超接写システムの作製
ここでは、等倍以上の倍率で撮影することを超接写と呼びます。
事始め
元々生き物が好きだったので、マクロ機能の付いた望遠ズームTEFNON 75-300mmF5.6(当時、一番安かった)を入手してから、鳥や花や昆虫を撮り始めました。中学3年のとき、レンズのリアキャップとカメラカバーを接着してくり貫き、中間リングを作りました。リングの厚さは約2.5cmで、50mmF1.4で約0.5倍まで、24mm至近距離で約1.1倍まで出せました。その後レンズのリバースリングを入手して、50mmで約等倍、24mmで約2倍まで出せるようになりました。
高校3年の終わりごろ、更に高倍率を目指してベローズを作成しました。カレンダーで蛇腹を折り、墨で遮光し、書道の文鎮をレールにした、全長20cm強のものでした。三脚に載せて蛇腹の長さを変えるだけの機能しかなく、被写体を動かしてピントを合わせてました。実絞りだったので、レフランプの強い光で照らしても、当時の愛機Canon
AE-1のファインダーは真っ暗! マニュアルのフラッシュで、露出は勘で決めてました。壮絶に悪い使い勝手でした。それでも、無いよりは遥ぅ〜かにマシです。写真の世界が広がりました。
学生時代にOLYMPUS OM-4、十字線透過型フォーカーシングスクリーン、TTLダイレクトストロボ、XYフォーカーシングレールを入手し、マグニファイヤーを自作して、ピント合わせや露出がかなり正確・確実になりました。しかしシステム全体の使い勝手は決して良くありませんでした。その後、より高倍率と使い勝手の向上を目指してベローズの改造を試みましたが、半ばで挫折。長らく休止することになりました。
そして約15年。その間、キャノンはAF化でマウントを変更(怒)。オリンパスはOMシステムの生産を終了(号泣)。デジタルカメラが登場し、ネットではオークションが始まりました。
結局工作は再開されず、YahooオークションでオリンパスのオートベローズとZUIKO
MACRO 38mm F2.8を入手しました。暫くはOM-4か、OM-EOS変換マウントとEOS Kiss
DNで超接写を細々と楽しんでいました。
そしてデジタル一眼にライブビュー機能がつきます。これが、天体、超接写、顕微鏡写真で絶大な威力を発揮することがわかり、再び火が付いたのです。
超接写システムの問題点
ベローズは三脚に固定ししなければ使えません。しかし、三脚に固定すれば使い易く、効率よく撮影できるでしょうか・・・
否! 断じて否!
市販のオートベローズとEOD40Dのライブビューを使っても、使い勝手は改善されませんでした。倍率が高くなるほど、扱いは格段に難しくなります。その理由は次の通り。
1. 振動を拾いやすい
機材も被写体も、微細な振動を拾います。悪いことに、いつまでも振動が止まらないこともあります。機材全体が共振を起こしているのかと思うのですが、どうやっても振動が止まらず、撮影を諦めたこともあります。
また私の部屋が畳張りという事情もあるのですが、私が少し体重を移動するだけでも画面が揺らぎ、ピントがずれることがあります。操作には体重移動に細心の注意を払い、息を止めてシャッターを切るのです。
2. 構図や倍率の変更が大変
倍率を大きく変える時、狙う角度を変える時、セッティングの全てをやり直します。三脚の位置、エレベーターの高さ、雲台の向き、ベローズのバランス調整まで、一つでも手を抜くと振動を拾いやすくなり、撮影が困難になることもあります。
そして倍率が高く、被写界深度が極端に浅いため、目標の場所を再度探すのも大変だったりします。気に入った構図を見つけるまで、面倒な作業が延々と続きます。
かつて手製のベローズでは横構図しか使えませんでした。OLYMPUSオートベローズのカメラマウント側は、カメラを回転できる造りになっていますが、EOSではグリップがベローズ本体と干渉して縦構図にできません。不便です。
3. 雲台の固定に伴うズレ
これは通常の撮影では、全く気にならないものです。
三脚雲台のパーン棒を締めて固定するときに、向きが極僅かにズレます。これは締め付けで雲台自体が変形するためでしょう。超接写では(超望遠でも)この僅かなズレが構図を崩します。高倍率になるほど影響が大きく、構図の決定と固定には細心の注意が必要になります。おそらく、雲台の大小を問わず、避けられない問題と思います。
・・・とにかく、効率が悪い事この上無し!これらの難題に比べれば、浅い被写界深度やピント合わせの難しさは大した問題ではないと思います。
超接写システムのコンセプト
もっと振動を軽減し、すばやく構図を決められるシステムは無いものでしょうか。・・・探せばあるとは思いますが、きっと滅茶苦茶に高い・・・。
