7月2日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:円が下落、対ドル一時100円73銭-米金融緩和縮小を予想
ニューヨーク外国為替市場では円がドルにして下落。ほぼ1カ月ぶりに1ドル=100円台まで円安が進んだ。米金融当局が緩和を縮小させる一方、日本銀行は積極的緩和を継続するとの観測を背景にドルの需要が高まった。
ドルは主要16通貨の大半に対して値上がり。製造業受注額が市場予想を上回る伸びとなったことで、金融当局が債券購入の縮小を開始できるだけのペースで経済が回復しているとの見方が強まった。ユーロ圏では5月の生産者物価指数が前年比横ばい予想に反し低下し、ユーロがドルに対し1カ月ぶり安値を付けた。オーストラリア・ドルは値下がり。豪準備銀行(中央銀行)が一段の下落の可能性に言及したことが手掛かり。
コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの主任市場アナリスト、オマー・エシナー氏(ワシントン在住)は電話取材に対して、「前向きな米経済指標が続けば、最終的に量的緩和縮小をもたらし、ドル高・円安へと自然につながっていく」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで1ドル=100円63銭。一時1.1%安の100円73銭と、5月31日以来の円安・ドル高水準となった。
ユーロは対ドルで0.7%安の1ユーロ=1.2979ドル。一時1.2964ドルと、同月3日以来の安値に下げた。対円では0.3%上げて1ユーロ=130円61銭。一時131円12銭と、6月11日以来の高値となった。
ユーロ圏生産者物価指数欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が2日発表した5月のユーロ圏生産者物価指数(PPI)は前年同月比0.1%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト16人の調査中央値では横ばいが見込まれていた。4月は0.2%低下だった。
ブルームバーグがエコノミスト62人を対象に実施した調査では、欧州中央銀行(ECB)は4日の定例政策委員会で政策金利を過去最低の0.5%に維持するとみられる。
主要6通貨に対するドルの動きを示すインターコンチネンタル取引所のドル指数は83.613と、5月30日以来の高水準を付けた。
米商務省が発表した5月の製造業受注額は前月比2.1%増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は2%増加だった。前月は1.3%増(速報値は1%増)に修正された。
米雇用統計ブルームバーグの調査によれば、今週発表される6月の米雇用統計では失業率は7.5%への低下(前月7.6%)、雇用者数は16万5000人の増加が見込まれている。
ウニクレディトのシニア為替ストラテジスト、ロベルト・ミアリッチ氏は「指標の改善が続けば、ドルは今後も支えられる可能性が高い」と述べた。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、米経済成長が2014年に加速する公算は大きく、債券購入プログラム縮小の正当性を示すことになる可能性があるとの見解を示した。
日本銀行は毎月7兆円強の長期国債買い入れを実施している。
豪ドルは1%安の1豪ドル=0.9147米ドル。前日は0.9110米ドルと、10年9月以来の安値を付けていた。
原題:Yen Drops to Weakest in Month Amid Central-Bank Bets; EuroFalls(抜粋)
◎米国株:下落、一時の上げ失う-雇用統計や企業決算控えて慎重
2日の米国株 は下落。一時の上げを消した。投資家は今週発表される6月の米雇用統計や企業の決算発表シーズンを控えて慎重になっている。
ダビータ・ヘルスケア・パートナーズは下落。政府が透析施設を運営する業者への支払い削減を提案したことが嫌気された。ワイン会社コンステレーション・ブランズは下落。第1四半期利益がアナリスト予想を下回ったことが嫌気された。一方、自動車のフォード・モーターは販売結果が好感され、上昇した。
S&P500種 株価指数は前日比0.88ポイント(0.1%未満)下落して1614.08。ダウ工業株30種平均は42.55ドル(0.3%)下げて14932.41ドル。
ファースト・ソース・インベストメント・アドバイザーズのジェイソン・クーパー氏は、「市場参加者は支えとなる材料を模索している」と述べ、「少なくとも景気がまずまずで、労働者も仕事を得ていることを投資家が確信するには、もう少し経済統計を見極める必要がある」と述べた。
