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2013/07/01

アベノミクスそれホント?

首相の言い分―その1
「暗く重い空気は一変した」

“空気一変”は金持ちと大企業だけ

 見かけ上の「景気回復」をもって安倍首相は「世の中を覆っていた暗く重い空気は一変した」と胸を張ります。しかし、「空気が一変した」と感じているのは、金融緩和でぼろもうけした投機家と、株価の上昇と円安で、大もうけした一部の輸出大企業だけです。

 安倍政権のもとで経済政策は投機家と大企業を喜ばせる方向に動き出しましたが、庶民生活を向上させる方向には動いていません。

 大企業が大もうけしても庶民のふところはあたたまらず、取り巻く暗く重い空気は一向に晴れません。

 庶民にとって「重く暗い空気」を一変させるには所得を増やし、雇用を安定させることです。大企業にため込んだ内部留保を吐き出させ、労働者の賃金と中小企業の下請単価を引き上げさせることが必要です。低賃金にあえぐ非正規雇用労働者の労働条件を改善し、「正規雇用が当たり前」の社会をつくることが求められています。

首相の言い分―その2
「経済指標はことごとく改善」

庶民に実感なし 不都合な数触れず

安倍首相は「経済を表す指標はことごとく改善をしています」と繰り返します。しかし、「改善」を実感している人がどれだけいるでしょうか。世論調査でも景気回復の実感は「ない」が78%(「朝日」6月11日付)と圧倒的です。

 一時期と比べれば生産や消費は増えたといっても、今までが悪すぎただけの話です。大企業のコスト削減・賃金引き下げによる内需減少が日本経済低迷の最大の原因です。

 いま消費が増えているのは、主に株価の上昇を背景に富裕層が高級品を購入しているにすぎません。

 一方、安倍首相が口にしない数字があります。経済活動の重要な指標である設備投資は5期連続で減少しています。

 企業の設備投資が増えないのは、消費が伸びず、需要のないことを見越しているからです。実際、庶民のふところはあたたまっていません。労働者の平均賃金はリーマン・ショック前となる08年4月の28万1700円から、27万2406円(13年4月)へと1万円近く低下したままです。では安倍首相の経済政策が賃金や雇用の増加に結びつくのでしょうか。世論調査でも「そうは思わない」が45%と「結びつく」の36%を上回っています(「朝日」6月11日付)。所得が伸びない以上、本格的な消費の増加はありません。

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首相の言い分―その3
「日本の経済政策に世界の関心が集まった」

消費税増税・社会保障切り捨て約束

 安倍首相は「G8サミットでは、日本の経済政策に世界の関心が集まりました」と述べて、“アベノミクスが国際的に信認された”としています。

 6月17~18日に英国で開かれた主要8カ国(G8)首脳会議の宣言は、「日本は、信頼できる中期的な財政計画を定めるという課題に応える必要がある」とくぎを刺しました。

  安倍首相はG8で「財政健全化」を達成する目標をつくるよう約束させられたのです。これは、消費税率を10%に引き上げ、同時に社会保障の削減を強行することにほかなりません。

  ただでさえ「異次元の金融緩和」で円安が進行し、輸入原材料の高騰で日常品が軒並み値上がりしています。その上、消費税増税と社会保障削減が強行されれば、国民生活も日本経済も奈落の底に落ちることは確実です。

首相の言い分―その4
「実感はこれから」「とことんやり抜く覚悟」

痛みはこれから 日本経済は破たん

 安倍首相は「(景気回復を)まだまだ実感できていないという方々がおられるのも事実」「私はとことんやり抜く覚悟です」といっています。しかし、アベノミクスをとことんやり抜かれれば日本経済は破たんします。

 アベノミクスの「3本の矢」は、

(1)「異次元の金融緩和」で投機とバブルをあおる

(2)ゼネコンだけがよろこぶ不要不急の大型公共事業

(3)原発などのインフラ輸出や正規雇用破壊、設備投資減税など大企業向けの成長戦略―を実行するものです。そのために生じた巨額の財政負担は消費税増税と社会保障削減で埋め合わせしようというのです。

「解雇規制の緩和」や「限定正社員の導入」は正規雇用を破壊し、労働者の賃金を奪います。その上、消費税増税は低迷している内需をさらに冷え込ませ、経済の土台を掘り崩します。社会保障削減は人間らしい生活を破壊します。安倍首相にとことんやらせては絶対にだめです。

  とことんやるべきは、消費税増税のストップです。大企業に日本経済への責任を果たさせ、内部留保を社会に還元させ、賃上げを実現し国民の所得を増やすことです。そして社会保障を拡充して国民の暮らしを安定させる政策を実行することです。

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しんぶん赤旗2013.7.1

 

 「寅さん」の知人は、ほとんど全員、現役を引退した。家業は息子が継いでいる。一人元気なのが医師だが、それでも「往診のみ」で本業は子どもが継いでいる。

 先日、現役中はもちろん引退しても自民党の地方の幹部の一人として頑張ってきた知人(Aさん。「寅さん」の同窓)に病院で会った。

 (正確には「自民党の幹部」ではない。「自民党の〇〇先生の後援会の幹部」だった。)

 で、近況の報告をしあった。

 Aさんは糖尿病と肝臓が悪いという。「寅さん」は心肺機能だ。

 Aさんは「景気が悪い」という。

 「寅さん」は「アベノミクス で景気がようなった、と自民党が言ってる」が、と応じる。

 Aさんは、「どっかで景気がようなったところがあるだろうが、わしとこはまるで実感しない」「もうすぐ参院選だ。『寅さん』も忙しいのでは?」

 「寅さん」は、「あんたもそうだろう」。

 Aさん「いや、政治からとっくに引退したから関係ない」

 それならと「寅さん」は、持ってた共産党のビラ を渡して別れた。

 選挙は目前だ。午前中は宣伝カーで演説をした。きょうは「TPP」の話をした。

 アベノミクスで「世の中ようなった」という人にまだ会わない。

 やりがいのある選挙戦である。

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番組では、安倍政権の経済政策=アベノミクスをめぐり討論。自民党の高村正彦副総裁は「期待を先行させるのがアベノミクス」、公明党の石井啓一政調会長は「景気回復は通常、東京、大企業から始まる」と、景気回復の実感がないとの批判に対し弁解に回りました。

 小池氏は「いつもトリクルダウン(大企業からもうけがしたたり落ちる)という説明を聞かされていますが、“いずれ中小企業や庶民に”なんていかなかったのが実態です」と指摘。安倍政権がこれからやろうとしていることが、史上最大規模の増税である消費税増税と「限定正社員」などの雇用破壊であり、「これではますます貧困と格差が広がってしまう」と主張しました。

NHK日曜討論・フジ系「新報道2001 」)

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 この「いつかそのうちに、こぼれおちる」=「景気が良くなる」式の話は100%信用しない。なぜなら、こうした理屈で何度国民が騙されてきたか分からないからだ。

 「いつかそのうちに中小企業や庶民に」利益が回ってくると国民に思わせながら、やったことは、260兆円の内部留保 だ。大企業をうるおす言い訳に過ぎない。

 消費税は「いつかそのうち」でなく「確実にもうすぐ 」だ。

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2013/06/27

生活保護改悪案は廃案/首相問責を可決 生活保護改悪案/廃案は運動の成果 参加者ら

首相問責決議は参院本会議で賛成125票、反対105票の賛成多数で可決され、日本共産党は賛成しました。

 野党が提出した問責決議の提案理由では、安倍晋三首相の参院予算委員会への出席拒否は、国会への出席義務を定めた「憲法63条に違反する許しがたい暴挙」と批判。「憲法に違反して国民主権をないがしろにし、立憲主義を踏みにじろうとする責任は極めて重大」と指摘しています。

 民主党は25日、「閣法を最優先する」として生活保護改悪法案などの成立最優先を表明しましたが、問責に賛成に回りました。問責可決の結果、参院厚生労働委員会は開かれず、同法案は廃案となりました。

 自民、公明両党が予算委員会をつぶすために提出していた平田健二参院議長の不信任案は、日本共産党など野党の反対128票で否決されました。

しんぶん赤旗2013.6.27

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 国会会期最終日の26日、全国生活と健康を守る会連合会(全生連・安形義弘会長)などは国会に駆けつけ、生活保護制度を改悪する2法案が廃案になったのを見届けました。

 参院本会議で安倍晋三首相の問責決議案が賛成多数で可決。同2法案の廃案が決まると、参加者から拍手がわき起こりました。

 中央社保協を代表して保団連の住江憲勇会長が「民主党が大きく後退し、共産党が議席を伸ばした都議選の結果が国会の情勢を変えました」と指摘。その上で、「生活保護関連法案を廃案に追い込んだのは、奮闘して運動してきた結果です」と評価しました。

 全生連の辻清二副会長は「生活保護利用者をはじめ連日、廃案を求めて国会周辺で抗議した成果です」と喜びました。

 「生活保護法改悪法案は、もともと民主党が与党時代に民自公の3党合意で決まったもの。民主党議員は2法案の成立を望んでいました」と批判したのは、全労連の井上久事務局次長です。「参院選で審判を下そう」と話しました。

 安倍首相の問責決議案可決後、日本共産党の田村智子参院議員が駆けつけ、あいさつ。「生活保護制度や就労支援のあり方を参院選の争点にしてたたかいたい」と述べました。

しんぶん赤旗2013.6.27

 これは、「今期は廃案」ということだ。「いつでも出てくる」可能性が大いにある。

 生活保護の改悪を残念さすひとつの機会は、次の参院選で共産党を躍進さすことだろう。

 「寅さん」は、この数日街頭演説と後援会報を配布するため忙しい。

 車いすのタイヤを交換してもらった。

 参院選挙は目の前だ。

関連:

安倍政権の暴走に立ち向かい、「国民が主人公」の新しい政治を――参院選で問われる大争点と日本共産党の改革提言

参院選予定候補者

2013/06/16

アベノミクス 150万円増って本当? 共産党政策委員長に聞く

 東京都議選が始まった。

 参議院選挙も近い。

 「寅さん」も街頭に出ている。「寅さん」の演説の「分野(?)」は「社会保障 」関連だ。農家であるAさんは「TPP」、商店主のBさんは、もちろん「消費税 」だ。

  ところで今週号に次のような記事がある。「我なきあとに大洪水よ来たれ 」ともいうべき資本主義の退廃をみる内容だ。

 今度の選挙は資本家の横暴を許していいのどうかが問われている、ともいえる大事な選挙であろう。

日本共産党副委員長政策委員長
小池晃さんに聞く


安倍内閣の産業競争力会議が「成長戦略」の素案をとりまとめました(5日)。同じく経済財政諮問会議の「骨太方針(素案)」、規制改革会議の答申も相次いで発表されました。安倍晋三首相が参院選の最大の看板にする「成長戦略」。その内容を、日本共産党副委員長・政策委員長の小池晃さん に聞きました。

 「成長戦略」素案は1人当たりの国民総所得(GNI)を10年で150万円以上増やすことを掲げました。安倍首相は「10年間でみなさんの年収は150万円増えます」(8日、東京・葛飾区)などと大宣伝しています。

 しかし、これは国民をだます詐欺商法みたいなものですね。

 国民総所得には、労働者の賃金だけでなく、企業の利益や株主配当も含まれます。それを国民の数で頭割りした数字です。一人一人の賃金が年間150万円増えるわけではないのです。

小泉時代にも

 実際に小泉内閣から前回の安倍内閣の時代に「1人当たりGNI」は5年間で17・7万円増えましたが、1人当たり賃金は反対に15・8万円も落ち込みました。この時期に企業の利益は28・2兆円から54・4兆円に倍増しています。企業の利益は大幅に増えたけれども、賃金には回らなかったということです。

 GNIには、さらに重大な意味もこめられています。

 今まで指標として使われた国内総生産(GDP)と違って、GNIには、海外の子会社からの配当や利息なども含まれているのです。国内の経済がどうなろうと、海外の市場で利益をあげさえずればよいという、財界や自民党の無責任な姿勢があらわれています。

雇用破壊から薬のネット販売まで企業利益のため国民犠牲

 「骨太方針」の素案は、「今後、物価の上昇が想定される中、賃金や家計の所得が増加しなければ、景気回復の原動力となっている消費の拡大は息切れし、景気が腰折れすることにもなりかねない」と指摘しています。そう言いながら、どうするかという具体策がまったくありません。

 それどころか、逆に賃金や家計の所得を減らすとんでもない政策をやろうとしています。「成長戦略」素案も規制改革答申も、雇用のかつてない規模の規制緩和を掲げました。

その内容は、

▽残業手当もまともに払わない「企画業務型裁量労働制」の拡大

▽勤務地や職務などを限定し、首切りを容易にする「限定正社員」の促進

▽まがりなりにも規制強化の方向に進んできた派遣労働についても、逆向きに対象業務を含めてなんでもOKに緩和する──などです。

 こんなことをやったら、長時間労働や、ただ働きをさらに広げ、賃金を減らす方向になることは明らかです。労働者の健康破壊や過労死もいっそう深刻になります。

命にかかわる

 安倍首相は「規制改革こそ、成長戦略の『一丁目一番地』」と繰り返しています。その首相が、5日の記者会見で規制改革会議の主な成果として真っ先に紹介したのは、「インターネットによる一般医薬品の販売解禁」です。これは、一部の企業のもうけのために、国民の命まで犠牲にしょうというものです。

 薬は国家資格である薬剤師の資格を持った人が対面で販売することが原則です。それは薬剤の副作用を防止するためにも必要ですし、薬を買いに来た人に対して、「売薬ではなく、病院を受診した方がいいですよ」など、適切なアドバイスもできるからです。

 薬害の被害者をはじめ、日本薬剤師会、日本医師会も薬のネット販売の全面解禁に反対しています。一方で、インターネット市場大手の「楽天」の三木谷浩史会長兼社長(産業競争力会議の民間議員)が、全面解禁が実現しないなら産業競争力会議の議員を辞めると、首相に圧力をかけたと報道されています。一企業の利益のために、国民の健康を犠牲にするなど、もってのほかです。

消費税増税中止、内部留保活用で内需活性化
本物の「成長戦略」こそ


 「成長戦略」と言いますが、雇用破壊と消費税増税、社会保障改悪で国民の所得を奪いながら、経済のまともな成長などありえません。これにたいし、私たちは、本当の「成長戦略」を提案しています。

デフレ打開ヘ

 デフレ不況を打開するには、何より働く人の所得を増やすことです。大企業には260兆円もの内部留保があります。このわずか1%を活用するだけで、月1万円の賃上げが可能です。

 暮らしと景気を壊し、財政も悪化させる消費税増税は中止させます。増税するなら消費税でなく「富裕層」にです。社会保障は削減をストップし、年金や医療を充実させます。

 中小企業の仕事を増やし、農林漁業を基幹産業として応援します。これこそ、家計消費と内需を活性化して本格的な景気回復に進む道です。

 この政策を参院選でも訴え、たたかっていきたいと思います。

2013/06/14

参院選 五つの大争点 鮮明自共対決

改革掲げ新しい政治切り開く

 「今度の参院選のキーワードは『自共対決』です」──。日本共産党の参院選挙政策発表(6日)の記者会見で、志位和夫委員長が強調しました。「安倍政権の暴走に立ち向かい、『国民が主人公』の新しい政治を参院選で問われる大争点と日本共産党の改革提言」(全文は7日付日刊紙や党ホームページに掲載 )と題する政策のポイントを、志位委員長の会見から紹介します。

 発足して半年になる安倍政権。アベノミクス(経済政策)、原発、TPP(環太平洋連携協定)、沖縄の米軍墓地、憲法、歴史問題とあらゆる分野で暴走し、ほころびと破たんに突き当たっています。

 なぜ「破たん」か──。それは、「アメリカいいなり」「財界中心」「歴史逆行」という、三つのゆがみを持った古い自民党政治が耐用年数をすぎ、根本から腐っているからです。

 日本はいま新しい政治を求める"夜明け前"のような状況にあります。

  「二大政党」や「第三極」といっても、中身が古い自民党政治と同じでは、日本の政治を変えることはできません。

 「二大政党論もすたれ、第三極論もすたれるなか、いやが応でも今度の選挙は、自民党対共産党=自共対決こそが真の対決軸だ、ということが浮き彫りになりつつある」(志位氏)のです。

 この対決構図で参院選の五つの大争点を示したのが参院選政策。政権への批判とともに、党の抜本的な改革提言をおこなっているのが特徴です。

経済

国民の所得増こそ
アベノミクス毒矢だけ


 第一は経済。「アベノミクスの暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の所得を増やす本格的な景気回復の道を」です。

 「アベノミクス」について、どの世論調査でも、7~8割が「景気回復が実感できない」と回答。賃金は下がり、設備投資もマイナスです。「大胆な金融緩和」が「投機とバブル」をあおり、株や為替、長期金利も乱高下。家計と中小企業は急激な円安による輸入品の高騰に苦しんでいます。

 新たに打ち出した「成長戦略」にも、国民の所得を増やす内容はひとつもありません。「ない」どころか、「限定正社員」をつくるなど解雇の自由化をさらに進め、社会保障の大改悪、消費税増税など国民の所得を奪う「毒矢」ばかりです。

 これに対し、日本共産党の対案は──。志位氏は、「デフレ不況の原因は長期にわたって国民の所得が減り続けているところにある」と指摘、「国民の所得を増やす方向に抜本的に転換する方途を政治の責任でやるのが私たちの対案だ」とのべました。そして、政策では、

①消費税増税の中止

②賃上げと安定した雇用、中小企業支援のルールをつくる

③社会保障の大規模削減路線と対決し、現役世代も高齢者も安心できる制度に再生・拡充

④大震災からの復興を最優先課題に──

という四つを提案したことを強調しました。

 とくに、来年に8%、15年に10%にあげる消費税増税の総額は13・5兆円という空前の規模。昨年の総選挙で自民党の安倍総裁は、増税実施の賛否を問われ、「マルとかバツとか単純にはいえない」とごまかしました。志位氏は「消費税増税は一度も国民の信任を得ていない。今度の選挙で審判を」と訴えました。

原発

再稼働を許さない
再生エネの大幅導入へ


 安倍内閣は、原発再稼働への暴走を開始し、原発輸出の「トップセールス」 に奔走。「成長戦略」には「原発の活用」と明記しました。原子力規制委員会の「新規制基準」の7月施行を受け、全国の原発で再稼働が狙われています。

 これを許すかどうかは今度の選挙の大争点。志位氏は、

①再稼働も輸出も論外

②「新規制基準」は「世界最高水準」どころか、完全に破たん

③省エネ・節電の徹底と、再生可能エネルギーの大幅導入へ抜本的に転換──

という改革案を語りました。

外交

TPP反対を貫く
根源の安保条約を問う


 外交では、TPP問題が大争点です。

 TPPが、食と農、雇用と地域経済に大打撃を与える「亡国の道」であり、米国の要求を「丸のみ」し、守るべきものも守れないものだということは、すでに明白です。政策では、交渉参加撤回とともに、日本農業の再生に向けた本格的振興策を提起しました。価格保障と所得補償の拡充や後継者育成支援を柱に"家族経営も大規模経営も成り立たせます。基地問題では、オスプレイ配備撤回、普天間基地の無条件撤去などを掲げています。

基地問題でも

 志位氏は「TPPでも基地でも、根源にあるのは安保条約という対米従属の鎖だ」とし、その是非を国民に問いかけていくことを強調しました。

憲法

共同強め改憲阻止
9条生かした平和構想


 憲法問題では、96条改定にも、9条改定にも反対し、一致する点で共同を強め、改憲のたくらみを断念に追い込むことを呼びかけました。

 北朝鮮問題や中国との領土問題にはどう対応するのか──。志位氏は、軍事力強化で対応するのは国民を危険にさらす思慮も分別もない最悪の姿勢だと批判。道理に立った外交交渉による解決に徹することを強調しました。

 紛争があっても戦争にはしないという平和的解決を実践している東南アジア諸国連合(ASEAN)のやり方を北東アジアに広げる構想を示し、「そのときの一番の財産が憲法9条だ」と力説しました。

歴史

過去の清算へ提案
領土問題の解決にも道


 日本がアジアと世界から信頼されるためには、過去の誤りをきっぱりと認め、負の遺産を清算する立場に立つことが不可欠です。志位氏は次の4点を提案しました。

──靖国神社参拝など、政府の責任ある立場の政治家が侵略戦争を肯定・美化する行動、言動をしない

──日本軍「慰安婦」問題では、政府として公式謝罪し、個人補償を行う

──侵略戦争と植民地支配の歴史を子どもたちに正しく伝える

──領土問題も侵略戦争への反省があってこそ、国益を守る交渉ができる

攻めの論戦で

 政策は、最後に、三つの角度から日本共産党の政治姿勢を示しています。志位氏は「『白井対決』を際立たせ、大いに攻めに攻める論戦を展開し、必ずいい結果を出したい」と強い決意を表明しました。

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Teian

しんぶん赤旗2013.6.16号

関連:

日本共産党の提案全文パンフレット pdf

2013/06/11

所得奪う政治から増やす政治へ/“自共対決”鮮明/NHK討論 志位委員長が主張

 「“自共対決”を訴えて、大いに躍進を期したい」―日本共産党の志位和夫委員長は、9日放送のNHK「日曜討論」の党首インタビューで参院選の争点についてこう強調しました。各党党首の発言からも、暴走する安倍政権に対し、他の主要政党の補完勢力ぶりがあらわになり“自共対決”の構図が鮮明に浮かび上がりました。

安倍晋三首相は、政権の経済政策「アベノミクス 」について、景気回復の「実感がないという方もいるのも事実」と弁解しながら、「秋には思い切った投資減税を決めたい。産業競争力強化法案も出す」と依然として大企業・大資産家さえもうければいいとの政策に固執。改憲のハードルを下げる憲法96条改定についても「(発議要件を)2分の1以上にして、国民の手に憲法を取り戻す」と述べ、あくまでも進める考えを表明しました。

 これに対して、志位和夫委員長は、アベノミクスは「国民の所得を増やす『矢』が一本もない、暮らしを壊す『毒矢』だらけ」と指摘。解雇自由化などの雇用ルール破壊やTPP(環太平洋連携協定)推進、原発再稼働などといった「成長戦略」を批判したうえで、「国民の所得を奪う政治から、国民所得を増やす政治への転換が必要だ」と強調しました。

 憲法問題について志位氏は、改憲勢力が9条改悪の「突破口」と位置付ける96条改定に、「邪道だ」との反対の声が広がっていると指摘。「立場の違いを超えて反対を広げていきたい」と訴えました。

 民主党の海江田万里代表は「3党合意」をもちだし「自民党は(社会保障改革を)まったく議論しなかった」などと、消費税大増税と社会保障改悪を決めた「3党合意」に固執。日本維新の会の橋下徹共同代表は「(政権運営を)これ以上うまくやれる人は他にいない」と首相を絶賛。参院選で「改憲勢力で3分の2」を目標とする立場を表明しました。みんなの党の渡辺喜美代表も「大胆な金融緩和もTPPもみんなの党がいってきた」とアピールするだけでした。

 生活の党の小沢一郎代表は、生活保護改悪法案に賛成しておきながら、「国民の生活を守ることが責任」などとのべました。

 「『二大政党』論は廃れた。『第三極』持ち上げも廃れつつある。結局、“自共対決”がいま浮かびつつある」という志位氏の指摘を裏付ける結果になりました。

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日本共産党の志位和夫委員長が9日、NHK日曜討論の党首インタビューで島田敏男解説委員の質問に答えた発言は以下の通りです。

アベノミクス

国民の所得を奪う政治から、国民の所得を増やす政治へ

 島田敏男解説委員 よろしくお願いします。

 志位和夫委員長 よろしくお願いします。

 島田 まず、安倍内閣が進めている経済政策、それによる今の景気の現状についてどのようにご覧になっていますか?

 志位 現在のデフレ不況の一番の問題というのは、国民の所得が長期にわたって落ち続けているというところにあります。ところが、率直にいって、アベノミクスには国民の所得を増やす「矢」が一本もない。国民の暮らしを壊す「毒矢」だらけです。

 この間、「異次元の金融緩和」ということをやってきたわけですが、投機マネーによって円と株が乱高下して、結局、国民の暮らしに甚大な打撃をあたえたあげく、制御不能 に陥りつつあります。

 今度は、「成長戦略」だというのですが、中身をみてみますと、解雇の自由化、残業代ゼロなどの雇用のルールの破壊、さらにTPP(環太平洋連携協定)の推進と原発の再稼働。財界と大企業さえもうけさせればいいという中身です。

 さらに、そこに消費税の大増税をかぶせようという。

 そういう、国民の所得を奪う政治から、国民の所得を増やす政治への大転換が必要だと訴えていきたいと思います。

経済政策

「やるべきこと」と「やってはならないこと」

 島田 共産党はどういう経済政策が重要だと、積極的に訴えていくのですか?

 志位 「やるべきこと」は、大企業がいま抱えている260兆円におよぶ内部留保 の一部を、賃上げと非正規社員 の正社員化、あるいは中小企業の下請け代金の適正化、こういうものにあてていき、活用する(ということです)。内部留保の1%を活用しただけで、8割の大企業で月1万円の賃上げができますから、そういう方向にむけて経済界に働きかけていく政治の努力が必要だと思います。

 「やってはならないこと」は消費税の増税 です。これは(税率10%への増税で)13・5兆円の空前の増税になるわけで、これをやってしまいましたら、暮らしと経済を壊すだけではなくて、経済全体が落ち込みますと、税収も落ち込んで、結局、財政危機をひどくしますから、絶対に反対です。

選挙制度

小選挙区制をなくし、比例代表への抜本改革を

 島田 国会は終盤国会。衆議院の1票の格差是正の「0増5減」の区割り見直し法案の取り扱いが与野党の間で結論が出ていません。抜本改革のことも含め共産党はどう訴えますか。

 志位 「0増5減」というのは、1票の価値の平等という点でも、当座の取り繕いのびほう策で、同時に小選挙区制 を固定化するものですから、私たちは容認するわけにはいきません。

 私は、小選挙区制そのものをいま、問うべきだと思うのですね。小選挙区制が、大政党有利に民意をゆがめるという根本的欠陥をもつことは、この間、選挙をやって(第1党が)4割台の得票で7割、8割の議席を得るという結果に表れています。小選挙区制が、投票価値の平等とも相いれないということも事実が示しているわけです。

 ですから、小選挙区制をなくす。そして総定数480で、11ブロックの比例代表制に抜本改革する。それから政党助成金は撤廃するというのが私たちの改革案です。

憲法

9条を守り生かすとともに、96条改定という「邪道」阻止で共同を

 島田 その国会では、憲法改正をめぐる議論がかなり活発になっていますが、それに対する勢力というのも国民の間には大きくありますよね。こういった議論の大きな憲法問題、どのように対処していきますか?

 志位 いまの自民党、維新の会、みんなの党などの改憲勢力の一番の狙いというのは、憲法9条を変えて、日本を海外で戦争する国に作り変えることにあると(思います)。私たちはこれにはきっぱり反対して、9条を守り、生かすという立場でがんばりたいと思っております。

 ただ、改憲勢力は、改憲の「突破口」として憲法96条の改定 を押し出してきました。すなわち、憲法発議の要件を(衆参両院議員の)「3分の2以上」から「過半数」に緩和すると(いうわけです)。これに対して、“これは邪道だよ”と言う声が、憲法9条への立場の違いを超えて、広い層からいま起こっているという点が非常に大事なところだと思うのです。

 これは決して「形式論」ではありません。近代の立憲主義というのは、主権者である国民が、憲法によって権力を縛るというところからきているわけで、これを法律並みに変えやすくしてしまったら、憲法が憲法でなくなるわけで、こういう「邪道」には立場の違いを超えて反対を広げていきたいと思っています。

外交

TPP、米軍基地――こんなアメリカいいなりの政治でいいのか

 島田 外交の問題についておうかがいしたいのですが。一つは、安倍内閣は日米同盟関係が基軸だと強調しています。この点についてどうでしょうか?

 志位 それ(日米同盟基軸論)でやっていることはTPP推進 という問題ですね。TPPについて、「守るべきものは守る」と言ってきたんだけれども、(アメリカとの)「事前協議」で農産物については保証はなしです。そして一方ではアメリカの要求は丸のみということですから、この道を行ったら本当に「亡国の道」になる。TPPには断固反対で頑張りたい。

 それから基地の問題では、沖縄の基地問題、あれだけ県民のみなさんが島ぐるみで反対している(普天間基地の)辺野古への「移設」、オスプレイの配備 、これをあくまでも頭越しにすすめようとする。これも“基地のない沖縄”“基地のない日本”という方向で、私たちは大いにたたかいを起こしていきたいと(思います)。

 こんなアメリカいいなりの政治を続けておいていいのかも、問いかけていきたいと思っております。

歴史問題

アジアと心通う外交には過去の侵略戦争への反省が不可欠

 島田 一方で、対アジア外交、これはどうご覧になっていますか?

 志位 この間、安倍首相が「村山談話」の見直しに言及し、「侵略の定義は定まっていない」ということを言い出し、特に「村山談話」の一番の核心中の核心である、「国策を誤り」、「植民地支配と侵略」をすすめたという、ここについては頑強に認めようとしない。これは大問題だと思うんですね。

 一方、日本軍「慰安婦」問題 について、(日本維新の会共同代表の)橋下(大阪)市長の(「慰安婦は必要だった」との)発言に対して、国連の委員会が日本政府に対して、この発言は事実を否定するものであるからこれを許すことはできないと、政府としてきちっと反論すべきだと勧告したのに対して、安倍首相は、橋下発言について「立場が違う」というだけで、この発言を批判するようなことは一切言おうとしない。これも大問題です。

 私は、アジアのみなさんと本当に心が通う外交をやろうと思ったら、過去の侵略戦争や植民地支配に対する真剣な反省、そして必要な謝罪と補償をきちんとやっていくことが大事になってくるということを強く言いたいと思います。

参院選

“自共対決”――「国民が主人公」の新しい政治への転換訴えて

 島田 参議院選挙が間近です。なにを柱に訴えますか?

 志位 この間、「自民か、民主か」と、いわゆる「二大政党による政権選択」ということが言われたんですけれども、ずいぶん廃れたと思うのですよ。その次に今度は「第三極」というものを持ち上げる動きが出てきたけども、これも廃れつつあると(思います)。結局、自民党と同じ、その補完勢力ではないかということになってきた。

 そういうなかで、自民党対共産党、“自共対決”というのが、いま浮かび上がりつつあると思うんですね。私たちは、大いに“自共対決”を訴えて、その中で自民党型の古い政治を切り替えて、「国民が主人公」の新しい日本をつくろうということを訴えて、大いに躍進を期したいと考えております。

 島田 ありがとうございました。

 志位 ありがとうございました。

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共産党の参議院選挙政策

提言全文

2013/06/06

共産党の景気回復提言

景気回復提言

  しんぶん赤旗号外(→pdfファイル

  全文(→pdfファイル

 記事全文 (「アベノミクス」の危険な暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の仕事と所得を増やす、本格的な景気回復を)

2013/06/04

共産党/いじめ問題法制化で見解/市田書記局長・山下書記局長代行が発表

 日本共産党の市田忠義書記局長と山下よしき書記局長代行は3日、国会内で記者会見し、「いじめ問題に関わる法制化についての見解」を発表しました。現在進行中の各党による法制化協議について、各党案の問題点と日本共産党の提案を明らかにしました。

 山下氏は、日本共産党として提案「『いじめ』のない学校と社会を」(昨年11月発表)で、問題の解決には子どもの命・心身を守り抜く緊急の取り組みとともに、いじめの深刻化を教育や社会の問題ととらえる抜本的対策が重要だと提起していることを紹介。その上で、提出されている2案(自公案と民主、生活、社民の3党案)には、▽法律で子どもに命令し、義務を課す▽道徳教育の強化▽厳罰化▽被害者・遺族等の「知る権利」があいまい▽家庭への義務付け―の5点の問題があると指摘しました。

 山下氏は、自公案が法律で「いじめを禁ずる」として子どもに服従を強いることをあげ、「子どもに命令で守らせるやり方はなじまない」と強調。いじめる側に対する「厳罰化」についても、「いじめる子自身が立ち直れるよう愛情をもって支えることが基本だ」と述べました。

 法制化にあたって、いじめは人権侵害であり、子どもは安全に生きる権利をもっていると明確にすることや、学校や行政に▽子どもへの安全配慮▽35人学級などの教育条件の整備―を義務付けるなど8項目を提案。山下氏は「当事者の意見をよく聞いて、いじめ問題解決と法制化に生かす姿勢が大事だ」と述べ、超党派で意見聴取する場を国会に設置することも提案しました。

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(見解全文)

現在、国会において、いじめ問題に関わる法制化についての各党協議がすすめられています。

 日本共産党は、昨年、提案「『いじめ』のない学校と社会を」を発表し、(1)目の前のいじめから子どものかけがえのない命、心身を守り抜くとりくみ(2)根本的な対策として、いじめの深刻化を教育や社会のあり方の問題ととらえ、その改革に着手するとりくみを提唱しました。同提案には、いじめ防止に関する法的整備の検討も含まれています。私たちは、子どもたちの幸せを第一に、その安全と人権を保障する法律を、国民的な検討を踏まえてつくるために努力するものです。

 いま国会に提出されている自民・公明案と、民主・生活・社民3党案には、原則的な問題で、見過ごせない点が含まれています。これは私たちだけでなく、少なくない関係者も憂慮しているところです。問題点を率直に指摘し、私たちの提案をおこなうものです。

一、自公案等の見過ごせない問題点

(1)法律で子どもに命令し、義務を課している問題

 いじめは、子どもの成長途上で誰にでも生じうるものであり、第一義的に教育の営みとして解決することが基本です。法律で「いじめを禁ずる」として、子どもを服従させるようなやり方は、およそ子どもにたいして社会がとるべき態度ではありません。

 ところが、自公案は「児童等は、いじめを行ってはならない」と定め、命令と押さえつけで対応しようとしています。3党案は「何人(子どものこと)も、児童生徒等をいじめてはならない」とし、いじめの放置禁止や通報・相談などの努力義務も子どもに課しています。

 法律で定めるべきは子どもの義務ではなく、子どものいじめられずに安心に生きる権利であり、その権利を守るためのおとな社会の義務です。

(2)「道徳教育」の強化の問題

 自公案は、「道徳教育」をいじめ対策の重要な柱とし、3党案は「道徳心」をいじめ対策の「基本理念」の一つにしています。

 私たちは市民道徳の教育を重視しています。それは、教員、子ども、保護者等が自主的自発的にすすめてこそ実を結ぶものであり、法令で上から押し付けるやり方はかえって逆効果です。また、子どもの具体的人間関係に起因するいじめを防止するのに、道徳教育を中心にすえることは、すでに破たんしつつあることです。

 いじめ自殺事件が社会問題となった滋賀県大津市立中学校は市内唯一の国の道徳教育推進指定校でした。同市の第三者調査委員会は「道徳教育の限界」を指摘し、「むしろ学校現場で教員が一丸となった様々な創造的な実践こそが必要」と報告しています。上から「道徳教育」を押し付ければ、「教員一丸の創造的な実践」が損なわれます。

3)「厳罰化」の問題

 自公案は、いじめる子どもにたいする「懲戒」を強調し、慎重に選択すべき「出席停止」を乱発させかねないものになっています。

 しかし、いじめる子どもに必要かつ有効なのは、いじめに走った事情をききとり、いじめをやめさせるとともに、子ども自身が人間的に立ち直れるよう愛情をもって支えることです。法律で懲戒を強化、強制するやり方は、子どもの鬱屈(うっくつ)した心をさらにゆがめ、子どもと教員との信頼関係をも壊し、いじめ対策に悪影響をおよぼします。

(4)被害者、遺族等の、真相を「知る権利」があいまいな問題

 いじめ事件の隠蔽(いんぺい)は、国民の怒りの的であり、一刻も早い根絶が求められている問題です。そのために被害者、遺族等の、真相を「知る権利」を法的に明確にすることが急がれています。ところが、自公案にはこの問題に言及がなく、3党案は文科大臣が、事案の解明・被害者への適切な情報提供・個人情報の保護の観点から「情報の取り扱いに関する指針を定める」とあいまいです。

(5)家庭への義務付けの問題

 自公案は、保護者に「規範意識を養うための指導」を義務付けています。しかし、そうした家庭教育は自主的におこなわれるべきものであり、法律で命じて強制することは大きな問題です。3党案は、いじめや疑われる事実を発見したら「速やかにその解決のための行動」などを保護者に義務付けています。そうした対応は相互啓発のなかで自発的におこなってこそ力になります。法律で義務付け、上からチェックするようなやり方では、かえって家庭が息苦しい場になりかねません。

二、法制化にあたっての日本共産党の提案

 私たちは、一で述べた見過ごすことのできない問題点が解決され、子どもたちの安全と人権が保障される法律となることを心より求めるものです。そのために、日本共産党として法制化にあたって、以下の諸点を提案します。

 (1)いじめは人権侵害であるということ。

 (2)憲法と子どもの権利条約をふまえ、子どもは、いじめられずに安全に生きる権利をもっていること。

 (3)学校及び教育委員会をはじめとする行政の、子どもにたいする安全配慮義務。

 (4)教育の自主性を大切にしながら、子どもの命最優先でいじめに機敏に集団的に対応する学校の責務。

 (5)いじめる子どもへの対応の基本を、いじめをしなくなり、人間的に立ち直るための、徹底した措置とケアとすること。

 (6)隠蔽を根絶するために、被害者、遺族等の、真相を「知る権利」を保障すること。

 (7)いじめ被害者に対する医療・教育のための予算措置、「35人学級」の完成、養護教諭などの増員など、行政に教育諸条件の整備を義務付けること。

 (8)重篤ないじめのケースに対応する、国レベルの「いじめ防止センター」(仮称)を設立すること。

三、超党派で当事者等の意見を聞き、いじめ問題の解決と法案づくりに生かす

  いじめ問題の解決のためには、いじめ問題の当事者、関係者から意見を聞き、広い視野をもって協議・審議することが欠かせません。国会において、いじめ被害者団体、教職員や保護者など教育関係者、弁護士、医師、研究者などの意見を聞く場を超党派で適切な形でもち、その知見をいじめ問題の解決にも、法案づくりにも生かすことを提案します。

 そのなかで、競争と管理の教育、社会が「いじめ社会」ともいうべき傾向をつよめていることなど、いじめの深刻化の背景にある問題を解決するための議論をすすめることも提案します。

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(「寅さん」のひとり言) 

 

 きょう「寅さん」が車いすで近所の公園にいると、高校生が通りすがりに「寅さん」に言った。

 「死んだらオレにその車いすをくれ!」

 「寅さん」は言った。

 「俺のじゃない!」(「介護で借りてるのだ」と言ったが、自転車だ。多分「寅さん」の声が届いてないだろう)

 太陽が沈むのが遅くなった。6時30分頃になる。

 「3丁目の夕陽」のように、高校生を照らしていた。

 

2013/06/03

再稼働反対は国民の声国会前に6万人 NO NUKES DAY

再稼働反対は国民の声
国会前に6万人

「原発ゼロヘ、圧倒的な市民の声をたたきつけよう」と、「6・2NO NUKES DAY(ノーニュークスデイ)」の諸行動が2日、東京の明治公園、芝公園
23号地、国会前で行われました。原発をなくす全国連絡会、「さようなら原発一千万署名」市民の会(1000万人アクション)、首都圏反原発連合(反原連)による共同行動です。

三つのグループが合流して国会前に集まった6万(反原連発表)の人びとは、「原発ゼロ」を求める民意に逆らって原発の再稼働・輸出を推進する安倍晋三内閣に、「原発いらない」「再稼働反対」の声を突きつけました。

国会前6万人

「原発反対の運動をしている全国の青年と交流できて、めちゃよかった。元気をもらった」というのは、札幌市から参加したNさん(22)。妻と娘、息子の4人で青森県から参加したKさん(32)は「原発反対の声をもっともっと広げたい」といいます。

  明治公園で開かれた全国連絡会の「原発ゼロをめざす中央集会」には1万8000人が参加。ミサオ・レッドウルフさん、1000万人アクションの富山洋子さん(日本消費者連盟)が連帯あいさつしました。

被災地・福島県から参加したTさん(33)は「安倍政権はあくまで再稼働や
輸出に進んでいます。私たちが味わったあの恐怖は原発のせいじゃないかと、怒り心頭です」と訴え、「収束宣言ただちに撤回」「危険な原発今すぐなくそう」と会場と一体になり唱和しました。

  最後に、金曜官邸前抗議行動でおなじみの千葉麗子さんがドラム隊のリズムにのって「原発いらない」「いますぐ廃炉」「再稼働反対」「福島かえせ」とコールしました。芝公園で開かれた「つながろうフクシマ! さようなら原発集会」では、作家の大江健三郎さんや落合恵子さん、ルポライターの鎌田慧さんらが発言。

  大江さんは「次の世代が生き延びうる世界を残したい」とのべました。夕方、国会前で開かれた反原連の「反原発☆国会大包囲」行動には、「中央集会」、「さようなら原発集会」の参加者も続々と合流。「国会議事堂がいま全包囲されています」とのアナウンスに、参加者は歓声をあげました。国会前大集会では各党の国会議員や著名人、原発立地県の人びとがスピーチしました。

  反原連のミサオさんは「参院選で、これ以上原発推進派の政党に議席をとらせません。一日む早く原発ゼロを政府にいわせるため、力をあわせましょうと呼びかけました。

 福岡県から明治公園のデモに参加した看護師のOさん(23)は「人の命を助ける仕事をしている人問として、命を脅かす原発をなくして、希望をつくりたいんです」と話します。

 沿道から飛び入りでデモに参加した東京大田区のSさん(33)は「集会には参加できなかったので、デモが通るのを待ち構えていました。力をあわせて、原発ゼロを政府に決断させたい」と語りまし'た。

志位委員長参加・スピーチ

 「たたかいはこれからが正念場。再稼働、原発輸出、原発固執を許さず、即時原発ゼロの決断を」──。日本共産党の志位和夫委員長は2日、「6・2NO NUKES DAY」(ノーニュークスデイ)に参加、明治公園と国会前の2カ所でスピーチしました。

 明治公園でおこなわれた「原発ゼロをめざす中央集会」では、開会前に笠井亮衆院議員とともに会場を歩き、「原発をなくすまで頑張りましょう!」と交流しました。

 福島県からの参加者を激励し、各地から集った人たちと気さくに写真撮影や握手を重ねました。夕刻から始まった国会前大集会のスピーチでは笠井氏、田村智子参院議員とともに壇上に立ち、「日本の原発事故の収束もできもしないのに、世界中で原発を売って歩く。こんな政府を許してはなりません」と声を上げると、「そうだ1」の憤りの声が。参加者と一体になって「再稼働反対!」「輸出をやめろ!」とコールしました。

(しんぶん赤旗2013.6.3)

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 日本共産党の志位和夫委員長が2日、「原発ゼロをめざす中央集会」(東京一明治公園)でおこなった連帯あいさつを紹介します。

たたかいはこれからが正念場──再稼働を許さず原発即時ゼロへ

原発ゼロをめぎす中央集会志位委員長 の連帯あいさつ

 みなさん、こんにちは(「こんには」の声)。日本共産党を代表して、熱い連帯のごあいさつを送るものです。(拍手)

 安倍政権は、6月に閣議決定する「成長戦略」に、「原発の活用」を明記し、「再稼働のために政府一丸となって最大限にとりくむ」ことを明記すると伝えられております。

そして、7月の「新規制基準」の施行を受けて、柏崎刈羽、泊、伊方、高浜、玄海、川内原発などの再稼働が狙われています。しかし、再稼働など絶対に許すわけにはまいりません。(「そうだ」の声、拍手)

 私は三つの点を訴えたいと思います。

福島原発は事故の真つただ中

 第一に、福島原発は「収束」とは程遠い、事故の真つただ中にあるという問題であります。

 とりわけ放射能汚染水の問題はきわめて深刻です。放射能汚染水に含まれている放射性物質の総量は、事故で大気中に放出されたものの約10倍と推定されるほど巨大な量であります。それが外部に流出する危機的事態の瀬戸際にまできているのが福島原発の実態なのであります。

 「汚染水はいずれ海に捨てればよい」「海に捨てれば薄まる」という無責任な姿勢をとってきた国と東電に責任がある。私はこのことを強くいいたいし、海への投棄は絶対にやってはならないと訴えたいと思います。(「よし」の声、拍手)

 みなさん、「収束」とは程遠いもとで、再稼働など論外ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。いまやるべきは「収束宣言」を撤回し、収束と廃炉、除染と賠償を日本の英知を総結集して一大事業としやりぬくことではないでしょうか。(大きな拍手)

「世界最高水準の安全基準」は完全に破綻

 第二は、首相が、当初のべていた「世界最高水準の安全基準で、安全が確認された原発は再稼働する」という方針が、根底から破綻したことであります。

 この間、首相は厳しい批判におされて、原発に「絶対安全はない」とい
うことを認めざるを得なくなりました。原子力規制委員会も当初の「安全基準」という言葉を使えなくなって、「規制基準」という言葉に言い換えざるをえなくなりました。

 「世界最高水準の安全基準」という首相の言明は、完全に破綻している
ではありませんか。そうであるならば、再稼働方針は撤回すべきでないでしょうか(「よし」の声、拍手)

 くわえて、国内では原発に「絶対安全はない」と言いながら、海外では「世界一安全な原発技術を提供できる」などと、二枚舌を使って原発輸出に奔走していることは、絶対に許せるものではありません(拍手)。「死の商人」ならぬ「死の灰の商人」はただちにやめよ。このことを強く訴えていこうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

「再稼働先にありき」のずさんきわまる「新規制基準」

 そして、みなさん、第三は、「新規制基準」なるものの中身が、ずさんきわまるものだということです。たとえば、各原発の地震・津波想定に関する具体的数値の定めがありません。これでは地震や津波の想定値について、電力会社の裁量でいくらでも甘い想定を決めることができることになります。

 なぜそんなずさんな「基準」になったのか。原子力規制庁は「時間が足らなかった」といっています(笑い)。冗談じゃありませんよ。(拍手)つまり、いまの事態は、一刻も早い再稼働をめざして「スケジュール先にありき」で進められているのであります。財界・電力会社と一体での「スケジュール先にありき」での再稼働の押し付けを断固として拒否していこうではありませんか。(「よし」「そうだ」の声、大きな拍手)

 たたかいは、これからが正念場であります。再稼働の強行を許すか、これを止めるのか。再稼働、原発輸出、原発固執を許さず、即時原発ゼロの政治決断をせよ。再生可能エネルギーへの大転換をおこなえ。この声をご一緒にあげていこうではありませんか。(大き.な拍手)

 以上をもって、連帯のごあいさつといたします。国会前でもまた会いましよう。頑張りましよう。(歓声、大きな拍手)

(しんぶん赤旗2013.6.3)

2013/06/02

こんにちは日本共産党です しんぶん赤旗メール

 「しんぶん赤旗メール版」の今週の内容。このような内容が毎週土曜日夕方届く。インターネット選挙解禁で、この頻度と内容も違ってくるかも?

 とにかく、試しに下記のバーコードを携帯に送って、「しんぶん赤旗ケータイ版」をながめてみよう。

Keitai
 「寅さん」もスマホの仲間入りをした。

 「赤旗ツイッター」はこちら(→「赤旗 」)

 「赤旗日曜版ツイッター」はこちら(→「日曜版 」)

 「フェスブック」はこちら(→「フェスブック 」)

 「寅さん」の周りに「ツイッターを知ってる」という人がいない。で、「寅さん」は今回の参院選はツイッター利用を残念する。(眺めるだけ)

・・・・・・・・以下 メール本文・・・・・・・

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こんにちは日本共産党です 2013年6月1日
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【目次】
◆憲法 96条改定「絶対やるべきでない」との声、広がる
◆「志位さんのアカウント結構おもしろいわ」 日本共産党
 ツイッター紹介 ◆今週末の演説会・メディア出演 ◆「しんぶん赤旗」記事アクセス数 ベスト10 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃◆憲法 96条改定「絶対やるべきでない」との声、広がる
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参院選で大きな争点になるといわれている「憲法改定」問題。
いま問題になっている「96条改定」なんだけど、これは国
会が改憲を発議する条件を、国会議員の「3分の2以上」か
ら「過半数」に引き下げようというもの。

ここを入口に、「戦争はしない」「軍隊は持たない」と決め
た憲法9条を変えて、「国防軍」をつくり日本をアメリカと
ともに「海外で戦争ができる国」に変えたい、というのが改
憲派のホンネ。
日本共産党は改定反対、「憲法を生かして政治を変える」こ
とを求めています。 ただ、「入口」の時点で、日本共産党と立場の違う人々から
も反対の声が。
「憲法は、わが国の最高法規です。他の法規を扱う基準と違
うのは当然」――。自民党の元幹事長が「しんぶん赤旗」に登
場して、安倍内閣の憲法96条改定の動きについて「絶対に
やるべきではない」と。
 このインタビューは「赤旗」日曜版6月2日号。このこと
は一般紙でも報道されたんだ。ぜひチェックしてみて。 「しんぶん赤旗」見本紙(無料)の申し込みはこちら (ケータイ・スマートフォン) https://ssl.akahata.jp/akahata_mihon_i.html (PC) https://ssl.akahata.jp/akahata_mihon.html ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃◆「志位さんのアカウント結構おもしろいわ」 
    日本共産党ツイッター紹介
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「志位さんのアカウントって本人なの? 結構おもしろい
わ」「志位和夫恐るべし」「志位さんがクラシック音楽好き
だったとは…」――
5月7日に開始した日本共産党・志位委員長のツイッターに
こんな反響が寄せられています。
日本共産党の政策や見解を、志位委員長本人の言葉で、リア
ルタイムにお届け。
あわせて、本部食堂のことや趣味の音楽の話題などもつぶや
き、「政治だけでなく、音楽なども語っていて面白いですね」
という反応も。
日本共産党や「しんぶん赤旗」は、公式アカウントから絶賛
情報発信中。ぜひフォローしてみて。 志位委員長のツイッター https://twitter.com/shiikazuo 日本共産党のツイッター https://twitter.com/jcp_cc 「しんぶん赤旗」のツイッター https://twitter.com/akahata_PR ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃◆今週末の演説会・メディア出演 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【演説会の予定】6月2日(日)
14:00~ 名古屋市・国際会議場 市田忠義書記局長
14:00~ 城陽市・文化パルク 山下芳生書記局長代行

【テレビ出演】6月2日(日)
9:00~10:20 「日曜討論」(NHK) 市田忠義書記局長

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃◆「しんぶん赤旗」記事アクセス数 ベスト10
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 5月25日から5月31日までの「しんぶん赤旗」記事アクセス数
ベスト10は、以下のとおりです。 1位 維新 空席めだつ サポーター決起大会[5/26] 2位 「無国籍企業」のために国民に犠牲強いるのは筋違いです/
神戸女学院大学名誉教授 内田 樹さんに聞く[5/31] 3位 橋下市長の問責可決へ/大阪市議会 共・自・民きょう提案
   [5/30] 4位 首都・東京から日本共産党躍進のうねりを―国政も都政も
   対決軸は明快/東京の大演説会 志位委員長の訴え[5/25] 5位 橋下市長が設置した局職員/「維新」集会メール一斉に送信/
   指摘で取り消す[5/29]
6位 国政選挙での政党間協力のあり方について/
   笠井議員が発言[5/28] 7位 “風俗”発言/橋下氏 米だけに「おわび」/女性・沖縄には
   謝罪なく無反省[5/26] 8位 困窮世帯を制度からしめ出す/生活保護改悪法案 緊迫/
   来週にも審議入り 国連勧告に逆行[5/25] 9位 「橋下氏は撤回と謝罪を」/「慰安婦」発言
笠井氏が市長辞任要求フジ系番組
/批判しない首相の姿勢
世界から批判[5/27] 10位 橋下会見 海外から批判/「慰安婦」暴言 
    外国特派員協会[5/30] ----------------------------------------- ◇このニュースを友人、知人にひろげてください。 ◇メールニュースの登録はここからできます。→ http://www.jcp.or.jp/mlmagazine/index.html 配信の停止は次のURLで受け付けています。 https://www.mhai.jp/sys/unreg.php?cid=M404019 ********************************* 発行:日本共産党 ご意見はこちら→ info@jcp.or.jp メールニュースへのお問い合わせは mleditor@jcp.or.jp *********************************

2013/05/27

内部留保10兆円増"国民の所得へ"NHK「日曜討論一小池氏が主張

  日本共産党の小池晃政策委員長は26日のNHK「日曜討論」に出演し、安倍自公政権が秋に引き上げを判断するとしている消費税増税について、賃金や設備投資は減少し続けており「見かけだけの『景気回復』で突き進むことは許されない。参院選で増税の是非を問い、大争点にすべきだ」と主張しました。

 番組では、各党の政策責任者が安倍政権の経済政策「アベノミクス 」について議論。

各野党が「実体経済とかけ離れている」と言うもののまともに対案も示せない中で、「自共対決」が浮き彫りとなりました。

 小池氏は「消費税増税 は財政再建のためと言ったが、大型開発のばらまきが始まっており、社会保障は切り捨てる議論になっている。まったく話が違う」と批判。「消費税を引き上げれば景気は悪化し、財政にも深刻な打撃になる」と指摘し、増税するなら消費税ではなく富裕層と大企業の応分の負担で行うべきだと強調しました。

 また、政府・与党が増税引き上げを9、10月に判断するとしていることについて「選挙のときにはごまかそうという話で、これはダメだ」と述べ「参院選で国民的な審判を下してもらおう」と主張しました。

 自民党の高市早苗政調会長は「消費や投資が増えなければ、結局働く人の賃金があがらない」と賃上げは景気回復後との主張を展開。小池氏は「企業収益の改善は大事だが、かつて収益が上がったときも賃上げに回らずに内部留保に回った。いまも同じだ」と反論し、その構造を変えるのが政治の責任だと述べました。

 そして小池氏は、「アベノミクスの最大の問題は国民の所得を増やす矢がないことだ」と指摘しました。安倍政権になっても賃金が減り続ける一方で、3月発表の企業決算を見ると内部留保が10兆円規模で増えていることを示し「大企業の内部留保の1%を賃上げにまわせば8割の企業で月1万円、非正規社員も時給100円のアップができる。政府が持つべきは賃上げ目標だ」と述べ、それが本当の成長戦略であることを強調しました。

(しんぶん赤旗2013.5.27)

 もうこうなると、「いったい誰が政権につくのが一番国民のしあわせになるのか」という問題になる。

 自民党は、アベノミクスなどというが、結局は「大企業がもうかれば、その内国民にもカネがまわって来るだろう」という、過去に言い古された主張の繰り返しだ。ほんとに政権党の資格があるのか。これを「寅さん」は疑う。

 いま問題になってるのは、「国民のふところを温める」ことだ。

 「大企業が儲かれば、そのうちに・・」というのは、まったくでたらめであることは、これを繰り返して来た結果が、260兆円もの内部留保と、格差社会・派遣、非正規社会であったことを見れば明らかだ。(→「寅さん」:「儲けたのは誰だ! 」)

 儲けたのは大企業だけだ。今や内部留保は260兆円 もある。大企業の一人勝ちだ。

 それにしても、他の野党のふがいなさは目に余る。国民がうるおい、景気回復を実感できる「政党の経済政策がない」に等しい。

 自民党のアベノミクスを賞賛してきたから当然というべきか。

関連:

「寅さん」のブログ

「アベノミクス」に対策:日本共産党副委員長・政策委員長小池晃さんにきく」

2013/05/23

首都・東京から日本共産党躍進のうねりを/東京で演説会 志位委員長が訴え/国政も都政も対決軸は明快

首都・東京から日本共産党躍進のうねりを/東京で演説会 志位委員長が訴え/国政も都政も対決軸は明快(→全文

 日本共産党東京都委員会は22日、江東区の有明コロシアムで、志位和夫委員長を迎えて演説会を開きました。

 都議選(6月14日告示、23日投票)と7月の参院選で連続勝利を勝ち取ろうと、3階席まで埋めた聴衆は「そうだ」のかけ声と盛んな拍手を送りました。

 都議・都議予定候補42氏が勢ぞろいし、あぜ上三和子都議(江東区)と尾崎あや子予定候補(北多摩1区)が力強く訴え。参院選をたたかう小池晃副委員長(参院比例予定候補) と吉良よし子参院東京選挙区予定候補も登壇し、比例5氏と吉良氏の当選に全力をあげる決意を述べました。志位委員長は「首都東京の底力を発揮し、燃えに燃えて、大激戦を勝ち抜き、必ず躍進を果たそう」と力強く訴えました。

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志位氏は都議選・参院選を貫く「五つの大争点」―暮らし・経済、原発、「アメリカいいなり政治」、憲法問題、歴史問題―を解明し、参院選では「自民党対共産党」、都議選では「オール与党対共産党」という対決軸を際立たせました。

暮らしと経済

 第一の争点は、暮らしと経済です。

 安倍内閣が最大の売りにしている経済政策「アベノミクス」。賃金や中小企業、設備投資という経済の土台では落ち込みが続く一方で、一握りの富裕層には巨額の富が転がり込む経済がまともといえるのか―。志位氏はアベノミクスの実態を解き明かしながら、「政府が率先して『投機とバブル』をあおり立てるのは邪道です」と指摘しました。

 首相が「成長戦略」で標榜(ひょうぼう)する“企業が世界一活動しやすい国”の正体についても、「解雇自由」「ただ働き自由」―“働く人が世界一住みにくい国”だとズバリ解明。

 消費税増税ストップ、働く人の賃金と安定した雇用を増やして「デフレ不況」から脱出する党の抜本的対案を正面から対置し、「日本共産党を伸ばして大幅賃上げを勝ち取り、この不況から抜け出そう」と訴えました。

 では、国の間違った政治からの「防波堤」となるべき都政はどうか。

 ―他の道府県が1人あたり老人福祉費を平均53%増やすなか、1999年度から2011年度で23%減。結果、全国1位から29位に転落。

 ―国保の滞納世帯は23%。市区町村への都の支援額は石原・猪瀬都政下で320億円から43億円に激減。

 ―1メートル1億円の東京外郭環状道路建設には2兆円もの巨額のお金を注ぐ。

 福祉と暮らしを削りながら、大型開発に熱中する姿を厳しく告発した志位氏は、「自治体にあるまじき『逆立ち』政治をただす―ここに都議選の最大の争点があります」と強調しました。

 住民の運動と結んで都政を動かす日本共産党都議団は「調査・提案・論戦」という「三拍子」そろった素晴らしい議員団だとその実績を紹介し、躍進を呼びかけました。

原発問題

 第二の争点は、原発問題をどうするかにあります。

 首相が財界と一体に再稼働に暴走し、原発輸出の「トップセールス」に奔走するなか、福島第1原発では、大気中に放出された放射能の10倍もの巨大な放射能を含んだ大量の汚染水が流出する瀬戸際の危機的状況にあります。

 志位氏は、福島原発の実態と自らの視察も踏まえ、政府に対し(1)「収束宣言」を撤回する(2)再稼働は論外(3)即時原発ゼロの決断―3点を要求。

 「日本最大の電力消費地、首都・東京から原発即時ゼロ・再生可能エネルギーへの転換の流れを共産党の躍進でつくろう」と訴えました。

アメリカいいなり

 第三の争点は「アメリカいいなり政治」を続けていいのかです。

 環太平洋連携協定(TPP)、米軍基地国家という二つの問題から語りました。

 このなかで志位和夫委員長は、首都に広がる米軍横田基地では、米国内であれば公共施設の設置が禁止される地域に、小学校や病院、特養ホームなどが多数存在する危険な実態があることを告発。「沖縄のたたかいに連帯し、横田基地の無条件・全面撤去を要求していこう」と訴え。「日米安保条約をなくし、真の主権回復をかちとろう。自主・独立・平和の新しい日本を築こう」とよびかけました。

憲法をめぐる対決

 第四の争点は、憲法をめぐる対決です。

 改憲派が、憲法9条改定の「突破口」として憲法96条の改定―改憲手続きの緩和―を押し出したことに、各界から批判が広がり、「動揺と混迷」が始まっていると指摘。「ここは攻めどころです。このたくらみを断念に追い込むまで国民的包囲を強めよう」と力説しました。

歴史問題での対決

 第五の争点は歴史問題をめぐる対決です。

 安倍内閣のもとで過去の侵略戦争と植民地支配を正当化する歴史逆行の勢力が本性をむき出しにし、一大国際問題となっています。

 志位氏は、「村山談話」見直しをすすめる安倍首相の姿勢を厳しく批判。「戦後の国際政治は、日独伊がおこなった戦争が不正不義の侵略戦争であることを共通の土台としています。この土台を覆す勢力に国際政治に参加する資格はありません」とのべました。

 さらに、日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が、「慰安婦は必要だった」などという驚くべき暴言を吐いたこと、石原慎太郎共同代表も、維新の会としても、この発言を擁護・容認していることを厳しく指摘。「このような態度を続ける限り、維新の会は、国政であれ、地方政治であれ、日本の政治に関与する資格はありません」とのべました。

 「都議選・参院選で逆行勢力に厳しい審判を下そう。暗黒時代に侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党として先頭にたって奮闘する決意です」と表明しました。

 都議選・参院選を貫く「五つの大争点」から、「暴走と破たん」という安倍内閣の特徴を示した志位氏。他の諸党が「安倍へ、自民へ」となびくなか、国民とともに安倍内閣の暴走に正面から対決し、「アメリカいいなり」「財界中心」「歴史逆行」という「三つのゆがみ」をただす抜本的改革の対案を示しているのは日本共産党だけ―“自共対決”こそ「参院選の真の対決軸」だと強調しました。

 「都政ではさらにわかりやすい政党状況が展開しています」と続けた志位氏。猪瀬都政のもとで、自民、公明、民主、維新、みんなの各党が、知事提出の議案に100%賛成している事実を示し、「『オール与党でいいのか』こそが大争点です。『オール与党対日本共産党』の対決構図のなかで、大激戦を勝ち抜こう」と訴えました。

しんぶん赤旗2013.5.23

2013/05/19

激突の情勢 今こそ出番/全国革新懇が総会開く 志位委員長の発言: アベノミクス 歴史問題 従軍慰安婦問題・・・・

みなさん、こんにちは。共産党の志位和夫でございます。

 総会の議案書は、参議院選挙について、「全国革新懇は特定政党の支持をしませんが、3目標の実現をめざす政治勢力の躍進を強く期待します」とのべています。さきほども、(報告者の)三上満さんから、その部分を力強く読みあげていただきました。ここで「強く期待」されているのは、政党としては私たち日本共産党だと考えておりますので(笑い、拍手)、参議院選挙にむけて、いまの情勢をどうとらえ、どうたたかうかについて、議案書を深める立場で発言したいと思います。

アベノミクス――貧困と格差を拡大する経済政策

 この8日に、私たちは第7回中央委員会総会を開きまして、安倍政権発足から5カ月たって、この政権の特徴は「暴走と破たん」にあるという分析をいたしました。すなわち、あらゆる分野で暴走を始めたけれど、走り出すはなからボロボロとボロが出て、破たんが起こっているという分析をいたしました。

 最大の「売り物」にしているアベノミクスはどうでしょう。一昨日、1~3月の経済指標が発表されました。しかしよく見てみますと、雇用者報酬は前年比0・3%の減少です。三大銀行グループの中小企業への貸出比率は最低まで落ち込みました。企業の設備投資は5期連続減少です。つまり、日銀が一万円札をどんどん刷って、お金をジャブジャブ供給するといったけれども、回るべきところにお金が回っていないではないですか。給料と中小企業と企業の設備投資という、回るべきところにお金が回っていない。実体経済は冷え込んだままだというのが、はっきりしました。

 そのうえ、急激な円安で、食料品、日用品、燃油などが高騰し、庶民生活をじわじわと痛めつけております。大もうけしているのは、内外の投資家と富裕層です。結局、アベノミクスというのは、貧困と格差を拡大する、そういう方向に働く経済政策だということがはっきりしてきたのではないでしょうか。「大企業の内部留保の一部を使って、賃金を引き上げて、景気回復をはかれ」という抜本的対案を大いに掲げて、頑張りぬく決意を申し上げたいと思います。(拍手)

安倍首相の改憲戦略に矛盾と動揺――ここで破たんに追い込もう

 憲法改定の問題で安倍首相は、9条改憲を目的にしながら、「憲法96条だったらハードルが低いだろう」「形式論だから、国民の賛成を得られるだろう」という浅はかなもくろみで、ことを進めてみたわけですが、そうはいかなかった。

 96条改定は、「立憲主義を根本から壊す」「憲法が憲法でなくなってしまう」「これは邪道だ」というような厳しい批判が、9条改憲派の人たちからもだされて、彼らはこの問題で動揺のさなかにあります。

 まずここで、9条改定への道を突破しようとでてみたけど、たいへんな反対に出合って、動揺するというところまで追い込んだわけですから、この出ばなを徹底的にたたいて破たんに追い込めば、憲法9条などとても手をつけられなくなります。ですから、ここは大いに、「96条改悪許すな」という一点で力をあわせ、同時に、憲法9条を守り、生かすたたかいを発展させていきたいと考えています。

歴史問題――安倍発言の二つの重大問題を引き続き追及する

 そして、歴史問題です。4人の閣僚の靖国参拝、安倍首相が「村山談話」の見直しの動きに内外の批判がたかまり、にっちもさっちもいかなくなっています。

 一部メディアが、首相の「村山談話」見直し問題について、「首相は村山談話の継承へと立場を修正した」と伝えていますが、これはミスリードであります。国会論戦のなかで、二つ事実としてはっきりしていることがありますので、みなさんにご報告しておきたいと思います。

 第一に、首相は、「侵略の定義は定まっていない」という発言については、いっさい撤回していません。

 第二に、「村山談話」の一番の核心部分はどこかといえば、「国策を誤り」「植民地支配と侵略」をおこなったという部分にあるわけですが、この核心部分を引き継ぐかと国会論戦で何度ただしても、それを明示的に引き継ぐとはかたくなに言おうとしていないことです。官房長官などが「全体を引き継ぐ」などと、曖昧なことを会見で言ったりもしますが、首相は、「村山談話」の核心部分を明示的に引き継ぐとは絶対に言わないのです。

 ですから、この問題はまったく決着がついておりません。「侵略の定義が定まっていない」ということになったら、日本の戦争を「世界征服」の戦争――侵略戦争だとした「ポツダム宣言を認めないのか」ということになり、戦後の国際秩序の全体の否定になる。だいたい戦争の善悪の区別もつかないような政府では、国際政治に参加する資格はないということを、はっきり言わなければいけないと思います。(拍手)

 この問題は、私たちは絶対にあいまいにしてはならないと決意しています。「侵略の定義は定まっていない」という発言を撤回すること、「村山談話」の一番の核心部分である「国策を誤り」「植民地支配と侵略」をおこなったという部分を明示的に「引き継ぐ」ということ――この2点を、私たちは引き続き厳しく求めていくものであります。

「自共対決」の構図――党躍進が統一戦線のうえでもどうしても必要

 なぜこのように走り出すはなから破たんが起こるのか。やはり土台が腐りきっているからです。「アメリカいいなり」「財界中心」「歴史逆行」――三つのゆがみをもつ古い自民党政治が土台から腐って、いよいよ立ち行かなくなったというのが現状です。古い自民党政治はもはや寿命が尽きているのです。

 ただ、いまの国会では、そういう状況にあるにもかかわらず、日本共産党以外のあらゆる主要な政党が、「自民へ、安倍へ」と、草木がなびくというように、追従する状況となっています。

 民主党は、せっかく野党になったのですから(笑い)、対決したらいいのに、消費税増税を決めた自公民「3党合意」で首根っこをおさえられているために、身動きがとれない状況です。

 維新の会は、さんざん「第三極だ 」「既成政党の打破だ」といっておきながら、憲法改定のお先棒をかつぎ、自民党の補完勢力の姿をさらけだしました。そういうもとで、橋下共同代表が「慰安婦は必要 」という口にだすのもおぞましいような暴言をする。それから、今日つたえられているところでは、石原共同代表が「(日本がおこなった戦争は)侵略ではない」という暴言をおこなう。内外の激しい批判が集中して、2人そろって“火だるま状態”となっています。

 先日、石原共同代表が自ら「賞味期限を迎えつつある 」と言いました(笑い)。そのあと、橋下共同代表が自ら「今年中に消滅するかもしれない」と言いました(笑い)。自ら言ったことが現実になりつつある。この反動集団には、絶対に負けるわけにはいきません。(拍手)

 こういうもとで、安倍内閣の暴走と正面から対決して、抜本的対案を掲げて奮闘しているのは日本共産党であります。自民党対共産党――「自共対決」の構図がはっきりしてまいりました。先ほど、品川正治さんから、「まさに自共対決だ」「対決というより激突だ」という力強い励ましのメッセージが寄せられたというご紹介もありましたが、議案書に書かれている「躍進を強く期待する」という言葉に必ずこたえ、都議選 参院選 で躍進を勝ち取る決意であります。革新の三つの共同目標の実現をめざす私たちがいま躍進することが、日本の統一戦線をつくりあげていくうえでも、どうしても必要です。それを心に刻んで奮闘したいと思います。

 政党支持の自由という大原則を守りながら、可能な範囲で、さまざまな協力・共同をお願いしたいということを最後に訴えまして、私の発言といたします。ありがとうございました。(大きな拍手)

しんぶん赤旗2013.5.19

2013/05/18

危険な暴走「アベノミクス」/景気回復へ 共産党の対案/党副委員長・政策委員長 小池晃さんに聞く

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の是非が問われています。日本共産党が発表した「『アベノミクス』の危険な暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の仕事と所得を増やす、本格的な景気回復を」との提言(「景気回復提言」、4月24日発表)について、小池晃副委員長・政策委員長に聞きました。

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家計・経済壊す「毒矢」と対決

格差はより拡大

 ―「提言」で指摘した「アベノミクス」の暴走ぶりがより明らかになってきていますね。

  小池 安倍首相は「3本の矢」で日本を元気にすると打ち出しました。第一の矢は「次元の違う金融緩和」です。安倍氏は昨年の総選挙で“輪転機をぐるぐる回してお札をする”とまでいっていました。そして今、何がおこっているのか。ごく一握りの富裕層、機関投資家、外国人投資家のところに巨万の富が積みあがりつつあります。

わずか半年間で、ユニクロの柳井正さん(ファーストリテイリング会長兼社長)の資産増加額は4人家族の保有株式で1兆円を超えています。一方、庶民の家計を食品、光熱費などの値上げが直撃し、イカ釣りなど漁業関係者は燃油高騰で深刻な打撃をうけています。中小企業・業者は原材料の上昇に悲鳴をあげています。貧困と格差が拡大するような事態が生まれています。

 バブルはいずれ破裂します。そうなれば失業と倒産の嵐が吹き荒れることになります。

 二つ目の矢は「機動的財政運営」です。中身はきわめて従来型の自民党政治の完全復活で、大手ゼネコンだけがもうかる巨大開発のオンパレードです。東京外環道をはじめとする高速道路建設や国際コンテナ戦略港湾など不要不急の大型開発が目白押しです。もっぱら大企業を対象にした企業減税は今年度予算でも2000億円盛り込まれています。

 こんなことをやれば、借金の山が積みあがっていくだけです。

 第三の矢の「成長戦略」の一番のターゲットは雇用です。正社員のなかに職種限定、地域限定の「限定正社員」をつくって、いつでも首を切れるようにしようとしています。また、「限定なし」の正社員には「残業代ゼロ」のホワイトカラー・エグゼンプションを導入しようとしています。労働者を物のように使い捨て、命まで奪うような「ブラック企業」化を日本の企業全体にまで広げる危険性があります。

 しかも「3本の矢」だけではなく、ほかに「2本の矢」があります。一つは、消費税の増税、もう一つは社会保障の切り捨てです。「5本の矢」はただの矢ではなく「毒矢」です。「5本の毒矢」が家計を襲う。こんなことをやって暮らしがよくなるわけがないし、景気が回復するわけがありません。

投機とバブルへ

 ―「毒」ばかりで危険だということですね。

 小池 安倍政権の「アベノミクス 」は無責任で危険です。かつて金融政策の失敗でバブルになったことはありましたが、はじめから「投機とバブル」を引き起こそうと突き進む。日本経団連も加盟企業が多国籍企業化しているなかで、国内の雇用や地域経済をどうやって力強いものにしていくかなどということには、まったく無頓着です。米国式の会計基準を持ち込んで、株価、株式の配当にばかり目がいき、企業にとって宝である労働者を次々と切り捨てていく。

 非常に無責任で危険な経済運営を安倍政権と財界が一体となってすすめようというのが「アベノミクス」です。これに真っ向から立ち向かうことが大切です。この点でも自共対決が鮮明です。

幅広い立場の人々と対話へ

家計あたためる

 ―日本共産党の「デフレ不況打開策」のポイントは。

 小池 日本経済の6割を占めるのは家計の消費(個人消費)です。ここをあたためて所得と需要を増やして不況から抜け出すというのが基本的な考え方です。

 すでに発表している「経済提言」や「賃上げ・雇用アピール」の内容もふまえ、「アベノミクス」への対案としてまとめました。柱は4本です。

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 第一は、賃上げと安定した雇用の拡大で働く人の所得を増やすことです。わが党の「賃上げ・雇用アピール」にもとづく国会質問を受け、政府も経済界に申し入れましたが、賃金は下がり続けています。私たちは、大企業は内部留保のほんの一部を使うだけで賃上げは可能であり、最低賃金の引き上げを中小企業支援と一体でおこなうことなどを提案しています。

 第二に、こういう時に絶対やってはならないことは、消費税の増税です。景気を冷え込ませ、逆に全体の税収も減らしてしまう。きっぱり中止することを求めます。財源は消費税に頼らない別の道でつくる。富裕層に応分の負担を求める、ゆきすぎた大企業減税をやめるということも具体的に提案しています。

 第三は、社会保障です。現役世代も高齢者も安心できる制度を確立していく。10月から年金の削減をはじめようとしています。生活保護制度の基準引き下げを突破口に社会保障の大改悪が狙われています。これをやめさせ、社会保障の拡充を通じて将来不安をなくし景気を回復させていく。

産業政策に注目

 ―産業政策も提案されていることが注目されていますね。

 小池 ええ、第四の柱として、内需主導の健全な成長をもたらす産業政策を提案しています。

 日本の経済をけん引してきたのは、労働者の力です。ところが、いまの大企業は「国際競争力の強化」の名のもとに、人件費をコストとしかとらえずにコスト削減競争に走って、企業にとって宝である労働者を次々に切り捨てる。この結果、個人消費を冷え込ませ、技術力を低下させ、大企業の企業活動にも重大な影響を与えています。1990年代以降、雇用のルールがどんどん弱体化させられてきました。人間らしく働けるルールを確立することが大切です。

 中小企業は、雇用の7割、企業数の99%です。ここが元気にならなければ、日本経済は復活しません。この間の中小企業政策は「選択と集中」の名のもとに、中小企業を切り捨てています。そうではなくて中小企業全体を視野に入れて振興支援策を進めていくことが必要です。

 あるいは、

▽自然エネルギーの開発と本格的普及、

▽基礎研究を重視し科学技術、学問研究の基盤を強化する、

▽農林漁業を、日本の基幹産業、地域経済の柱として振興する。

  本当に地に足のついた政策を強めていくことによって、日本の健全な成長を実現していくというまっとうな道をすすんでいこうじゃないかということを、産業政策ではかなり強調しています。

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 関連していうと、食と農を破壊して医療や保険や食品安全など国民生活のあらゆる分野に深刻な打撃をもたらす環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加は、まったく逆行するものです。交渉参加を撤回することを求めています。

日本の経済の行く末をまじめに考えている人たちと一番響き合う提言ではないかと考えています。経営に携わる方々も含めて幅広い立場の人たちと、おおいに話をしていきたいと思います。

2013/05/10

「アベノミクス」に対策:日本共産党副委員長・政策委員長小池晃さんにきく

「投機とバブル」危険な政策

 「何となく景気がよくなりそう」とイメージ先行の「アベノミクス」。でも最近、「危ないかも?」と不安の声が高まってきました。日本共産党は4月24日、「アベノミクス」の危険な本質をズバリと指摘し、本物の景気回復を実現する対案を発表しました。そのポイントを副委員長・政策委員長の小池晃 さんに聞きました。

 いま「デフレ不況の打開のために賃上げを」という世論が政治的な立場の違いを超えて広がっています。

 ほんの一部ですが賃上げをする企業も出てきました。これを多くの中小企業、非正規の労働者にも広げ、大きなうねりにしていかなければならないと思います。

 ところが、こういう動きを全部ひっくりかえしてしまうのが「アベノミクス 」です。

 安倍首相の「3本の矢」は

①大胆な金融緩和

②機動的な財政政策

③民間投資を喚起する成長戦略の三つです。

 しかし、ほかに重大な2本の矢があります。消費税増税と社会保障大改悪です。それぞれ国民の暮らしに大変な被害をもたらす「5本の毒矢 」です。

 1本目の金融緩和のねらいは「投機とバブル」を意図的に引さ起こすことです。すでに庶民の暮らしに金融緩和による円安で物価上昇の被害が及んでいます。他方で、投機とバブルによって巨万の富を手にしている一握りの大資産家がいます(表)。(→pdfファイル

Waruiyatura

 バブルは必ずはじけて失業・倒産の嵐が吹き荒れることになります。

 2本目の財政政策の中心は大型開発と大企業減税です。財政危機を深刻化させた自民党型バラマキの復活です。

 3本目の「成長戦略」でとくに深刻な被害を及ぼすのは雇用の規制緩和です。正社員の首切り自由化や残業代ゼロの「ホワイトカラー・エグゼンプション 」の導入も検討されています。これをやれば日本中に「ブラック企業」が広がります。

4本目は消費税増税

5本目は社会保障大改悪です。この二つも暮らしに大打撃を与えることは言うまでもありません。

未来なき禁じ手

 要するに「アベノミクス」は古い自民党政治の完全復活です。失敗済みの政策を持ち出さざるを得ないところに深刻なゆきづまりがあります。なにより、政府が率先して「投機とバブル」の旗を振るというのは、まさに「禁じ手」です。この先に未来はありません。

悪循環抜け出す新しい提言

 私たちは「アベノミクス」にたいして、四つの柱の対案を提起しました。日本経済の6割を占める家計を温めて所得と需要を増やし、「デフレ不況」の悪循環から抜け出すための経済・産業政策です。

第一の柱は賃上けと安定した雇用の拡大です。大企業のたくわえ(内部留保)の一部を活用して賃上げし、経済の好循環につなげる。抜本的な中小企業支援と併せて最低賃金を引き上げることも提起しています。

第二の柱は消費税増税の中止です。必要な財源は応能負担の原則にもとづいて富裕層に応分の負担を求め、大企業減税の中止で生み出していこうという提案です。

第三の柱は現役世代も高齢者も安心できる社会保障をつくることです。

 安倍政権は生活保護基準の切り下げなどを突破口に、驚くべき社会保障削減路線に突き進んでいます。年金は10月から3段階で1兆2千億円(2・5%)も削り、支給開始年齢の先延ばしを計画。医療では風邪の窓口負担を7割に、介護保険は要介護3未満の人を対象からはずす・・・。

 こうした大改悪をはね返して社会保障充実の方向に切り替えていくことは、景気対策としても大きなカを発揮します。

第四の柱では新たに産業政策を掲げました。

 日本経済の発展の原動力は、優秀な労働者が知恵と力を発揮して、世界にはばたくようなものづくりの技術を確立していったことです。それを町工場の技術集積が支えてきました。この日本経済の発展の土台を、大企業は目先の利益のためにつぎつぎと切り捨てています。こんなやり方をやめ、労働者を本当に大事にする、ものづくりと産業の力を伸ばしていく方向に根本から転換しようと提起しています。

 中小企業には「選択と集中」の名による切り捨てをやめ、中小企業全体を視野に入れた振興・支援策に転換する。原発即時ゼロを決断し、自然エネルギーで地域経済と雇用を立て直していく道も提起しています。

 iPS細胞で有名な山中伸弥さんの研究所も非正規雇用が9割です。日
本の経済・産業の発展にとっても科学技術のすそ野、基礎研究を支える支援が必要です。ここを思い切って強化します。

 農林漁業は基幹産業として振興。それを根底から壊す環太平洋連携協定(TPP) への参加阻止に全力をあげる──。

経済の背骨強く

 こういう形で経済の背骨を強くして、つりあいのとれた健全な成長を実現し、「デフレ不況」からの脱却をはかろうというのが提言の中身です。

 ぜひ、広範な国民のみなさんのなかに私たちの提言を広げていきたいと思います。そして参院選の争点として、この対案を真正面から訴えていきたいと思います。

しんぶん赤旗日曜版2013.5.5号

関連:

「アベノミクス」の危険な暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の仕事と所得を増やす、本格的な景気回復を(pdf)(2013.5.3)

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 アベノミクスを無批判に「持ち上げてる」マスコミの「世論操作」にも大きな責任がある。

 「株価が上がった」などとTVや新聞で報道される度に「物価が上がる」。そこへ「消費税の値上げ」と「年金引き下げ」が待ってる。

 どんなに「株価が上がった」「景気回復!」と叫ぼうが、国民のフトコロが暖まらないのだから、庶民は実感しない。

 共産党を伸ばすことでアベノミクスという悪政に「レッドカード」突きつけたいものだ。

参院選関連:

参院選予定候補者

2013/04/22

96条改憲憲法のキホン壊す

改憲ハードル低く

 施行から66年。国民が守ってきた日本国憲法を、いま自民党、維新の会などが根本からくつがえそうとしています。改憲手続きを定めた96条から手をつけるというのです。

 憲法96条。あまりなじみのない条文です。改憲は、「(衆参)各院の総議員の3分の2以上の賛成」で国会が発議し、国民の過半数の賛成が必要─としています。これを「3分の2」から「2分の1」とし、法律なみに変えるね
らいです。

 戦争放棄と戦力不保持を定めた9条を改定するハードルを低くすることが最大の目的ですが、96条改定それ自体が憲法のあり方を変えてしまう重大問題だ─。そんな声が急速に高まっています。

国民多数で包囲する

 日本共産党の志位和夫委員長は11日、96条改定の動きに対し、「参院選の大争点としてたたかい、憲法改悪反対を国民多数の声にし、改憲勢力を包囲していく」と、表明しました。
しんぶん赤旗・日曜版2013.4.21)

立憲主義を根底から覆す憲法96条改定を許すな
(しんぶん赤旗2013.4.13)

・・・・・・以下6面・・・・・・・・・

憲法96条改定
問題点は?