ここで発想を変えてベローズの両端を何かに固定し、被写体を動かすシステムを考えました。結局、ベローズを自作した頃に戻ったわけですが・・・。
作成の目標は以下の通り。
振動を極力防ぐ
被写体を、XYZ軸(前後、左右、上下)に平行移動できる
X軸を10μm単位で調節できる
被写体をピッチ(前後回転)、ヨー(左右回転)方向にスムーズに動かせる
縦構図を出せる。(ロール方向に回転できる。)
住宅事情のため、コンパクトに収納できる
これらを、手持ちのOMオートベローズ + XYフォーカーシングレール + 2,000〜3,000円程度で実現できないかというわけです。
作製・構造
殆どのパーツを12mm厚ベニヤ板で作りました。バージョンアップを考えて、要所を分解できるようにしています。また、これまで使ってきた機材をなるべく有効利用するようにしました。
1. ベローズの固定
システムの基盤は、大きさ23.5×35cmmです。かなりの部分が2枚重ねになっています(図1)。
橋脚は高さ7cmで、ベローズのレールを両側からM6ネジで固定します。
![](/contents/129/981/041.mime4)
図1 基盤
![](/contents/129/981/042.mime4)
図2 橋脚にベローズを固定したところ
2. X軸粗動装置
XYZ粗微動装置の全体を図3に示します。
X軸粗動はベローズの三脚座を利用しました。X軸粗動装置の底板を三脚座と連結します。底板の下につけたテフロンチップの橇(そり)が樹脂製の敷居を滑ります。リバウンドを殆ど感じない、スムーズな動きになりました。
![](/contents/129/981/043.mime4)
図3 XYZ粗微動装置
3. X軸微動装置
X軸微動装置にはM6寸切りネジを使っています。これに高ナット2個を少しきつめに締めて、エポキシ樹脂でナット周囲を固定します。次に、ナットとネジを摺り合わせて、ねじ山の細かな凹凸を均し、ナットがスムーズに動くようにしました。M6寸切りネジの両端を微動装置底板に固定し、ナットの部分を台車に接着しました。台車がスムーズに動くように戸車を使っていますが、テフロンチップで滑らせる方が良かったかもしれません。
微動装置のハンドルの直径を大きくして、微動が容易にできるようにしました。1周を100等分した目盛りをハンドルに取り付けています。この目盛りはEXCELで作成し、PowerPointで加工してOHPフィルムに印刷しました。ネジのピッチが1mmなので、1目盛りで10μm動かせます・・・・理屈では。バーニアも作りましたが、結局つけてません。1〜0.5μm単位の目盛りが、このい〜加減な工作には意味が無いかと・・・。
4. YZ軸微動装置とピッチ調整ステージ
YZ軸の動きは、台車に立てた板に取り付けたXYフォーカーシングレール(商品名・ハクバ製)で行います。
フォーカーシングレールのカメラ取り付けネジに、ピッチ調整ステージを取り付けます。回転装置はテフロンチップとメラミン加工されたMDFボードを適度なテンションで摺り合わせたものです。りバウンドは高倍率でも気にならないレベルです。
ステージにはM10の穴をいくつか開けています。
5. 回転ステージ
回転ステージ(図4)は、被写体のヨー方向の回転を行います。ペットボトルの蓋に短い10mm丸棒を接着したもので、蓋の中にスポンジを埋め込んだものです。丸棒がステージの穴に嵌るようにセットし、被写体のヨー方向の回転装置になります。スポンジには幾筋か切込みが入っています。植物を撮るとき、スポンジに水を含ませ、切り込みに植物を挿すのです。
![](/contents/129/981/044.mime4)
図4 回転ステージ
ほかに、ペットボトルの蓋に切込みを入れて、スライドグラスを挟めるようにしたものもあります(図5)。スライドグラスには四角の窓をつけたビニールテープを貼り付け、窓をカバーグラスで密閉ができる様になってます。ここに小さな虫などを閉じ込めて撮影するのです。
![](/contents/129/981/045.mime4)
図5 小さな昆虫等の撮影に使うスライドグラス
6. 構図の縦横(ロール方向の回転)
ベローズのカメラ側のマウントには、もとから回転装置がついています。ベローズとカメラの間に25mmの中間リングを入れて、カメラを回転させたときにベローズとカメラのグリップが干渉しないようにしました(図2)。中間リングを入れると低倍率側が犠牲になるのでやりたくなかったのですが、仕方ありません。ミラーレス一眼にマウントアダプターをつければ、低倍率が犠牲になることはないはずですが・・・。