朝方に発表された製造業受注統計が予想を上回ったほか、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が当局は必要に応じて債券購入を継続する可能性があるとの見解をあらためて示したことが手がかりとなり、米国株は一時上昇する場面もあった。
雇用統計予想給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートは3日、先月の民間雇用者数を発表する。市場予想では増加が見込まれている。米労働省が5日発表する6月の米雇用統計では16万5000人の雇用増が見込まれている。失業率は7.5%への低下が予想されている。
8日の通常取引終了後に発表されるアルミ生産のアルコア決算を皮切りに、各社は第2四半期の決算を発表する。ブルームバーグがまとめたデータによれば、S&P500種採用銘柄の第2四半期の利益は平均で2.4%増と予想されている。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は5月22日、米議会証言で「引き続き景気改善が見られ、その改善が持続的だと確信した場合、今後数回の会合で債券購入のペース減速を決定することもあり得る」と述べた。S&P500種はこの証言前日の21日からこれまでに3.3%下落した。ただ今年上期は13%上昇し、1998年上期に記録した17%以来の好調な伸びとなった。
S&P500種の下げに備えたオプションのコストを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は0.4%上昇の16.44。VIXは約80%の確率でS&P500種と反対方向に動く。
4指数が下落S&P500種産業別10指数のうち4指数が下落。工業株指数や素材株が特に下げた。一方、エネルギー株や通信サービス株は上昇した。ダビータ・ヘルスケアは5.9%下げた
コンステレーションは3.6%安。第1四半期の調整済み1株当たり利益は38セント、アナリストの予想平均は同40セントだった。
フォードは2.8%上昇。6月の米自動車販売は前年同月比13%増とアナリスト予想平均の12%増を上回った。
原題:U.S. Stocks Fall as Investors Await Jobs Data, EarningsReports(抜粋)
◎米国債:小動き、10年債取引レンジは2カ月で最小-雇用統計待ち
米国債相場は小動き。取引レンジはここ2カ月で最小となった。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、米経済成長が2014年に加速する公算は大きく、債券購入プログラム縮小の正当性を示すことになる可能性があるとの見解を示した。
10年債利回りは1週間ぶりの低水準近辺で推移した。同総裁はコネティカット州スタンフォードで講演し、景気が予想より弱ければ、金融緩和を恐らく続けるとの考えもあらためて示した。JPモルガン・チェースの調査では米国債相場が下落するとの見方が後退した。労働省が5日に発表する雇用統計は16万5000人増が予想されている。
CRTキャピタル・グループの国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「全ての関心は5日の雇用統計に集まっている。米金融当局者は引き続き労働市場の重要性を指摘している。量的緩和の縮小は利上げではない。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げは2015年か16年になる」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.47%。一時は2.45%まで低下した。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は2/32上昇の93 23/32。利回りのレンジは4.46bpと、5月9日以降で最小となった。
米証券業金融市場協会(SIFMA)の勧告により、3日は午後2時までの短縮取引となる。4日は米独立記念日のため休場。
ダドリー総裁は「財政面の影響が後退し始める中で、民間セクターは回復が続くはずだ」と指摘した。講演内容は6月27日のニューヨークでのものと同様だった。
PIMCOパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏が運用する世界最大のミューチュアルファンド、「PIMCOトータル・リターン・ファンド」では6月に顧客資産が純ベースで99億ドル(約9970億円)流出した。米金融当局が債券購入を縮小させるとの見方から、投資家の間で債券を回避する動きが広がった。