 改憲手続きを定める憲法96条改定問題が、夏の参院選の大争点に急浮上してきました。安倍晋三首相は「参院選の中心的な公約として訴えたい」と明言。日本維新の会の橋下徹共同代表との会談(9日)でも、同条改定を目指す考えで一致しました。改憲派が急ぐ「96条改定」の問題点は─。田中一郎記者

踏み込む自民、維新

 安倍首相は政権発足以来、「96条改定」を繰り返し主張してきました。今回、参院選の中心的な公約として位置づけることで、さらに踏み込みました。

 衆参の各院で「総議員の三分の二以上の賛成」で改憲を発議し、国民投票で「過半数の賛成を必要とする」と定めた96条。その発議要件を2分の1以上に変えるというのです。

 安倍氏と橋下氏の会談では、首相が「改正の発議ができる96条を緩和する必要がある」と述べ、橋下氏は賛意を表明。同日に開かれた維新の会の党憲法調査会で橋下氏は「参院選で憲法改正が大きなテーマになってくるし、また争点化したい」と強調しました。

 自民党憲法改正推進本部の保利耕輔本部長は10日、96条改定案について参院選前の国会提出を検討する考えを示し、事態は緊迫しています。

世界も改定厳しい

 96条改定の狙いは何か─

 自民党は昨年4月、自衛隊を「国防軍」とする9条改定などを盛り込む「日本国憲法改正草案」を決めています。石破茂幹事長は、96条改定が9条改定に直結していることを「念頭において投票していただきたい」と公言。9条改定が最大の狙いであることは明らかです。

 問題は、それにとどまりません。「主権者である国民が国家権力を縛るという立憲主義の根本を根底から覆すもの」(日本共産党の志位和夫委員長)だからです。

 日本に限らず各国の憲法は、この立憲主義の立場から、一般の法律以上に厳しい改憲手続きを定めています。権力が都合のいいように憲法を改定できないようにするためです。

 自民党は、現憲法について「世界的に見ても、改正しにくい憲法」(「日本国憲法改正草案Q&A」)と攻撃しますが、これはウソです。(図)

World_kaiken

 改憲のための厳しい要件を守ったうえで、国民含意で憲法を変えるのが各国のやり方です。改憲しにくいからハードルを下げるなどという姑息(こそく)な手法は、民主国家では通用しません。

 政府もかつては、「憲法の改正は極めて重大でありまするが故に、・・・その手続きを他のあらゆる国法変更の手続きよりも重大に致しまして」「憲法の安定性を保全」したと答弁しています。(金森徳次郎国務大臣、1946年7月の衆院帝国憲法改正案委員会)

改憲勢力の包囲を

 11日、国会内で記者会見した志位委員長は「権力の乱用から国民の自由を守るのが憲法であり、立憲主義の立場」と強調。改憲発議をしやすくしても「国民投票」があるという改憲勢力の弁明についても、「国民投票で判定できるのは、国会が発議した改憲案に賛成か反対かだけで、憲法改定案の内容を変えられない」と批判しました。

 そのうえで、この問題を参院選の大争点として「『憲法改悪反対』を国民多数の声にし、改憲勢力を包囲していく」と決意表明しました。

権力縛る立憲主義揺るがす
沖縄大学客員教授(憲法学)
小林武さん

 憲法96条改定問題について、沖縄大学の小林武客員教授(憲法学)に聞きました。

 「96条改定」論のいちばんの問題点は、憲法の原理、つまり立憲主義の核心を揺るがすところにあります。

 立憲主義は、人間は生まれながらにして自由と人権を持ち、それらを守るために政府を組織し、その権力を縛るために憲法をつくるという考え方です。18世紀後半のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言などで結実し、その後普遍的な原理に育ちました。

 日本国憲法99条は、天皇にはじまって国務大臣、国会議員ら公務員に憲法の尊重・擁護義務を課しています。国民は含まれていません。ここにも憲法が、国民ではなく権力を縛るものという立憲主義の思想が鮮やかに表れています。

 この立憲主義の立場から、各国は憲法の改定手続きを法律以上に厳しく定めています。権力が勝手に憲法をゆがめて国民の人権を侵すことのないようにするためです。

 そのうえで今回の「96条改定」をみた場合、重大な問題があります。

 そもそも103条から成る日本国憲法のどの条文も、改定される場合には現行96条の手続きに基づいて改定されることを前提にしてつくられています。それと切り離して手続きだけを取り出して改定するのは、あってはならないことです。仮に9条を改定しようというのなら、堂々と現行96条の手続きに則って国民にその是非を諮るべきです。

 さらに、日本国憲法の改定手続きでは、憲法をどう変えるのかの中身を決めるは国会だけです。改憲が発議されれば、国民は、国民投票でイエスかノーかの意思表示しかできません。そうであるからこそ、国民に向けた提案は十分に練られたものでなければなりません。国会議員の「3分の2以上」という発議要件には、そういう意味が込められています。

 政権をつくるのは、国会で過半数の議席を得ている勢力です。発議要件が「2分の1以上」になれば、結局、時の政権は勝手次第に改憲を発議できることになります。このような事態は、立憲主義の危機といわねばなりません。

 自民党が結党以来、改憲を狙いながらも実現できないできたのは、国民が憲法を守ってきたからです。この歴史をみれば、日本国憲法が国民の権利を守る優れた憲法だということは明確です。このことに自信を持って今こそ、国民に「96条改定」の危険を知らせ、改憲を許さない大きな草の根の力を育てたいものです。

 参議院選挙が重要な意義をもってきた。憲法を守る運動を大きく展開させる時期にあると「寅さん」は考える。

 推薦:労働者教育協会 通信教育「憲法講座」

2013/04/21

ネット選挙どうなる。全会一致で衆院通過。

ウエブ更新自由化 メール限定的
日本共産党佐々木憲昭衆院議員に聞く

 選挙運動でのインターネット利用を解禁する法案が全会一致で衆院を通過しました(12日)。候補者、政党、有権者など「全ての者」が選挙期間中にウェブサイトを更新するなどして投票を呼びかけることが可能になる一方、電子メールの活用は政党と候補者に限定されます。そのポイントについて、衆院政治倫理・選挙制度特別委員会で審議に参加し、各党協議に加わってきた日本共産党の佐々木憲昭議員に聞きました。

 日本共産党は、有権者個人が選挙運動でインターネットを利用できるよう求めてきました。これは、国民・有権者が主体的に選挙にかかわる機会を増やし、民主主義を発展させるうえで大事なことです。

広がる双方向性

 私も、ホームページやメールマガジン、ユーチューブに加え、ツイッターやフェイスブックを活用しています。国会質問の後などに一気に何千ものアクセスがあり、反響に驚いています。

 ネット選挙運動の解禁で、双方向性がさらに高まり、国民参加型の選挙・政治が発展していく可能性が生まれています。

 これまでは、選挙期間に入ると、政党、候補者のウェブの更新さえできませんでした。この法案が成立すれば、選挙期間中でもウェブ更新が可能になります。有権者の関心に応じた質問に政党、候補者が積極的に回答したり、ネット上で政党・候補者討論会が自由にできるようになります。政策を知ってもらう機会が格段に増えるのです。

共産党の修正案

 国会審議で重視したのは、「主役は一人ひとりの有権者」という点です。ほかの党の提案は、主権者でもなく選挙権もない企業まで解禁の対象を広げる内容を含んでいました。しかし、企業が組織力と資金力にモノを言わせて選挙運動をやったら、国民の基本的権利を侵しかねません。

 憲法が規定している「選挙権を持つ者」はだれかと聞くと、解禁の対象は「自然人である国民」で、企業は含まれない─。この点は提案者の自民党議員、民主党議員も認めざるを得ませんでした。

 自民、公明、維新の3党案、民主、みんなの2党案の二つの法案が審議されました。

 自公維案は、ホームページ、簡易投稿サイト「ツイッター」や会員制交流サイト「フェイスブック」などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を含め、ウェブ利用の選挙運動を候補者、政党とともに、それ以外の「第三者」=「全ての者」に解禁するものです。メール利用は「第三者」に解禁しないとなっています。

 有権者個人に対してウェブ利用もメール利用も認めるべきだというのが共産党の提案ですが、問題点を指摘しながらも、ネット選挙運動解禁の大きな方向を評価して、自公維案に賛成しました。

 採決にあたり共産党は、

▽ネット選挙運動を政党、候補者、有権者個人に限定解禁
▽メール送信先の規制緩和
▽ネット以外の選挙運動も自由化の検討─との修正案を提出しましたが、可決されませんでした。

 一方、民主・みんな案は、メール利用について企業を含む「第三者」にも認めるという内容でした。「衆人環視」が働きやすいウェブとは違い、メールは密室性が高く、受け手の受信意思とは関係なく送ることもできます。これでは大量の顧客リストなどを保有している企業が一方的にメールを送信することも可能になるため、賛成しませんでした。

 国民への周知徹底が今後の検討課題です。ガイドラインの策定や参院の審議でも利用しやすくしていく必要があります。

 周知徹底に必要な選挙啓発費などは民主党政権時代の「事業仕分け」で大きく削られました。これらの予算確保も必要です。

公選法の改正を

 ネット上では自由になる一方で、有権者に直接訴える「現実世界の選挙」は旧来通り、厳しく規制されています。

 例えば、誰でもウェブ上で政策を読めるのに、それを印刷して配ったり、ファクスで送るのはダメ。ネット上の公開討論会はできるのに、人を集めて立会演説会をやってはダメ。こんな、ややこしい事態が生まれます。

 日本の選挙制度は「世界の非常識」。戸別訪問やビラ配布に至るまで厳しく規制している公職選挙法の抜本的な改正が必要です。選挙運動のネット利用を機会に、「選挙は本来、自由であるべきだ」という主張を広げていきたいですね。

しんぶん赤旗・日曜版2013.4.21

 まったくだ。「公選法 (公職選挙法)」を読んで、選挙期間中に「できる」事を言える人は、相当「おぬしやるなぁ」だろうか。

 公選法は「できることを探すのが大変」な「禁止」のオンパレードな法律なのだ。

 だから、共産党のいうように、「公職選挙法の抜本的な改正が必要」だと日頃から感じてる。

 どこかで書いたように思うのだが、「よし子さん(「寅さん」の妻)」が、アメリカかカナダに滞在したおり、ホームステイのママが選挙に熱中してた。(地方議員の選挙があった)

 で、何をしてるのか、ママに聞いた。日本の公選法で禁止の「個別訪問」を連日行ってる。選挙期間中、もう軒並みの訪問だ。政策ビラを袋に詰めて。

 「よし子さん」は、それって「選挙違反にならないの?」と「素朴な」質問をした。返ってきた答えがふるってる。

 「はなしをしないで、候補者の政策をどう分かってもらうの?」

 いたって当然の答えが返ってきた。

 ところが「いたって当然」の事ができないのが、日本の公選法なのだ。ビラ一枚で監獄行きということになりかねない。

 そら恐ろしい法律が公選法だ。(「寅さん」のブログ→民主主義の危機

 「選挙は本来、自由であるべきだ」という共産党の主張は、ひとり共産党だけの問題ではない。国民の自由の問題、民主主義の根本問題なのだ。

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 追加:2013.4.25

 またまた出てきた。選挙「ネット『犯罪』」取締本部。

 この国は、どうも「選挙=悪」という図式があるようだ。

 「ネット上で誹謗中傷」するのを「監視する」というのだ。

 「誹謗中傷」は、どこであれ悪い。共産党は選挙の度に「誹謗中傷」されてきた、と言ってもそう間違いでないだろう。

 「寅さん」は、ネット上で起こるかもしれない「誹謗中傷」は、もちろん反対だ。

 しかし、今重要なのは、「取締」でなく、「どのようにしてネット上の選挙」を普及させるかでないだろうか?

 「寅さん」は、ネットで何ができるのか教えてほしいのだ。

 それをしないで、「取締」のみ先行するのは、「ビラ一枚、公選法違反で監獄行き」式の二の舞になりはしないか。

 公選法を抜本的に改正し、選挙が「暗闇」でなく、「賑やかで明るい」選挙が白昼堂々と行われることを要求したい。

2013/03/16

安倍首相のTPP交渉参加表明に強く抗議し、撤回を求める/日本共産党幹部会委員長 志位 和夫

安倍首相のTPP交渉参加表明に強く抗議し、撤回を求める/日本共産党幹部会委員長 志位 和夫

一、本日、安倍首相は、TPP交渉参加を表明した。安倍首相は、交渉のなかで「守るべきは守る」などとしているが、いったん参加したら「守るべきものが守れない」のがTPP交渉である。

 日本共産党は、安倍政権にたいし、TPP交渉参加表明を行ったことに抗議するとともに、参加表明の撤回を、強く求めるものである。

 一、TPP交渉で、「守るべきものが守れない」ことは、さきの日米首脳会談と共同声明からも明らかである。

 安倍首相は、日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」というが、これは国民を欺く偽りである。

 首脳会談で発表された共同声明では、「TPPのアウトライン」に示された「高い水準の協定を達成」する――関税と非関税障壁の撤廃を原則とし、これまで「聖域」とされてきたコメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産物などの農林水産品についても関税撤廃の対象とする協定を達成することを明記している。「聖域なき関税撤廃」をアメリカに誓約してきたのが日米首脳会談の真相である。

 国民皆保険、食の安全、ISD条項など、自民党が総選挙で掲げた「関税」以外の5項目についても、安倍首相は一方的に説明しただけで、米側から何の保証も得ていない。TPPに参加すれば、非関税障壁の問題でも、アメリカのルールをそのまま日本に押し付けられることになることは、明らかである。

 一、さらにTPP交渉では、新規参入国には対等な交渉権が保障されず、「守るべきものを守る」交渉の余地さえ奪われている。

 昨年、新たにTPPに参加したカナダ、メキシコは、

(1)「現行の交渉参加9カ国がすでに合意した条文はすべて受け入れる」、

(2)「将来、ある交渉分野について現行9カ国が合意した場合、拒否権を有さず、その合意に従う」、

(3)「交渉を打ち切る権利は9カ国にあって、遅れて交渉入りした国には認められない」――という三つのきわめて不利な条件を承諾したうえで、参加を認められたと伝えられている。日本政府も、この事実を否定できず、安倍首相は、「(交渉参加条件は)判然としない」「ぼやっとしている」と、真相をごまかす答弁をおこなっている。

 「ルールづくりに参加する」どころか、アメリカなど9カ国で「合意」したことの「丸のみ」を迫られるのがTPP交渉である。

 一、今回の交渉参加表明は、自民党の総選挙公約――「聖域なき関税撤廃を前提とするTPP交渉に反対する」「関税以外の5項目でも国益を守る」――を、ことごとく踏みにじるものである。国民への公約を踏み破るものがどういう運命をたどるかは、前政権が示していることを、自民党は銘記すべきである。

 日本共産党は、農林水産業、医療、雇用、食の安全など、日本経済を土台から壊し、経済主権をアメリカに売り渡すTPPの実態を国民に広く知らせ、TPP参加反対の一点で国民的共同を広げるために、力を尽くす決意である。

しんぶん赤旗2013.3.16

 「寅さん」のブログ→TPP

  自民党の「あの選挙」はなんだったのか!!

 これ!

 

2013/03/09

論戦ハイライト 賃上げと安定雇用の拡大を TPP参加は亡国への道衆院予算委 笠井議員の基本的質疑

論戦ハイライト 賃上げと安定雇用の拡大を TPP参加は亡国への道衆院予算委 笠井議員の基本的質疑

8日の衆院予算委員会で基本的質疑に立った日本共産党の笠井亮議員 。デフレ不況打開へ積極的な賃上げを提起し、環太平洋連携協定(TPP)をめぐっては、交渉参加の危険性を示し、参加を断念するよう迫りました。

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笠井 「内部留保活用へ本腰の要請を」麻生副総理 「賃金に回ると経済が活気づく」

笠井氏は、2月8日の基本的質疑で「デフレ不況打開のカギは賃上げ 」だとして政府が役割を果たすよう求めたことを受けて安倍晋三首相が同月12日、経団連など財界3団体の首脳に報酬引き上げを要請したことから切り出しました。

 笠井 総理、経済界の回答はどうだったのか。

 首相 笠井委員のご指摘もあり、政権の意思もあって経済団体に申し入れた。収益が上がっている企業から賃上げ、あるいは一時金について対応していきたいという回答だった。

 笠井氏は、「個々にであっても踏み出したことはいいことだ 」と述べつつ、大方は一時金の引き上げにとどまっていること、経団連の米倉弘昌会長が「景気回復が本格的になれば、給料、雇用の増大につながる」と述べたことをあげて、「事実上の賃上げゼロ回答ではないか」と指摘。大企業の内部留保のごく一部を取り崩すだけで月1万円の賃上げが可能なことを示して迫りました(別表)。

 笠井 賃上げによって内需を活発にすることこそ余剰資金をいかせる道ではないか。労働者にも企業にとっても、国民全体にも、こんなにいいことはない。

 麻生太郎副総理 共産党と自民党が一緒になって賃上げを、というのはたぶん歴史始まって以来ではないか。内部留保が賃金に回ると、そこから消費に回る。GDP(国内総生産)に占める個人消費の比率は極めて高い。短期的にも一時金で内部留保が賃金に回ることは日本の経済が活気づくためにも重要な要素の一つだ。

 笠井 内部留保 のほんの一部を一時金、基本給も含めて賃上げにあてれば日本経済の好循環の突破口になる。だからこそ今、本腰で要請すべきだ。

笠井 「非正規の時給引き上げを」

首相 「正規、非正規の関係なく(賃上げを)呼びかけたい」

 「全く光があたっていないのが非正規労働者だ」―。笠井氏はこう述べ、大企業が非正規雇用労働者を増やして内部留保をため込んでいる実態(グラフ)を追及しました。

 10年間で非正規雇用労働者は400万人増え、勤労者の平均給与年額は32万円も減る一方、大企業の内部留保は260兆円へと100兆円も増加しています。

 笠井氏は「これが『賃下げ社会』の大きな原因だ」と述べ、「歴代自民党政権が進めてきた労働法制の規制緩和の結果であり、反省はないのか」と追及。田村憲久厚労相は「(非正規が)景気が悪い時も失業率が欧米のように上がらない緩衝材だったことは確かだ」と述べ、規制緩和への無反省ぶりを示しました。

 笠井氏は、ローソンが一時金を引き上げするものの傘下コンビニ店からは「上がるのは本社社員だけ」との声が寄せられていると紹介。「非正規労働者の時給を100円上げよう」という要求が全国で高まっていると強調しました。

 笠井 安倍内閣の賃上げ対策に非正規労働者は入っているのか。

 首相 正規・非正規関係なく、(賃上げの)呼びかけは行っていきたい。

 笠井氏は、政府が賃上げを目指す一方、産業競争力会議では「正社員を解雇しやすく」と規制緩和を議論していると批判。「今こそ非正規労働者の時給も引き上げ、正社員化の流れをつくり、安心して働ける政策を実行すべきだ」と求めました。

笠井 「新規参加国は不利な条件を押し付けられる」

首相 「ぼやっとしている」と答えられず

 笠井氏は、安倍首相が来週にもTPP交渉 への参加表明をしようとしていることに、JAや医師会など全国各地・各分野から怒りの声が上がっていると指摘しました。

 笠井 「聖域」がなくなるとどういう事態になるから交渉参加に反対なのか。

 首相 農業には産業という面だけではなく、環境や地域や文化や人々を守る機能を持っている。これが守られなかったら、こういうものを失ってしまう。

 笠井氏は「『交渉次第だ』というが、『聖域』が必ず守られると保証されるのか」と指摘。カナダ、メキシコが先行9カ国と「極秘念書」を交わし、不利な条件を承諾したとして、昨年6月に交渉参加を認められた問題を取り上げました。

 「極秘念書」は「現行の交渉参加9カ国がすでに合意した条文は全て受け入れ、9カ国が合意しない限り、再協議は行わない」「将来、ある交渉分野について現行9カ国が合意した場合、(新規参加国は)拒否権を有さず、その合意に従わないといけない」「交渉を打ち切る権利は9カ国にあり、遅れて交渉入りした国には拒否権は認められない」――というものです。

 笠井氏がそのような交渉参加の条件はあったのかとただすと、岸田文雄外相は「わが国には提示されていない」と答弁。笠井氏は次のように迫りました。

 笠井 「守るべきものは守る」というが、さきほどのような条件がついたら、それはできない。情報はつかんでいるのか。

 首相 取っている情報もあるが、輪郭がボヤっとしているもの、まだ判然としていないものがある。

 笠井氏は、「入ってみたら大変なことだったら、それこそ責任問題になる。そんな状況で参加できるはずがない」と強調しました。

 安倍首相は「交渉参加の判断を検討しているので、すぐ締結ではない」と答えるのが精いっぱいでした。

笠井 「ぼやっとした状態で交渉参加できるはずがない」

首相 「守るものは守る」とごまかす

 笠井氏は、昨年3月1日付の政府の文書で「新規交渉参加国に求める共通の条件」として、「包括的で質の高い協定への約束」「合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さないこと」「交渉の進展を遅らせないこと」の3点が明記されていると指摘し、こう追及しました。

 笠井 昨年3月の時点で(条件を)把握していたのではないか。

 外相 交渉参加の条件として(参加)9カ国が合意したものではない。

 笠井氏は、9カ国のうち1カ国でもこの条件を持ち出せばそれが日本の参加条件になると述べ、政府のごまかしを批判。政府文書発表の3カ月後にメキシコ、カナダの参加が認められたが、新規参加の条件は明らかにされていないと追及しました。

 笠井 そういう条件を書いたレター(念書)が存在することも確認していないのか。

 外相 情報収集に努力している。

 笠井氏は、交渉参加したとたん、関税・非関税措置の撤廃を約束させられ、不利な手かせ足かせまではめられると指摘。「こんな誓約をさせられたら、『聖域』は『架空の聖域』となってしまう」と批判しました。

 笠井 判然としない状況で参加表明などできるはずがない。やめるべきだ。

 首相 参加すると判断すれば、守るべきものは守る姿勢で交渉していく。

 笠井氏は、首相が野党時代、TPPについて「情報公開がほとんどない」などと政権与党を批判していたことをあげ、「この批判は安倍首相にそのまま返ってくる。拙速に結論を出そうとするやり方は許されない」と強調しました。(しんぶん赤旗2013.3.9

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2013/03/04

TPP 国の形変える/NHK討論 市田書記局長、交渉参加に反対

TPP 国の形変える/NHK討論 市田書記局長、交渉参加に反対

 日本共産党の市田忠義書記局長は3日、NHK「日曜討論」で、焦点となっている環太平洋連携協定(TPP)交渉参加について「TPPは、農業だけでなく食の安全や医療などの問題を含め国の形を変えてしまう」と述べ、TPPには「反対だ」と主張しました。

 自民党の石破茂幹事長はTPPに関する日米共同声明(2月22日)に触れ、「総理がオバマ大統領との会談で、一方的に関税の撤廃を約束させられるものではないときちんと文書にしている」と述べました。

 市田氏は「共同声明をよく読むと、すべての物品を交渉対象にするということが確認され、2011年のTPP首脳の共同声明にもとづいて『包括的に高い水準の協定締結』のために合意したということだ」と石破氏の説明を批判。国会の予算委員会の質疑でも首相自身が、交渉から重要品目を例外扱いするということを共同声明が認めたわけでないと答弁していると指摘しました。

 その上で市田氏は「わが党は自由貿易一般に反対しているわけではない。しかし、経済主権や自国の食料は自国で守っていくという食料主権は国連でも決議され、世界の流れになっている」と強調し、共同声明をもって交渉参加に前のめりになっている首相の姿勢を批判しました。

 番組では選挙制度改革も議論となり、石破氏は今月半ばにも自公案を民主党に提示すると明言。市田氏は「小選挙区制の害悪が明らかになった。もっと国民の意思が反映される選挙制度にしていくことを土台に各党が協議することが大事だ。民意を切り捨てる比例定数削減などはもってのほかだ」と語りました。

(詳報)(以下のとおり)

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補正予算成立の受け止め

デフレ不況打開の要、賃上げ対策が何もない

 番組ではまず、参院で1票差で可決された2012年度補正予算や、民主党などが提出し否決された修正案が議論になりました。

 市田 (私たちは)補正予算そのものに反対しましたし、野党の共同の修正案にも反対しました。理由は、ムダな公共事業で借金の山をつくった公共事業頼みだという点が一つです。それから、景気対策と何も関係ないミサイル購入が含まれています。修正案も、この点にはまったく触れないものだったので賛成しませんでした。

 補正予算には、デフレ不況の一番の原因である、働く人の収入が減り続けている問題への具体的な対策が何もない。わが党の追及などで、(安倍首相が)産業界に報酬引き上げを要請に行かれましたが、事実上のゼロ回答(です)。もっと本腰をいれて、例えば内部留保の一部、1%回すだけで大企業の8割は1万円の賃上げ可能なので、そういうところにもっと力いれる。政府自身が、賃金が減り続けている大きな原因は、雇用破壊―正社員が非正社員におきかえられたことが大きな原因とおっしゃっているわけで、やっぱり派遣や請負とか非正規雇用を規制して、正社員が当たり前の雇用ルールにきりかえていく。世界でも最低水準の最低賃金を引き上げる。こういうやり方で今の不況を打開していく。そういう内容で、補正予算と本予算も含めて一体のものとしてきちんとやっていく必要があります。

日銀総裁人事

聴聞会で金融緩和・2%物価目標への態度をただす

 政府が日本銀行総裁に黒田東彦氏を起用するなどの人事案を示したことについて、市田氏は次のように発言しました。

 市田 この問題を考える上での基本的な立場は、日銀の人事を政治のかけひきに使ったり、財務省出身か民間かという中身ぬきの形式論でなく、日銀の任務を担うのにふさわしい人物かどうかということで判断すべきだと考えています。その上に立って、聴聞会で、日銀総裁や副総裁にふさわしい人物かどうかを徹底してただしていきたいと思います。特に無制限な金融緩和、2%の物価上昇目標、この問題についての基本的な態度をただしていきたいと思います。今でも借り手がなくてお金がだぶついている時に、金融緩和をやれば投機資金に回り、すでに輸入食料品やガソリン、灯油は値上がりしているわけです。そのうえ消費税増税になれば、物価はまた上がるわけで、そういう問題にどういう態度をとるかをきちんとただしたうえで、判断していきたいと思っています。

 他の野党の多くも、十分な聴聞時間の確保を求めました。

TPP交渉参加問題

農業・食の安全、医療、国の形を変えてしまう

 安倍晋三首相がTPP交渉参加に踏み出そうとしていることについて、自民党の石破茂幹事長は、「総理とオバマ大統領との会談で、一方的に関税の撤廃を約束させられるものではないと、きちんと文書にしている」と正当化。みんなの党の江田憲司幹事長は、「決断された以上は(早く)表明され、早期に参加していただきたい」と後押ししました。

 市田 「聖域なき関税撤廃が前提ではない」と確認されたからということで交渉参加に前のめりになっておられるわけですが、共同声明をよく読みますと、全ての物品を対象にするということが確認されたということと、すでに交渉参加している9カ国の首脳が2011年に発表した共同声明では、関税だけではなく貿易や投資のじゃまになる非関税障壁の撤廃も大原則とすると(書いてある)。この大原則をふまえ、包括的に高い水準の協定を締結するということを日米合意したわけです。しかも、予算委員会などの質疑で、総理自身が、例外は何かという担保はない、重要品目を例外扱いするということを認めたわけではないと答えています。わが党も、自由貿易一般を反対しているわけではない。しかし、経済主権とか、自国の食料は自国でまかなっていくという食料主権(の原則)は国連でも決議されている世界の流れになっているわけで、(農業とともに)食の安全や医療など、そういう問題も含めて、国の形を変えてしまう。こういうやり方には反対です。

選挙制度改革

国民の意思を反映する制度に 比例削減もってのほか

 選挙制度改革が議論となり、民主党の細野豪志幹事長や維新の松野頼久国会議員団幹事長らが“消費税増税で負担を国民にお願いするから、国会議員が身を切るべきだ。定数削減は当然だ”と主張。自民党の石破氏は今月半ばに自公案を提示すると述べ、細野氏は「お待ちしている」と応じました。公明党の井上義久幹事長は「これまで小選挙区(制)をずっとやってきたが、もう少し民意が的確に反映する制度にすべきじゃないかという世論がある」「(民自公の3党合意は)3党で案を作って各党に押しつける合意ではない」と述べました。

 市田 消費税の増税で国民に負担をお願いするのだから国会議員がまず身を切るべきだ、そのため定数削減を、という議論はおかしい。定数削減、とりわけ比例定数削減は、身を切るのではなくて民意を切り捨てることになる。身を切るというのなら政党助成金こそ返上すべきだ。これは法律を決めなくても(その気になれば)すぐにでもできる。各党にぜひこの点について態度表明をしてもらいたい。総選挙で多くの有権者が一致しているのは、小選挙区制の下で4割の得票率で8割の議席を自民党が独占した問題だ。公明党の井上さんも小選挙区制は問題があるとおっしゃった。多くの政治評論家も同じことを言っている。もっと国民の意思が反映される選挙制度にしていくことを土台に各党が協議をすることが大事だ。そのときに民意を切り捨てる比例定数削減など、もってのほかだ。

13年度予算案審議

対決軸と対案を示し堂々と論戦

 最後に2013年度予算案の審議に各党がどう臨むかが議論となりました。自民党の石破氏は「できれば連休前に成立を」と求めました。

 市田 東日本大震災から2年を迎えるが、いまだに仮設住宅にさえ入れない人がいる。被災者に寄り添った生活と生業(なりわい)の再建、そのために力をつくす。暮らしと平和を壊す安倍内閣のさまざまな諸政策、原発再稼働、憲法改悪、(沖縄県)辺野古への新基地建設、消費税増税などに真正面から立ち向かっていきたい。TPPや消費税などで野党といいながら自公の補完勢力になっている党もある。その中で対決軸を示しながら、対案も示して堂々と論戦に挑んでいきたい。(しんぶん赤旗2013.3.4)

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TPP これが自民党全議員の衆院選公約だ(しんぶん赤旗2013.3.4)

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TPP交渉参加 国会論戦で公約違反・危険性浮き彫り/重要品目守られる保証なし 共産党追及で明らかに(しんぶん赤旗2013.3.4)

TPP あすの「官邸前アクション」成功を/国会前座り込みで参加呼びかけ(しんぶん赤旗2013.3.4)

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しんぶん赤旗→TPP関連

2013/02/28

交渉参加は公約違反/TPP「聖域」の保証なし/井上議員 首相のごまかし追及

日本共産党の井上哲士議員は27日の参院予算委員会で、日米首脳会談を受けて環太平洋連携協定(TPP)に関する自民党の選挙公約が守られるとする安倍晋三首相の論拠を突き崩し、交渉参加は公約違反だと追及しました。

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2013022801_01_1b井上氏は、日米共同声明には「すべての物品が交渉の対象になる」と明記され、交渉参加国による「TPPのアウトライン(輪郭)」で示された「包括的で高い水準の協定を達成」することも確認されているとして、「関税と非関税障壁の撤廃」というTPPの大原則は何も変わっていないと強調しました。岸田文雄外相は「TPPの輪郭、内容が変更されたとは承知していない」と認めました。

 井上氏は、「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」という共同声明の文言も、「交渉の場で例外を主張することを妨げないという程度のもの」と指摘。「交渉の結果、関税撤廃の聖域が認められる保証は何もない」と追及しました。

安倍晋三首相は「最終的な結果は交渉の中で決まっていく」などとしか答えられず、重要品目が例外として守られる保証が何もないことが明らかとなりました。

 井上氏は、TPP交渉にはすべての加盟国の承認が必要であり、ニュージーランドは例外措置を認めていないと指摘。2国間だけで会談して「聖域なき関税撤廃」でないことが明確になったなどというのは、国民を欺くものだと批判しました。

 さらに、井上氏は自民党のTPP公約は「食の安全安心の基準を守る」「国民皆保険制度を守る」など6項目があるにもかかわらず、共同声明では触れられていないとして、「6項目の公約をほごにするつもりか」とただしました。

 安倍首相は「首脳会談で(1項目だけでなく)5項目についても話した」というだけ。井上氏は、農水相が「6項目の公約に反することがあれば交渉に入っていくのは難しい」と国会で答弁していることを指摘。先の総選挙で自民党候補が山形県米沢市内で「TPP断固反対。」「ブレない。」とのポスターまで張り出していることを示し、6項目の公約を守れば交渉参加はありえないとのべ、「TPPへの参加は、日本の経済主権を奪い、農業食の安全、医療も経済も根こそぎ壊す」と強調しました。

しんぶん赤旗2013.2.28

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TPP/公的医療が揺らぐ/日本医師会会長が表明

日本医師会の横倉義武会長は27日、安倍晋三首相とオバマ大統領との日米共同声明を受け、「TPP(環太平洋連携協定)交渉参加判断に対する意見」を発表しました。「TPP交渉参加によって、公的医療保険制度が揺るがされることを懸念」するとし、「日本の国益に反する形でのTPP交渉参加には反対」と表明しました。

TPP公約/共同声明に5項目入らず/参院予算委 安倍首相認める

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 日本医師会は、TPPの対象として仮に公的医療保険そのものが俎上(そじょう)にのらなくても、(1)知的財産分野における薬価や医療技術など(2)金融サービスにおける私的医療保険の拡大(3)投資分野における株式会社の参入―の三つが対象になれば、「国民皆保険の崩壊につながる」と指摘。国民皆保険を守るためには、(1)公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること(2)保険外診療の拡大につながる「混合診療」を全面解禁しないこと(3)営利企業を医療機関経営に参入させないこと―が必要だと強調しています。

 会見で横倉会長は「国民医療を守る上で、(TPPに)参加することでどういう影響があるか、しっかりと見ていかないといけない」と語りました。

しんぶん赤旗2013.2.28

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2013/02/26

賃上げ政策本腰を、共産党がアピール 政府要請

 「政府として本腰入れて賃上げ政策を」━。日本共産党の志位和夫委員長が19日、国会内で、賃上げ促進策にとりくむよう菅義偉(すが・よしひで)官房長官に要請しました。党が発表(14日)した「働くみなさんへのアピール賃上げと安定した雇用の拡大で、暮らしと経済を立て直そう」にもとづく、政界・経済界・労働界への働きかけの第1弾です。

 志位氏は二つのとりくみを提起しました。一つは、賃上げも定期昇給も拒否する経済界への、本腰を入れた要請です。「政府が企業の社会的責任として正面から賃上げを要請すべきだ」と求めました。

 もう一つは、政府として、非正規社員の正社員化など、アピールで提起している「賃上げ促進政策」をワンパッケージ(一括)で、実行することです。

 菅氏は「総理に伝えます」と答えました。

 アピールは、大企業がためこんでいる内部留保(18・19面にくわしい説明)の一%程度を使うだけで、大きな賃上げができることを示しました(別表)。いまこの主張に、経済専門家などから立場を超えた注目と賛同が━。(6面につづく。7面にアピール要旨)

(別表)

Naibu_ryuho
(→pdfファイル

1面のつづき

共産党提案 内部留保1%で大企業賃上げ1万円

 「今日、笠井議員の要請通り、賃上げを要請しましたから」

 12日の衆院予算委員会の合間に、安倍晋三首相が日本共産党の笠井亮議員にこう話しかけてきました。4日前の同委員会での笠井氏の質問。"内部留保の1%を取り崩すだけで、月1万円以上の賃上げができる大企業が8割もある"と、主張して、首相も「経営者に賃上げ、一時金での協力を要請する」と答弁していました。その「報告」です。

 「読売」15日付夕刊は「賃上げ春闘追い風首相異例の要請」と報道しました。みんなの党の議員も笠井氏に「共産党が安倍内閣を最初に動かした」と語りました。

 しかし、これからが本番です。

 首相が要請したのは、毎月の給与ではなく、一時金などの報酬。しかも、"お願い"しただけでした。志位和夫委員長が19日、政府に求めたように、政府としての本腰を入れた賃上げ促進策こそが必要です。

  日本共産党の主張に対する関心は、メディアでも広がっています。

 1月30日放送のテレビ朝日系「モーニングバード!」ではコメンテーターの萩谷(はぎたに)願氏(ジャーナリスト)が、内部留保の活用についての日本共産党の主張を紹介しました。(別掲)

 昨年末のフジテレビ系「新報道2001」では、麻生太郎財務相が首相だった時の笠井氏との質疑の模様を流し、内部留保の活用を特集しました。

 企業の内部留保のためこみすぎがデフレ不況の元凶だという見方は立場を超えて広がっています。

 英紙フィナンシャル・タイムズは「(日本経済の病の)根本的な原因は何か? 『過剰な民間貯蓄』がその答えだ。より正確には・・・内部留保が巨額に上る構造的な資金余剰だ。・・・企業の資金余剰は、減らさなければならない。むしろ、国民に所得を享受させた方がいい」(2月6日付)と指摘しました。

 富士通総研の根津利三郎氏は、ズバリ内部留保を賃上げに回せと主張します。

 「日本のGDP(国内総生産)473兆円のうち賃金は52%の245兆円である。仮にこれを4%引き上げるとすれば、10兆円必要になる。他方、企業が保有している現金・預金は215兆円(民間非金融法人企業、日銀の資金循環統計)だ。米国と比較しても、この数字は異常に大きい。・・・仮に10兆円賃金に回したとしても・・・企業経営にまったく影響しないはずだ」(富士通総研ホームページの1月30日付コラム)

共産党がずっと着目してきた(別掲部分)

 ジャーナリストの萩谷(はぎたに)順氏

 「実は内部留保に着目をずっとしてきたのは共産党なんですよ。共産党の主張と麻生(太郎)さん(=財務相)の言っていることがほぼ似てきてしまったというのは、非常に面白い現象でね」「内部留保をもっている大企業はまず一歩先に出てほしい。政府と大企業の役割・任務というのは非常に大きな時代になってきた」(1月30日放送のテレビ朝日系「モーニングバード!」)

人件費圧縮で市場も縮小する

小島明・日本経済研究センター参与、元「日経」論説主幹

 「(内部留保の急増は)主として人件費を圧縮して利益を出し、生まれた利益を研究開発など積極的な投資に使わない消極経営の実態を露呈するもの・・・。人件費圧縮は消費需要の源泉である家計所得を縮小させるわけで企業がみずから市場を縮小させていることになる。これでは需要の面からもデフレは止まらない」(同センターホームページの1月16日付コラム)

つづく:

賃上げ・雇用アピール

 日本共産党が14日に発表した「働くみなさんへのアピール賃上げと安定した雇用の拡大で、暮らしと経済を立て直そう」の要旨を紹介します。(→アピール全文

世界でも異常な賃下げと雇用不安

 働く人の賃金の低下と労働条件の悪化に歯止めがかかりません。働く人の年収は14年間で平均約70万円も下がりました。非正規雇用は労働者の3人に1人。年収200万円未満の労働者が1千万人を超えました。

 こうした日本の現状は、世界の流れから見ても異常です。

賃金が長期にわたって、連続的に減り続けている━こんな国は先進国の中でも日本だけ

 日本は、1997年からの14年間に、働く人の所得(雇用者報酬)が88
%に減少しました。同時期に、欧米諸国では、アメリカ=178%、イギリス=190%、フランス=163%、ドイツ=129%となっています。(グラフ①)

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最低賃金は先進国で最低水準

日本の最低賃金は、全国平均時給749円にすぎません。フランス1084円、イギリス928円、オランダ1021円、アメリカ753円(2012年OECD購買力平価)など、先進国で最低水準です。

非正規雇用の急増も日本の異常さの表れ

 日本の非正規雇用は、1980年代から1990年代の前半までは労働者全体の1~2割程度でした。いまや35・5%までになっています。ドイツ14・5%、フランス13・5%、イギリス5・7%とくらべて異常な多さです。

無法な解雇が横行

 10回にもおよぶ「面談」で「退職強要」、終業間際に突然解雇通告して会社から追い出す「ロックアウト解雇」・・・。こんな無法がまかり通っているのは日本だけです。

 今年の春闘で全国労働組合総連合(全労連)は「月額1万円以上の賃上げ」、日本労働組合総連合会(連合)は「1%の賃上げ」を要求しています。日本共産党はこの要求を強く支持するとともに、その実現のためにたたかいます。

働く人の所得増やしデフレ不況打開へ

賃下げ、非正規拡大がデフレ不況の悪循環をつくりだす

 1997年度比で、日本企業全体の経常利益は1・6倍に増えました。他方、働く人の所得(雇用者報酬)は9割以下に減少(グラフ③)

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 その結果、国内需要が減り、デフレ不況の悪循環に陥っています。働く人間の「使い捨て」は産業の競争力さえも脅かしています。

 「優秀な若い人は展望が開けず辞めてゆく。技術者がたくさんサムスン電子に移っていった」━パナソニックの元幹部の話です。

内部留保の一部を賃金と雇用に還元する━経済の好循環をつくる突破口

 働く人の所得を増やす方向に転じるカギは、巨額の内部留保を、社員の給与として、それぞれの企業が使う方向に動き出すことです。

 500億円以上の内部留保をもっている約700の大企業グループについてみると、1%程度を取り崩せば、8割の企業で月額1万円の賃上げが実施でき、月額5000円以上であれば9割以上の企業で可能です。

 大企業の下請け・納入単価の強引な切り下げが、中小企業での賃下げにつながっています。乱暴な「単価たたき」をやめ、適正な単価にする、そのためにも各企業が内部留保を活用するべきです。

 大企業の内部留保は、この10年間で100兆円も積み増しされ、260兆円にも達しています(グラフ④)。

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 日本経済全体として企業内部に滞留する余剰資金が増え続けることは正常ではありません。少なくないエコノミストや企業経営者からも「企業内部の余剰資金を動かすべきだ」と指摘されています。

 賃上げと安定した雇用拡大によって内需を活発にすることこそ、余剰資金を生かせる道であり、そのほんの一部をあてれば日本経済の好循環を作り出す突破口になります。

 日本共産党は、大企業の経営がどうなってもいいという立場ではありません。日本経済への巨大な影響力にふさわしく社会的責任を果たす必要があると考えているのです。

「企業まかせ」をやめて政府が責任果たすとき

 安倍政権には、2%のインフレ目標はあっても、賃上げ目標はありま
せん。日本共産党は、政府として、賃金を上げる目標をしっかりもち、次のような賃上げ政策をすすめることを求めます。

▽財界の「賃下げ・デフレ不況加速」への間違った行動をただす

▽政府の責任で、違法・脱法の退職強要、解雇・雇い止めの根絶を

▽賃上げを促進する政策をすすめる

━非正規労働者の賃上げと労働条件を改善、正社員化を促進する

━中小企業への支援を行い、最低賃金の引き上げる」

━中小企業と大企業の公正な取引を実現する

━政府による賃下げ促進策を中止する(公務員賃金の引き下げ、生活保護基準の切り下げなど)

人間らしい暮らしを保障するルールをつくってこそ、本当に強い経済に

 日本は、雇用者報酬とともに、国内総生産(名目GDP)も1997年とくらべ、約9割に減りました。欧米諸国は雇用者報酬も、名目GDPも増えています(グラフ②)。日本経済の長期にわたる低迷・後退と所得減少の根底にあるのは、国民の暮らしを守るルールがないか、あっても弱い、「ルールなき資本主義」という問題です。

 「ルールある経済社会」へとすすんでこそ、経済を土台から強いものにしていくことができます。

労働者と国民の連帯の力で、暮らしと経済を立て直す国民的な共同を

 日本共産党は、働く人の所得を増やすという一致点で、労働組合やナショナルセンターの違いも、政治的立場の違いものりこえ、幅広い国民各層のなかで、対話と共同をすすめることをよびかけるとともに、その先頭にたって奮闘します。

しんぶん赤旗日曜版2013.2.24号

 

2013/02/24

内部留保って何だ!

毎日流れるニュースは分からない言葉もたくさんあります。「これってどういうこと?」と調べ好きの曜子さんとワカル君が一から調べる「ニュース探偵」のシリーズ第2回。今回は「『内部留保』って何?」です。

ワカル 夕刊に「従業員の給料は減り続けているのに、企業の内部留保はどんどん増えている」って書いてあった。でも「内部留保」ってよく分からないよね。

曜子 「内部」というから会社のなかに、ためこんでいるお金のことかしら。大金庫にでも隠しているのかな。調べてみようよ。

 そこで、曜子さんが思い出したのは以前見かけたテレビ番組。フジテレビ系の「新報道2001」(2012年12月23日放送)で、内部留保を解説していた駒澤大学の小栗崇資(おぐり・たかし)教授を訪問しました。

金庫のなかにあるの?

曜子 小栗先生、そもそも内部留保ってなんですか?

小栗教授 ひとことでいえば企業の内部にあるお金のことです。

曜子 金庫のなかにしまうんですか?

小栗 いやいや、金庫に札束を詰めるわけではありません。まず、分かりやすく説明するために、曜子さんが社長になったつもりで考えてみましょう。

曜子 私が社長に?

小栗 会社として製品を売って、お金を稼ぎますね。そこから賃金や、原材料費、下請け代金などの費用を払うでしょう。それだけじゃなく、税金や保険の企業負担分も払う。つまり必要な支払を全部やって、そのあとに残ったお金が純利益とよばれる利益です。

曜子 なるほど。純粋な利益ね。

小栗 その純利益から株主への配当を払って残った最終的な利益のことを利益剰余金(りえきじょうよきん)といいます。これが内部留保といわれるお金の代表例です。この額は企業の決算で公表されますので、"見える内部留保"という人もいます。

曜子 見えない内部留保もあるんですか?

小栗 はい。一番大きい内部留保は利益剰余金ですが、ほかに「引当金」「資本剰余金」()といわれるお金も利益の内部留保です。名目は違っても会社の実質的な利益だと考えてください。

「引当金」・・・将来の出費に備えるという理由で決算に組み入れる費目。実際は多くが取り崩されずに企業が自由に運用できる。

「資本剰余金」・・・株式市場で資本金を調達したとき、資本金に組み入れなかった部分。内部留保と同じと考えられる。

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何に使われてるの?

曜子 では、内部留保は、どこに回ってるんですか?

小栗 それはね、会社の資産を見れば分かります。おもな資産は大きく三つにわけられます。ひとつは現金や預金。次は株式、公社債などの有価証券、そして機械や土地・建物などの現物資産ですね。この10年の増減をみると内部留保は100兆円も増えたのに設備投資は1割も減っているんです。反対に株式や現金・預金が100兆円以上増えました。11年でいえば、現金・預金だけで44兆円もあるんです。

曜子 すごい! 内部留保はそういうところに多くとどまっているんだ。賃金も増やさず、設備投資もせず、ため込んでいるということなのね。前に大企業の経営者が「内部留保は生産設備に使われているから現金に換えられない」と言っていたのを聞いたけど、それはウソじゃない?

小栗 そうです。もちろんすぐ現金に換えられないものにも回っているけど、換金可能な部分がどんどん増えている。私の控えめな試算でも大企業は100兆円以上、国家予算規模の換金可能な資産を持っています。ほんの一部を使うだけで、労働者や中小企業のみなさんにもっと支払うことが可能です。

曜子 なるほど。

小栗 同じ10年で株主への配当金は2倍以上になり、経営者の報酬も増えました。株式投資も2倍以上に増えています。ところが、労働者の賃金は1割も減っていった。

労働者が一生懸命働き、下請け中小企業も頑張って生み出した価値が、株主と経営者、マネーゲームがまん延する金融市場に振り向けられてきたのです。

曜子 それはひどいわね。

小栗教授に詳しく話を聞いた曜子さん。さっそくワカル君に報告。

曜子 ━つまり、そういうことよ。

ワカル 大体分かったけど、内部留保はどうしたら活用できるのかな?

曜子 この間、ネット辞典を調べていたら、内部留保を労働者に還元しようと最初に主張したのは日本共産党だと書いてあったわ(ウエブ版「知恵蔵2013」)共産党に聞いてみよう。

共産党に聞いてみた

 曜子さんとワカル君は日本共産党本部へ。「働く皆さんへのアピール」を14日に志位和夫委員長といっしょに発表した山下芳生(やました・よしき)書記局長代行に話を聞きました。

曜子ワカル よろしくお願いします。

山下 はじめまして。内部留保の還元で大事なのは、まず、それぞれの企業が従業員の賃金として使うようにすることです。今回のアピールで試算したのですが、たとえばトヨタの場合、わずか0・2%の内部留保を取り崩すだけで全従業員に月1万円の賃上げができます。三菱UFJなら0・1%でできるんですよ。

ワカル たったそれだけで!

山下 そうです。いま多くの大企業がリストラ・賃下げに走って消費が冷え込み、デフレ不況が進行しています。それが企業経営を苦しくさせている。これは悪循環です。ほんの一部の内部留保を賃上げと雇用の安定に使って、家計を温めて内需を活発にすれば、悪循環を好循環に逆転させる道が開ける、と私たちは主張しています。

曜子 それが企業の社会的責任ってことかな。

山下 日本共産党の笠井亮議員が国会で質問したら、安倍首相は財界団体に要請すると答えました。でも12日の首相の要請は「業績が改善している企業は、報酬の引き上げを検討してほしい」と腰が引けていましたね。

曜子 正面から本腰を入れて訴えてほしいわ。

山下 政府は物価上昇2%という目標を持っているけど、「賃上げ目標」こそ持つべきです。私たちが発表したアピールでは、「企業まかせ」でなく、政治の責任を果たすときだ、と訴えています。賃上げを促進する政策を進めて、人間らしい暮らしと働き方を保障するルールをつくる。これで経済を土台から強くすることを提案しています。わたしたちは、このアピールを持って労働組合や経済団体、安倍首相にも働きかけていきますよ。

ワカル 私たちも応援します。

しんぶん赤旗日曜版2013.2.24

 上記の安倍首相が財界に言ったという「業績が改善している企業は、報酬の引き上げを検討してほしい」というのは、共産党の言ってることを十分理解していないと言わざるを得ない。

 共産党は「業績が伸び、景気がようなったから内部留保の還元を」と言ってるのではない。まったくその逆だ。業績を伸ばすためにも内部留保の社会への還元を言ってるのだ。

 共産党は今、資本主義の将来を心配してるのだ。このことが分からないようでは「腰が引ける」のも当然であろう。

 安倍首相への回答は、どの企業も「わしとこは業績が悪いから内部留保の労働者・下請け等への還元などできない」というだろう。

 本腰を入れよ! 政治の力を発揮せよ!

 日本の資本主義の未来を心配してるのは自民党か共産党かどちらだ!

 明らかに共産党こそ日本の未来を憂えている。

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 「寅さん」の独り言。

 自民党は物価上昇2%を目標にした。年金が上がらない(年々下がってる!)なら、消費を抑えねば生きていけない。

 「寅さん」は節電はあちこち書いてきた。おかげで今月は昨年同期の半分になった。

 洗濯は週一回にした。水は風呂の水を使う。もちろんすすぎは水道水だが。

 風呂は週2回。(「寅さん」はデイサービスでもう1回ある)

 朝食は、よし子さん(「寅さん」の妻)はトースト1枚と自家製のマーマレード。夜は、よし子さんは「はったい粉(麦こがし)」と豆乳。「寅さん」は昼食の残り物。

 昼食は玄米とみそ汁・焼き魚など1品と酢のもの。

 年金受給(偶数月)日の翌日は100円の回転寿司とちょっと贅沢をする。

 アベノミクスなどと言われたが、踊ったのは実態経済を伴わないところで、やれ株価がどうのこうのと言われただけだ。

 共産党のいうように、庶民の懐が温かくならないと悪循環から抜け出せない。

 日本資本主義の将来を危ぶんでるのが資本家ではなく共産党だ。

 そう「寅さん」は、この記事を読んでの感想だ。

2013/02/19

笠井氏 内部留保還元を/首相 「経営者に要請する」

  「驚いた。経済問題で麻生太郎副総理が共産党に一致するとは・・・」8日の衆院予算委員会の質疑を聞いていたマスコミ記者がいいました。景気回復について「働く人の所得増こそ」と、大企業の内部留保(注)の一部を還元するよう求めた日本共産党の笠井亮議員 の質問。"内部留保のためこみが問題"と、安倍晋三首相や麻生氏も認めざるを得なかったのです。田中倫夫記者

 安倍首相の経済政策、「アベノミクス」では、物価の2%上昇をめざしています。物価が上がれば、賃上げになる保証はあるのか?


Naiburyuho_6 笠井氏は、物価2%上昇で平均的サラリーマン世帯で年間10万円近い支出増となり、消費税増税でふんだりけったりだと指摘。大企業の内部留保
・経常利益などと、勤労者の平均給与年額を示したパネル(左図)を示しました。

 平均給与が最も高かった1997年と2011年を比べると、大企業の経常利益は1・6倍に増えているのに、平均給与は15%、年収で66万円も減っています。他方で内部留保は1・8倍、株主配当は2・8倍に急増しています。

 笠井議員 大企業は大幅に利益を増やしたのに働く人の所得を減らし、内部留保や株主配当に持って行った。そうではないのか。

安倍首相 (企業が内部留保を持ちたいという)マインドを変えるのがわれわれの政策。(12日には)企業関係者を集め、内部留保を賃金に使うことが企業の収益につながると協力を要請するつもりだ。

 麻生太郎副総理・財務相も、次のように答えました。「企業はじーっと内部留保をためこんでいる。この企業マインドが問題だ。企業が給料を上げる気になるかならないか、これからの大きな流れだ」

 安倍政権も、大企業が内部留保をため込み、賃金に回さないことが問題と認めざるを得ません。

経団連の姿勢は

 しかし"賃上げ要請"で効果があるのか。経団連は、賃上げどころか定期昇給の凍結・見直しまで口にしています。

 経団連の姿勢をどう考えるのか━首相は「『いい』とか『悪い』とかコメントはしない」と最初から腰が引けています。

 笠井氏は「働く人や中小企業は一生懸命頑張ってき。それが賃金や下請けの単価にまわらずに内部留保に回ってきた。そこに着目すべきだ」とズバリ指摘しました。

 笠井氏 マインドの問題とか、収益が上がったら『期待する』ではなく、眠って余っている資金を賃上げ、雇用確保に使い、経済に還元することがまさに必要じゃないか。

麻生氏 賃金、設備投資、配当にいかないで、内部留保に(利益が)回ったのが一番の問題だ。

笠井氏 大企業の内部留保はこの14年間で260兆円にも積み増しされている。内部留保500億円以上の企業・グループ約700を調べ、試算すると、内部留保の1%を使えば、月額約1万円の賃上げができる企業は約8割になる━。

 麻生氏は「その数が正しければ、今言われたことをできる条件が企業側にあることは確か」と認めざるを得ません。

 笠井氏は労働者派遣法の改正、中小企業に手当てした上での最低賃金引き上げ、公正取引で適正な下請け単価の実現で、企業が内部留保の一部を活用することを主張。「賃上げへ政治が役割を果たせ」と求めました。

「今度は共産党」

 「朝日」9日付はこの質疑を「『第1委員室の男』今こそ」と紹介。「『アベノミクス』の急所を突いた」「安倍晋三首相には過去に賃金が上がらなかった事実を認めさせ、『経営者に賃上げを要請する』との言葉を引き出した」と伝えました。

 質問にはテレビ中継を見ていた全国の人からも電話が━。広島県の男性(81)は、「内部留保のわずか1%で、月1万円の賃上げができるという質問は、じつに鋭く、わかりやすかった。全国民に知らせてほしい」。「いままで共産党に入れたことはない。民主党に入れてしまったが、民主党はもうダメだ」という名古屋市の男性は、「きちんと野党の立場でがんばれるのは共産党しかない。今度は共産党に入れる」と話しました。

しんぶん赤旗日曜版2013.2.17

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笠井氏 内部留保還元を/首相 「経営者に要請する」[2013/2/9]

(詳細:論戦ハイライト

 ここで「寅さん」、1960年安保闘争時の先輩の話を思い出す。若い頃の話だ。こうだ。

━━「寅さん」野原に、鉄とゴムを置いておく。この鉄とゴムをじっと100年見ている。すると、この鉄とゴムはどうなる?

「寅さん」:ゴムは多分数年で使い物にならないし、鉄も錆びて金属疲労で多分もろくなってる。

━━そうだ。ところが、工場で鉄を加工して車体にし、ゴムを加工しタイヤにすると自動車が完成する。鉄とゴムで「もうける」ことができる。

「寅さん」:なるほど。

━━ところで、加工したのは誰だ?

「寅さん」:労働者。

━━そうだな。で、「もうけ」は誰に?

「寅さん」:工場を持ってる社長。

━━そうだな。社長はその間何をしてる?

「寅さん」:多分、自動車が完成するのを、お茶でも飲んで待ってるのでは?

━━うん。お前結構ええ線いってるぞ。

「寅さん」:???

2013/01/28

NHK番組「日曜討論」市田忠義書記局長の発言

 日本共産党の市田忠義書記局長は27日、NHK番組「日曜討論」に出演し、安倍内閣が閣議決定した2012年度第1次補正予算案や通常国会にどう臨むかについて、与野党幹事長と討論しました。


アルジェリア人質事件

「二つの教訓」―情報収集とテロに法の裁きを

 番組は冒頭、アルジェリアの人質事件をめぐる政府の対応などが議論になりました。

 自民党の石破茂幹事長は今後の課題として、現行の自衛隊法では航空機、艦船による邦人輸送しかできないとして自衛隊法「改正」に言及しました。民主党の細野豪志幹事長は「私どもも国民の命を守るために何が必要なのかについては幅広に議論していきたい」と応じました。

 市田 まず10人の犠牲者の方、家族の方にお悔やみを申し上げます。何よりもテロリストの蛮行を怒りをもって糾弾します。

 二つの教訓があり、一つは、何よりも日本政府が在外邦人の安全のために、受け入れ国と在外公館とが連絡を密にし、きちんとした情報収集をやる外交努力が必要だということです。

 在外公館の職員数は日本は非常に少ない。たとえば米国は4倍、中国は1・5倍、独、仏、英、ロの各国よりも日本は少なくなっています。

 もう一つは国際的テロリストをどうやって孤立させるかです。国際的な警察・司法の力によって犯人をきちんと捕まえ、司法の裁きで処罰をするということが何よりも大事です。

 テロに対する武力行使は、テロと報復の連鎖を生むことになり、これはよくない。

 これをきっかけとして、何かあれば自衛隊を出すというやり方はやるべきではありません。

通常国会での対応

右傾化の流れと厳しく対決対案示し堂々と論戦

 28日に召集される通常国会で安倍政権にどう対応するか。「決めるべきことは決め、おかしいことにはしっかりと声をあげる。角を突き合わすだけが国会ではない」(民主党・細野氏)、「是々非々の立場で」(日本維新の会・松野頼久国会議員団幹事長)、「反対のための反対などしない」(みんなの党・江田憲司幹事長)など、野党の各幹事長は、巨大与党となった自公両党との協調路線を示しました。

 市田氏は次のように述べました。

 市田 小選挙区制度の下での虚構の多数で勝ち取られた議席です。石破氏が以前、「自民党の政策が支持されたわけではない」といっていたが、選挙で争点になった復興のあり方、原発再稼働、消費税、TPP(環太平洋連携協定)、米軍基地問題には決着がついておらず、これからの議論と国民のたたかいがカギです。

 加えて、憲法9条を変えて国防軍を設置するとか、歴史認識の問題だとか、集団的自衛権の行使の問題とか、右寄りの危険な流れが強まっています。こういう流れに真正面から立ち向かい、同時にどんな問題でも対案を示しながら正々堂々の論戦をおこなっていきたい。

補正予算案の賛否

デフレの原因は所得減、その反省ない補正予算に反対

 安倍内閣の経済対策(アベノミクス)を具体化した補正予算への各党の態度が問われました。細野、松野、江田の各氏とも補正予算が大型公共事業に偏重している点を指摘したものの、賛否については今後判断するという姿勢を示しました。

 市田 補正予算案に反対です。

 一番の問題は、今のような深刻なデフレ不況に陥った原因がどこにあったかという分析と反省がないことです。

 働く人の収入がピーク時と比べ、102万円も減っている。これは自然現象ではなく、自公政権時代の労働法制の規制緩和によって非正社員が圧倒的に増えたことや、小泉「構造改革」による社会保障の改悪などで、国民の収入が減っているわけです。今一番大事なことはこうした点を改め、働く人の収入をいかに増やすか、中小企業をどう支援していくかです。

 経済対策は「三本の矢」といわれているが、金融緩和というのはかつての自公政権時代にやり、これは効果がなかったものです。

 大型公共事業の中身をよく見てみると、国際コンテナ戦略港湾だとか、三大首都圏環状道路などです。こうした大型公共事業はかつて借金の山をつくっただけです。規制緩和による経済成長というのも、やはり貧困と格差を広げた小泉「構造改革」の焼き直しであり、これには反対です。

日銀・政府の物価目標

設けるべきは賃上げ目標

 政府・日銀が「共同声明」(22日)で、消費者物価の前年比2%上昇を目指すインフレ目標の導入を明記したことが議論のテーマになりました。

 市田氏は、政府・日銀による物価上昇目標について、「物価だけが上がり、給料が減り、年金が下がれば、国民は踏んだりけったりだ」と批判した上で、次のように述べました。

 市田 デフレの一番の原因は、国民の収入が減り、消費が落ち込み、内需がだめになったからです。そこを改善しないとだめ。今、設けるべきは賃上げ目標であって、物価目標ではありません。

 収入をどうして増やすか。大企業のふところにため込まれている約260兆円の内部留保のごく一部1%をまわすだけでも、労働者の賃上げや中小企業の下請け単価引き上げが可能になります。そういう方向に切り替えるべきです。

 最低賃金の引き上げや首切り、派遣労働などを規制する雇用のルール確立、大企業による中小企業の下請け単価たたきの禁止など、政治がそういうことこそやるべきです。

 何よりも消費税の増税は中止すべきです。

日銀総裁の国会同意人事

任務にふさわしいかどうかを基準に

 4月に任期が切れる白川方明日銀総裁の後任人事をめぐって、事前報道で名前が出れば認めないというルールのあり方が議題になりました。

 松野氏は「即座に見直すべきだ」と提起。細野氏も「松野さんと思いは一緒だ」と応じました。与党側も「改めていくべきだ」(石破氏)、「改善してもらいたい」(公明党・井上義久幹事長)と応じました。

 市田 経済の健全な発展と物価の安定のためにがんばるというのが日銀総裁の任務であり、それにふさわしいかどうかを基準に決めるべきです。

 何省出身だったらだめだとか、いいなどという問題ではなく、任務にふさわしい人を選ぶべきです。

 人事を与野党の駆け引きに使ったりするのではなく、国会で、その人事がふさわしいかどうかを審議、聴聞もできることをルール化すべきです。

  「物価が下がったから景気が悪い」なら「物価を上げよう」非常に単純な「理論」だ。中学生の社会科で習った。インフレ=物価高騰、その反対は?「デフレ」と。

 
 だったら「物価を2%上げよう」。これって、ちょっとでも政治の世界に身を置いている人たちの言葉とは思えない。

 先日来「生活保護の改悪」が立て続けに報道されている。

生活保護基準引き下げ反対/日弁連と43弁護士会・連合会「1013.1.28」

主張生活保護過去最大カット/「人間の尊厳」を掘り崩すのか「1013.1.28」

安倍晋三政権は2013年度予算編成の焦点になっていた生活保護 費について3年連続で大幅に引き下げることを決めました。29日に閣議決定する予算案に盛り込みます。「最低生活ライン」である保護費の引き下げは、受給者のくらしに打撃となるだけでなく、最低賃金にも連動するなど国民生活の各分野にも深刻な影響を及ぼす大問題です。広範な国民から反対の声が上がっているにもかかわらず、引き下げを決めた安倍政権の暴挙は許されません。

「生きる」根幹にまで

 安倍政権の方針は、今年8月から3年かけて740億円以上カットするとして、13年度に670億円も削る過去最大の削減計画です。

 削減の中心は、日常生活になくてはならない食費や水光熱費などの生活扶助費です。受給者はいまも食費をギリギリに抑え、暖房もできるだけ我慢するなど切り詰めた生活を続けています。「生きる」根幹まで切り縮める方針に、「人間らしく生きていくことを認めないのか」と悲鳴が上がっています。

 もち代など特別な支出があることを配慮して支給されている年末一時扶助金も容赦なく削るとしました。職業技術習得のための必要費用などを控除できる仕組みの廃止まで打ち出したことは受給者の就労を妨げるもので、「就労」を強調する政府方針に反します。

 削減が実行されれば受給世帯の9割以上が減額され、最大10%もカットされる世帯も生まれるなど深刻な事態が引き起こされるともいわれています。人数の多い世帯ほど削減幅が大きくなるため、子どものいる世帯ほど痛みを強いられます。親の貧困が子どもに引き継がれる「貧困の連鎖」をますます拡大することは、日本の将来を危うくする暴挙にほかなりません。

 小泉純一郎政権の「構造改革」路線を忠実に継承した第1次安倍政権は07年度予算で、生活保護の母子加算の縮小・廃止などを強行し、貧困と格差の拡大に拍車をかけました。国民を苦境に追い込んだ誤った政策になんら反省することなく、さらに全面的に削減に踏み出そうとする安倍政権の姿勢は、くらしの底上げを求める国民の願いに真っ向から反するものです。

 憲法25条の生存権は、すべての国民に「人間らしい尊厳ある生活」を保障することを国に求めています。兄からのわずかな援助を理由に生活扶助を打ち切ったことの違憲性を問うた「朝日訴訟」の一審判決(1960年)は、国の措置は憲法違反と判断し、ときどきの予算配分で健康で文化的な最低限度の生活水準を左右してはならないと、生存権保障の国の責任を明言しました。“財政的理由”で保護費を削り、生存権を脅かす安倍政権の姿勢は、歴史を逆行させるもので一片の道理もありません。

憲法25条生かす政治こそ

 安倍政権は、生活保護をはじめ社会保障費の抑制・削減を狙う一方で、大企業への政策減税などの大盤振る舞いを行い、軍事費や大型公共事業費には気前よく上積みしています。こうした政治は根本から転換すべきです。

 今年は朝日訴訟の原告・朝日茂さんの生誕100年と「50回忌」にあたります。生存権を危機にさらす保護費削減を中止させ、憲法25条を生かす政治の実現にむけた国民的なたたかいが重要です。

生活保護基準下げないで/政府に署名10万人分/“やること逆さま” “子どもが犠牲”「2013.1.23」

自公政権、来年介護保険・今年生活保護/社会保障改悪動き出す「2013.1.22」

 「寅さん」が確定申告をしようとして、昨年の申告の控えと比較したら、3,100円少なかった。「寅さん」と「よし子さん(「寅さん」の妻)」の3日分の食事代だ。

 生活保護費が下がることは、ストレートに最低賃金の引き下げ、年金の引き下げとなり、労働者の賃金カット、定期昇給ストップ・・・・・と影響が広がる。

 そこへ消費税の増税となるから、これで景気が素人目にも良くならないことは明らかだ。

 「三本の矢」などというが、すでに折れた矢であることは証明済みだ。

 生活保護の改悪に断固反対だ。

2013/01/21

生放送! とことん共産党 新春第1号「いいね!日本国憲法」。 1月21日

新年一回目の今回、テーマは「いいね!日本国憲法」。

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総選挙で自民・安倍首相は「国防軍」を明記する方向で改憲を公約。「日本維新の会」も改憲に賛成の立場をとっています。

 若者のなかには「9条は守ってほしい」「憲法って言われてもあんまりピンとこない」という声も。日本国憲法って何か、どう守るのか――。

 新成人へのインタビューなども紹介しながら、若者と憲法についてざっくばらんにトークします。

1月21日(月)、午後8:00

 事前に質問や意見を募集します。憲法にかかわる疑問・意見をどしどしおよせください!

ニコニコ動画

(とことん共産党ツイッター)https://twitter.com/tokoton_k
(メールはこちら。タイトルに「とことん共産党」を入れてください)tokoton@jcp.or.jp

どう見る 安倍内閣の緊急経済対策 小池あきらさんに聞く

安倍内閣は11日、事業規模20・2兆円、国の支出10・3兆円という大型の緊急経済対策を決定しました(内容は別項)。これをどう見るか、日本共産党の小池晃政策委員長に聞きました。 坂本健吾記者

日本共産党小池政策委員長に聞く

働く人の所得ふやすのがカギ

 安倍政権の「緊急経済対策」には、なぜ日本経済が「デフレ」不況に陥っているのかという分析が、一切書かれていないというのが最大の特徴です。病気でいえば"診断"(「寅さん」、小池さんは医師)がないということです。これでは、まともな治療ができるはずもありません。

 デフレ不況がますます深刻になっている理由は明確です。働く人の所得が減り続けて消費が落ち込み、内需が冷え込んでいるからです。

日銀の白川方明総裁も、「デフレ」脱却の道筋は「賃金が上昇し、支出と所得の好循環」が働くことだと指摘しています(昨年11月12日の講演)。これを壊してきたのが、今までの政治だったのです。

1997年度からの14年間で、企業の「経常利益」は1・63倍に増えました。一方、賃金は1割以上減っています(グラフ参照)。いまやるべきことは、働く人の所得を増やすことです。

「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」
かつて自公政権で"折れた矢"


ところが、安倍政権の揚げる「アベノミクス」の「三本の矢」(①金融緩和②財政出動③成長戦略)は、かつての自公政権が散々やって失敗したものばかりです。

「金融緩和」でいくらお札を刷っても、働く人の所得を増やさなければ需要は冷え込んだままです。むしろ投機マネーによる副作用を招くことになります。

「財政出動」の中身も問題です。老朽化したトンネルや震災復興などは急がなければなりませんが、今回の対策の中心は不要不急の大型開発です。"事前防災"という看板で、高速道路網の整備も再開しようとしています。自民党は「国土強靭(きょうじん)化」といいますが、実態は「巨大ゼネコン強靭化」にほかなりません。

「成長戦略」の名で、強い大企業をますます強くする「規制緩和」も、すでに小泉「構造改革」で実行され、貧困と格差を拡大して大失敗が証明されています。

すでに折れてしまった「三本の矢」をたばねても、何の力にもなりません。

消費税増税中止■リストラ止める■人間らしい生活保障

それでは、何が必要なのか。

第一に、10%への消費税増税の中止です。所得が減っているときに、さらに所得を奪う消費税増税は愚の骨頂です。

消費税増税と税・社会保険料などの負担増は、内閣官房の試算でも、年収300万円の4人家族で24万円、同500万円で31万円にのぼります。消費税増税を中止するため、国会内外で力を合わせたい。

第二に、財界・大企業が進める身勝手なリストラ、定昇廃止など賃下げを政治の責任でストップさせることが必要です。働く人の所得を増やすこととはまったく逆行するからです。

第三に、人間らしい暮らしを保障するルールをつくることです。

若い人の就職難はひきつづき非常に深刻です。たとえ就職できても、「パワハラ」や劣悪な雇用環境で、3年以内に大卒の約3割、高卒の約4割が離職しています。雇用のルールを強化して正社員化を進めるとともに、だれもが人間らしく働けるようにすべきです。

中小企業への支援をしっかりやりながら、最低賃金を抜本的に引き上げること、中小企業と大企業の公正な取引のルールづくりも必要です。

これらは、大企業の260兆円の内部留保のごく一部を活用するだけでできます。日本共産党は、こうした改革を進めたいと思います。

安倍内閣の緊急経済対策

 「緊急経済対策」の柱は「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」の三つです。
 中心は大企業支援です。その一つは、不要不急の大型公共事業などのムダ遣い。「安心の確保」と称して、PAC3ミサイルや哨戒ヘリコプターの購入など軍備増強まで盛り込んでいます。もう一つは、研究開発減税の拡充などの大企業減税や、日本政策投資銀行のファンド(基金)創設など、各種ファンドを使った公的資金による大企業支援です。産業空洞化を進める「企業の海外展開支援」も。
 他方で、中小企業が存続を切実に求めている、中小企業金融円滑化法(金融機関に対し、貸付条件変更などの希望に応じることを努力義務とした法律)は3月末で廃止。大企業には至れり尽くせりの資金供給を図る一方で、雇用の7割を占める中小企業の金融は引き締める本末転倒のやり方です。

しんぶん赤旗2013.1.20

参考:

安倍政権にどう立ち向かい、国政の重要課題にどうのぞむか/NHKインタビュー 志位委員長が語る(2013.1.14)

2013/01/15

共産党関連動画・動向

2013.1.4

参院選勝利へ “三つの国民的役割”発揮を/党旗びらき 志位委員長があいさつ(しんぶん赤旗2013.1.5)

新春第一声 小池あきら日本共産党政策委員長(2013.1.4新宿東口)

新春第一声 吉良参院予定候補

2012/12/31

日本共産党・市民・民主団体の動向案内

原発推進の安倍政権に抗議

原発事故の「A級戦犯」の暴走を許すな/ 官邸前行動 志位委員長が訴え
(2012.12.29)

(

共産党議員団総会 志位委員長があいさつ/国民多数の声を代弁し安倍自公政権と正面から対決(しんぶん赤旗2012.12.27)

北朝鮮の「ロケット」発射について NEW

日本共産党ってどんな党

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日本共産党12月号外ビラ (pdf)

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Q1_2

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ネットCM2012

Jcp_cm

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JCPツイッター jcp_plus9 

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幹部のTV出演

同 演説会  

「インターネット募金開始

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総選挙政策 日本共産党の改革ビジョン
(→政策全文 pdf)

60年続いた「自民党型政治」のゆがみを断ち切り、「国民が主人公」の新しい日本を
――「提案し、行動する。日本共産党」の躍進を訴えます――

(2012.11.26)NEW

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日本共産党は、こんな政党です。 NEW

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きょう緊急街頭演説 
志位委員長の訴え
11月16日午後6時から、
新宿駅西口

衆院解散 総選挙来月4日公示・16日投票/60年続いた自民党型政治―/本物の改革で断ちきるとき/「提案し、行動する党」日本共産党の躍進を/東京・新宿 志位委員長が訴え(2012.11.17)

ケータイ→http//youtu.be/-xujWt-gMhs

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きょう11日、「原発なくそう」

「11・11反原発1000000人大占拠」行動

詳細地図を発表

原発をなくす全国連絡会

(NEW 速報)

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BS11「インサイド・アウト」志位委員長が出演 「外交不在」から「外交攻勢へ

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ラジオ番組/志位さん、まるごと共産党を語る(しんぶん赤旗2012.10.25)

領土問題・復興予算・原発問題などの最新情報 (mp3)

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次回の「生放送!とことん共産党」は

11月20日(火)20~21時です。

(→入口はこちら

小池さんと笠井衆院議員(党原発・エネルギー問題対策委員会責任者)、宮本しづえ
福島県議が「どう『原発ゼロ』を実現する?」「福島をどう復興?」について、
みなさんと考えます。

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動画:とことん共産党、出演 小池あきら党政策委員長、穀田恵二衆院議員(国会対策委員長)

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まるごと紹介!一気に見せます共産党!」
一挙5時間

5時間の訪問者99573人(ちなみに「寅さん」のブログの3年分をたった3時間で!)、コメント11万件。

しんぶん赤旗日曜版(→pdfファイル

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日本共産党第5回中央委員会総会
10月14日午前10時30分から 
志位委員長の幹部会報告を生中継

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志位委員長VS「ザ・ニュースペーパー」 (ラジオ番組)ネットで聴けます(2012.9.2放送)

放送内容の記事はこちら 。(しんぶん赤旗2012.9.4付)

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領土問題 尖閣諸島 
日本共産党はこう考えます
(しんぶん赤旗2012.9.11)

Ryodo

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オスプレイ配備反対!