7. LED照明装置
作製当初はピント合わせの補助光でした。
![](/contents/129/981/046.mime4)
図6 LED照明装置
台座に立てた支柱にアングルマウントでアームを支え、アームの先に首振りできるようにLEDを取り付けています。電源にはAC電源または乾電池を使い、基盤につけた端子にワニ口グリップで繋ぎます。
![](/contents/129/981/047.mime4)
図7 アングルマウント
アングルマウントは高さの調整、アームの長さ調整と回転も自在です。LEDの首振りはネジを軽く締めて半固定しています。LEDを全方向に向けられ、蝶ネシ一つで固定できます。
![](/contents/129/981/048.mime4)
図8 初代LED(右)と二代目LED(左)
初代LEDはダイソーで入手した懐中電灯を分解したものを使いました。集光レンズが着いて、かなり明るいものです。最初は電池で使ってましたが、後に携帯電話の充電用AC電源(5V)を繋げられるようにしました。2代目LEDは、車内用のLEDライト(中古で1個400円)を利用しています。12VのAC電源は、実体顕微鏡のLEDリングライトのを流用しています。初代と比べると、明るくなったのと面光源になったのは利点ですが、ちょっと嵩張るのと重心がやや不安定なのが難点です。どちらも青みがかった光なので、マニュアルでホワイトバランスをとります。
なお、照明装置のプロトタイプはLEDペンライト1灯を太い針金で固定したものでした。針金が振動して不安定で、使い勝手はよくなかったです。
![](/contents/129/981/049.mime4)
図9 折りたたんだLED照明装置
台座から支柱を外し、折りたためばコンパクトに収納できます。
操作性
1. 振動の低減と副産物
振動の影響を相当小さく出来ました。三脚に載せるよりも遥かに安定します。ミラーアップした状態なら、シャッターの振動も影響しなくなりました。華奢な植物などの振動しやすい被写体は、短く切って回転台に挿し、振動を抑えます。
操作時の振動ですが、ライブビューで拡大表示しても、20mmレンズより長いレンズでは殆ど実感できません。20mmより短いレンズでは、操作時にフワフワと画面が揺れてきますが、操作の手を離せばすぐ復元・安定します。振動がいつまでも続くことも無く、ラフに思い切って使えるようになりました。
これには予想外のオマケがつきました。数分の一秒のシャッターを安心して使えるので、ストロボの閃光に頼らなくてもよいのです。ライブビューを使えば、ビント合わせや撮影には、高輝度LED1灯でも何とかなるので、補助光用のLED照明装置がメインの光源になりました。
2. 構図の微調整
被写体のピッチやヨーの調整は、ピッチ調整ステージと回転ステージで行います。そしてロールの調整は、オートベローズのカメラマウントのレボルビングで行います。ピッチやヨーを変えるとピントの位置外れますが、XYZの平行移動ですばやく被写体を動かせるので、作業がとても楽になりました。精密に構図を決められます。
回転台のスポンジに水を含ませれば、植物の標本が一日程度はしおれないので、時間にも余裕ができました。
3. LED照明装置
植物によっては、カタバミやゲンノショウコのように、照度の低い室内に持ち込むと花を閉じてしまうものがあります。高倍率ではファインダーで判るくらい早く花が動き、撮影どころではありません。なので、ピント合わせのためだけでなく、花を閉じないようにするため、明るい補助光が必要でした。とはいえハロゲンランプやレフランプを使うと、熱で植物が萎れてしまいます。
前述の通り、高輝度LEDが撮影用の光源に出来ることがわかったので、照明装置を3つ作り、多灯ライティングできるようにしました。そして高輝度LED3灯を間近で照らして、やっと花が閉じない明るさになります。
LEDは小さく、好きな向きに向けられるのでライティングは自在です。LED自体に集光レンズがある上、懐中電灯に内蔵されていた集光レンズも流用しているので、かなり明るく、均一な照明ができます。ワーキングディスタンスが極めて短いレンズでも、照明にそれほど苦労しません。ライブビューでライディングの効果を確認できるので、成功率が格段に上がりました。
白色LEDは青みが強いですが、デジタルカメラならホワイトバランス調整でOKです。でもポジフィルムには使えそうもありません。ネガフィルムなら使えるかも・・・。
4. 微動装置と深度合成
