東電再稼働申請へ:新潟知事が不快感「信頼関係を破壊」
毎日新聞 2013年07月02日 23時11分(最終更新 07月03日 01時34分)
「地元自治体との信頼関係を破壊する行為」。東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働に向けた安全審査を申請する方針を示したことに対し、新潟県の泉田裕彦知事は2日、厳しい口調で東電の対応を批判した。再稼働に必要な地元合意の見通しは全く見えず、東電の申請自体もいつになるのか分からない。地元の不信は長引くばかりだ。
「福島原発事故の検証なしに再稼働の議論はしない」と、これまでも繰り返してきた泉田知事。この日は東電の記者会見を受け、急きょ休暇を返上して新潟市内で記者団の取材に応じ、「東電が企業としての責任を果たしていない中、申請をしていくのは国民の理解を得られるとは到底思えない。地元に対する説明も一切ない」と不快感をあらわにした。
一方、地元・柏崎市の会田洋市長は「(原子力規制委員会への申請方針は)突然のことで正直、びっくりしている」としながらも「(是非は)東京電力の話を聞いて判断したい」。刈羽村の品田宏夫村長は「申請は東京電力の経営上の判断であり、村はコメントする立場にない。村長として安全に関わることは説明をよく聞いて積極的に発言したい」と述べるにとどめた。
再稼働を巡って住民投票の実施を求めてきた市民団体「みんなで決める会」共同代表の橋本桂子さん(40)は「東電は経営上の課題から前のめりになっている。泉田(新潟県)知事には県民の安全を第一に判断してほしい」と話した。
原発推進の立場を取る柏崎青年会議所環境エネルギー委員会委員長の竹内一公(かずまさ)さんは「(東電が)安全を第三者に確認してもらう目的の申請で、再稼働は別問題だというなら当然のことだ。いち早く安全な再稼働を期待する」と早期再開を求めた。【塚本恒、高木昭午】