(岩国基地での飛行訓練)

Osuprei

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Kanteimae_sii

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TPP関連

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日本共産党創立90周年記念講演会(2012.7.18)

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消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言(pdf)

たたかいこれから 参院で廃案に
新宿宣伝 志位委員長が訴え(→関連記事

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  • 日本共産党 救援・復興ツイッター

    こちら赤旗日曜版 (nitiyoutwitt) on Twitter

    facebook日本共産党

    Japan Press Weekly

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    Qrjcp

    (共産党の携帯のHPのバーコード)

  • 2012/12/11

    働く人の所得を増やせ/いまこそ政治の出番

    働く人の所得を増やせ/いまこそ政治の出番

    深刻な「デフレ不況」から抜け出すために、働く人の賃金をどうやって引き上げていくかが、総選挙の重要な争点に浮上しています。9日のフジテレビ系の党首討論番組でも、最初の質問が「国民の給料をどう上げるか」でした。しかし、賃金アップに直結する具体策を示したのは日本共産党の志位和夫委員長だけでした。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     今冬のボーナスは過去最低を4年連続で更新しました。総務省の家計調査では、1世帯あたり実収入は1997年をピークに102万円も減っています。

     賃金が下がると需要が冷え込み、モノが売れなくなる―志位氏はこの悪循環を断ち切るために、消費税増税の中止とともに、「働く人の所得を増やす政策へと抜本的に転換する―ここに最大のカギがある」と訴えています。

     日銀の白川方明総裁も11月の講演で、デフレ脱却のため「賃金引き上げが不可欠」と指摘。「家計が安心してお金を使える環境を政府がつくることが必要」と強調。「毎日」10日付夕刊は「賃金上げる政策必須」との特集を掲載しています。

     民主、自民、公明の3党は、効果がない「金融緩和」や公共事業のバラマキ、大企業支援を競い合っています。維新、みんなの党は、賃金をさらに抑え込む「規制緩和」路線を主張しています。

    日本共産党が具体策

     電機産業の13万人「首切り」をはじめ大企業は「リストラ競争」に走っています。「目先の利益優先で人減らし競争をすれば日本の経済も産業もダメにしてしまう」(志位氏)のです。志位氏は「政治の出番です」と訴え、「働く人の所得を増やす政策を本腰を入れて実行していく」ことを呼びかけています。

    リストラ規制

     第一は、身勝手なリストラをやめさせるとともに、「正社員として安心して働ける」ルールをつくることです。

     非正規労働者の割合は民主党政権時代も増え、2000年の26%から35・5%(総務省労働力調査)に急増。民自公3党は労働者派遣法の改定から「製造業・登録型派遣の原則禁止」を削除するなど骨抜きにしました。

     日本共産党は労働者派遣法を抜本改正し、均等待遇ルールをつくろうと訴えています。

    最賃引き上げ

     二つめは、最低賃金を時給千円以上に引き上げることです

     最低賃金は全国平均時給で749円。フルタイムで働いても年収150万円にもなりません。

     日本共産党は中小企業に手当てをしながら時給千円以上へと大幅に引き上げて、「働く貧困層」をなくしていこうと訴えています。

    公正な取引を

     三つめは、下請け単価の買いたたきなど不公正な取引をやめさせることです。日本共産党は、大企業と中小企業が公正・公平に取引できるルールを、独占禁止法の強化などによってつくるとしています。

     大企業の内部留保(ため込み金)は260兆円を超えています。その一部を還元しただけでこうした政策を実行できます。志位氏は、「260兆円のお金が動きだして、みなさんの所得を増やし、内需を活発にし、日本経済をまともにする道が開かれてくる」と訴えています。

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    (→最賃制廃止・日本維新の会

    (→日本共産党インターネットCM

    (→しんぶん赤旗12月号号外

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    追加:

    最近10年間 小規模は必死に186万人増やしたが/大企業、100万人減らす/共産党 人減らしやめ、解雇規制法を(2012.12.15)

    資本金10億円以上の大企業で従業員がこの10年間で100万人近く減少しています。国税庁「民間給与実態統計調査」によると、資本金10億円以上の企業における給与所得者は2002年の849万3596人から11年の750万5526万人へと98万8070人も減少しました。

     それ以下のすべての資本金規模において給与所得者数は増加しています。とりわけ資本金2000万円未満の小規模な株式会社では給与所得者を186万468人も増加させています。規模の小さな会社が必死になって雇用を維持・拡大しているときに、260兆円もの内部留保を抱える資本金10億円以上の大企業が首切りを進めていることになります。

     政府は大企業のリストラに歯止めをかけるどころか、支援までしてきました。05年には会社法を「改正」し、企業や産業が自由に再編・合併するための法を整備。また、1999年に産業活力再生法(産活法)を制定し、大株主の利益のための大企業のリストラ計画に政府がお墨付きを与え、人減らしを推進してきました。日立はこの産活法を利用して6400人の出向・転籍計画を提出し、4億2000万円の減税を受けています。

     日本共産党は総選挙の各分野政策で、大企業の横暴な人減らし・リストラを許さず、解雇、退職・転職強要を許さない解雇規制の法制化を掲げています。

    2012/12/04

    苦難あるところに共産党あり

    苦難あるところに共産党あり 自由報道協会 市田書記局長が会見

    日本共産党の市田忠義書記局長は3日、自由報道協会主催の記者会見に応じ、ゆきづまった自民党型政治を変える党の「改革ビジョン」を語った上で多彩な質問に答えました。

     「被災地に行くと共産党議員が活躍されているのを目にします」と述べた記者は「東京では震災の記憶が薄れていないか」と質問。

     市田氏は、原発事故の被害は時間的にも空間的にも無制限であり、「みずからの問題ととらえて真の連帯の立場でがんばる必要があります」と述べ、二度と原発事故を起こさないためには「即時ゼロ」こそが責任ある政策だと強調しました。

     また、共産党が呼びかけた被災地ボランティアにこれまでにのべ3万人が参加し、救援募金が10億円集まったことを紹介。避難の誘導をして津波にのみ込まれ犠牲となった党地方議員がいたことも紹介し、「国民の苦難軽減が立党の精神です。『苦難あるところに共産党あり』の立場でこれからも被災地とともにがんばります」と市田氏は表明しました。

     「大企業の内部留保をどのように社会に還元するのか」と問われ、市田氏は最低賃金引き上げや非正規社員の正社員化、大企業と中小企業の公正な取引ルールの確立などで、内部留保を社会に還元すると説明。かつてソニーの盛田昭夫会長が、一社だけでは競争に負けるため“社会的ルールを作ってほしい。そうでなければ暮らしも経営も成り立たない”と述べていたことも紹介し、「ルールある経済社会をつくることで、内部留保を還流させるのが私たちの考えです」と述べました。

     「アメリカ、ヨーロッパでは富裕者が『おれたちから金をとれ』といっていますが」との質問が出て、市田氏は、消費税増税とともに所得税の最高税率を上げる案があったにもかかわらず、これを民自公3党が「富裕層が海外に逃げていくからやめる」と中止したことを紹介。「外国に逃げて行くような愛国心のひとかけらもない人を守り、逃げられない庶民に増税をかぶせる。こんな理不尽な政治であっていいのか」と強調しました。

    (しんぶん赤旗2012.12.4)

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    「元祖・ブレない政党 共産党を検証」
    『週刊プレイボーイ』志位委員長インタビュー

    3日発売の『週刊プレイボーイ』が、「“共産党に投票して巨大野党にしてみた”ら何かいいことあるだろうか?」「新党乱立の今だからこそ、元祖・ブレない政党をあらためて検証」の見出しで日本共産党の志位和夫委員長へのインタビューを掲載しています。

     インタビューは「報道では自民、民主、第三極の戦いで盛り上がっている一方、『投票したい党がもう本当にない』という声もよく聞きます」「そうした声の“受け皿”として共産党はちゃんと機能できる政党なのか」という質問でスタート。

     志位委員長は、「民主党がなぜ失敗してしまったのか。その原因を大本から見てほしい」とのべ、「アメリカいいなり」「財界中心」の政治から抜け出せなかったからだと指摘。「今回の選挙は、民主党政権も結局変えられなかった古い政治を断ち切る選挙にしなくてはいけません。それをやれるのは、1世紀近い間、平和と反戦で一度もぶれなかった日本共産党だけなんです」と語りました。

     「アメリカとは前向きな関係を築けるのでしょうか?」との質問には、「アメリカの支配・従属では友達になれないでしょ。対等・平等であってこそフレンドになれるでしょ。そのためには安保条約はなくして友好条約に切り替えるべきだという考えです」と話しました。経済成長はどうなるのか、中国共産党との関係は、日本の官僚をどう見るかなどの質問にもズバリ答えています。

     志位委員長は、昨日、今日できた政党ではない日本共産党に「筋を通す政党だ」と注目が集まっていることを紹介。過去17年間で350億円以上の政党助成金の受け取りを拒否したことをあげ、「みずから身を切る政治も先駆けて実行しています。だから大丈夫です。一番安心して投票してください」とのべています。

    しんぶん赤旗2012.12.4

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    改革ビジョン語る
    「ニコニコ動画」 小池氏が出演

    インターネット動画サイト「ニコニコ動画」で2日、「総選挙政党別政権公約(マニフェスト)特番」が放送され、日本共産党からは小池晃政策委員長が出演しました。

     小池氏は、「デフレ不況」対策、社会保障・財政再建、原発即時ゼロ、TPP(環太平洋連携協定)、外交・安全保障、領土問題、憲法など日本共産党が示している「総選挙の改革ビジョン」を縦横に語りました。

     「デフレ」対策として消費税増税阻止、大企業の内部留保の還元を語ると、視聴者からは「正論」「消費税(増税反対)は同意」「自民党派だけど共産もいい気がする」などとコメントされました。

     原発問題で小池氏は、原子力委員会が10年に1回は福島と同じ程度の過酷事故が起こるという試算を出したと述べると驚きの反応が寄せられました。

     小池氏は共産党は「提案し、行動する」ことを貫いてきたと語り、多党乱立の中で政党を選ぶ試金石は何かと訴えました。

     第一に「綱領を持っているか」。共産党は綱領を持ち日本の進むべき道、ビジョンを持っていると語り、第二に危険な逆流に勇気を持って立ち向かう「国民の理性の声」だと訴えました。第三に、草の根で国民と結びついた党であること、第四に歴史で試された党であることを力説。歴史に責任を負えない、公約投げ捨てなど過去を語れない政党がある中、90年の歴史で一貫した政党だと語り、躍進を訴えました。

    しんぶん赤旗2012.12.4

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    きょうの「寅さん」:

     選挙戦が始まった。

     午前は隣街に共産党の「小選挙区候補者が来る」というので「よし子さん(「寅さん」の妻)」と出かけた。

     演説の内容はコンパクトに「共産党の政策(改革ビジョン):(「マニフェスト」と呼ばない)を話し、主に「寅さん」の地域で大きな問題であるTPPと消費税の話があった。

     マスコミの取材も今までにない数だ。

     ところで日本には「公職選挙法」というのがある。この法律を見ると「選挙は悪」という持ち主が作ったのではないかと思われる代物だ。

     「国会解散!」となると、真っ先に「選挙違反取締本部」なる看板が掲げられるシーンがTVで放映される国だ。選挙は民主主義の発揮ではなく、「取締」の対象なのだ。

     アメリカとは随分違う。

     例えば、「自分が支持する政党の政策」をどのようにして「伝え」て「投票してもらう」か? ここがまず違う。

     選挙に入って隣近所「一斉」に「選挙があるので●●党をよろしく」と訪問すると「戸別訪問」だということになる。

     ここで「よし子さん」のアメリカでの経験。

     「よし子さん」がホームステイ中に地方の議会選挙があった。ママが連日のように隣近所を戸別訪問するのだ。そして自分の支持する候補者の推薦を「ぶってくる」のだ。

     「よし子さん」は「選挙違反にならないの?」などと「日本式」に聞くと、アメリカ的民主主義の返事が返ってくる。

     「話をしないで、どうして分かってもらうの?!」

     日本では、例えば小選挙区の候補者の名前が入ったビラだが「証紙」を貼らなければならない。有権者の数にほど遠い数しか「証紙」が発行されないし配布方法まで制限がある。

     だから「この選挙区では誰が立候補してるの?」となる。国民が選挙に関心を持たないようにしながら、一方で「選挙に行きましょう」などという「のぼり」が林立する。 

     日本では、選挙が告示されると、一瞬時が止まったかのように「静かに」なる。アメリカでは「お祭り騒ぎ」(?)だ。

     「候補者の名前を叫べるのは候補者カー」だけだ。「寅さん」などが日常使うハンドマイクなどで「演説する」と、日本では「監獄行き」だ。

     インターネットだってそうだ。アメリカではインターネットが普及してる。大いに活用してるが日本は「文書図画(ぶんしょとか)」に当たり、これも「ダメ」となる。

     普段はアメリカの「言いなり」なのに選挙活動になると、「アメリカのことなど知らないよ」という態度だ。

     「監獄行き」の法律下の一方では「政党助成金」などという国民の血税を湯水のように使い放題なのだ。

     憲法ですら踏みにじる。「日本的民主主義」である。

     ついでに共産党は選挙公約を「マニフェスト」と呼ばない。共産党関連で「マニフェスト」と名のつくものは「自由と民主主義の宣言」(Manifesto on Freedom and Democracy)とマルクス・エンゲル著「共産党宣言」(MANIFEST OF COMMUNIST PARTY)がある。

     マニフェストという言葉は「寅さん」はもともとの意味は「宣言」だと理解している。だから「選挙公約」 の方が分かりやすい。それに、「マニフェスト」というと「選挙公約をやぶったり」「マニフェストにない消費税増税を可決したり」と良い意味が浮かばない。

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    日本の命運かけて 改革ビジョン《臨時号》ニコニコ生放送!とことん共産党 (ニコニコ動画)

     今晩9時より

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    総選挙公示へ/政党の値打ち見定めてこそ
    (しんぶん赤旗201212.4)

    2012/12/03

    NHK日曜討論 小池政策委員長、消費税・年金・原発・社会保障・憲法

    NHK日曜討論
    小池政策委員長の発言


    日本共産党の小池晃政策委員長は2日、NHK日曜討論に出演し、総選挙の争点について各党代表と討論しました。

    消費税増税

    そもそも公約違反、大不況で増税したら被災地に大打撃、税収も減るわが党は別の道を提案している

    冒頭、消費税増税について民主党の長妻昭選挙対策本部事務局長代理が「苦渋の決断だが5%をお願いしたい」と語るなど、民自公3党は密室談合による大増税を正当化しました。

    「日本維新の会」の浅田均政調会長は、消費税を11%に上げるにもかかわらず、「消費税を地方税にと言っているので前提が違う」とごまかし、日本未来の党の森裕子副代表は「社会保障の改革を置き去りにしての増税は反対」と、条件付きの反対を示しました。

    小池氏は次のように述べました。

    小池 消費税増税は公約違反なんですよ。その批判に対して野田さんは、増税実施の前に国民の審判を仰ぐと言っていたわけですから、今度の選挙はその是非を問う選挙です。

    結局、大不況のもとで増税したら被災地に大打撃になるだけでなく、税収が落ちこむ。1997年に増税して消費税は5兆円増えたけれども景気が悪くなって税収全体としては14兆円減ったわけです。今上げればもっとひどいことになりますよ。そうすれば財源だって出てこない。

    "増税の前にやることがある"という主張をされているところもありますが、私たちは条件付き賛成ではありません。別の道を行こうじゃないかと提案しています。消費税増税ではなくて、まず富裕層と大企業への不公平税制を是正して、社会保障の財源をつくっていきたいと思っています。

    経済政策について

    内需なくして成長なし──消費税増税の中止と大企業の260兆円の内部留保を動かし経済も産業も再生

    経済対策について、民主党は「金融緩和」政策と大企業支援、自民党と公明党は大型公共事業と大企業支援を主張しました。維新も、規制改革と法人税減税など、効果がなかった従来の政策を並べました。小池氏は次の提案をしました。

    小池 内需が冷え込んでいるわけですから、真っ先にやらなければならないのは消費税増税を中止することです。

    もう一つは、大企業の内部留保は260兆円を超えているわけで、これを動かす。日本の製造業が何で衰退しているかというと、目先の利益だけを追い求めて人間を切り捨てていることにあるわげです。それが技術開発の土台も壊して、結局、いっそう経営悪化しており、悪循環に陥っています。大企業に社会的責任を果たしてもらい、市場を活性化させて、経済も産業も再生させていこう、「内需なくして成長なし」というのが私たちの提案です。

    年金問題について

    まず無年金・低年金の底上げ、次に最低保障年金の創設を

    年金問題について、民主は「国民会議でじっくり議論する」と民自公3党が談合で進めていくことを主張。維新は「賦課方式から積み立て方式に移行する必要がある」と述べ、年金の完全な"自己責任"化をのべました。これに対し、小池氏は、だれもが安心できる年金制度の確立を訴えました。

    小池 年金の一番の問題は、給付が削られて貧しくなっていることです。国民年金では月額平均4万9000円。厚生年金でも女性の平均は10万円ですから(老後の生活を年金に)頼れません。

    私たちは2段階での改革をいっています。まず年金削減をやめて無年金、低年金の底上げという緊急課題をやるべきです。これは大企業や富裕層にがんばってもらって財源をつくります。

    そして第2段階で、やはり最低保障年金をつくる必要があります。国連も、日本につくりなさいと勧告しているわけですから。全額国庫負担で最低保障年金をつくって、そのうえに保険料に応じて上乗せをしていくという仕組みが必要だと思います。私たちはその抜本改革の財源まで、なんでも金持ち、大企業だけとはいいません。これは国民全体で、しかし消費税ではなくて、所得税の累進課税で力に応じてみんなで負担していくという現実的、具体的提案をしているので、ぜひこれを実現したいと思います。

    社会保障制度について

    憲法25条の生存権の立場で充実を──
    好循環に進む社会保障改革を

    社会保障制度の問題では、自民党の甘利明政務調査会長が生活保護の医療扶助について、「自己負担がない」などとして削減するよう主張。民主・長妻氏も「医療費の圧縮が必要」と説明しました。みんなの覚の浅尾慶一郎政調会長は社会保険料の徴収強化を求めました。

    小池 いま改革の名でやろうとしているのはぜんぶ給付の抑制ばっかりです。世代間の不公平だというけれども、子育て支援といいながら、現役世代の保険料はどんどん上がっているわけです。さらには自己責任で全部変えようという議論もある。

    維新の会は、年金を積み立て方式に切り替えてしまう、あるいは最低賃金制をやめるというが、こんな国は先進国でないですよ。

    弱肉強食ではなく、強いものが弱いものを支える、富めるものが貧しきものを支える。憲法25条の生存権を国が保障するという道で、社会保障、医療も年金も介護も充実させなけれはいけません。社会保障制度を支えて、保険料を払う人が元気になれば、財政だって豊かになっていく。悪循環の縮小の道ではなくて、いい循環に進んでいくような社会保障改革をやるべきだと言いたいです。

    司会の島田敏男氏が、「これから先の時代は応能負担が問われてくる」と発言。小池氏はその重要性を次のように語りました。

    小池 応能負担って大事なことなんですよ。だとすれば、やっぱり消費税はいちばん応能的ではないわけです。所得再配分というのであれば直接税、所得税を財源の中心にして、社会保障制度を改革していくべきです。

    原発再稼働をめぐって

    「厳格な安全基準」というが、結局「安全神話」の復活──「即時ゼロ」が一番責任ある現実的提案

    原発再稼働について、民主は「了解を得たものは稼働させる」、自民も「再開したほうが国民利益に絶対になる」と表明。維新や公明「みんなも軒並み再稼働を認める考えを示すなか、小池氏は次のように述べました。

    小池 厳格な安全基準といいますが、結局、安全神話の復活です。いまの技術では、絶対に事故が起こらない安全基準なんてありえない。しかも国際基準というが、日本は一回あんな事故を起こしたのですから、二度と事故を起こしてはいけない特別な国なのです。経済面というお話がありますが、再び、原発事故が起こったら、それこそ日本経済は壊滅します。再稼働というけれど、どこを動かせるんですか。どこにもそんな原発はありません。大飯原発だって、敷地内の断層が活断層である可能性を否定できない。疑わしきは停止するのが当然です。そのまま廃炉に向かって進んでいく、「即時原発ゼロ」が一番責任ある立場、一番現実的な提案だと思います。

    核燃料再利用について

    世界に学び、日本は撤退することこそ国際社会への役割処分できない-核のゴミは出さないのが大原則

    処分方法のない核燃料サイクル(再利用)について民主は「青森県の理解をえながら考える」、自民は「技術を失ってはいけない」と継続を表明。公明も「見直しを検討していく」とのべるにとどまりました。

    小池 核燃料サイクルーは、プルトニウムを大量につくり、高レベル廃棄物まで生まれるわけで、世界では、撤退という流れが起っています。高速増殖炉「もんじゅ」も六ヶ所村の再処理工場も閉鎖して、核燃料サイクルから撤退すべきです。日本は唯一の被爆国なのに、核武装のシミュレーションという話も出ています。核兵器の材料にもなりうるプルトニウムをつくることをやめていくことが国際社会に対して日本が果たすべき役割です。

    核のゴミは、原子炉を1年動かすだけで1基だけで2㌧のゴミが出てきます。処分できないゴミは出さないということが大原則です。その点でも、やっぱり、「即時原発ゼロ」だと思います。長妻さんはできるだけ早く(ゼロにする)といいながら、何で大間原発つくるんですか。自民党は、甘利さんが経済産業大臣のとき、わが党の議員が、大地震や津波で大変なことになるという質問主意書を出したら、大丈夫だという答弁を出しました。あまりに反省がないと思います。

    甘利氏が「(冷却用の)取水ができなくなるということだった」とごまかしたのに対して、小池氏は「送電鉄塔が倒れるなど地震津波で大変なことになるといったのに対して、大丈夫だと答えたんですよ」と批判しました。

    最後に
    被災地復興を最優先で。戦前の暗黒政治に戻る動きに、共産党は立ち向かう

    最後に小池氏はこう述べました。

    小池 東日本大震災の被災地は生活再建、事業の再開が遅れに遅れているわけで、最優先課題でやらなければいけません。憲法9条、集団的自衛権の行使、国防軍の創設などが言われていますが、いままで憲法9条があって自衛隊は外国で人命を奪っていません。この歴史を変えていいのか。戦前の暗黒政治に戻るような右へ右への動きに私たち共産党は立ち向かって、この流れを食い止めていきたい。

    しんぶん赤旗2012.12.3)

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    各分野の詳しい政策→こちら

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    きょうの「寅さん」:

     午前中は「寅さん」は「かかりつけ医」(日本医師会の頁)へ、「よし子さん(「寅さん」の妻)」は知人の病気見舞いに。

     午後は大変だった。どっかでビラは「全部配布済み」と書いたが、後援会事務所に立ち寄ると、2つの集落で70枚ほど「」の「しるし」がある。

     「ここまだ配ってないの?」

     「そうです。つい人口の多いところ優先したので、その2箇所残ってます。夕方配布の予定です」

     「う~ん」

     となった。だって相当時間がかかるのだ。

     で、「寅さん」と「よし子さん」で70枚を配ることにした。

     標高700㍍だ。約3時間ほどで終了した。

     上空を飛行機雲が一筋見える。

     これで貴重な募金を無駄にすることなく告示前日を終了。(ビラ一枚々々に国民の貴重な募金が使われている。共産党は政党助成金を「憲法違反」として受け取っていない。一円たりとも無駄にできない)

     (あらたにインターネット募金が始まった)

    2012/11/26

    2012総選挙 共産党が政策を発表

     「寅さん」は、きょうは後援会事務所の「守り番」だった。

     若い人たちは、ビラ配りなど外の仕事に出かけた。「寅さん」は「後期(?)高齢者・障がい者」なので留守番となった。多分。

     女性数人が2階で電話をかけている。

     「寅さん」は、事務所に来ていただいた方と雑談などしながら結構楽しい一日だった。

     が・・・・・・・。

     世の中、まったく大変だ。

     1個105円の「うなぎのたれ」を買い、毎日の昼食のご飯にかけて「食ってる」という話には、あまり驚かない「寅さん」も、驚いた。

     「で、おかずは?」

     「だから、それだけ。強いて言えば、『うなぎのたれ』です」。

     ん?

     共産党は躍進しなければならない。

     共産党の選挙政策が出た。

    総選挙政策 日本共産党の改革ビジョン

    2012/10/31

    日本共産党・市民・民主団体の動向案内

    BS11「インサイド・アウト」志位委員長が出演 「外交不在」から「外交攻勢へ

    ラジオ番組/志位さん、まるごと共産党を語る(しんぶん赤旗2012.10.25)

    領土問題・復興予算・原発問題などの最新情報 (mp3)

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    動画:とことん共産党、出演 小池あきら党政策委員長、穀田恵二衆院議員(国会対策委員長)

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    まるごと紹介!一気に見せます共産党!」
    一挙5時間

    5時間の訪問者99573人(ちなみに「寅さん」のブログの3年分をたった3時間で!)、コメント11万件。

    しんぶん赤旗日曜版(→pdfファイル

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    20121020_tokoton
    インターネットの生中継番組「ニコニコ動画」が始まります。

    月1回放送予定
     第1回目は10月23日(火)
    午後8時から、
    小池晃政策委員長と穀田恵二国対委員長が登場。
    尖閣・原発問題などがとりあげられます。(生放送)
    (終わりました)
    ログイン画面はこちら
    (ニコニコ動画は無料、但し登録必要)
    
    
    
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    日本共産党第5回中央委員会総会
    10月14日午前10時30分から 
    志位委員長の幹部会報告を生中継

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    志位委員長VS「ザ・ニュースペーパー」 (ラジオ番組)ネットで聴けます(2012.9.2放送)

    放送内容の記事はこちら 。(しんぶん赤旗2012.9.4付)

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    領土問題 尖閣諸島 
    日本共産党はこう考えます
    (しんぶん赤旗2012.9.11)

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    オスプレイ配備反対!

    (岩国基地での飛行訓練)

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    TPP関連

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    日本共産党創立90周年記念講演会(2012.7.18)

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    消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言(pdf)

    たたかいこれから 参院で廃案に
    新宿宣伝 志位委員長が訴え(→関連記事

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  • 日本共産党 救援・復興ツイッター

    こちら赤旗日曜版 (nitiyoutwitt) on Twitter

    facebook日本共産党

    Japan Press Weekly

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  • 2012/10/20

    女性暴行事件・オスプレイ配備に抗議 志位委員長オバマ大統領に書簡

    米軍基地の全面撤去を

    志位委員長、オバマ大統領に書簡

    日本共産党の志位和夫委員長は19日、アメリカのバラク・.オバマ大統領に書簡を送り、米兵による集団女性暴行事件と米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備強行に抗議し、米軍基地の全面撤去を求めました。書簡の全文は次のとおりです。

    アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ殿

    (1)

    この間、沖縄で引き起こされた、米兵による集団女性暴行事件は、女性の尊厳を踏みにじった卑劣きわまりない蛮行です。これまで「綱紀粛正、再発防止」を繰り返し言いながら、凶悪犯罪の再発を防げなかった米国政府の責任もきびしく問われています。私は、強い憤りをもって抗議するものです。

    沖縄における米兵犯罪は、本土復帰以降だけみても5790件、このうち性的暴行事件は127件にのぼります。しかも、これらは氷山の一角であり、被害者が声をあげられず、泣き寝入りを強いられたケースも多数あります。

    「米軍基地がある以上、悲惨な事件はなくならない」、「事件をなくすには、基地の全面撤去しかない」、「日米安保条約を見直すべきだ」沖縄では、こうした声が高まっています。沖縄の激しい怒りの声を、真剣に受け止めるべきです。

    日本共産党は、米軍基地の全面撤去を求めます。日米安保条約を廃棄して、日米友好条約に代えることを、強く求めるものです。

    (2)

    オスプレイ配備の強行も、沖縄県民と日本国民の強い怒りを引き起こしています。9月9日に開催されたオスプレイ配備に反対する沖縄県民大会には、10万人をこえる人々が参加し、オスプレイ配備反対、普天間基地の閉鎖・撤去は、揺るがない島ぐるみの意思となっています。それを踏みにじった配備強行は、沖縄を植民地であるかのように扱う暴挙というほかありません。

    とりわけ、激しい怒りの声が集中しているのは、9月19日、日米合同委員会が、「安全対策」なるものを合意したにもかかわらず、実際には、それすら無視した飛行が行われていることです。

    「飛行は人口密集地を避けること」、「ヘリモードでの飛行は基地内に限定すること」、「転換モードでの飛行をできる限り限定すること」などの「安全対策」は、ことごとく無視されています。」那覇市、浦添市、宜野湾市、金武町、宜野座村、東村などで、人口密集地・住宅地上空の飛行が常態化しています。ヘリモードで住宅地上空をお構いなしに飛行するという事態が続いています。

    もともと「安全対策」は、「できる限り」などの但し書きがありますが、文字通り「空手形」以外の何ものでもなくなっています。

    日本共産党は、オスプレイ配備の撤回、普天間基地の無条件撤去を求めるものです。

    (3)

    もともと1996年に日米両国でかわされた普天間基地の返還合意は、1995年に引き起こされた小女暴行事件に対する県民の怒りの高まりのなかで、それにこたえる形でかわされたものでした。

    しかし、日米両政府が普天間基地の「県内移設」に固執したため、16年たっても普天間基地問題は解決いていません。それどころか「世界一危険」といわれるこの基地に、こともあろうに墜落事故を繰り返すオスプレイを配備するという計画が、沖縄県民の怒りをいよいよ高めました。

    その矢先の今回の事件です。沖縄県婦人連合会の会長は、「危険なオスプレイが縦横無尽に飛んで、危険な米兵が地上にうようよしているのが今の沖縄か。人権蹂躙も甚だしい」とのべていますが、これはすべての沖縄県民の気持ちとなっています。

    米国政府が、沖縄の深刻な現状を直視し、日米安保体制を根本的に見直すことを、重ねて要求するものです。

    2012年10月19日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫

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    米軍基地ある限り事件はなくならない
    志位委員長が記者会見

    日本共産党の志位和夫委員長は19日、国会内で記者会見し、アメリカのバラク・オバマ大統領に書簡を送り、米兵による集団女性暴行事件と米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備強行に抗議し、米軍基地の全画撤去を求めたことを発表しました。

    この中で志位氏は、オバマ大統領に書簡を送るのは3年前の核兵器廃絶問題での書簡に続いて2度目だと紹介し、「今回は強い抗議と要求だが、米国政府が正面から受け止めるることを求めたい」と述べました。

    「こういう事件を二度と繰り返さず、オスプレイ配備のような暴挙を断ち切るためには、米軍基地を全面撤去し、安保条約をなくすしかない。このことを正面から提起するために、オバマ大統領に書簡を送ることにした」と述べました。

    米軍が「綱紀粛正」や「再発防止」策を検討していることについても記者団に問われ、「県民からすれば聞き飽きたことだ。何度聞かされても、事件は繰り返されている。2カ月前にも強制わいせつ事件を起こしたばかりだ。米軍基地がある限り、悲惨な事件はなくならない」と指摘しました。

    さらに志位氏は、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が19日に沖縄のアメリカ総領事館と米海軍司令部を訪問して党としての抗議と米軍基地撤去の要求を伝えたことを紹介。18日にも畑野君枝衆院南関東ブロック比例候補が横須賀の米海軍基地(神奈川県)を訪問して抗議・要求したことを明らかにしました。

    ・・・・・・・・・以上、しんぶん赤旗2012.10.20付・・・・・・・

    2012/10/19

    「尖閣問題解決の道は」 共産党はこう考える 志位委員長外国特派員協会で講演

      いま「尖閣問題」が熱い。「寅さん」は「尖閣諸島は日本の領土である」と書いてきた。(→寅さんのブログ

     残念なのはそのことを日本政府がまともに外交問題としないで、「領土問題はない」と山に向かって叫んでいるのだ。

     たとえ国連で「やりあう」としても、まず日中間で「領土問題はある」ことを前提に話し合うことが問題解決の道であることは、論を待たないであろう。

     オスプレイ、沖縄女性暴行事件・・・外交問題は次々起こる。

     民主党の外交手腕が問われる。

     きようはしんぶん赤旗日曜版特集「尖閣問題解決の道は」という特集版(2012.10.14付、6・7ページを読む)

     まずこの問題の年表があるので掲載する。

    Rekisi_nenpyo
    (→pdfファイル

    冷静な外交交渉こそ
    外国特派員協会
    志位委員長が講演

    「尖閣問題をいかに解決すべきか」をテーマに日本共産党の志位和夫委員長が4日、日本外国特派員協会で講演、中国側の見解をどうみるかなど、各国記者からの質問に答えました。

    その内容を紹介します。(全文は、7日付日刊紙や日本共産党のウエブサイトをご覧ください)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    「この問題がナショナリスティック(民族主義的)な政治勢力や国内政治の思惑で左右されるなか、新鮮な見方を披露してくれると期待します」

    司会者から、こう紹介された志位氏は、講演で尖閣諸島(中国名・釣魚島)の日本の領有は歴史的にも国際法上も正当であることを、先に発表した尖閣問題についての日本共産党の「提言」(9月20日)の中心点にそって次のように説明しました。

    ①1895年1月に日本が尖閣諸島の領有を閣議決定したことは、「無主(むしゅ)の地」の「先占(せんせん)」(注1)という、国際法上、正当な行為だった。

    (注1)「無主(むしゅ)の地」の「先占(せんせん)」「無主の地」とは、いずれの国の領有にも属していない地域のこと。「先占」とは、「無主の地」を領有の意思をもって占有すること。

    ②中国側は、1895年から75年間、一度も日本の領有に異議も抗議もしなかった。

    ③日清戦争(注2)で日本は台湾と澎湖(ほうこ)列島を中国から不当に奪取したが、日清戦争の講和条約である下関条約(注3)とそれに関するすべての交渉記録をみても、その中に尖閣諸島は含まれていない。

    (注2)日清戦争1894年から95年にかけ、日本と清が朝鮮の支配を争った侵略戦争。日本は朝鮮半島で清国軍を破った後、南満州に侵入、遼東半島や澎湖列島も占領しました。

    (注3)下関条約
    日清戦争の講和条約として1895年4月に両国が山口県下関で締結した条約。日本側の全権大使は、伊藤博文と陸奥宗光。日本は同条約で台湾と澎湖列島を割譲させました。

    領有の正当性主張する努力しなかった

    その上で、日本政府が「領土問題は存在しない」という立場を繰り返すだけで、中国との外交交渉で領有の正当性を理を尽くして主張する努力を一回もしてこなかったと指摘。次の二つの問題点を挙げました。

    1972年の日中国交正常化、78年の日中平和友好条約締結の際に、領有問題を事実上「棚上げ」にする立場をとった。(注4)

    (注4)事実上の「棚上げ」 合意1972年の日中国交正常化交渉で、田中角栄首相が「尖閣諸島についてどう思うか」と持ち出し、周恩来首相が「いまこれを話すのは良くない」と答え、「棚上げ」の事実上の合意が交わされました。

    78年の日中平和友好条約締結の際にも、鄧小平副首相が「20年でも30年でも放っておこう」と述べ、園田直外相が「もうそれ以上いわないでください」と応じ、「棚上げ」にするという暗黙の了解が交わされました。

    「領土問題は存在しない」という態度をとり続けたために、中国側に主張も反論もできない「自縄自縛(じじょうじばく)」に陥っている。

    志位氏は、「領土に関わる紛争問題」の存在を認め、冷静で理性的な外交交渉で解決を図ることが唯一の道だと強調。その上で次の二つの問題を指摘しました。

    過去の侵略戦争への無反省が根本にある

    ①中国側に反論できない日本のだらしない外交態度の根本には、過去の侵略戦争に反省を欠いているという問題が横たわっている。

    日清戦争は、その後「50年戦争」ともいうべき日本の一連の侵略戦争の出発点。しかし、日本政府には侵略への反省がないため、「尖閣諸島の領有は、日清戦争による台湾・澎湖列島の割譲という侵略主義、領土拡張主義とは性格のまったく異なる正当な行為だった」と、きっぱり仕分けて主張できません。

    そうした弱点が「深刻な形であらわれた」(志位氏)のが、9月27日の国連総会でした。

    中国が「釣魚島を盗み取った」「世界反ファッショ戦争の勝利の成果を全面的に否定し、戦後国際秩序および国連憲章に深刻な挑戦をもたらす」などと日本を非難。日本側は2回の反論権を行使しながら、両国には「過去の戦争に対する見解の相違」があるというだけで、歴史認識の根幹に関わる非難には反論できなかったのです。

    物理的対応や軍事的対応論厳しく自制を

    ②日中双方が、物理的対応や軍事的対応論を厳しく自制する。

    志位氏は、梁光烈中国国防相がパネッタ米国防長官との会談(9月18日)で「一段の行動をとる権利を留保する」と述べたことにふれ、「軍事の責任者がこのような発言をするのは穏やかではない」と指摘。程永華駐日中国大使と会談(9月21日)した時も、緊張激化を呼び起こし、冷静な外交解決に逆行するとして、自制を求めたことを明らかにしました。

    こうした2点を指摘した上で、志位氏は、いま、物理的・軍事的対応の強化という道と、冷静な外交交渉による解決の道という「二つの道の選択が問われている」と指摘。後者の道こそ「日本が選択し、主導的に切り開くべき道です」と強調しました。

    質疑応答から
    講演後の各国記者らの質問では一。

     (米紙には)古賀辰四郎氏が1885年に日本政府に対して日本の領土として主張するよう求めたが、日本政府は躊躇(ちゅうちょ)したと書かれている。人民日報でも、明時代(1368~1644年)の古い地図に中国の領土だと記されていると報じられているが。

    実効支配を証明する中国側の記録はない

     古賀氏が尖閣諸島の貸与願を申請し、沖縄県は、政府に国標建立について指揮を仰ぎたいとの上申書を出しています。このとき内務省は"領有を宣言して差し支えない"としましたが、外務省は"見送ろう"という意見でした。

    志位氏は「当時の日本政府の対応は、尖閣諸島を中国の領土だと認識していたからではない」と指摘。当時の清国は日本から見れば巨大な帝国であり、領有を宣言すれば、清国を刺激しかねないという外交上の配慮があったと説明しました。

    中国は明や清(1616~1912年)の時代に尖閣諸島の存在を知っており、名前もつけていました。これらは領有権の権原取得にいたる最初の一歩ですが、領有権の確立のためには実効支配(注5)していたことが証明されなければなりません。志位氏は「(中国側からは)実効支配を証明する記録は一つも示されていない」と述べました。

    (注5)実効支配国家権力の規則的・持続的な行便が要件とされます。必ずしも、住民の居住や特定の経済活動が行われていることを必要とはしません。

     尖閣諸島の領有と日清戦争、侵略戦争の動きを分けて考えることはできないのでは。

    日本が強奪の主張は成り立たない

     日清戦争の講和条約として1895年4月に締結された下関条約で日本が清国に割譲を求めたのは、「台湾とその付属島嶼(しょ)」と「澎湖列島」でした。中国側は強く抗議しましたが、尖閣諸島には触れませんでした。

    同年6月に交わされた「台湾受け渡しに関する公文」で「付属島嶼」の範囲が問題になった際、日本側はそれまでに発行された地図や海図で明確だと主張。中国側は応諾しました。当時日本で発行された地図や海図では、台湾の範囲に尖閣諸島を含めていません。

    志位氏は「こういう歴史的事実にてらせば、尖閣諸島が『台湾の付属島嶼』として日本によって強奪されたという中国の主張は成り立たない」と語りました。

     この問題で日中のどちらに原因があるのか

    外交交渉尽くす必要暴力デモ許されない

    A 志位氏は、日中双方に原因があると指摘しました。

    問題の直接のきっかけは、日本政府による尖閣諸島の「国有化」です。9月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の場で、中国の胡錦濤主席が野田佳彦首相に「国有化反対」を要請したにもかかわらず、わずか2日後に日本政府は「国有化」を閣議決定しました。

    志位氏は、「国有化」そのものは島の平穏な管理のために必要だと考えた
    が、こうした進め方には大きな問題があったと指摘。「国家主席からの要請は重い。外交交渉を尽くす必要があった」と述べました。

    中国側にも問題がありました。どんなに「国有化」が認められないからといって、暴力を伴う「反日デモ」は許されないし、監視船による領海侵犯は、理性的なやり方ではありません。

    志位氏は「中国は大国化するなかで、立ち居振る舞いが世界からも注視されている。そのことを自覚した行動を求めたい」と述べました。

    関連:

    しんぶん赤旗「尖閣問題(私たちはこう考えます)」

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    以下9月29日の「ニコニコ動画」の尖閣関連・志位委員長の発言。
    インタビュアー 政治ジャーナリストの角谷浩一氏
    穀田国対委員長が同席

    2012/09/22

    尖閣諸島 日本の領有の正当性を主張/志位委員長、中国大使と会談

    2012/09/21

    外交交渉による尖閣諸島問題の解決を 志位委員長が提言 日本政府に申し入れ

    外交交渉による尖閣諸島問題の解決を
    志位委員長が提言
    日本政府に申し入れ


    日本共産党の志位和夫委員長は20日、「外交交渉による尖閣諸島問題の解決を」と題した提言を発表し、日本政府に手渡しました。政府側は藤村修官房長官が応対。志位氏は「『領土問題は存在しない』という立場をあらため、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべきです」と申し入れました。志位氏は21日には程永華中国大使と会談する予定です。

    冒頭、志位氏は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題をめぐって日中間の対立と緊張が深刻になっていることについて、「日本への批判を暴力で表す行動は、いかなる理由であれ許されない」と述べ、中国側に自制を促す対応と在中邦人、企業、大使館の安全確保に万全の措置をとることを求めるとの立場を表明。同時に、藤村氏に対して、「(日中双方が)物理的対応の強化や軍事的対応論は、厳に慎むことが必要だ」と伝えました。

     そのうえで、志位氏は、尖閣諸島について、日本の領有が歴史的にも国際法上も正当だとする党の「見解」(2010年10月)を説明するとともに、歴代日本政府の対応には「領土問題は存在しない」という立場を棒をのんだように繰り返すだけで、中国との外交交渉によって領有の正当性を理をつくして主張する努力を避け続けてきたという重大な問題点があると指摘しました。

     第一は、1972年の日中国交正常化交渉、78年の日中平和友好条約締結のさいに、尖閣の領有権問題を「棚上げ」にする立場をとったことです。志位氏は、これが「だらしない外交態度だった」とのべるとともに、「棚上げ」したということは領土に関する紛争が存在することを認めたものにほかならなかったと指摘しました。

     第二は、にもかかわらず、日本政府は「領土問題は存在しない」という態度をとり続けた結果、日本の主張も中国への反論もできない「自縄自縛」に陥り、問題解決の道を自ら閉ざしてきたという問題点です。

     志位氏は「領土問題は存在しない」という立場について、「一見『強い』ようにみえても、そのことによって日本の立場を主張できず、中国側の主張への反論もできないという点で、日本の立場を弱いものにしている」と指摘。そのうえで、「尖閣諸島の問題を解決するためには、『領土問題は存在しない』という立場をあらため、領土に関わる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべきです」と提起しました。

    官房長官「『自縄自縛』との疑問は検討」

     これに対し藤村氏は、「領土問題は存在しない」との政府の見解を繰り返しつつも、「『領土に関わる日中間の問題がある』と(志位氏が)いうならその通りだと思う」と表明。「国内でのデモなど日中間の問題はきちんと平和的に、話し合いで解決する労力を(日中)双方惜しみなくやる」と述べました。

     志位氏は、「政府は、『領土問題は存在しない』といっているために、首脳間の会談などで正面から主張するうえで自縄自縛になっている」と指摘。「中国の国民を説得するぐらいのつもりで日本が発信しないと解決への道は開かれない」と強調しました。

     藤村氏は「『自縄自縛』ではないかという疑問は当然、われわれも検討すべき疑問だと思う。検討していきたい」と応じました。

     志位氏は「日本政府が、竹島については外交交渉を呼びかけながら、尖閣問題では『領土問題は存在しない』というのは、ダブルスタンダード(二重の基準)になる。尖閣問題で踏み切ることは竹島問題(の解決)もプラスになります」と語りました。藤村氏は「(ダブルスタンダードというのは)そうみえますね、確かに」と語りました。

    ・・・・・・・・・・以下、申し入れ全文・・・・・・・・・・

     尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題をめぐって、日本と中国の両国間の対立と緊張が深刻になっている。この問題の解決をどうはかるかについて、現時点での日本共産党の見解と提案を明らかにする。

    (1)

     まず、日本への批判を暴力で表す行動は、いかなる理由であれ許されない。どんな問題でも、道理にもとづき、冷静な態度で解決をはかるという態度を守るべきである。わが党は、中国政府に対して、中国国民に自制をうながす対応をとること、在中国邦人、日本企業、日本大使館の安全確保のために万全の措置をとることを求める。

     また、物理的対応の強化や、軍事的対応論は、両国・両国民にとって何の利益もなく、理性的な解決の道を閉ざす、危険な道である。日中双方ともに、きびしく自制することが必要である。

    (2)

     日本共産党は、尖閣諸島について、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当であるという見解を表明している。とくに、2010年10月4日に発表した「見解」では、つぎの諸点を突っ込んで解明した。

     ――日本は、1895年1月に、尖閣諸島の領有を宣言したが、これは、「無主の地」の「先占」という、国際法上まったく正当な行為であった。

     ――中国側は、尖閣諸島の領有権を主張しているが、その最大の問題点は、中国が1895年から1970年までの75年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議もおこなっていないということにある。

     ――尖閣諸島に関する中国側の主張の中心点は、同諸島は台湾に付属する島嶼(とうしょ)として中国固有の領土であり、日清戦争に乗じて日本が不当に奪ったものだというところにある。しかし、尖閣諸島は、日本が戦争で不当に奪取した中国の領域には入っておらず、中国側の主張は成り立たない。日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による台湾・澎湖(ほうこ)列島の割譲という侵略主義、領土拡張主義とは性格がまったく異なる、正当な行為であった。

     そして、「見解」では、尖閣諸島問題を解決するためには、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府に対して、理をつくして主張することが必要であることを、強調した。

    (3)

     この点で、歴代の日本政府の態度には、重大な問題点がある。

     それは、「領土問題は存在しない」という立場を棒をのんだように繰り返すだけで、中国との外交交渉によって、尖閣諸島の領有の正当性を理を尽くして主張する努力を、避け続けてきたということである。

     歴史的にみると、日本政府の立場には二つの問題点がある。

     第一は、1972年の日中国交正常化、1978年の日中平和友好条約締結のさいに、尖閣諸島の領有問題を、いわゆる「棚上げ」にするという立場をとったことである。

     1972年の日中国交正常化交渉では、田中角栄首相(当時)と周恩来首相(当時)との会談で、田中首相が、「尖閣諸島についてどう思うか」と持ち出し、周首相が「いまこれを話すのは良くない」と答え、双方でこの問題を「棚上げ」するという事実上の合意がかわされることになった。

     1978年の日中平和友好条約締結のさいには、園田直外務大臣(当時)と鄧小平副首相(当時)との会談で、鄧副首相が「放っておこう」とのべたのにたいし、園田外相が「もうそれ以上いわないでください」と応じ、ここでも双方でこの問題を「棚上げ」にするという暗黙の了解がかわされている。

     本来ならば、国交正常化、平和条約締結というさいに、日本政府は、尖閣諸島の領有の正当性について、理を尽くして説く外交交渉をおこなうべきであった。「棚上げ」という対応は、だらしのない外交態度だったといわなければならない。

     同時に、尖閣諸島の問題を「棚上げ」にしたということは、領土に関する紛争問題が存在することを、中国との外交交渉のなかで、認めたものにほかならなかった。

    (4)

     第二に、にもかかわらず、その後、日本政府は、「領土問題は存在しない」――「尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しない」との態度をとり続けてきた。そのことが、つぎのような問題を引き起こしている。

     ――日本政府は、中国政府に対して、ただの一度も、尖閣諸島の領有の正当性について、理を尽くして主張したことはない。そうした主張をおこなうと、領土問題の存在を認めたことになるというのが、その理由だった。「領土問題は存在しない」という立場から、日本の主張を述べることができないという自縄自縛(じじょうじばく)に陥っているのである。

     ――中国政府は、「釣魚島(尖閣諸島)は、日清戦争末期に、日本が不法に盗みとった」、「日本の立場は、世界の反ファシズム戦争の勝利の成果を公然と否定するもので、戦後の国際秩序に対する重大な挑戦である」などと、日本による尖閣諸島の領有を「日本軍国主義による侵略」だとする見解を繰り返しているが、日本政府は、これに対する反論を一度もおこなっていない。反論をおこなうと、「領土問題の存在を認める」ということになるとして、ここでも自縄自縛に陥っているのである。

     ――尖閣諸島をめぐるさまざまな問題にさいしても、領土に関する紛争問題が存在するという前提に立って、外交交渉によって問題を解決する努力をしないまま、あれこれの措置をとったことが、日中両国の緊張激化の一つの原因となっている。

     日中両国間に、尖閣諸島に関する紛争問題が存在することは、否定できない事実である。そのことは、72年の日中国交正常化、78年の日中平和友好条約のさいにも、日本側が事実上認めたことでもあった。にもかかわらず、「領土問題は存在しない」として、あらゆる外交交渉を回避する態度をとりつづけてきたことが、この問題の解決の道をみずから閉ざす結果となっているのである。

     「領土問題は存在しない」という立場は、一見「強い」ように見えても、そのことによって、日本の立場の主張もできず、中国側の主張への反論もできないという点で、日本の立場を弱いものとしていることを、ここで指摘しなければならない。

    (5)

     尖閣諸島の問題を解決するためには、「領土問題は存在しない」という立場をあらため、領土に関わる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべきである。

     領土問題の解決は、政府間の交渉のみならず、相手国の国民世論をも納得させるような対応が必要である。「日本軍国主義の侵略」だと考えている中国国民に対しても、過去の侵略戦争にたいする真剣な反省とともに、この問題をめぐる歴史的事実と国際的道理を冷静に説き、理解を得る外交努力こそ、いま求められていることを強調したい。

    しんぶん赤旗2012.9.21)

    関連記事

    尖閣問題座談会/流れ変える志位「提言」(しんぶん赤旗2012.10.4)

    尖閣諸島 日本の領有の正当性を主張/志位委員長、中国大使と会談(しんぶん赤旗202.9.22)

    2012/09/16

    しんぶん赤旗号外配布 消費税・領土問題

     金曜日、駅頭で共産党のビラ9・10月号を配る。(→pdfファイル

     「お爺ちゃんもう一枚くれる?」とリクエストしてくれたのは女生徒さんだ。彼女にも消費税値上げは深刻だ。

    1209gougaithumb120xauto3726 通学・通勤時で高校生も多い。消費税は年齢を問わない。それは徹底してる。生まれる前からはもちろん、死んだ後も消費税は追っかけてくる。

     葬式に消費税がかかる。

     ところで「寅さん」の地方でガソリンが4円~5円上がった。スーパーの某メーカーの菓子が100円だったのが108円と「中途半端」な値段になっていた。

     しかしよく考えて見ると、消費税値上げ(この場合外税)の先取りのような気がする。

     消費税を「値上げする」と言った途端に手回しよく、2014年実施を待たず、もろもろの価格が上がってゆくのではないかと「寅さん」は心配する。年金は毎年のように引き下げられているのに。(「寅さん」のブログ→「年金」)

     今月号のビラはグッドタイミングである。

     領土問題がクローズアップされている。

     しかしマスコミの状況はどうか、本質に迫る論議がなされない。結果冷静さを失い、問題の核心に切り込む情報が国民に伝わらない。

     野田内閣が国際的に見ても誰をも納得させる説明を堂々と関係国としないからだ。

     日本外交の実力が問われる。

    尖閣・竹島めぐる領土問題、理尽くし冷静な外交交渉を

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    主張 財界の税制提言消費税増税論の本音が見える

     財界の総本山ともいわれてきた経団連(米倉弘昌会長)が、このほど来年度の税制改正についての「提言」を発表しました。驚くことに、国民の強い反対を押し切って消費税の増税が決まったばかりだというのに、税率10%ではまだ足りないと、税率十数%への再増税を持ち出しています。しかもその理由のひとつが、大企業の法人税をさらに引き下げることです。どこまでも国民に負担を押し付け、大企業のもうけを増やして肥え太ろうという消費税増税論者の身勝手な本音があからさまです。

     

    消費税増税は決まったと

     

     経団連の提言は、消費税については「他の税目に比べ優れている」として、「2020年代半ばまでに、消費税率を10%台後半まで引き上げる」ことを求めています。一方、約40%から38%に引き下げられたばかりの大企業の法人実効税率は、「速やかに」約30%に、「最終的には」約25%に引き下げることを求めています。消費税増税と社会保障改悪の「一体改革」法の成立で、「社会保障制度の確立」や「財政健全化」は、「一歩が踏み出された」、これからは「経済活力の維持・強化」が課題だというのが経団連の主張ですが、とんでもない話です。

     

     大企業の法人税負担が減っても、それが労働者や下請け企業に還元されるわけではありません。大企業の利益を増やし、いまや260兆円を超えるばく大な内部留保を積み上げるだけの結果になっているのが現実です。消費税の導入いらい、消費税で国民に押し付けた負担額約二百数十兆円が、その間の法人税などの減税額に匹敵するという試算もあります。

     

     消費税の増税や社会保障の改悪で国民の暮らしも経済も破壊されれば、税収も減って財政健全化も進まなくなります。国民の暮らしを散々痛めつけて「経済活力」を強化するなどといってもそれは“絵に描いた餅”です。経団連の主張には身勝手という以外、ことばがありません。

     

     消費税増税法が先の通常国会で民主、自民、公明3党の“談合”で成立したとはいえ、国民の大多数は納得していません。消費税の税率が現在の5%から8%に引き上げられるのは2014年4月、さらに10%に引き上げられるのは15年10月で、実施はこれからです。

     

     経団連の提言が、消費税増税はもはや決まったことだと、消費税の再増税や法人課税の軽減を持ち出しているのは、国民の気持ちを踏みにじるというしかありません。増税勢力にきびしい審判を下し、消費税増税に頼らない道を提案している日本共産党を伸ばして増税を中止させることこそ、国民の願いにかなうものです。

     

    国際的な流れにも反する

     

     経団連の提言は、日本の法人税の高さが「6重苦」のひとつだといいますが、いま世界では行き過ぎた法人税の切り下げ競争を改め、大企業にも適切な負担を求めることこそ流れになっています。アメリカのオバマ政権もフランスのオランド政権も、大企業や大資産家への課税強化を提案しています。

     

     世界の流れに背を向けて、身勝手な主張を繰り返すだけの財界に、税制を語る資格はありません。その財界いいなりで消費税の増税や社会保障の改悪を進めてきた民主党政権に、国民の暮らしが任せられないのは明白です。

    しんぶん赤旗・主張2012.10.23

    2012/09/03

    迫る解散・総選挙国政の重要課題にどうのぞむか NHKインタビュー 志位委員長が語る

    日本共産党の志位和夫委員長は2日、「NHK日曜討論」の「"問責可決"・政治はどう動く 各党代表に問う」に出演し、インタビューにこたえました。聞き手は、神志名泰裕解説委員。

    迫る解散・総選挙
    国政の重要課題にどうのぞむか

    NHKインタビュー 志位委員長が語る

    野田首相への問責可決をどうみる

    "民自公増税連合"に痛打━
    すみやかな解散・総選挙で信を問え


    神志名泰裕解説委員 よろしくお願いします。

    志位和夫委員長 よろしくお願いします。

    神志名 参院で(野田首相への)間責決議が可決されました。このことの影響をどういうふうにみていますか。

    志位 間責決議は、消費税増税を強行した野田政権と民自公談合体制を断罪したもので、その可決は、"民自公増税連合"に痛打を与えるものになると思います。

    消費税増税を強行した本体である民主党は、参院で「ノー」の審判を下されました。自民党は、自分を名指しで批判した問責決議に賛成せざるを得なくなるという、自己否定、自己破たんに陥りました。公明党は、増税に賛成の立場から採決に棄権することで、増税の急先鋒としての姿をあらわにしました。

    この問責可決の大本には、大増税に対する国民の怒りの世論の高まりがあると思います。首相はこの結果を重く受け止めて、すみやかな解散・総選挙で信を仰ぐべきです。

    解散総選挙にどうのぞむか

    「アメリカいいなり・財界中心」の政治を
    断ち切る改革に取り組んでこそ


    神志名 その解散・総選挙の問題ですね。具体的には、志位委員長は、どんな時期を想定されているのですか。

    志位 私たちは、すみやかな解散・総選挙を求めるという立場です。私は、衆議院での内閣不信任案への賛成討論のなかで、野田内閣が国民の利益に反するつぎの「五つの大罪」を犯してきたということを、告発しました。

    第一は、消費税大増税の強行

    第二は、原発再稼働の強行

    第三は、オスプレイ配備の強行。

    第四は、国民の生活と農業をアメリカに売り渡す、TPP(環太平洋連携協定)参加への暴走。そして

    第五は、「政権交代」に託した「自民党政治を変えてほしい」という、国民の願いをことごとく裏切ったことです。

    この「五つの大罪」の根本には、「アメリカいいなり・財界中心」という政治のゆがみがある。これを断ち切る改革に取り組んでこそ、展望が開けてくる。このことを大いに訴えて躍進をめざしたいと思っております。

    消費税にどう対応していくか

    消費税に頼らない別の道がある━
    責任ある対案を示す共産党をのばしてこそ


    神志名 そうした政治課題、政治の問題について、それではいくつかお聞きしたいと思います。

    一つは、消費税率の引き上げ問題。法律は成立したわけですが、どんなふうに対応していくのですか。

    志位 増税法案は強行されましたが、実施は2014年の4月からで、それまでには必ず総選挙と参議院選挙がおこなわれます。私たちは、国政選挙で、つぎの「二重の審判」を呼びかけて、大増税(の実施)を何としても阻止したいと考えております。

    第一は、"民自公増税連合"にきびしい「ノー」の審判を下すことです。

    第二に、どの党を伸ばしたら消費税増税阻止の一番の力になるかが問われてきます。

    私たち日本共産党は、政治の姿勢を大本から変えれば、消費税に頼らなくても、社会保障を充実し、財政危機を打開することは可能だということを、具体的に明らかにした「提言」を示しております。

    消費税に頼らない別の道がある━この責任ある対案を掲げている共産党を伸
    ばすことが、増税阻止の一番の力になることを大いに訴えていきたいと思います。

    どうする原発・エネルギー政策

    二つの重要な出来事━再稼働撤回、
    「原発ゼロの日本」への政治決断を


    神志名 いま、原発やエネルギー政策が国民の間で非常に関心を持たれていますね。この点はどうでしょう。

    志位 この間、二つの重要な出来事があったと思います。

    一つは、関西電力が、この夏の電力需給の結果を明らかにしまして、「原発を動かさなくても、電力は足りていた」ということを認めたことです。政府は、「再稼働しないと電力不足に陥る」とさんざん脅してやったわけですが、これは根拠がなかったということがはっきりしたわけです。再稼働方針は撤回すべきです。

    もう一つは、この間、政府が取り組んできた「国民的議論」についてのとりまとめで、政府自身が、「国民の過半数が原発ゼロを望んでいる」ということを認めたことです。寄せられたパブリックコメント(意見公募)では、8割が即時の原発ゼロを求めているということも明らかになりました。もう民意は明瞭になったわけですから、私は、「原発ゼロの日本」への政治決断をただちにおこなうことを強く求めたいと思います。

    領土問題をどう解決するか

    神志名 エネルギーの問題、いろんな見方がありますので、議論を深めてもらいたいです。

    そこで、外交・安全保障の問題についてお聞きしたいのですが、竹島、尖閣(諸島)の問題がありますね。この点はどうなんでしょうか。

    尖閣諸島━領有の正当性を堂々と説く外交努力こそ必要

    志位 まず尖閣(諸島)についていいますと、日本の領有権の正当性は、歴史的にも国際法上も明瞭であって、「日清戦争に乗じて奪った」とする中国政府の主張は、成り立ちません。

    日本政府は、中国政府に対して、その領有の正当性を理を尽くして堂々と説く外交努力が必要です。「領土問題は存在しない」というだけの棒を呑んだような対応ではなくて、外交努力が必要だということを言いたいですね。

    竹島━━冷艀な話し合いのテーブルをつくるためには、植民地支配の反省が不可欠

    志位 それから竹島についても、わが党は、歴史的にも国際法的にも、日本の領土だという主張をしております。

    ただ同時に、竹島を日本(島根県)に編入した1905年という時期と、韓国を植民地にしていった時期とが、重なっているという問題があるんですね。

    ですからこの問題で、冷静な話し合いのテーブルをつくるためには、植民地支配への反省をきちんとおこなうことが不可欠になってくる。

    その土台のうえで、歴史的事実をつきあわせて、問題の解決をはかるべきだ、というのが私たちの考え方です。

    オスプレイ配備にどう対応するか

    飛行と訓練は航空法で禁止、米国では住民の
    反対で中止━━配備は絶対に許されない

    神志名 最後に一点、アメリカの新型輸送機、オスプレイの配備問題ですね。この問題について、どういうふうに対応されていくのですか。

    志位 墜落事故を繰り返している欠陥搬を、「世界一危険」といわれる普天間基地に配備し、そのうえ、日本列島の全土で低空訓練をおこなうというのですから、これは絶対に許すわけにはいきません。

    だいたい日本の航空法では、オスプレイのようなオートローテーション(自動回転)機能ヘリコプター(のローター)が止まった場合に安全に着陸する機能がない回転翼機は、飛行が禁止されています。地上60㍍での低空訓練をやると伝えられていますが、これも当然、(航空法で)禁止されています。日本の国内法で禁止されているものを、どうして認めるのか。

    神志名 安全性の確保を求めるわけですね。

    志位 もう一点いいますとね、アメリカのハワイでは、住民の環境問題での(反対の)訴えにこたえて、オスプレイの訓練を中止しています。アメリカでは中止しているのに、日本ではなぜやるのか。

    オスプレイの配備はやめろ、とアメリカ政府に求めるべきです。

    神志名 ありがとうございました。

    志位 ありがとうございました。

    参考:

    消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言

    オスプレイ

    尖閣・竹島

    消費税

    原発ゼロ

    TPP

    日本共産党救援・復興ブログ 

    2012/08/11

    消費税強行 公約破ってどうした民主党!自公の責任重大

    たたかいはこれから:志位委員長記者会見(2012.8.10)

    日本共産党の志位和夫委員長は10日、消費税増税法案成立後に国会内で記者会見し、次のように語りました。

     一、増税勢力は、国会では多数派かもしれませんが、国民のなかでは少数派です。どんな世論調査でも、国民の過半数は消費税増税に反対と答えています。国民多数の民意を踏みつけにして、密室談合で消費税増税法案を強行した民自公増税連合の暴挙に強く抗議するものです。

     一、増税法案は強行されましたが、実施は2014年の4月からです。大増税に反対する国民の声は、その実施が迫れば迫るほど高まるでしょう。たたかいはこれからです。「消費税大増税の実施を許すな」―この旗を掲げて国民的なたたかいを発展させることをよびかけます。

     一、2014年4月までには、必ず衆院選、参院選がたたかわれます。来るべき国政選挙で、民自公増税連合にきびしい審判をくだすことをよびかけます。

     同時に、国政選挙では、どの党がのびれば、消費税増税を阻止する一番の力になるかが、問われることになります。

     日本共産党は、政治の姿勢を根本から変えれば、消費税に頼らなくても、社会保障を充実し、財政危機打開をはかることは可能であることを、具体的に明らかにした「提言」を示しています。消費税に頼らない別の道がある―この責任ある対案を掲げる日本共産党をのばすことが、増税阻止の一番の力になることを訴えて、選挙戦での躍進を果たしたいと思います。

    関連記事:

    民自公が法案成立を強行/消費税大増税の実施許すな/市田書記局長が反対討論(2012.8.11)

    消費税増税法案成立/民自公追い詰めた力(2012.8.11)

    消費税増税法案などに対する/市田書記局長の反対討論/参院本会議(2012.8.11)

    謝罪会見? 締めは“脅し”/野田首相 「決断する政治」の欺まん(2012.8.11)

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    しんぶん赤旗主張(2012.8.11)

    消費税増税法強行/最悪の談合に国民の審判を

    民主、自民、公明の3党が消費税増税法の成立を強行しました。

     法案の衆院通過後も国民の過半数が法案そのものに反対し、今国会での採決にはさらに多くの国民が反対しています。10%への消費税の倍増は、すべての国民の暮らしとすべての中小企業、零細業者の営業を脅かし、脆弱(ぜいじゃく)な内需に決定的な打撃を与えます。

     国民の多数が反対し、きわめて重大な結果が想定される法案を、3党は国民に隠れ、密室談合をくりかえして押し通しました。

    国民裏切りの共同正犯

     これほど明白な公約違反の暴挙はありません。民主党は前回の総選挙で4年間は消費税を上げないと公約しました。野田佳彦首相は当時の全国紙の候補者アンケートで「4年間の任期中に消費税の税率引き上げを決めること」に「反対」とはっきり答えています。

     民主党政権は「消費税増税は社会保障の充実のため」「消費税の税収はすべて社会保障に充てる」と説明してきました。

     しかし政府が社会保障と税の「一体改革」に盛り込んだのは、年金給付の削減、年金支給開始年齢の引き上げの検討、医療・介護の負担増などです。増税法案には法人税のいっそうの引き下げを検討する条項も入っています。

     6月の民自公の3党合意は社会保障への国の責任を投げ捨て、社会保障の解体をはかる新たな法案を持ち込みました。増税法案には増収分を公共事業に投入する条項までもぐりこませました。

     「一体改革」の看板は、「社会保障は切り捨て・解体」「税収は公共事業と大企業減税に」と書き改めるべきです。

     「民主党政権はマニフェスト違反の消費税率引き上げを行う権限を主権者から与えられていない」「ウソの片棒を担いで増税に賛成するわけにはいかない」―。谷垣禎一自民党総裁が1月の本会議、4月の党首討論でのべた言葉には曲がりなりにも国民の側を向いた道理がありました。

     自ら立てた道理を投げ捨ててくりかえした3党談合は、まさに公約違反をそそのかすウソの共同正犯です。

     民自公が密室談合で強行した法案は、消費税を倍増して13・5兆円もの負担増を国民に押し付けます。

     大和総研の試算(2日発表)によると昨年と比べた増税後の家計の可処分所得は、社会保障改悪の影響を含め、年収と家族構成によって最大で実質約9%も減少します。1カ月分の給料が吹っ飛ぶほどの打撃です。

     帝国データバンクの企業調査(3日発表)によると、消費税増税で企業の9割近くが国内消費の縮小を、7割近くが業績への悪影響を懸念しています。「税の支払いが単純に倍額となり大変」「売価に転嫁できず身を切るのは必至」―。調査の中で紹介された中小企業の声は、まさに悲鳴です。

    追い詰めた世論と運動

     増税談合に対して、日本共産党など野党7党が共同して内閣不信任決議案を提出したことは、国民的な大義のある行動です。増税談合をぎりぎりまで追い詰めた力は国民の世論と運動です。

     再来年4月の消費税増税の実施までには総選挙も参院選もあります。国民の明確な審判で最悪の増税談合を断罪し、増税を中止に追い込もうではありませんか。

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    消費税増税法案などに対する市田書記局長の反対討論

    消費税増税法案などに対し日本共産党の市田忠義書記局長が10日の参院本会議で行った反対討論は次の通りです。

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     私は日本共産党を代表して消費税増税法案をはじめ8法案に反対の討論を行います。

     まず、国民多数の意思に反して本法案を強行しようとする民主・自民・公明3党に、満身の怒りをこめて厳しく抗議するものであります。どの世論調査をみても、主権者である国民の過半数は、消費税増税に反対し、今国会での採決反対の声は6割にも達しています。この声を真っ向から踏みにじる行為は、議会制民主主義の根幹を揺るがす暴挙以外のなにものでもありません。

     この暴挙は、総選挙で「4年間は消費税をあげない」と公約した民主党と、その民主党を公約違反と批判しながら公約違反をけしかける自民・公明による密室談合によって推し進められました。これらの諸党に民主政治を語る資格はありません。

     本法案に反対する理由の第一は、国民の所得が減り続けているなかでの増税はありえないからです。本来税は、その所得・負担能力に応じて課税されるものです。この原則に真っ向から反する、ここに多くの国民が今回の増税法案に反対する根拠があるのです。

     第二に、この増税が、所得の低い人ほど負担が重くなるという、消費税が本来持っている逆進性を一層拡大することになるからです。給付つき税額控除や軽減税率などは、もともと小手先の目くらましにすぎませんが、それすら具体的対策はなんら示されてはいません。本気で低所得者のことを考えるというのなら、消費税の増税をしないことが一番の対策ではありませんか。

     第三は、日本経済を根幹で支える中小企業に決定的な打撃を与えるからであります。消費税が現行の倍になれば、いまでさえ消費者や取引先大企業に価格転嫁できず、身銭を切って消費税を負担している中小企業は、負担に耐えられず、廃業に追い込まれるところが続出することが、質疑を通じて明らかになりました。しかし政府は、「検討する」というだけで、これも具体的な手立ては何一つ示すことはできませんでした。

     第四に、本法案の強行を許せば、日本の経済と財政に取り返しのつかない大打撃を与えることが明らかだからです。長期にわたって国民の所得が減少し、デフレが続くもとで、消費税10%と社会保障切り捨てなどで20兆円もの負担増を国民にかぶせたら、日本経済をドン底に突き落とすことになることは、火を見るよりも明らかです。それは、1997年の消費税増税を引き金とした大不況で、税収が落ち込み、財政危機を悪化させた歴史が証明しています。

     第五に、本法案が「社会保障と税の一体改革」をうたいながら、実際には「公共事業と税の一体改革」ともいうべきものになっていることです。

     「一体改革」に並ぶメニューは何か―。年金給付の減額、子ども手当の減額、医療費の窓口負担増、介護の負担増など、改悪ばかりが目白押しです。さらに、民自公の3党合意によって持ち込まれたものは、国民に「自助」「助け合い」を押し付け、憲法25条がさだめた社会保障への国の責任を放棄する、社会保障解体法案ともいうべきものでした。それどころか、増税でつくる財源を「打ち出の小づち」とばかりに、高速道路、巨大港湾など、大型公共事業にまわす条項をわざわざ増税法案の付則に盛り込んだことも明らかになりました。

     以上、国民のくらしと日本経済、財政のことを真剣に考えるなら、どこから見ても本法案は廃案以外に道はありません。

     たとえ国会の多数の力で法案を強行しても、それを国民の中に押し通すことはできません。日本共産党は、消費税に頼らない別の道を示しつつ、大増税ストップのため最後まで全力をあげて奮闘することを表明して、反対討論を終わります。

    2012/07/04

    生活保護を受給するのは恥?憲法25条をなんと心得る!

    日本共産党の穀田恵二国対委員長は2日放送のテレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル3時間SP」に出演し、各党の国会議員らと討論しました。

     関西電力大飯原発の再稼働問題で穀田氏は、政府と関電が再稼働の口実とする電力不足について「データが客観的でない。他の電力会社から融通できないのか、どういう努力をしたのかさっぱりわからない」と指摘。東京電力が一般家庭に配布した「電気料金値上げのお願い」を示し、「やりたい放題やって、電気料金を払っている人に対しこういうやり方はけしからん。民主党は少なくともあそこ(労組の政治団体)からもらっている政治献金を返したらどうか」と迫りました。

     民主党議員らが「みなさんの不満はわかる。だから原子力規制庁をつくった」(村井宗明衆院議員)などと言い訳したのに対し、タレントの大竹まことさんは「国会の前で4万5千人が取り巻くデモ(6月22日)があったわけで、野田さんも『この夏くらいは原発を動かさないでみんなも頑張ってやってみよう』という意見にどうしてならないの?」と批判しました。

     原発立地自治体の原発依存の財政、経済が話題となり、穀田氏は「原発をゼロにする」という決断が大事だと強調。原発予算は莫大(ばくだい)で自然エネルギー予算はわずかだとし、「これを逆転させるべきだ。(原発)立地交付金もわれわれは反対したが、そういうものに転換するために使うべきだ」とのべました。

     慶応大学の岸博幸教授も「長期的には原発ゼロと言わないと、予算の配分が変わらないんですよ。それを言わない政府が問題」と指摘。穀田氏も「中長期的に原発ゼロという方向を出してこそ、立地地域の対策や電力対策ができる」とのべました。

     さらに穀田氏は、東電が電気料金の値上げを言う前に、東電に出資してきた大銀行が責任を果たすべきだとのべました。

     生活保護の問題では、自民党の笹川堯・元衆院議員が生活保護を受給するのは恥で、親戚が面倒を見るべきだと発言。穀田氏は「生活保護は憲法25条に定められた権利で、恥でもなんでもない」と厳しく指摘しました。

     リーマン・ショック以降、若年層で受給者が増えていることが議論になりました。穀田氏は、最低賃金を時給1000円以上に引き上げるなど、ワーキングプアをなくしていく対策が必要だと提起しました。

     大飯原発が再開されたが、早速というか同時進行というか「さなか」にというか、故障続きだ。

    大飯3号機発電延期
    タービン 規定上回る振動

    関西電力は3日、大飯原発(福井県おおい町)3号機で4日朝に予定していた発電開始を5日以降に延期すると発表しました。発電機のタービンの振動を小さくする作業が必要なためと説明しています。作業スケジュールの遅れは初めて。

    発電機のタービンは、原子炉からの蒸気によって高速で回転します。タービンのバランスが悪いと振動が大きくなります。メーカーでは振動幅0・075㍉以下を推奨値としていますが、3日の検査で軸受けの一つの振動幅が0・081㍉だったため、4日もバランス調整を行うことになったといいます。

    政府と関電は、多くの国民の反対を無視して大飯原発3号機の再起動を1日に強行。2日に核分裂が連続して起こる臨界に達し、4日朝から発電を開始する予定でした。今回の延期で、今後の予定も1日ずつ先送りされます。3号機のフル稼働は最短で今月9日、4号機がフル稼働するのは同じく25日となります。

    大飯原発では再起動前に、1次冷却水用のポンプを冷やす水量が低下したことで警報が作動するなど、警報が頻発しています。

    しんぶん赤旗2012.7.4)

     この0・0なんとかという数値は「ほんまもん」か?

     そもそも0.00㍉云々以外の別の理由があるのではないか?

     「なにもかも疑え」

     これが原発事故からの「寅さん」の「教訓」だ。

     先日飯舘村の現況を伝えるテレビ番組があった。(NHK,ETV・飯舘村1年、7/1

     何も解決していないではないか!

     いまだに除染に手を付けていないではないか!

     東電は何をしている!

     民主党は何をしている!

     原発を進めた自民・公明は何をしている!

     電力会社は独占をいいことに「儲け」に夢中だ。

     原発再開を決めた民主党も大企業べったりで、国民の命と財産を守ってくれないことが証明された。

     国民の苦しみを少しでも分かれば原発の再開などあり得ない話だ。

     世はインターネットの時代だ。再開への怒り・不安は渦巻いている。

     下記の動画は先週の「金曜日」のものだ。7月3日にYOUTUBEにUPされた。この怒りの声を無視して、原発再開を強行しようとするのか?

     果たして原発再開強行突破に未来があるか!?

    生活保護は恥?
    生活保護は権利だ!
    でなければ税金は何のためにある?
    税金は「まさか」のために汗水たらして納めて来た!

