名古屋グランパスのDF田中隼磨(30)が2日、個人が球際で負けない激しさを持つよう提言した。この中断期間に取り組む新戦術の浸透に選手たちの意識が向く中で、「球際での激しさが一番大事。攻撃も守備も決まり事はあるけど、最後は個の力」と強調。リーグ再開となる6日の清水戦に向け、百戦錬磨の男はチームにさらなる激しさを求めた。
今季の行方を左右しかねない重要な一戦まであと3日。5連敗という負の連鎖を断ち切るために尽力する隼磨が、熱く提言した。「球際での激しさが一番大事。攻撃も守備も、そこが最後はものをいう。前半戦を振り返って、一人一人が直さなきゃいけないところ」。その言葉通り、この日の紅白戦でも激しいプレーを見せ続けた。
チームはこの1カ月間、新戦術の習得に時間を割いてきた。ただ、いくら戦術を突き詰めても、サッカーは個々の球際での優劣が勝敗を分ける。コンフェデ杯で日本代表がぶつかった課題は、人任せの中途半端なプレーが目立っていた前半戦のグランパスにとっても、決して人ごとではない。
特に、新戦術では両サイドバックが攻守両面で重要な役割を担っている。1対1の局面になりやすいサイドでの攻防で後手を踏めば、一気に形勢が悪化する。清水の左サイドはFW高木、MF石毛ら活きの良い若手が積極的に仕掛けてくるが、隼磨は「オレは自分のサイドでやられるイメージは全然ない」と豪語。そのうえで、「クリアするところ、パスをつなぐところ、カウンターを止めるところ、頭を使ってしっかりとやる」と気を引き締めた。
もちろん、チーム全体が同じ意識を持つことが重要。「激しさはこれまでもずっとやってきたオレの持ち味だけど、少しでも周りに影響を与えられたら。そこをもう1ランク上げて、気持ちを出していきたい」。勝負に対する責任感を人一倍持つ男が、チームの闘争心を呼び覚ます。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する