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【愛知】

ナゴヤバシリは違反 県警、取り締まり強化

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 県内の交通死亡事故が今年も多発している。死者数は六月三十日現在、全国ワーストの百九人(前年同期比四人増)と、二位の静岡県より二十一人も多い。車両台数が全国で最も多く、免許人口も全国四位と事故が多くなる背景はあるが、「ナゴヤバシリ」と呼ばれる地域特有の危険な走行も大きな要因だ。県警は「マナーの問題というより、完全な違反行為」として、取り締まりを強化している。

 六月下旬の昼、名古屋市中区の交差点。黄色信号で止まろうとしたタクシーに、後続の黒いセダンがクラクションを鳴らした。「何で止まるんだ」とばかりに、左車線に急ハンドルを切ってタクシーをよけ、交差点を突っ切った。名古屋市内ではしばしば見かける光景だ。

 道路の広い名古屋市内などでみられるナゴヤバシリ。県警によると八パターンあり「二車線を左右に割り込みながら進む」「右矢印の信号が出ているのに左折する」「横断歩道に歩行者がいても止まらない」などが代表的だ。交差点内での違反が多いという。

 県警によると、事故による死者の約四割は横断中や出合い頭など交差点での事故で亡くなっている。六月十八日には名古屋市南区の信号交差点で、横断歩道を歩行中の無職女性(90)が、右折してきた車にはねられ死亡。運転手の男(62)が自動車運転過失致傷容疑で現行犯逮捕された(その後、自動車運転過失致死容疑に切り替え)。

交差点で出合い頭に衝突した車=県警提供

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 愛知県は、車両台数が約五百四十万台と全国最多(二〇一三年三月末現在)、道路延長距離は約五万キロで全国三位(一一年四月現在)、免許人口は約五百万人で全国四位(一三年五月末現在)と、事故が多くなる要因は確かに多い。

 しかし、県警の担当者は「最大の要因は運転モラルの低さ」。取り締まりのほか、各地で交通安全教室などを開き、注意を呼び掛けている。県警交通総務課の寺島潔次長は「朝元気だった人が、遺体になって帰ってくるのが交通死亡事故。当事者意識を持って、運転手だけでなく、歩行者も自転車も自衛してほしい」と話している。

◆高齢者の免許返納推奨

 県内の交通事故死者百九人のうち六十五歳以上の高齢者は五十一人と半数近くを占める。過失割合が高い「第一当事者」も約15%が高齢者だ。

 県警は二〇〇二年から、高齢者の免許返納制度を推奨している。昨年度からは、返納後も、希望者には身分証明書として使える「運転経歴証明書」を交付。証明書を提示すれば、県内の飲食店や娯楽施設など八百五十四店舗で、割引やプレゼント贈呈のサービスも始めた。今年に入り四月末現在、二千六百四十三人が免許を自主返納している。

 五月末現在、県内で免許を持つ高齢者は八十七万九千五百十四人、免許人口の約17%。

 (蜘手美鶴)

 

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