     「生活保護は恥」などという言葉を、まさか元国会議員の口から聞くとは思いもよらなかった。

     「恥」を言うなら、自国民を養えない「日本資本主義の『恥』」と言うべきだろう。

     多くの国民の不安を押し切り大飯原発が再稼動された。

     テレビ番組では飯舘村の除染にまだ手さえ付けられていない。

     消費税の値上げが衆院で自民・民主・公明の「出来レース」で裁決された。

     1年の自殺者の数3万人を超す。

     21世紀を生きる多くの若者は低所得・非正規雇用だ。

     オスプレイの配備を企んでいる。アメリカの従属に傷みを感じない卑屈さ。TPPを狙ってる。

     この状況を「日本資本主義の恥」と言わずに何んと言うか。

     国家予算は、日本国民を養う予算をまず決定し、その上で他の予算を組めと言いたい。

     生活保護の受給を「恥」と呼ぶ連中には、大きなしっぺ返しがあまりそう遠くない時期に訪れるであろう。(→「寅さん」のブログ、「生活保護」)

     「寅さん」はそう確信する。

    2012/07/03

    財界奉仕の橋下”独裁閣議”大阪府市統合本部

    黒字の地下鉄を民営化

    大阪府市統合本部(本部長・松井一郎知事、副本部長・橋下徹市長)が、大阪市営地下鉄の民営化など重要な方針を次々と決めています。統合本部の活動に条例上の根拠はありません。議会の声も聞かずに暴走する動きは━。豊田栄光記者

    職員減

    府市統合本部は昨年12月27日、「自治体の垣根にとらわれることなく・・・大阪都市圏の成長をけん引していく」(設置要綱)目的で発足。松井知事は「バーチャル(仮想)大阪都」と呼び、教育・職員基本条例も、ここで議論しました。

    6月19日の第14回本部会議では、3年後までに市営地下鉄・バス、ごみ収集、下水道管理を民営化し、市職員約1万人を非公務員化する方針を決めました。人件費などの削減効果は年間200億円と見込んでいます。

    日本初の公営で1933年に開業した市営地下鉄は、大阪市と近隣住民の足。府市統合本部自身が「246億円の黒字(平成15年=2003年=以降、継続して単年度黒字を確保)」と認める優良資産です。

    関西財界は地下鉄民営化を長年要求。本部会議の下にあるプロジェクトチームには、南海、阪急、阪神、京阪、近鉄の大手私鉄関係者が多数参加していました。市民の貴重な財産を、大手企業のもうけ口にしょうと画策してきたのです。

    バスは、139路線のうち採算の取れる58路線を民間に譲渡、残りはいったん廃止します。もうかる部分は民間に、その他のサービスは切り捨てるというのです。

    カジノ

    公務員の1万人削減で生みだされる財源をどうするのか。大型開発に投入されるのは確実です。

    同日の本部会議は「グランドデザイン・大阪」構想も承認しました。同構想には、高速道路網やリニア新幹線などのインフラ整備、カジノを含む「国際観光エンターテイメント」事業が盛り込まれています。

    その場には関西財界3団体(関西経済連合会、大阪商工会議所、関西経済同友会)の幹部も参加、意見を述べました。

    関西経済連合会の櫻内亮久理事は、「鉄道や道路の交通インフラは広域で検討する場面もある。(関西圏7府県2政令市参加の)関西広域連合と連携を」と、注文をつけました。

    関西経済同友会の齋藤行巨(みちひろ)常任幹事・事務局長は、「市長が(国会議員の)首根っこを押さえれば(カジノ新法は)できる」と、カジノリゾート開発をけしかけました。

    傍聴席

    「市長は府市統合本部ではたいてい上機嫌。批判はまずないですから」と市関係者。橋下市長はやりたい放題です。

    同日の本部会議では、市長の権限が及ばない府立中之島図書館の廃止について、「館内を全部空けてもらいます」と府の幹部に指示しました。松井知事は異を唱えず廃止は即座に決まりました。

    もともと、府市統合本部は条例上の機関ではなく、知事と市長が立ち上げ、堺屋太一元経済企画庁長官らブレーンを特別顧問・参与として寄せ集めました。(6月16日現在、57人)

    テーマ別に特別顧問・参与を委嘱し、府市幹部に報告を求め、関西財界関係者などから参考意見を聴取しながら、府市の重要方針を決定しています。

    この側近政治を、府の小西禎一総務部長が公式の場で批判したことがあります。「われわれは外部委員(特別顧問ら)から指揮命令される立場にない」(2月20日、府戦略本部会議)

    議会も完全に蚊帳の外です。それを象徴するのは、6月19日の本部会議で初めて設けられた「議員傍聴席」です。

    府の担当者は、「この日は重要な取りまとめの会議。事前に20~30人の府議、市議から問い合わせがあったので設置した」と説明します。

    橋下市長は「府議会、市議会ほど無駄なものはない」(5月17日、大阪にふさわしい大都市制度推進協議会)と公言しています。与党「大阪維新の会」の議員からも「何も情報が入ってこない」との不満がでています。

    市民も議会もそっちのけで、財界奉仕の方針を橋下市長が次々と指示する府市統合本部。さながら橋下独裁政権の"閣議"のようです。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    「公」装い住民財産略奪
    神戸大学名誉教授二宮厚美さん

    地方自治体は独立しており、運営には独自の権限と裁量が保障されています。それを侵して平気なのが府市統合本部です。橋下市長が府立図書館の閉鎖を府に指示したことは越権行為です。

    府市統合本部の設置と活動は条例で定められていません。大阪維新の会の私的参謀本部です。メンバーは橋下市長のブレーンで固めています。

    そこが「公」を装い、自治体の公的権限や裁量を奪い取り、市営地下鉄の民営化といった住民財産の売却方針を決めているのです。住民財産の略奪こそが「大阪都構想」の本質であることが、よく表れています。

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    大阪市政と公務員改革の2提言

    党府委発表

    日本共産党大阪府委員会は6月22日、大阪市政、公務員改革に関する二つの提
    言を発表しました。橋下徹市長が推し進める「市政改革プラン」と、公務員攻撃に断固反対し、党としての改革の考え方、方向性を示したものです。

    「『大阪市政改革プラン』はどうあるべきか━日本共産党の提言」では、

    ▽福祉とくらしを予算の「主役」にする

    ▽巨大開発頼み、大企業と外国企業依存の「成長戦略」の抜本的転換をはかるなど四つの方向を提起しています。

    「『市民のための仕事をすすめる』市役所へ━大阪市の『公務員改革』についての提言」には、

    ① 市民の安全・安心、福祉のためにいい仕事をする自治体としての使命に立った職場をつくる

    ②市民のくらしを担うにふさわしい市職員の権利と条件を保障する

    ③市役所の仕事は憲法・地方自治本来の精神に基づいてこそ━の3点を盛り込みました。(全文は党大阪府委員会のホームページに掲載)

    しんぶん赤旗日曜版2012.7.1 6頁)

    参考:しんぶん赤旗「橋下『維新』特集

    2012/06/27

    消費税大増税・社会保障改悪法案高橋議員の反対討論

    高橋ちづ子議員の反対討論(国会・衆議院)

    日本共産党の高橋ちづ子議員が26日の衆院本会議で、消費税大増税と社会保障改悪の民自公3党「談合」法案に対して行った反対討論は次の通りです。

    私は日本共産党を代表し、消費税増税法案をはじめ8法案に反対の討論を行います。

    野田内閣は「社会保障と税の一体改革」と称して、7本の法案を一括して特別委員会に付託しました。ところが、公の審議の一方で水面下での3党協議を行い、21日新たな2法案や修正案を提出したのです。中央・地方公聴会での意見や重ねてきた議論も全く無視して、「3党合意したから採決を」と迫り、わずか13時間余りの審議で採決を強行しました。3党が合意すれば何でもできるなら、国会の自殺行為であり、断じて認められません。

    第一に、消費税増税法案はもともと公約違反の法案です。消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%という大増税とあわせ、国民にはこれまでにない20兆円もの負担増がおしつけられます。消費を冷え込ませ、日本経済に重大な影響をもたらすことは明らかです。

    消費税が最悪の欠陥税制だということはハッキリしました。所得の低い人ほど負担の重い逆進性があること、中小企業など、税率を価格に転嫁できず身銭を切らざるを得ない実態があること。これらは政府自身が認めていながら、具体策は何も示されませんでした。

    また、消費税が全額社会保障にあてるというのはみせかけで、他の経費に置き換わるだけだということが明らかになりました。

    しかも、3党修正で、高額所得者へのわずかな負担増さえ削除され、結局、消費税増税だけが突出したのです。国民の7割に及ぶ反対の声を無視した暴挙を許すことはできません。

    第二に、3党合意において、自民党、公明党は、最低保障年金制度の撤回を迫り、今後の公的年金制度、高齢者医療制度については「3党協議を経て」というしばりまでかけてしまうという異常な対応でした。一方、後期高齢者医療制度の廃止をかかげて政権交代を果たした民主党が、いまや「高齢化が社会保障費を増大させた」として公約を事実上断念するばかりか、増税やむなしの口実に高齢者をねらいうちにしていることは、最も重大な裏切りだといわなければなりません。

    なお、今回の被用者年金一元化法案は、保険料を引き上げ、年金給付水準は一方的に引き下げるもので、反対です。年金受給の条件となる加入期間を25年から10年間に短縮したこと、男性にも遺族年金を支払うことなど、いくつかの改善点はあります。しかし、無年金低年金問題の根本的な解決のためには、最低保障年金を確立して年金額を底上げすることが必要です。特例水準の解消やマクロ経済スライドをやめ、減らさない年金にするべきです。もちろん、消費税を財源にすることはもってのほかであります。

    第三に、政府案の子ども・子育て新システムは、保育に企業の参入を進め、国や自治体の責任を大きく後退させるものです。子どもの安全・安心が脅かされるおそれがあり、待機児童解消も期待できません。

    3党合意による修正案は、政府案とほとんど変わりません。「総合こども園」とよんでいたものが「幼保連携認定こども園」におきかわったに等しいものです。待機児童対策は、株式会社の参入要件を若干厳しくし、多様な主体を「認可」することによって受け皿を増やそうとするもので、政府案と基本的に同じです。

    市町村の保育実施義務を明記した児童福祉法24条を残したことは、保育関係者、保護者の切実な声を一定反映したものです。しかし、保育を介護保険のような直接契約にしてしまう新システム法案がほぼ原案どおり残ったため、事実上骨抜きにされました。

    いまやるべきは、新システムは撤回し、国と行政の責任で認可保育所を増やし、公的保育制度を充実することです。

    第四に見過ごせないのは、自民党の基本法案を原案としてつくられた社会保障制度改革推進法案です。

    法案には、「社会保障」を単なる負担の見返りという保険制度に変え、自助を基本に、共助、公助で補完するという考え方がつらぬかれています。人間らしく生きる権利と、その実現のために国の責任を明記した憲法25条を真っ向から否定するものです。

    医療、介護、年金をはじめとする社会保障制度の今後の在り方について、新設する社会保障制度改革国民会議の議論にゆだねました。これは、3党協議と有識者の会議の結論を国会に押し付けるものであり、国会の議論は全く形だけのものになりかねません。

    重大なのは、生活保護の「厳格化」と給付水準の「適正化」の検討が付則に盛り込まれたことです。いまでも稼働能力や扶養義務については厳しい調査が求められ、命さえ絶たれる最悪の事態も続いています。これ以上の厳格化や引き下げは絶対にやめるべきです。

    最後に、今被災地からは消費税増税に反対、不安の声がたくさんよせられています。「やりくりが大変です。これ以上消費税をとられたら生活できません、国民の苦しみがわかる人が政治をしてほしい。賢く選挙権を行使していかなければと思っています」

    消費税増税、原発再稼働やTPPなど、民主党政権にも、3党の談合政治にも、白紙委任したおぼえはありません。総理がいまやるべきは、解散して国民に信を問うことです。

    以上で反対討論を終わります。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    消費税増税法案裁決強行に抗議し集まった人たち

    決意表明する志位委員長と、衆参の党国会議員

    Syohizei

    国民の大連合で対決
    国会前・議員面会所

    民自公3党が消費税大増税と社会保障大改悪の法案を衆院本会議で採決強行した26日、「増税に反対する国民の大連合でたたかおう」と中小業者や労働者、母親らが首都圏各地から国会前に駆けつけました。3党の暴挙に徹底的に抗議して参院で廃案に追い込むために運動を強化しようとする行動提起を確認しました。

    消費税廃止各界連絡会(各界連)と中央社会保障推進協議会(中央社保協)が呼びかけた衆院議員面会所での行動には200人以上が詰めかけました。

    主催者あいさつした勝部志郎各界連事務局長は、「国民の怒りで運動を一回りも二回りも大きくして国民生活を破壊する民自公のもくろみを阻止しよう」と呼びかけました。全労連の大黒作治議長は、「原発再稼働反対やTPP(環太平洋連携協定)参加反対など一点での共同を大きく結集してなんとしても参院での廃案に追い込もう」と訴えました。

    日本共産党から志位和夫委員長をはじめ衆参国会議員が参加。志位委員長は、採決強行に抗議するとともに、「国民は絶対に許しません。ともにたたかい、参院で徹底審議し、廃案に追い込みましょう」と呼びかけると、「よし!」の声と大きな拍手がわき起こりました。

    傍聴した多摩麻生民主商工会のFさん(47)=台東区在住=は、「財界、大企業しか見ていない悪政が進められているのが明らかになった。新たなたたかいの飛躍につながっていく」と話しました。

    各界連と中央社保協など民主団体は同日夕方、東京・新宿駅前で怒りの街頭宣伝を行いました。全国商工団体連合会の西村冨佐多副会長らが、「廃案めざし、全国各地で署名運動や要請行動を続けます」と訴えました。

    しんぶん赤旗2012.6.27)

    志位委員長の街頭演説(新宿駅西口)

    たたかいこれから 参院で廃案に 徹底審議と世論で追い込もう/新宿宣伝 志位委員長が訴え(しんぶん赤旗2012.6.27)

    小池晃党政策委員長の街頭演説(新宿)

     「寅さん」のブログ→「消費税」・「生活保護」「年金」・「TPP」・「原発再稼動

    消費税大増税・社会保障解体/国民の大連合で対決 国会前・議員面会所
    しんぶん赤旗2012.6.27)

    自公の軍門に下った/佐々木氏 民主公約投げ捨て批判

    2012/06/20

    消費税大増税に加え、社会保障大改悪 議会制民主主義を壊す暴挙やめよ

    志位委員長が会見 民自公3党合意にもとづく消費税大増税と社会保障大改悪の法案について(2012.6.19)

    民自公談合 社会保障解体の「新法」・会期末採決など論外

    消費税増税のどさくさに

    民主、自民、公明3党は、消費税増税法案の密室談合で「社会保障制度改革推進法案」という「新法」まで「合意」し、21日までに衆院採決しようと狙っています。同法案は自公政権が進めた社会保障の「構造改革」路線を法律にして、社会保障の解体にレールを敷くもの。戦後かつてなかった社会保障大改悪を推進する「新法」を、大増税法案のどさくさにまぎれて、火事場泥棒的に押し付けることは許されません。

    自公流踏襲

    理念は「自己責任」
    負担は全て国民に


    「社会保障制度改革推進法案」(骨子)は、社会保障の理念も仕組みも自公流に変質させ、社会保障を全面解体に導くレールを敷くものとなっています。

    同「法案」は、今後の社会保障制度「改革」の「基本」として、「自助・共助・公助」のバランスに留意するとか、「(国民の)自立を家族相互、国民相互の助け合いを通じて支援していく」などとしています。社会保障を増進させる国の責任を全面的に放棄して、「自助」「自立」と「助け合い」の名で国民に責任を押し付ける、徹底した「自己責任」論です。

    「税や社会保険料」の「負担の増大を抑制」するという口実で社会保障給付を抑制し、公費を縮減する姿勢を明記しています。年金・医療・介護は「社会保険制度を基本」とし、「(公費は)社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てる」と公費の使い道を限定。低所得で保険料を払えない人や無年金・低年金を生まないための最低保障年金などを否定しています。

    憲法25条は、すべての国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が守られるよう、社会保障の「向上及び増進」に努めることを国に養務づけています。この責任を放棄し、憲法を真っ向から踏みにじるのが推進法案です。

    社会保障にかかる公費についても「消費税収(国・地方)を主要な財源とする」と明記。大企業が一円も負担しない消費税を財源にすえることで、負担はすべて国民に押し付け、際限のない消費税増税か社会保障削減かの選択を迫るものです

    この方向は、税・社会保険料負担の軽減を求める大企業・財界が主張し、旧自公政権が進めてきました。財界いいなりの社会保障制度の大改悪を民主党政権になっても引き継いでいく━。このことを浮き彫りにしています。

    本性露骨に

    保険外診療の拡大
    最低年金を棚上げ


    「法案」は社会保障の各制度について、

    保険のきかない医療・介護の拡大(「療養の範囲の適正化」「介護サービスの範囲の適正化」)
    生活保護の給付引き下げ(「給付水準の適正化」)
    社会保障番号制の「早期導入」━などの具体策を盛り込んでいます。

    医療介護サービスのうち、風邪薬や軽度者向けサービスなどを保険給付の対策外とすることは、医療・介護関係団体の強い反発を受け、政府の「一体改革大綱」(2月)では「検討」課題としか書けなかったものです。

    ところが民主党政権は、自公両党の主張を受け入れて、どさくさまぎれに法律で既定路線にしてしまおうというのです。

    民主党の看板政策も投げ捨てます。

    最低保障年金制度については、「ばらまき」「不公平」と非難する自公両党に屈し、新設される「社会保障制度改革国民会議」での議論に棚上げ。もともと民主党案は制度完成まで40年以上かかるなど問題だらけでしたが、生存権を保障するという最低保障年金の考え方まで投げ捨てました。後期高齢者医療制度の「廃止」も同様に放り出し、「うば捨て山」制度の永続に道を開きます。

    「公明新聞」が「実施時期を含め3党間の合意が必要となるため、事実上、公約撤回」(19日)と誇るように、公約の全面撤回にほかなりません。

    社会保障の大改悪を定めた「法案」が提出されたことにより、「消費税増税で社会保障を充実させる」というまやかしの理屈は全く成り立たなくなり、消費税増税と社会保障削減の「一体改悪」という本性が、いよいよむき出しになった格好です。

    国会骨抜き

    "財界司令塔"に道
    3党"談合"常態化


    「法案」では、国会を形骸化して、社会保障の大改悪の具体策を検討する場として「社会保障制度改革国民会議」の設置が盛り込まれました。

    国民会議は首相の任命する20人以内の委員で構成。少人数で社会保障のあり方を決めていくことを狙っています。

    自公政権時代には、財界が司令塔になって「構造改革」路線を進める経済財政諮問会議をはじめ、社会保障国民会議、安心社会実現会議などがつくられ、「重点化と効率化」の名のもとに社会保障の切り捨てや負担増などを国民に押し付ける役割を果たしてきました。

    しかし、こうしたトップダウン・独裁的手法が批判され、民主党政権になってからは、形の上では幅広い各界の代表が参加する場で議論される方式に戻らざるをえなくなっていました。

    3党「合意」は、それも投げ捨てて再び、自公政権時代の無法なやり方に戻ろうというものです。

    しかも、国民会議は有識者に加え、民自公3党の国会議員の取り込みもはかります。3党の国会議員が法案作成段階で"談合"することで、国会でスムーズに社会保障給付の削減をはかる布陣を整えようとしています。(しんぶん赤旗2012.6.20)

    関連:

    密室談合押しつけるな/消費税増税法案は廃案に、6党、衆院議長に申し入れ(しんぶん赤旗2012.6.21)

    消費税増税法案 民自公、あす採決狙う/共産党など4野党 “許されない”/民主合同会議 前原氏に「一任」 (しんぶん赤旗2012.6.20)

    消費税増税で地域崩壊/医療・路線バスの撤退加速/塩川議員追及

    消費税関連記事

    「寅さん」の消費税関連ブログ

    120620

    2012/06/17

    消費税増税・原発再稼動、公約と民意に背いて「決められる政治」とは

     「しんぶん赤旗」のきょうの記事は、読みごたえがある。一部売りもあるから、ぜひ手にとりたいものだ。なにしろ「大飯原発再稼動」「消費税値上げ」という緊迫した内容を伝える。

     そのひとつが下記の「しんぶん赤旗・政治部長」の一文だ。めずらしいことだ。本質をずばりと突く記事である。

    公約と民意に背いて「決められる政治」とは
    政治部長 藤田健

    これほどの背信政権はない━。消費税大増税の3党合意や原発再稼働決定など、暴走を続ける野田内閣をみていてつくづくそう思わざるを得ません。

    「マニフェストに書いてあることは命がけで実行する。書いてないことはやらないんです。これがルールです」。2009年の総選挙でこう訴えていたのは、野田佳彦首相でした。

    "看板"投げ捨てて

    ところが、「4年間は消費税を上げない」といっていたのに、消費税10%への増税を自民、民主との密室談合で決めました。「後期高齢者医療制度は廃止する」「最低保障年金を創設する」。マニフェストにはこう書いてあったのに、増税とひきかえに棚上げし、政党の命というべき看板政策の最後のかけらまで投げ捨てる。そのうえ、政治の枠組みでも政権交代の看板を捨てて、事実上の「民自公悪政大連立」に走ったのです。こんな政権に政治を担う資格などありません。

    原発でもやってはならない再稼働を決定しました。しかも、「福島のような事故を起こさない」と新たな「安全神話」をふりまき、「ブラックアウト(突発停電)が起こるような状態があったときには大変な悪影響が出る」(10日)と国民をどう喝してのことです。

    圧倒的多数が反対

    消費税大増税も原発再稼働も、世論調査では圧倒的国民が反対しています。首相自身、この二つに環太平洋連携協定(TPP)を加えて、「国論を二分する話ばかりだ。二分どころか、むしろ反対する方が多いことばっかりだ」(5日)と認めています。

    それにもかかわらず、首相は「二分している問題にしっかりと責任をもって結論を出す」(10日)と正当化します。それこそ、「決められる政治」だというのです。

    「国論二分」というなら、それにふさわしい国民的討論を尽くしたのか、批判にきちんと答えられたのか。いずれもノーです。いま増税を強行すれば、国民の暮らしを壊し、経済も財政もだめにするとの批判に首相はまともに答えられません。国民的討論どころか、自民党や公明党など増税勢力とだけの「修正」協議を指示しただけ。国会では中央公聴会で消費税増税への批判が噴出している最中でした。国民の意見を封殺し、ホテルにこもっての密室談合に正当性はありません。

    しかも、10%増税だけは決めて、低所得者対策や増税分を価格に転嫁できない中小企業対策は先送りです。そのうえ、社会保障では自公政権時代の切り捨て路線に逆戻りする「社会保障制度改革推進法案」を含意。医療や介護の範囲を狭めること、財源は消費税とし増税と連動させることなど、今後の社会保障改悪の路線さえ敷いています。

    閉そく打開の道を

    「決められる政治」などといって決めているのは、国民の反対や拒否が強い、まさに民意に背く政策なのです。「二大政党」づくりも「決められる政治」も、国民を踏みつけにする政治を、財界いいなり、アメリカいいなりでおしつけるための仕掛けです。思考停止した巨大メディアが「決められる政治」をあおっているのも同様です。

    いま必要なのは、民意に背きつづける「二大政党」政治を根本から転換し、消費税増税に頼らない道、軍事同盟をなくす道を真剣に模索することです。深まるばかりの政治不信、閉塞(へいそく)感を打開するためには、この道しかありません。

    消費税増税と社会保障改悪「密室談合」許されない (2012.6.15)

    消費税増税 廃案に追いこもう(2012.6.15)

    2012/06/11

    日本共産党の最新動画・ニュース(5)

    生活保護は権利高橋議員「扶養調査で追い詰めるな」(しんぶん赤旗2012.6.8)

    大飯再稼働の条件なし 原発ゼロの政治決断こそ(しんぶん赤旗2012.6.1)

    (関連記事)

    首相「大飯は再稼働」/「安全神話」・脅しで 国民に押しつけ(しんぶん赤旗2012.6.9)

    夜の官邸前 怒りの4000人/“安全どこに”“ウソつくな”(しんぶん赤旗2012.6.9)

    許しがたい判断/笠井亮党原発・エネ問題対策委責任者(しんぶん赤旗2012.6.9)

    日本共産党の最新動画・ニュース(4)

    青年と志位さん熱くトーク/2時間半 感動のドラマ/大阪(2012.5.24)

    平和で豊かな沖縄へ全力/きょう本土復帰40年 市田書記局長が会見(2012.5.15)

    日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるか・全国革新懇総会 志位委員長の記念講演pdfファイル)

    施行65年 生かそう憲法/平和・くらし・被災地に/東京集会 志位委員長がスピーチ(全文「憲法と相いれない現実」を変えよう)(しんぶん赤旗・日刊紙2012.5.4)

    米軍への際限ない負担やめよ・井上議員の質問とコメント(2012.4.18)

    消費増税前提の予算認められない。山下よしき参議院議員(2012.4.5)

    各界懇談会 志位委員長が報告・「社会保障と財政危機打開の提言」各界懇談会を国会内で開催(2012.3.12)

    被災地に冷酷な政治 塩川議員が消費税増税を批判(2012.3.8)

    ふくしま復興共同センターと同放射能対策子どもチームが子ども署名の提出と省庁へ7項目の緊急要求

    「消費税ノー」の声全国で(市田書記局長2012.2.17)

    日本共産党の最新動画・ニュース(3)

    消費税・社会保障・財政危機 日本共産党の「提言」のポイント(小池あきら・日本共産党政策委員長)

    消費税大増税 論拠総崩れ(日本共産党志位委員長)

    消費税大増税 論拠総崩れ/社会保障良くならず 経済も財政も共倒れ/衆院予算委 志位委員長が質問(2012.2.11)

    暮らしも経済も壊す消費税大増税やめよ参院本会議 市田書記局長が代表質問自らの懐は温め 政党助成金、民主党に168億円被災地に冷たく 医療費無料化(90億円)見送り(→代表と質問)しんぶん赤旗2012.1.31)

    アメリカ・財界いいなり/「二つの害悪」断ち切る改革を/民主党政権/国政担う資格なし 解散し、審判仰げ/志位委員長が代表質問 衆院本会議(2012.1.28)

    2012年成人の日の街頭演説・青年への呼びかけ、笠井亮衆院議員

    2012年日本共産党・党旗びらき 志位委員長のあいさつ 45分

  • 日本共産党創立90周年 歴史に学び、新しい歴史をつくろう/強大な「革命政党」つくり総選挙で躍進を/党旗びらき 志位委員長あいさつ(2012.1.5)
  • 増税談合の場 設置反対

    日本共産党の最新動画・ニュース(2)

    2011年を振り返って・共産党市田書記局長

    許すな年金引き下げ!厚労省包囲・田村議員が情勢報告・(2011.12.15)

    国家公務員給与削減 国民全体に影響 穀田共産党国対委員長(2011.12.8)

    被災地にカジノやめよ/大門議員批判 “窮状につけ込む行為”/参院予算委(2011.12.7)

    ヘルパー時間短縮やめよ/参院委 田村氏、ずさん調査批判(2011.12.2)

  • 被災地元企業も対象に/高橋氏 新規立地促進税制で主張(2011.11.26)
  • 派遣法改定案 完全に骨抜き(2011.11.19)

    TPP交渉参加撤回せよ 笠井議員の質問 衆院本会議(2011.11.17)

    日本共産党の最新動画・ニュース(1)

    撤回求め、参加阻止へたたかいさらに/志位委員長が談話

  • TPP阻止へ連帯/JA全中・医療・消費者・議会関係者ら6000人/“国の将来のためたたかう”/東京・両国国技館 (しんぶん赤旗2011.11.9)
  • 東京でTPP阻止国民集会/志位委員長のあいさつ(しんぶん赤旗2011.11.9)

    TPP参加許すなNEW

    復興財源、TPP、普天間 三つの焦点 政府をただす志位委員長が代表質問(2011.11.1)

    TPPへの暴走許すな/「参加反対の一点で共同を」/志位委員長 アピール発表
    (2011.10.15)

    TPP国のかたちを変えてしまう大問題です号外ビラ

    選別と切り捨ての「復興」ではなく、すべての被災者の生活と生業を支援し、地域社会全体を再建する復興を/大震災・原発災害にあたっての提言(第3次)/日本共産党幹部会委員長志位 和夫(しんぶん赤旗2011.10.8付け)

    日本共産党救援・復興ブログ

    「赤旗PRツイッター」はじめた!?(1日に2回「つぶやく」そうだ。)

    選別と切り捨ての「復興」ではなく、すべての被災者の生活と生業を支援し、地域社会全体を再建する復興を/大震災・原発災害にあたっての提言(第3次)/日本共産党幹部会委員長 志位 和夫 (12011..0.8)

    志位委員長が日本記者クラブで講演(2011.10.5)

    除染対策 基準緩和するな/高橋議員「国は責任果たせ」、衆院復興特別委員会(2011.10.6)

    被災全医療機関に支援を市田書記局長が質問 "病院つぶし"転換せよ(11.9.29)

    原発災害から命と安全守れ志位委員長が質問衆院予算委員会(11.9.27)

    (→当日のパネルあり

  • 政党助成金 閣僚ためこみ5800万円/被災者よそに返還もせず(20111.10.4)
  • 「原発なくせ」の一点で/連絡会準備会の初会合(20111.10.4)

    「寅さん」の東日本大震災関連NEWS(NO3)

    No1(TOP頁)はこちらです。

    カネの力で原発推進/経団連が“通信簿”で要求/A評価の自民 変化した民主(しんぶん赤旗2011.4.22)

    原発輸出促進を批判、自・公・民で通す。共産党反対!(しんぶん赤旗2011.4.21)

    高橋議員が上からでなく地元から積み上げた復興を主張(2011.4.14)

    被災者の生活支援は緊急課題・市田書記局長会見(2011.4.13)

    危機打開へ 共産党の論戦と行動 ㊤/原発問題 「安全神話」ただし転換迫る (2011.4.16)

  • 日本共産党宮城県委員会
  • 日本共産党岩手県委員会 救援情報
  • 日本共産党福島県委員会
  • がれき撤去作業/感染予防の対策を/国立感染症研究所

    被災者の生活再建に具体的支援を(急げ!):衆院災害対策特別委員会・高橋ちづ子衆院議員[2011.4.7]

    どうする原発どうするエネルギー 日本共産党はこう考えます

    衆院産業委員会:「原発事故 英知結集し危機回避を」吉井英勝議員の質問[2011/04/06]

    原発事故 吉井議員質問ダイジェスト (2006.3.1以降~)

    共産党発行のビラ 最新号:随時掲載

    「どうする復興財源」・日本共産党はこう考えます。

    被災者のための支援制度の活用をNo4NEWPdf_fileicon_2

    被災者のための支援制度の活用をNo3Pdf_fileicon_2

    被災者のための支援制度の活用をNo2

    被災者のための支援制度の活用をNo1Pdf_fileicon_2

    被災者から相談/こんな場合はどうしたら(権利書が流された。亡くなった父が生命保険にはいってたかどうか、緊急融資・家賃・ローン・修理)(2011.4.11)

    地震に伴う法律問題Q&A(商事法務提供:法律家向けHP:無料で全文閲覧可能:「寅さん」などの素人にも役立つ。但し、出版が阪神淡路大震災時に出版された法律集。この頁に断り書きにあるように、最新の制度については各省庁の頁、共産党の上記の頁などで確認されたい。

    地球温暖化防止のためのNGO気候ネットワーク

    震災と雇用労働Q&A大阪京橋法律事務所

    原発問題 各党の政策・対応は(しんぶん赤旗2011.4.3)

    日本共産党の「主張」

    「原発事故被害の被災地に関する緊急申し入れ」(11.3.29)

    ----------------------------------------------------

    東日本大震災の避難所、被災地を訪れて要望を聞く志位委員長(11.3.26~27)

    日本共産党ムービー

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    【緊急メッセージ】
    吉井英勝共産党衆議員の国会討論議事録
    地震・大津波と炉心溶融にいたる原発事故は何度も警告してきた。

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    原発避難者に失業給付

    避難所のエコノミークラス症候群予防体操

    てんかん患者の薬の確保等ホットライン

    紙智子参議員の個人補償・公的支援等々:参院予算委員会:2011.3.22

    東北地方太平洋沖地震・各都道府県別放射線調査文部科学省

    YouTube消息情報チャンネル

    NHK福島第1原発関連ニュース

    NHK情報Twitter

    NHKリエゾン被災人(災害者支援情報・東北関東大震災「支援の絆」)

    全日本民医連対策本部情報

    東日本大震災の避難所名簿共有サービス(Google)

    福島原発Q&A(共産党のHP)

    放射線などのQ&A(放射線医学総合研究所)

    日本共産党地方議員・候補者の東日本大震災関連ツイッター

    東北地方太平洋沖地震関連情報
    (「寅さん」のブログ、「東北地方・太平洋沖地震」へ)
    「寅さん」のブログ、「世界で原子力発電の是非めぐる論議」:初出3.14記事を暫時追加中)

    東日本大震災の被災者の支援に全力を
    (日本共産党のHP)
    地震救援募金はどのように使われるのですか?
    震災募金/共産党に全国から6.6億円/2次分 自治体・農漁業団体に [2011.6.4]NEW
    義援金1000万円渡す/宮城県に共産党対策本部
    福島・岩手に義援金/党対策本部/各1000万円を手渡す
    全国から寄せられた救援募金/4県の市町に届ける/日本共産党)
    日本共産党に託された救援募金/第1次分 2億6800万円 被災地に
    共産党 救援募金4億円超える)[2011.4,7]

    原発を早期廃止 ドイツ政府と各州が合意
    (2011.4.17 しんぶん赤旗日刊紙)

    ---------------------------------------------

     「寅さん」は、今NHK「無縁社会」を見ている。「寅さん」のHPを見たのも、「なにかの縁」だ。[2011.2.11、20:30]

     貴方を世の中が待っている。10円あれば共産党に電話をしよう!

     電話番号は、ここにある。

      携帯の場合はここにある。

     バーコードは以下のとおり。

    Jcp_ofice

     とりえず話の相談相手は見つかる。

    (「寅さん」の「無縁社会のブログ」)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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    共産党の携帯のHPです。
    (入院などの予定?のある方は、上記携帯のページへどうぞ)

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    キーワードで探す「しんぶん赤旗」の記事

    列島だより:貴方のまちの記事があるかも?

    2011年志位委員長の新年のあいさつ(動画:YouTube

    Kiti_okinawa_keizai もし、沖縄から基地が無くなれば、生産・雇用・所得は「こうなる」。

     沖縄だけではない。日本のすべての米軍基地を抱える街は大きく発展する。

    米軍を追い出した、勇気あるフィリピンの国会議員たち、その後の経済はどうなった?(「寅さん」のブログ・「雇用も所得も大きく伸びる」

    もうだダメ、死ぬしかないちょっとまった。ここへ電話を。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    タイプミス(文字の変換など)が多々あります。分かり次第訂正していますので、再度訪問してください。その都度訂正箇所をHPのTOPに載せればいいのですが、300頁越えを今推敲する体力がありませんお許しください。

     尚、記事の内容は「しんぶん赤旗」の引用箇所以外は「寅さん」の考えであり「日本共産党の見解」ではもちろんありません。共産党の正式な見解、記事は共産党のHPをご覧ください。

    「寅さん」のブログで「写真」をクリックしても、「画面がスクロールしない」という場合、右クリックで「リンクを新しいウインドウで」開いてください。

    可能な限り「携帯」でも読めるように努力をしていますが、「携帯用」に作成していません。携帯の画面では”引用”部分と「寅さん」の文が判別できません。「です・ます調が引用」、「ある調」は「寅さん」の文と一応判断してください。

    東日本大震災以降「AC広告」なる「ものを売らない」不気味な「CM?」が流れてる。なんか「上から目線」が「寅さん」は気になる。

    「寅さん」の東日本大震災関連NEWS(No2)

    公式避難場所名簿検索サービス(yahoo) 25万人分を登録:実際は重複が含まれているといいます。携帯の場合は下記のバーコードを読み込んでください。(2012.5月現在はyahooの「復興支援・東日本大震災」となっていますが、リンク名は当時のままを残しておきます。下記のバーコードも同様です。)
    Qrcode_hitosagasi

    2次補正すみやかに/志位委員長 「被災者に希望と展望を」(上記の概略HTML版:しんぶん赤旗2011.5.13)

    「科学の目」で原発災害を考える/社会科学研究所所長 不破哲三(しんぶん赤旗日刊紙2011.5.14) (下記動画YouTube)

    (「古典教室」とは何か?というメールを数通いただいた。→「綱領・古典の連続教室」)

    福島原発事故 被害住民 「これは無計画避難だ」きょうから計画的避難 受け入れ先は確保されず/避難か処分か 家畜の対応深刻 (しんぶん赤旗2011.5.15)

    憲法集会での志位委員長のあいさつ。(2012.5.3)

    憲法集会での志位委員長のあいさつ(2011.5.3)

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    (上記バーコードは、あいさつのテキスト版携帯アドレス)

    東日本大震災の被災者支援に全力を
    日本共産党のHP

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    (上は上記頁の携帯バーコード)

    ボランティアをしたいが、どうしたらいいのか分からない青年は、まずここをクリックしてもらいたい。(2012年4月17日~5月6日までは、こちら

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    (上のバーコードは、携帯でのボランティア登録の頁)

    上記センターを志位委員長・市田書記局長・穀田党国会対策委員長・小池あきら政策委員長ら訪問(2011.5.6)

    Qrcode_borantelia
    (上記のバーコードはボランティア登録用ケータイサイト)

    日本共産党救援・復興ブログ開設(東日本大震災の救援・復興活動の情報や経験の紹介と交流ブログ)

    日本共産党救援・復興ツイッター

    災害弔慰金の国負担分を速やかに自治体に概算交付せよ

    母子家庭への施設利用呼び掛け(全母協)

    原発事故 首相「政府答弁は誤り」/衆院委「明確な人災」吉井氏追及のムービー(2011.4.26)

    原発事故そこが知りたい/これでいいのか津波対策(しんぶん赤旗2011.5.9)

    救援・復興に貴方のチカラを共産党ボランティアの登録開始

    災害救助法 最大限活用を/知られていない「国が食費負担」/服や食器も支給対象(2011.4.24)

    復興方針は“被災者(地)が主人公”で――国は財政支援に責任を/志位委員長が表明(2011.4.23)

    政府「東電データ未入手」/衆院経産委 吉井議員の追及に(2011.4.23)

    東京電力への天下り問題/米紙 共産党の追及を紹介(しんぶん赤旗2011.5.3)

    過去のタイトル(No2)はこちらにあります。

     「トップが重過ぎる」という声がありますので、2画面に分けました。同時に原発事故の収束の見通しが見えて来ないので、TOP頁の日付けを変更しました。リンクを貼っていただいてる方にお詫びします。

    「寅さん」の東日本大震災関連NEWS(No1)

    東電 黒塗り手順書/原発事故発生時の運転操作/過酷事故への対応は未提出(しんぶん赤旗2011.9.8)

    原子力協定強行でなく徹底審議を(穀田国対委員長が会見2011.8.24)

    危機をのりこえて新しい日本を党創立89周年記念講演 ダイジェスト(36分)

    原発「やらせ」 保安院の解体迫る(20011・8・5)

    原発「やらせ」 保安院の解体迫る(20011・8・5)

    東電は直ちに全面賠償を!被災農家放射能被害に怒り(11.8.3)

    日本共産党創立89周年記念志位委員長報告  (2011.8.1)

    東電救済 原発継続を前提/賠償支援法案 衆院委で可決/高橋議員が反対討論(2011.7.27)

    二重債務の解消にむけて/――日本共産党の緊急提案/2011年7月26日 日本共産党国会議員団(2011.7.27)

    ソニーの被災地解雇許すな/参院予算委 山下議員が追及(2011.7.22)

    再生可能エネに転換で 電気代減 雇用は増/アメリカ 中西部10州 科学者らが試算(2011.7.22)

    原発撤退し、政策の転換を吉井議員の質問 (2011.7.14)

    救援・復興にあなたのチカラを被災地ボランティア、各地の予定(※NEW「寅さん」より、「ボランティアが5月の連休に集中」し、「その後ボランティアの人数が少なくなった」とテレビが報じています。貴方の参加を呼びかけます。ボランティア活動への参加には、事前の登録が必要です。必ず、事前に問い合わせをして、詳細を確認してください。2011.7.17追加)

    原発再稼動 政府統一見解を批判・市田書記局長(2011.7.11)

    「原発ゼロをめざす7.2緊急行動」での日本共産党志位委員長のあいさつ。

    「原発ゼロをめざす7.2緊急行動」NEW(全労連の頁)

    最新の動画を見る 共産党の全ムービー)(yahoo video

    きれい・安い・安全 原発宣伝うそだった(2011.7.6)

    九電社長“やらせ”メール謝罪/玄海原発説明会で投稿を組織/「しんぶん赤旗」スクープ・笠井質問が動かす

    「原発安全宣言」にもとづく再稼働要請の撤回を求める/志位委員長、首相に提起/官房長官「知事反対なら再稼働できない」NEW

    原発賠償 現場は待てない山下議員の質問参院災害復興特別委員会(参院東日本大震災復興特別委員会2011.6.14)(しんぶん赤旗6.15付け)

    原発からの撤退 日本共産党が提言志位委員長が会見で発表 (2011.6.13)

    東日本大震災動画2011.6.12

    2011.5.6~5.9 3県訪問・聞き取りダイジェスト版

    原発作業員の健康に国は責任を田村議員の質問 参院予算委員会(11.5.21)

    吉井議員の原発問題の記者会見 2011.5.16

    (2011.5.17:日本共産党の提言・第2次分)

    (2011.5.16)

    (日本共産党の提言・第2次分)

    復興への希望がもてる施策、原発からの撤退をもとめる大震災・原発災害にあたっての提言(第2次)日本共産党幹部会委員長 志位 和夫(2011.5.17)(第1次分:2011.3.31)

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    放射能汚染から子と国民守れ/徹底した調査・除染・健康管理/日本共産党が対策を提言

    放射能汚染から子と国民守れ/徹底した調査・除染・健康管理/日本共産党が対策を提言(全文)

    なに?広島型原爆の20倍の放射能がもれた?

    2012/05/18

    リニア新幹線計画に反対する:日本共産党志位委員長会見

    リニア新幹線計画に反対する 東海道新幹線の地震・津波対策、大震災の鉄道復旧こそ 志位委員長会見

    日本共産党の志位和夫委員長は17日、遊説先の山梨県南アルプス市で記者会見し、JR東海が東京―大阪間で開業を目指しているリニア新幹線について党の見解を発表、「建設に反対し、計画の撤回を求める」と述べました。

     会見のなかで志位氏は、建設反対の理由について、次の5点をあげました。

     ―「輸送需要」「時間短縮」などに国民的な要望も経済的社会的な要請もなく、建設には“大義”がない

     ―事業失敗の「穴埋め」で国民への多大な負担と犠牲の押し付けが起きる危険性がある

     ―リニア建設でなく、東海道新幹線の地震・津波対策や東日本大震災からの鉄道網の復旧を行うべきである

     ―リニアは使用電力が新幹線の3倍以上で、エネルギー浪費型の社会、交通体系を導入することには道理がない

     ―運転手が乗車せず遠隔操縦で運行するなど、安全確保への大きな不安を“置き去り”にする建設になっている

     以上を指摘した志位氏は「リニア建設はやめるべきで、東海道新幹線の防災、東日本大震災の鉄道復旧に力を注ぐことが最優先されるべきです」と語りました。そのうえで、「リニアに『まちづくり』の将来をかけていいのか考えるべき大きな問題です」と提起しました。

     志位氏が言及したのは、リニアを口実に大型開発を推進しようという動きが始まっているということです。また、「空港や高速道路などを契機に失敗した大型開発は山のようにあります」とも指摘し、中間駅の建設予定地は過疎や高齢化に悩む地域も多く、道路や鉄道整備が地元自治体の負担になれば、財政力の弱い自治体を圧迫すると述べました。

     志位氏は「まちづくりの将来をリニアにかけていいのか。現に山梨でいまがんばっている農業や地場産業、中小企業を支援し応援していくべきです。リニアに頼るのは自治体にとってきわめて危険な道となります」と重ねて強調しました。

    しんぶん赤旗2012.5.18

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    (全文)

    リニア新幹線の建設に反対する 東海道新幹線の地震・津波対策、大震災の鉄道復旧こそ:2012年5月17日 日本共産党

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     日本共産党の志位和夫委員長が17日、山梨県南アルプス市での記者会見で発表した「リニア新幹線の建設に反対する――東海道新幹線の地震・津波対策、大震災の鉄道復旧こそ」は以下の通りです。

     JR東海は、東京―名古屋間を2027年に、東京―大阪間を2045年の開業を目標に、9兆円以上の資金をかけて、リニア新幹線を建設するとしている。2011年5月には、国土交通大臣が、交通政策審議会の答申を受けて、JR東海に「建設指示」を出し、現在、環境影響評価がすすんでいる。

     しかし、巨額の資金を投入して、リニア新幹線を建設する必要があるのか、何のために、いまリニア新幹線建設をすすめるのか、国民的な意義はどこにあるのか。大きな疑問が寄せられている。JR東海は、重要な公共交通機関であり、リニア新幹線による経営の悪化は、国民負担やサービスダウンなど、国民生活と経済に深刻な影響を及ぼす。

     ところが、建設費は、JR東海が全額負担するとしているために、需要予測が適正なのか、建設費負担にJR東海の経営が耐えられるのかなど、計画の基本に関する国民的な検証・検討はほとんど行われていない。なぜ、9兆円を超える巨額の投資を行ってまで、リニア新幹線を建設しなければならないのか、という根本問題で、JR東海からも、「建設指示」を出した政府からも、まともな説明がない。

     このような巨大プロジェクトが、まともな国民的議論もなくすすめられようとしていることは重大である。

    1、リニア新幹線の建設に反対し、計画の撤回を求める

     日本共産党は、以下の理由で、リニア新幹線の建設に反対し、建設計画を撤回することを求める。

     (1)リニア建設には“大義”がない――国民的な要望も、必要性もない

     東京―大阪間の輸送需要が今後、大きく伸びて、東海道新幹線がひっ迫するという事情はない。東海道新幹線の年間輸送人員は、この20年間でほとんど横ばいの状態である。第二東海道新幹線の建設を必要とする事情はまったくない。

     新幹線と飛行機が頻繁に運行している東京―大阪間で、1時間半程度の「時間短縮」への国民の強い要望や経済的社会的要請はない。

     まさに建設の“大義”がないのがリニア新幹線である。

     JR東海や国交省が、「地震・津波対策」としての「バイパスの役割」などと言い出したことも、この計画に“大義”がないことの裏返しである。東海道新幹線の地震・津波対策こそリニア新幹線より緊急に行うべき重要課題である。リニア建設のために、巨額の資金を今後30年以上にわたって投入することは、東海道新幹線の地震・津波対策、老朽化対策の大きな障害にならざるを得ない。

     (2)国民への多大な負担と犠牲の押しつけが起きる危険性――「JR東海=民間企業まかせ」ではすまない

     JR東海は、公共交通機関であり、「新事業に失敗したから倒産」とすることはできない。「穴埋め」のための公的資金投入=国民負担や、リニアの需要が予測通りに伸びないツケが、東海道新幹線の保守・点検、改修の手抜きや在来線の廃止など、リストラによる利用者へのサービスダウンにしわ寄せされる危険がある。

     JR東海は、2045年、リニア開通時の東京―大阪間の輸送需要は、並行する東海道新幹線と合わせて、現在の1・5~1・8倍になるとし、国土交通省の交通政策審議会もそれを追認している。このような「甘い見通し」で、9兆円ものプロジェクトを動かすのは無謀としか言いようがない。

     工事費も、着工すれば工事費が膨れ上がるというのが、この種の建設計画の常であるが、とくにリニア新幹線は、路線の約8割がトンネルで、その大部分が大深度地下(地下40メートル以深)、南アルプスの下を20キロメートルのトンネルを掘り抜くなど難工事も予想されている。

     建設計画推進は「JR東海まかせ」、うまくいかなかったらツケは国民に、ということは許されない。

     (3)リニア建設でなく、東海道新幹線の地震・津波対策、東日本大震災からの鉄道網の復旧などを行うべきである

     東日本大震災を受けて、JR東海として、あるいはJRグループ、日本の鉄道事業全体として、優先させるべきことは、リニア建設ではなく、東海道新幹線をはじめとした地震・津波対策である。とくに、最近の南海トラフ地震予測が発表され、津波の高さや浸水域、震度6強になる地域など、従来の想定を大きくこえる津波や地震が襲う可能性が指摘された。これへの対応こそ、緊急に行うべきである。

     同時に、東日本大震災で被災した鉄道の復旧も、復興の国家的な事業である。震災復旧はJR東日本、JR東海はリニアで良いのか。

     JR発足時に、旧国鉄の債務を24兆円も国民が「肩代わり」している。毎年、数千億円程度税金で穴埋めされているが、今も19兆円が「国の借金」になっている。9兆円もかけてリニア新幹線をつくる余裕があるなら、その利益の一部を国庫に入れ、「国民に返す」ことを考えるべきであり、それを東日本大震災で被災した鉄道の復旧などに充てるべきである。

     (4)エネルギー浪費型の社会、交通体系にするのか――使用電力は新幹線の3倍以上

     JR東海の試算でも、使用電力は新幹線の3倍以上とされている。実際に完成する路線の勾配(こうばい)などで、より多くの電力使用も指摘されている。原発事故も契機にして、省エネ社会への取り組みこそ求められている。こうしたエネルギー浪費型の交通体系を導入することにも道理はない。

     (5)安全性への大きな不安を“置き去り”にする建設は容認できない

     8割がトンネルで、大深度地下を走行するが、運転手は乗車せずに遠隔操縦での運行になる。事故や火災、地震などの災害から安全を確保できるのか、大きな不安がある。さらに、強力な電磁波が人体に与える影響の不安もある。

    2、リニアに「まちづくり」の将来をかけていいのか――“過大な期待による過大な投資”は地域経済を押しつぶす

     中間駅の建設予定地などでは、リニアを地域経済の活性化の「起爆剤」として、開発計画をたてようとしている。リニアを口実に大型開発を推進しようという動きが、すでに始まっている。これまでの空港や高速道路などを口実にした大型開発の失敗と自治体財政の危機、住民サービスの切り捨てという、全国のあちこちで、それこそ山のように起きた過去の過ちを繰り返すのか、問われている。

     しかも、リニア新幹線は、東京―名古屋―大阪間の1時間~1時間30分程度の時間短縮だけを目的にしたものである。従来の新幹線計画、整備新幹線よりも、はるかに極端な大都市間輸送中心の交通システムである。

     中間駅の建設予定地は、地域経済の疲弊や人口の減少、過疎と高齢化などの問題に悩むところも多い。それだけにリニアにかける期待、何とかすがりたいという気分も生まれる。しかし、中間駅の主要目的は旅客輸送ではなく、運行上の都合、緊急用の避難場所としてつくられる。地方都市から東京や大阪への旅客は相手にしていないために、在来線の駅との接続は眼中になく、まちづくりの計画とも無関係である。その結果、中間駅は、地方都市の中心からも離れた不便な場所につくられ、「駅まで1時間、東京まで30分」などと言われる。

     アクセスのための道路や鉄道整備が、地元自治体の負担になれば、もともと財政力の弱い自治体を圧迫する。リニアに過大な夢を託し、アクセスのための大きな投資が、まちを押しつぶすことになれば、リニアは、「夢の超特急」どころか、「悪夢」になりかねない。

     過大な期待で、過大な投資をすれば、そのしわ寄せが地域経済に押し付けられる。とくに、自治体や地方政治の役割として考えなければならないのは、公共投資だけでなく、住民や地元業者に、リニアに過大な期待をかけさせることへの責任もある。公共だけでなく民間の投資もリニアに合わせてすすめ、結果が「見込み違い」となれば、住民を大きくミスリードすることになる。地方自治体と地方政治の見識が問われている。

     新幹線開通後の地方経済をみると、「効果」だけではなく、「ストロー現象」の影響も慎重な検討が必要である。

     リニアにまちづくりの将来をかけていいのか、リニアだのみの活性化はきわめて危険である。

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    2012/05/17

    基地返還わずか 日米安保問う時 復帰40年沖縄の現実

    (→「基地返還わずか 日米安保問う時」2012.5.13しんぶん赤旗日曜版)

    沖縄が日本に復帰(1972年5月15日)してから40年。いまも沖縄は、米軍基地のほとんどが返還されず、在日米軍基地の74%が集中したままです。基地の歴史や沖縄の声から見えてくるのは━。 前田泰孝記者

    沖縄の基地は第2次大戦後、米軍が住民を"銃剣とブルドーザー"で追い出し造りました。

    Kiti_map_2

    地図は沖縄本島の基地(2万3187㌶)と、復帰後返還、返還合意されながら未返還部分を示したもの。返還は19%。いまも本島の19%が基地です。

    なぜ返還が進まないのか。那覇港湾施設や伊江島補助飛行場は復帰当初、返還で合意したのに「移設条件つき」で、行く先が決まらない、移設先が反対などで、米軍が居座り続けているのです。

    96年のSACO(日米特別行動委員会)合意で返還となった普天間基地は、返還条件である名護市辺野古への移設・新基地建設に県民こぞって反対。北部訓練場の一部返還もヘリハッド(着陸帯)の移設が条件で、移設先の東村高江の住民が強く反対しています。

    米軍再編で日米両政府は嘉手納以南の5基地(那覇港湾施設、牧港補給地区、キャンプ瑞慶覧、キャンプ桑江、桑江第1タンクファーム)の返還で合意しています。

    ところが、海兵隊部隊をグアムなどへ移設、残る部隊・基地機能を県内に移設━が条件だ、と両政府は4月末改めて確認。新たに幾重にも移設条件を設け、返還をより困難にしているのです。

    復帰40年の歴史は「移設条件つき」が障害であることを教えています。

    移設が、基地の強化になる場合も。

    普天間基地は復帰直後、返還された那覇基地(現、那覇空港・空自那覇基地)の一部移設を受け入れ滑走路を強化。その後、ハンビー飛行場機能の移設でヘリ基地の基礎を固め、ハワイから海外遠征ヘリ部隊を配備し「世界一危険な基地」に変貌しました。

    基地返還は移設や基地機能強化か前提━そんな米軍の横暴の根源にあるのが日米安保条約です。

    日本共産党の志位和夫委員長がいま各地の演説でこう訴えています。

    ━安保条約のもとでは普天間基地一つも日米合意がないと動かせない。しかし、安保条約第10条で通告すれば1年後に条約はなくなる。そうすれば基地の重圧から一挙に解放され、日本は憲法9条を生かした平和の発信地となり、経済主権の確かな保障もつくられる。

    基地撤去の声今こそ
    日本共産党県議団長 嘉陽宗儀さん

    日本共産党は1996年、普天間基地の名護市辺野古への「移設」=新基地計画が持ち上がった時から一貫して基地たらい回しでは問題は解決しないと訴えてきました。

    当初、名護市でも「移設」賛成の声が少なくなかったのですが、新基地建段の危険性を繰り返し伝え、2010年1月の名護市長選では、みなさんと力を合わせて、稲嶺進市長を当選させることができました。

    いまでは「県内移設」反対は、政治的立場を超えた県民の総意です。われわれ5人の党県議団もこの一点での共同に尽力しました。

    日米両政府はいま、「移設」を強行できなくなっており、基地固定化を許さないためにも基地撤去の声を強めることがいよいよ大事です。そのためにも米軍への基地提供の根拠となっている安保条約そのものの是非を問うていきたい。

    安保条約を廃棄し、日米友好条約に切り替えれば、基地のない平和で豊かな島を実現する道が開けます。TPP(環太平洋連携協定)のようなアメリカの経済侵略からも沖縄を守れます。復帰40年の県議選(6月1日告示、10日投票)では、この主張を訴えます。

    Tyatan

    返還で経済も発展

    北谷(ちゃたん)町にあった米軍ハンビー飛行場は1981年に返還され、跡地は大規模商業施設(写真)に生まれ変わっています。雇用誘発者数は返還前20人だったのが、いま5029人と252倍に、生産誘発額も2.86億円から596.5億円へと209倍に増えています。

    基地が全面返還されると、雇用誘発者数は、基地があった時の2.7倍、生産誘発額も2.2倍に増えます。(県、県議会調査)

    関連:「寅さん」のブログ

    日米安保条約 

    フィリピン・スービック

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    追加:

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     「日本国国民を欺瞞し之をして世界征服の挙に出づるの過誤を犯さしめたる者の権力及勢力」を「永久に除去」する。侵略した領土の放棄、日本軍の武装解除と戦争犯罪人の処罰、民主主義の復活・強化をはばむ障害の除去、言論・宗教・思想の自由と基本的人権の確立、再軍備を可能とする産業の制限。これらの目的が達成され、「平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立」された場合に「占領軍は直に日本国より撤収」することも明記していました。(→しんぶん赤旗2005.7.26 ポツダム宣言60年

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    日本共産党創立80周年記念講演会/二つの世紀と日本共産党〈上〉/中央委員会議長 不破哲三(しんぶん赤旗2002.7.11)(「寅さん」:「議長職」は2002年当時:現在は「議長職」はない。)

     ・・・・・日本が戦争に負けたとき、ポツダム宣言を受諾しました。これは連合国の共同の要求でした。そしてその実行を保障するために、連合国が日本を占領下におきました。これは、国際的な正当性を持っていました。しかし、そのときに、世界は、この占領が二十一世紀まで続こうとは、だれも予想をしていませんでした。

     ポツダム宣言には、この目的が達成され、日本の国民の自由に表明する意思にしたがって、平和的傾向を持つ、責任ある政府が樹立された場合には、「連合国の占領軍はただちに日本国より撤収せらるべし」(第十二項)、こう明記されてありました。

     ところが、その占領を担当した主力がアメリカ軍だったために、アメリカ政府は、このポツダム宣言にもとづく日本占領を、占領の途中から、事実上、アメリカの単独占領にきりかえ、自分が支配する軍事戦略の体制に日本を半永久的に組み込もうという、恒久基地化のたくらみをめぐらし始めました。・・・・・・・

    ・・・・・・・はっきりいって、安保条約とは、占領下の基地体制の骨組みを、条約の形で日本に押しつけた条約です。だから、最初の日米安保条約を一九五一年に調印したときには、自民党の前身である自由党と民主党以外には、国会でこれに賛成した党はありませんでした。

     一九五五年にこの二つの党が合同して、自由民主党を結党しました。この自由民主党でさえ、そのとき発表した「政綱」では、「独立体制の整備」という項目の最後に、「駐留外国軍隊の撤退に備える」、つまり、米軍撤退という目標を書かざるを得なかったのです。

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    2012/05/09

    「社会保障と税の一体改革」―年金/衆院本会議 高橋議員の質問

    「一体改革」法案に対する日本共産党の高橋ちづ子衆院議員の質問(8日、衆院本会議)は次の通りです。

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     日本共産党を代表して年金「機能強化」法案、被用者年金一元化法案について質問します。

     日本共産党は、一体改革という名の社会保障切り捨てと消費税増税に断固反対です。やるべきことは、小泉「構造改革」の下で福祉も自己責任として壊されてきた社会保障を、再構築することです。

     「社会保障と税の一体改革」の基本的認識をうかがいます。第一は、消費税増税が被災地復興を妨げる点です。

     帝国データバンクによると、東日本大震災による企業倒産は2月末で630件です。岩手県宮古市で靴屋を営む男性は、「増税なんてとんでもない」と訴え、大船渡市の漁師は、自力で作業場をつくり漁を再開しました。作業場の女性たちは「踏ん張る土台として、自宅を再建したい」と口々に訴え、集団移転の候補地も自ら探しました。「そんな時に増税なんて」と憤っています。多くのものを失い、多くをしょいこんでも再起をめざしている被災者に増税すべきではありません。

     第二に「後世にツケを回さない」ことを最大の眼目としている点です。

     1999年の厚生白書は「高齢者の労働意欲は、少子高齢社会に対する悲観的な見方を変えていくだけの力がある」と明言しています。

     1999年当時の65歳以上の労働力人口は475万人、2010年は585万人に増えています。総理がいう「騎馬戦から肩車型」はまやかしにすぎません。単純に20歳から64歳までを生産年齢人口として、高齢者人口で割っているからです。しかし1人の働き手は、高齢者だけでなく自分と子どもなども支えています。労働力人口を総人口で割ると、1人が約2人を支えるという割合は今後も大きな変動はないはずです。

     後世にツケ回しをしないというなら、支え手を増やすことが最大のカギです。政府与党は、労働者派遣法を骨抜き成立させ、有期雇用についての労働契約法改正案では、入口規制を外しました。不安定雇用を増やすだけではありませんか。パート労働者への厚生年金適用は当然です。必要なことは、「職場で一番ベテランになっても1円も昇給なし」などの実態を直視し、均等待遇を確立すべきです。

     第三に、そもそも社会保障や社会保険とは何でしょうか。

     社会保険は単なる民間保険とは違って、憲法25条の生存権を国が保障するという社会保障の役割を備えているはずです。

     ところが、政府・与党社会保障改革本部では、社会保障制度の基本的考え方は「自ら働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという『自助』を基本とし」、これを補完する共助と公助が位置付けられています。共助のシステムは「負担の見返りとしての受給権を保障する仕組み」として、「社会保険が基本」とあります。つまり「払わない人には給付がない」単なる保険制度にしてしまうということではありませんか。

     経団連は、消費税を少なくとも10%と、消費税増税の旗振りをする一方で「基礎年金は全額税方式」を主張し、社会保険料の事業主負担をなくすことを求めています。企業負担は諸外国からみても高いとはいえず、むしろ応分の負担を求めていくべきです。

     次に年金法案について質問します。

     年金の支給要件を現行25年から10年間にすることは、私たちも提案してきました。あわせて無年金、低年金の解消へ思い切った取り組みが必要です。

     年金給付の特例水準解消として、3年間で2・5%の引き下げなどは、とんでもありません。そもそも特例措置は00年以降、厳しい経済状況や高齢者の生活に配慮してきたものです。その後も賃金、物価の下落傾向は続いていますが、正規から非正規へのおきかえで賃金の減少などが原因です。介護保険料は今回も平均で1000円近く値上げとなりましたが、こうした社会保険料等は物価指数に反映しません。物価が下がっているといっても年金生活者の生活実感とはかけ離れています。

     2・5%引き下げはやめ、給付抑制策としてのマクロ経済スライドは廃止すべきです。

     政府は、低年金者対策として6千円を上乗せするといいます。基礎年金満額受給者であれば合計で7万円になり、民主党の最低保障年金制度に近づくという、単なる数合わせです。しかし基礎年金のみ、旧国民年金受給者数は10年度末で832万人になりますが、平均受給額は4万9000円にすぎません。

     わが党は、基礎年金の2分の1は国庫負担という現行制度を発展させ、保険料の納付実績に関わりなく、基礎年金満額の半分を国が保障し、最低保障年金制度をめざすことを提案しています。

     消費税増税以外に道がないという社会保障の将来に、若い世代が希望を託せるはずもありません。無駄遣いを見直し、大企業や富裕層に応分の負担を求めて新たな財源を確保すること、人間らしく働けるルールづくりを確立していくことこそ急ぐべきです。

    しんぶん赤旗・日刊紙2012.5.9

    言葉とは不思議なものだ。たとえ不思議な言葉でもマスコミで使われると一人歩きする。最近では「社会保障と税の一体改革」というのがある。

     これは「社会保障」のためには、「消費税値上げは当然だ」というものだ。

     ところが、「社会保障」と「消費税」が連動しないことがはっきりした。共産党があばいた。

     以下の表だ。(→「寅さん」のブログ)(→「消費税」)

    Hojinzei_2010062002_01_0

     なら、こういうのはどうだろう。「軍事費と税の一体改革」。

     一機100億円の戦闘機42機(4200億円)を買うというのはムダだ「消費税を引き下げよう」というのは。

     かつて自民党の「えらいさん」は「敵?が日本を攻めてくる確率」は「万々々々ヶ一にもない」といった。(→「軍事費を減らすのは心配?」)

    「万万万万」と四個「万」がつくと、何と読むのだろうか?万×万で1億、1億×万で1兆、1兆×1万・・・・? これは「日本に攻めてくる国はない」ということだろう。

     政府が言ったことだ。

     「攻めてくる国がない」のに年間約5兆円の軍事費だ

     それにマスコミなどが盛んに報じる「小さな政府」「公務員が多すぎる」などというが、自衛隊員の数は国家公務員の41%を占めるが、なぜか自民・公明・民主・みんなの党・大阪維新の会などは国家公務員である軍隊の削減を言わない。

    国が給与を払う国家公務員で一番多いのは自衛官で25万2000人と41%を占めますが、“聖域扱い”されています。(「寅さん」のブログ

     それどころか地方自治体を通じて今も自衛官の募集をしている。(→例えば大阪府

     パソコンも驚くような「万々々々ヶ1」の、「ほとんどゼロ」に近い数字だと分かりながら膨大な予算を注ぎ込んできた。戦後から累計すればどれだけになるか?それこそパソコンもびっくりするような額になる。すべて国民のふところから出た。

     先の戦争に反省しないでいる国・日本、核燃料は処分に困るほどある日本、小惑星から岩石を持ち帰るロケット技術がある国・日本、「憲法9条を破棄しよう」「核兵器をつくれ」「武器の輸出で軍需産業を振興せよ」「天皇を元首化する」などと叫ぶ日本、・・・アジア各国は、この日本を脅威に感じないだろうか?

     軍事費・大企業減税・金持ち減税・政党助成金・・・・

     ムダを削り、憲法が保障する国民の生存権を保障すべきだ。

     消費税引き上げなど大震災・原発事故で苦しむ国民には論外であろう。

    2012/05/04

    施行65年 生かそう憲法/平和・くらし・被災地に/東京集会 志位委員長がスピーチ

    施行65年 生かそう憲法/平和・くらし・被災地に/東京集会 志位委員長がスピーチ(全文)

    3日、東京・日比谷公会堂で行われた「輝け9条 生かそう憲法 平和とくらしに 被災地に 5・3憲法集会」で日本共産党の志位和夫委員長が行ったスピーチを紹介します。

    みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声、拍手)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

     憲法施行65周年の憲法記念日にあたって、私はまず、日本国憲法を守り、生かし、平和的・民主的原則が花開く日本をつくるために、力をつくす決意を申し上げるものであります。(拍手)

     憲法を生かした日本をつくるたたかいは、「憲法と相いれない現実」を一つひとつ変えるたたかいと一体のものです。今日は、いま私たちが直面している「憲法と相いれない現実」について、三つの角度から考えてみたいと思います。

    人々の生活と生存そのものを奪う原発事故――力あわせ「原発ゼロの日本」を

    原発事故は多くの人々の生活、生存、幸福を奪いつづけている

     一つは、「原発と日本国憲法」という問題です。

     福島原発事故の被害は、事故から1年2カ月後のいまも拡大しつづけています。今なお約16万人の方々が避難生活を強いられ、そのうち6万人は故郷を遠く離れた県外での避難生活を余儀なくされています。

     役場機能を埼玉県加須市に移転した双葉町の井戸川町長は、野田首相に対して、こう詰め寄ったといいます。「私たち双葉郡民を日本国民と思っていますか。法の下に平等ですか。憲法で守られていますか」。首相は「大事な国民です」(笑い)と答えたといいますが、町長が訴えたのは憲法の埒(らち)外においやられたことへの無念さだったと思います。首相の「答え」は答えになっていないのではないでしょうか。(拍手)

    原発事故は人々の生存そのものを奪っています。昨年6月に相馬市の酪農家が「原発さえなければ」と壁に書き残して自殺しました。復興庁の最近の集計では、避難で体調を崩し亡くなったり、自殺したりなど「震災関連死」と認定された方は、10都県で少なくとも1618人にのぼりますが、そのうち福島県が最も多い764人であり、その8割の約650人は双葉郡や飯舘村など避難区域のある11市町村だということです。原発事故は、急性の放射能障害による死者こそ出していないものの、多くの人々の命を奪いつづけているのです。東京電力はいまだに事故を「人災」と認めていませんが、彼らがやったことは社会的犯罪以外のなにものでもありません。(大きな拍手)

     浪江町は、復興ビジョンの策定にあたって、「子ども向けアンケート」を行っています。それを拝見しますと、子どもたちが今住んでいる場所は、「中通り」が42・5%、「会津地方」が3・9%、「福島県外」が40・2%、あわせて86・6%が故郷から遠く離れて暮らしています。「今住んでいる場所とは別に住んでいる家族がいますか」との問いに対して、49・4%の子どもたちが「いる」と答えています。約半数の子どもたちは家族がバラバラになり、一緒に暮らせなくなっているのです。「今の生活で困っていることは何ですか」との問いへの答えの断トツ第1位は、「浪江の友だちと会えなくなった」で78・6%であります。「大人になったとき、浪江町はどんな町になってほしいですか」という自由記述には、「もとのなみえ町にもどってほしい」という故郷への強い思いが切々とつづられております。

    原発と日本国憲法は両立しえない

     日本国憲法の前文には、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」とうたっています。憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、……最大の尊重を必要とする」と明記しています。

     ところが、福島県では、これらが根底から損なわれているではありませんか。地域社会が丸ごと避難をせまられ、「震災関連死」が後をたたず、子どもたちが家族とも、友だちともバラバラの生活を強いられる。福島県だけでなく日本全体に被害と恐怖は広がっています。原発と日本国憲法は両立しえない――これはいまや明瞭ではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

    「電力需給のために、多少の危険に目をつぶれ」という議論は成り立たない

     明後日、5月5日には、北海道泊原発が止まり、稼働する原発がゼロになります。私は、これは国民のたたかいが原発固執勢力を追い詰めた第一歩の重要な成果だと考えるものであります。(拍手)

     同時に、無謀な再稼働の押し付けとのたたかいは、これからが正念場となります。私が許せないのは、与党幹部の一人が、再稼働ができなければ「電力不足」で「集団自殺」になると脅したことであります(どよめきの声)。しかし、「電力不足」といいますが、その根拠は示されていないではありませんか。それにくわえて、私は、再稼働と電力需給をてんびんにかけようという議論そのものがまちがっていると思います(拍手)。「電力需給のためには、多少の危険に目をつぶれ」という議論は、こと原発に関しては成り立たないということを強く訴えたいのであります。(大きな拍手)

     みなさん。無謀な再稼働をやめさせ、原発という「憲法と相いれない現実」をなくそうではありませんか。力をあわせて「原発ゼロの日本」をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

    安保条約という「憲法と相いれない現実」をなくし、9条が輝く平和日本を

     二つ目は、「日米安保条約と憲法」という問題です。

     4月27日に日米両政府が発表した「米軍再編に関する日米共同発表」、5月1日の日米首脳会談でかわされた「共同声明」は、きわめて重大な内容をもっています。

    安保条約の名のもとに沖縄をふみつけにする政治を許してはならない

     一つは、沖縄県民が一致して反対している普天間基地の「辺野古移設」を「唯一の有効な解決策」と固執するとともに、「沖縄における米軍駐留の長期的な持続可能性を強化する」と将来にわたって米軍基地の居座りをつづけると宣言したことです。沖縄県民の頭越しの「日米共同声明」に強く抗議したいと思います。(拍手)

     1971年、祖国復帰直前に、琉球政府の屋良朝苗(やら・ちょうびょう)主席が日本政府にあてた「建議書」はつぎのように訴えていました。「県民が復帰を願った心情には、結局は国の平和憲法の下で基本的人権の保障を願望していたからに外なりません」。殺人、暴行、「銃剣とブルドーザー」による土地強奪、絶え間ない事故と犯罪、筆舌につくしがたい米軍基地の重圧に苦しんだ沖縄県民は、平和憲法のもとに復帰することを希求したのであります。

     しかし、復帰とともに県民の前に立ちあらわれてきたのは、平和憲法ではなく、安保条約という野蛮な力でした。それはいまなお猛威をふるい、「基地のない沖縄」への最大の障壁となっています。琉球新報は4月28日付の社説で、「沖縄をいつまで日米安保の踏み台にするのか」と指弾しました。

     安保条約の名のもとに、日本国憲法が保障したはずの平和、人命、人権をないがしろにする政治を、もはやこれ以上許してはなりません。(「そうだ」の声、拍手)

    「動的防衛協力」――「集団的自衛権」行使への道を絶対に許すな

     いま一つ、「日米共同声明」にはきわめて重大な問題があります。それは、日米の「動的防衛協力」を初めてうたったことです。

     「動的防衛協力」とは何か。米軍と自衛隊が、海外に打って出て、共同の軍事行動を行うことです。グアムとテニアンに、日本国民の税金を投入して、日米両軍が共同使用する「訓練場」を建設し、共同訓練を行い、有事に共同行動をする能力を高める――ここまで「日米共同声明」には明記されています。政府は、有事の共同行動の具体化の一つとして、イランによるホルムズ海峡封鎖のさい、自衛隊による米軍艦船への給油、機雷除去などを検討していると報じられています。

     憲法9条を踏み破り、「日米が海外で肩をならべてたたかう」――「集団的自衛権」行使への道を絶対に許すわけにいきません。(大きな拍手)

    憲法か、安保か――どちらが21世紀の日本の羅針盤にふさわしいか

     この道を進もうとすれば、どうごまかそうとも憲法9条とは両立しなくなります。この間、衆参両院の憲法審査会が始動し、自民党、みんなの党など改憲各派が憲法改定案を発表し、そのどれもが9条改定に標的をあわせているのは偶然ではありません。

     今年は、憲法施行65年であるとともに、日米安保条約が発効して60年の年です。その歴史は、憲法と安保の激しい攻防の歴史でしたが、ここに来て、憲法と安保とはいよいよ両立できなくなったとの感を深くいたします。

     みなさん。憲法か、安保か――どちらが21世紀の日本の羅針盤にふわさしいかが問われています。日米安保条約という「憲法と相いれない現実」をなくし、基地のない沖縄と日本、憲法9条が輝く平和日本をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

    橋下・「大阪維新の会」の危険――人権と民主主義守る国民的共同をよびかける

    荒唐無稽な理屈で憲法9条への憎悪をむき出しに

     三つ目に、私は、橋下・「大阪維新の会」にふれないわけにはいきません。(拍手)

     「維新の会」は国政進出を狙って、「維新八策」原案なるものを出しました。そこには9条改定の国民投票、参議院の廃止など、憲法改定の主張が明記されています。どれも、手あかのついた古い改憲論のむしかえしです。橋下氏は、“(被災地の)がれき処理が進まないのも9条のせいだ”などという(笑い)、荒唐無稽な理屈で9条への憎悪をむき出しにしています。「維新八策」は、坂本竜馬の「船中八策」をもじったものだそうですが、竜馬が怒っていると思いますよ。(笑い、拍手)

    憲法で保障された基本的人権を土足で蹂躙する恐怖政治・独裁政治

     ただ、この潮流は、ただの改憲派ではありません。人権と民主主義を窒息させる憲法違反の政治を、口で言うだけでなく現実に実行しているところに、特別の危険があると、私はいわなければなりません。(大きな拍手)

     大阪市の全職員対象の「思想調査」、府立高校の「君が代」斉唱のさいの「口元チェック」、「教育基本条例」と「職員基本条例」――そのすべてに流れているのは、憲法で保障された思想・信条・良心の自由、教育の自由を土足で蹂躙(じゅうりん)し、「(国民)全体の奉仕者」であるべき公務員を橋下氏の「下僕」に貶(おとし)め、人格を丸ごと隷属下に置こうとする恐怖政治・独裁政治以外のなにものでもありません。(「そうだ」の声、大きな拍手)

    この「憲法と相いれない現実」に、目をつぶったり、傍観することは許されない

     みなさん。日本国憲法第12条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」とのべています。私は、橋下・「維新の会」という「憲法と相いれない現実」に、目をつぶったり、傍観することは、許されないと思います。

     橋下氏は、貧困を利用し、国民に分断を持ち込み、危険な道を押し付けようとしています。ならば、国民的連帯でこたえようではありませんか。私は、この歴史の逆流の野望を打ち砕くために、人権と民主主義を守る国民的共同をつくることを心から呼びかけるものです。(大きな拍手)

     ありがとうございました。ともに頑張りましょう。(歓声、大きな拍手)

    (しんぶん赤旗2012.5.4)

    2012/05/03

    憲法施行65周年記念日にあたって 日本共産党市田書記局長が談話

    日本共産党市田書記局長が談話

    日本共牽見の市田忠義書記局長は、3日の憲法記念日にあたって、次の談話を発表しました。

    一、今年の憲法記念日は、施行65周年という記念すべき区切りの年です。しかし、日本国憲法がもつ先駆的な精神と原則は、自民党や民主党政権のもとで、ないがしろにされ、ゆがめられてきました。東日本大震災に見舞われた被災者の生活や営業は、1年前の被災直後とほとんど変わっていません。東京電力福島第1原発の事故によって避難を余儀なくされた県民は16万人余(うち県外避難者は6万人超)にのぼり、生活の再建どころか、いまだに自宅や故郷に戻る具体的展望も示されず、あたかも憲法のらち外に投げ出されているかのような状況におかれています。いまこそ、政府・国会があげて、憲法の諸原則にのっとって被災者・避難者の生活再建と生業の補償、国民生活の前進向上のために力をつくさなければなりません、

    一、こうしたときに、憲法を真っ向から否定する動きが急速に広がっていることはきわめて重大です。民意を圧殺する国会議員定数の削減や、国民の知る権利を奪い国民監視体制の確立につながる秘密保全法制定の策動など、憲法の民主主義的原則を否定する動きが急浮上しています。とりわけ、昨年、憲法「改正」の発議ができるとされる憲法審査会が衆参両院で始動したことによって、改憲論議が新たな段階を迎えようとしていることは軽視できません。改憲をめざす勢力は、この場で「非常事態の規定が憲法に明紀されていない」などと呼号し、それぞれ党としての改憲案を公表しています。一方で、現行憲法の息の根を止めようとするこうした策動にたいし、全国各地に広がる「九条の会」や、憲法改悪反対共同センターに結集した団体や幅広い人びとのたたかいによって、憲法改悪を阻止し、その平和的民主的諸原則を生かす政治を実現させるための世論と運動も確実に広がっています。

    一、今年は「日米安保条約発効60年」であり、この面からもわが国の今後の進路が根本から問われています。戦後67年を経ても、いまなお沖縄をはじめ日本全国に130以上の米軍基地がはりめぐらされています。ところが、日本政府は、「基地をなくして」という悲痛な叫びに耳を傾けるどころか、沖縄県民の総意に真っ向から挑戦して、新たな軍事基地の建設を強行しようとしています。しかも、アメリカいいなりに、グアムなど米国領土内の米軍基地増強に日本国民の税金をさらに投入し、海外での日米軍事一体化を強めようとしています。こうした軍事同盟強化の路線をやめさせ、安保条約をなくしてこそ、憲法の精神を生かして世界とアジアの平和に貢献できる日本を建設することが可能となります。

    一、日本共産党は、憲法にもとづいて国民の命とくらしを最優先にした政治を実現することを求めるとともに、日米軍事同盟=日米安保条約をなくし、自主・独立の日本、平和・人権・民主主義が花開く日本を築くために全力をあげるものです。

    (しんぶん赤旗2012.5.3)

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    (潮流)

    日本では、死者の99・9%が火葬に付されています。火葬の削合が、世界でもっとも高い国といわれます

    ▼宮内庁が、天皇や皇后が亡くなった時も火葬にするよう検討を始めます。天皇の場合、江戸時代から350年あまり土葬が続いてきました。いまの天皇みずから、火葬を望んでいるそうです

    ▼宮内庁は、意向をくんで、「象徴」としての立場にふさわしい葬儀のあり方を考える、といいます。「火葬がふつうの日本で、象徴天皇が火葬を望んでもおかしくない」との反響もきかれます

    ▼そんな折、自民党が、天皇を象徴に加え元首にすえる「憲法改正草案」を出しました。元首。「一国を代表する資格をもった首長。君主国では君主、共和国では大統領あるいは最高機関の長など」(『広辞苑』)。自民案の前文の書き出しはこうです。「日本国は、…国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって…」

    ▼「象徴」とはいえ「象徴」にとどまらない、主権者国民の上に立つ天皇像です。自民案では今の憲法と違い、天皇は憲法を擁護する義務を負いません。反対に、国民主権はぼやけます。「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」。今の憲法にはない条文です。政府や公務員に守らせ権力の乱用を防ぐのが、憲法の何よりの役目ですから

    ▼「日の丸」「君が代」を国旗・国歌と定め、「国防軍」をもっという自民案。その「尊重」を国民に迫るとは一体…。ちなみに、天皇制をなくすかどうかは、将来、国民の総意で決める事柄です。(2012.5.3)

    関連

    改憲へ「行動起こす」/新憲法制定推進大会開く(2012.5.2)

    各党から続々改憲案 この異常/9条改定 軍隊保持…(2012.4.29)

     「寅さん」は憲法でびっくりしたのは、小泉元総理がイラクへの自衛隊派遣について、「憲法の講釈を垂れた」ことだ。

     曰く「前文に次のようにある。『われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって』、だから日本だけが平和であってええわけない。イラクへ派兵するのは当然だ」。

     これをテレビの前で堂々と言ってのけた。「寅さん」は、さすが「小泉さん」だと驚いたことをはっきりと覚えている。

     たしかに、憲法前文に「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって」と書いてある。

     しかしこれは、絶対主義的天皇制下のもと「秘密国家」、小林多喜二など虐殺しても平気な「公安国家」「帝国主義的侵略国家」「人民抑圧国家」・・・・戦前の日本国家が「自国日本のみのことに専念し、他国を無視した」結果を反省した言葉である。

     それを「イラク侵略」の正当化に使うとは小泉氏の「憲法観」をよくあらわしている。

     もうひとつ忘れてならないのは、憲法は戦後、戦前の反省の上にたって、国民が政府、国家権力に突きつけたものなのだ。だからこそ「天皇・国家公務員」はもちろん「地方公務員」も就職する時は「憲法に誓うことを誓約」される。

     「寅さん」も「国家公務員試験」に合格し、某省に就職した。第99条[憲法尊重擁護義務]により、「憲法」に誓うことを誓約した。

     しかし中には「憲法に誓約したが」軍隊を作った連中がいてる。

     さらに今2院制をなくし、国会議員を削減し、少数政党を締め出すという憲法違反のことが行なわれようとしている。

     憲法のどこかを「改悪」されると、「もうしめたもの。なんでもあり」という時代が来ることは目に見えている。「非常事態の規定が憲法に明紀されていない」から「明記」するのだと、「改憲」されると、次は「憲法第9条だ」のどとなりかねない。

     「非常事態の規定」とは何か?