一番心配したX微動装置の出来ですが、私の想像以上に使い勝手がよかったです。16〜20倍位でも振動やリバウンドなしに動いてくれます。更に高倍率ではリバウンドが目立ち始め、フワフワと画面が揺れますが、ピント合わせには十分使えます。とはいえ、ハンドルの1目盛りが理屈通りに10μmで動いているかは調べようがありません。
CombineZPで深度合成も出来なくはないです。CombineZPが自動で画面のズレを修正してくれなければ、深度合成は到底無理でした。
ゲンノショウコの葯。Nikon Plan20x ELWDで撮影。10枚積んで深度合成しました。一枚では葯の前縁と花粉の両方にピントを合わせられません。
本の虫。古本から這い出してくる小さな虫です。トビムシの仲間でしょうか。図5のスライドグラスに閉じ込めて撮影しました。40枚積んでますが、結果が今ひとつ・・・。
ヒメズズメバチ頭部。13枚積みました。複眼の描写が一部おかしいですが、今後の課題としておきます。
5. 収納
C−25規格のコンテナ(内寸358x238x240mm)にカメラ、レンズ、LED照明、AC電源を含む全システムを収納できます(図10)。片付けにも携行にも便利で、職場や実家などに持ち運ぶこともできます。
![](/contents/129/981/057.mime4)
図10 C-25コンテナに収納した超接写システム
6. 問題点と課題
動きがある被写体は、この装置には向きません。野外でアリ等を大きく撮ろうとするには、今のところOLYMPUSのオートエクステンションチューブ65-116やMP-E65mmF2.8 1−5xマクロフォト等と、ストロボに頼らねばならないと思います。・・・いや、もしかするとベローズに何か工夫すれば、できる「かも」しれませんが・・・。
今のところ室内専用で、野外には持ち出せません。野外で厄介なのは風で、効果の高い風防が必要です。また、地面にベタ置きだと、40Dでは腹這いにならないとライブビューが使えません。更に、明るい野外では、液晶画面が見づらくなります。難題山積みです。
アパートの周囲では撮影できる植物や昆虫類がずいぶん限られてしまいます。標本を採集してすぐに撮影できるように、せめて車の荷台で撮影できないか考案中です。車は揺れるので、振動をどう抑えるかが最大の課題です。とはいえ、タイヤの空気を抜いたり、クレーン車みたいに油圧の脚をつけるわけにはいかないしなぁ・・・。
(あっ! 四輪ともジャッキアップするという手が・・・・ちと危ね〜か。)
このシステムは室内専用と割り切って、野外では別のシステムを考えねばならんのでしょう。
このシステムで撮影した写真を、時々ブログに載せています。http://raki-micro-macro.cocolog-nifty.com/blog/
レンズの紹介
オリンパス Zuiko Macro 20mmF2、20mmF3.5、38mmF2.8、50mmF3.5
どれもシャープに良く写ります。20mmF2や38mmF2.8は、焦点位置では非常に鋭い像を結びます。20mmF3.5もよく写りますが、F2には解像力で一歩譲る様です。回折の影響もあるので一概に比較は出来ませんが・・・。しかし銀塩時代の名残か、アウトフォーカスで色収差が目立つことがあります。20mmではどちらも、焦点内外像にきれいなジフラクションリングが出ます。
すべてオークションで入手しました。20mmF2と38mmF2.8は原価に近かったですが、背に腹は替えられませんでした。
![](/contents/129/981/060.mime4)
TELE-TASCO 70mmF5.6(RMSマウント)
これを使っている人は他にいないと思います(^^)v。小さくてマイナーなレンズですが、優れものです。
![](/contents/129/981/061.mime4)
平成10年か11年頃の胎内星祭で、TASCOブースのジャンクコーナーから、500円か1000円で入手しました。絞りは後群レンズの更に後方にあり、絞り羽根は6枚です。ピント調節のヘリコイドは付いていません。見た感じモノコートです。
当初、Cマウントレンズだと思い込んでおり、そのうち使えればと衝動買いしたものの、長らく惰眠を貪っていました。超接写で使ってみようと思ったのは一時の気まぐれ。RMS-Tネジ変換リングに何気なくねじ込んで、ハマったときには本当に驚きました。OMマウントのTリングに接続して使います。
このシステムでは1〜3.7倍が出る計算になりますが、絞り開放から素晴らしい解像力を叩き出し、EOS40Dの1000万画素のピクセルまで分解します。驚愕しました。コントラストはやや低めですが、画像処理で十分カバーできるレベルです。
このレンズ、一体何者なのか? ネットで由来を検索したところ、なんと110カメラ用の望遠レンズでした!