調査会社モーニングスターは2日電子メールで、PIMCOが見積もりを報告してきたと明らかにした。モーニングスターによれば、今回の資金引き揚げを受け、同ファンドの運用資産は6月末時点で2680億ドルとなった。
キャンター・フィッツジェラルドの金利責任者、ブライアン・エドモンズ氏は「金融当局は緩和縮小に関心があるかもしれないが、実際に始めるまでには時間が掛かるだろう」と指摘。「利回りは米国債を保有するのにもっと満足できる水準になってきた。雇用は改善しつつあり、かなり強い数字が出れば、利回りには上昇圧力かかるだろう」と語った。
売り越し減少JPモルガンによると、1日終了週に米国債の売り越し(ネットショート)は6ポイントと、前週の18ポイントから低下した。買い持ちの比率は6%から13%に上昇。一方、売り持ちの比率は19%と、前週の24%から低下した。中立は68%(前週70%)。
ニューヨーク連銀は2036年2月-42年11月に償還を迎える米国債を14億6000万ドル相当購入した。これは月850億ドル相当の米国債および住宅ローン担保証券(MBS)を購入するプログラムの一環。
5月の米製造業受注が前月比で増加したものの、利回りは低水準にとどまった。
米商務省が発表した5月の製造業受注額は前月比2.1%増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は2%増加だった。前月は1.3%増(速報値は1%増)に修正された。
ED&Fマン・キャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の債券取引部門シニア・バイス・プレジデント、マイケル・フランゼーズ氏は「金融当局は雇用の数字をかなり重視してきた。債券相場の行方を占う上で全ては雇用次第だ」と述べた。さらに「レンジ内にあり、新しい持ち高を取る動きはないと思う」と語った。同氏の指摘するレンジは2.42-2.5%。
原題:Treasuries Trade in Tightest Range in 2 Months Amid TaperTalk(抜粋)
◎NY金:3日ぶり下落、経済指標の改善で緩和縮小観測-ドル高重し
ニューヨーク金先物相場は3営業日ぶりに下落。米経済指標の改善を背景に当局による緩和策のペース減速が正当化されるとの見方が強まった。ドルの上昇も代替投資としての金買いの後退につながった。
米商務省が発表した5月の製造業受注額は前月比で増加した。金先物は第2四半期(4-6月)に23%下落し、少なくとも1975年以来の大幅安となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が年内に債券購入プログラムを縮小する可能性があると述べたことが背景にある。ドルはこの日、主要6通貨のバスケットに対して一時0.5%値上がりした。
RJオブライアン・アンド・アソシエーツ(シカゴ)のシニア商品ブローカー、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「市場は金融当局の動きに神経質になっており、一段の明確さを望んでいる」と指摘。「ドルの上昇も金にとって引き続き悪材料となっている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前日比1%安の1オンス=1243.40ドルで終了。一時は0.9%上昇する場面もあった。
原題:Gold Declines for First Time in Three Days on U.S.Economic Data(抜粋)
◎NY原油:続伸、100ドルに接近-エジプト不安と在庫減観測で
ニューヨーク原油先物相場は続伸。エジプトの政情不安で供給障害が起きる可能性が懸念され、バレル当たり100ドルに接近した。米在庫が減少したとの見方も、原油の買いを促した。原油市場は1年4カ月ぶりの大商いとなった。
エジプトではモルシ大統領の退陣を求めて数十万人が集結し、緊張が高まっている。原油輸送の要所であるスエズ運河はエジプトが管理している。ブルームバーグがまとめた調査によると、米エネルギー情報局(EIA)が3日に発表する先週の原油在庫は5月31日以来の水準への減少が予想されている。
ショーク・グループ(ペンシルベニア州ビラノバ)のスティーブン・ショーク社長は「スエズ運河の輸送について純然たる不安が浮上している」と指摘。「ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)はこうした地政学的懸念を代弁する」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比1.61ドル(1.64%)高の1バレル=99.60ドルで終了。終値ベースで2012年5月3日以来の高値。