     「寅さん」などは戦前の「非常事態宣言」を想起する。

     憲法9条を持つ国として、「非常事態」など起こらないように平和外交をするべきである。日米安保条約で、アメリカの「ケツ」を追い回していると、アメリカが行なう他国との戦争に付き合いさせられる。(→「寅さん」のブログ トマス・ペイン 「コモンセンス」)

     原発事故は「平和に生きる権利」「生存権」「幸福追求の権利」「職業選択の自由」を奪った。目の前の東日本大震災の復旧・復興を放り出し、民主主義を亡き者にし、憲法を葬り去ろうとするのは、震災に便乗する「独裁国家」の出現でないだろうか?

     「寅さん」は「いつか来た道」の「きなぐさ」をかいでいる。

     再びいう。憲法の「尊重擁護義務」のあるのは、「天皇・大臣・国家議員・裁判官、その他公務員」であることを強調しておく。

    第九十九条[憲法尊重擁護義務]
    天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、 裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う。
     

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    「寅さん」の憲法関連ブログ

    関連:

    憲法会議

    2012/04/26

    訪問介護4月から時間削減 急いで買い物あわてて料理

    この4月から介護保険制度の改悪がされた。利用時間の基準「60分を45分にする」というものだ。「寅さん」もときどき利用したから大変なことが起こる。

     この制度の改悪は多分2度目だ。まず、「利用者との会話はムダ」ということを言った。

     高齢者の楽しみの一つは「ひととの会話」だ。

     だから、ヘルパーさんとの会話なしでことが運ぶ。高齢者にとっては実に淋しい思いだ。

     「寅さん」は「介護1」から「要支援2」になった。

     このことを「かかりつけ医」に話した。

     「寅さん」:先生、私「介護」から放り出され「要支援2」になりました。

     「医師」:いや「寅さん」それは違います。「寅さん」の「体の調子が良くなった」と理解すべきです。

     「寅さん」:でしたら、先生、私の体の調子が年々本当に良くなってるのですか?

     「医師」:そうは言えないが・・・・・・

     どうも曖昧だ。

     「寅さん」は、この「介護の認定」を昔から疑っている。

     「寅さん」は大手術のあと退院するとき院長先生から「寅さん、10年は頑張りましょう」と言われた。当時としては「平均の2倍」程の長さであり、明らかに「寅さん」を激励してくれたものだ。「寅さん」はあり難いと思った。「がんばるぞ!」

     で、今がある10年を3年も上回っている。

     最近はあまり体調がすぐれない。ブログのUP回数も少なくなってきたことが証明している。

     「要支援」にもっとカネを注ぎ込むべきだ。「要介護」にならないようにするために。

     ところで「60分から45分」になったらどうするのか?

     料理を途中でストップされるのだろうか?

     洗濯してもらっても「干す時間」はどうなるのだろうか?

     次から次へと悪い方向に考えが及ぶ。

     高齢者を心配させていいのか! この親不孝者目が!

     記事を読むことにする。(しんぶん赤旗日曜版2012.4.22

    介護保険の制度が4月から変わり、ヘルパーか買い物や掃除、調理、洗濯などを行う訪問介護の生活援助サービスの時間が減らされています。介護の現場で何が起きているのかを追いました。坂本健吾記者

    生活援助の現場から

    埼玉県で一人暮らしの女性(94)=介護保険の認定が要介護1=は、1回90分の生活援助の時間が4月から70分に減りました。

    「3月まではヘルパーに買い物と床の拭き掃除、料理の下ごしらえをしてもらっていたけれど、いまは買い物で手いっぱい」

    女性は脊柱管狭窄(きょうさく)症の手術をしており、「自分でカバーしたいが、床掃除は難しい」と話します。

    「ヘルパーは急いで買い物をしても時間が足りない。必死になって掃除をするが、雑になりがちです」と話すのは、同市の事業所の介護福祉士さん。

    「ヘルパーは、利用者の身体状況や気持ちの変化を確認します。時間が減ると、そうしたことが置き去りにされてしまう。一緒に調理などをするのも利用者の自立支援ですが、時間がかかるためできないのは心苦しい」

    生活援助の時間はなぜ減らされたのか。国が介護保険の給付を抑制しようとしているからです。介護保険から支払われる介護報酬は実質0・8%のマイナス改定です。(4月実施)

    生活援助の基準時間は、3月までは「60分未満」と「60分以上」で分けていましたが、4月からは「45分未満」と「45分以上」で分けました。

    実際の生活援助の時間は、3月までは「60分程度」と「90分程度」でした。ところが、4月からは、「20~45分程度」と「60~70分程度」になったのです。

    「90分程度」がなくなったため、「60~70分程度」に減らす事業者が出ています。「60分程度」を「45分程度」に減らす事業者も出ています。

    「45分程度」を午前と午後の2回行い、「90分程度」を維持する方法もありますが、利用料は上がります。

    全国展開するある介護事業者は、介護報酬の改定に合わせて、生活援助の時間を可能な限り90分から60分に変えました。一方で、この事業者の幹部は、「60分が45分になるのは怖い」と言います。実際には60分必要でも、45分しか介護報酬が認められなくなるとみているからです。

    別の介護事業者の幹部も「今回の改正はだいぶこたえる」と言います。

    生活援助が減らされた分を、「15分500円」など介誕保険外の自費負担で提供する介護事業者も出ています。

    要支援の人も削減

    利用者のケアプラン(介護サービス計画)をつくるのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。

    「私が担当していた利用者の女性は重いものを持てず、歩くのも大変ですが、生活援助の時間が90分から60分に減ったため掃除を減らさざるを得ませんでした」。こう話すのは、東京都江東区のケアマネジャーの女性です。「利用者が生き生きと人間らしく生活できるようにしたい。しかし、制度が変わるたびに『壁』が増え、利用者の生きる希望を失わせつつあります」

    川崎市のケアマネジャーは3月末、事業所から「45分以上の生活援助はできなくなった」と言われました。

    生活援助の時間削減は要介護の人が対象で、より軽い要支援の人は対象外です。ところが、今回の時間削減とは関係ない要支援の訪問介護(予防給付)も、時間が減らされています。

    要支援の人を担当する千葉市の地域包括支援センター職員が話します。

    「予防給付についても、事業所は1回60~70分に減らすと言ってきています。90分を続ける事業所はーカ所だけ。利用者も『みんなが60分になったのに自分だけ90分では気が引ける』と、90分の利用を辞退しています」「90分から時間を削った上で、『自費でどうか』と提案する事業所も少なくありません」

    「基本の45分」撤回すべきだ共産党が主張

    生活援助の時間削減に対する介護関係者や国民の批判がひろがる中、国も一定の手直しに踏み出しています。厚生労働省が3月に出した「介護報酬改定に関するQ&A」は、60分や90分程度のサービスを「見直し後も継続して提供することは可能」と明記しました。ところが、根本の介護報酬改定はそのままです。

    「混乱の原因は生活援助の時間区分を短縮したことにある」「45分を基本にというのは、今からでも撤回すべきだ」

    日本共産党の田村智子参院議員は国会でこう主張。小宮山洋子厚労相は「混乱があるのは申し訳ない」としつつ、撤回しませんでした。(3月28日の厚生労働委員会)

    2012/03/26

    「貧困死」を防げ

    各地で相次ぐ「孤立死」や「餓死」・・・・、その多くは、深刻な貧困の状況のなかで声を上げることさえできず亡くなった「貧困死」でした。いま何が起きているのか━。現地を訪ねました。前田泰孝、那須絹江記者(しんぶん赤旗日曜版2012.3.25号

    2012_gasi

    介護受けられず
    東京・立川母95歳、娘63歳

    東京都立川市の都営住宅。この一室で7日、母(95)と娘(63)の遺体が発見されました。死後約一カ月。母の胃に内容物はなし。介護していた娘が先に亡くなり、母は衰弱死とみられます。

    「娘さんは介護に困っていたが声を上げられなかった」。母娘と十数年来の付き合いがあるOさん(85)が語ります。母は認知症。要介護2の認定をうけていたのに、介誕サービスは受けませんでした。

    「うちの収入は年金だけなので、(介護サービスは)無理。自分で頑張る、と言っていた」と。母の俳個(はいかい)を防ぐため部屋のドアは内側からひもで結ばれていました。

    介誕サービスを申請できない2人に行政の対応はなし、住民が都営住宅を管理する東京都住宅供給公社に異変を連絡したのに、安否確認もしませんでした。

    保護申請させず
    札幌40代姉妹、役所に相談3回

    厳寒の札幌市━。

    1月20日、白石区のマンションで40代の姉妹の遺体が発見されました。死後約一カ月。姉(42)が脳内血腫で病死。知的障害のある妹(40)は助けを呼べず、料金滞納でガスも電気も止められた部屋で凍死しました。

    姉は失業し、2010年6月から3回、区役所に生活保護の相談に行きました。収入は妹の障害者年金月6万5千円だけ。5万円の家賃も払えない状況でした。それでも市は、生活保護申請書さえ渡さず、国民健康保険未加入も放置しました。「本人が保護申請の意思を示さなかった」という市。日本共産党の伊藤りち子市議は厳しく批判します。(1

    「面接受付票からも生活悪化がわかる。申請すれば間違いなく保護すべき状況だった、と市も認めた。しかし区は3回とも『懸命なる就職活動』が保護の要件と、事実上追い返した。救えた命が救えないとは・・・」

    Mensetu

    前出の立川市で「孤立死」対策のための訪問活動を続けている日本共産党の吉岡正史・衆院東京21区選挙区候補(38)が語ります。「暮らしと社会保障がズタズタにされた政治の結果、介護や保護が必要な人が放置されている。そんな政治をどうしても変えたい」

    ・・・・・・・・・・・・以上1面、以下2面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    1面で紹介した札幌市。年間5000件の生活相談を受けるなど活発に活動しているのが「北海道生活と健康を守る会連合会」です。「生活保護申請は誰にでもできます」というビラを一軒一軒に配布しています。細川久美子副会長は話します。

    「生活保護の申請は誰にでもできる。しかし、役所の窓口では、『受給』するための条件が、あたかも『申請』するための条件のように説明される。根本には福祉を抑制したいという国の意向がある」

    ビラや街頭演説で「守る会」を知って相談し、生活保護を受けることができたケースが相次いでいます。

    59歳の男性は生活保護を申請したものの「家賃が基準より高いので引っ越しが必要」と言われ、受けるのをやめました。その後、電気もガスも止められ、スーパーの試食で食いつなぎました。スーパーにあった冊子で「守る会」を知り、最後に残っていたテレホンカードで電話。「守る会」の援助で生活保護の受給ができました。

    東京都立川市

    東京都立川市。1面で紹介した母娘のように介護認定されていてもサービスを受けない人は市内に約1000人います。「立川市南部東はごろも地域包括支援センター」の森田憲英センター長は「要介護者なのにサービスに手をあげなかった人は、行政側には情報がこない仕組み」と指摘します。(2

    住民の生活状況を把握すべき民生委員も、対象は65歳以上の高齢単身者が中心。立川市の見守りネットワーク事業は、本人が希望するか、周囲が見守るよう届けないと対象になりません。亡くなった母娘もどちらの対象にもなっていませんでし。

    北九州市

    北九州市では2008年から「いのちをつなぐネットワーク推進課」という専門セクションを設け、市内7区に16人の係長を配置しました。きっかけは07年に50代男性が「おにきり食べたい」とメモを残して餓死した事件。自治会などの住民団体に加え、水道・電気・ガス事業者、宅配、新聞など26団体を巻き込み、滞納や配達などの際、情報を集めています。

    日本共産党北九州市議団の石田康高団長は「日本共産党などの運動で生活保護行政を変える中でこのようなとりくみがはじまった。しかし孤独死・孤立死をなくすという体制が不十分であり、もっと行政が前面に出て責任を明確にする必要がある」と指摘し、その対策強化を求めています。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    地域の総合福祉サービス構築急げ
    明治学院大学社会学部教授(地域福祉論)
    河合克義さん


    「孤立死」は、少なくとも20年以上前から起きていますが、このように各地で連続して表面化している事態は異常です。

    背景には高齢者のみ世帯の急増があります。1980年には親と既婚の子どもとの同居率は5割超でしたが、2005年は4分の1以下です。内閣府も高齢単身・夫婦のみ世帯は、15年に1161万世帯(うち単身は562万世帯)と推計しています。

    しかも、東京都港区の一人暮らし高齢者の32%は生活保護基準以下の年収150万円未満となっています。(11年調査)

    対策の一つは生活保護の受給です。港区の一人暮らしの高齢者でも、生活保護基準以下で暮らしている人のうち実際に生活保護を受けているのは1割半程度です。

    もう一つは、声をあげられない人たちにどう働きかけるかです。介護保険のサービスを受けているのは全国的にみても高齢者の13%程度で、8割以上の高齢者には事実上対応できていません。地域包括支援センターもできましたが、人員が少なく、介護予防中心です。

    介護保険ができる前、公的ヘルパーは地域の高齢者をまるごととらえようとしていました。こうした、行政が地域の高齢者に働きかけていく総合福祉サービスの構築が急務です。財源も介護保険まかせにせす、国が貰任を持つことが重要です。

    生活困窮者助ける行政システムを
    「全国『餓死』『孤立死』問題調査団」を結成、「生活保護問題対策全国会議」代表幹事
    弁護士尾藤廣喜さん


    貧困に起因する「餓死」「孤立死」などの日本からの根絶をめざし、「全国会議」と「全国公的扶助研究会」「全国生活保護裁判連絡会」などで調査団をつくりました。

    今年に入って全国で「餓死」「孤立死」が相次いでいます。その背景に、貧困が拡大深化しつづける一方で、生活保護をはじめとする社会保障が抑制されているという構造的問題があります。

    2009年の日本の貧困率()は16%に達し、年々悪化しています。最低賃金はほとんど上がらず、非正規労働者は増えつづけ、失業者も高止まりしているからです。

    「餓死」「孤立死」をなくしていくには、まず

    ▽窓口での申請をしっかり受け止めるなど、生活保護を受けやすくする

    ▽何らかの生活困窮のシグナルが出ている場合、行政がキャッチできるようシステム化を図る━ことなどが求められます。

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    家族しか頼れない
    日本の異常な事態

    フランスの社会保障を研究してきた県立広島大学保健福祉学部教授
    都留民了さん


    「孤立死」でなく「貧困死」というべきです。国民の生存権の問題で、国の責任が問われます。

    フランスでは、家賃・ガス・電気料金を滞納しそうなとき、すぐ役所に申し出れば役所が負担する。困窮したら生活保護は当たり前で、国民の1割以上が受給しています。日本でも堂々と受給できるようにしなければなりません。(3

    今日の貧困は、路上生活者や派遣切りされた単身者だけでなく、家族のある人ものみ込んでいます。公的福祉サービスが切り捨てられ、家族にしか頼られない異常な事態です。家族は支えきれず、家族もろとも死にいたったのです。

    日本では、政府も認めるように7人に1人が貧困者ですが、生活保護を受けているのは
    国民の1・5%程度にすきません。「貧困死」は、どこで起こっても不思議ではないのです。日本でも生活保護を堂々と受けられるようにし、受給者を増やさなけれはなりません。

    (→pdfファイル)

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    )貧困率(→「寅さん」のブログ

     以下「寅さん」の「わしもチョットは考えた」だ。

    1)姉は失業し、2010年6月から3回、区役所に生活保護の相談に行きました。収入は妹の障害者年金月6万5千円だけ。5万円の家賃も払えない状況でした。それでも市は、生活保護申請書さえ渡さず、国民健康保険未加入も放置しました。「本人が保護申請の意思を示さなかった」という市。

     生活保護は「どうしたら受けられるの?か?」

     この疑問が起こる。「どうすりゃいいの」?

     役所に行くと、いろんなパンフが陳列されている。

     しかし、国民に今もっとも密接すると言ってもいい「生活保護」に関するパンフがないのだ。

     「そりゃウソだ!」と思われる方は、一度近くの役所を訪ねてもらいたい。

     生活保護の申請書はもちろん置かれていない。

     住民票や戸籍抄本などの申請書はあるのに。

     「寅さん」は確信を持って言う。

     「生活保護制度は国民に隠されている」と。これだ。

     札幌市の姉妹の「貧困死」の場合、市当局が血の通った行政が行なわれていたならば、この姉妹の「申請」を待たずに生活保護が適用出来た。

     生活保護法に次のようにある。(→「寅さん」のブログ

    第七条 保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

     次のような状態は「急迫した状況」にならないのか?

    1月20日、白石区のマンションで40代の姉妹の遺体が発見されました。死後約一カ月。姉(42)が脳内血腫で病死。知的障害のある妹(40)は助けを呼べず、料金滞納でガスも電気も止められた部屋で凍死しました。

     「寅さん」は、行政の怠慢だと思う。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    2)「要介護者なのにサービスに手をあげなかった人は、行政側には情報がこない仕組み」と指摘します。

     そうなのだ。介護保険は強制なのに、保険を「引き出そう」と思っても、「どうしたら引き出せるのか?」、これが十分国民に徹底されていない。

     だから、どこかで書いたが、「介護を受けたいが、どこの病院に言えばいいの?」などという疑問が出てくる。すでに制度ができて10年も経つのに。

     記事にある「介護保険のサービスを受けているのは全国的にみても高齢者の13%程度」の中に、「サービスを受ける方法が分からない」という人も相当数含まれているのではないかと、「寅さん」は思うのだが。

     サービスを受けたい場合、役所の「地域包括センター」(通称「ほうかつ」)に電話しよう。電話番号は地方自治体に電話をすれば、つないでもらえる。(→全国の自治体

     「地域包括センター」は、「生活保護申請」部署よりも温かい。「車椅子を借りたいのだが」などと気軽に相談しよう。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    3フランスでは、家賃・ガス・電気料金を滞納しそうなとき、すぐ役所に申し出れば役所が負担する。困窮したら生活保護は当たり前で、国民の1割以上が受給しています。日本でも堂々と受給できるようにしなければなりません。

     日本の生活保護受給者は何人いるのか。

    主張/生活保護制度改悪/最後の“安全網”を切り裂くな(2011年8月8日(月)

    厚労省は、今年4月時点の生活保護受給世帯が146万2197世帯となり、受給人数は202万人余だという数字を発表しました。最も多いのは高齢者世帯の42・8%ですが、働ける現役世代を含む「その他世帯」が16・7%といちばん増え幅が大きく、「就労支援」で、受給の抑制をはかるべきだと盛んに宣伝しています。

     政府もマスコミも生活保護200万人を超えたことで、「生活保護抑制論」を盛んに振りまいている。

     しかし、なぜ生活保護世帯が増えたのかの原因を探ることが必要でないのか。

     派遣労働・非正規雇用・倒産・失業・貧困の連鎖・・・・・様々な言葉が浮かぶ。一方大企業には減税、膨大な軍事予算・・・・・この格差社会に根本的なメスを入れるべきであろう。

     それに消費税値上げが庶民を襲う。

     日本のGDPはフランスより高い。

     フランスでは1割の人が生活保護を受けている。日本の人口にすると1400万人となる。

    生活保護基準が定める最低生活費を下回る所得しか得ていない世帯が705万世帯にのぼり、そのうち、実際に生活保護を受給しているのは108万世帯(15・3%)にとどまることが厚生労働省の推計で9日にわかりました。国がこうした調査を行うのは1965年以来です。

     現行の生活保護は受給要件が厳しく、所得が最低生活費を下回っても、貯蓄が最低生活費の1カ月分未満でないと受けられません。この要件を満たす337万世帯に対しても、保護を受けている世帯の割合は32・1%にとどまります。

     また、総世帯に占める生活保護基準未満の所得の世帯(保護受給世帯を含む)の割合は14・7%。母子世帯に限ると74・3%にのぼります。

     推計は、2007年の国民生活基礎調査を使って行ったもの。各地の生活保護基準から個々の世帯の最低生活費を計算し、その世帯の所得と比べました。

     この計算では、最低生活費に家賃分や医療・介護費などが含まれていません。これらを含めれば最低生活費が上がり、それに満たない所得の世帯数はさらに増えます。低所得世帯に対する保護受給世帯の割合はいっそう低下することになります。(しんぶん赤旗2010年4月10日)(「寅さん」上記「主張」の1年前の記事と数字だが)

     政府統計で15・3%だ。単純に考えても7倍の生活保護基準以下の世帯・人口があることになる。すると200万人×7=1400万人。これはフランス並(1400万人)の人数だ。

     「寅さん」は何を言いたいのか。

     「フランスは低所得者を救うが、日本は大企業を救い、低所得者は救わない」と言いたいのだ。「生活保護抑制論」のマスコミの責任も大いにあることを書いておく。

     それでは共産党の経済政策はどうなってるのか?

     共産党は数字に裏打ちされた「提言」を発表した。

     民主党政権は「じっくりと」読んでみてはどうか。

    2012/03/04

    統制と競争 橋下教育条例の危険な構図 ③違法のクビ乱用条例

    "ロボット"先生つくる

    大阪教育基本条例案のもう一つのねらいは、教員を命令どおりに動くロボットのような存在にすることです。

    その象徴が「同じ命令に3回違反した先生はクビ」という前代未聞の職員基本条例案の処分条項です。言いなりにならない人間は存在を許さない。恐怖政治を連想させます。

    しかし、このクビ切り条項は、明らかに法に抵触します。もっとも想定されるのが、入学式などで「君が代」強制に従わない場合ですが、この1月、重すぎる処分は違法とする最高裁判決が確定しました。裁かれたのは、東京都教育委員会。起立斉唱命令に違反した場合、1回目で戒告処分にすることは認められましたが、2回目、3回目と処分を重くしたことは、職権乱用で違法と判決を受けました。

    人の心を追いつめる

    最高裁の言うように「君が代」への態度は、戦前の侵略戦争と関係しているだけに、個人の歴史観の問題です。その意味で体罰やセクハラと次元が違います。ところが学校式典は入学式、卒業式と年に最低2回。違反のたびに処分を重くすれば、短期間で大きな不利益となる。それはあまりに不合理だというのが判決の趣旨です。「違反2回で減給」「違反4回で停職1カ月」のケースが違法とされました。大阪の「違反3回でクビ」は、それをはるかに上回ります。(別表)

    Kubi

    ところが橋下氏は居直りました。違反した先生に「もう違反しません」と宣誓させ、それでも違反すればクビは当然だ、と。しかし、そういう宣誓はクビにしていく手続きにすぎません。重すぎる処分は何も変わりません。「思想調査」と同様、人の心を追いつめて平気でいられる体貧が顔をあらわしました。

    入学式などで国歌国旗をどうするかは、学校で決めるべきです。そして、起立斉唱を決めた場合も「自分の信条で歌えない人はそれでよい、歌いたい人が歌う」とするのが、民主主義のルールにかない、みんなで力をあわせて式を成功させる道です。

    世界から見ても、日本の強制はきわだっています。アメリカでは、公立学校で国旗への忠誠宣誓を子どもに強制する州の行為は合衆国憲法違反だという連邦最高裁の判決があります(1943年、バーネット判決)。その後、州法では、宣誓を拒否する子どもや先生の参加免除などが定められました。(別項)

    大事なことは、クビ切り条例は一部の教員の問題ではない、ということです。処分の脅しで支配されたとき、学校全体が命令に服従する、自分の頭では考えない雰囲気に包まれます。これは教育の死につながります。

    最大被害者こどもたち

    「教員の仕事は、専門職とみなされる」(ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」)というのが教員についての世界のルールです。目の前の子どもをどうやって教えていくのか。先生は専門家として、自分の頭で考え、自分の判断で対処していく以外ありません。医師が目の前の患者に対するように。また先生自身が、主体的な心をもった人間であってこそ、子どもと人格的にふれあえ、大切なことを伝えられます。

    教員に服従を求める条例案。その最大の被害者は、人間の顔を失った教育を受ける子どもたちです。

             ◇

    大阪教育基本条例案の原理は、権力統制、競争原理、そして命令。古くさいものばかりです。ここに未来の教育の姿はありません。

    戦後教育は長年の保守政治により、出発の理念が無視されてきました。世界では子どもの権利条約など新しい流れが起きていますが、日本はそこからも取り残されています。閉塞(へいそく)状況を打ち破るのは、子ども、保護者、教職員、住民の参加による、戦後の理念にたちかえった改革です。その具体化を図ることが急がれます。(おわり)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    世界は強制ノー アメリカの例

    忠誠宜誓の復唱に反対するいかなる児童・生徒または教師も、罰を受けることなく、参加を免除されるものとする。(ミシシッピ州法)

    しんぶん赤旗2012.3.4)

    (その②

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    「寅さん」の休憩室

     ちょっとご無沙汰の休憩室だ。

     きょうはぜひモーツァルトと思ったが、2階に上がるのがつらい。

     で、「寅さん」の休憩室(「寅さん」の書斎、というほどのものでないが、とにかく「寅さん」一人居てる部屋)にあるものの中から一枚を回すことにする。

    Siki  このLPのジャケットも「STEREO」を強調している。

     MONOとSTEREOの境界線にあったのだろう。

     ヴィバルディー作曲

     四季

     イ・ムジチ (PHILIPS)

      れいによって「出版」(?)の期日がない。

     ところで音楽之友社の「クラシック不滅の名盤1000」という本(2007年)に1000枚のCDの名盤が掲載されている。

     よく読むと、「究極の100枚」というのがある。その中の1枚にこの「イ・ムジチ」版がある。それによると「1961年3月」とある。

     すると「寅さん」は50年も前に買ったことになる。

     と、言いたいが、若干遅れる。

     なぜかというと、あまりの人気に「生産が追いつかなかった」状態が続いた。

     当時、「寅さん」は地方都市に通勤していた。

     県都である。もちろんレコード店も何軒かあったが、その中に「売る」よりも「うん蓄」を語るのが好きという親爺さんの店が好きだった。

     で、必ず土曜日には立ち寄った。

     ある日「寅さん」が店に入ってゆくと「ようきた。待っていた」と聴かせて貰ったのが、きょう聴く「イ・ムジチ」の「四季」である。

     当時、多くのレコード好きもバロック音楽を聴くという人は「寅さん」の回りにはなかった。「寅さん」も同じだ。

     ところが、ほんの1年程で「バロック音楽」が日本中に広がった。そのきっかけをつくったのがこの1枚である。

     上記の本(「究極の100」)では、あまりいい評価をされていないが、でも100枚に入っている。以下のようにある。

    ほぼ半世紀前に《四季》を、あるいはヴィヴァルディを世に広めた記念すべきアルバムである。バロック演奏史として見ても、確かにこの録音はその入口付近に建てられた記念碑であった、この記念碑を目標に、あるいは出発点としてバロックの森の中に進んで行った人も多いことだろう。しかし以上のことは遥か大昔の話。今となってはその記念碑も風化がはなはだしく、バロック演奏の本道筋からはほとんど忘れ去られている状態だろう。それでもいまだにCDが売られており、愛好されている向きもある・・・・というのが不思議なところで、あるいはこういったアルバムこそが(逆説的なから)不減の名盤なのかも知れない。(音楽之友社「クラシック不滅の名盤1000」)

     「忘れ去られた状態」というの「寅さん」には理解し難い。

     ところで、「イ・ムジチ」のMONO版がNAXOSにある。(1956年、MONO)

      もちろん「寅さん」は「出発点」の方だ。

     以降、バッハなどに親しむようになった。

     音楽を聴く喜びを広げてくれた大切な一枚である。 

    2012/03/03

    統制と競争 橋下教育条例の危険な構図 ②教育格差の拡大 

    弱肉強食 高校つぶし

    効率や競争原理を教育に徹底させる。「橋下・維新の会」の狙いの一つはそこにあります。

    ます、大阪府の条例案をみてみましょう。条例案は、「三年連続して定員に満たない高校」を「再編整備の対象」とするとしました。少子化のもと、冷酷な高校つぶしのしくみです。松井府知事は、「お客さん(生徒)が少なくて店員(教員)が多い」高校は消えて当たり前と言い切りました。

    検討もなく学区の廃止


    しかし、定員割れの高校はいわゆる"困難校"です。結果的に学級の人数が少ないことで、手のかかる生徒たちをより丁寧に支えられます。廃校は、そうした居場所を奪います。効率の名のもとの弱肉強食です。

    生徒の数全体が減るのなら、大きすきる40人学級を欧米並みの少人数学級にする好機ととらえるのが本筋です。それを高校つぶしに利用しようというのが条例案です。

    さらに条例案は、高校学区を2年後の4月になくすことも盛り込みました。何の検村も経ない、性急な学区の廃止です。公立高校の序列化がさらに広がり、中学生はより厳しい競争を強いられます。

    義務教育でのねらいは、学校選択制と全国学カテストの学校ごとの結果公表です。いずれも、橋下徹大阪市長は、市議会で実施の意向を表明しています。

    学校選択制と全国学カテストの組み合わせは、イギリスのサッチャー政権が二十数年前にはじめた政策です。平均点が高い学校への生徒集中を促し、点数が低い学校は廃校にする。敗者退場。市場原理で学校を「活性化」させるという新自由主義政策です。

    ところがその結果は、人気校の周辺の地価があがり、裕福な層しか通えなくなるなど教育格差の拡大でした。08年の英下院報告は、テスト対策で教育がゆがんだと警告。すでにイギリスの四つの地方のうち三つの地方で全国学カテストは中止です。

    日本はそのイギリスのあとを追いました。しかし選択制を導入した地域では、都心で新入生ゼロの小学校がうまれたり、「人気校」は過密校になったり、地域のつながりも薄くなるなど弊害が生じ、見直しが始まっています。

    習熟度別のクラス編成

    さらに、橋下氏は「小中学生の留年」「習熟度別クラス編成」の検討を市教委に要請しています。「前々から小中学校では習熟度別の話、さらに最後の姿が留年制度と思っていた」と述べました。

    ADHD(注意欠陥多動性障害)の小学生の父親は「ハードルを投げられればうちの子は留年。人間を成積だけで測っていいのか」と声を詰まらせました。現実性に乏しく、人間性に欠ける施策と言わざるをえません。

    橋下氏は「できない子どもを底上げするため」と正当化します。しかし、それなら他に方法はあります。

    補習授業や子どもの個別指導などのための教員加配、思い切った少人数学級、授業準備の時間の保障(先生は過労死ラインで働いても、授業準備時間は国基準の3分の1しかとれません=国調査)、「落ちこぼし」を生みだす国の学習指導要領を再検討し、大事なことにじっくり時間をかけて教えられるようにするカリキュラム研究。

    国連・子どもの権利委員会は、くりかえし日本政府に世界に例がない競争教育の改善を勧告しています。「維新の会」はそれに背を向け、時代遅れの競争の道に子どもを導こうとしています。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    義務教育での留年

    法的には可能ですが、ほとんど例はありません。ヨーロッパで留年が多い国がありますが、高校受験が基本的にない、大学が無料で入学時期に幅があるなど、日本と異なる環境のなかでのことで単純に比較できません。

    (→その①

    しんぶん赤旗日刊紙・2012.3.3付け)

    2012/03/02

    統制と競争 橋下教育条例の危険な構図 ①権力介入 復古派と共鳴 戦後教育の否定 

    橋下教育条例の危険な構図①

    松井一郎大阪府知事は2月23日、「大阪教育基本条例案」を府議会に提案しました。昨年9月「橋下・維新の会」の提案した条例案が、国民の強い批判を受け、国からも「違法」と断定され、手直しを余儀なくされたものです。ところが、出てきたものは本質的に同じものです。しかも「維新の会」は次期衆議院選挙公約に同様の法律制定を掲げました。思想調査を平然と行う「橋下・惟新の会」は教育をどうしょうとしているのか。その危険な構図を考えます。(しんぶん赤旗日刊紙3月2日付け)

    2月26日大阪市内・靖国派の教育団体「教育再生機構」が条例推進の集会を開きました。壇上には松井知事と安倍晋三元首相の姿。安倍氏が「戦後レジームからの脱却」を訴え「条例は私たちの方向と合致している」ともちあげれば、松井氏は「自民党も(府議会で)賛成を」と訴えます。復古派による戦後教育の否定と条例案の一致という構図が、鮮やかに浮かび上がりました。

    統制反省が戦後の理念

    安倍氏らが敵視する、戦後教育の理念。それは軍国主義教育への反省から国民がつかみ取ったものです。これからの教育は子どものために行う、だから政治が教育を統制するようなことはやめる。それが理念の核心でした。

    この核心は戦後直後の教育基本法に結実しますが、安倍内閣のとき改悪されました。しかし、政府や自治体を拘束する一つの文書があります。1976年の「全国学力テスト最高裁判決」です。憲法判断が争われる際に開かれる最高裁大法廷が、憲法下の教育のあり方を判断しました。

    そのベースは、「教育は、教育を施す側の支配的権能でなく、子どもの学習する権利に応えるための大人社会の責務」だという考え方です。国家主義的な教育の否定です。

    そして、政治と教育の関係について最高裁が示した判断は━。

    まず、教育現場の自主性が確認されました。「教師は公権力によって特定の意見のみを教育することを強制されない」「教育は教師と子どもとの人格的接触により、個性に応じて行われるものだから、教育の具体的内容・方法についてある程度の自由裁量をもたないといけない」などです。

    ただし教育は国家的事業です。そのとき、国はどこまでモノが言えるのか。最高裁は国家的介入を全否定はしないが、「できるだけ抑制的」であるべきだとしました。「政党政治の多数決原理による国政上の意思決定では、教育に政治的影響が深く入り込む危険がある」からです。地方政治も同じことが言えるでしょう。(判決文は一部要約)

    教育委員は当初選挙で

    こうした理念は、戦後生まれの教育委員会にも貫かれています。

    戦前は知事が学校教育を直接支配していました。それを知事から相対的に独立した教育委員会をつくり、そこで主な教育行政を行うようにしたのです。現行法では、教育委員会は公立学校に関わるすべての業務、首長は大学や私立学校、教育予案作成等を行います。

    教育委員は当初、住民選挙で選ばれていました。しかし法改悪(1956年)で、首長任命となり、国への従属も強まるなど、その民主的性格は後退しました。しかしそれでも、保護者や研究者が教育委員になるなど、教育への権力介入抑制にある程度役割を果たしています。

    条例案は、その権力介入抑制を取り払います。

    その象徴は「教育振興基本計画」です。知事が案を教育委員会と協議して作成し、府議会の議決をへるとされています。教育委員会と協議といっても、意見が合わなけれは知事の意見が優先です。要するに、知事と議会に「基本計画を決める権限があるわけです。

    条例案からは当初の学カテスト結果公表などの事項が落ちました。しかし、それらが「基本計画」に入れば結果は同じです。橋下徹大阪市長は「習熟度別クラス編成」「留年制度」などの施策を次々主張しています。「基本計画」がそうしたものを何でも入れる器となれば、子どもと教育に多くの困難や苦しみがもたらされます。

    知事頂点の「基本計画」

    「基本計画」が決まったあとは、教育委員会は知事と進捗(しんちょく)状況を管理し、毎年一緒に点検・評価をさせられます。各教育委員は毎年、「基本計画」にどう取り組んだか自己点検し、それをみて知事は委員を罷免できます(この罷免のやり方は違法です。

    学校には、「基本計画」をふまえた学校共通の「指針」が「指示」されます。校長は、「基本計画」とその「指針」をふまえ「学校経営計画」を定め、その通りの学校運営が求められます。知事を頂点とした上意下達の教育です。

    知事が前のめりとなり、議会と一緒に、教育委員会を押さえ込んで学校教育に手を入れていく。こうした条例案は戦後教育の原則に反し、公立学校に関する権限を教育委員会に振り分けた現行法に違反せざるをえません。

    なお、条文には保護者の学校運営への参加など世論も加わっています。しかし、だとすれば、教育への権力的介入という条例案本体をやめなけれはなりません。(つづく)(藤森毅・日本共産党文教委員会責任者)

    Kouan_no

    (→その②

    2012/02/27

    公務員賃下げ法案 「廃案へ力尽くす」/志位委員長が会見

    公務員賃下げ法案 「廃案へ力尽くす」/志位委員長が会見

    日本共産党の志位和夫委員長は23日、国会内で会見し、国家公務員の給与を平均7・8%も大幅に引き下げる法案が衆院本会議で可決されたことについて、三つの問題点を指摘し、「どこからみても道理のない暴挙であり、強く抗議するとともに、廃案のために全力でたたかいぬく」と表明しました。

     第一は、国民全体の所得低下、内需の縮小、不況の悪循環を加速する引き金を引くという問題です。

     志位氏は、国家公務員の給与は、地方公務員や独立行政法人の職員など約600万人の給与に波及し、民間賃金にも影響を及ぼすものになっていると指摘。「公務と民間の賃下げ競争をもたらし、内需をさらに縮小させ、デフレの悪化を招く。経済を悪化させ、財政破たんもひどくする道だ」と述べました。

     さらに志位氏は、給与の引き下げが消費税増税の“地ならし”と位置づけられていることは非常に重大だと指摘。「労働者全体の賃下げを進めた上に、消費税大増税で実質所得を奪えば、暮らしも経済もめちゃくちゃにする」と批判しました。

     第二は、二重の意味で憲法に違反しているということです。

     志位氏は、国家公務員の労働基本権が憲法の定めに反して制約されていること、そのもとで代償措置としてつくられた人事院勧告制度さえ無視したものだと批判。「二重の意味で憲法に違反しており、労働者の人権が幾重にも蹂躙(じゅうりん)されることは、許しがたい。いま国会がなすべきは、全面的な労働基本権の回復にこそある」と主張しました。

     第三は、この法案が、民主、自民、公明の「密室談合」による「議員立法」として持ち出され、総務委員会でのまともな審議もなく強行されたという問題です。

     志位氏は、「政府提出の法律を、ともかくも労働者の意見も聞いた上で通したというものでもなく、3党だけで『議員立法』という形で突然国会に持ち込み、労働組合の代表の意見もまったく聞かず、まともな審議もなく強行した。内容だけでなく、形式のうえでも、絶対に許せない民主主義破壊の暴挙だ」と強く批判しました。

     「暮らしと経済を破壊し、憲法に背き、手続き上も民主主義を壊す――幾重にも道理のない暴挙だ。院外のたたかいとも連携して、参議院で廃案に追い込むために力をつくす」と表明しました。

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    公務員賃下げ法案可決総務委 塩川議員が反対討論/衆院本会議

    民主、自民、公明3党が提出した国家公務員給与削減法案が23日、衆院本会議で採決され、3党などの賛成多数で可決されました。日本共産党、社民党は反対しました。

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    同法案は、平均0・23%削減を求めた11年度人事院勧告(人勧)を昨年4月にさかのぼって実施した上で、12、13年度に平均7・8%削減するものです。

     本会議の採決に先立って、総務委員会で、日本共産党の塩川鉄也議員が反対討論に立ちました。

     塩川氏は、「国家公務員にたいする労働基本権の制約をそのままにしながら、その代償措置である人事院勧告制度さえ無視して、一方的な不利益を国家公務員に押し付ける二重の憲法違反になる」と厳しく批判。「労働基本権の全面的な回復こそ国会がやるべきことだ」と主張しました。

     また、東日本大震災被災地の国家公務員からも例外なく給与を削減することは、復興に逆行するものだと批判。さらに、国家公務員の給与削減が、地方公務員や独立行政法人など約600万人に及び、民間労働者の給与にも大きな影響を与えることを挙げ、「国家公務員給与の大幅削減は、国民全体の所得減少の悪循環をまねき、内需を冷え込ませ、財政の悪化をもたらす」と強調しました。

     さらに、自民・公明両党が地方自治体にも、公務員給与引き下げを押し付ける改悪修正を行ったことは、地方経済をさらに冷え込ませると批判しました。(しんぶん赤旗2012.2.27)

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    「寅さん」も最末端の公務員を10数年務めた。当時人事院の勧告があっても無視した。

     「人勧無視あるいは値下げ」→「労働者の賃下げ」となる。理由は「国家公務員も賃下げされたのだ。お前らも賃下げは当然だろう」→「一般の労働者が賃下げされたのだから公務員の賃下げは当たり前」→→これがグルグル回る。

     ところで、国家公務員の賃金水準はこれだけではない。他に多くの影響が出てくる。最低賃金制や生活保護制度などなどだ。

     だから国家公務員が「賃上げ」を叫ぶ時、国民は応援する必要がある。

     社会全体の底上げに繫がっているもの、それが国家公務員の給与である。

    (この段落2013.1.15追加)

    2012/02/18

    違憲・違法な「思想調査」直ちに中止せよ 志位委員長が会見 無法行為の矛先は市職員だけでなく、全市民・国民にむけられている

    日本共産党の志位和夫委員長は16日、国会内で記者会見し、橋下徹大阪市長による職員への思想調査について、

    「無法行為の矛先は市職員だけでなく、全市民・国民にむけられている――違憲・違法な『思想調査』をただちに中止せよ」

    との談話を発表しました。 

    一、橋下徹大阪市長が、全職員を対象に、「労使関係に関する職員のアンケート調査について」という名目で、政治活動への参加の有無、投票行動にかかわる問題、組合活動への参加の有無、組合活動についての考え方などについて、憲法違反の「思想調査」をおこなっていることにたいして、労働組合、民主団体、法律家など、広範な人々からきびしい批判の声があがっている。

     一、この「思想調査」は、すでに多くの人々から指摘されているように、第一に、憲法第19条に保障された思想・良心の自由、第21条に保障された政治活動の自由を乱暴に蹂躙(じゅうりん)するものである。さらに、第二に、憲法28条に明記された労働組合の正当な活動を侵害する不当労働行為である。

     しかも、この「思想調査」は、「処分」で威嚇しての「市長の業務命令」という形をとり、異常な権力的強制をもってすすめられている。

     憲法順守義務を負う自治体の長が、幾重にも憲法を蹂躙して、職員の思想・良心の自由、政治活動の自由を土足で蹂躙し、その人格をまるごと支配しようというのは、文字通りのファッショ的な恐怖政治、独裁政治以外の何ものでもない。

     一、くわえて強調したいのは、違憲・違法な「思想調査」の矛先が、市職員にとどまらず、すべての市民・国民にむけられていることである。

     たとえば、「あなたは、この2年間、特定の政治家を応援する活動(求めに応じて、知り合いの住所等を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動も含む。)に参加したことがありますか」という設問に対しては、職員本人の参加の有無とともに、「誘った人」の氏名まで回答することを求めている。「誘った人」は、大阪市職員に限定されておらず、一般の市民、国民までが対象とされている。

     また、「あなたは、この2年間、職場の関係者から、特定の政治家に投票するよう要請されたことはありますか」という設問に対しても、職員本人が要請されたかどうかの有無とともに、「要請した人」の氏名まで回答することを求めている。ここでも「要請した人」は、大阪市職員に限定されておらず、一般の市民、国民までが対象とされている。「職場の関係者」とあるが、「関係者」となれば、それは無限定に、どこまでも対象が広がることになることは明瞭である。

     つまり、一般の市民、国民が、大阪市役所の職員に、「街頭演説に行きませんか」「だれだれを投票してくれませんか」と声をかけたら、それらの市民、国民の氏名を報告せよということになる。こうして、この「アンケート」は、市職員にたいする違憲・違法な「思想調査」にとどまらず、一般の市民・国民に対する違憲・違法な「思想調査」をおこなうものとなっている。これは市役所を、市民の福祉のための機関から、住民監視のための秘密警察的機関へと変えてしまう、きわめて重大な問題である。

     自らの権力を振りかざし、こうした行為を平然とおこなう人物に、日本国憲法のもとで政治にたずさわる資格はない。

    民主主義守る一点で共同を

     日本国憲法で保障された基本的人権は、日本のあらゆる場所において、あらゆる国民に対して保障されなければならない。憲法が通用しない場所を、日本のどこであれつくることは、決して許すわけにはいかない。ことは、大阪市にとどまらず、日本の民主主義全体にかかわる重大な問題である。

     わが党は、大阪市長が、違憲・違法な「思想調査」をただちに中止し、すでに回収したデータを即時廃棄することを強く求める。憲法で保障された人権と民主主義を守るという一点での、市民、府民、国民の広い共同を呼びかける。

     橋下氏と「維新の会」は、国政進出を狙って、あれこれの「政策」なるものをならべているが、その本質は、この勢力が大阪で現にすすめている独裁政治・ファッショ政治を国政に押し広げようというものに他ならない。わが党は、この危険な野望を断固として打ち砕くために、民主主義を守るすべての人々と共同して奮闘する決意である。

    関連記事:

    大阪市長の思想調査

    即時中止を日弁連会長が声明

    日本弁護士連合会の宇都宮健児会長は16日、橋下徹大阪市長が市の全職員に思想調査をしていることについて、労働基本権、表現の自由や思想良心の自由といった「当該公務員の憲法上の権利に重大な侵害を与えるものであり、到底容認できない」とし、ただちに中止することを求める会長声明を発表しました。

     声明は、職員に対するアンケートが組合活動の参加歴などを聞いていることは組合活動を妨害する不当労働行為に該当し、「労働者の団結権を侵害するものであり、職員に労働基本権の行使を躊躇(ちゅうちょ)させる効果をもたらすことは明らか」と批判しています。

     地方公務員も、その地位を利用した選挙運動などを除けば憲法21条で政治的自由が認められていると指摘。アンケートが政治活動への参加歴や職場で選挙の話題を話したことについて回答を求めることは、「明らかに必要性、相当性を超えた過度な制約」だとしています。

     さらに、アンケートが任意の調査でなく業務命令であり、正確な回答をしない場合は処分の対象とすること、自らの違法行為を報告すれば懲戒処分を軽減するとしていることについては、あたかもアンケートの該当事項が「違法行為」であるかのごとき前提で処分をちらつかせて思想信条にかかわる事項を答えさせるものだと指摘。「いわば職員に対する『踏み絵』であり、憲法19条が保障する思想良心の自由を侵害するものである」と断じています。

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    きっぱり撤回 データ廃棄を/橋下思想調査 党大阪府委が宣伝(2012.2.19)

    橋下徹大阪市長が全市職員を対象に実施した憲法違反の「思想調査」を担当している市特別顧問の野村修也弁護士は開封・集計の「凍結」を表明(17日)しました。調査中止を求める世論と運動の広がりにおされてのものですが、なお断念していません。「凍結」という居直りを許さず、「調査を即刻中止し、謝罪と回収したデータの即時廃棄を」との追撃が始まっています。

    日本共産党大阪府委員会は18日、山口勝利委員長を先頭に、大阪市の主要駅・ターミナルの京橋駅前で宣伝しました。

     志位和夫委員長が16日に発表した「無法行為の矛先は市職員だけでなく、全市民・国民にむけられている―違憲・違法な『思想調査』をただちに中止せよ」との談話をプラスターにして掲げ、緊急に作製したビラを「ご一緒に民主主義を守りましょう」と声をかけて配布しました。

     「思想調査はやりすぎや」「橋下さんは辞めてほしい」とあちこちで市民と宣伝隊との対話が広がりました。

     山口氏は、日本共産党や広範な団体、市民の厳しい批判を受けて橋下市長や市特別顧問の野村氏が「凍結」を打ち出したと指摘し、「『凍結』という居直りを許さず、思想・良心の自由を踏みにじる憲法違反のアンケートは即時中止・撤回し、データの廃棄を無条件に行うことを強く求める、職員とともにすべての市民への謝罪を要求する」と訴え。「日本共産党は、完全に中止・廃棄を行うまで徹底してたたかいます」と表明しました。

     清水忠史衆院近畿比例予定候補も「民主主義を守る一点でもっともっと共同を広げていきます」と力を込めました。

     訴えを聞いていた男性(63)=大阪市東成区=は「思想調査をやることが『民意だ』とは思えない。もっと市民のくらしに目を向けた市政をしてほしい。それが民意です」と話していました。

    なお居直る橋下市長

     一時凍結となった「思想調査」について橋下市長は「僕自身は、なんら全く問題ないと思っている。踏みこんで調査するのは当たり前のこと。生ぬるい調査をしても意味がない」と居直っています。

     「凍結」についても、橋下市長は「解明時期がちょっと延びるが、法律の範囲内ギリギリのところまで踏み込んだ調査を期待している」と違憲・違法な「思想調査」に無反省。野村特別顧問も「私たちは“武器”を持った。労働組合に問題があれば、いつでもオープンにできる」と身構えています。(しんぶん赤旗2012.2.19)

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     思想調査不当労働行為 ・判決2013.3月

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    2012/02/17

    こうすれば2030年頃には国と地方の借金残金が減り、経済回復・国民生活が豊かになる。日本共産党の提言。

    Teigen

    (→pdfファイル)

    消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言

    2012年2月7日 日本共産党

    (小池あきら日本共産党政策委員長の提言のポイント)

     民主党・野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を2014年に8%、2015年に10%に増税する大増税法案を成立させようとしています。多くの国民からこの計画にたいする強い不安と批判の声が広がっています。

    同時に、国民みんなが安心できる社会保障をどうやって再生・拡充していくのか、国と地方の財政危機をどうやって打開するのか、そのための財源をどうやってつくるのかについて、多くの国民が答えを求めています。

    日本共産党は、所得の少ない人に重くのしかかる最悪の不公平税制――消費税の大増税計画に断固として反対を貫きます。消費税に頼らずに、社会保障を再生・拡充し、財政危機を打開するために、この提言をおこないます。

    暮らしも、経済も、財政も壊す消費税大増税に反対する

     野田首相は、消費税大増税について、「どの政権でも避けて通れない」というだけで、「なぜ大増税か、なぜ消費税か」について、まともな説明はいっさいできません。いますすめられている消費税大増税計画には三つの大問題があります。

     第一に、ムダづかいを続けたままの、大増税だということです。

     中止を公約した八ツ場(やんば)ダムや「1メートル1億円」 の東京外郭環状道路などムダな大型開発を次々と復活させ、重大な欠陥が指摘され完成してもいないF35を次期戦闘機として買い入れるために総額1・6兆円 も費やし、320億円にのぼる政党助成金は受け取り続け、その一方で、富裕層や大企業には、年間1・7兆円もの新たな減税です。こういうムダづかいを続け ながらの大増税など許せるものではありません。

     第二は、社会保障切り捨てと一体の大増税だということです。 

     老齢年金、障害年金の給付削減などを皮切りに、年金の支給開 始を68〜70歳に先延ばしする、医療費の窓口負担を増やす、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」を導入するなど、社会保障のあら ゆる分野で、高齢者にも、現役世代にも、子どもにも、負担増と給付削減という連続改悪をすすめる計画です。「社会保障と税の一体改革」といいますが、「一 体改悪」がその正体です。

     第三は、日本経済をどん底に突き落とし、財政破たんもいっそうひどくするということです。 

     1997年に、橋本内閣のもとで強行された消費税の5%への 増税と医療費値上げなど総額9兆円の負担増は、当時、回復の途上にあった景気をどん底に突き落とし、その結果、財政破たんもいっそうひどくしました。税収 の落ち込みと「景気対策」のための財政支出で、国と地方の長期債務はわずか4年間で200兆円も増える結果となったのです。

     今回は、消費税10%への引き上げで13兆円もの大増税にな るのにくわえ、年金額の削減などを含めると年間16兆円、さらにすでに決められた制度改悪による年金、医療などの保険料値上げによる負担増をあわせると年 間20兆円もの大負担増になります。しかも、日本経済の長期低迷と世界経済危機、これらを「口実」にした大企業の大リストラ、雇用破壊のもとで、国民の所 得が大幅に減り、貧困と格差が広がり、多くの中小企業が経営難におちいり、地域経済が深刻な疲弊のもとにあるさなかでの大増税です。それは国民の暮らしに はかり知れない打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とし、財政破たんをいっそうひどくすることは、明らかです。

     いま東日本大震災の被災地では、復旧・復興にむけた、懸命の努力が続けられています。生活と生(なり)業(わい)の再建にたちあがろうという被災地にまで情け容赦なく襲いかかる大増税をおこなうなど、常軌を逸した冷酷な政治と言わなければなりません。

     日本共産党は、暮らしも、経済も、財政も壊す、消費税大増税の計画に断固として反対します。

    社会保障充実、財政危機打開の提言 (総論)

     それではどうやって社会保障の再生・充実と、財政危機打開をすすめるか。

     日本共産党は、以下の二つの柱の政策を実行することを提案します。

    I、社会保障の段階的な充実――財源は「歳出」「歳入」の段階的な改革でまかなう

     社会保障の「再生」と「抜本的拡充」を、財源を確保しながら段階的にすすめます。 

     小泉内閣以来の「構造改革」路線と、その路線をまるごと引き つぐ民主党政権によって、医療、年金、介護など、日本の社会保障はあらゆる分野で危機にひんしています。年金制度への国民の信頼は揺らぎ、「医療崩壊」 「介護難民」など社会保障の基盤そのものが大きく崩され、国民の暮らしや命が脅かされています。

     こうしたもとで、崩された社会保障を再生することは一刻を争 う課題となっています。私たちは、先進水準から大きく遅れた日本の社会保障の水準を抜本的に拡充することを目標としていますが、社会保障の「再生」と「抜 本的拡充」を一挙に実現することは困難です。そこで、この提案では、急を要する課題から段階的に解決するとともに、その財源も段階的に確保していくことと しています。

     財源の考え方を、「財界言いなり」の富裕層・大企業優遇から、税と社会保障の根本原則である「負担能力に応じた負担」に切り替えます。 

     社会保障でも財政危機でも、「財源」といえばもっぱら消費税 ――これが財界の主張であり、民主党政権も財界言いなりにこうした政策をすすめています。消費税増税を押しつける一方で、富裕層や大企業への減税も繰り返 してきました。こうした政治では、いつまでたってもまともな社会保障をきずくこともできませんし、財政危機は深刻化するばかりです。

     こうした「財界言いなり」の姿勢を転換し、近代社会が確立してきた「応能負担」――「負担能力に応じた負担」という税の大原則に立ってこそ、社会保障再生・拡充と財政危機打開の大きな展望が開けてきます。

    第1段階

    「社会保障再生計画」の実行――ムダ一掃、富裕層・大企業への応分の負担で

     社会保障を良くする「第1段階」として、小泉内閣以来の「構造改革」路線で、大きく崩された社会保障を再生させる「社会保障再生計画」を作成し、その実行にただちに着手し、2010年代末までに達成します。

     医療費の窓口負担を「子どもは無料、現役世代は2割、高齢者は1割」に引き下げる、毎年の年金額を自動的に削減する制度(マクロ経済スライド)を廃止し、年金額が減らない信頼できる制度にする、特別養護老人ホームや保育所の待機者をゼロにするなど、この間の「構造改革」路線で崩された社会保障を立て直していきます。

     その財源は、大型開発や軍事費をはじめ税金のムダづかいの一掃と、富裕層・大企業優遇の不公平税制を見直すとともに、新たに「富裕税」「為替投機課税」「環境税」などを導入することでまかないます。

    第2段階

    「先進水準の社会保障拡充」――「応能負担」に立った税制改革で

     つぎの段階――社会保障を良くする「第2段階」として、最低 保障年金制度の創設、医療費の窓口負担を無料にする、介護の利用料を無料にするなど、先進水準の社会保障――ヨーロッパの多くの諸国で当たり前になってい る水準の社会保障――への抜本的拡充をすすめ、憲法25条の生存権を保障する水準へと引き上げます。

     あわせて高校とともに大学の学費の引き下げ・無償化に向かうなど、教育・研究の抜本的な充実をすすめます。

     その財源は、国民全体で、その力に応じて支える必要がありま す。もちろん、その場合も、所得の少ない人に重くのしかかる消費税に頼る道はとりません。財源は、「応能負担」の原則――負担能力に応じた負担の原則にも とづき、累進課税を強化する所得税の税制改革によってまかないます。

    II、国民の所得を増やし、経済を内需主導で健全な成長の軌道にのせる民主的経済改革

     社会保障の再生・拡充と同時並行で、国民の所得を増やし、経済を内需主導で安定した成長の軌道に乗せる民主的経済改革をおこないます。

     日本経済は、長期の低迷と後退に陥っています。そのもとで日 本の税収は大きく落ち込み、消費税を5%に増税した前年の1996年から見ても14兆円も減っています。こうした経済の低迷と後退をそのままにして、その 枠内でいくら歳出と歳入の改革をすすめても、展望は開けてきません。社会保障の再生・拡充、財政危機打開をはかるためには、日本経済を長期の低迷と後退か ら脱出させて、健全な成長の軌道にのせることが、不可欠となります。

     非正規雇用をなくし正社員が当たり前の社会をつくる、最低賃 金を大幅に引き上げ「働く貧困層」をなくす、長時間・過密労働をなくし雇用を増やす、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくる、農林水産業の再生 のための抜本的方策をはかる、原発をなくし再生可能エネルギーへの抜本的転換をはかるなど、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」への改革をす すめます。大企業の横暴を抑える民主的規制によって、その力にふさわしい社会的責任と負担を果たさせます。

     この改革によって、大企業の内部に蓄積された260兆円にも およぶ内部留保を日本経済に還流させ、国民の所得を増やし、家計を温め、日本経済を内需主導の健全な発展の軌道に乗せることが可能になります。それは、税 収増をもたらすとともに、対GDP(国内総生産)比での長期債務を削減していく展望を開くものともなります。

     社会保障の再生・拡充と税・財政、経済の民主的改革をおこなうことで、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」への改革をすすめます。こうした改革をすすめることは、「少子化」という日本社会の危機を打開することにもつながります。

    ■グラフ(PDF) 本提言を実施した場合の、国・地方の基礎的財政収支と財政収支の対GDP比の見通し

    ■表(PDF) 「社会保障再生計画の所要財源見積もり」/「本提言の財政計画の概要」

    社会保障充実と財政危機打開の提言 (各論)

    I、社会保障の段階的な充実――財源は「歳出」「歳入」の段階的な改革でまかなう

    第1段階

    「社会保障再生計画」の実行――ムダ一掃、富裕層・大企業への応分の負担で

    (1)つぎの内容の「社会保障再生計画」を実行する

     社会保障を良くする「第1段階」として、小泉内閣以来の「構造改革」路線で、大きく壊された社会保障を再生させる「社会保障再生計画」の実行にただちに着手し、2010年代末までに達成します。

    医療費の窓口負担を引き下げ、医療崩壊を立て直す

     窓口負担は「現役世代=3割、高齢者=1〜3割」にもなりま した。国民健康保険料(税)は、所得200万円(給与年収換算で311万円)で年間30万円を超えています(4人家族)。国民負担は大幅に増えたにもかか わらず、医療体制は大きく後退、弱体化し、医療崩壊が深刻になっています。窓口負担を重くすれば、早期発見、早期治療を困難にし、病気は重病化し、医療費 はいっそう増大します。予防・健診を強化するとともに、窓口負担を引き下げるべきです。

     ――医療費の窓口負担を引き下げる。子ども(就学前)は国の制度として無料に、現役世代は国保も健保も2割に、高齢者は1割にする。

     ――国民健康保険料(税)を軽減する。当面、国の責任で年間1人1万円引き下げる。国民健康保険証の取り上げをやめる。

     ――後期高齢者医療制度を廃止し、老人保健制度にもどして高齢者の医療差別をなくす。

     ――診療報酬を引き上げる。高すぎる薬価や医療機器にメスを入れ、医療充実にまわす。

     ――公的病院の統廃合を中止し、計画的に医師・看護師などの養成数を増やす。

    年金削減政策を中止し、無年金・低年金の解決に足を踏みだす

     年金保険料の際限ない値上げと給付削減、支給開始年齢の先送りなどによって、国民の年金不信が広がり、国民年金保険料の未納者が1000万人にのぼるという深刻な「空洞化」を引き起こしています。無年金・低年金者の増大も深刻です。年金削減政策を中止し、無年金・低年金の解決に足を踏みだし、年金への信頼を取り戻します。

     ――年金支給額を自動的に削減し続ける「マクロ経済スライド」を撤廃する。

     自動的に年金受給額を毎年0・9%ずつ削減していく「マクロ経済スライド」を廃止します。

     ――年金の受給資格期間を「25年」から「10年」に短縮するとともに、無年金・低年金の解決に足を踏みだす。

     年金の受給資格期間を「25年」から「10年」に短縮します。無年金者、低年金者に対する重点的な底上げをおこないます。現行の基礎年金の受給額の2分の1を税金で負担する仕組みをあらため、全員に定額(基礎年金満額の2分の1である3万3000円)を国庫負担で支給します。例えば、現在月4万円の基礎年金額の場合は、国庫負担額が2分の1である2万円から3万3000円に引き上がるので、年金額は月額5万3000円となります。これは最低保障年金制度に向けた第一歩にもなります。

    特養ホーム待機者ゼロ。本人も家族も安心して利用できる介護制度をきずく

     特別養護老人ホームの待機者が40万人をこえるとともに、在 宅でも、利用料が高すぎる、体制が不十分などのために、介護が必要な人が満足なサービスが受けられず、悲惨な生活を送っている"介護難民"が大問題になっ ています。親の介護のために仕事をやめざるを得ないなど、公的介護制度の不備は、現役世代の重い負担にもなっています。介護保険財政の4分の1に満たない国庫負担の引き上げをはかり、これらの問題を解決するとともに、介護労働者の賃金や労働条件を改善します。

     ――「軽度者」からの介護サービス取り上げをやめる。

     ――特別養護老人ホームを増設し、待機者をゼロにする。

     ――低所得者の利用料を無料にする。

     ――国の制度として保険料の減免制度をつくる。

    障害者の生活を守り、権利を保障する 

     障害者が人間としてあたりまえの生活をするために必要な支援を「益」などとして負担を課す障害者自立支援法がつくられ、障害者の大きな怒りを呼びました。悪法の延命・温存を許さず、憲法や障害者権利条約の趣旨にそった福祉制度を確立します。

     ――福祉・医療の「応益負担」を撤廃し、障害者福祉・医療は無料にする。

     ――自立支援法を廃止し、新しい総合福祉法を実現する。

    保育所の待機児童をゼロにする

     政府は、もっぱら定員を超えた"つめこみ"や認可外の保育施 設を"受け皿"にする安上がりな「待機児童対策」に終始してきました。そのうえ今度は、保育所さがしまで親の自己責任にし、保育への公的責任を投げ捨てる 「新システム導入」です。これでは、待機児童はなくなりません。

     ――保育への国・自治体の責任を投げ捨てる改悪を許さず、公的保育制度を守る。

     ――待機児童を解消するため、認可保育所を計画的に整備する。

    雇用保険を拡充し、失業者への生活援助と再就職支援を強化する

     削減が続いた雇用保険、失業給付を回復・拡充させます。これは、「失業保険が切れる」から劣悪な労働条件でも就職せざるをえないという状況を改善し、「ワーキングプア」をなくしていくうえでも大切です。

     ――失業給付期間を、当面、現在の90〜330日から180〜540日程度までに延長し、離職理由による差別をなくす。

     ――失業給付が切れても再就職できず、生活が困窮している失業者への生活扶助制度を強化・確立する。

     ――公共職業訓練所の統廃合をやめるなど、職業訓練と再就職支援を強化する。

    生活保護――排除と切り捨てをやめる

     門前払いや強権的な打ち切りなど、無法な生活保護行政をあらためます。

     ――廃止された老齢加算を復活する。

     ――保護費の切り下げ、「就労支援」を口実にした制限などの制度改悪をやめる。

    (2)財源は、ムダの一掃と、富裕層・大企業への応分の負担で

     財源は、大型開発や軍事費をはじめ税金のムダづかいの一掃と、富裕層・大企業優遇の不公平税制を見直すとともに、新たに「富裕税」「為替投機課税」「環境税」などを導入することでまかないます。

    歳出のムダと浪費を一掃する

     ――大型公共事業の浪費を一掃し、1兆円程度の財源をつくる。 

     大型公共事業予算は国と地方あわせて2兆円近くにのぼりま す。ダム建設(3000億円、以下すべて2012年度予算案)、国際コンテナ戦略港湾など(1400億円)、大都市圏環状道路や全国ミッシングリンク整備 など高速道路建設(5000億円)といった不要不急の支出にメスを入れて、1兆円程度の財源を生み出します。大型公共事業の浪費を続ける仕組みになってい る「社会資本整備」特別会計は廃止します。

     ――原発推進予算を大幅に削減する。 

     原発推進の予算(4200億円)のうち、「安全・事故対策」 としている部分は783億円であり、3000億円を削減して、1000億円を真に安全対策に必要なものに組み替えます。高速増殖炉「もんじゅ」、使用済み 核燃料の「再処理施設」を閉鎖し、危険な「核燃料サイクル」はただちに中止します。

     ――軍事費を1兆円削減する。 

     軍事費(5兆円)は、米軍への「思いやり予算」・沖縄に基地 を押しつけるためのSACO経費・米軍再編経費は全額(2700億円)カットするとともに、ヘリ空母(1200億円)、F35戦闘機(600億円)、新型 潜水艦(560億円)、新型戦車(130億円)、イージス艦改修費(360億円)などの主要装備品を中心に、1兆円の削減をはかります。

     ――政党助成金(320億円)や機密費は廃止する。 

     政党助成金は、毎年320億円(制度導入以来17年間で 5400億円)が、日本共産党以外の各党に配分されています。これまで一度も総額が減らされたこともなく、完全な「聖域」にされています。国民にとって は、払った税金が支持もしない政党に強制的にまわされる「強制献金」と同じであり、思想・信条の自由を侵害する憲法違反の制度です。税金だのみの「国営政 党」になるなど、政党と政治の堕落も助長しています。政党助成金はただちに廃止します。

     使途不明の官房機密費は廃止します。

     高級官僚の天下り禁止、企業・団体献金の禁止など、浪費構造を支える政官財の癒着を断ち切ります。

     ――「景気対策」の名によるバラマキ財源となっている予備費を削除する。 

     一般の予備費や復興事業の予備費とは別枠で、「景気対策」の名によるバラマキ財源となっている経済危機対応・地域活性化予備費(9100億円)を削除します。

     以上のように、ムダと浪費を一掃し、3・5兆円程度の財源を確保します。

    富裕層と大企業に応分の負担を求める 

     この間、財政危機のもとでも富裕層や大企業には減税が繰り返されました。この優遇と不公平をただす税制改革で、8兆〜10兆円の財源を確保します。

     【富裕層優遇の不公平をただす】 

     アメリカ、フランス、イタリアなど欧米諸国で、富裕層への課 税を強化する政府の方針が打ち出されています。富裕層からも「私や友人は億万長者に優しい議会に甘やかされてきた」(「世界で最も著名な投資家」とされる アメリカのウォーレン・バフェット氏)など、「自分たちに課税強化を」という声が上がっています。

     ところが日本では、富裕層への減税が繰り返され、所得1億円を超えると、大金持ちほど税負担率が減少するという不公平税制になっています。この「富裕層を甘やかす」税制を見直し、応分の負担を求めます。

     ――株の配当・譲渡所得への特別減税・証券優遇税制を廃止し、課税強化をはかる。 

     株の配当・譲渡所得への課税は、証券優遇税制で20%から10%に半分に減税されています。10%というのは、預貯金利子所得にかかる20%から見てもきわめて不公平です。ただちに廃止するとともに、高額の配当や株取引には欧米なみの30%を課税します。

     ――金持ち減税を見直し、所得税・住民税、相続税の最高税率を引き上げる。 

     最高税率を、所得税・住民税は1998年の水準(65%)に、相続税は2002年の水準(70%)にまで戻し、累進課税と所得再分配の機能を回復します。

     ――新たな税制として「富裕税」(新しい資産課税)を創設する。 

     高額な株や不動産などの資産に課税する「富裕税」を創設します。相続税対象額で5億円を超える資産に対して、1〜3%の累進課税を行います。課税対象は0・1%程度の大資産家となり、5000億〜7000億円程度の財源になります。

     ――高額所得者を優遇している年金保険料、健康保険料、介護保険料の上限を見直す。 

     被用者の年金保険料は、給与が月額62万円で上限となり、100万円の月給をもらっていても62万円として計算された低い保険料になっています。健康保険料、介護保険料は、月額121万円で上限になっています。これを見直し、高額所得者に適正な負担を求めます。

     【大企業への優遇税制をあらためる】 

     ――来年度からの新たな法人税減税を中止する。 

     政府は、消費税大増税を打ち出す一方で、来年度から法人税を 1・4兆円(国と地方あわせて)も減税します。いま中小企業の7割が赤字ですから、法人税減税額の大部分は、大企業への恩恵となります。しかし、いま大企 業に減税しても、内部留保が増えるだけで、賃金や設備投資が増えるという経済効果も期待できません。

     ――研究開発減税、連結納税制度など、大企業向けの優遇税制を見直す。 

     政府も財界も、日本の法人税率は高すぎると言います。しか し、大企業の実際の法人税負担率は、三菱商事12・1%、ソニー13・3%、京セラ16・7%、住友化学17・2%など、「表面税率の40%」を下回り、 上位300社(税引き前利益)の平均で33・8%です。大企業にしか使えない優遇税制の仕組みがあるためです。

     ――「為替投機課税」を新設する。 

     異常円高の原因となっている投機マネーを規制する一つの方法 として導入します。年間約6000兆円にも及ぶ為替取引に、0・01%の課税を行えば6000億円程度の財源となります。投機マネー規制のために、通常の 貿易や金融取引には影響がない、きわめて低率の税を課すことは、世界的にも検討されており、フランスとドイツは、2013年に金融取引税(株・債券取引に 0・1%、デリバティブに0・01%)の導入をめざし、EU全体でも2014年に導入することを提案しています。

     ――環境税を導入する。 

     現行のエネルギー課税を見直し、二酸化炭素の排出量を考慮した環境税の導入をすすめます。7000億円程度の税収を見込みます。

    (3)「社会保障再生計画」の財政見通し

     「第1段階」である「社会保障再生計画」を実行するために は、高齢者の人口増による影響も含めて、平年度で9兆円程度の新たな財源が必要になります。ムダの一掃と富裕層・大企業への応分の負担を求める改革で生ま れる財源は、同時期に12兆〜15兆円です。さらに景気回復による税の自然増収もありますから、社会保障以外の教育・研究、農業・食料、中小企業、環境な ど各分野の予算を増やし、財政危機の深刻化を抑えながら、「社会保障再生計画」をすすめることができます。

    第2段階

    「先進水準の社会保障拡充」――「応能負担」に立った税制改革で

    (1)「先進水準の社会保障」への抜本的な拡充をおこなう

     つぎの段階――社会保障を良くする「第2段階」として、最低 保障年金制度の創設、医療費の窓口負担の無料化、介護の利用料の無料化をはじめ、医療、年金、介護、子育て、雇用保険など、社会保障のあらゆる分野で、 「先進水準の社会保障」への抜本的拡充をすすめ、憲法25条の生存権を保障する水準へと引き上げます。2010年代末には、「第1段階」の「社会保障再生 計画」を達成し、抜本的拡充にすすむことを目標にします。

     あわせて、「世界一高い」学費を引き下げ、無償化にむけて前進するなど、大学・研究予算を拡充し、教育・研究への国の取り組みを抜本的に強化します。

     ――最低保障年金制度を確立する。 

     公的年金制度の中に、「どんな人にも最低限の年金額を保障し、無年金者をつくらない」という最低保障の仕組みがないのは先進国で日本だけです。国連からも「最低年金を公的年金制度に導入すること」が「勧告」されています。

     そこで、最低保障額を月額5万円とし、その上に、支払った保 険料に応じた額を上乗せし、無年金を解消し、低年金を底上げする最低保障年金制度を本格的にスタートさせます。これによって、国民年金の満額は現在の月6 万6000円から月8万3000円へと引き上げます。厚生年金も給付水準の低い人から順番に底上げをすすめていきます。

     「最低保障年金制度」の実現に足を踏みだせば、低年金や無年金の問題、年金制度全体の空洞化、サラリーマン世帯の専業主婦の「第3号被保険者問題」など、今日の年金制度がかかえるさまざまな矛盾を抜本的に解決する道が開けます。

     ――医療費の窓口負担をゼロにする。

     公的医療保険制度のある国では、医療費の窓口負担は無料か、 少額の定額制がほとんどで、日本はこの点でも世界でも遅れた国となっています。かつて日本でも健保本人の窓口負担はゼロでしたし、国民のたたかいで老人医 療費が無料の時期もありました。保険料を月々払えば、病気になっても負担はかからないという、医療保険制度の本来の姿にしていきます。

     ――介護の利用料ゼロを実現する。

     日本の介護保険制度はドイツを一つのモデルにしてつくられましたが、ドイツの介護保険制度にはサービス利用の際の利用料はありません。安心して必要な介護を受けられるようにします。

    (2)財源は、「応能負担」の原則に立った税制改革で

     このような社会保障の抜本的な拡充をおこなうためには、ムダ の削減や富裕層・大企業への不公平税制の是正などだけでは財源は確保できません。この財源は、国民全体で、その力に応じて支えることが必要です。所得や資 産に応じた負担――「応能負担」の原則、累進課税の原則に立った税制改革で財源を確保します。

     ――累進課税を強化した所得税の税制改革。

     所得税の課税所得に対して累進的に1・5〜15%の税率を上乗せして課税し、6兆円程度の財源を確保します。

     消費税は中間層と低所得者には重く、高額所得者の負担率は軽 い逆進的な税制です。提案している所得税の累進課税の強化は、非課税世帯にはかからず、所得に応じた累進負担を求めるものとなります。その際、低所得者に 配慮した課税最低限の見直しもおこないます。社会保障を抜本的に拡充しながら、財政危機打開をはかるためには、このような民主的税制改革が必要になってき ます。

     ――所得税の税制改革をすすめるうえでの三つの大前提。

     国民に新たな負担を求めるにあたっては、つぎの三つを大前提とします。

     第一に、雇用や家計の所得を守る経済政策をすすめることによって、国民の所得が増えていくことを前提とし、新たな負担を求めても可処分所得(手取り額)は増え続ける、この立場ですすめます。

     第二に、所得税の税制改革は、最低保障年金や医療費窓口負担の無料化など、社会保障の抜本的拡充と一体ですすめます。

     第三に、社会保障の抜本的拡充とそれに対応する国民の負担については、国民的な討論と合意のもとで段階的にすすめます。

     ――将来的には国際協調で法人税率引き上げ。

     法人税率については、国際的な動向も踏まえた検討が必要で す。世界的な法人税引き下げ競争の有害性はOECD(経済協力開発機構)でも指摘されています。各国に共通している財政赤字の問題を解決するうえでも、有 害な引き下げ競争をやめることが必要です。将来的には、法人税の引き下げ競争を見直す国際的な働きかけをすすめ、下げすぎた法人税率の適切な引き上げをは かるようにしていきます。

    (3)財政の中長期展望――2030年頃には基礎的財政収支が黒字化、長期債務残高も減少

     この提案で示した財源の規模は「第2段階」まで含めると、全 体で18兆〜21兆円程度です。日本は、当面、高齢者の人口が増え続けていきます。同時に、国民の所得を増やす、内需主導の民主的経済改革を同時並行です すめることで、健全な経済成長を実現していきます。そのもとで、私たちの提案は、社会保障を抜本的に拡充しながら、基礎的財政収支を2030年ごろには黒 字化し、対GDP比の長期債務残高を2030年ごろをピークに減少させていくものとなっています。

     なお、社会保障以外の国民生活の各分野――教育研究、雇用、中小企業、農林漁業、環境対策などの予算拡充も考慮にいれた中長期展望としています。

    II、国民の所得を増やし、経済を内需主導で健全な成長の軌道にのせる民主的経済改革

     社会保障の再生・拡充と同時並行で、国民の所得を増やし、経済を内需主導で安定した成長の軌道にのせる民主的経済改革をすすめます。

     日本共産党の提案は、財界・大企業の身勝手な要求にいいなりになる立場から抜け出し、大企業に社会的責任を果たさせ、国民の暮らしと権利を守るルールをつくり、真に持続可能な経済社会を実現する、経済の民主的改革です。

     個々の企業にとっては、賃金を下げたり、非正規雇用を増やす ことや、下請けや納入業者の単価を引き下げることは、コストを減らし、企業の「体力」が強化されるように見えます。ところが、日本中の大企業が同じことを やれば、国民の所得は大きく減り、経済の6割近くを占める家計消費を冷やし、不況の悪循環に陥ってしまいます。大企業に雇用や下請け企業、地域経済などへ の社会的責任を果たさせることは、まともな経済の発展のために不可欠です。

     この改革によって、大企業の巨額の内部留保を日本経済に還流させ、国民の所得を増やし、家計を温め、日本経済を内需主導の健全な発展の軌道にのせることが可能になります。それは税収増をもたらすとともに、対GDP比での長期債務を削減する展望を開くことにもなります。

    人間らしく働ける労働のルールを確立する

     人間らしく働ける労働のルールを確立し、国民の所得を減らす雇用政策から、安定した仕事を保障し、所得を増やす雇用政策への転換をすすめます。

     ――正規雇用が当たり前の社会をつくる。

     労働者派遣法の抜本改正、有期雇用の規制強化をすすめ、派遣 や契約社員などは、臨時的・一時的な業務など合理的な理由がある場合に限定し、非正規雇用を安易な雇用の調整弁として利用する「使い捨て雇用」をやめさせ ます。均等待遇を厳格に実施し、正規と非正規の不当な差別・格差をなくします。

     ――「過労死」を生むような異常な長時間過密労働を是正する。

     違法行為である「サービス残業」を根絶し、裁量労働制などの「サービス残業」を合法化する規制緩和を見直します。有給休暇の完全取得、深夜・夜間労働の規制など、労働時間短縮をすすめます。長時間過密労働の是正で安定した雇用を増やすことを、雇用政策の柱にすえます。

     ――最低賃金を抜本的に引き上げ、「働く貧困層」をなくす。

     最低賃金を、当面、時給1000円以上に引き上げるとともに、中小企業への賃金助成などの支援を制度化します。最低賃金は、労働者の平均給与の半分を上回るようにし、働き続けても貧困から抜け出せない――「働く貧困層」をなくします。

     ――不当解雇や労働者の生活を無視した強制配転をなくし、労働者の権利を守る。

     「整理解雇4要件」(差し迫った必要性、回避努力、選定基準・人選の合理性、労働者・労働組合の合意)を徹底し、不当な整理解雇を根絶します。育児や介護をはじめ労働者の生活を無視した強制配転を規制します。職場での男女平等を徹底します。解雇規制法を制定します。

    中小企業を日本経済の「根幹」にふさわしく位置づけ、本格的な振興策を実施する

     大企業と中小企業との間に公正・公平な取引関係が存在せず、 中小企業が大企業の不当で横暴な支配のもとにおかれ、異常な格差がつくられているのは、日本に特有のものです。雇用の7割を支える中小企業の経営が安定し なければ、国民の所得を増やすこともできません。中小企業と大企業の労働者の賃金格差を是正することは、労働者全体の所得を引き上げるうえで不可欠です。 中小企業を日本経済の「根幹」にふさわしく位置づけ、本格的な振興策を実施します。

     ――中小企業と大企業の公正・公平な取引のルールを確立する。

     下請け取引を適正化し、「単価たたき」など不公正な取引をやめさせます。「優越的地位の濫用」をなくすため、独占禁止法を強化します。大型店の身勝手をゆるさないルールをつくり、商店街・小売店を活性化します。

     ――中小企業予算を増やし、本格的な振興策をすすめる。

     国の中小企業予算を1兆円に増額し、技術開発、販路拡大、後継者育成、円滑な中小企業金融など、中小企業への支援を強化します。

     ――生活密着型公共事業への転換、中小企業むけ官公需の拡大をすすめるとともに、「公契約法・条例」を制定する。

     公共事業を大型開発優先から生活密着型に切り替えるとともに、官公需の中小企業発注比率を引き上げます。生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する「公契約法」「公契約条例」の制定をすすめます。

    農林水産業を再生させ、食料自給率を抜本的に引き上げる

     食料自給率は39%まで落ち込み、日本は、地球規模での食料不足のもとで、自国民の食料の安定供給に大きな不安を抱える国になっています。農林水産業の本格的再生は、日本国民の食の安心を確保するとともに、地域経済の活性化にとって、大きな力となります。

     ――安心して農業に励めるよう、価格保障・所得補償を抜本的に充実する。

     農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせて、安心して再生産できる収入を保障することで、農業の抜本的再生への道を開きます。

     ――TPP(環太平洋連携協定)に反対し、「食料主権」を保障する貿易ルールをめざす。

     農業に壊滅的打撃となり、食料自給率を引き下げ、地域の雇用 と経済を破壊するとともに、医療や金融など国民生活のさまざまな分野でアメリカの要求が押しつけられるTPPに反対します。自国の食料のあり方は、その国 で決めるという食料主権――関税などの国境措置の維持強化は国際的な流れであり、これを尊重した貿易ルールをめざします。

    原発から撤退し、自然エネルギーの普及と低エネルギー社会への転換をすすめる

     原発からすみやかに撤退します。自然エネルギー(再生可能エ ネルギー)の豊かな可能性に挑戦し、地域の条件に見合った自然エネルギーの「地産地消」と固定価格買い取り制度をさらにすすめて、エネルギー自給率を高め ます。そのことは地域に新しい仕事と雇用を創出するうえでも、大きな力となります。

    "安心の子育て社会"をめざす――「少子化」問題の危機を打開するために

     日本は、先進国の中でも極端な「少子化」がすすんでいます。 もちろん、子どもを何人つくるのかは、それぞれの夫婦、あるいは女性の権利であり、個人の権利を尊重することは当然です。同時に、社会全体の問題として は、その国、その社会の運命にかかわる問題であり、なりゆきまかせにすることはできません。

     ――日本社会のさまざまな分野のゆがみをただす。

     「少子化」社会の克服のためには、人間としてのまともな労働 と生活の環境を整備する、あらゆる分野で女性差別をなくして女性の社会進出の条件をつくる、生活不安・将来不安を解消する、地域社会の安定など、日本社会 のさまざまな分野でのゆがみをただし、真に持続可能な経済社会にしていくことが必要です。大企業に社会的責任を果たさせ、国民の暮らしと権利を守るルール をつくる、そして、社会保障の再生・拡充を、「能力に応じた負担」の原則で着実にすすめていく、「ルールある経済社会」に向けた経済改革をすすめること は、「少子化」という日本社会の危機を打開する道でもあるのです。

     ――仕事と子育てが両立できる社会にする。

     不安定雇用や長時間過密労働をなくす、男女平等、育児休暇、 妊娠・出産を理由にした解雇・雇い止めをなくすなど、人間らしく働けるルールを確立します。待機児をゼロにし、安心して預けられる認可保育所を、緊急に3 年間で30万人分増やし、その後も計画的に拡充していきます。

     ――子育ての経済的負担を軽減する。

     年少扶養控除の廃止、消費税増税など、子育て世代への大増税は、「少子化」社会の克服にも逆行するものです。子どもの医療費無料化、重い教育費負担の軽減などを総合的にすすめます。

    消費税大増税ストップ! 税・財政、経済の民主的改革の旗を掲げて

     消費税大増税は、暮らしを壊し、経済を壊し、財政破たんをいよいよひどくする、未来のない道です。

     ムダを一掃する財政改革、富裕層と大企業に応分の負担を求め、「応能負担」をつらぬく税制改革、「ルールある経済社会」をめざす経済改革を、段階的に、また一体的にすすめてこそ、社会保障の再生・充実、財政危機打開に向けた財源をつくりだすことができます。

     日本共産党は、「消費税大増税ストップ! 税・財政、経済の民主的改革」の旗を高く掲げ、国民の暮らしを守り、日本経済の前途を開くために奮闘する決意です。

    関連:

     志位委員長の予算委員会質問全文 (2012.2.12)

     志位委員長の代表質問全文(2012.1.28) 

     消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言(2月号ビラ)

     志位委員長の基本的質疑 衆院予算委員会(2月号ビラ)

    2012/02/05

    「ルールある経済社会」でこうなる。共産党はこう考える。

     「景気が悪い」を「寅さん」の息子で実感している。

     それになにより「寅さん」と「よし子さん」(「寅さん」の妻、正確には「よし子ちゃん」)の年金が毎年毎年削られているのだ。

     それじゃ、この現況を日本共産党はどう打開していこうとするのか?

