運転手になるために入社申告さえすれば、犯罪経歴の照会を行うタクシー運転資格証の交付を経ていなくても会社のタクシーで営業を始めることができた。だが今後、タクシー会社は運転手が入社申告をする段階で犯罪経歴を照会しなければならない。

 市は併せて、タクシー運転手の資格管理システムを定期的にモニタリングし、犯罪経歴のある運転手を摘発する方針だ。法人タクシー会社が犯罪経歴のある自社の運転手を申告すれば課徴金の50%を免除するほか、他人が申告すれば報奨金90万ウォン(約7万8000円)を支給する制度も導入する。

 タクシー運転手の犯罪に対する処罰も強化する。運転手が罪を犯した場合、この運転手を雇用するタクシー会社の管理責任を問い、会社のタクシー台数を無条件で5台ずつ減らす。これまで、不適格者を採用した会社に対しては、1回目の違反時には90日間の営業停止および課徴金賦課、2回目の違反時に減車処分を下していた。また、タクシー運転手として在職中に罪を犯した場合の市の処罰はなかった。ソウル市は、こうした改正案の根拠となる法改正を国土交通部(省に相当)に要請する計画だ。

 これに対し、タクシー業界では「タクシー運転手の求人難が深刻化しかねない」と懸念の声が出ている。タクシー会社の関係者は「運転手のレベルを上げて乗客の不安を取り除くという趣旨には賛成するが、運転手になりたいという人が減るかもしれず、心配だ」と語った。

 一方、今回の改正案はソウル市のタクシー減車政策の第一歩では、とする見方に対し、市の関係者は「今後のタクシー料金の調整などと合わせ、減車政策を進めていく」と話した。

カン・ドンチョル記者
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