原題:WTI Crude Nears $100 a Barrel as Trading Surges to 16-Month High(抜粋)
◎欧州株:下落、フレセニウスとテレフォニカ・ドイツが安い
欧州株式 相場は下落。英建設業の生産活動が予想ほど拡大しなかったことが売り手掛かりとなった。
ドイツの医療サービス、フレセニウス・メディカル・ケアは約10年ぶりのきつい下げとなった。米国のメディケア(高齢者向け医療保険制度)で透析への支出削減が提案されたことが嫌気された。ドイツの携帯電話サービス、テレフォニカ・ドイチュランド・ホールディングは1.7%安。コメルツ銀行による投資判断の引き下げが売り材料。
ストックス欧州600指数 は前日比0.4%安の287.13で終了。1日はユーロ圏製造業の生産活動が先の見積もりほど縮小しなかったほか、日本銀行の企業短期経済観測調査(短観 )で大企業・製造業の景況感が2011年9月調査以来初めてプラス圏に浮上したことを背景に、同指数は上昇していた。
コンパス・キャピタル(チューリヒ)のベネディクト・ゲーテ最高経営責任者(CEO)は、「上昇基調を取り戻すには大きな材料が必要だ」と述べた上で、「調整は続くと見ている」と語った。
中国が信用逼迫(ひっぱく)の緩和に向けた措置を講じるとの観測を背景に、ストックス欧州600指数は先週1.7%上げていた。
この日発表された6月の英建設業景気指数は51と、5月の50.8を上回った。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、中央値で51.2が予想されていた。
2日の西欧市場では18カ国中13カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Drop as Fresenius MedicalFalls on Medicare Plan
◎欧州債:ドイツ5年債6日続伸、ECB緩和継続期待-英国債も上げ
欧州債市場ではドイツ5年債相場が6営業日続伸した。欧州中央銀行(ECB)が4日の定例政策委員会で緩和的な金融政策を続ける方針を維持するとの観測が広がった。
オーストリアとベルギーの短期債は長期債を上回るパフォーマンスとなった。ECBが将来の金融政策に関するガイダンスを示すことを検討していると、マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)が報じたことが背景。情報源の氏名は明らかにしていない。一方、ポルトガル国債は下落。ガスパール財務相の辞任が発表された。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が債券購入の年内縮小を示唆したことを手掛かりに、欧州債は先月に軒並み下げた。ドイツは3日に5年債入札を行う。
INGグループのシニア金利ストラテジスト、アレッサンドロ・ジアンサンティ氏(アムステルダム在勤)は「FRB当局者の発言が利回りに与えた影響に対応するため、ECBは今週の会合でハト派的になると見込まれている」とし、「長期債よりも短期債が恩恵を受ける公算が大きい」と語った。
ロンドン時間午後5時現在、ドイツ5年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の0.70%。先月24日には0.93%と、2012年3月以来の高水準となった。同国債(表面利率0.25%、2018年4月償還)価格はこの日、0.125上げ97.905。
オーストリア5年債利回りは2bp下げ0.94%、同年限のベルギー国債利回りも2bp低下し1.40%。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によれば、ECBは4日の定例政策委員会で政策金利を過去最低の0.5%に据え置く見込み。
英国債市場では、10年債が続伸した。この日の35億ポンド相当の国債入札で需要が前回を上回ったことが手掛かり。5年債は6日続伸。イングランド銀行(英中央銀行)のタッカー副総裁が議会証言で、英経済の道のりには「起伏がある」と発言した。
ロンドン時間午後4時36分現在、10年債利回りは前日比4bp低下の2.38%。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格は0.315上げ94.85。5年債利回りは3bp下げて1.39%。
原題:German Notes Rise Sixth Day on ECB Outlook;Portugal Bonds Fall(抜粋)Gilts Advance After Demand Rises at 10-YearAuction; Pound Falls(抜粋)
更新日時: 2013/07/03 06:57 JST