     以下の記事を読むことにする。(しんぶん赤旗日刊紙2012.2.5)

    「暮らしは苦しくなるばかり」「先が見えない」という深刻さが日本経済を覆っています。どうす.れば打開できるのでしようか。日本共産党は国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」を築くことで新しい展望を切り開きます。

    富を還流、経済に活力

    国民の暮らしはなぜ苦しくなるばかりなのでしょうか。大企業と大資産家が富をため込み、国民の暮らしにもまっとうな経済活動にも回らないことが原因です。2000年と10年を比べると、大企業の内部留保は、172兆円から260兆円に膨らみました。民間給与の総額は216兆円から194兆円に減りました。消費税率が引き上げられた1997年と比べると、民間労働者の年収は減る一方です。

    大企業がため込ん利益を質上げや応分のに税負担などで社会に還元することは当然のルールです。ぞうすれば、国民の暮らしを立て直し、内需主導の成長で経済や社会に活力が生まれます。

    税制では、負担能力を持った大企業や高額所得者に応分の税を負担させ、ため込んだ利益を社会に還元させることが本来のルールです。

    歴代政権が大金持ちや大企業に減税を減らし、国の財政に困難をもたらしています。
    この異常を正すことで国の財政も立て直すことができます。財政危機にある欧米は富裕層への課税を強めています。税は負担能力のある人に、というのが世界の流れです。

    低所得者ほど負担が重い消費税を増税することは生活費に課税しないという税制のルールを破壊します。

    Fuyu_zei

    人間らしく働ける社会

    日本では国際社会で当たり前になっている経済ルールすらないことが大企業の横暴を野放しにし、国民にしわ寄せする原因です。特に、労働では「非正規切り」など大企業の勝手放題です。大企業に社会的責任を果たさせ、人間らしく働くルールを確立してこそ、国民の所得を増やすことができます。

    日本では年収200万円以下の労働者が1000万人を超えています。歴代政権が財界の求めに応じて労働者派遣法を改悪したため、不安定で賃金水準の低い非正規労働者が全労働者の35%を占めるまでに増えました。

    欧州連合(EU)では正社員が当たり前の雇用形態です。派遣労働や有期雇用契約は臨時の一時的に必要となった仕事に限定され、正社員との差別は禁止されています。時間当たりの賃金など労働条件は正社員と同等にすることが法で義務づけられています。

    Eu

    日本共産党は、長時間労働をなくすとともに、派遣など非正規労働を規制し、正社員が当たり前の社会を築くことをめざしています。

    不払い残業を根絶し、長時間労働を是正すれば安定した雇用を増やすことができます。国際労働機関(ILO)は8時間労働制を定めた1号条約を1919年に採択しましたが、日本政府は90年以上たつ今も批准しない異常さです。

    解雇規制法を制定し、最低賃金を全国一律時給1000円以上に引き上げます。失業給付など現行制度で不十分なセーフティーネットを整備することで、どんなときでも安心して暮らせる社会を築くことができます。

    安定した雇用や人間らしい労働のルールをつくることは「少子化」の克服にもつながります。

    中小企業が主役に

    中小企業は日本の雇用の7割を占め、日本経済の主役です。しかし、実際には下請けいじめなど大企業の横暴に苦しめられています。大企業との公正な取引など中小企業に関するルールを確立し、主役にふさわしい役割を果たしてもらうことで経済や地域を活性化させることができます。

    下請けを保護する法律があるのに、下請け代金の買いたたきなど大企業による違法行為が横行しています。下請け企業による告発がなくても当局が親企業に抜き打ちで調査に入れるよう法を改正する必要があります。

    大企業に適正な下請け単価を払わせるルールを実効あるものにする必要があります。中小企業の利益が増えれば、国民の所得増に直結します。

    食料と地域を守る

    歴代政権のもとで衰退に追い込まれてきた農林水産業を本格的に再生させ、食料自給率を抜本的に引き上げるルールを築くことは地域経済を活性化する大きな力となります。国の食料のあり方は自国が決めるという食料主権は国際的流れです。

    関税などで農業や地場産業を守ることは当然の貿易ルールです。「例外なき関税撤廃」
    を原則とする環太平洋連携協定(TPP)は貿易を弱肉強食の、ルールなきものにします。日本は交渉に参加すべきではありません。

    Jikyu_ritu

    関連記事:

    富裕層に増税/米大統領要求「それは常識」/一般教書演説(2012.1.26)

    所得上位1%が全所得の9.2% 広がる日本の格差(2012.12.13)

    格差是正 富裕層増税で/過去30年で差最高 OECDが提言/フランス・イタリア・スペイン 各国で課税強化(2011.12.7)

    米富裕層グループ 我々の税金上げろ/議会に要求 「多く払うのは当然」(2011.11.22)

    大企業に応分の負担を(2006.12.25)

     こういう社会はどうしたら可能か?

     大企業献金や政党助成金などとは縁のない共産党を大きくすることがその第一歩だと思う。

     なぜか?

     大企業・富裕層への優遇税制や大企業「一人勝ち」をやめさせ、農林魚業・中小企業の振興、労働者の安定した雇用確保、社会のセーフティネットの充実等々は、政治の力がどうしても必要だ。

     国の施策(カネの使い道・法律)を決めるのは国会である。

     国会で共産党がより大きな発言力を持つには、国会議員を多く送り込むことだ。

     だから、共産党員は「いつ解散」があっても、上記の記事にあるような「ルールある経済社会」をつくるために奮い立たねばなるまい。

    志位委員長の代表質問(20121.28)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    「寅さん」のひとり言:

    御通夜にお参りする。今年に入って「寅さん」の近所で3人の方が逝った。

    「寅さん」と「よし子さん」は「今年の冬は寒いから」とちょっとしんみりしてる。「寅さん」は老人会でカラオケを一緒に歌ったお婆ちゃんだ。

    長い間、日本農業の発展のため生きられた人生に感謝、合掌。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    「寅さん」の休憩室

     追加だ。知人から電話あり。「きょうは日曜日だ『休憩室』はどうなった!」

     ん?

     そうかぁ、もう一週間が経ったのか。

     昔、「老人はなぜ目が覚めるのが早いのか」という答えに、「残りの時間が少ないから、時間を無駄にしないため」という名(迷?)答があったことを思い出す。

     で、きょうの計画ではモーツァルトなのだがN響アワーを観たので、急遽ブラームスにする。ブラームス初の一曲は何処かで書いたが、ハンガリー舞曲第5番だった。

    Br_vc  きょう聴くのはヴァイオリン協奏曲だ。理由はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を聴いて「ヴァイオリン協奏曲」というジャンルに夢中になった。それにN響を聴いたから。

     ジャケットに「STEREO」を強調していた時代だ。

     このLPだが録音日が書かれている。1961年4月15日とある。

     「安保闘争」の翌年だ。

     確か「寅さん」の月給は9,000円~10,000円程度だった。

     なのにレコードだが、これが1,300円だ。月給の1割以上だ。(しかも廉価版?)

     ヴァイオリン:ジノ・フランチェスカッティー

     指揮:レナード・バンスタイン

     演奏:ニューヨーク・フィルハーモニック

     指揮・演奏が違うが、ジノ・フランチェスカッティー版がある。

     解説は藁科雅美氏で、ジノ・フランチェスカッティーについて以下のようにある。

    アメリカの週刊誌「タイム」が「世界の5大ヴァイオリニスト」の一人にあげた巨匠で、音色の麗しさはひときわすぐれ、「エレガント」なフランスと「知的」なドイツと「豊麗」なイタリアのスタイルみごとに調和させたその演奏は、この名ヴァイオリニストの比類のない特質とされています。・・・・・バーンスタイン・NYフィルのコンビは、その点でも最高です。

     「寅さん」がブラームス、メンデルスゾーン、シューマンのファンであることは、このブログのあちこちに顔を出す。

     で、再度だが、ぜひ「クララ・シューマン」(原田光子著)を読まれたい。

     尚、音楽之友社の「クラシック不滅の名盤1000(2007年)」によると、「オイストラッフ」がある。「寅さん」も多分持ってると思うので明日2階にあがって探して追加する。

    Isacstern  追加:ちょっと見つからない。

     アイザック・スターン盤がでてきた。

     指揮:ユージン・オーマンディー

     演奏:フィラデルフィア管弦楽団

     NAXOSにアイザック・スターン版がない。残念。それにしても「STEREO」とジャケットに仰々しくあるのは、モノとステレオの境目の時代の録音の証拠というべきか?(1961.3月録音、アイザック・スターンデビュー25周年記念録音)

     あちこち突いてると、この協奏曲と「縁の深い」というか、ブラームスにシューマンへの紹介状を持たせた、いわばブラームスにとっては大恩人であるヨアヒムの協奏曲があるのでメモしとく。

    2012/01/09

    2012年日本をどうする NHK日曜討論 共産党志位委員長

    ムダ継続 社会保障切り捨て 経済どん底 「大義」なき消費増税中止を
    NHK番組 志位委員長が主張

    日本共産党の志位和夫委員長は、8日のNHK番組「日曜討論」に出演し、政府・民主党が決めた消費税率10%への段階的増税の方針について、「三つの大問題がある」と批判しました。

    一つは、ムダ遣いを続けながらの大増税になっていることです。

     志位氏は、▽八ツ場ダムの建設を再開する▽原発推進に4200億円もの予算をつける▽「(政治家が)身を切る」といいながら政党助成金320億円には手をつけない▽大企業・大資産家に1・7兆円の新たな減税をばらまく―という政府の姿勢を批判。「こういうムダ遣いをやりながらの増税はひどい」と述べました。

     二つ目は、「社会保障と税の一体改革」といいながら、社会保障は切り捨てのメニューばかりだということです。

     志位氏は、まず年金の支給額削減をおこない、さらに、支給開始年齢の68歳~70歳への先延ばし、医療の窓口負担増などを政府が狙っていると指摘し、「『一体改革』ではなくて『一体改悪』だ」と批判しました。

     三つ目は、日本経済をどん底に突き落とすことです。

     志位氏は、消費税を3%から5%に増税した1997年の総額9兆円の負担増で「景気がぺっちゃんこになった」と指摘。今度の10%への増税では、消費税だけで13兆円、年金支給削減などとあわせれば16兆円もの負担増になると告発しました。不景気や大震災の苦しみのもとでこれほどの負担増をかぶせたら、「経済も暮らしも底が抜けてしまって、結局、税収もあがらない。財政再建も進まない。大義がない大増税はやめるべきだと強くいいたい」と力説しました。

    ムダ一掃、増税するならまず富裕層と大企業に

     そのうえで志位氏は、消費税増税に代わる財源として、(1)軍事費、原発推進予算、政党助成金などのムダを一掃する(2)増税するなら、まず富裕層と大企業に応分の負担を求める(3)社会保障の抜本的拡充に踏み出す場合には、「応能負担」―「負担能力に応じた負担」という累進課税でまかなう―という抜本的対案を語りました。

    NHK番組 民・自 消費増税では一致

     8日のNHK「日曜討論」で民主党の輿石東幹事長は消費税増税について、「一昨年の参院選挙での自民党さんの公約でもあった」と述べ、与野党協議に「必ず応じていただけると思っている」と期待を示しました。

     これに対して自民党の谷垣禎一総裁も、「参院選挙で消費税は当面10%は必要だと公約にしてたたかった」と発言。自公政権で2009年税制改正法に今年3月までに「抜本改革」の措置を講じると明記したことにも触れ、「大きな意味ではこれ(消費税増税)は必要だと思います」と応じるなど、消費税増税での民・自翼賛ぶりがあらわになりました。

    ・・・・・・・・・・・・・・・以下本日付3面詳報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    日本共産党の志位和夫委員長が、8日のNHK「日曜討論」各党代表インタビューでおこなった発言はつぎのとおりです。聞き手は、神志名泰裕解説委員でした。、

    今年の政治は何が問われるか
    閉塞打開のためには、日本の政治の
    「二つの害悪」からの切り替えを


    神志名 今年の政治は、どんな点が最も問われているとお考えですか。

    志位 2年半前の「政権交代」で、国民のみなさんが託したのは「自民党政治をなんとか変えてほしい」という願いだったと思うのです。ところが、3代の民主党政権で、ことごとく裏切られた。民主党は、いまや自民党とうり二つの政党になってしまっているというのが現状だと思います。

    なぜこうなったのかということを考えますと、結局、日本の政治の「二つの害悪」━━アメリカいいなりと財界中心、この縛りから抜け出すことができなかったというところにあると思います。

    アメリカから、「結果を出せ」といわれますと、(米軍)普天間基地の辺野古「移設」に暴走する、TPP(環太平洋連携協定)参加に暴走する。

    それから、財界からいわれるままに、消費税増税法人税減税社会保障切り捨ての「一体改悪」を進める。

    いまの閉塞状況を打ち破ろうと思ったら、アメリカと財界いいなりの政治から、本当に「国民が主人公の政治」への大本からの切り替えが必要だということを訴えて、大いに今度の選挙では躍進したいと思っております。

    税と社会保障の「一体改革」素案の評価は
    無駄遣い継続、社会保障切り捨て、経済ど
    ん底━━消費税大増税の三つの大問題


    神志名 焦点の消費税増税の問題ですが、先に(政府・民主党の)素案がまとまりましたが、この評価、対応はどうなんでしょうか。

    志位 今度の、消費税大増税というのは、私は、三つの大問題があると思っています。

    まず第一は、無駄遣いを続けながらの大増税になっている。たとえば、八ツ場ダムの建設を再開する。それから、原発推進の予算は4200億円もつける。さらに、政党助成金の320億円は、「(政治家が)身を切る」といいながら手をつけない。そして、大企業・大資産家への1・7兆円の新たな減税をばらまく。こういう無駄遣いをやりながらの増税は、これはひどい。

    第二は、「一体改革」といいますけれども、社会保障の方で用意されているメニューは切り捨てばかりなんですね。まず年金の支給額を減らす。それに続けて、医療については窓口負担を増やし、さらに年金については(支給開始年齢を)68歳から70歳に繰り延べする。まさに、「一体改革」ではなくて、「一体改悪」ですね。

    そして、第三に私がいいたいのは、日本経済をどん底に突き落とすと(いうことです)。97年に消費税を5%にして、総額9兆円の負担増というのがありました。あのときに、景気がぺっちゃんこになったわけですね。.今度の(消費税)10%ということになりましたら、消費税だけで13兆円の増税ですよ。それに、年金の支給減など合わせますと、16兆円の負担増です。

    いま、これだけ景気が悪い。大震災であれだけ苦しんでいる。そこにドカーンとこういう負担増をかぶせたら、私は、経済も暮らしも底が抜けてしまって、結局、税収もあがらない。財政再建もいよいよ進まないと(思います)。

    私は、本当に大義がない大増税はやめるべきだと、強くいいたいと思います。

    消費税増税に代わる財源は
    無駄遣いを一掃、増税するなら
    まず富裕層と大企業に


    神志名 増税をしない場合、それに代わる財源はあるんですか。

    志位 私たちは三つ大きく考えていまして、

    第一に、まずは無駄遣いを一掃すると(いうことです)。米軍の「思いやり」予算を含めた軍事費、原発推進予算、あるいは政党助成金、こういうところに全部メスを入れ、

    第二は、やはり大企業と富裕層という、お金を払う能力を持っているし、たんまりもうけているところに応分の負担を求める。増税をするなら、まず富裕層と大企業にと(考えています)。

    第三に、社会保障を抜本的によくするうえでは、国民全体で支えることがどうしても必要になってきます。そのさいの税金のあり方は、消費税という弱い者いじめの税金ではなくて、私たちは「応能負担」といっていますけれども、「負担能力に応じた負担」という累進課税でまかなっていくと、こういうことを考えています。

    原発・エネルギー政策は
    事故原因究明なしの再稼働は許せない━━
    除染・賠償・「原発ゼロ」に力つくす


    神志名 なるほど。政治課題について、いくつか端的にお聞きしたいと思いますが、一つは原発・エネルギー政策、原発再稼働問題についてはどんな考えですか。

    志位 再稼働については、私と野田総理との(国会)論戦の中で、"事故原因の究明なしにはすべてスタートさせない"ということが、一応答弁になっているのです。ところが政府の(福島原発事故調査・検証委員会の)中間報告が出ていますけれども、結局、たとえば津波についてはある程度わかっていても、地震でどれだけ壊れたかは、まだわからないわけですね。事故原因の究明抜きの再稼働ということは絶対これは許せないことだと(思います)

    それから、政府は年末に「収束宣言」を出しましたでしょう。あれは、福島県議会が全会一致で撤回(要求)決議をあげていますけれども、炉心の状態もわからない、それから除染もまったく進んでいないなかでの「収束宣言」というのはとんでもないことだと思いますね。

    私は、除染と賠償と、そして「原発ゼロ」に向けた取り組みを大いに強めたいと思っています。

    TPPにどう対応する
    米国との「事前協議」でコメ・牛肉・郵政
    自由化が━━共同広げ断念においこむ


    神志名 TPP問題はどうですか。

    志位 TPPは、ああいう形でAPEC(アジア太平洋経済協力会議).で参加表明したわけだけれども、これからが問題になってくるのです。

    まず、参加しようと思ったら、アメリカとの「事前協議」が必要になる。アメリカ政府と議会がOKといわないと、これは参加できないわけですね。この「事前協議」は、おそらく水面下でいまやっているんですが、さっそく、(米側から)お米、牛肉、郵政と、自由化の要求が出ています。

    結局、これを進めていきますと、日本の食料主権も経済主権も全部アメリカに売り渡すということになりますから、こういう"亡国の政治はストップ"ということで、この間、農協の方々などと幅広い共同が広がっておりますが、これをさらに広げて、断念に追い込みたいと思っております。

    普天間基地「移設」問題をどうする
    正当性のなさを自ら示す政府の暴挙━━
    日米合意の白紙撤回、無条件撤去を


    神志名 普天間基地の「移設」問題についてはどうなんでしょう。

    志位 年末に政府がやったやり方というのは言語道断だと思うんですね。例の(新基地建設にむけた)環境アセス評価書をまず宅配便で送りつける。それが失敗すると、今度は午前4時に、ほとんど人がいないところに段ボール箱を(沖縄)防衛局長が持ち込んで、無理やり押し付けてくると。こういうやり方自体が、いかに(政府が)やろうとしていることに正当性がないかを自ら示していると思います。

    いま、沖縄の世論というのは、もう限界点をすでに超えて、「県内移設絶対反対」「普天間基地は閉鎖・撤去」、これは県民の「オール沖縄」の声となっていますから、力ずくでことを進めるというやり方では絶対に解決しない。私は、(新基地建設の)日米合意を白紙撒回して、(普矢間基地)無条件撤去を求めて本腰の交渉をアメリカとするべきだと、求めていきたいと思います。

    解散・総選挙にどう対応するか
    "民主も自民もダメ"が大勢に━━
    創立90年、日本共産党の名前を掲げ躍進を


    神志名 最後に衆院解散・総選挙への対応ですが、共産党は次の選挙からすべての小選挙区に候補者を擁立するということですが、これの狙いはどういうことですか。

    志位 やはり、いまの政治状況を見ますと、2年半民主党政権が続いたけれども、"自民もダメだけども、民主もダメだ"と、これが大勢になっていると思うのです。そして、この「二大政党」の支持基盤の大崩壊が起こって、日本の政治のカ関係が大きく変わる変動の条件があると思います。

    そのなかで、本当の改革を掲げだ日本共産党が大きく躍進する必要がある。とくに私ども、今年は党創立90周年を迎えますが、戦前・戦後、一つの名前でがんばってきた、いろんな試練に耐えてがんばってきた党で、この日本共産党という名前を大いに揚げて躍進したいと思っています。

    神志名 ありがとうございました。

    志位 ありがとうございました。

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    TPP・関税撤廃

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    財政・税制

    エネルギー

    安保・米軍基地

    2012/01/02

    太陽”エネルギー”がいっぱい 自然が主役 欧州を行く

    Taiyoko_map  ユーロ危機でも再生可能エネルギー(自然エネルギー)の普及が着実に進む欧州。「原発ゼロ」の日本をめざすうえで参考になる自然エネルギー先進国、スペインとドイツの現場を訪ねました。坂口明記者(写真も)

     スペインの首都マドリードから高速列車で東へ1時間。クエンカ新駅から、さらに車で1時間ほど走ると、なだらかな丘に太陽光パネルがズラッと並ぶオルメディーリャ発電所が姿を現しました。スペイン最大の太陽光発電所です。

    Taiyoko_phot

    サッカースタジアム350個分(200㌶)の広さにパネル27万5千枚。年間8750万㌔㍗時を発電し、3万5千人に給電できます。

    川崎市で建設中の日本最大級の浮島・扇島メガソーラーは2カ所でパネル10万枚以上、年間発電量は想定2000万㌔㍗時。その4倍強の大発電所です。

    パネルに接続された変圧器、管理センター、隣接する変電所への接続施設など主要施設を見るだけで車で1時間半走りました。冬でも少し痛いぐらいの太陽光が降り注ぎます。案内してくれたのは、発電所を運営するノベソル社のマヌエル・アルグエリェス・リナレス所長です。

    「2008年にできた時は世界最大でした。今はカナダ、イタリアの2カ所、中国の発電所に次いで第5位かな」とアルグエリェスさん。「07年4月に工事を始め、1年3ヵ月の突貫工事で完成しました。初めて発電した日は息子の誕生日で、人生最良の日でした」━情熱的に語ります。

    ヒマワリ畑や養豚場だったこの場所を選んだのは、陽光の条件もさることながら、スペインの中心に位置する変電所の隣ということが大きな要因だったといいます。

    工学エンジニアリングを学んだアルグエリェスさん。「27歳でこの仕事を始め、地球を助けるのに役立つと感じました。太陽光発電は安く、環境を汚染しません。パネルは4年後にはもっと安くなる」と語ります。

    世界初タワー式

    スペイン南部アンダルシアのコルドバからセビリアヘの高速道路を西へ90㌔。右側の車窓に、光線でできたクリスマスツリーのようなものが出現します。灯台を思わせる塔の上部が白熱色に輝き、円すい形に発光しているように見えます。世界初のタワー式太陽熱発電所「ヘマソラール」(太陽の宝石)です。

    195㌶の発電所を運営するトレソル・エナジー社のサンティアゴ・アリアス技術部長は、一辺約10㍍の巨大パネルの前で、仕組みを説明してくれました。

    高さ140㍍のタワーからパネルに光が当たっているように見えるのは錯覚でした。パネルは「ヘリオスタット」と呼ばれる反射鏡。2650個が円状に置かれ、タワー上部の集光機に太陽光線を集中しているのです。

    ヘリオスタットの真下に移動したアリアス氏は「何か聞こえますか?」。耳を澄ますと、チリ、チリという音が。

    「20秒ごとに太陽の位置を確認し、太陽光線が最も効率的にタワー上部に集中するよう、モーターが鏡を動かす音です」

    鏡の総面積は30万平方㍍。生じたエネルギーを熱に換え、蒸気タービンで発電します。出力1万9900㌔㍗。年間1億1千万㌔㍗時の発電量で、2万7500世帯の電力を賄えます。(2面につづく)

    Taiyoko_phot_2

    1面のつづき

    ヘマソラールの核心は、溶融塩を活用して、発生したエネルギーを蓄えられる点にあります。日照時間に左右されるのが欠点とされる太陽エネルギー発電施設なのに、日のささない夜間などでも、蓄えた熱を生かして15時間発電できます。

    全国の需給 一括管理

    第2次石油危機直後の80年に再生可能エネルギー開発に着手したスペイン。2005年以降、電力固定価格買い取り制度や法整備で同エネルギーは着実に増えています。風力・水力発電量が増えた10年には電力消費量(3千憶㌔㍗時)の33・3%にも。20年には39%に高める計画です。

    気候に左右される自然エネルギーの比率が高まると、電力の需給バランスを調整する仕組みが必要になります。そこでスペインが実施しているのが、全国の電力系統を一括管理するREE(スペイン電力ネットワーク)社による需給調整です。

    「調整するには電力需給の事前予測が必要です。最初は対処法が分かりませんでした。やっているうちに、発電機1基なら予測は難しいが、1000基なら予測しやすくなることが分かってきました」━産業・観光・通商省エネルギー多様化・節約インスティチュート(IDAE)のジャウメ・マルガリツト・ロセット再生可能エネルギー部長は語ります。

    「10年前までは風力発電が2割を超えるのは不可能で危険だと考えられていました。しかしここ2年は風力だけで需要の5~6割を賄う日も出ています」

    マドリード郊外にあるREE社を訪ね、需給調整の中心、電力管理センターの大きなコントロールパネルの前でトマス・ドミンゲス所長に業務を説明してもらいました。

    パネルには全国の送電線が示され、電力需給バランス、風力、太陽光、火力など各発電所の出力がリアルタイムで分かります。ポルトガル、モロッコ、フランスなど周辺諸国との電力輸出入も一目でつかめます。

    過去の電力消費の実績、現在の需給、天気予報も考慮した予測に基づき、風力が弱まりそうなら水力発電所に発電量の増加を指示します。

    「こういう機能を部分的に持つ国はありますが、全国規模のシステムがあるのはスペインだけです」と所長は語ります。

    スペインは旧社労党政権下で原発を一定減らし、現有の8基は当面、稼働を続けます。しかし全国一括の需給管理体制をとり、「最大需要5500万㌔㍗に対し設備容量は1億㌔㍗ある」(マルガリット部長)状態。原発がなくても、やっていけます。

    電力4割自然エネで(2020年)

    国や自治体が主導

    スペインで自然エネルギー普及率1位は、対仏国境のピレネー山脈の南にあるナバラ自治州です。州の電力需要の8割は、風力を軸とする自然エネルギーで賄われてい
    ます。州内で発電する電力の4割は州外に供給されています。

    州都パンプローナを訪ね、州政府農村開発・産業・雇用・環境省のホルヘ・サンミゲル・インドゥライン雇用・刷新総局長とラケル・ペレス・アイェラ広報室長に話を聞きました。

    「EUはエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を20年までに20%にする目標です。スペインでは2000万㌔㍗。ナバラ州は20年までに200万㌔㍗を発電する計画です」とサンミゲルさん。

    「ナバラ州は1995年に、再生可能エネルギーは経済にも環境にもいいので、未来はこれだと決めました。主力は風力、次がバイオマスです」

    風力タービンは住宅などから最低50㍍離して建てると州法で決まっており、個別に審査します。

    サンミゲルさんは、自然エネルギー推進を地域振興策としても重視していると強調します。

    「現在の経済危機で失業が大問題ですが、全国の失業率が22~23%なのにナバラは11%です。2005年には4~5%でした。再生可能エネルギー推進政策が大きく貢献しています。それに使う技術の8割はナバラでつくられています」

    自然エネルギー関連で5千人の雇用を生み、州の国内総生産(GDP)の5%を担っています。

    「もし日本が再生可能エネルギーを普及させたいのなら、ここでやっているように、まず国や地方自治体がイニシアチブを発揮することだと思いますよ」

    ドイツ

    ドイツは1万㌔離れた福島原発事故を受け、22年までの原発全廃を決めました。普及しているのが市民運営の自然エネルギー発電所。自然エネルギーによる電力だけを供給する市民電力会社まであります。その一つ、南西部バーデン・ビュルテンベルク州シェーナウのシェーナウ電力会社(EWS)を訪ねました。

    原発ゼロへ市民が電力会社

    ミュンヘンから列車とバスを乗り継いで5時間。スイス国境に近い小さな町がシェーナウです。EWS創設者ウアズラ・スラーデクさんが取材に応じてくれました。

    小学校教員の資格を持ち5人の子育てをしてきたスラーデクさんの人生を変えたのは、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故でした。2000㌔離れたドイツ南部でも放射能汚染が大間題になります。

    スラーデクさんらがつくった「親の会」は、「原発に依存しない社会にしなければ」と活動を始め、町に電力供給していたライフェルデン発電所(KWR)に原発からの撤退を求めます。しかし同社は応じません。

    94年には町と電力会社との20年ごとの契約更新を迎えます。強まる住民運動に脅威を感じたKWR社は90年、契約更新の繰り上げを町に申し出ました。「親の会」は、クリーンな電力供給を契約更新の条件とするよう町に要望。議会も賛成しましたが、KWRは拒否しました。

    そこでスラーデクさんらは、市民所有の電力会社をつくることを決意。EWS社を創設します。2回の住民投票などを経て97年、EWSはついに操業を開始しました。

    EWSを運営するのは組合員1600人の共同組合です。スラーデクさんら4人の理事がいます。その下に、送電会社、給電会社2社、発電会社の4社があり、スラーデクさんは一つの給電会社の社長もしています。

    ドイツでは98年の電力自由化後、どの州に住んでいても自分の好きな電力会社を選べるようになり、EWSのように自然エネルギーでつくった電力だけを売る会社が進出しています。EWSは現在、約12万人に自然エネルギー電力を供給しています。福島事故後は問い合わせが殺到。社屋増築作業が進んでいました。

    スラーデクさんに「原発反対で始まった活動が、市民運営の電力会社の設立にまで至るのは、なぜ?」と質問しました。

    「チェルノブイリ事故が起きて、子どもたちの健康や将来がとても心配で、原発に反対するため何かしなければと思いました。大変な心配事がある時の人の反応は、それについて何も考えないか、活動するかです。でも何も考えないと自分の健康を害します。行動すれば心配に対処できるようになるでしょう」

    「心理学を勉強したことが活動に役立ちました」というスラーデクさん。説明も心理学的です。

    「最初から、今やっているようなことをしょうと思って行動し始めたわけではないのです。活動を積み重ねた結果、現在に至りました」

    そういうスラーデクさんが強調したのは「正義」でした。

    「私に大事なのは『正義』です。今後の世代に、私たちと同じ生存条件を残さなければなりません。原発は使用済み核燃料の処理だけを考えても100万年続く危険です。100万年といえば4万世代ですから」

    「私たちの目的は利益増大ではなく、再生可能エネルギーを増やし、エネルギー政策への市民の参加を拡大して世の中を変えることです」と語るスラーデクさん。「原子力に反対する100個の十分な理由」というパンフをつくり、福島原発事故後に日本語訳もインターネットで公開しました。

    「私のもう一つの動機は、国民のことを考えず、お金のことしか考えない人々への怒りです。強い世論がなければ、大企業は国民に配慮しません。私たちは再生可能エネルギーを促進するためにたたかっていますが、本当は民主主義のためにたたかっているのです」(しんぶん赤旗日曜版2012.1.1号第2部)

     う~ん。ちょっとのことでは驚かない「寅さん」もびっくりする内容だ。スペインについては以前ちょっと書いた。(→「寅さん」のブログ:アンダルシア州)

     それにしても、「市民が発電所を持つ」というのは、発想の転換が必要だ。

     「寅さん」の家の前に立つと、はるか東には14基、西北にも13基の風力発電の風車が回ってる。風力は「寅さん」の地方では大いに利用できるエネルギー源だ。でもこの設置場所には十分な調査が必要だ。最近「低周波」による被害が報告されている。

     「寅さん」も実際に現地に行ってきた。

     だが設置場所を選べば大きな可能性を秘めていると思う。

     風力以外にも、きょうの主題の「太陽光・太陽熱」「水力」「バイオマス」・・・いろんなことが考えられる。(→「寅さん」のブログ:エネルギーの地産地消

     要するに温度なり高さ(位置)なりが違えば発電ができる理屈だ。(他にもあるだろうが・・専門外)

     「寅さん」も、やはり一度「電気は電力会社から買うもの」という考えを疑ってみる必要があると思う。

     同時に「節電」も大事だろう。

     とりあえず、テレビの24時間放送を止めてはどうだろうか?

     だって「寅さん」の家は、戦後並みの生活なのだ。

     唯一、今使ってるパソコンぐらいなのだ。

     テレビはどこかで書いたがNHKの19時のニュースと日曜日の「笑点」の二つだ。

     ちょっと違った。沢口靖子さんが日曜版に登場したのをきっかけに「科捜研の女」を観る・・・か。

     もうあまり「節電」する箇所がない。

     電力会社がテレビ広告を出すほど電力がほんとに不足してるのか?

    原発なしで電力足りる/来夏も含め 民間研究所が試算(しんぶん赤旗2011.10.28)

    2011102808_01_1・・・・・民間非営利団体の環境エネルギー政策研究所(ISEP、飯田哲也所長)は25日、稼働中の原発をすべて停止しても原発をもつ9電力会社で今冬・来夏ともに電力不足は生じないとする報告を発表しました。

     政府は7月に全原発が停止した場合、2011年夏、12年冬・夏のピーク電力が不足するとの見通しを発表しています。報告はこの見通しについて、節電を想定しない過大な需要と、真夏の定期検査や自家発電供給の打ち切りを盛り込んだ過小な供給を前提とするものだと厳しく批判しています。

     その上で、政府の見通しに対して設備を再点検して供給力をチェックし、需要も今夏並みの節電をもっと楽な方法で実施するという前提で電力需給を推計しました。その結果、来年夏の場合、政府は原発の再稼働がなければ電力は1657万キロワット不足するとの見通しでしたが、2621万キロワットの余裕があることがわかりました(グラフ)。

     原発事故は、国民を不幸のどん底におとしたし不幸は今も続いている。

     きょうの記事は、新年にふさわしい記事だと言えるし、同時に新年早々ため息が出そうな記事であるとも言える。

     はっきり言えるのは、「原発はNOだ!」ということだ。

    関連サイト:

    「原発ゼロ」の日本へ(日本共産党の提案)

    参考:(→小水力利用の基礎知識)(勝手にリンク)京都の「渡月橋」のライトアップは自家発電?

    追加:

    瀬戸内寂聴さんの講話をテレビで観る。

    「忘己利他(もうこりた)」とあった。(→「寅さん」のブログ

    なかなかこうはいかない。

    2011/12/31

    2011年を振り返って市田書記局長が会見

    2011年を振り返って市田書記局長が会見

    2011/10/02

    ズラリ、ずっしり負担増メニュー 来年3月に増税法案 消費税値上げも

     きょうは多忙な一日だった。

     で、写真一枚。今週号日曜版の見開き、18・19頁だ。

     題して「ズラリ、ずっしり負担増メニュー」。

     記事は明日追加。

    Zozei_all_2011102
    (→pdfファイル

    「税と社会保障の一体改革」。野田佳彦首相が来年3月までに法案を出すと明言しています。「一体」となって押し寄せてくるのは、いったいどんなものか―。
    しんぶん赤旗日曜版2011.10.2号)

     まず目に付くイラストを見る。まったくひどいね。

    Yaneniisi

     消費税が一家を直撃する。

     すでに「国保税は高すぎる」という声は切実だ。「国保保険料が高額な市町村ランキング」というホームページまで現れた。(後期高齢者医療関連→「寅さん」のブログ

     上記のイラストの最下欄に「さらに年金は減らされ・・・・」てとある。今年も減らされてことは書いた。1年の内、2日は「生きるな」というものだ。

     ここで「寅さん」の提案だ。

     「年金」後は「楽しい生活を保障する」という制度だ。

     具体的には、「もう税金は十分もらったから結構です」「医療費もタダにします」・・・・・・

     そんなの無理では?

     と、「寅さん」も思ったのだが、下記の記事を読んで、「カネの」使い方、政治の仕方である。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ヨーロッパとちがって年金はつらい話題

     私たちが痛感するのは、同じ資本主義国でも、ヨーロッパと日本では、国民のみなさんのあいだで年金が話題になるなり方がたいへん違うことです。

     私どもは「しんぶん赤旗」を出しておりまして、世界中に特派員を送っています。ヨーロッパから帰ってきた赤旗特派員に聞きますと、たとえばフランスです。自分の子どもがいっている幼稚園の先生に会いますと「私はまもなく年金生活に入るんですよ」とにこにこしている。ルノーというフランス最大の自動車工場がありますが、そこに取材にいきますと、年配の労働者が「おれは近く年金なんだ」とこれも楽しそうに話すといいます。つまり、ヨーロッパでは年金生活に入るということは楽しい話題なんですね。

     ところが、日本では、年金が楽しい話題になっているでしょうか。つらい話題にしかなりません。政府の統計をみますと、国民年金だけをもらっている方が約九百万人いますが、そのなかで月六万円以上をもらっている方が22%。六万円でも暮らしが成り立たないのですが、それでも五人に一人です。四万円以下の方が46%、つまり二人に一人です。そういう貧しい年金だからつらい話題になるのは当たり前ということなんです。

     なぜ、日本の年金制度はこんなに貧しくつらいのか。その大もとを考えないと、まともな年金制度にしようじゃないかといっても答えが出てきません。

    年金の貧しさの根源は、税金の使い方にある

     ヨーロッパとどこがちがうのかというと、まず、国の税金の使い方がちがうのです。社会保障というのは、国民の生活を支える一番大事なものですから、資本主義の国でも、ヨーロッパでは、ここに一番多くの税金を使います。国や地方が社会保障に回している税金の額を経済の規模におうじて比べますと、日本で使っている税金の額はだいたいドイツ、イギリス、フランスの二分の一から三分の一です。つまり、ヨーロッパ並みに税金を使うとしたら、みなさんが払っている税金の中から今の二倍から三倍のお金を社会保障にまわして当たり前ということになるのです。

     なぜ、日本では、社会保障にまわす税金がそんなに少なくなるのかというと、ヨーロッパとちがって税金の一番の使い道となっているのが社会保障ではなく、ゼネコンが喜ぶ公共事業なんですよ。公共事業に使っている税金を経済の規模の割合で見ますと、日本はフランスの一・五倍、ドイツの三倍、イギリスの四倍にもなります。九〇年代には、日本では、国と地方の税金のうち、公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円と、二対一の割合に決まっていました。このごろは、予算が苦しくなったのと公共事業中心が評判が悪いので、公共事業四十兆円、社会保障二十五兆円と少し変わってきましたが、それでも予算を使う一番が公共事業ということは変わらないのです。こんな国は世界にはほかにないんですね。

     だから、国でも地方でも、自民党・公明党流の考え方で政治をやっているところでは、たとえその事業が赤字になっても公共事業がいいとなる。静岡でも静岡空港を建設するといって大騒ぎだそうですね。採算が絶対に成り立たなくて赤字になることは間違いないとわかっていても、こっちが大事だということで、県民、国民の暮らしを第一にしようという考えがない。そこに、同じ資本主義国でもヨーロッパがたどりついたところと、いまの日本の状況の大違いがあるんですよ。

     ここを直さないと、「改革」といっても国民の暮らしを助ける改革は出てこない。私はそのなによりの証拠が、今度の政府の年金「改革」だと思います。・・・・・・・

    しんぶん赤旗2004.6.5「静岡市での講演」)

     一度突いて見てみよう。「一見の価値有り」の頁だ。

     日本では「月給の3割」程度は「いろんな負担」に消えてきた。

     ところで、「寅さん」は国保について随分書いたので、クリックしてもらいた。(→「寅さん」のブログ

     そこに新たな増税だ案だ。「復興のためにはやむを得ない」とマスコミも大合唱だ。とんでもない話だ。被災者にも消費税はかかる。それに、軍事費や政党助成金も、アメリカへの「思いやり予算」もそのままだ。

     以下、本文を読むことにする。

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    消費税は大増税社会保障は削減

    まず、買い物のたびに5%を負担している消貧税をどんどん引き上げようとしています。

    民主党政権の「社会保障・税一体改革成案」(6月)で、「2010年代半ばまでに段階的に消貧税率を10%まで引き上げ」と明記しました。野田首相も国会で「(一体改革』では)消費税収を主たる財源として安定財源を確保する」と公言しました。(9月15日、衆院本会議)

    高齢化で増える医療・年金・介護などの社会保障支出の税財源を消費税に限定すれば、大変なことになります。25年度の必要な税財源は61兆円超(政府試算)。消費税率は20%を超えてしまいます。1万円の買い物で消貧税が2千円超にも!

    消費税は、被災者をはじめ、低所得者に重い負担を強いるもので、社会保障の財源に最もふさわしくありません。

    一方、「成案」では、大企業に「法人実効税率の引き下げ」と、さらに減税を行うとしました。

  • 法人税は実質2%減/復興財源案 財務相認める [しんぶん赤旗2011.9.29]
  • しかも、消費税増税で社会保障は良くなるのでしょうか。表のように、医療、介護、年金、子育てなど、どの分野でも改悪内容がずらりと並びます。そのための改定案を年内にもまとめ、12年以降に法案を出すスケジュールです。これでは「消費税は大増税、社会保障は削減」の「一体改悪」です。

    ・・・・・・・・・・・

    被災地も負担増

    「低賃金の非正規労働者、倒産の危機に直面する中小業者、低年金の高齢者が増えています。消費税を上げたら生活が破壊されてしまう国民のことを全然見ていない」と怒るのは、「消費税をなくす全国の会」常任世話人の江尻尚子さん。

    「被災地をはじめ、幅広い人々の間で消費税増税に対する怒りが広がりつつあります。社会保障の『改革』も、例えば医療では患者負担を増やし、医療を受けられなくするものです」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    財界が要求民・自・公「一体」で

    「一体改革」を求めているのは誰か。

    財界団体の日本経済団体連合会は、消費税について「第一段階」10%、最終的に「20%を上回る」税率にすることと、法人税の減税を要求してきました。消費税を完全に価格に転嫁できる大企業は、税率を上げても自分の腹を痛めません。

    米倉弘昌会長は、「一体改革」案の「大きな枠組みについては、経団連の考えと一致する」(6月)と評価しています。

    もともと自公案

    そもそも「一体改革」案は、どこから生まれたのでしょうか。9月18日のNHK「日曜討論」では、こんなやりとりがありました。

    民主党・藤井裕久税制調査会長「自民党さんがつくったものを、そのまま僕らは乗っておりますよ」

    公明党・斉藤鉄夫税調会長「われわれが自公政権時代に提案していたそのものなんですね」

    つまり、この路線は、自公政権の福田・麻生内閣時代の「社会保障国民会議」「安心社会実現会議」で提案されたものなのです。

    大企業の税・社会保障負担を減らし、消費税を増やせと主張する財界の要求を受けて、民自公が「一体」で進めているのです。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    生活破壊許さない運動を
    中央社会保障推進協議会代表委員
    全国保険医団体連合会会長
    住江憲勇さん

    2年前、「国民生活が第一」と言って政権を取った民主党が、自公政権の国民生活破壊の議論を踏襲するのは許されないことです。

    国民誰もが必要なときに適切な医康、介護、年金などを受けられるというのが社会保障です。その財源は負担能力のある人が拠出し、負担能力の低い人に給付する「所得の再分配」が基本です。

    低所得者ほど負担の重い消費税は「所得の再分配」に反します。消費税しか社会保障の財源に繰り入れないことになれば、大企業や富裕層から徴税して社会保障に回すことができなくなります。

    社会保障の「改革」は公的な医療の守備範囲を狭め、医療の営利化を進めるものです。

    中央社保協は「一体改革」撤回を求める1千万人署名に取り組んでいます。国民生活と国のありようを変える大間題であることを強く訴えたい。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    消費税に頼らない財源ある

    聖域にメス入れ「応能負担」で日本共産党が提案

    「消費税増税は中止し、『応能負担』━負担能力に応じた負担という原則に立って、税制と社会保障のあり方を土台から再構築することこそ必要だ」日本共産党の志位和夫委員長は、国会の代表質聞(9月15日)で強調しました。

    日本共産党は、政党助成金(共産党以外の各党が分け取り)、原発建設・推進予算、米軍「思いやり」予算などを中止すべきだと主張。これまで減税してきた大企業や大資産家にさらに減税するのでなく、負担能力に応じて適正に負担させるべきだと要求しています。

    参考:表中にある「マクロ経済スライド制」のリンク。

    「マクロ経済スライド」/生存権おびやかし、何が安心/憲法25条の最低限度にもほど遠い基礎年金(2004.2.2)

    老人福祉法:

    第2条(基本的理念)

    老人は、多年にわたり社会の発展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。

    2011/08/12

    放射能汚染から子と国民守れ/徹底した調査・除染・健康管理/日本共産党が対策を提言

    放射能汚染から子と国民守れ/徹底した調査・除染・健康管理/日本共産党が対策を提言(しんぶん赤旗2011.8.12)

    福島原発事故による放射能汚染から、子どもと国民の健康を守る対策を――
    徹底した調査、迅速な除染、万全な健康管理を求める
    2011年8月11日 日本共産党

     東京電力福島原発事故によって、大量かつ広範囲に放射性物質=「死の灰」が放出され、国民の放射能への不安が広がっている。とりわけ、放射能への感受性が高い子どもの健康を守ることは、日本社会の大問題である。

     放射能汚染の実態を正確に把握し、その実態とリスクを国民に正直に明らかにし、その被害から国民の命と健康を守るために可能なあらゆる対策をとるのか、放射能汚染の深刻な現状を国民から覆い隠すという態度をとるのか、政治の姿勢が問われている。

     放射能による健康被害は、急性障害だけでなく、晩発性障害がある。放射線被ばくは、少量であっても、将来、発がんなどの健康被害が起きる危険性がある。放射線被ばくの健康への影響は、「これ以下なら安全」という「しきい値」はなく、「少なければ少ないほど良い」というのが放射線防護の大原則である。

     現在の科学・技術では、原発から外部に放出された放射能を消去することも、減らすこともできない。しかし、汚染された土壌を取り除くなど放射性物質をできる限り生活環境から切り離すなどの措置をとることで、人間があびる放射線量を下げることはできる。

     放射能の実態を正確かつ系統的に調査し、最大限の除染を行い、被災者の健康調査と管理を行うことが求められている。

     福島第1原発から放出された放射性物質は、「ウラン換算で広島型原爆20個分」(児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長 衆院厚生労働委員会参考人質疑)という見解も出されている。今回の事故の重大さとその被害の深刻な実態をふまえるなら、この取り組みは、迅速性が求められるとともに、子どもと国民の命と健康を守る一大事業として、長期間継続されなければならない。

     以下の点について、政府がただちに対策を強化し、本腰を入れた取り組みをすすめることを求める。

    1、国の責任で放射能汚染の実態を正確かつ全面的に把握する調査を系統的に実施する

    (1)放射線量の総合的で系統的な調査を行う

     きめ細かく、系統的な放射線量・放射能汚染の調査を実施し、放射能汚染の状態を正確に把握することは、国や自治体が放射線防護の体制を整えるうえでの大前提である。

     ――(住民のための汚染マップ)福島県をはじめ放射能汚染が心配されるすべての地域を対象に「放射線量等分布マップ」(放射能汚染マップ)を、早急に作成する。放射線量が高い市町村では、住居ごとに測定し、「私の家はどうなっているか」などについて、住民がわかるようにする。空中放射線量や土壌汚染など、放射能汚染の実態を把握するモニタリング調査を系統的に実施する。

     ――(子どもが近づく場所、ホットスポット対策)面的な調査とともに、学校や幼稚園、保育園、通学路、公園など、子どもが近づく場所、側溝など「ホットスポット」になりやすい場所を集中的に調査する。

     ――(自治体への支援体制)福島県をはじめ放射能汚染の不安が住民から出されている各自治体が、徹底した放射能汚染調査を行えるよう、専門家の派遣、相談体制、十分な財政支援など、国の支援体制を早急に整える。

    (2)国の責任で、都道府県が行っている食品検査体制を抜本的に強化する 

     ――(検査機器と体制の整備)食品の検査は、厚生労働省が都道府県に行わせているが、検査機器も体制も足りないために、実態の正確な把握には程遠い状態である。自治体まかせにせず、国の責任で、民間の能力も活用し、最新鋭の検査機器を最大限に確保して、検査体制の抜本的強化をはかる。

     ――(暫定規制値の厳守・見直し)政府が、食品に関する暫定規制値を定めている以上、それを超える食品を市場に絶対に流通させないことは、政府の最低限の責任である。同時に、科学者、専門家、生産者、消費者などの意見をふまえ、暫定規制値を検証し、必要な見直しをたえず行っていくことが必要である。

     ――(生産者に損害を与えない万全の措置)放射能に汚染された農産物、水産物を市場に流通させないための出荷停止などを効果的に行うためにも、放射能汚染に責任のない生産者への迅速な賠償が不可欠である。国が、買い取りなどを含め、生産者に損害を与えない万全の体制をとることを保障すべきである。その賠償にかかる経費は東京電力に負担させる。

    2、放射能汚染の規模にふさわしい除染を迅速にすすめる

    (1)除染は、住民合意で計画をつくり、国が全面的に支援する

     ――(除染をすすめる大原則)除染にあたっては、(1)国が責任をもって住民に正確な放射能汚染と、そのリスク、除染方法を示し、(2)それぞれの地域の除染計画と方法は住民の納得と合意で決め、(3)その実施や財政的な手当ては、自治体や地域の取り組みを国が全面的に支援する――ことを大原則にするべきである。

     除染にあたっては、緊急除染とともに、大規模で長期にわたる除染の両面で、国が全面的に責任を負って推進する必要がある。

    (2)放射線量の高い所、子どもに関する施設や場所の緊急除染をすすめる

     ――(緊急除染を行う)調査で汚染程度が高いところが判明次第、ただちに除染の作業を行う。乳幼児、子ども、妊婦の被ばくを最小限におさえるために、学校、幼稚園、保育園、公園、産院など関連施設や通学路などの線量低減・除染を優先的に行う。

     ――(自治体への支援体制)各自治体が取り組んでいる除染の状況を国が把握するとともに、財政負担はもとより、除染に対する専門家の派遣、相談体制など、国の支援体制を抜本的に強化する。除染方法についても専門家などの知見を結集し、効果的にすすめることができるようにする。

     ――(自主的活動への支援)住民や父母による自主的な除染活動には、機材の貸し出しや除染方法、内部被ばくを避ける作業方法などの相談や援助を各自治体が行えるよう、国が支援する。

    (3)大規模で長期にわたる放射能調査・除染に必要な体制を整える

     福島原発事故で、大量の放射性物質が広範囲に拡散しており、調査と除染の取り組みは、大規模かつ長期にわたるものになる。

     ――(放射能調査・除染推進センターの確立)福島原発事故で求められている放射能汚染の実態調査と除染は、規模の面でも、その方法についても、かつて経験したことがない取り組みである。政府は、この課題を国民の命と健康を守る一大事業として位置づけ、責任をもって取り組むことが必要である。

     そのために、科学者、専門家、技術者、民間企業などの知恵と力を総結集し、放射能汚染の実態を全面的、系統的に調査し、除染を推進する強力な特別の体制(放射能調査・除染推進センター・仮称)をすみやかにつくる。

     この体制をつくるさいには、東電から研究費などの便宜を供与され、いまだに「安全神話」をふりまいている「原子力村」の「専門家」はかかわらせない。

     ――(大規模な放射能汚染から子どもと国民を防護する緊急の法整備)いま求められているのは、福島原発事故で飛散した大量の放射性物質を除去し、人間の生活からできる限り「切り離す」ことであるが、このような広範囲の放射能汚染は、現行法(放射線障害防止法など)では想定されていない。大規模で長期期間継続する除染をすすめるための緊急の法整備を行う必要がある。

    3、避難者への支援を抜本的に強化する

     ――(避難先の確保など生活支援)放射線測定によって、一時的な避難が必要になる場合には、安定した避難先の確保をはじめ生活支援に万全の体制をとる必要がある。

     ――(自主避難にも賠償、子ども・妊婦に配慮)住民の判断による、いわゆる自主避難についても、必要な生活支援と東京電力による賠償が行わなければならない。とくに、子どもや妊婦の避難には特別の配慮が求められる。

    4、内部被ばくを含めた被ばく線量調査をはじめ健康管理をすすめる

     ――(被ばく調査への全面支援)福島県は、200万県民全員を対象に、健康調査を実施し、長期間にわたって放射線被ばくの影響を調べることを決めている。この調査は、きわめて重要であるが、ほんらい、国の責任で行うべきものであり、必要な財政の保障など、国の全面的な支援が必要である。内部被ばくの検査には、ホールボディーカウンターなど特別の設備と医師や専門家が必要になる。国が体制を整えるよう最大限の措置をとる。

     ――(作業員の健康管理)福島原発の危機収束のために現場で働いている作業員の健康と労働環境を守るのは、国の責任である。東京電力まかせにせず、国が責任をもって、末端の下請け労働者を含めて、すべての作業員の内部被ばく調査と健康管理が実施されるようにする。

    (→記者会見/動画、 YouTube

    2011/07/31

    東北の農業復興へ、政府は責任をはたせ/JA全中の「大震災対策・基本農政確立」の全国集会/志位委員長のあいさつ

    TPP参加 賛成できない/各界19氏がアピール/JA・全漁連・全森連・主婦連代表ら (しんぶん赤旗2011.10.2)

    TPPは復興の障害/東北6県の生協連会長が声明(2011.9.8)

    東北の農業復興へ、政府は責任をはたせ/JA全中の「大震災対策・基本農政確立」の全国集会/志位委員長のあいさつ (2011.7.30)

    キノコ農家への送電停止通告/東電が事実確認の意向(2011.7.30)

    原発事故 賠償仮払い法が成立/共産党反対(2011.7.30)

    二重債務 救済法自公案を可決/共産党賛成(2011.7.30)

    TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)

    「寅さん」:こういうリンクだけの日は、「寅さん」が多忙だったと理解してもらいたい。

    2011/07/22

    「しんぶん赤旗」ここが違う

     昨日の続きとして書いている。題して「『しんぶん赤旗』ここが違う」だ。

     コメントを書きたいが「寅さん」はきょう「デイサービス」を受ける日だ。迎えの車が来る。

     その前に、日課にしてるお地蔵さんにお参りにゆく。忙しいので夜に追加記事を書くことにする。

     「寅さん」が地蔵さんのお参り? そうなんだ。どこかで書いたが、弁天さまの祠(ほこら)も管理するメンバーなのだ。

     「寅さん」が宗教を信じるの?

     「信じない」。信じないが、盆正月にはお寺さんにお参りにゆく。特に今年は母が亡くなったのでお寺さんと懇意になった。

     「お地蔵さま」はたしかに「地蔵菩薩」という仏様だが、どちらかというと「宗教」というより「習俗」という感じがする。

     あまり「固い」ことは言わない。

     何しろ故小笠原貞子日本共産党副委員長はクリスチャンだった。「寅さん」の先輩にも後輩にも共産党員の住職がいてる。

     「仏教の教え」(括弧書き)が共産党に通じることはどこかで書いた。(後日探してリンクをはる)

     あった。

    ・・・・・・これをじっくり眺めていると、「仏の教えに」最も近い政党は、「共産党」のように思うのだが、「寅さん」の思い違いか?(「寅さん」のブログ「十戒」

     それに比べると「お地蔵さん参り」など、「軽い軽い」。

    「本当」が知りたいあなたへ 他紙にない情報・視点が満載

    「あすの『赤旗』が楽しみ」「たたかいになくてはならない新聞」━「しんぶん赤旗」日刊紙がいま注目を集めています。FMラジオが九電"やらせ"メール問題で「赤旗」の役割を正面からとりあげたり、ツイッター(簡易ブログ)で軍事アナリストが「情報としても『赤旗』は質量ともに突出している」と紹介したり・・・・。他紙にない情報・視点が満載の「赤旗」の魅力を紹介します。

    九電やらせメールをスクープ

    「原発の闇」を暴く

    「九電が"やらせ〃メール」━「しんぶん赤旗」が7月2日付1面トップで報じたスクープが大きな反響を呼んでいます。九州電力玄海原発の再稼働に向けた国主催の「説明番組」で、九電が関係会社社員らに再稼働賛成の"やらせ"メールを投稿するように依頼していたのです。

    当初は全面否定していた九電ですが、日本共産党の笠井亮衆院議員が6日に国会で追及すると、同日夜に社長が事実を認めて謝罪。さらに14日には社内調査結果を公表し、九電が組織ぐるみで不正工作を行っていたことが明らかになりました。

    安全性を軽視する「原発の闇」の実態を白日の下にさらし、全国各地の原発再稼働に事実上ストップをかけたスクープ。どんなタブーも恐れず、真実を徹底的に追及する日本共産党の新聞ならではの真骨頂が発揮された調査報道です。

    「原発の源流と日米関係」反響
    エネルギーも対米従属

    6月7日付から12日付まで6回連載した「原発の源流と日米関係」。当初から「日本の原発開発が、アメリカの日本への支配と密接に関係していたことがよくわかった」「原子力アレルギーが強い日本でどうしてここまで原発が増えたのか、驚きとともに胸に落ちました」など大きな反響が寄せられ、その後も続いています。

    連載は、日本への原発導入が米国の水爆実験による「第五福竜丸」事件の影響を最小限に抑えるためにも画策されたことを暴露。日米原子力協定によって米国からの濃縮ウラン購入を義務付けられて今に至っている経過も明らかにしました。

    エネルギー分野での対米従属の実態に切り込めんだ企画・報道は「赤旗」だけ。近々、続編を掲載します。

    「水産特区」構想にノー
    漁業者のたたかいと連帯

    「しんぶん赤旗」は、東日本大震災で壊滅的な打撃をうけた三陸沿岸地域の漁師や漁協に寄り添って取材をつづけ、「三陸漁業の復活」めざして困難に立ち向かう状況や、願い、要求を連打してきました。

    政府の復興構想会議や宮城県知事が推進する「水産特区」構想について、他紙は「注目に値する」などと賛成する報道を続けています。「赤旗」は、「漁民や漁協を無視して浜の秩序を壊すもの」と反対のたたかいを強める漁業者の思いを報じてきました。

    この間、紙面には全漁連や各漁協の幹部をはじめ、漁民、水産加工業者らが次々に登場。「漁民の立場でがんばってくれるのは『赤旗』だけだ」と信頼が広がっています。

    好評「追跡原発利益共同体」
    メディア工作にメス

    東京電力の株主総会が開催された6月28日に合わせて開始したシリーズ企画「追跡 原発利益共同体」は、大反響を呼んでいます。国立国会図書館に通いつめ調べた東電の「普及開発関係費」(広告費)。原発事故のたびに広告費が伸びた実態を浮き彫りにしました。

    インターネット内でも話題沸騰。「東電の広告費にマスコミがどういう風に絡め取られていったか。この記事も『赤旗』しか書けない」。高い評価を受けました。

    シリーズでは、税金を使って「安全神話」を国民に刷り込むためのメディア戦略を次々と暴露。電通、博報堂、産経新聞などが世論誘導事業を請け負っていた事実を告発すると、「今朝も『赤旗』が原発推進勢力による『世論誘導』をスクープした」との反響。いま、注目が集まっています。

    独・伊など「脱原発」への動き
    世界の変化を紹介

    「中東情報なら『赤旗』。質量ともに突出している」「アメリカの労働環境、中米の地域統合など、現状や事態打開のための運動がわかる」最近、寄せられた読者の声です。

    主要資本主義国が中心となる時代から、新興国が役割を増している世界の構造変化に注目。中東民主化のうねりや各国の市民の運動、平和を求
    める草の根の動きの紹介に力を入れています。

    「原発からの撤退」に向けた世界の動きを詳しく報道。ドイツが2022年までに原発ゼロを決めたことや、スイス、イタリアの動向も伝えています。

    太陽熱や風力など自然エネルギー発電を進めている欧米や中東地域での動きを現場からリポートしています。

    震災口実の雇い止め告発
    ソニーの横暴ただす

    震災被害を口実に大企業のソニーが、仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で正社員280人を広域配転、期間社員150人を雇い止めにする計画を発表しました。

    期間社員22人がソニー労働組合に加入し、雇用継続を求めて立ち上がりました。他メディアがとりあげないなかで、「しんぶん赤旗」は、国の復興構想会議に委員を出しているソニーが、率先して首を切るのは許されないと報道(6月16日付)。工場の被害が保険金で全額補てんされる事実も、ソニーの決算を調べて明らかにしました。(同26日付)ソニーは、6月末で解雇する予定を、7月末までーカ月延長しました。労働組合の奮闘と「赤旗」の報道が、たたかいを前進させています。

    被災者の生活基盤回復へ
    連係プレーで要求実現

    破壊された生活と生業(なりわい)の基盤回復へ国がどう責任を果たすべきか━「しんぶん赤旗」は「被災者に心を寄せる」思いを東日本大震災報道で貫いてきました。

    被災者の切実な声に耳を傾けて、生活再建と復興のために何が必要かを粘り強く取材。避難所での食事や寝具など最低限のことが災害救助法に定められた基準にも満たない実態、農水産業、商工業者らが、従来の負債と再建のための借金という「二重ローン」に苦しんでいる実態などを紙面で告発してきました。

    その被災地の要望や活動をもとに日本共産党の国会議員、地方議員らが議会で取り上げて、政府や自治体を動かし、被災者の願いを次々と実現しています。

    沖縄の声発信 唯一の全国紙
    「基地のない島を」

    オスプレイ沖縄は拒否」━。沖縄県議会は14日、米政府が正式発表した2012年秋からの垂直離着陸機MV22オスプレイの普天間基地配備計画に反対し、撤回を求める決議と意見書を全会一致で可決しました。

    「しんぶん赤旗」は15日付1面で大きく報道。沖縄県民が懸念しているオスプレイの騒音問題や危険性を連続的に告発し、専門家からも「『赤旗』ならではの企画」という評価も。

    普天間基地に代わる新基地建設計画をめぐる日米政府の動きや沖縄県民の反対運動なども詳しく報じ、「基地のない平和な島」を願う沖縄の声を、全国紙として唯一、発信しています。(しんぶん赤旗日刊紙2011.7.21 5面)
    (→安保・米軍基地

    「寅さん」からのお願い:(「しんぶん赤旗」はインターネットでも申し込める。配達は近所の「しんぶん赤旗販売所」から、遅くとも毎朝7時30分までには配達される。配達場所・代金の払い込みなども個々に対応する「欄がある」ので、気軽に申し込もう。9月から500円値上がりになるが(3400円)、10年も据え置きだった。赤旗が廃刊になると、戦前の日本のような言論界になる恐れがある。ぜひ貴方の購読をお願いしたい。)

    2011/07/19

    「水産特区」浜に混乱

     「寅さん」は民主党の財界主導の「復興」について書いた。特に「水産特区」に強い関心を持ってる。これは、従来の漁業権を無視し、大企業に「漁業」「漁業権」を売り渡すものだ。

    (注)漁業権とは一定の水面で、特定の漁業を一定期間、排他的に営むことができる権利のこと。)

     すでに「農業」の一部に「大企業」が参入してることは書いた。(「寅さん」のTPP関連記事

     大きなトマトやレタスなど生で食べる野菜を工場でつくるなどというものまで現れているし、現に出荷されている。

     これなど、自治体が用意した土地を、大企業からすれば、「タダ同然」のカネで土地を借り、その土地に建てたハウス(と言っても農家がつくるビニールハウスでない。本格的ガラス張りのもの。温度管理を自動的に行い、天候に、極端に言えば左右されないものがある。一種の農産物生産工場)の税金まで「負けてやる」という念の入れようだ。

     庶民が年金や国保が高くて払えないで滞納すると、サラ金より怖い取立て機構が身包み剥いでゆくというのにだ。

     東日本大震災の復興で、水産部門を「水産特区」という名で大企業に参入させようとしてるのだ。

     民主党も「大震災時」の「復興」は自民党と同じだ。

     阪神淡路大震災(いつかを記憶する方法、震災の年に生まれた子どもは現在高校1年生)当時、住民が悲嘆に暮れているとき、大規模な上からの都市計画と神戸空港の計画を強行した。

     いっぽうでは、小泉内閣は淡路にある測候所を廃止した。「官から民へ」という掛け声の下で。

     「寅さん」が恐ろしいと思ったのは、「官から民へ」の掛け声で、日本から国立病院がなくなった。こういう悪政が「小泉改革」「小泉チルドレン」などと人気があったことだ。

     「ヒットラーだって人気があった」などと言われると「ひとたまりもない」が・・・・・・

     上記の「国立病院がなくなった」というのは、「ウソだ」という声が聞こえそうだ。確かに「国立病院機構」というのがある。

     しかし、これはあくまで「法人」である。「もうけ」がないと「閉鎖」になる。「寅さん」の通う国立病院(当時)が「赤字」を理由に廃止が決まった。

     周囲の自治体から猛反対が起こった。「寅さん」も患者の一人として反対の署名を集めに回った。

     多くの国民の声で存続が決まったが、上記の国立病院機構になった。

     そもそも国立病院が「もうけ」なければならないのか?

     国立病院で診て貰うと「タダ」というのが、納税者の健全な考え方ではないだろうか?

