柏崎刈羽原発:東電が再稼働申請へ 地元反発も見切り発車
毎日新聞 2013年07月02日 22時43分(最終更新 07月03日 00時43分)
東京電力は2日、停止中の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた安全審査を、原子力規制委員会に申請すると発表した。同原発が立地する新潟県と柏崎市、刈羽村に安全対策を説明したうえで、原発の新規制基準が施行される8日以降、できるだけ早く申請する考えだ。広瀬直己社長は5日に同県を訪問する方向で調整している。再稼働に慎重な新潟県の泉田裕彦知事らから理解を得られるか視界不良の中、見切り発車に踏み切った。
広瀬社長は2日、東京の本店で開いた記者会見で「地元を軽視することはない」「ご理解を頂きたい」と繰り返した。泉田知事は2日夕、県庁舎内で「事故の責任も取らない企業が申請をするのは、地元自治体との信頼関係を破壊する行為」と厳しく批判。広瀬社長との面会は「断る理由はない」と応じる構えだが「どういう話になるか分からない」と述べた。
申請対象の6、7号機は、事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)。排気時に放射性物質を除くフィルター付きベントの設置が新基準で求められているが、新潟県が設置手順を問題視しており、いつ設置できるか見通せない。敷地直下には断層も存在し、活断層なら再稼働は不可能だ。
原発の再稼働を巡っては、北海道、関西、四国、九州の4電力が合計6原発、計12基の安全審査を申請する方針を示している。規制委は安全審査には半年程度かかるとしているが人手が不足。審査の順番も決まっておらず、東電が審査対象の第1陣にすべりこめるかは分からない。原子力規制庁の森本英香次長は2日の記者会見で「(審査の扱いについては)申請の出方をみて判断したい」と述べるにとどまった。【大久保渉、浜中慎哉、塚本恒】