参照 http://www.submin.com/110/collection/tasco/cameras/8000.htm 双眼鏡に110カメラをつけた製品です。このページによると製造年は1980〜1983年。70mmF5.6は、このカメラの交換レンズです。
とはいえ超接写の高い解像力は、とても110カメラのパンフォーカス用レンズとは思えません。最初から単位共役比で設計されたのでしょう。それにRMSマウントが使われている以上、顕微鏡関連と考えるのが妥当です。なので、産業用ツールスコープ等に設計されたレンズかと推察していますが、確証はありません。110カメラには、役目を終えた等の事情で流用されたのではないでしょうか。もし、これがマクロレンズとして発売されていたら、・・・人気が出るかはともかく・・・今でも現役で通用する商品だったはずです。
70mm以外に、100mmF5.6と150mmF5.6があります。写りにとても興味があるのですが、もはや入手は無理だろうなぁ・・・。
そのうちOLYMPUS Zuiko MACRO 80mmF4を入手しようかと思ってましたが、このレンズがあまりにも大当たりだったので、買う必要なくなりました。万歳!
![](/contents/129/981/062.mime4)
右から Carton 10x、OLYMPUS C20x、Nikon Plan20x ELWD、リボルバー
Carton 10x 0.25 160/- (f=16mm、JIS規格)
ワーキングディスタンスが長く、コントラストも高く、アクロマートなのに色収差も目立たず、良く写ります。なぜか20mmレンズより明るいので、使うのは楽です。Planではないので像面湾曲があるはずですが、問題を感じたことはありません。絞りが無いので被写界深度を稼げませんが、この倍率では絞ると回折の影響で解像力が落ちるので、無くてもいいのかもしれません。
石川町スターライトフェスティバルで、カートン光学のブースから1,000円で入手しました。良い買い物でした。
OLYMPUS C20x 0.4 160/0.17 (f=8mm、JIS規格)
EHやBH顕微鏡で使われていた対物レンズです。カバーグラスを掛けないと解像力が落ちるので、カバーグラスの破片をレンズ先端にグルーガンで接着しました。ワーキングディスタンスが短く、使える条件はかなり厳しいです。画像は文句無くシャープです。
職場で長らく使われていない古いレンズをこっそり借りています。
Nikon Plan20x 0.4 ELWD 210/0 (f=10.5mm、DIN規格)
長作動対物レンズで、ワーキングディスタンスが長くて使いやすいです。しかし軸上でも色収差が目立ちます。OLYMPUS
C20xと開口数は同じですがカリカリにシャープではなく、やや甘めの描写をします。それでも同系色の被写体なら、色収差が目立たなくなるためか、そこそこ良好な像を結びます。絞りを入れれば色収差を改善できるかもしれませんが、回折の影響が出そうなので、そのまま使っています。
オークションで入手しました。
OLYMPUS NC DPlanFL 60x 0.95 160/0 (f=2.7mm、DIN規格)
顕微鏡で結晶などを撮るために入手した対物レンズです。乾燥系では最高の開口数があり、明るい画面と鋭い解像力を出せます。しかし超接写ではワーキングディスタンスが極めて短く、使える場面がえらく限られてしまい、使いこなしも難しいです。最大倍率は107倍で、X軸微動装置が無ければピント合わせは不可能です。操作時に画面がフワフワと揺れますが、とりあえず使えています。
オークションで入手しました。
リボルバー
RMSマウントが6本あるので、Zuiko Macro 20mm F3.5、10x対物、C20x対物、ELWD
Plan20xの4本をリボルバーにつけることにしました。このリボルバーは、多分Nikon
S型顕微鏡用で、オークションで1,000円で入手しました。リボルバーは無傷で外せるようにしています。DINとJISが混在しているでちょっと使いにくいですが、やっぱり交換が一発で出来るのは便利です。