     この国は農業に続き漁業も大企業の餌食にしようとしている。それが「水産特区」だ。大体この「特区」という呼び方からして「寅さん」が気に食わない。理由は「どこかの国の輸入品」のような臭いがぷんぷんするのだ。

     ついでにどこかで書いたが、農業への企業の参入しやすいよう農地法が改正された。(→農水省

     法人とは、結局「もうけ」を追求する団体だ。「国立病院機構も?」。そうなんだ。たとえ「国立」の名が付いてても「赤字」が続けば、「閉鎖」になる。そこは自民党も民主党も容赦なく「事業仕分け」をする。けっして「製薬会社の薬が高い」などとは言わない。

     以下、今週号の7頁の記事を読む。

    いま全国の漁業協同組合が、政府と宮城県の「水産特区」構想に強く反対しています。東日本大震災からの水産業復興の"目玉"とされるこの構想の何が問題なのか━。漁業者の声を聞くと・・・・・・・。山田健介記者

    全国漁業協同組合連合会(全漁連)が6日に都内で開いた「水産特区構想」に異議を唱える緊急全国集会。

    北は北海道、南は宮崎県から集まった230人を前に、服部郁弘会長は「地域の意向を踏まえない強引な企業の参入は反対だ」と訴えました。「漁協が一元的に調整・管理している漁場で、二つの管理主体(漁協と企業)ができることになり、漁の操業の紛争は必至で、浜に混乱を招く」と批判しました。

    政府の復興構想会議が提言(6月25日)に盛り込んだ「水産特区」構想。現在、漁協に優先的に与えられ、漁協が一元的に管理している漁業権()を、企業にも、漁協と同等に与えようという仕組みです。

    これでは浜の秩序が守れない━と批判の声が強まっているのです。

    (注)漁業権とは一定の水面で、特定の漁業を一定期間、排他的に営むことができる権利のこと。

    集会では、宮城県漁協の阿部力太郎理事長も「水産特区の強引な実現ではなく、漁業者の一日も早い自立・漁業の再生に関係者が一丸となって取り組むことが求められている」と呼びかけました。

    「今回の大震災で三つの涙を流した」と語ったのは岩手県漁連の大井誠治会長。「一つ目は被害を受けて、二つ目は励まし支援への感動の涙。三つ目は被災地に不安と混乱を招く動きへの憤りの涙だ」とのべました。

    各党代表が参加した集会では日本共産党の志位和夫委員長が「水産特区」構想について、「みなさんとスクラムを組んで断固阻止する決意」を表明し、参加者から大きな拍手が起きました。

    水産の街として知られる宮城県石巻市。3日に開かれた「みやぎの漁業の未来を考える県民のつどい」(主催、東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター)には漁業者や市民など約340人が集まりました。

    登壇した水産業関係者や消費者からは、「水産特区」への怒りの声と、水産業にかかわる人々の願いにこたえた「地元主体の復興」を求める意見が相次ぎました。

    ギンザケ養殖 バブルで利益さっさと撤退

    大企業の横暴で浜は泣かされる━。「水産特区」導入に反対する宮城県内の漁業者がしばしば事例にあげるのが、「ギンザケ養殖からの大手企業の撤退」です。

    県でギンザケ養殖が始まったのは約35年前。

    「今はブランド化したが、かつてギンザケ"バブル"があった」と振り返るのは宮城県女川町の桐ケ崎地区(約80人)のKさん(61)です。

    1970年代後半。養殖黎明(れいめい)期のギンザケ単価は2千円にも。そこに目をつけた大手水産会社が次つぎ参入し、生産者も急増しました。

    養殖は通常、山間部の清流などで育てた稚魚を11月ごろに海のいけすに移し、翌7~8月に出荷します。漁協が漁業権をもつ海上で漁業者が生産し、民間企業は稚魚や飼料を供給、販売代行も行う"間接参入"でした。

    Kさんはいいます。

    「私も82年ごろから始めたが、企業は応援するのでどんどんやれという。漁協などに金を借りて稚魚や餌を買い、設備投資を競い合った」

    90年には、ギンザケ養殖の事業体は約340にのぼり、いけすの数は1100超にも。「沖にいけすがひしめいた」(Kさん)といいます。

    しかし、この状況は長くは続きませんでした。水産会社は、日本で得た技術をもとに生産単価の安いチリなど海外へ。円高のもと、安価なギンザケを逆輸入したのです。

    その結果、日本のギンザケの価格は暴落し、約300円程度までに。価格の低迷に前後して、水産会社が次々撤退。多くの生産者が廃業しました。

    Kさんの手元には、3000万円の借金だけが残りました。

    Kさんは、ホタテの養殖に転じ、借金を返済しながら子どもを大学に進学させました。

    そこへ襲った今回の大津波。ローン完済目前の自宅も、ホタテの養殖施設も流されました。

    仲間とともに、もう一度海へ出る決意は揺らいでいません。しかし、ふってわいた「水産特区」には反対です。

    「わたしたちにも反省がある。海は、金もうけ目当てだけで使ってはいけない。長年、『磯は地付き』と管理して環境を守ってきたのは浜の人。地域とうまくやれない企業が漁業権を握ったら、またあの時の二の舞いになる懸念がある」

    復興へ漁協とスクラム全漁連集会志位委員長あいさつ

    政府がやるべきは「水産特区構想」の上からの押し付けではなく、復興のため一体となって頑張る漁業者が、未来に希望がもてる支援に全力をあげる。ここに政治の使命があります。

    岸壁と漁港の整備、市場の再建、製氷・冷凍・冷蔵・保管・加工・流通までの一体的な漁業基盤の復旧・復興を、国の責任で進めることを強く求めていきます。

    政府「復興構想会議」の「水産特区構想」は、日本の漁業制度の根幹を崩すもので、断じて容認できない。漁業への企業の役割を一律に否定するものではありませんが、企業が地元の意向を無視し、強引に土足で浜に入ることには断じて反対です。

    復興の主役は地域、漁協です。漁業者が一体になり必死に再建しようとしているときに、まともな復興の方策をしめさないまま、絆を分断し、浜の秩序を破壊する。まともな政治のやることではない。みなさんとヌクラムを組んで断固阻止する決意です。

    関連記事:

    「水産特区」は浜を壊す/復興特区法案 高橋議員が批判/衆院本会議 (2011.11.19)

    「水産特区」説明なし/復興計画最終案を決定/宮城県(2011.8.23)

    漁業権を“開放”・消費税増税、政府の「復興基本方針」財界流で被災者の声を無視(2011.7.31)

    2011/07/08

    原発撤退し自然エネルギーへの転換を

    Japan_eng

    原発撤退し自然エネへ
    参院予算委
    井上議員、首相に決断迫る


    日本共産党の井上哲士議員は7日の参院予算委員会で、再生可能エネルギーの普及を唱えながら原発からの撤退に背を向ける菅内閣の姿勢を批判し、「撤退を決断してこ
    そ自然エネルギーの本格的開発・普及ができる」と迫りました。(2面に論戦ハイライト)

    井上氏は、福島第1原発事故の後、菅直人首相が、原発14基の新規建設を含むエネルギー基本計画の「白紙見直し」を明言したものの、4ヵ月たっても手つかずの状態だと指摘。ドイツが2022年までの全廃を決め、自然エネルギーを2050年まで80%にする計画を閣議決定したことをあげて、原発撤退の決断を求めました。

    菅首相は、原発をエネルギーの柱の一つにすえる考えを改めて提示し、「再生エネルギーを成長させ、ある時期に国民の選択にゆだねる」と答弁。井上氏は、「原子力がエネルギーの柱という位置づけは変えず、原発からの撤退は口にしない。それでは国民の声にもこたえられない」と強調しました。

    井上氏は、環境省の調査をもとに、再生可能エネルギ!の潜在能力は原発54基分の発電能力の約40倍もあるのに、開発が遅れているのは、「原子力に依存し続け、自然エネルギーへの転換に本格的に取り組んでこなかった政治の問題だ」と指摘。

    「電源開発促進税」として電気料金に上乗せして年間3500億円も徴収しながら原発推進に使い、この5年間で原子力対策には2兆円以上税金をつぎ込む一方、自然エネルギーには6500億円にも達しないなど民主党政権でも変わらない実態を告発し、「エネルギー政策の見直しというなら自然エネルギーこそ予算の主役にすべきだ」「地方自治体の財政難につけ込んでカネで危険を押し付ける交付金制度はやめるべきだ」と主張しました。

    菅首相は、「おっしゃる通り。予算配分を大きく変えることは自然エネルギーの潜在能力を大きく開花させることになる」と答弁。原発自治体への交付金も「根本的に再検討すべきだ」と述べました。

    井上氏は、「原発からの撤退を決断して、自然エネルギー開発推進に取り組むことが必要だ」と重ねて強調しました。

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    「論戦ハイライト」2面

    Japan_eng_seron

    原発撤退でこそ普及進む
    再生可能エネルギー促進
    参院予算委井上議員の質問


    7日の参院予算委員会で再生可能エネルギーの促進問題を取り上げた日本共産党の井上哲士議員。原発推進に固執する政府の姿勢が浮かび上がりました。

    井上氏は、世論調査(グラフ)で、「既存の原発をどうするべきか」との問いに82%が廃炉を求めている結果を紹介。福島原発事故後、原発14基の新規増設を含むエネルギー基本計画を「白紙から見直す」と明言したにもかかわらず、まったく進んでいないと追及しました。

    全く手つかず



    井上 見直しを言ってから4ヵ月たっても全く手つかず。閣議決定を廃止すべきでないのか。

    菅直人首相 原子力行政を根本から検討する。それにむけて、まだ、どの場でどの時期でと申し上げるには少し早い。

    井上 そうであるのならまず、今の計画を廃止することを明確にすべきだ。

    井上氏は、今後とも原子力がエネルギーの柱とする政府の位置づけは何ら変わっておらず、『口だけ』と言われても仕方がない」と批判。ドイツが2022年までの原発全廃を決め、自然エネルギー発電の割合を現在の16%から50年までに80%にする計画を決めたことを示し、「撤退を決断してこそ自然エネルギーの本格的開発と普及ができる」として、原発撤退の決断を強く求めました。

    井上氏は、環境省の委託調査では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの潜在力が、約21億㌔㍗(KW)にのぼると試算していることを紹介し、「日本の電力供給能力の10倍。原発(54基)の発電能力の約40倍だ」と強調。昨年5月には、経済協力開発機構(OECD)が「日本は豊富な自然エネルギーを潜在能力に持ちながら、導入が遅れている」と勧告していることも紹介し、「潜在能力も、最先端の技術もある。これを生かしてこなかった政治に問題がある。原子力に依存し続けて自然エネルギーへの転換に本格的に取り組んでこなかった」と強調しました。

    予算の主役に

    井上氏は、電気料金に上乗せして年間約3500億円も徴収している「電源開発促進税」が原発推進に使われていると指摘。5年間に2兆円も原発予算に注ぎこむ一方で、自然エネルギー対策は6500億円にも達していない実態を示して迫りました。

    井上 自然エネルギーこそ予算の主役にすることが必要だ。

    菅首相 おっしゃる通り。原子力に使った費用を再生可能エネルギーの開発にむければ潜在能力を大きく開花させることになる。

    井上氏は、首相が強調する再生可能エネルギーの全量買い取り制度も電気料金に上乗せされる一方で、太陽光発電の導入補助は231億円も削減されたことをあげて、こうただしました。

    井上 電源開発促進税を原発推進ではなく、自然エネルギーの開発に使うように変え、全量買い取り費用の国民負担を抑え、太陽光パネルの導入などの補助金に使っていくべきだ。

    菅首相 財政的にも力をいれるべきだ。

    井上 促進税を自然エネルギーへの転換につぎこむのか。

    菅首相 検討に値する。

    さらに井上氏は、原発立地自治体への交付金について、民主党政権が稼働実績のみで算定するように変更したため、原発再稼働が遅れれば交付金が減り、一方で、定期検査間隔をあけると交付金を上乗せする仕組みとなっていることをあげ、"アメとムチ"のやり方はやめるよう迫りました。

    井上  カネと引き換えに危険を押し付けるような交付金制度は改めるべきだ。自治体が廃炉にして自然エネルギー開発をすすめる取り組みを支援する交付金制度とすべきだ。

    菅首相 根本的に再検討する必要がある。

    井上氏は、「原発からの撤退を決断し、そのもとで自然エネルギー開発促進に取り組むことが必要だ」と改めて強調しました。(しんぶん赤旗2011.7.8)

    参考:

    (「寅さん」のブログ)(「寅さん」の「エネルギー」関連記事

    しんぶん赤旗キーワード「エネルギー

    2011/06/30

    原発災害を考える 歴史的検証と未来への提言 BS11番組・不破社研所長語る

     不破さん出演のBS11の番組についてちょっと書いた。(「寅さん」のブログ

     きょうの「しんぶん赤旗」にテレビ番組の要約が載ってる。(「しんぶん赤旗2011.6.29」)

     ところで、原発の源流は原爆である。危険な原子力潜水艦を陸に上げた。(「寅さん」のブログ

    日本で商業用原子炉の運転が本格化した1970年代前半に建設された原子炉は いずれも、米国のGEとウェスティング・ハウス(WH)が受注しています。米国の原子力開発はもともと、原爆開発や原子力艦船の建造といった軍事目的で進められてきました。

     実は番組に「BS11」が用意したフリップにある1976年の三木内閣以前の田中内閣時代に、非常に重要な事件、「寅さん」にとって、というか被爆国日本にとって看過できない問題で質問と追求を不破さんが国会で行なった。分析化研事件である。(→記事

     不破さんと「原発」「放射能」・・・・が話題になる時、ぜひこの事件を忘れないでおきたいものだ。「寅さん」に「共産党には情勢を科学的に分析する力がある」と強烈な印象を与える迫力のある出来事だったのだ。これを契機に「寅さん」は本格的に「原爆や・戦争と平和」について真剣に考えるようになった。そういうインパクトを「寅さん」に与えた国会での「不破質問」であった。

     番組では、原発の廃棄物処理、自然界に存在するレベルまでの放射能になるまでに何10万年単位の時間が必要だ。「地下処理をする」と言っても、10万・20万年後の人類に「取り扱い説明書が読めるだろうか」「ネアンデルタール人の時代」よりもまだ先のこと、?(およそ「寅さん」の解釈)のような話題があった。

     「あ然とした」のひとことだ。マチュピチュ・ピラミッド・・・・と言っても、数10万年からすれば、「ほんのまばたき」のことだ。でも、すでに解読不明の言語がある。

     番組の要約は以下のとおり。(こういうのってYOUTUBEに載らないのだろうか?) 

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長は、26日放映のBS11の番組「本格闘論FACE(フェイス)」に出演し、「原発災害を考える―歴史的検証と未来への提言」をテーマに、二木啓孝解説委員のインタビューに答えました。その内容を紹介します。(「寅さん」、二木(読み方)『ふたつき』)

    "福島の原発事故をどうみるか――事態の全貌が分からないままでの対応

     「原子力の『安全神話』は完全に崩壊したように見えます。そして、日本のエネルギー政策、原子力行政そのものが、実は根底から問われているのではないか」。番組冒頭、こう問題提起した二木氏は、原発災害問題で不破氏の講義を収録したパンフレット『「科学の目」で原発災害を考える』をクローズアップ。

    「原発そもそもの仕組み・問題点から、(不破氏が)国会で歴代の総理に原発行政のあり方について厳しく追及されてきたものがまとめられたもので、なかなか話題の本」(二木氏)と紹介し、不破氏に福島原発事故の現状認識をたずねました。

     これに対し不破氏が力説したのは、「安全神話」を建前に原発を推進してきた政府、電力業界が一体何が起こっているのかわかっていない、という問題です。一番知っているはずのメーカー側も原発をつくる技術は知っているものの、事故を収束させる技術は知らない状態です。原発災害発生から3カ月と2週間がたつなか不破氏は「相手は放射能の塊。それをいかにくい止め、日本の国民、国土の安全、健康、生命、世界の環境を守るかというのがいまのせめぎあいなんです。(原発災害が)起きたときの非常事態はいまでも続いています」として次のように述べました。

     不破 原子炉がどこまで壊れたか、なかでもメルトダウン(炉心溶融)が起きたのかどうかが一番問題になるのですが、政府も電力会社もずっと「起きていませFuwa_bs11 ん」といい続けてきました。(東京電力は)4月17日に工程表をつくりましたが、あの工程表は、(原子炉は)部分的には壊れているけれども、基本は大丈夫、メルトダウンは起きていませんというのを前提につくった工程表なんです。

     ところが、私も驚いたんですが、それから2カ月近くたったときに日本政府がIAEA(国際原子力機関)に出した報告書のなかで、初めてメルトダウンが起きていたということを発表した。もう(そうなったら)実態はがらっと変わるわけですよ。

     しかもこの報告書をみますと、メルトダウンだけではない。とけた燃料棒が一番頑丈な圧力容器の厚さ16センチの鋼鉄板をもとかして、大部分がここ(格納容器の底)にまで落ち込んでいるんじゃないかというのがいまの想定なんですね。ところが、ここにきたものがどんな状態にあるかということを皆目わからない。工程表はここ(圧力容器内)にちゃんとあることが前提です。(格納容器の底に)落ちているんだったらそれこそ大ごとで、いままでの工程表の段取りも目標もやり方も全部ご破算になるぐらいの話なんですよ。ところが工程表は全然変わらないという。

     二木 工程表ではなく、「期待表」みたいなところがありますね。

     続いて不破氏は、福島原発の水素爆発で、炉心にあった「死の灰」の1%の放射能が空中に出たとされるが、放射能を閉じ込めるには残りの99%が問題だと述べ、その角度から汚染水対策の現状に警告を発しました。

     不破 完全に解決するには、(残りの)99%を解決しなければいけないんですが、それがいま水を経由して汚染水となって外に出始めている。汚染水といわれているのは、これは閉じ込めておかなければいけない放射能を、原子炉の中に閉じ込められないで、水が担い手になってどんどん外に出つつあるというのが現状なんですね。だから汚染水処理というと後始末をやっているみたいにみえますが、そうではなくて、ほんとにこの放射能が日本に広がる、世界に広がるのをくい止めるかどうかのまさに非常事態の瀬戸際にいるんですよ。

     二木 放射能汚染水の処理というのは後始末ではなくて、ほんとにすごい事態が始まっている象徴だと。

     不破 その汚染水なんですが、いま11万トンたまっているといわれているんですね。ところが、11万トンたまっているというので、10万トンぐらい入る大きな集中処理施設をつくりまして、そこで大部分移したはずなんですよ。しかし、移しても減らないんですね。ということは、外のどこかに大きなプールができてしまって、それが地下水とつながってもっと巨大な汚染水となっているのではないかと考えられるんです。これもわからない。(汚染水の全貌が)わからないまま処理体制に向かっている。だから、ほんとにこのままだと危機がどんどん拡大する危険があると思って心配しているんです。

    不破質問(76~99年)のなかに「いまの原発の現状が全部ある」(二木氏)              

    Fuwa_bs11_furip  原発の「安全神話」にしがみついてきた歴代政権を相手に、不破氏は国会でどのような追及をし、提起してきたのか。番組では不破質問のポイントをフリップにまとめて提示。二木氏は、質問で取り上げた背景や当時の政権の対応を不破氏にたずね、一つひとつ検証していきました。

     ――1976年、三木武夫内閣。政府が原発を当時の400万キロワットから9年後には4900万キロワットにまで増やす計画を立てました。不破氏は、アメリカでは原発の審査・管理にあたる機関に1900人の技術スタッフがいるのに対し、日本は非常勤の審査官で形だけの審査体制になっていること、さらに使用済み核燃料に対して無防備である問題をただしました。これらを聞いて「いいかげんな体制だった」と二木氏。

     ――1980年、大平正芳内閣。前年79年3月に起きたアメリカの「スリーマイル原発事故」でアメリカは「安全神話」こそ最大の問題だと教訓を出しました。これを踏まえ不破氏は、政府に安全規制の体制強化や、原発事故が起きたときの地域住民の安全確保はどうなっているのかと追及。「安全神話」を振りまくから事故対策もない、と解説した不破氏に二木氏は「住民は情報がなければ対策の立てようがないということだったんですね」。

     ――1981年、鈴木善幸内閣。国が特別の地震立法までつくりながら、東海大地震の予想震源域になぜ浜岡原発の増設を認めるのか、という問題を追及しました。

     ――1999年、小渕恵三内閣。スリーマイル原発事故に続き、86年の旧ソ連でのチェルノブイリ原発事故を受け、94年に「原子力の安全に関する条約」が結ばれました。この条約では原発を進める「推進機関」と、その安全を審査して施設を認可する法的権限をもつ「規制機関」との分離が規定されました。ところが、日本は推進機関の通産省(現経済産業省)が法的権限をもち、政府の原子力安全委員会は政府の諮問機関程度の役割しかないという国際条約違反の審査体制になっていることを不破氏は国会の党首討論で追及したのです。

     番組では、不破氏と小渕首相とによる当時の党首討論の模様を約5分間にわたって放映。「規制機関」と「推進機関」の区別がわからず立ち往生した小渕首相の様子を伝えた二木氏は、「ここを見る限り、小渕さんはまったく質問の趣旨がわかっていないような(感じです)」と感想を語りました。

     歴代首相にぶつけた不破氏の国会質問全体を通じて二木氏は「質問の項目をあらためてみると、一個一個このときに対策をとっていれば、そんなにいまのような事態はないだろうなと。いまから考えれば全部的確な質問なんですが、なぜ政府は改善しなかったのか。これは共産党のいうことだからみたいなことはあったんですか」と質問しました。

     不破 やっぱり「安全神話」なんですよ。安全だと思い込んで、(国民に)思い込ませて原子力増強路線をひた走りに走る。たとえば、(取り上げた問題は今回の原発事故で)全部おきているでしょ。使用済み核燃料も大問題ですよね。それから地域の住民の問題もまったく無策だった。まさに地震で直撃された。審査体制についても、メーカー側で設計にあたってきた人がいっているんです。「ほんとに審査体制をつくろうと思ったら、メーカー側に対して全部技術のことも状況がわかって、対等でやりあえる人が審査官になっていないとだめだ」と。いまの日本の官僚機構では、科学のわかる人は原子力関係では上の方に行かないんです。

     二木 そうなんですか。

     二木氏は不破質問のポイントを記したフリップをあらためて振り返って、「実はいまの日本の原発が抱えている現状が全部出ている」と指摘しました。

    使用済み核燃料問題――10万年、100万年後の人類に脅威の先送りは許されない

     テーマは、いまある原子炉と使用済み核燃料の処理問題に。二木氏は「心配なのは、原子炉の老朽化の問題と使用済み核燃料の問題ですね。再処理ができるといってもできていない。いや、そもそもできないんじゃないかということがあると思うんですが」と質問。不破氏は次のように答えました。

     不破 どうしても原発は燃やせば「死の灰」が出る。これは、100万キロワット(の原発)だったら1年間に広島型原爆1000発分出るわけですね。

     それをどう処理するかなんですが、アメリカは危ないから再処理はしないと決めちゃったんですよ。なぜ危ないかというと、再処理というのは「死の灰」の放射能を除去するわけではないんです。核燃料の中から燃料としてもういっぺん使える部分と放射能の部分を切り分けるだけなんですよ。使える部分はプルトニウムになる。これは全部核爆弾の原材となる。だからプルトニウムにしちゃってこれがテロリストに使われたら大変だということになるでしょ。だから、これは危ないからやめるというんですね。使用済み核燃料のままで置くと。

     置いてどうするかというと、10年ぐらい冷やした上で地下に埋めるというんですね。ところが、アメリカの大きなところでもある砂漠の地帯を設定しているんですけれども、住民が反対する。いまだに決められないんですよ。だから置きっぱなしなんですね。

     日本は再処理するといっている。そうすると、プルトニウムの問題がもう一方あると同時に、残った廃棄物に放射能が集中するわけですね。そのものすごい高濃度の放射性物質を、再処理工場でとかしてガラスで固めるというんですよ。ガラス固化体というんですが、それはどんなものになるかというと、人間が触れるほど近づいただけで20秒で放射能で死ぬというんです。

     二木 すごい高濃度ですね。

     不破 そういうものができるんですね。では、それをどう始末するかという、いまの始末の方法ですと、だいたい30年から50年貯蔵して寝かしておくと。いま青森県の六ケ所村ではそれが一千何百本寝ていますよ。その後、どう処理するかというと、300メートルの地下深く掘って埋めておくというんです。この放射能の半減期は、いろんな物質によって違うんですが、ものすごく強いものが入っていますから、だんだん減っていって、だいたい自然に生まれるウランがもつ放射能ぐらいまでに減るのには数千万年かかるというんですね。ごく軽い放射能が出るぐらいのところまでにいくのにも10万年、20万年かかるというんですよ。

     フィンランドやスウェーデンがそれをいま地下に埋める仕事を始めているんですが、何が問題になっているかというと、10万年後の人間にいまの言葉が伝わるだろうかと。そうすると、300メートルの地下に埋めて10万年後、20万年後に新しい人類ができたりして、ちょうどわれわれが昔の言葉を解読できないように、ここに危ないものがあるということをどうやって説明したらいいかと、そこまで議論しているんですね。

     二木 最近日本でも放映されていますが、「10万年後の安全」というのを私もみたんです。そら恐ろしくなった。

     不破 10万年後、100万年後の人類に対して脅威を与えるものが一体いまの人間に扱う責任があるかどうかが問われるんですね。

    ここから何を教訓としてくみとるか――原発撤退の決断と本当の安全優先の体制

     最後に、今回の福島原発事故から何を教訓としてくみとるかについて問われ、不破氏は次のように答えました。

     不破 私は、問題が三つあると思うんです。

     一つは、核エネルギーという巨大な破壊力をもったエネルギーを人間は発見したが、これを使いこなす技術をまだもっていないということです。だから、私たちは「未完成の技術」だといっているわけです。未完成なのに戦争のために無理やり使わせてしまった状態があり、ここに根本があると。

     もう一つは、しかも日本が地震列島だということです。いま地震の科学が進んでくると、昔はどこが危ないといっていたけれども、日本列島のどこにも地震や津波の脅威のないところはないというのが結論なんですね。これだけ集中的に原発を使うことの危険性は明瞭だと。

     それから、「安全神話」で安全体制がまったくずぶずぶになっている点で、原発をやっている国の中で日本がずば抜けているということです。アメリカだってフランスだって、危ないことは承知でそれなりにやるんですね。日本ぐらいそれを手抜きでやっている国はない。

     この三つを考えますと、いまこれだけの経験をした日本が、原発といったい共存できるかどうかということについて国民的な討論で答えを出すべきときだと。私たちは、それこそ原発から抜け出す日程を決めて、原発のない新しいエネルギー体制に切り替える決断を戦略的に進めるべきだと思っています。

     それから、これを決断しても、安全体制というのは必要なんですよ。一つの原発をなくすのにも、原発から核燃料を抜かなければならないでしょ。抜いた後もそこには放射能がうんと残っている。それを取り除きながら廃炉にしなければいけない。この全過程がいまみたいな体制ではできないんですね。ほんとに安全優先の体制をつくって、その原発をなくしていく過程をきっちり管理する。

     こういうことが、これだけの事態をひきおこした日本の、日本の国民の将来に対する責任であると同時に、世界に対する責任でもあると思います。

     ヨーロッパの国々が、あれだけ福島の原発事故から教訓をくみとって決断をしているのに、そのひきおこした日本がまだ事故も解決できないでいるのに、(運転停止中の原発について)そろそろ再開歓迎というのはほんとに考えられない。

     二木 ほんとにわれわれは「安全神話」から抜け出して、さあどうするのかという道は二つしかないと思うんですよ。前に行くか、後ろにさがるかということなんですが、そういう意味では大きな契機になるだろうし、不破さんのこういう質問も積み重ねの中で今回、いろんな議論の問題点につながっています。(しんぶん赤旗2011.6.29

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    参考:

    刊 岩見隆夫『サンデー時評』#83 「不破哲三と原発 トイレなきマンション」(ニコニコ動画)

    2011/06/26

    なぜ「原発からの撤退」か、BS11志位委員長大いに語る

    日本共産党の志位和夫委員長は25日放映のBS11の番組「リベラルタイム」(毎週土曜放映)に出演し、原発からのすみやかな撤退と、自然エネルギーの本格的導入を目指す党の「提言」について大いに語りました。コメンテーターは雑誌『リベラルタイム』の渡辺美喜男編集長、アシスタントは石田紗英子氏。その内容を紹介します。

    BS11志位委員長大いに語る

    菅内閣原発推進の方針をつづける


    石田 今月は、月間テーマを「原発は必要か」ということでお送りしています。今回は「エネルギー政策の抜本的転換」ということで日本共産党委員長の志位和夫さんにお越しいただいております。

    渡辺 志位さん、最近、菅直人総理が「脱原発」をテーマに解散・総選挙に打って出るのではないかという話まで出てきているんですけれども、どうお考えですか。

    志位 いま、被災地のみなさんの願いは、一刻も早く復興の光が見えるような政治をしてほしいということだと思います。(いま「解散・総選挙」というのは)およそ、そういうところからかけ離れた議論だということが一つです。それから、菅さんの立場は「脱原発」ではないんですよ。

    渡辺 そうですが。自分ではそう主張していますよね。

    志位 それは違いますよ。実は民主党政権というのは昨年、原発をさらに14基も増やすという、とんでもない増設計画を決めたんですね。先日、私は菅さんと党首会談をやって、「この計画はもうやめなさい」といったら、一応、「白紙で見直します」ということをいったんですけれど、その後、国際会議で「世界最高水準の安全な原子力発電」を進めますと(表明した)。原発を進めるというのが菅さんの立場です。私は、原発からの撤退がいまこそ求められる状況だと思います。

    「異質の危険」━━この技術を許容していいのか

    渡辺 なるほど。この間、共産党から、福島原発事故が明らかにしたものは何かということでこんな発表がありましたけれど(日本共産党の提言「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を」の内容をフリップで示しながら)、東電の福島原発事故というのは「空間的」、「時間的」、「社会的」にどこまでも広がる事故だと、こういうような記述がありましたね。これはどういうことですか。

    志位 国民のみなさんは、いまの福島の事故を見て、他の事故にはない何か異質なものをその中に見ていると思うんですよ。飛行機事故とも違う。自動車事故とも違う。特別の「異質な危険」を見いだしていると思うんです。といいますのは、原発の事故というのは、ひとたび莫大(ばくだい)な放射能が外部に漏れ出してしまったら、それを抑える手段がないのです。そして、「空間的」にどこまでも広がっていく。実際に日.本列島のあちこちまで広がっています。また、「時間的」にというのは、放射能による被害というのは、急性障害もありまずけれども、晩発性の、たとえば癌(がん)などになる危険の確率が出てくるんですね。何十年先まで危険が及ぶ。そして、「社会的」にというのは、一つの地域社会が成り立たなくなるような危険をもたらす。「空間的」にも、「時間的」にも、「社会的」にも限度がない。このような事故というのは、原発事故以外に見当たらないでしょう。そういう「異質の危険」がある技術を許容していいのかということが問われていると思うんですね。

    いまの原発は「本質的に未完成で危険」とは

    渡辺 2番目に、いまの原発技術は「本質的に未完成で危険」なものという記述がありまずけれども、社会的に許容できる技術なのかどうか、それを考え直すべきだと、こういうことなんですね。

    志位 はい。「本質的に未完成で危険」といった場合に、原発の危険の一番の本質は何かというと、端的にいって莫大な「死の灰」にあると思うんですよ。100万㌔㍗の原発というのは、1日に広島型原爆の3発分の「死の灰」をつくるんです。年間で1000発分の「死の灰」がたまることになる。こういう途方もなく莫大な「死の灰」を抱えている。これを安全に閉じ込めておく技術があるか。ないことは、「スリーマイル」、「チェルノブイリ」、「福島」と証明されたわけです。

    そしていまの原発は、「軽水炉」が中心ですけれども、「軽水炉」というのは炉心をたえず水で冷やし続けてかろうじて安定が保たれる。水がなくなったら途端にメルトダウン(炉心溶融)が起こって大変なことになる。水がなくなった場合に、原子炉を安定の方向に向けていく力が働かないんです。このように「軽水炉」という炉は本質的な不安定性を持っているものなんです。

    そのうえ、「使用済み核燃料」を後始末する技術はまったくありません。いま青森県六ケ所村に「再処理工場」がありまずけれども、事故だらけで稼働していません。もし稼働したとしても、ものすごく危ない工程を経て、「高レベル放射性廃棄物」がつくられる。これ
    を何万年も管理するということになるわけです。

    渡辺 だけど、日本政府は、原発は未完成で危険なものとしてきませんでしたよね。「安全だ、安全だ」といい続けてきたじゃないですか。これどうなっているんですかね。

    志位 これが一番の問題ですね。たとえば、「スリーマイル」と「チェルノブイリ」と二つの過酷事故を受けて、IAEA(国際原子力機関)が過酷事故を防ぐための対策を取りなさい、起こった場合に抑える対策を取りなさいと1988年に勧告を出したんです。ところが日本政府は、1992年に、「日本では過酷事故は起こりえない」ということを原子力安全委員会が決めてしまうんです。そういう事故は起こらないと決めてしまうから、対策も取らない、起こった後の備えもないということになった。それがこういう事態につながってしまったということです。

    「再処理工場」「高レベル放射性廃棄物」の処分方法なし

    渡辺 「高レベル放射性廃棄物」の処分についても見通しがまったくない。

    志位 まったくないですね。先ほどいった「再処理工場」は、私は東海村に実験施設があるので見に行ったことがあるのですけれども、使用済み核燃料があるでしょう。これをせん断ずるんですよ。せん断して硝酸の入っているプールで溶かすんです。そしてプルトニウムとウランと「高レベル放射性廃棄物」に分けるんです。この工程自体がものすごく危険なのですけれども、結局、「高レベル放射性廃棄物」がこの過程でつくられるわけです。それをガラスの中に閉じ込めて地中に埋めるというのですが(「地層処分」)、何万年も放射能が残るわけで、何万年先の人類に残してしまうことになる。だから笑い話ですけれども、何万年先に日本語がわかる、あるいは英語がわかる人間がいるだろうか、だから(誰が見てもわかる)印を考えなければいけないと(笑い)。それくらいとんでもない話なのです。処分方法もない、どこかに埋めるかといってもそんな場所はない。

    地震と原発どのように壊れるかはわからない

    渡辺 そうですね。各地で反対されているし。3番目に世界有数の地震・津波国に集中立地するという問題点ですね。いついかなる大地震が再度起きるかもしれない。

    志位 今度の事故を踏まえて、地震学界のみなさんも、「日本海溝で(震源域が)400㌔にもおよぶ、マグニチュード9の地震が起きるとは考えていなかった」と(言っています)。これは怠慢ということではなくて、やはり地震の学問的知見がまだそういう段階だったわけです。今度初めて400㌔の巨大地震が起こるということがわかった。そうなりますと、地震学の知見を一から見直さなければならないということを、地震学界のみなさんは言っています。

    そして地震が起きたときに、実際に、原子カプラントのような複雑な機械がどんなふうに応答するのか。たとえば原子炉本体は地震から守られたとしても、複雑なパイプや装置がついているでしょう。どこかーカ所に力が加わってしまったらそ
    こが壊れるかもしれない。これは本当にわからないわけです。

    渡辺 志位さんは、民主党政権が浜岡原発(静岡県)を止める要請をしたことは、よかったということですか。

    志位 浜岡(原発)についていいますと、東海地震の想定震源域の真上ですから、特別に危険だということははっきりしているわけですから、止めたことはよかったけれども、しかし廃炉にしろとはいっていないでしょう。

    渡辺 そうですね。

    志位 一定の対策をやったら結構ですよということになっているわけです。

    渡辺 でも(地震の)確率は87%あるんですからね。

    志位 そうなんです。これは廃炉にするしかないんですね。

    原発の最悪の事故とは何かはあらかじめ想定できない

    渡辺 そうすると原子力発電所には絶対安全というのはないんですかね。

    志位 ありませんね。どんな技術でも絶対に安全の技術というものはないですよ。たとえば飛行機の事故、これは本当に起こしてはいけないけれども、しかしどんなに安全対策をやっても、事故はある程度起きますでしょう。自動車の事故も起こります。どんな技術も、人間の技術ですから、歴史的・社会的な制約があるわけです。そのうえ、原発についてとくにいいたいのは、第1番目の問題(「異質
    の信険」)ともかかわるんですけれども、その原発が重大事故を起こした場合に、最大・最悪の事故がどのくらいになるかという想定があらかじめできないんですよ。

    今度の福島の大事故で大気中に放出されたのは、(炉心にあった「死の灰」の)1%から2%だといわれているんです。ところが「死の灰」が40%、50%出る事故が起こらないかというと、起こり得るんですよね。100%出る事故だって起こり得る。そういう最悪の事故が起きてしまったら、どれだけの被害が起こるか。そのことを、あらかじめ想定することは不可能です。

    そうするとこういうことになるんです。「事故のリスク(危険)」というのはどうやって決まるか。それは、「事故の起きる確率」かける「事故の被害の大きさ」でしょう。これで「事故のリスク」が決まるでしょう。ところが原発では、たとえ事故の起きる確率が低くても、最悪の事故の被害の大きさは想定できない。そうしますと、「事故のリスク」もあらかじめ想定できないということになるんですね。

    原発で客観的な「安全基準」を決められるか

    渡辺 志位さん、もうちょっと安全についてうかがいたい。原発に安全はない?

    志位 この問題をもっと突き詰めて、技術における「安全基準」とは何かということを考えますと、どんな技術でも、「安全基準」を設定した場合、それが本当に客観性を持っているかどうかが何によってはかられるかといったら、実験をするか、あるいは実際にそれを使ってみるか、こういうことによってはかられるわけですね。たとえば飛行機にしても自動車にしても、「安全基準」をつくる、そして実験をしてみますよね。そして実際に使ってみて不具合が起こる。そうしたら「安全基準」を高めてもっと安全なものにする。こうやって技術というのは発展しますよね。

    それでは原発で客観的な「安全基準」を決められるか。たとえば、ある「安全基準」を決めて、この「基準」をクリアしたら、これは安全な原発ですよと、太鼓判を押せるか。そんな「基準」を決めたとしても、これは実証できないでしょう。

    渡辺 なるほど。

    志位 たとえば、地震に対する原発の「安全基準」を実証しようと思ったら、実際に稼働している原発をゆすってみて壊れるかどうか実験をやらなければならない。

    渡辺 実証実験ができない。

    志位 そうです。「安全基準」の実証は(原理的に)できないんです。そうするとどういうことになるかといったら、結局、机の上の計算で「安全だ」ということをいうだけのものにならざるを得ない。もちろん、私は、(原発事故の)危険を最大限回避する、危険を少なくするための措置は必要だと思います。それを求めていきます。しかし、ある「安全基準」を決めて、これをクリアしたら「安全です」「どんどんつくりましよう」、こういう考え方は、原発においては成り立たないということをいっておきたいと思うんですね。

    再生可能エネルギを最大限のスピードで開発して

    渡辺 いままでそういう考え方で来たわけですよね。だから共産党は原発からの撤退をいうわけですね。

    志位 そうです。撤退の政治的決断が必要だと。何年間で撤退するか、どういうエネルギーにするか、これは国民の議論で決めていけばいいけれども、まず撤退の決断が必要だといっています。

    渡辺 5年から10年で撤退するというのはどのようなタイムスケジュールで、どういうふうにやるんですか。

    志位 考え方として、先ほどのべた原発が持っている「異質の危険」からして、できるだけ早く撤退した方がいい。早ければ早いほどいいんです。ただやはりエネルギー需給のことを考えたら、混乱を避けなければならない。それからもう一つ考えなければならないのは、安易に化石燃料をどんどんたけばいいかということでもないと思うんですね。

    渡辺 C02のこともあるし。

    志位 ええ。ですから再生可能エネルギー、自然エネルギーを最大限のスピードで開発する。この可能性は大いにありますから、それを同時並行的に進めながらやろう。そういうことを考えたら、だいたい5年から10年以内という、それくらいのめどで撤退を完了すべきではないかということをいっています。

    渡辺 当面は火力、LNGでやろうということですか。

    志位 いま原発の再稼働が問題になっていますよね。政府が再稼働をOKしていまずけれども。

    渡辺 経済産業大臣は要請した。

    志位 これはひどい、姑息(こそく)な対策で、たとえば水素爆発を避けるためにドリルを用意するとかいうものなんですよ。(原子炉建屋に)穴を開けるための。もうお話にならないような姑息な「対策」で「安全宣言」をしてしまつたけれど、これを許すことはできません。(再稼働ができず)原発が止まったということになりましたら、一時的にLNG-液化天然ガスを使うこともあり得ると思います。ただ、できるだけ速やかに自然エネルギーの方に移行して、地球温暖化防止のうえでの責任を果たしていくということが必要です。

    イギリスでは巨大洋上風力発電新たな産業や雇用にもつながる

    渡辺 産業界は、産業の衰退を招くのではないかという危倶を抱くでしょう。.そのあたりはどうなんですか。

    志位 日本の産業を興していく上で、原発に依存していくことほど危険なことはありません。(福島のような)こんな事故が何度も起こったら、とてもではないけれど日本の経済は先行きがないですよね。たとえばイギリスでは、2020年までに原発32基分の(発電ができる)洋上風力発電所をつくるというんですよ。全エネルギーの3分の一はこれで賄おうというんです。これはものすごい産業になりますよね。

    渡辺 共産党がおっしゃっているのは新たな産業とか雇用の創出につながるということですよね。

    志位 つながりますね。これまで原発をどんどんつくってきましたが、もうかっているのはどこかといえば、原発メーカーとゼネコンなどです。そういう巨大企業はもうかるけれども、地元の中小企業のみなさんや、働いている人にとっては、本当に地元に根づいた仕事にはなりません。しかし、再生可能エネルギーでしたら、小規模のものもたくさんつくれます。地産地消のエネルギーにもなり、地元の仕事おこしにもつながります。

    人間らしい生活、安心して暮らせる社会を

    渡辺 一方で節電もしなければいけないという考え方が(共産党提言の)ベースにあるんですね。

    志位 あります。エネルギー使い放題の社会でいいのか、「大量生産、大量消費、大量廃棄」、こういうやり方でいいのか。24時間ごうごうと明かりがついている、そういう社会でいいのか。やはりここは低エネルギー社会への移行が必要だということです。ただこれは「がまんの社会」ではなくて、たとえば労働時間が日本では長すぎますよね。年間でドイツやフランスより500時間も長いんですよ。これをヨーロッパ並みに短くして、一家だんらんもできるようにして、早寝早起きもできて(笑い)、夜も24時間働くような生活はやめるというごとです。人間らしい労働と生活をつくることは、低エネルギー社会に移行するうえでも大切だと思います。

    渡辺 太陽電池パネルとか洋上風力とか。ただこれにはコストとか、地熱も含めて時間の問題がいわれますよね。5年、10年で一定のレベルまでできるのでしょうか。

    志位 いま、コストがぐ一つと下がっています。たとえば風力なんかも、だいたい2020年くらいまでで火力と同じくらいのコストになるといわれています。いま、どんどんと技術が進歩してきていますから。コストも下がってくる。そして、原子力の方はコストが低い低いというけれども、こんな事故を起こしたらもう大変な問題でしよう。

    石田 そうですね。

    渡辺 総合的に考えると、共産党の考え方は、エネルギーを自然エネルギー、再生可能エネルギーにもっていく、それから節電をする、人間らしい生活を回復する。

    志位 そうですね。やっぱり私たちが目指しているのは、人間らしく生活できる、安心して生活できる、そういう社会をつくりたいということですね。

    渡辺 原発だけではなくて、安全でない部分はありますよね。

    志位 それはたくさんあります。

    渡辺 永田町だってこのままでいいのかと僕なんかは思うけれど。政治家の方はもう少し、被災地の方々のことをお考えになって国会運営をしていただきたいし、もっといろいろやってもらうことが多いですよね。

    志位 そうですね。私も被災地に何度か伺っていますけれども、今度の震災というのは第1次産業の打撃が大きいでしょう。ですから漁業にしても農業にしても、早く再生への光がほしい。船を確保する、漁業と加工業と流通業を一体的に再生させる。そして漁協の皆さんががんばってきたわけですから、その努力を応援する。国が乗り出していっての大規模な一大プロジェクトがいりますよね。農業もそうですね。

    渡辺 ぜひお願いしたいですよね。

    石田 今日は貴重なお話をありがとうございました。

    志位さんの考え正しい

    番組の最後に、志位氏から話を聞いた2人はこんなやりとりを。

    石田 いかがでしたか。

    渡辺 志位さんのお考えになっていることはやっぱり正しいですよね。もう一度、われわれの生活を考え直す、豊かな生活を取り戻していきたいという考え方は正しいと思います。

    しんぶん赤旗日刊紙2011.6.26)

    2011/06/23

    原発撤退世界は日本は

    「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を一国民的討論と合意をよびかけます」。日本共産党の志位和夫委員長が13日、提言を発表しました。他に類のない危険性が日々・国民に不安を広げている原発。「安全な原発などあり得ない」と強調した志位氏。まず政府が「原発からの撤退の政治的決断」をおこない、「5~10年以内を目標に原発から撤退するプログラム」を策定するよう要求しました。(提言内容は5面)

    自然エネルギーの本格的導入を
    国民的討論と合意よびかけ・日本共産党の提言

    原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入に向け、国民的討論と合意を━。日本共産党の志位和夫委員長が13日に発表した原発・エネルギー政策の提(1面)のポイントを紹介します。

    福島原発事故が明らかこしたものは何か

    「異質の危険」

    第一は、原発事故には他の事故にはない「異質の危険」があることです。放射能汚染は地元・福島県から静岡県まで広範囲に広がり、土壌、水道水、牧草、農産物、水産物などに被害をおよぼしています。

    とりわけ懸念されるのは国民、とくに子どもへの健康被害です。放射能被害には急性と晩発(ばんばつ)=ある期間を経過して症状があらわれること)性障害があります。たとえ低線量でも将来、発がんなどの晩発性障害が起こる危険があります。

    「自主避難」を含め10万人が避難を強いられ、地域社会が丸ごと存続の危機にみまわれています。空間的、時間的、社会的に類のない「異質の危険」をもたらす原発が社会的に許容できるのかが、問われています。

    未完成の技術

    第二は、いまの原発技術は本質的に未完成で危険なことです。100万㌔㍗の原発が1年稼働すると、広島型原爆千発を超える「死の灰」(放射性物質)がたまります。しかし人類は、この「死の灰」をどんな事態でも、原子炉内部に安全に閉じ込める手段を手に入れていません。

    それはわずか30年で三つの重大事故(スリーマイル島原発、チェルノブイリ原発、福島原発)を体験した事実で証明されています。

    加えて、現在日本で使われている「軽水炉」は、冷却水がなくなると炉心が溶け、コントロールが利かなくなるという固有の弱点をもっています。さらに、「使用済み核燃料」は、処分する方法がなく、貯蔵して冷却を続けねばなりません。

    地震国に立地

    第三に、こうした危険をもつ原発を世界有数の地震国で、世界一、二の津波国である日本に集中立地する危険です。日本で、大地震や大津波の危険がないと断言できる原発は一つもありません。

    「安全神話」で

    第四に、歴代政権が電力会社の経営陣とともに「日本の原発は安全」という「安全神話」にしがみつき、警告を無視して重大事故への備えをとらなかったことが深刻な結果をもたらしています。

    とりわけ日本政府がスリーマイル、チェルノブイリの二つの炉心溶融事故からまったく学ばなかったことは重大です。二つの事故後、国際原子力機関(IAEA)は、1988年に「原子力発電所のための基本安全原則」の勧告を各国におこない、過酷事故への拡大防止策と影響緩和策を各国に呼びかけました。

    しかし日本政府はこの勧告を無視し、「日本では過酷事故は起こりえない」とする方針を決めました。(92年)

    提言は、こうした危険の指摘と同時に、政府が「対策」をとったとしても「これで原発は安全」と宣伝すればまた新たな「安全神話」の誤りに陥る━と指摘しています。

    重大事故の可能性を排除できず、ひとたび重大事故が起きれば、とりかえしのつかない事態を引き起こす原発を、地震・津波の危険の大きな日本で、許容していいのか。現在の原発と日本社会は共存できるのか━。それこそがいま突きつけられている問題です。

    5~10年以に原発ゼロのプログラムを

    提言はこうした点を踏まえ、政府にたいし、「原発からの撤退の政治的決断」「5~10年以内に原発ゼロのプログラムの策定」を求めました。

    原発の巨大な危険を考えれば、できるだけすみやかな撤退が強く求められます。同時に電力不足による社会的リスクや混乱を避け、温暖化抑止という人類的課題も考える必要があります。「自然エネルギーの本格的導入と低エネルギー社会への転換にむけて、あらゆる知恵と力を総動員し、最大のスピードでとりくむ必要がある」と、提言は強調しています。

    企業の自家発電を含む日本の総発電量に占める原発の割合は25%。5~10年で電力消費量を10%程度削減し、現在総発電量の9%の自然エネルギーを2・5倍程度まで引き上げれば、原発分をカバーできます。(下図)

    Genpatu_zero

    夏場のピーク時への対応は必要ですが、原発からの撤退は無理な課題ではありません。撤退の決断をしてこそ、自然エネルギーの開発・普及と低エネルギーに向けた本格的なとりくみをすすめることができます。

    「原発ゼロ」にむけてただちに「原発縮小」に踏み出すことが必要です。

    福島、浜岡両原発は廃炉、プルトニウム循環方式からの撤退

    老朽原発の廃炉

    住民合意が得られない原発の停止・廃炉━を実行します。

    原発停止から廃炉までには一定時間がかかります。その間、考えうる限りの安全対策をとるとともに、強力な権限と体制をもち、原発推進機関から完全に分離・独立した規制機関を緊急に確立します。

    低エネルギ社会に国をあげたとりくみを

    同時並行で自然エネルギーの本格的導入と低エネルギー社会に向け、国をあげてとりくみます。

    日本の自然エネルギーは大きな可能性があります。太陽光・中小水力・地熱・風力の可能性は20億㌔㍗以上で、原発54基の発電能力の40倍。今後5~10年で総発電量の2~3割を自然エネルギーにすることは日本の技術水準からみても決して不可能ではありません。

    問題は「政治の遅れ」です。この5年間に、原子力対策に2兆円以上の税金がつぎこまれたのに、自然エネルギーへは6500億円弱です。

    自然エネルギーの本格的導入は、新たな仕事と雇用を創出し、地域経済の振興と内需主導の日本経済への力になります。自然エネルギーによる電力の買い取り制度を改善し、固定価格での全量買い取りをすすめ、風力発電の環境基準の設定などの対策も求めます。

    エネルギi消費削減のカギとなる低エネルギー社会への転換も進めます。

    "原発撤退"の一点での共同をひろげよう

    提言は最後に「国民のあいだで対話と共同をひろげ、”原発からの撤退"という一致点での国民的合意をつくりあげよう」と呼びかけています。

    追加:大学教員から反響のメール(しんぶん赤旗2011.6.24)

    共産党の「原発撤退」提言/独で体験 国民的大論争/一致点広げる呼びかけに共感/愛知の大学教員がメール 

    日本共産党が13日に発表した提言「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格導入を―国民的討論と合意をよびかけます」に反響が広がっています。党本部にも電子メールやファクス、電話で各界から、さまざまな賛同の声が寄せられています。愛知県で大学教員をしている男性からのメール(要旨)を紹介します。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    たいへんすばらしく感動をもって読みました。

     第一に、国民的討論と合意を呼びかけるという基本的なスタンスがよいと思います。私は1979年から93年までドイツに滞在していましたが、チェルノブイリ原発事故以降のドイツでの原発論争はものすごい規模での国民的大論争でした。普通の新聞にも週1回は、賛成・反対など多様な意見を述べた論文が掲載されます。わが国の場合、多くの国民が真剣に考え始めている段階ですので、方向を示しながらも、討論と合意をめざすというスタンスはまさに正しいと思います。

     第二に、今、国民のだれもが考えているのは安全の問題で、そこが入り口になっています。一致点を重視する姿勢はよいと思います。原発から撤退し、自然エネルギーの導入を進めることについても、それが可能であることを大変丁寧に説明しています。この説明も説得的であり、好感が持てます。

    「異質の危険」

     第三に、原発事故を「異質の危険」であり、「空間的、時間的、社会的に限定することができない深刻さを持つ」ものとの性格付けは、ことの本質を的確に表現しています。

     第四に、地震・津波の予見に失敗したという「自然認識上の限界」と、「技術の安全性をどのように確保するか」という二つの関係も的確に指摘していることです。提言では「地震にたいする科学的知見の到達点は、それぞれの原発の地震による危険性を科学的に評価するところまで進んでいるとはいえないのです」としていますが、これは科学と技術の根本的違いを正確に理解した上での優れた指摘だと思います。私は理学(生命科学)を大学で教える教員ですが、この二つの問題の関係を的確に表現する言葉を探しておりました。私にとって、この指摘はおおいに参考になるものです。

    「安全神話」

     第五に、「安全神話」に言及した部分では、「とりわけ、スリーマイル原発事故、チェルノブイリ原発事故という二つの過酷事故(炉心溶融にいたる重大事故)の教訓を、日本政府がまったく学ばなかったことは重大です」とあります。私もこれが深刻さの面でも、分かりやすいという点でも、中心問題であると思います。「わが国は違う」「ありえない」ということは、国際的な経験と、国際的協力の意義を拒絶する立場です。

     第六に、原子力工学の教育・研究についても「人類の未来を長い視野で展望し、原子力の平和的利用にむけた基礎的な研究は、継続、発展させるべき」と適切な指摘をしています。あえて付け加えるなら、原発停止後の廃炉に向けての技術的諸問題、使用済み核燃料の処理技術についての諸問題を解決するためにも、原子力工学の教育研究は絶対に必要であると思います。

     この提言は、貴党のこれまでの長年の活動の蓄積にもとづき、国民の間に一致点を広げていくという方法で、一定の時間をかけて国民的議論と合意をはかるという基本的な方向を提示しています。敬意を表します。

    2011/06/14

    被災者の立場に立って 共産党国会議員団の論戦 

    せめてゼロからのスタートを 

    被災者の立場で生活基盤の回復に政治は責任を果たすべきだ━この立場で行動している日本共産党国会議員団。その論戦が数々の成果を生み出しています。

    二重ローン

    「マイナスからのスタートでなく、せめてゼロからのスタートに」。震災直後から日本共産党は、「家も店舗も事業所もなくなり、残ったのは借金だけという事態だ。特別のスキーム(枠組み)による支援が必要だ」(大門実紀史議員、3月30日の参院財政金融委員会)と述べ、二重債務問題の解決(震災で生まれる追加債務の救済)を政府に迫ってきました。いまや他党派を巻き込み、政府を動かしつつあります。

    25日の衆院復興特別委員会。「仮設店舗などの借り入れを含むと三重債務の人もいる。復旧・復興の意欲をそいでしまう」(青森県商工会議所の林光男会長)、「二重債務問題を解決してほしい。国による債務買い取りを含め対応してほしい」(岩手県農協中央会の長澤壽一会長)。参考人として意見をのべた被災5県の農業・水産業・商工業の各代表はそろって二重債務問題の解決を求めました。

    日本共産党は政府に申し入れた「大震災・原発災害にあたっての提言(第2次)」でも、復興への希望がもてる施策として、「『債務の凍結・免除』を国の責任で」と求めました。「2次提言」と被災地の声が響き合った瞬間でした。

    解消の枠組み提案政府動かす

    救済策を求める

    党議員団はこの問題で論戦を積み重ねてきました。吉井英勝議員は4月13日の衆院経済産業委で「金融機関による債権の無期凍結や長期にわたる返済猶予の仕組みを」と提起。佐々木憲昭議員は「被災企業が三重四重の債務を抱えることになる」との被災地金融機関の声を紹介(13日の衆院財務金融委)し、救済策を繰り返し求めました。

    転機は13日の参院予算委員会での大門氏の質問でした。

    大門氏は、債務返済の凍結や「復興特別貸付」の返済期間(現行10年)の最長2saimu 20年への延長を政府が表明したことを評価。その上で、「これらの措置は二重債務を薄く引き伸ばしたにすぎない。従来の枠組みを超えた思い切ったスキームが必要だ」と強調し、一例として、「地域経済復興機構(仮称)」の設立を提案しました。

    これは、

    ①事業者による借金返済を凍結

    ②機構が金融機関から債務を買い取る

    ③金融機関は債権売却資金で事業者に新規融資を行うというスキーム(図)です。菅直人首相は「大変検討に値するスキームだ。しっかりと検討させていただく」と応じました。

    国会多数の声に

    民主、自民、公明など各党の議員も相次いで二重債務問題を取り上げるようになり、国会では多数の声となりました。政府・民主党も、公的な第三者機関が関与して旧債務を整理する枠組み整備を検討。枝野幸男官房長官は「今月中に詳細を示す」(24日の衆院復興特別委)とのべ、近々救済スキームを示す見通しだと明らかにしました。
    (つづく)(しんぶん赤旗2011.5.30)

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    認定基準の緩和を要求 

    液状化被害

    東日本大震災では地盤が液状化し、住宅や道路などが深刻な被害を受けました。被災住宅は千葉県と茨城県だけで約1万8000棟(30日現在)。東京湾岸の埋め立て地で42平方㌔㍍にのぼります。

    これまで被災認定は、傾斜が20分の1(20㌢の高さに対し1㌢の水平方向のずれ)以上の場合だけでした。多くの世帯が対象外となるため、茨城県鹿嶋市や千葉県香取市など5市長が共同で「液状化被害の取り扱いの明確化」「新たな支援金支給制度の創設」を政府に要望するなど、認定の見直しを求める声が広がっていました。

    健康被害加える

    日本共産党国会議員団は実態を調査するとともに、各地方議員団と連携して早くから見直しを求めてきました。

    塩川鉄也議員は4月5日の衆院総務委員会で、「40分の一の傾きでも寝ることができない。酔っている雰囲気になる」との被災者の声を紹介し、認定要件の緩和を要求。この時は「直ちに要件を勘案する必要はない」(長谷川彰一内閣府官房審議官)としていた政府も4月15日、塩川議員に対し松本龍防災担当相が「家屋の状況を調査し、基準を見直しも含め勉強したい。明日、内閣府の職員を派遣して調査させる」と表明しました。

    4月30日には笠井亮議員が衆院予算委員会で、2日には田村智子議員が参院災害対策特別委員会で、それぞれ見直しを要求。党国会議員団の粘り強い追及が基準見直しにつながりました。今回の見直しでは、

    ①建物の「沈み込み」の認定基準を新たに設定

    ②住宅の傾きについて新たに60分の1以上を大規模半壊、100分の1以上を半壊-としました。

    とりわけ、塩川議員の要求を受けて、認定の着目点に、医療関係者からのヒアリングをもとに健康被害を加えた点は大きな前進です。

    浦安では3000棟以上に適用

    約8000戸が傾いた千葉県浦安市では、今回の見直しで大規模半壊は1380棟が認定され、半壊も1896棟が認定される見込みです(全壊認定は8戸)。

    基準策定を検討

    4月30日の予算委員会で笠井議員は、、今後の液状化対策のため「国として全体像をつかむ必要がある」と指摘。大畠章宏国土交通相は「調査を行い、液状化地域ゾーニングマニュアルをつくりたい」と答弁しました。17日の総務委員会では塩川議員に、小泉俊明国交政離離灘薩鶴と答えました。

    内閣は、20日に閣議決定した「当面の取組方針」で、液状化の方策について、技術的知見に基づく宅地の造成等に際しての基準のあり方を含め、必要な検討をしていく」と明記しました。(つづく)

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    2011/06/13

    東日本大震災三ヶ月(4)仕事・雇用・産業の再出発、国の力でせめてゼロからの

    仕事・雇用・産業の再出発
    生業の基盤

    「国として、復興への希望が見えるようにしてほしい」━仕事、雇用、産業の再出発に向けて、被災者の願いです。日本共産党は第2次提言で、被災者の生活基盤回復に、国が責任を果たすという政治的メッセージと具体的施策を急いで打ち出せと訴えました。大震災から3ヵ月を迎え、そのことがますます切実になっています。

    債務

    「凍結・免除」国の責任で

    「(漁業は)マイナスからのスタート。生産から加工・流通まで国の全面支援で再生することが不可欠。国の力でゼロまで戻すよう求めてほしい」(岩手県漁連の大井誠治会長)

    「マイナスからの出発だが、せめてゼロになるまでの資金の支援をお願いしたい」(岩手県陸前高田市農業委員会の石川満雄会長)

    被災地の水産業、農業、商工業関係者から共通して出されているのが「マイナスからではなく、せめてゼロからのスタートを」という要望です。これにこたえたのが、日本共産党の提言です。「債務の凍結・免除」を国の責任でという提案です。

    政府も、日本共産党の債務を買い取る機構の設置などのスキーム(枠組み)の提案について「二重ローンにならないようにする、大変検討に値するスキームだ。しっかりと検討させていただきたい」(菅直人首相、5月13日の参院予算委員会で大門実紀史議員の質問に)と答えました。

    政府・与党内で現在、二重ローン問題への対応について検討されていますが、被災地の要望に沿った形で、枠組みづくりを進めることが求められます。

    共産党の提言

    国の責任で債務を「凍結・減免」し、債務の重荷を取り除く。たとえば、国が「震災復興支援機構」(仮称)をつくり、債務を金融機関から買い取り、買い取った債務は、将来、事業が再生した段階で超長期の展望で返済を行い、被災状況などの実情に応じて債務の減免も行うという方法もある。

    水産業
    船も養殖も100%公費で

    岩手、宮城、福島3県の水産物の生産量の全国シェア(市場占有率)は、養殖ワカメ79%、養殖カキ29%、サンマ32%です。

    この地域で、壊滅的被害を受けた漁船は岩手県で5726隻(被害額114億円)、宮城県で1万2011隻(同1052億円)。漁港、市場、水産加工場の多くが被災しています。水産業の再出発のためには、生産・加工・流通までセットで再生する総合的な全面支援が不可欠です。

    激甚災害法では、5㌧未満の小型船は3分の2を公費でもつことになっています。被災地の小型船はほぼ壊滅状態であり、中型、大型船にも大きな被害が出ています。激甚災害法の枠組みではとても再出発できません。

    ホタテ、カキ、ワカメなどの養殖施設の被害は岩手県が132億円、宮城県で487億円にのぼります。

    養殖施設の破損は、90%は公費負担となっていますが、実際は「減価償却分を差し引き」とされ、昨年のチリ津波のさいは養殖施設破損への公費負担は半分にとどまっています。

    「舶も、養殖も100%公費で」との要望は切実です。

    共産党の提言

    被災した漁業者から寄せられている「船も、養殖も100%公費で」との強い要望に、国がこたえる具体的施策をとること。

    農業

    「農地再生」へ国が乗り出せ

    津波で被害を受けた水田は、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県で推計約2万㌶。うち第1次補正予算で創設した除塩事業の実施によって、今年産の水稲作付けが可能となる面積は、6県18市町村で約1800㌶(5月20日現在、農水省集計)。1割程度です。

    JAや農業者からは、「国が農地をいったん買い上げ、大規模な土地区画事業を施して農地として再生し、それを農家に貸し付けるような取り組み」(JA宮城中央会の佐藤純一常務理事)や、払い下げ条件付きの一時的な買い上げと整備など、被害状況にあわせたきめ細かな対応を求める声が出されています。

    共産党の提言

    国が全面的に乗り出して農地を再生させる。被災地の農業復興にも逆行する環太平洋連携協定(TPP)参加をきっぱり断念。

    商工業
    立ち上がりの「資金」が必要

    「住宅ローン、機械のリース、既存の債務…マイナスではなく、せめてゼロから出発できるようにしてほしい」(宮城県石巻商工会議所の浅野亨会頭)

    商工業・中小企業を再生するためには、「債務凍結」とともに、事業を立ち上げるための資金が必要です。

    岩手県、福島県は、被災店舗・工場への直接支援に踏み切りました。いずれも、県商工団体連合会が要望していたものです。こうした被災自治体の取り組みを国は後押しするとともに、国こそが立ち上がりのためのさまざまな施策を拡充、新設することが求められています。

    共産党の提言

    国の責任で、返済不要の立ち上がり資金を提供する支援金制度を創設。津波で流された機械のリース代を免除。貸工場、貸店舗への公的支援を拡充。

    原発災害
    国民負担なく全面賠償を

    東京電力福島原発の事故により避難を余儀なくされた住民たちは、出荷や作付けの停止、売り上げの減少などに苦しんでいます。住民生活を維持し、立て直すための全面的な賠償は、第一義的には東電が負うべきです。全面的な賠償とは、原発事故がなかったらあったであろう収入と、現実の収入の差をすべて賠償するということです。勝手な「線引き」をして被害者を切り捨てるようなことがあってはなりません。政府は、すべての被害が賠償されるように責任をもって取り組むべきです。

    損害賠償の範囲などについて検討する原子力損害賠償紛争審査会はこれまでに二つの指針を発表しました。この中で、政府指示によって発生した損害にくわえ、農林水産物への「風評被害」を賠償の対象として盛り込みました。

    風評被害は、農作物は福島、茨城、栃木、群馬4県の全域と千葉県内の3市町の全食用品目が対象となりました。畜産・水産物は福島、茨城の両県が対象です。

    食用ではない花きや木材は対象になっていません。また、5県以外の農作物も、原
    発の影響で値崩れなどの被害が起きているのに、それも賠償の対象には入りませんでした。観光業も福島県内のキャンセルなどは損害として認めていますが、それ以外の地域は対象外です。事故の損害を地域や品目で線引きすることは理不尽なやり方です。

    東電は5月末から農林漁業者への賠償金仮払いをはじめました。中小業者の賠償請求受け付けも6月1日から始めています。しかし、対象は避難や出荷制限など政府指示
    による被害に限られています。

    政府は5月13日、東電の損害賠償支払いを支援する枠組みを決定しました。国の負担と電力各社の負担金などを基金とする機構を設立します。東電の第一義的責任で賠償を行い、総額に上限を設けないこととしています。

    この枠組みは、東電の存続を前提としています。電気料金の値上げや東電への税金投入などにもつながる可能性もあります。

    東電が5月20日に発表した2011年3月期の決算では、連結売上高は前年度比7・0%の増、連結経常利益は55・5%と大幅増でした。

    また、東電には5000億円近い利益剰余金のほか、1兆1千億円の使用済燃料再処理引当金など十分な体力があります。東電の大株主や同社とともに原発を推進してきた大手融資先、原発メーカーの責任も免れません。

    参考リンク:

    (→その1)(→その2)(→その3)(→全文pdf

    大震災・原発災害にあたっての提言(第2次

    東日本大震災にあたっての提言(第1次

    2011/05/24

    出遅れたマスコミの弱さ

    上の動画は、およそ1ヶ月前になる4月26日の衆院予算委員会での吉井英勝議員の議会での追及だが、昨夜、「初動操作」についてTVが取り上げていた。

     自民党の党首が質問したからだ。

     共産党の先見性はもう世界が認めるところだが、マスコミはやはり、共産党の発言をとりあげない。これも「情報操作」の一つではないだろうか。

     再掲する。

    関連記事:

    原発事故―問われる政党の立場/共産党 「原発撤退 ゼロへの計画を」 一貫した主張が政治動かす [2011.5.23]

    東電「工程表」原発事故処理へ課題こんなに/事態深刻 原子炉の冷却は [2011.5.23]

    2011/05/01

    震災1次補正衆院通過 共産党賛成

    救援の手 隅々に笠井議員が賛成討論で主張

    東日本大震災の被災者支援や復旧・復興策を盛り込んだ2011年度第1次補正予算案と予算執行を裏付ける財源確保法案が30日、衆院本会議で全会一致で可決されました。

    賛成討論に立った日本共産党の笠井亮議員は、「救援の手を被災者のすみずみまで届けきることが重要だ」と主張しました。(4面に賛成討論、2・3面に関連記事)

    「財源に消費税増税はくみしない」

    笠井氏は、今なお、13万人を超える被災者は厳しい避難生活を強いられており、「希望者全員が入れる仮設住宅を一刻も早く建設するなど住宅確保のあらゆる手だてを尽くす」ことを要求。

    義援金や災害弔慰金とともに、最大300万円の被災者生活再建支援金を、住宅再建に見合う金額へ抜本的に引き上げることを主張しました。

    財源問題で笠井氏は、法人税減税・証券優遇税制の延長、原発の建設推進予算、米軍「思いやり予算」をそれぞれ中止し確保すべきだと指摘。政府が基礎年金の国庫負担割合を2分の1とするための財源を転用し、その穴埋めを税制「抜本改革」・消費税増税によってまかなおうとしていることを批判しました。

    また、民主、自民、公明3党が29日に交わした補正予算に関する合意文書で、「社会保障改革と税制改革の一体的検討は必須の課題」としていることは「看過できない」と述べ、「年金財源のあり方、今後の震災財源についての政府方針に対しては大いに異議がある。消費税増税路線にくみするものではない」と強調しました。

    福島原発事故については、事故の拡大を防ぎ、収束の見通しを明らかにするとともに、「原発に起因するすべての補償を行うことを明確にさせることが必要だ」と述べました。

    補正予算案は総額4兆153億円で、仮設住宅の整備やがれき撤去、遺族への弔慰金など緊急に必要な経費が中心。財源確保法案には、基礎年金の国庫負担2分の1を維持するための「埋蔵金」2兆5000億円を復旧費に転用します。

     なるほど、で「寅さん」は4面を読むことにする。カネを出す方には問題無さそうだ。そのカネが何処から出てくるのか、それに共産党はどう考えていつのか、大いに興味がある。

    2011年度補正予算案笠井議員の賛成討論

    30日の衆院本会議で採決された2011年度補正予算について、日本共産党の笠井亮議員が行った賛成討論は次の通りです。

                  ◇

    日本共産党を代表して2011年度補正予算3案に賛成の討論を行います。地震・津波の発生から50日以上が過ぎましたが、いまなお13万人を超える被災者がきびしい避難生活をしいられています。

    重要なことは、救援の手を被災者のすみずみにまで届けきることであります。

    温かい食事や風呂もなく、医師や保健師の巡回もないなど劣悪な状態に置かれている避難所は、早急な改善が求められます。被災者に人間らしい生活を保障するために、希望者全員が入れる仮設住宅を一刻も早く建設することをはじめ住宅確保のあらゆる手だてを尽くすことが必要です。

    被災者の生活再建を支援するために、義援金や災害弔慰金、被災者生活再建支援法にもとづく基礎支援金を早急に被災者に届けきること。被災者生活再建支援金は、住宅再建に見合う金額へと抜本的に引き上げる必要があり、菅総理は「引き上げが必要」と述べた自らの発言に責任をもつべきであります。

    被災者が「マイナスではなく、せめてゼロからのスタートを」できるように、借金返済の心配と負担をなくし、再建へ集中できる条件をつくることが国の責任です。住宅二重ローンの解消、農業、漁業・水産業、中小企業の再建のための直接支援も不可欠です。提案されている補正予算の内容は必要最低限のものであり、さらなる改善・拡充が必要であります。

    次に、財源の問題です。わが党は、補正予算の財源は、法人税減税や証券優遇税制の延長の中止、原発の建設推進予算の中止、不要不急の大型公共事業の中止、米軍への「思いやり」予算の中止、政党助成金の廃止などで確保すべきだと主張してきました。

    ところが、政府は、こうした方向ではなく、政府自身が基礎年金の国庫負担割合を2分の1とするための財源に充てるとしていた「埋蔵金」約2兆5000億円を転用するとしました。目の付け方にそもそも問題があります。しかも、転用した年金財源の穴埋めは、税制抜本改革・消費税増税によってまかなおうとしているのであります。こうしたやり方は断じて容認できません。

    また、昨日、民主・自民・公明3党がかわした補正予算に関する合意文書で、年金財源に関して「社会保障改革と税制改革の一体的検討は必須の課題」としていることは看過できません。

    わが党は、年金財源のありかた、今後の震災財源についての政府方針に対しては、大いに異議があり、消費税増税路線にくみするものではないことをはっきり言っておきます。

    そのうえで、急を要する今回の震災の救援・復旧のための予算に賛成するものです。

    最後に、東京電力福島原発事故についても言っておきたい。いま政府がやるべきことは、これまでの「安全神話」が誤りであったという見地に立って、

    第一に、事故の拡大を防ぎ、一刻も早く事態を収束させるため、東電に「工程表」の根拠データを公開させ、内外の英知を集め、収束の見通しを明らかにすることです。

    また被害補償については、30㌔圏内に限定したり、農業・漁業被害などを対象外とするのではなく、原発に起因するすべての被害を補償することを明確にさせることが必要です。

    さらに、今回のような深刻な事故が起こりうるとの前提で、原子力行政を根本的に見直すことです。新増設計画は直ちにやめ、全国54カ所すべての原発の総点検を急ぎ、安全が確保されない原発は直ちに停止するなど、「あってはならない事故」の危険をなくす努力を真塾(しんし)に行うべきです。原発依存から脱却し自然エネルギーへの転換の道を決断すべきであります。

    以上を指摘し、被災者のみなさんの元の生活を取り戻したいという切実な思いを実現するため、被災者のみなさんと一緒に力をあわせていくことを表明し、討論を終わります。

     すなわち、「急をようする予算であり、被災者と一緒に力をあわせていくことを表明し」という内容なので賛成した。ところが歳入の方は、「多くの問題をはらんでる」、特に「消費税増税路線」というか、「消費税増税しかない」ような、「知恵をしぼらない」あるいは「政治の機能が働かない」と言っていいなにもかも「国民のせい」にする、いいかえれば言葉が悪いが「ミソもクソも一緒にする」ような論議に同調しない。「寅さん」はそう理解する。

     政府に言いたい。この国難というべき時に、カネのある財界(労働者を搾り取ってきたカネ)に「声をもっと大きくして国を救え」というべきではないか。ところが2面次のような記事がある。

    消費増税・TPP迫る復興構想会議で経済3団体他団体からは聴取予定なし

    政府の復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)は30日、首相官邸で第3回会合を開き日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所から聞き取りを行いました。

    同会議の構成員である被災3県の知事からの聞き取りに続くもので、外部からの意見聴取としては初めて。

    現時点で他団体からの聞き取りは予定されておらず、経済団体の意見を重視する姿勢が浮き彫りになっています。

    3団体からは「構造改革」路線を堅持するよう求める意見が相次ぎました。

    日本経団連は「成長戦略、TPP(環太平洋連携協定)、税・財政・社会保障一体改革と震災復興の整合的推進」を提言しました。

    経済同友会は、東北地域全体を道州制の先行モデルとするよう求めるとともに、公務を民間企業に丸投げする特区制度やPFI(民間資金活用による公共施設等整備)の積極的活用を提言。第1次産業については、農地の大規模化、他地域への集団移転、法人経営の推進、漁港の拠点化など「大胆な構造改革を進める」と提言しています。

    日本商工会議所は、復興財源について「復興税としての消費税引き上げはやむを得ない」とする文書を提出しました。阪神・淡路大震災当時の官房副長官・石原信雄氏、同じく兵庫県知事だった貝原俊民氏からも意見を聴取。

    貝原氏は復興税創設を求めました。

    五百旗頭議長らは今月2日から被災地を視察、10日に次回会合を開き、6月をめどに出す予定の提言とは別に、14日にも「緊急提言」を発表するとしています。同議長は会合後の記者会見で「緊急提言」には財源問題は含まないとの考えを示しました。

     何の事はない。「空白の20年」とか言われるような、不況と財官癒着、「菅から民へ」路線、すなわち、これからも「大企業の一人勝ち」の政策を実施せよという「財界の意向を承った」のだ。

     しかも、これで「意見を聞くのは終わり」だというのだから、もともと国民の意見を聞く用意がないのだ。

     またしても「空白時代が続く」。日本人は忍耐強い。今回の大震災を見ても言える。しかし、TVの「その男副署長」ではないが「忍耐もこれまで」という時がくる。「忍耐に耐えてきたエネルギー」は相当なものだ。国民は、今そのエネルギーを温存してることを思い知らされる時がきっとくるであろう。

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    ドッと農産物アッと14% 関税撤廃TPP[2010.1.8]

    2011/04/27

    東京電力と国に対する「東電は全面的に償え」抗議、賠償請求行動で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなった激励あいさつ

     今なにが問題なのか、どのような政治力が働かねばならないのか。「国民の存亡の危機」に直面し、政治が試されている。

     政治は何をしなければならないのか、「政党助成金」の山分けか、アメリカへの「思いやり予算」なのか。

     もうこうなると、「寅さん」は、一度共産党に政治を任せたらどうかと思うのだ。以下に「東電は全面的に償え・抗議、賠償請求行動」での志位委員長のあいさつがある。

     党派を超え、じっくり耳を傾けるに値する発言だ。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    26日、東京都内で開かれた東京電力と国に対する「東電は全面的に償え」抗議、賠償請求行動で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなった激励あいさつは以下の通りです。

    Sii

    原発事故━「人災」と認め、壁面賠償・仮払いを
    東電国への請求行動志位委員長のあいさつ

    原発事故を起こした東電と国に強く抗議する

    日本共産党を代表して心からの連帯と激励のごあいさつを申し上げます。

    全国の農民連のみなさん、被災地の農民連のみなさんが、自らも被災されながら、被災者のみなさんに支援物資を届け、お米を届け、野菜を届け、救援の先頭に立ってこられたことに、心からの敬意を申し上げます。(拍手)

    巨大地震、大津波にくわえ、原発事故の被害が、きわめて深刻です。私も福島県の飯舘村と南相馬市にうかがい、故郷を奪われていることの無念さをひしひしと感じました。

    農業被害の実態についても、本当に痛切な訴えが寄せられました。ホウレンソウの出荷停止になった農家からは「種代や肥料代などで毎月20万円もの請求がくる。しかし無収入で払えない」という強い訴えがありました。

    原乳の出荷停止になった農家からは「毎日えさをやり続け、牛の世話をし、搾乳して、その搾った乳を畑に捨てなければならない」という無念の思いが寄せられています。

    まず、この深刻な大事故を起こしたことに対する強い抗議の声を、みなさんとともに東電および政府に対して突きつけたいと思います。(大きな拍手)

    原発事故は「人災」だと認めさせるたたかいを

    今後の問題ですが、まずは国内外のあらゆる知恵と力━専門家、研究者、技術者すべての力を結集して福島原発の危機を収束させて、これ以上放射能による被害の拡大を許さないことにすべての力を傾注するべきだということを、私たちは政府に強く求めています。それを大前提にして、みなさんとともに、次の三つの点を緊急に求めていきたいと考えております。

    第一は、福島原発事故が「人災」だということ、そして事故の原因が東電、東電をきちんと監督・指導してこなかった政府にある、このことをはっきり認めさせることです。(「そうだ」の声、拍手)

    東電はいまだに「人災」だということを認めません。いまだに「想定外」ということを平気でいっている。政府は「これまでの対策が甘かった」ということまではいいますが、はっきり「人災」だとはいいません。「人災」だということを認めさせるたたかいが大事です。(大きな拍手)

    福島県の市民団体と党県委員会、日本共産党の国会議員団が、くりかえし警告してきた。大地震と大津波が同時に来たら鉄塔が倒れて外部電源がなくなる、水をかぶって内部電源もなくなる、全電源喪失という事態になって炉心が溶けて大事故になると、2005年以来ずっと言い続けてきました。その警告を無視してきた。ですからこの事故は「自然災害」でも「想定外」でもない。ひとえに東電と国に責任がある「人災」であります。

    これをはっきり認めさせてこそ、賠償も誠実で全面的なものにさせることができます。

    「線引き」を許さず原発事故によるあらゆる被害・損害に全面賠償を

    第二は、原発事故によって発生した甚大な被害の問題についてであります。農産物、水産物、工業、商業、観光業、そして、住民の方々に甚大な被害を及ぼしているわけですが、あらゆる被害と損害について全面賠償をおこなうことを明確に約束させるよう、ともに求めていきたいと思います。全面賠償とは一体何なのか。

    このことをはっきりさせる必要があると思います。これは勝手に「線引き」をさせないということです。つまり、原発からの距離が何㌔だとか、放射能の値が何シーベルトとかベクレル以下だとかいって、勝手な「線引き」をして、被害者を切り捨てるということを絶対にさせないということです。

    原発事故が起こらなかったとしたら起こりえなかった被害・損害があります。原発事故がなかったら、これだけの収入があったはずだ、これだけのまっとうな生活ができていたはずだ、それといまの状態との差額、これはすべて賠償させる。これが全面賠償ということであります。これをみなさんといっしょに強く求めていきたいと思います。(大きな拍手)

    これまでも薬害肝炎の問題など、国や企業がかかわった損害賠償がありますが、相手はどこかで「線引き」しょうとしてきました。それを許してはなりません。出荷制限や風評被害もふくめて全面賠償を勝ち取るまで、ともにたたかいぬく決意です。

    現に生じている被害・損害にただちに仮払いを

    それから第三は、現にいま生じている被害・損害の問題についてです。私はこの間、全漁連、JA全中のみなさんと懇談する機会がありましたが、とにかく当座の生活がたちゆかないという実態が訴えられました。ただちに仮払いをおこなえということを一緒に強く求めていきたいと思います。

    国の指示によって、福島第1原発から半径30㌔圏内にお住まいの方について、1世帯あたり100万円、単身世帯は75万円の「仮払い金」をともかく支払うことになりました。しかし、ここでもまた「線引き」がされていて、30㌔圏外の県民には払われていません。

    さらに、農業、漁業、商工業、観光業などについては、風評被害も含めて甚大な被害を被り、いまの生活がたちゆかない、いまの営業がたちゆかないにもかかわらず、「仮払い」がやられていない。「仮払い」がやられなければ、被害はどんどん深刻になります。

    東電は国の審査会(原子力損害賠償紛争審査会)の「指針」を待って「仮払い」をするといいますが、この審査会の責任者は日本経済新聞のインタビューで、「指針」をまとめるのはだいたい7月だと答えています(「え━っ」の声、どよめき)。7月まで待てるわけないですよね。どうやって暮らせというのか。農業者、漁業者のみなさんを破産させ、路頭に迷わせる。こんな姿勢は許せない。ただちに「仮払い」をやれと強く求めていきたいと思います。

    「人災」と認めさせること、文字通りの全面賠償を勝ち取ること、それから「仮払い」をただちにやらせること。この三つは最小限の緊急の要求になります。みなさんとともに、これを実現するまでがんばりぬきたいと思います。(拍手)

    今回の災害は、原発の問題とともに、津波、地震による農業被害はきわめて甚大で、東北の農業をどう立て直すかについては、これまでの法律の枠組みではとうていかないませんから、それにとらわれずに特別の枠組みをつくることが必要です。私たちは、それを政府に具体的に提起していくつもりです。

    エネルギー政策を切り替えて原発から段階的に撤退を

    それから、これまでのような原発推進の政策でいいのか。エネルギーも原発頼みでいいのか。根本的な転換が必要です。

    この前、私と菅首相の党首会談で、首相はこれまでの原発大増設計画について、「白紙を含めて見直す」と言いました。しかし、これを「撤回する」とは言っていません。この無謀な計画は撤回させ、原発に頼らないエネルギー政策に切り替えていきたい。原発から段階的に撤退してゼロにする工程表を、党として示していきたいと思っています。(拍手)

    最後までともにがんばる決意を申し上げまして、私のごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)(しんぶん赤旗2011.4.27付け2面)(→集会の模様

    2011/04/18

    危機打開へ 共産党の論戦と行動

     3日間連続の連載がおわった。共産党の「論戦と行動」、すなわち「地に足がついた」うわべだけでない真実の声が伝わってくる。日付順に載せる。

    危機打開へ 共産党の論戦と行動 ㊤/原発問題 「安全神話」ただし転換迫る

    危機打開へ 共産党の論戦と行動 (中)/住宅・雇用・福祉 被災者の切実な声届けて/希望者全員が入れる仮設を

    危機打開へ 共産党の論戦と行動(下)税・財政 従来の枠こえ暮らし支援を 

    全文は以下の通り。

    (上) しんぶん赤旗2011.4.16

    原発問題 「安全神話」ただし転換迫る

     東日本大震災と原発事故という二つの重大事態が発生してから1カ月余。日本共産党は現地での救援活動や全国での募金活動を行うとともに、国会議員団が政府への提言や各委員会での質問を通じて現実の政治を動かしてきました。他党議員も、「すでに共産党の議員がとりあげていることですが」と前置きして同様の提案をすることも珍しくありません。日本共産党の論戦と行動、その後の対策の進展をみてみると―。

    新増設中止と総点検首相「白紙含め検討したい」

     東京電力福島第1原発の事故発生直後から、日本共産党は危機収束と避難者救援などで積極的な提起を繰り返し行ってきました。

     志位和夫委員長は菅直人首相との会談(3月31日)で、安全最優先の原子力行政への転換を求め、原発の総点検を行うとともに、2030年までに「14基以上」の原子炉を増やす計画について、「きっぱり中止すべきだ」と要求。菅首相は「原発の総点検ももちろん必要だが、今後の原子力の利用について根本的に安全性の議論が必要だ」として、増設計画は「白紙というか、見直しも含めて検討したい」と表明し、内外で大きく報じられました。

    独立した規制機関政府、経産省から分離検討

     志位氏は、日本が批准ずみの原子力安全条約に則して、原子力の推進機関と規制機関を分離し、強力な権限をもつ規制機関の創設を求めました。菅首相は「重大な反省が必要だ。指摘を受け止めて(体制の)あり方の検討が必要だ」と表明しました。

     推進機関と規制機関の分離は、35年前から日本共産党が提起してきたことです。

     政府は原子力安全・保安院を推進機関の経済産業省から分離させ、内閣府の原子力安全委員会と統合して規制機関とすることの検討を開始しています。

    利益第一を批判原子力安全・保安院長「甘さ深く反省」

    吉井英勝衆院議員は6日の経済産業委員会で、巨大地震と津波などによる全電源喪失が原発の炉心溶融を招くと05年から警告してきたことを指摘。「原発安全神話」を信仰し、国民の安全より企業利益第一に走ってきたことが重大事態をもたらしたと批判しました。

     寺坂信昭原子力安全・保安院長は「甘さがあったことは深く反省している」と述べ、班目春樹・原子力安全委員長も「今回の事故を深く反省し、二度とこのようなことが起きないようにしたい」と表明しました。

    対応の遅れ認め

     さらに吉井氏は、事故直後、菅首相が視察のため4時間半も災害対策本部を離れ、その後も海水注入を命じるまで10時間以上もきちんとした対策をとらなかったことが、重大事態を招いたと指摘。海江田万里経産相は「法律にもとづく(圧力容器の水蒸気排出や海水注入などの)命令は日をまたいでのこと(3月12日)だった」と、対応の遅れを認めました。

    明確な“人災”

     大門実紀史参院議員は3月29日の予算委員会で、45年前に設けた津波被害の甘い「想定」を放置するなど、「『安全神話』に乗っかり、安全対策を怠ってきた。“想定外”ではなく、明確な人災だ」と批判。菅首相は「認識が間違っていたことは否定しようがない」と認めました。

     海江田経産相は、津波などに備えた電源車の配備など、緊急時の電源確保を電力各社に指示しました。

    副読本を批判

     宮本岳志衆院議員は、13日の文部科学委員会で小中学生向けの副読本『わくわく原子力ランド』などを取り上げ、「“安全神話”にたった副読本は使わせてはならない」と批判。高木義明文科相は「見直していきたい」と答え、文科省のホームページからも削除されました。

    環境調査要請

     放射能汚染水の海洋放出問題では、市田忠義書記局長が「危機回避に力を集中することは当然だが、だからといって環境への負荷や人への影響について調査と対策を後回しにしてはならない」として、海水や魚だけでなく、プランクトンや海底生物なども含めた検査を要求。松本龍環境相は、「大変重要な指摘だ。環境省として検討したい」と答えました(14日、参院環境委員会)。

    住民への仮払い要求総務相「急がれるべきだ」

     日本共産党は、原発事故で被害を受けた地域に対する支援が遅れた問題を重視し、汚染データの公開、避難先の確保のほか、風評被害を含むあらゆる被害に政府が責任をもって対応するよう求めてきました。

     塩川鉄也衆院議員は5日の総務委員会で20万人に上る住民の実態を示し、東電の仮払いも含む賠償金の一刻も早い支払いを要求。片山善博総務相は「必要な生活資金の供与は急がれるべきだ」と答弁しました。東電は15日、1世帯あたり100万円(単身世帯は75万円)の仮払いを決定しました。

     紙智子参院議員は、出荷制限を受けた農家への補償を要求(3月23日、予算委員会)。笹木竜三文科副大臣は「事故との因果関係が認められるものは適切な賠償を行う」と答えました。

     大門参院議員は3月28日の予算委員会で、原子力損害賠償制度による農家などへの東電の補償には時間がかかるとして、政府の立て替え払いを要求。鹿野道彦農水相は「仮払いのような仕組みを検討中」だとし、野田佳彦財務相は、一義的には東電が支払うべきだが、まずは政府が肩代わりすると述べました。

    推進の立場からも見直し論「規制機関再構築」「原発からの脱却」

     原発推進の立場に立っている首長やマスコミからも見直しの声が上がっています。

     浜岡原発の増設問題などを抱える静岡県の川勝平太知事は「いまのまま進めることはできない」と発言(3月17日)。民主と自公相乗りの黒岩祐治神奈川県知事は「脱原発と太陽光発電導入をスピード感を持って進めたい」(10日)とのべました。

     「マスメディアとして、原発の『安全神話』をつくることに加担した責任を自らの手で問い直さなくてはならない」(「東京」7日付コラム)との声も。「毎日」15日付社説は、「政策の大転換を図れ」との見出しで、津波対策の不備を指摘するとともに、「国の規制や監視体制も改革を迫られている」「完全に独立した規制機関を再構築すべきだ」、「長期的な視点で原発からの脱却を進めたい」と書いています。

    (中) (しんぶん赤旗2011.4.17

    住宅・雇用・福祉 被災者の切実な声届けて

    希望者全員が入れる仮設を

     日本共産党は、「希望者全員が入れる仮設住宅を確保する」という立場で政府が目標と計画を示し、民有地の借り上げなど手だてを尽くすよう求めてきました。同時に、それまでの間、雇用促進住宅やUR賃貸住宅、民間住宅の大量借り上げなどを提起してきました。

     このなかで穀田恵二、高橋ちづ子両衆院議員や紙智子参院議員が仮設住宅建設に地元産材を活用すれば雇用対策にもなると要求、大畠章宏国交相は12日、東北地方産材の積極的活用を指示しました。

     民間住宅借り上げについては、穀田氏に国交相が「検討したい」と答弁(3月23日)。高橋氏が災害救助法に定めていると迫ると、岡本充功厚労政務官は「借り上げにより住宅確保に努める」(25日)と答えました。雇用促進住宅の入居期限6カ月については田村智子参院議員に小宮山洋子厚生労働副大臣が「柔軟に対応したい」(25日)と答えました。

    個人補償の抜本的拡充を

    共産党が主張 首相も「必要」

     日本共産党は「生活再建、地域社会の再建こそ、復興の土台」と主張。志位和夫委員長や山下芳生参院議員、紙議員らが、全壊でも300万円にとどまっている生活再建支援法の拡充を求めてきました。志位委員長との会談(31日)で菅直人首相は「私も引き上げが必要だと思う」と答えました。

    雇用創出基金の積み増し求める

     大門実紀史議員は3月28日の参院予算委員会で「ガレキ撤去でも何でも仕事ほしい」との声を紹介し、国として失業対策として行うよう要求。細川律夫厚労相は「雇用創出事業を活用してほしい」と答えました。

     田村智子議員は4月12日の参院厚生労働委員会で、雇用創出基金の積み増しを要求。小宮山厚労副大臣は、「第1次補正のみならず、その先まで含めて考えていきたい」と表明。政府は雇用創出基金を500億円積み増す方針を決め、被災者対応の事業として活用を呼びかけました。

    雇用調整助成金要件緩和を要求

     高橋氏は同月15日の衆院厚生労働委員会で、青森など9県に限定している雇用調整助成金の要件緩和を、全国的に適用すべきだと要求。細川厚労相は、「必要な場合は見直しを行う」と答えました。雇調金の緩和は当初、東北など5県のみに限定されていましたが、田村氏が質問で要求し、拡大させてきました。

     被災者への失業給付から原発事故避難者が除外されていた問題では、田村氏が3月25日の委員会で、対象にすべきだと質問。細川厚労相は「前向きに検討する」と述べ、28日には対象にすると発表しました。宮城など3県のハローワーク職員が300人増員されます。これも田村氏が25日の委員会で求めていました。

    医療費窓口負担猶予の拡大要求

     厚労省は、医療費の窓口負担猶予を当初、全半壊などに限定していましたが、被災して失職した人も含むなど拡大しています。田村氏は3月24、25日の厚労委員会で、被災者に条件をつけず、「窓口負担猶予とすべきだ」と求めてきました。

    り災証明書の発行を簡素化

     高橋氏は3月28日の衆院災害対策特別委員会で、各制度の手続きのために、り災証明書の発行が急がれるとして、発行手続きの簡素化を要求。内閣府は、津波による住居の被害認定に航空写真を活用できるようにするなど簡素化を通知しました。

    授業料猶予など弾力的扱い要求

     宮本岳志議員は、4月6日の衆院文部科学委員会で、「親を亡くし大学をやめようと考えている」との声を紹介し、学業を断念せざるを得ない状態が広がっていると質問。高木義明文科相は、奨学金制度や授業料猶予などを弾力的に取り扱うことを表明。政府はこのため1次補正予算には、200億円程度を予定しています。 

    (下)(しんぶん赤旗2011.4.18)

    税・財政 従来の枠こえ暮らし支援を

    内部留保還元し震災復興国債を

    復興財源について日本共産党は、法人税減税・証券優遇税制の中止やムダづかいの見直しとともに、大企業の内部留保の還元として、「震災復興国債」を発行して、大企業に引き受けを要請すべきだと求めてきました。志位和夫委員長との会談で菅首相は「検討させていただきたい」と表明しています。

    国会でも、「法人税減税をやめ、復興のための財源にまわすべきだ」(3月25日の衆院財務金融委員会)と求めた佐々木憲昭議員にたいし、野田佳彦財務相は「今の指摘を踏まえて検討する」と答えました。

    穀田恵二議員は3月25日の国土交通委員会で2020年までに5500億円をつぎ込む巨大港湾をやめ災害復旧に回すべきだと追及。笠井亮議員は同30日の外務委員会で、米軍「思いやり予算」特別協定に反対し、「米軍より被災者支援を」とただしました。

    国債引き受け大企業などに

    財源問題で、日本銀行による国債引き受けが取りざたされていることについて、大門実紀史議員が「日銀引き受けは必要ない。余剰資金を抱える大企業、大資産家に引き受けを求めるべきだ」と主張しました(同25日の参院財政金融委員会)。

    日銀の白川方明総裁は、「(日銀引き受けは)誤ったメッセージとなり、国債の安定的な発行という復旧・復興にとっての大事な基盤が崩れる」と答えました。

    被災者などへの税・金融支援を

    震災で被害をうけた中小業者などにたいする納税や債務の免除で大門議員は、3月30日の参院財政金融委員会で「従来の枠組みを超えた対応」を要求。桜井充
    財務副大臣は「中小企業、漁業、農業の再生を考えなければならない」と答弁。野田財務相は「滞納処分の停止もある」と表明しました。

    納税について十分な納付期限の延長や、住宅ローンのリスケジュール(借り入れ条件等の変更)を求めたのは、佐々木議員。野田財務相は、「申請に基づき猶
    予できる。猶予期間にたいする延滞税は免除される」と明言(同25日)しました。

    高橋ちづ子議員は3月28日の衆院災害対策特別委員会で、災害による家財破損などの被害があった場合に所得税を還付する雑損控除等について、さかのぼっての還付と「簡便法」の適用を求めました。

    尾立源幸財務政務官は、所得税の控除や減免については「10年の所得から還付できるようにする」と明言。「簡便法」も「検討する」と答えています。

    塩害の補償・支援金を検討

    震災と原発事故の被害を受けた農林水産業には、補償とともに復旧へ従来の枠を超えた対策を求めています。

    高橋議員は同28日の衆院災害対策特別委員会で、水田が塩害で2年以上も使えないと指摘し、「転作もできない。補償を考えるべきだ」と提起。筒井信隆農水副大臣は、生活支援を「個別所得補償で対応できないか検討する」と答弁。農水
    省は支援金の具体策を検討しています。

    水産業復興へ抜本的対策を

    水産業については、紙智子議員が同25日の参院農林水産委員会で「従来の枠を超えて政府あげて取り組むべきだ」と要求。共同利用する5㌧未満の小型漁船建造への補助金についても「5㌧以上も含めた抜本的な対策が必要だ」と迫りました。

    篠原孝農水副大臣は「漁船の再建は漁業・漁村復旧の一番重要な要素。今までにない方策を検討している」と答えました。社会保険料を1年間免除へ山下芳生議員は4月12日の参院総務委員会で、中小企業の窮状を示し、「社会保険料の事業主負担を減免すべきだ」と迫りました。片山総務相は、「共感する。該当省庁に伝える」と答弁。政府は被災企業の社会保険料を1年間免除する方向です。
    (おわり)

    参考:関連ムービー

    追加:

    2011/04/15

    原発政策転換せよ 共産党が原発の街・近隣の街、各地で奮闘

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    振りまかれてきた「安全神話」は、東電福島原発事故によって打ち砕かれました。全国にある原発立地の街で、日本共産党は国民の心配の声にこたえ、活動をくりひろげています。いっせい地方選の17日告示、24日投票で選挙がおこなわれる街から・・・・・。

    柏崎市(新潟)

    「神話」決別求め続け

    「電力会社の立派な先生方が『安全だ、安全だ』と言ってつくった原発が、どうしてこんなことになるのか」。柏崎刈羽原発(東京電力)のある新潟県柏崎市に住む70代の女性が、街頭演説をしていた日本共産党柏崎市議団長の、もちだ繁義候補(56)に語りかけました。

    会社員の男性は、「地震が起きても原発は自動停止するから大丈夫だと思っていた。でも違った」と話します。不安で眠れないと訴える住民もいます。

    1985年に営業運転を開始した東京電力柏崎刈羽原発には、7基が設置されています。中越沖地震(2007年)では、火災発生、3000カ所以上の損傷・不具合を起こした経緯があります。

    「『安全神話』とキッパリ決別しなければ命は守れない」━原発の安全対策を要求し続けてきた日本共産党市議団。これまで柏崎市は、6年前から小中学校にヨウ素剤の常備を始め、災害時に情報を迅速に伝える防災無線の受信機を全戸に設置しました。もちだ市議団長は、「実現するまで、何度でも要求します」と話しています。

    市議選にあたっては、

    ▽原発の総点検、新増設の中止
    ▽海岸線から遠ざかる放射線状の避難道路の整備
    ▽内部被ばくを防止するヨウ素剤の全家庭配布━など抜本的で詳細な対策を訴えています。

    国と東電にしっかりモノがいえる議員がいてこそ市民の命を守れると、日本共産党は、もちだ繁義、片山やすお(62)、宮崎たかし(67)=いずれも現=の3候補の勝利を訴えています。

    敦賀市(福井)

    不備指摘し対策主張

    福井県嶺南地域には、日本原子力研究開発機構、日本原子力発電、関西電力の15基の原発があります。同地域の東部に位置する敦賀市内には現在、特に危険な高速増殖炉「もんじゅ」と、敦賀1、2号機、廃炉措置に入った新型転換炉「ふげん」が立地し、3、4号機が増段中です。

    敦賀市議選(定数26)には日本共産党の、うえはら修一(61)、山本きよこ(46)両候補=ともに現職=が再選を目指します。

    49年前、国や電力事業者の「一滴の放射能も漏らしません」とのふれこみで、敦賀1号機誘致から始まった原一発立地。30年前には敦賀1号機の相次ぐ放射能漏れ事故、16年前には「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故が起こりました。

    日本共産党は広範な団体や個人との共同を広げながら、原発の安全対策の不備を指摘し対策の徹底、推進政策の転換を求めてきました。

    市民は今、福島第1原発事故で「安全神話」の崩壊を目の当たりにしました。「安全だと言われ続け、裏切られた」と訴える人や、万一のため玄関先に非常袋を置いて避難に備え、不安にかられる人。

    市議会ではこの4年間、「もんじゅ」の運転再開、敦賀3、4号機増設計画、老朽化原発の運転延長などの中止、原子力防災対策の拡充、ヨウ素剤の全市民への配布などを求めてきたのは、うえはら、山本両市議だけ。

    うえはら市議は「原発行政にモノが言える議員が必要です。なんとしても2議席を勝ち取りたい」、山本市議は「共産党が取り組んできたことに間違いがなかったことが今回の事故ではっきりしました。市民の命と安全を守るため、ますます頑張らなくてはならない」と、再選に向け決意を新たにしています。

    今回の選挙は、定数26に対し、1、2人はみ出しの少数激戦となる様相です。

    函館市北海道

    中止主張に市民期待

    北海道函館市では、海峡を隔てた原発建設に、住民の不安が広がっています。約20㌔の対岸に、全ての炉心で危険なMOX燃料を使用する大間原発(青森県大間町)が建設中で、2014年から運転を計画しています。

    函館市議選(定数30、8減)では、日本共産党の市戸ゆたか(51)=現=、紺谷よしたか(66)=現=、本間かつみ(42)=新=の3氏が立候補します。

    3候補は「原発計画を直ちに中止し、防災と福祉優先の市政をつくるため、確かな力となる日本共産党の議席を」と訴えています。客待ちのタクシー運転手は「震災後、観光
    客は激減です。原発事故の影響で海外の客は全く見ません。原発建設は、やめてほしい」と顔を曇らせます。

    市民の重大な関心事となっている「大間原発中止」を日本共産党は市議会で繰り返し追及してきました。紺谷候補は「事業主体の電源開発と市の共催で住民説明会を開かせることができましたが、『原発は絶対に安全』という内容でした。道は『他県の問題』とまともに取り上げません」と話します。

    函館市民有志は昨年、国と電源開発に対して計画を中止するよう裁判を起こしました。原告の1人である市戸候補は「炉心が入る前の今が、建設を中止させるチャンスです」と力を込めます。

    本間候補が商店街で原発中止を訴えると、青果店の主人は「野菜の産地を聞かれるようになりました。危険な原発建設はやめさせて」と訴えました。

    函館市の党と後援会は「道議の議席を回復できなかった前半戦の悔しさをばねに、市議選で3議席を獲得し、原発を中止させたい」と奮闘しています。

    (しんぶん赤旗2011.4.15 3面)

    2011/04/09

    国難のもとでの選挙情勢の激変忙ふさわしい大奮闘を残る3日間、悔いないたたかいをよびかけます

    国難のもとでの選挙情勢の激変忙ふさわしい大奮闘を 残る3日間、悔いないたたかいをよびかけます。

    2011年4月6日

    幹部会委員長 志位和夫
    書記局長    市田忠義


    いっせい地方選挙前半戦は、投票日まであと3日となりました。日本共産党は、大震災という国難のもとで、被災者支援・復興に全力をそそぐとともに、それと一体に選挙勝利をめざすたたかいをすすめてきました。

    全国で取り組んでいる救援募金を被災自治体に届けるとともに、被災地の実情、深刻な原発事故を踏まえて、「提言」を発表し、菅首相との党首会談で提起してきました。日本共産党の真剣で堂々とした姿勢は、有権者の共感をよび、信頼を広げています。

    この危機のもとで、語るべきものをもたない他党の姿との対比が浮き彫りになっています。情勢の激変のもとで、有権者に訴えをとどけきれば、政治的力関係を変え、勝利を
    つかむ可能性は、全国どこでも存在しています。

    同時に、私たちの宣伝・組織活動の現瞬間の到達点は、急速に広がりつつあるとはいえ、多くの選挙区で、なお情勢の激変にふさわしいものとなっておらず、得票と議席の目標達成を保障するテンポになっていないことを直視しなければなりません。

    新しい条件が生まれ、有権者の共感が広がっても、一人ひとりの有権者に声をかけきらなければ、得票と議席にはむすびつきません。勝敗は文字通り、残された期間の猛奮闘にかかっています。

    この重大な情勢下での選挙で勝たずしてどうするのか。何としてもわが党のもつあらゆる底力をくみつくし、発揮すべき歴史的瞬間です。金有権者を対象にした大量宣伝と、対話・支持拡大の目標をかけ値なしにやり抜きましょう。

    「しんぶん赤旗」読者、後援会員、支持者に働きかけて、選挙の担い手を最後まで広げましょう。一人ひとりの結びつきを生かし切って、この歴史的政治戦を悔いなくたたかいましょう。「全国決起集会」報告を、すべての支部で討議し、すべての党員のものにするために最後まで力をつくしましよう。

    被災地の同志たちは、自ら被災しながら、救援・復興のための献身的な奮闘をつづけています。すべての党員が心一つに、国民の苦難軽減を立党の精神とする党、原発の危険性に警鐘を鳴らしエネルギー政策の転換をもとめてきた科学の党、住民の福祉・防災・いのちに責任をおう党の真価に誇りをもって、選挙勝利のために悔いないたたかいをしようではありませんか。(しんぶん赤旗2011.4.7)

     昨日、「寅さん」の近所で自民党の候補の演説を、窓を開けて聞いた。「地方の時代」を叫んでいた。

     橋本大阪府知事と基本的にはかわらない。

     それにしても、この国難に「どう立ち向かってゆくのか」このことが語られない。

     自民党はこの時期語ることはないのか。「寅さん」は聞きたい。とりえず「寅さん」の地方の農業に大きく影響する「TPPをどうするのか」、「近所を流れる川に津波が遡上しないのか?」せめて、それぐらいのことは話を聞かせてほしい。

     「共産党」を名指しはしなかったが、司会者が「いいことばかりをゆう党」とだけしか言えなかった。そりゃそうだ。「言うばかりではない。国難の時募金活動に取り組んでるのは、目に見える限り、政党では共産党しかない」のだ。残念だが。

     「寅さん」はまだ電話での支持の訴えは530軒ほどだ。やっと「年賀状」を出した家にはダイアルをかけ終わったところだ。(大部分は「よし子さん」に頼む)

     なかには、「頑張ってくれてありがとう」と逆に言われることもある。とは「よし子さん」の話だ。

     昨日、漁師さんから、「シッパー」に入れた魚の箱、2ケース届いた。以前住んでいた町の漁師さんからだった。

     一昨日「寅さん」が、たまたま部屋で椅子で横になっていたとき(「寅さん」は障害者だ。3回ほど電話をかけると最低30分は横にならないと「息をする」のがたいへんなのだ)、その漁師さんに「寅さん」に変わって「よし子さん」が電話をした。電話から、「漁師さんらしく」大きな声が聞こえてくる。

     ”「寅さん」どうしてる。”

     「ちょっと横で休んでいます。貴方に電話をせよということなので、電話をさせてもらいました。大震災で日本が大変です。ハザード・マップを書き換えねば、私のところも安心できません。●●候補をよろしくお願いします」

     「ほんとに、現地の漁師はこれからどうするのだろう。俺も心配してるんだ。漁協に募金箱が置いてるので、入っていく度募金をしてる。【寅さん】にはよろしく言っといてくれ」

     「分かりました」という会話があった。電話を置く前に「よし!」という言葉が聞こえたという。何の意味だろうと「よし子さん」が言った。「さぁ」と「寅さん」。

     結局、電話のあと「漁に出た」ということで、昨日大漁の収穫を全部「寅さん」に届けてくれた。「よし子さん」は食べきれないので、近所におすそ分けした。

     新鮮な魚で力が湧いてきた。「あとひとふん張り」しなければならない。

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    東関東大震災関連はこちら

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    共産党の動画コーナー

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    2011/04/07

    福島原発 無視された警告 対策なし 初動遅れ 吉井英勝衆院議員に聞く

     今「時の人」である「吉井英勝衆院議員に聞く」というタイトルの記事を読んでいる。これって来週の日曜版(21011.4.10付け)だから、若干気がはやいが、興味があるのでとしておこう。

    Yosi_kiku

     なぜ「時の人」かというと、女性週刊紙も取り上げたが今、福島第1原発で起こってる事故を、「ほとんど完璧」に政府と東電に警告していたのだ。

     これは、「寅さん」もすでに書いた。(→記事

     本人から直接聞くというのだから見逃せない。

    吉井英勝衆院議員に聞く
    原発依存からの転換こそ必要


    「(原発)プラントの危険性を提起した国会議員」(米経済紙ウォールストリート・ジャーナル)、「国会議員ではただ一人の原子力専門家」(『AERA』)━

    福島第1原発の危機が長期化するなか、電源喪失による炉心溶融など原発の危険性を追及してきた日本共産党の吉井英勝衆院議員の国会質問が改めて注目されています。

    吉井さんに聞きました。

    今回の事故への世界の関心は鋭く、私も米仏など原発大国のメディアから取材を受けました。私は小学生の頃、「原子力平和利用展」を見て原子力に関心を持ち、大学では原子核工学を学びました。国会議員になってからは原発の危険性を多面的に追及してきました。しかし私が具体的、科学的に質問しても、歴代政権はまともな対策をとってきませんでした。

    先日インタビューに来た仏国営テレビの記者は「なぜ国会で追及しても政府と東京電力は対応しなかったのか」「なぜ情報を隠すのか」と語り、深く懸念していました。

    今回の事故は、

    「苛酷事故」(大量の放射性物質を放出するような重大事故)を想定すれば予期できる問題があったのに対策をとらなかった

    事故発生の初期の段階で直ちにやるべきことをしなかった━という二重の意味で人災です。

    福島の事故は、地震と大津波で冷却機器と電源設備が破壊され、原子炉の安全確保にとって最も重要な原子炉の冷却ができなくなったために引き起こされました。地滑りで電線の鉄塔が倒れる事故も起こっており、外部電源の喪失は当然、想定しておくべきでした。

    電源喪失で炉心溶融が起きる問題は昨年5月26日に経済産業委員会で質問しました。原子力安全・保安院長は「論理的には考え得る」と認めました。認めるのなら評価を
    見直し、対策を立て直すべきなのに、しなかった。その結果、想定通りの事故が発生しました。

    福島原発で電源喪失が生じたことは早い段階で分かり、一刻も早く燃料棒を冷やすために注水する必要があったのに、廃炉を恐れて海水注入にちゅうちょし、東電の対応は遅れました。

    政府も国民の安全第一で直ちに注水を命令すべきでした。現時点では、圧力容器の底が抜けるような危険な事態は何としても避けなければなりません。数カ月、数年間続いても燃料棒を冷却することと、大気中と海洋や土壌への放射性物質放出の阻止に全力を尽くすべきです。

    基本データを公開せよ

    危機回避に専門家の英知を結集するために、地震動や破損状況、情報収集衛星の写真など、事故の基本データを公開させる必要があります。「安全保障」を理由に衛星画像公開を拒否するのは、とんでもないことです。

    今や原発依存のエネルギー政策はうまくいかないことがはっきりしてきました。小型風力発電や、木くずを燃料とするペレットストーブも含め、再生可能エネルギーを飛躍的に普及させる方向に転換すべきです。それは地域経済の再生、発展にもつながります。このように全体的に考えてこそ危機打開の展望も見えてくるでしょう。

    米紙ウォールストリート・ジャーナル3月28日付から

    日本の国会議員が昨年、自然災害により原発のバックアップシステムが崩壊し、炉心溶融をもたらす可能性を指摘したが、国の原子力規制機関のトップは、そのようなシナリオは「実際上は不可能だ」と答弁していた。共産党の吉井英勝議員は2010年5月の議会委員会で、地滑りや地震によって原発の非常用電源や外部電源が断たれることがあると述べた。そのような事態になれば炉心を冷却する能力が奪われると、吉井氏は言った。そのような事態が2週間前に福島第1原発で起こったのだ。

    記事中にある「ペレットストーブ」(→東北森林管理局・参考)

     吉井衆院議員の話は、「寅さん」は聞いたことがある。「寅さん」は随分会場の後部座席だったが、声がよく響く落ち着いた声という印象を持っている。以来、吉井さんの国会中継は逃さない。

     ところで、あまりの「的中?」に驚いてるのはアメリカのマスコミだけでない。「しんぶん赤旗・日曜版」読者も驚いてる。「寅さん」のブログを見て、「お前いつ知ったのか」などと聞かれる。

     マスコミはスポンサーである電力会社に「気兼ね」して吉井議員の提起・質問を無視あるいは素通りしている。

     吉井議員の頁には、当時の資料集が再掲されている。

     この「事実」と、今起こってる「現実」を知ると、「原発は安全」は神話だったことが明白だ。

    巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」(2006.12.13)pdfファイル

    原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」(2005.10.31)pdfファイル

    「寅さん」もTOPページに次のリンクを貼ってある。

    【緊急メッセージ】
    吉井英勝共産党衆議員の国会討論議事録
    地震・大津波と炉心溶融にいたる原発事故は何度も警告してきた。

     誰が今の状況を招いたのか?

     「原発は安全」という神話にとりつかれた連中だ。

     多くの被害が出ている。野菜農家が自殺したという報道がある。pdfで載せたいが本名入りなので遠慮する。多くの人が死亡・行方不明だ。避難者も大勢いてる。今後の生活はどうなる。

     大震災に放射能の恐怖がある。

     「自己責任の時代だ。地震も自己責任」などという暴論がある。

     共産党の提案を、すなわち「原発は安全」ではない、という警告を「絵空事」とあしらわず、もっと真剣に耳をかすべきでなかったか。

     いつも、陰でうごめく連中がいるのだ。

     時期をみて「寅さん」はさらに書く。

    [2011/04/06]衆院産業委員会

    参考リンク:

    「寅さん」の地震関連記事

    原発問題 各党の政策・対応は/民主 新増設計画「見直し」の言及も/自民 米・財界と一体で推進 [2011.4.3]

    Kakuto

     ここで一冊の本を紹介する。吉井英勝議員の著書「原発抜き・地域再生の温暖化対策へ」という一冊だ。

    Yusii  著者の経歴を見ると次のようなものだ。

     京都大学工学部原子核工学科卒。 堺市議(28歳~)3期、大阪府議1期、参院議員1期を経て、 90年大阪旧4区から 衆議院初当選。 96年九州・沖縄比例ブロック、2000年近畿比例ブロックから当選し、現在、衆院議員7期目。経済産業委員、消費者問題特別委員会委員、科学技術・イノベーション推進特別委員会委員(参院大蔵、衆院財務金融、地行、商工、内閣、科学技術、政治倫理公選特別委員等歴任)。 党中央委員、党内閣部会長、党経済産業部会長、党原発・エネルギー問題委員長、党原油高騰問題対策委員会委員長 (yahooみんなの政治

     で、この本表題どおりの本なので、吉井さんが「原発の専門家」だから「原発関連の本」を読みたいと思って購入すると、これが、第1章の「再生エネルギー」が面白い、というか啓発される。すなわち、表題どおりの本なのだ。

     「原発をなくす」とすると、次に「どのような代替エネルギー」があるか?

     これを考える一冊。さすが原子科学専門の学者なのだ。それを納得さすこと間違いなし。

     「寅さん」お薦めの一冊に間違いない。

     例えば、こんな記述に驚く。「風力発電のプロペラは何度で凍るか」と北海道の稚内空港に降りる。

    市内にある北海道電力の5メガワット(5000㌔㍗)太陽光発電所では、系統安定化等実証研究(風のある時、太陽光では昼と夜で発電量が変わるのを、蓄電技術などを使って平準化して北海道電力の送電線に入れられるようにする実験)を行っている施設も見てきました。

    また、南北方向の回転軸に太陽光パネルを設置して、朝日が昇り夕日が沈むまでパネルの角度を変えたり、積雪の多い日は角度をきつくしたりして雪落としをはかるよう工夫している取り組みなどを見ました。

    太陽光パネルが働くと微弱でも電流が流れることにより少し温度が上がり雪を融解します。実際に氷点下の中で、パネルに積もった雪が融け落ちているのを見ました。氷点下一七度ぐらいの時が、一番発電電圧が高くなることも知りました。

    緯度は高くても太陽から地球までの距離がうんと遠いわけですから、太陽を望む角度に大きな違いはありませんし、稚内市と東京都や大阪府との間で日射量にも大きな違いはありません。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    (2011.4.26)

    2011/04/06

    どうする震災復興財源/日本共産党はこう考えます

    Oofunato
    (津波の被害を受けた住宅街:2011.3.14 岩手県大船渡市)

    どうする震災復興財源/日本共産党はこう考えます

    東日本大震災は未曽有の被害をもたらしました。地震と津波、東京電力福島原子力発電所の事故で破壊された市町村では、住宅も商店街も、役場も学校も、病院も道路も橋も一からつくり直さなければなりません。そのための復興財源をどう確保するのか、政治のあり方が問われます。(山田英明)


    予算の抜本組み替え

     日本共産党は、復興財源を確保するために、2011年度予算を抜本的に組み替える大規模補正を行うよう提案しています。

     11年度予算は、大企業と大資産家に2兆円もの減税をばらまく一方、5兆円規模の軍事費は温存。今後5年間で1兆円もの「思いやり予算」(11年度は1858億円)を盛り込んでいます。

     11年度予算に盛り込まれた法人実効税率の5%引き下げや証券優遇税制の延長による約2兆円におよぶ大企業・大資産家減税は中止すべきです。

     歳出では、不要不急の大型公共事業の中止、米軍の「思いやり予算」やグアムの米軍基地建設費の中止、高速道路無料化の中止、原発の建設・推進経費を中止すべきです。

    年間5兆円程度財源確保できる

     政党が国民の税金を山分けする政党助成金(320億円)を廃止すべきです。

     こうした予算の抜本組み替えで、年間5兆円程度の財源を確保することができます

    「復興国債」 大企業に引き受け要請

    内部留保を活用

     巨額の復興財源を確保するために、国債を発行する必要が出てきた場合、日本共産党は、銀行や証券会社が参加する入札によって価格を決める従来の国債発行方式とは違った枠組みで、「震災復興国債」を発行することを提案しています。

     具体的には、たとえば現行の個人向け国債のように、企業や個人に直接引き受けてもらう方式です。

     すでに日本の国債発行は巨額にのぼり、国と地方の長期債務残高は892兆円(11年度末)に達しています。

     震災対策を理由に国債発行をさらに増やすことは、財政危機をいっそう深刻化させるとともに、国債が大量に市場に出回ることで、投機的な取引の対象になる懸念も膨らみます。

     別枠での「震災復興国債」の発行によって、こうした懸念を避けることができます。

     さらに、「震災復興国債」を、大企業に直接引き受けてもらうことで、約244兆円にのぼる大企業の内部留保を、復興と被災地域の経済対策に活用することができます。

     大企業には、社会的な責任として引き受けを要請します。

     「震災復興国債」とはいえ、国債は政府の借金です。期限がくれば償還が必要です。復興対策終了後には、震災復興国債を償還します。

     これまでの国と地方の借金の膨張は、大型公共事業のバラマキと軍事費の増大、行き過ぎた大企業・大資産家減税によってつくり出されてきました。

     財政危機を抜本的に解決し、復興財源を安定的に確保するためにも、歳入・歳出の抜本的見直しが必要です。

     予算のあらゆるムダをただすとともに、大企業・大資産家減税と軍事費という二つの聖域にメスを入れます。

    被災者への増税では復興に逆行

     民主党の特別立法チームがまとめた「東日本大震災復旧復興対策基本法」(素案)は、財源として特別法人税や特別消費税の創設、「震災国債」の日本銀行による引き受けの検討を盛り込みました。

     被災者にも重くのしかかる消費税の増税はもってのほかです。復興にも逆行します。

     企業や個人にもうけに応じた負担を求める「応能負担の原則」にたった税制で、税収を確保すべきです。

     国債が市場に大量に出回ることの懸念から、日銀に直接引き受けさせる議論が起きています。これには政府内からも「ありえないことだし、絶対そういうことはさせない」(与謝野馨経済財政担当相、1日の記者会見)と批判の声が出ています。

     日銀引き受けは通貨の信認を失わせ、悪性インフレを招きます。従来の国債とは別枠での「震災復興国債」の発行こそ求められています。

    Fukoyosan_20110406_2

    「→pdfファイル

    しんぶん赤旗2011.4.6

    東日本大震災 被災者の生活・暮らし支援制度の活用をNO2

    Risai_syomei

    被災者の生活暮らし 支援制度の活用を(→pdfファイル

    日本共産党の東日本大農災現地対策本部は6日、被災者支援制度をまとめて紹介した「手引」「被災者の生活、暮らしの支援制度の紹介・No2」を作成しました。(No1は3月23日に掲載)

    未曽有の大災害をもたらした「東日本大震災」。福島原発事故による放射能汚染の広がりなど予断は許しません。そうしたなか、苦境から立ち上がり、再建・復興をめざす努力が各地ではじまっています。

    それだけに、被災者の支援と復興のために国の総力あげてのとりくみがますます重要になっています。日本共産党はこの間、被災者の救援、生活支援に全力をあげ、福島原発事故では、志位委員長が国に責任ある対応を求めてきました。いま、被災地のみなさんの切実な訴え、復興への思いが国を動かし、被災者支援のために現行制度の特例措置や減免の具体化などがうちだされてきています。その主な内容を紹介します。先に発行したr支援制度紹介・No1」とあわせてご活用ください。

    被災者への生活支援

    【緊急小口資金】

    10万円以内(特例20万円以内)

    ●被災者で、当座の生活費を必要とする方は、緊急小口資金(生活福祉資金)を借りることができます。(低所得者世帯に限りません)

    ●貸し付け上限は10万円以内(特に必要と認められる場合には20万円以内)。

    ☆特に必要と認められる場合とは・

    ①世帯員のなかに死亡者がいる・

    ②世帯員に要介護者がいる・

    ③世帯員が4人以上いる、

    ④重傷者・妊産婦などがいる世帯で、県社会福祉協議会会長が必要と認める、ときです。

    ●貸し付けの条件は、無利子、保証人なし、据置期間1年以内、返済期間は据置期間経過後2年以内です。

    ●申し込みは、各市町村の社会福祉協議会に申し込み、県社会福祉協議会が審査し、決定します。

    【医療費の窓口無料制度】誤りあり、2011.4.7訂正)

    福島原発事故で避難、屋内退避の人も対象に

    ●被災者は医療機関に対象者であると申し立てれば、窓口負担なしに医療を受けられます。

    ●対象は、住家が全半壊かそれに準ずる状態にある人で、主たる生計者が

    ①死亡したり、重篤な疾病

    ②行方不明

    ③廃休業し

    ④失業して収入がない━の、いずれかにある人

    ●福島第1、第2原発事故で自主避難も含めて避難、屋内退避している人も対象です。

    ★保険証なしでも、氏名・生年月日・住所を医療機関に伝えることで受診は可能です。

    【生活保護の申請】

    収入がなくなり、資産もない

    ●収入や資産がなく、生活の維持が困難な方は、生活保護が受けられます。資産があってもただちに処分が難しい場合はうけられるケースがあります。

    ●生活保護は、被災者が居住地を離れ、避難所や他市町村に避難した場合、避難先の市町村で申請できます。申し込みは各市町村です。

    (※「寅さん」→自治体別「生活保護基準計ソフト」:「もやい」から無料ダウンロードできる。)

    【生活必需品の給与または貸与】

    災害救助法では、被災を受けた人に被服、寝具など生活必需品が給与(または貸与)されます。対象は全半壊(焼)、流失、床上浸水などで、生活に必要な生活必需品を失い、損壊し、直ちに日常生活が困難な人。学用品も同様に小中学生・高校生に支給されます。仮設住宅などに入居が決まり新生活に必要な生活必需品を整えていくためには、この制度の活用が大事です。各市町村が窓口ですので、日常的に必要な生活用品の支給を大いに申し出ましょう。

    労働者の雇用、生活支援

    【雇用保険の失業給付の特例】

    離職していなくても受け取れます

    ●事業所が被災し、休業を余儀なくされ、賃金を受け取れない方は、実際に離職していなくても失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取れます。

    ●一時的に離職した方も、事業再開後の再雇用が予定されている場合でも、失業給付を受け取れます。受給にあたっては、働いていた事業所の「休業証明書」「離職証明書」が必要です。事業主から受けとれる状態にない場合には、ハローワークに相談してください。

    【雇用調整助成金】

    中小企業では国が休業手当の8割を助成します

    ●被災した事業主が休業手当等を支払い、雇用を維持しようとする場合、その額の一定割合が国から助成されます。対象は、今回の震災などで最近1ヵ月の生産量・売上高等がその直前の1ヵ月または前年同期と比べ5%以上減少する見込みの事業所です。

    助成額

    大企業

    休業手当の3分の2)(上限1日7505円)

    教育訓練を行う場合上 教育訓練を行う場合上 記の金額に1日4000円加算(企業内訓練は2000円)

    中小企業(緊急雇用安定助成金)

    休業手当の5分の4 (上限1日7505円)

    教育訓練を行なう場合 上記の金額に1日6000円加算(企業内訓練は3000円).

    ●この助成金を受けるためには、労働局またはハローワークに「休業等実施計画(変更)」を提出することが必要です。

    【未払い賃金の立て替え払い制度】

    未払い賃金の一部を国が立て替えます

    ●企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者は、未払い賃金の一部を国に立て替え払いを求めることができます。

    ●対象となるのは、被災地域で、事業活動が停止し再開する見込みがなく・賃金を支払う力がない中小企業で働いてきた労働者です。

    ●申請先は、労働基準監督署です。厚生労働省は、事業所が被災して申請書類が入手できない場合は、自治体が発行するり災証明書などを最大限活用して、迅速な処理を進めるよう通達をだしています。

    【労災保険の適用】

    勤務中に震災被害にあわれた方は適用されます

    ●大震災で事業所や作業場が倒壊、焼失したり、大津波で流失したりして勤務中に被害にあった人については、労災保険の適用になります。

    ●適用になれば、遺族年金や一時金、葬祭料のほか、けがの療養費や休業補償が支払われます。行方不明者は、不明になったときから1年後に死亡とみなされた場合に請求できますが、今回は特例として1年以内でも認定することを検討しています。

    ●厚労省は、事業主や医療機関の証明がなくても労災保険の申請を受理する、としています。近くの労働基準監督署に問い合わせてください。

    税金、社会保険料当の減免

    【所得税等の申告納付期限の延長】

    ●今回の震災で被災をうけた地域では所得税・消費税・相続税などの申告や納付の期限を延長(納税者が手続きできる状態となったと国税庁が判断した日から2ヵ月以内)し、相当な損失を受けている場合、納税の猶予(原則1年以内)が認められます。(※青森、岩手、宮城、福島、茨城の各県は自動延長されます)

    【所得税等の減免等】 (一部訂正)

    家屋、家具などに損害を受けた時は、所得税法の雑損控除か災害減免法のいずれかの有利な方法で所得税が減免されます。
    雑損控除は3年間(最高で4年)繰り越せます

    ●雑損控除=損失額(損害金額十災害関連支出の金額一保険金などで補てんされる額)から所得金額の1割を差し引いた額の1割を控除。
    (※損害額が多額で、控除する年の所得金額から控除しきれない場合には、その翌年以降、3年間、損失を繰り越せます。損害が生じた年を含めて最長4年)

    ●災害減免法は、被災を受けた住宅や家財が時価の2分の1以上、災害年の所得金額が1000万円以下の場合、所得金額に応じて所得税が減免されます。

    雑損控除は2010年分から適用

    ●所得税の軽減は、被災を受けた2011年分の所得税が対象になりますが、今回は、2010年分の所得税からの控除が認められることになります。したがって、確定申告を終えた人でも、震災をうけて再度申告しなおすことが大事です。(※3月28日衆院災害対策特別委員会で、高橋ちづ子衆院議員がとりあげ、2010年分からの雑損控除を政府に認めさせました。具体的には特別立法に盛り込まれることになります。また、高橋議員は雑損控除の計算にあたって、被災者の負担を軽減する方法=簡便法=を適用するよう要求しています)

    ●住民税や固定資産税など地方税でも、所得税と同様の雑損控除があるほか、災害減免条例など自治体独自の軽減措置が実施される場合もあります。

    ●損害を受けた会社員や公的年金受給者は、所得金額の見積もり額に応じて所得税の源泉徴収(天引き)の猶予や還付を受けられます。

    【社会保険料等の減免】

    ●損害をうけた会社員や公的年金受給者は、社会保険料や労働保険料の納付期限の延長や猶予が設けられます。

    ●住宅・家屋など財産のおおむね2分の1以上の損害を受けた場合は、国民年金保険料が全額免除されます。

    ★「支援制度紹介・N01」(生活支援、住まいの確保・再建、中小企業支援、農・漁業支援など)もあわせてご活用ください。(「寅さん」→「支援制度紹介」NO1

    詳しくは、しんぶん赤旗2011.4.6 16面全頁)

    関連記事:「→記事全文(制度No2)」、「→(制度No3)」

    2011/04/05

    震災と個人補償

     阪神淡路大震災の時、悲嘆に暮れる市民に政府は冷たく言い放った。

     「日本は資本主義国だから個人補償はできない」と。(ちなみに「資本主義」という言葉はマルクスの言葉だ!、これほど、今の社会を言い表している言葉がないので、マルクス嫌いも、何の違和感もなく使ってる。)

     「寅さん」は「個人補償ができる程に生産力が発展したのが資本主義だ」と反論する。(→「寅さん」のブログ)(ついでに「高齢者にタダで家をたててくれる資本主義国」→「寅さん」のブログ

    大震災からの復興に不可欠
    個人補償今こそ抜本拡充を


    「阪神」後に被災者と共産党が動かす

    戦後、最悪の災害となった東日本大震災。壊滅的な打撃を受けた地域コミュニティーと生活再建のために、被災者への個人補償の抜本的拡充が改めて課題となっています。

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    1995年の阪神・淡路大震災以来、被災者などが粘り強い運動でつくりあげてきた個人補償制度。国を動かしてきた歩み、日本共産党が果たしてきた役割を振り返ります。(斎藤瑞季、西沢亨子)

    1995年1月17日におきた阪神・淡路大震災は死者6434人、家屋全半壊(焼)約46万世帯という、その時点で戦後最悪の災害でした。

    個人補償制度は、被災者らの運動が超党派の国会議員を動かして実現したものです。日本共産党は、個人補償の必要性をいち早く提起し、被災者らの運動と連帯して積極的な役割を果たしました。

    「自己責任」の姿勢突き崩す

    地震から8日目の1月25日、日本共産党は「国の責任で土地、家屋、家財に対する補償制度の創設を真剣に検討すべきだ」(立木洋・党副議長=当時=の参院本会議代表質問)と提起。26日には、穀田恵二議員が衆院予算委員会で「自力で生活を再建する基礎が失われている」と、国の責任での個人補償を迫りました。

    しかし、当時の自民・社会・さきがけの村山富市政権は、乱脈経営で破綻した金融機関に200億円もの公的資金をつぎ込みながら、「日本は私有財産制。個人の財産は個人の責任のもとに維持するのが建前」と被災者への個人補償を拒絶。低利融資しか実施しようとしませんでした。「個人資産の損害まで国や自治体が補てんするのは、筋が違う」(「日経」2月17日付社説)と説くメディアもありました。

    こうした政府の姿勢を突き崩したのは、被災者をはじめとした幅広い人たちと日本共産党の共同の運動でした。

    95年3月には、被災地の労働組合など45団体、医師、弁護士、研究者などが救援・復興兵庫県民会議を結成。署名や政府への要請、大集会に繰り返しとりくみました。

    96年1月には、医師会会長、大学学長など兵庫県内の著名48氏が公的支援拡充を求めるアピールを発表しました。また、作家の小田実氏(故人)らは、「被災地からの緊急・要求声明」(3月)で個人補償を訴え、5月には「市民=議員立法実現推進本部」を立ち上げて生活再建援助法案を公表、超党派議員に呼びかけをはじめました。

    日本共産党の志位和夫書記局長(当時)は小田氏らと懇談し、「力を合わせてがんばりたい」と協力を誓いました。党として生活再建支援法案の大綱を発表しつつ、超党派の国会議員に共同を呼びかけ。「被災者支援法実現・議員の会」で法案を練りあげ、97年5月には、6会派共同で法案を参院に提出しました。

    共産党善戦動きを加速

    こうしたなかで、96年の参院補選や97年の神戸市長選で、日本共産党候補や市民団体とともに日本共産党が推した候補者が大善戦したことも、政府に衝撃を与え動きを加速させました。98年の参院選では、日本共産党の大沢たつみ候補が自民現職を破って当選するにいたりました。

    世論に押された自民党は98年、阪神・淡路大震災の被災者には適用されず、所得や年齢の制限が多いなどまったく不十分ながら「被災者生活支援法」を提案せざるを得なくなりました。

    その後も、被災者と日本共産党などは拡充を求めて運動と論戦を続け、2度の法改正を実現。2004年には最高額を100万円から300万円に引き上げさせ、07年には、支援金を住宅本体に使うことをかたくなに拒んできた自公政権の姿勢を変えさせ、使い道や所得、年齢制限を撤廃させました。

    大胆な支援政治の焦点に

    「私たちは、阪神・淡路大震災の経験をへて、『生活再建と地域社会の再生こそが復興の土台』という見地が大切だと考えています。とくに個人補償の抜本的拡充が必要です」

    日本共産党の志位和夫委員長は、3月31日の菅直人首相との会談でこう述べて、現行で全壊でも300万円にとどまっている支給額の大幅引き上げを提起しました。これに対して、菅首相も「私どもも引き上げが必要だと思う」と表明しました。被災地の復興をどう進めるかを考える上で、個人補償の拡充は政治の焦点になっています。

    今回の大震災では、3日現在で家屋の全壊・流失4万5776戸、半壊8796戸に及んでいます。しかも、地域ごと津波で押し流されたところもあり、地域コミュニティーの再建も課題です。

    被災地はこの間の地域経済の衰退、高齢化や過疎化などの影響を受けてきた市町村で、もともと財政基盤が弱かった地域です。復興のためには「生活再建」「地域社会の再建」を土台にした国家的プロジェクトが必要です。そのためにも、現行法の枠を超えた個人補償の抜本的拡充で住宅再建の見通しをつけることが求められています。

    被災者生活支援制度自体の改善も必要です。同法はこれまで国民的な運動によってつくられ改善されてきました。しかし現行制度では、仕事を支える店舗や施設は支援の対象にならないなど、多くの課題を抱えています。

    いまこそ個人補償を抜本的に拡充し、被災地復興のために全力を尽くすことが求められます。

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    生活再建が復興の土台
    大きかった共産党の働き

    阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議岩田伸彦事務局長

    私たちは阪神・淡路大震災以来、大規模災害からの生活再建には個人補償が不可欠だと国に求め続けてきました。

    生活再建の要は住宅の再建です。住むところがなければ何ごとも成り立ちません。ローンを残して家を失えば、何もないところにローンだけを延々と支払わなければならず、住宅を再建すれば二重ローンを抱える。そのつらさは実に悲惨です。

    大きな道路や港湾を整備しても住民がいなくなったら何にもならない、住民が元の場所で生活できるようにする、それが復興の基本でなくてはならない。そのためには、個人への公的支援がどうしても必要です。私たちは、こうした立場から個人補償(公的支援)の実現、拡充を求めて16年余りたたかってきました。

    阪神・淡路大震災のときは、個人補償の制度が何もありませんでした。地域のコミュニティーはバラバラにされ、住んでいたところがら遠く離れた仮設住宅で多くの孤独死をうみました。当時の自民・社会・さきがけ政権は、「資本主義の社会では個人の私有財産に公費を投入できない」といって、個人補償を冷たく拒否しました。

    私たちはゼロから出発し、政府の論理を打ち破って、運動の力で世論を広げて制度をつくらせ、2度改正させて最高300万円の個人補償にまで前進させました。

    今回の東日本大震災後、菅直人首相あてに緊急の要請書を送り、被災者生活支援法の柔軟な適用と拡充を求めました。現行法は全壊や大規模半壊の住宅が対象で、店舗や生業用施設、半壊、一部損壊の住宅などを適用外にしています。それらにも適用し、上限金額を300万円からもっと引き上げることが必要です。

    16年間の運動の到達を土台に、制度をより拡充させるよう、今回の被災者とともに情報を発信して共同運動を広げたいと思います。

    阪神・淡路大震災の直後、共産党がいち早く個人補償を提起し、一緒に運動してくれました。共産党の国会議員と県議、市議などの地方議員の働きは決定的でした。それなくして被災者支援はほとんど前進しなかっただろうといってもいい大きな力をもらいました。それだけに今度の地方選挙で何としても日本共産党に前進してもらいたいと思います。(聞き手・杉本恒如)

     この神戸の大震災時に、「個人補償は資本主義だから無理」といいながら、市民に隠れてウラで「神戸空港建設」にうごめいていた輩があった。

     「寅さん」はこれを許さない。

     それに、罹災した住民が途方に暮れていたとき、「住民不在」の都市計画をしていたことだ。何億という空港をつくる反面、淡路島の「測候所」を廃止した。「小泉改革」である。今や関西のお互い「目と鼻の先に」三つの空港がある。

     今年の予算を見ても「思いやり予算」はそのまま、「政党助成金」は3割カットするが7割は残す。大企業減税・・と続く。

     大震災を「消費税」で切り抜けるつもりか?と疑いたくなる。

     収入の4割程度は所得税・住民税・国保税・消費税・介護保険・後期高齢者制度・・・・・それに医療費などに消える。

     国民の税金で「被災者に個人補償」が出来ないはずがない。カネの使い方が逆さまなのだ。

     「大企業・軍事費・アメリカ」を向くか、国民を向くかだ。

    (今全国で募金活動が進められている。NHKなどを観ていると何百億とある。はやく被災者に届けよ!、と「寅さん」は、「はがゆい」のだ)

    関連:

    大震災からの復興に不可欠/個人補償 今こそ抜本拡充を/「阪神」後に被災者と共産党が動かす [2011.4.5]

    債務返済 凍結願う/大門議員、業者らに実情聞く/復興・支援へ“対応柔軟に”/岩手・大船渡 宮城・気仙沼 [2011.4.5]

    「思いやり予算」協定の承認/検討もなく“忠米”続行/被災者に背向ける民自公[2011.4.1]

    被災業者の債務免除を/参院財金委 大門氏、国に対応迫る [2011.3.31]

    主張/2011年度予算成立/大規模補正で復興に総力を [2011.3.30]

    2011/04/02

    志位・菅会談での「原発見直し」発言/内外に広がる衝撃と波紋

    Gensiro_keikaku
    (→「日本の原発稼動54基・計画14基pdfファイル

    志位・菅会談での「原発見直し」発言/内外に広がる衝撃と波紋

    Genpatu_masukomi

    日本共産党の志位和夫委員長が3月31日の党首会談で、菅直人首相に、政府が掲げている14基以上もの原発の新増設計画を中止するよう求めたのに対し、菅首相が「白紙というか、見直しも含めて検討したい」とのべたことが内外で大きな反響を呼んでいます。


    エネルギー政策「変わる兆し」

    地方紙軒並み1面トップ

    「首相 原発新設を白紙化」、「原発増設は白紙に エネ計画見直しへ」―北海道新聞、山梨日日新聞、京都新聞、中国新聞、四国新聞、高知新聞など1日付の地方紙各紙は軒並み1面トップで、志位氏と菅首相の会談で原発新増設見直し発言がでたことを報じました。全国紙も「首相、原発計画『見直し』」(毎日)「原発増設見直し検討 首相表明」(朝日)と1面で報道しました。

     会談で、志位氏は東日本大震災の被災者支援・復興とともに、安全最優先の原子力行政への転換と、エネルギー政策では原発依存から自然エネルギーへの戦略的転換を提起。とくに、政府が昨年6月に策定した「エネルギー基本計画」で2030年までに14基以上の原発を新増設するとしたことについて「到底、国民の理解は得られるものではない。きっぱり中止すべきだ」と求めました。

     これに対し、菅首相は「いまある原発の総点検ももちろん必要だが、今後の原子力の利用について根本的に安全性の議論が必要だ」と表明。原発新増設計画については「白紙というか、見直しも含めて検討したい」と答えたのです。

     菅首相のこの言明は、「原発の新増設を前提にしたエネルギー政策を政府が抜本的に転換する可能性が高まった」(「毎日」)、「国内最悪の原発事故を受けてようやく『非現実的』と言われ続けてきた原発頼みの日本のエネルギー政策が変わる兆しが出たことを意味する」(共同)など、日本のエネルギー政策の転換につながるものと受け止められています。

     実際、海江田万里経済産業相も、1日の閣議後会見で「エネルギー基本計画」について「見直しは当然」と表明しました。

    「日本の大幅修正余波大きい」

    海外でも報道

     ニュースは海外にも波紋を広げています。ニューヨーク・タイムズ(米)、ヘラルド・サン(豪州)、タイムズ・オブ・インディア(インド)の各大手紙やロイター(英)、AP(米)、AFP(仏)、PTI(インド)、新華社(中国)などの通信社、フランスの週刊誌『ル・ポワン』なども会談を報じました。

     この動きが世界から注目されるのは、福島原発事故が「原発大国」の米国やフランスに衝撃を与え、「世界3位の日本の事故が原発不信の波を広げ、自国の原子力政策に影響しかねないと懸念」(「朝日」)が広がっているからです。ニューヨーク・タイムズは共同電を引いて、「菅が日本は2030年までに14基を建設するとの計画を見直すべきだという点に同意したとの、日本共産党幹部・志位和夫の発言」を紹介。韓国紙ハンギョレは「菅直人日本総理が、原子力発電所の増設計画を全面白紙化する可能性を表明した。2030年代には北東アジアが最高の原発密集地帯となることが予想されるなか、日本が原発増設計画を大幅修正すれば、その余波は大きいだろう」としています。

    「基本計画」は「無謀で危険」

    志位氏、昨年3月に表明

    志位氏が党首会談で見直しを迫った「エネルギー基本計画」は、エネルギー政策基本法にもとづき、自公政権時代の2003年に策定され、07年と民主党政権になってからの2010年6月に改定されたもの。

     10年の改定では、原発を「供給安定性、環境適合性、経済効率性の3Eを同時に満たす中長期的な基幹エネルギー」と位置づけ、2030年までに「少なくとも14基以上」の新増設をおこなうことや、08年度で約60%の設備利用率を約90%に引き上げることなどを明記しています。また、使用済み核燃料を再処理して回収されるプルトニウムなどを利用する「核燃料サイクル」の推進もうたっています。

     志位氏は、この計画の概要が報道された段階で記者会見(昨年3月21日、福井市)し、自公政権時代の目標を上回る計画について、「原発は技術的に未確立で安全性が確保されておらず、放射能汚染という深刻な環境破壊をもたらす」「わが国が有数の地震国であることにてらしても、原発大増設の計画は無謀で危険極まりないもの」ときびしく批判しました。

     また、稼働率の引き上げについても「老朽化した原発を酷使し、事故につながる危険なもの」と反対を表明しました。

     このように、日本共産党は策定当初から一貫して「基本計画」を批判し、エネルギー政策の転換を提起してきました。原発の「安全神話」や、それにもとづく大量立地を批判してきた党ならではの追及でした。こうした追及と住民とむすんだたたかいが、今回の事故を契機に、日本のエネルギー政策の抜本的転換の「兆し」をつくりだしているのです。

    しんぶん赤旗2011.4.2付け

    原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党(上)(下)

     昨日ときょうの「しんぶん赤旗」に「原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党」と題して上・下2回に渡って掲載された。

     「寅さん」の手抜きだが、大事な資料の一つであることは間違いないだろう。

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    ):2011.4.1付け「しんぶん赤旗」)

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    2011年4月1日(金)「しんぶん赤旗」

    原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党(上)

     深刻な被害を広げつつある福島第1原発事故は、安全に根本的な欠陥をかかえる原子力発電所の大量増設をすすめてきた日本の原子力政策を厳しく問うものとなっています。日本共産党は、原発大量増設が開始された当初から、原子力行政の根本的な転換を歴代政権に要求し、住民とともに増設計画に反対してきました。この問題での日本共産党の立場と主張は、重大化しつつある今回の原発事故に対し国を挙げ安全対策をとるうえでも、また今後も原発事故を繰り返させないためにも、重要な問題提起となっています。

    “安全神話”を厳しく追及

    不破氏 原子力は本来、危険はらむ未完成の技術

    1976・80年

    Fuwa_1980

     日本の原子力行政の最大の問題は、“核燃料が大量に拡散するような重大事故が起こることは考えられない”という「安全神話」を基礎としていることにあります。こんな「安全神話」に固執して狭い国土のほぼ全域にわたって原発の大量増設を推進してきた国は、日本以外には世界のどこにもありません。

     1976年1月、日本共産党の不破哲三書記局長(当時)は、「原子力は本来、危険性をはらみ、未完成の技術だ」と指摘。そのため「原子力開発に取り組むには、今日の技術が許す限りの安全体制をとらねば非常に危険なことになる」という根本問題を指摘していました。

     当時、政府は4900万キロワット、約50基分の原発大量増設計画を開始。日本共産党は安全最優先の立場から、無謀な原発大量増設計画に反対してきました。

     79年には、深刻な炉心溶融を起こした米国・スリーマイル島原発事故が発生。不破氏は80年2月の国会で、米国が大統領令で設置した「大統領特別調査委員会」(通称「ケメニー委員会」)の「勧告」をとりあげました。

     不破氏は、アメリカが重大事故から学んだ一番の教訓は「原発は十分安全だという考えがいつのまにか根をおろしてしまった。これが失敗を招いたのだ」ということだったと指摘。同勧告が「原子力は本来、危険をはらんでいるということを口に出していう態度に変わらなければならない」と訴えていることを示したうえで、不破氏は「原子力は大丈夫」だという「安全神話」の立場を「信念」として推進しようとしている日本の原発行政の根本的な危険を明らかにしました。

     一方、原発を推進する立場の関係者(いずれも当時)は、スリーマイル島原発のような事故は「日本ではほとんど起こりえない」(吹田徳雄原子力安全委員長)、原発の緊急炉心冷却装置は「オーバーデザイン(過剰な設計)」(有沢広巳原子力産業会議議長)などと、相変わらず「安全神話」の立場からの発言を繰り返してきたのです。

     日本共産党の志位和夫委員長は、3月23日の全国決起集会で「こんどこそ『安全神話』を一掃し、原子力の持つ本来的な危険性について国民に正直に語り、政府が国民の安全確保のために万全の体制をとる、正直で科学的な原子力行政へと転換することを、わが党は強く求める」と述べました。

    震源域への大増設 中止せよ

    不破氏「民族的な安全が危機に瀕する」と指摘

    76・81年

     日本共産党は、日本列島全域に大量の原発を建設する計画の中止を求め、住民とともにたたかってきました。

     不破氏は76年の国会質問で、原発大増設計画が推進されるなら、「日本国民の民族的な安全が危機に瀕(ひん)する」と厳しく警告しました。81年2月の質問では、現在深刻な危機を引き起こしている福島原発をはじめ、女川(宮城県)、柏崎刈羽(新潟県)、浜岡(静岡県)、伊方(愛媛県)、福井、島根などの原発が、いずれも大地震の想定震源域や活断層の真上にあることを示しました。「こんな危険な地盤の上に原発をつくろうとする国は、世界のどこにも例がない」と批判した不破氏は、計画の撤回と既存原発の全面的な安全総点検を求めました。

     この日本共産党の主張に対し、政府と電力会社は、原発の耐震性の若干の改善や核燃料輸送容器の耐久性強化など部分的な改良を進めましたが、震源域での原発増設にあくまで固執してきました。

     しかし、2007年の中越沖地震で火災などの重大事故を起こした柏崎刈羽原発(現在も三つの原子炉で運転停止中)に続き、今回の大地震では福島第1原発で重大事故を起こし、女川原発でも復旧のめどが立たない被害を受けています。まさに、日本国民を“民族的な危機”に直面させる事態を招いています。

    大津波・電源喪失 ともに警告

    吉井議員 冷却不能指摘し対応迫る

    <p>2006・10年

    Yosii

     日本共産党は「安全神話」に反対し、既存の原発の危険性をただすために全力で取り組んできました。

     今回の福島第1原発の重大事故は、地震と大津波によって、冷却機器とその電源設備が破壊されたことによって引き起こされました。この二つの危険を、ともに国会で追及してきたのが、日本共産党の吉井英勝衆院議員でした。

     5年前の2006年3月1日の質問(衆院予算委員会第7分科会)。吉井氏は、大津波を引き起こしたチリ地震(1960年5月)、スマトラ沖地震(2004年12月)、明治・三陸地震(1896年6月)にふれながら、波の高さが10メートルを超え、明治・三陸地震では38メートルの記録があることを指摘。巨大津波を想定した対策を提起しました。

     巨大な“押し波”による原発機能の破壊とともに、吉井氏がこの質問で強調したのは“引き波”の影響。長時間の大規模な海面低下で冷却水の取水ができなくなり、炉心の冷却機能が喪失して、最悪の場合には炉心溶融を引き起こし、燃料棒の崩壊熱を除去できなくなる危険を明らかにしました。「どんな場合にも、チェルノブイリ(原発事故)に近いことを想定して、対策をきちんととらなければいけない」と吉井氏は要求したのです。

     これに対し広瀬研吉原子力安全・保安院長(当時)は「必要な海水を取水できるような設計をされている」「原子炉を冷却できる対策が講じられている」と、対応を拒否しました。

     吉井氏が、電源喪失の危険を追及したのは昨年5月26日の衆院経済産業委員会の質問。外部電源、非常用の発電機(内部電源)の破壊が「巨大な地震が起こると、同時に発生することが起こりえる」と提起。「自家発電や外部電源の喪失で二次冷却系が機能しなくなって炉心溶融に至ったときにはどれだけの規模の被害が発生するか、こういうことを検討しておくことが必要だと思う」と早急な備えを求めていました。

     いずれの質問も、今回の福島第1原発の危険性を予見し、対策を求める質問でした。

     東日本大震災後、日本共産党の大門実紀史参院議員の質問に対し、菅直人首相は、津波の影響について「認識が結果として間違っていたことは否定しようがない。予測が低すぎて、原発建設以前のチリ地震の基準を満たしていないとすれば相当問題だ」(3月29日)と答弁。“安全神話”に深くはまり込んだ政府と電力会社の対応が今回の“人災”を引き起こしたことを認めました。

    )「しんぶん赤旗2011.4.2

    Fuwa_1999_2

    独立した規制機関が必要
    安全体制の根本的欠陥示す


    日本の原子力開発が安全確保の上で世界から大きく立ち遅れているのには、原子力安全委員会が独立した権限と体制をもつ安全監視・規制機関とはなっていないことが根本にあります。日本共産党は原子力の安全確保の要の問題として、1976年の不破氏の国会質問で次のように提起しました。

    「これまでの原子力行政の根本転換を図る必要がある。そのためには、アメリカやイギリス、西ドイツ、フランスのように、原子炉の設計、着工、運転から、核燃料の運搬、将来の廃棄物の処理まですべてにわたって責任を一元的に負えるような、開発側とは結びつかない原子力の安全体制を緊急に確立する必要がある」(衆院予算委)

    独立した権限をもつ原子力の安全監視体制が日本に設けられてこなかったのは、国内の電力会社とアメリカの原子力産業が求める原発大増設計画のためだけではありませんでした。原子力の安全監視のための本格的な規制機関が生まれて動き出したら、日本に寄港する米の原子力空母や原子力潜水艦に対しても、国民の安全最優先の監視の条件が強まります。

    実際、1974年1月に不破氏が国会で分析化学研究所の放射線測定データのねつ造事件を取り上げてから、米原潜の入港は183日間にわたりストップ。同研究所が全面的に改組されるなど、原発や港湾の放射能汚染監視体制が一定の改革を受けることになりました。

    住民・研究者の要求と日本共産党の追及を受けた政府は、78年にようやく原子力安全委員会を設置しました。ところが、専門部会のメンバーは全員が非常勤という貧弱さ。当時でも1900人もの専門家や専任職員を擁した米国の原子力規制委員会の体制とは雲泥の差でした。

    99年11月、不破氏は党首討論で「原子力安全条約では、原子力の推進機関と規制機関を厳格に区別するよう定めている。日本の推進機関、規制機関は、それぞれ何か」と
    質問。当時の小渕恵三首相は、規制機関も推進機関も「通産省(現経済産業省)と科学技術庁(現文部科学省の一部)」だと答弁し、日本の安全監視体制が国際条約違反であることを認める結果となりました。

    この追及を受けた政府は2001年に、原子力安全委員会を内閣府の下に置く機構改革を実行。しかし、安全委員(5人)以外の各部門の専門委員はすべて非常勤です。安全体制の一部を担う原子力安全・保安院も、原発の推進機関である経産省資源エネルギー庁の下に置かれています。

    今回の福島第1原発の重大事故でも、保安院は、もっぱら東電側の説明をノーチェックで発表しているだけ。安全委員会も自らを「黒子」と称するほどで、国際条約が定める本来の役割を果たしていません。

    新増設計画 自紙で検討
    志位委員長に首相答える

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    志位和夫委員長は東日本大震災後、被災者、被災地への訪問をはさみ、3度にわたり政府への緊急申し入れを行い、このなかで福島第1原発事故を受けて、現地住民・自治体の声に応えた緊急要求の実現とともに、原子力行政の抜本転換を求めました。

    31日の菅直人首相との会談では、「東日本大震災にあたっての提言」を手渡し、「原子力行政、エネルギi政策の抜本的な転換を」求めました。「エネルギー基本計画」で14基以上の原発の新増設をめざすことは「きっぱり中止すべきだ」と迫った志位委員長に対し、菅首相は「白紙というか、見直しを含めて検討したい」と表明。従来の政府方針を根本的に検討する姿勢を示しました。

    「提言」は、今回の福島第1原発の事故について「『日本では重大事故は起きない』という『安全神話』をふりまき、安全対策をなおざりにして原発をやみくもに推進してきたこれまでの原子力行政による人災にほかならない」と指摘。

    ①「安全神話」と決別し、原子力の危険性を直視した原子力行政を

    ②原発総点検、原発新増設とプルトニウム利用の核燃料政策の中止

    ③原子力の規制部門と推進部門の分離、強力な権限をもった規制機関の確立━を提起しました。

    菅首相は、原子力の推進部門と規制部門が一体となっている現状に対し「重大な反省が必要だ」と述べ、分離の重要性について「(志位委員長の)指摘を受け止めて(体制の)あり方の検討が必要だ」と答えました。

    2011/04/01

    「被災者支援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を」共産党志位委員長が菅総理に手渡す

     共産党の志位委員長が菅総理に直接下記の提案を手渡した。現地に足を運んだ共産党の提言だ。じっくり読みたい文書だ。

    (→概略

    被災者支援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を全文HTML

    1、被災者救援、原発事故の危機収束━二つの緊急の大問題のとりくむ。pdf

    2、戦後未曾有の災害からの復興に、国の総力をあげてとりくむpdf

    3、原子力行政、エネルギー政策の抜本的な転換をpdf


     以下は会談の詳細(しんぶん赤旗2011.4.1号 5頁)

    志位委員長と菅首相との党首会談 (詳報)


     日本共産党の志位和夫委員長が31日、震災・原発事故問題で菅直人首相と行った会談の詳報は以下の通りです。


     志位 大震災への対応で、この間、節々で総理への要請をおこなってきましたが、今日は、まとまった形での「提言」の第1次分ということで、お持ちしました。時間も限られていますので、いくつかの中心点にしぼってお話しいたします。

    被災者救援、原発事故の危機収束について

     志位 第1点は、被災者の救援、原発事故の危機収束という二つの緊急の大問題にとりくむことです。これは政府とも協力しながら、何としても打開したいと思っています。それにかかわる要請項目を「提言」では提起しています。

     原発事故については、私も、(福島県)南相馬市などに伺うと、現地の方々の一番の声として、「先の展望が見えない」ということがあるわけです。ですから、政府が、原発事故の収束にむけて、どういう戦略でのぞみ、どういう見通しを持っているかを、現段階で言える範囲で大まかでも国民に説明することは非常に大事ではないかと思います。ぜひそこを総理の肉声で話してほしい。

     首相 被災者救援と原発(事故)収束(の提起)はまったくそのとおりであり、全力をあげて取り組んでいるので、いろいろとご指摘をいただきたいと思うところです。

     原発事故については、たしかに(要請の)趣旨はわかりますが、現時点では残念ながら、いつごろまでに、こういうふうになるという見通しについて言える状況にないということです。なんとか(原子炉の)温度が上がらないように、あるいは放射性物質がこれ以上外にでないように、ギリギリ抑える努力を精いっぱいしている段階です。本格的な冷却機能を回復するという見通しが必ずしも立っていない状況です。アメリカ、フランス、IAEAなど、国際的な協力もあり、さらに廃炉にせざるをえない状況ですから、将来にわたっての対応というのも、できるだけ国際的にもオープンな透明性の高い形で対応していきたいと思います。

    被災地の復興――個人補償と財源問題について

     志位 第2点は、復興の問題です。私たちは、阪神・淡路大震災の経験をへて、「生活再建と地域社会の再建こそが復興の土台」という見地が大切だと考えています。とくに個人補償の抜本的拡充が必要です。現行の被災者生活支援法は、協力してつくったものですが、全壊でも300万円の支援にとどまっている。この大幅な引き上げが必要ではないか。ぜひ検討していただきたい。

     それから復興の財源問題ですが、(来年度予算の)大規模補正が必要になってきますが、法人税減税と証券優遇税制の延長で2兆円になります。これには経済界からも「これはもういい」という声も起こっているわけで、中止という方向で検討してもらいたい。

     それから、総理と(国会で)議論してきた大企業の内部留保の問題です。従来の国債とは別枠で、「震災復興国債」を発行して、これを大企業に引き受けることを要請することを提案したい。(内部留保を)こういう形で活用したらどうかという提案です。

     首相 個人補償については、前の阪神・淡路大震災では協力しあってきたのですが、基本的には私どもももっと引き上げが必要だと思っています。同時に、今回の場合、住まいは高台を切り開いて土をいれて使うとか、そういう新しい道筋という観点も必要かと思う。

     それから補正の財源ですが、法人税(減税)については見直しも含めて検討したい。証券税制(延長)も、検討の土俵にのせていきたいと思っています。法人税(減税)は、経団連のほうもやめてもらっていいといわれています。「震災復興国債」を大企業に(引き受けさせる)という提案については、研究させてもらいます。企業に義務づけるのができるのか、義務づけない場合に償還条件とかどうなるのか。初めての提案ですので、検討させていただきたい。

    原子力行政の転換――原発新増設、安全規制の体制について

     志位 第3点は、原子力行政、エネルギー政策の転換という問題です。「安全神話」と決別するということを提起していますが、とくに2点ほど申しあげたい。

     一つは、昨年6月に政府が決めた「エネルギー基本計画」で、14基以上の原発を2030年までに新増設するという計画があるんですけれども、これは到底、国民の理解が得られないと思う。(提言では)中止を求めていますが、ぜひ検討を求めたい。

     もう一つは、原子力の規制部門と推進部門の双方が、(推進部門である)経済産業省のなかにあるという問題です。原子力安全・保安院も、経済産業省のもとにある。そのことが今回の事故でも、いろいろな弊害をもたらしている。これはぜひ、(推進部門から)独立した規制部門を国際条約どおりにつくって、アメリカの原子力規制委員会(NRC)のような強力な権限とスタッフをもった規制部門を設立するということを検討していただきたい。

     首相 原子力発電所の今後ですが、すでにはじまっていますが、落ち着いた段階で、いまある原発の総点検ももちろんです。同時に、今後の原子力の利用については、志位委員長がおっしゃったように、根本的に安全性について議論することが、国内的にも国際的にも必要ではないか。今回のことは、津波の高さが超えてきたときに、電源がおちて、回復しないという、理由からです。同時に、(原発が)1カ所にたくさんあるとか、使用済みの核燃料も10万本くらい敷地のなかにあって、最終処分地にもっていく状況がないという構造的な原子力制度の問題が、背景にあります。そういう構造的な問題も含めて、本格的な検討、検証をする必要がある。日本の原子力政策全般を考えないといけないと思っています。

     そういうなかですから、いままでの計画(「エネルギー基本計画」)も含めて、再検討、再検証のなかで、ある意味、白紙というか、あらためてしっかり議論しなければならないだろうと思います。ご指摘の問題は、見直しを含め検討したい。

     志位 (原子力の)規制部門と推進部門の分離の問題はどうですか。

     首相 原子力安全委員会は、一応独立性のある機関となっているが、きちんとした独立した機能を果たしているのか。さらにいうと、よくいわれるように、「原子力村」というか、ある種、専門家のギルド的な雰囲気があって、はっきりとした第三者的な意見がはたしてとおっていたのかどうか。そういう意味では、制度問題としての独立性も、当然ながら、規制のチェックの社会的な在り方の議論が必要です。一応たてまえとしては、原子力安全委員会がその役を担っているはずなんですが。

     志位 原子力安全委員会は、一応たてまえは独立した機関となっているのですが、権限がない。総理に対する勧告権はあっても、助言したり勧告したりはできても、実際的な権限がないんですね。結局、原子力安全・保安院が、規制機関ということになっているのですが、その保安院が経産省のもとにある。ここが大きな問題です。独立した機関が必要です。

     首相 それも含めて、今回は、かなり重大な反省が必要です。いまのご指摘も十分に含めてのあり方の検討が必要だと思っています。

    「党を超えて、受け止められるものは、しっかり受け止める」

     志位 今後、復興の問題もふくめて、これから第2次、第3次の形で、私たちは提言をさせていただきたいと思っています。

     首相 こういう問題は、党を超えて、受け止められるものは、しっかり受け止めていきたい。

     志位 今後も、こういう機会をつくっていただけたらと思います。

     首相 時間をつくります。いろいろな話を聞かせてもらいたいと思います。

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