午後９時過ぎ、秋葉原発の各駅停車に乗り込みました。久々の抗議乗車、腕が鳴るぜ！

　３ヵ月前の私ならとてもこんな勇気はなかったのですが、４度目のせいか度胸がつきました。自分で自分を褒めたいデス！（笑）

　発車５分ぐらい前に颯爽と乗り込みました（この時点で車内はガラガラ）。１分ほどして運転士が注意に来ました。

　「お客様、ここは女性専用車両ですので…」

　私が無言でボード＝写真の（上）＝を見せると、「はい、分かりました」と引き揚げて行きました。

　あっけないな…と思い、私はボードを網棚の下、自分の頭の上に吊るしました。写真が見れない方もいるかもしれませんので、説明すると、

　「女性専用車両に抗議乗車中」
　「男性を追い出すのは違法行為です」
　「男性差別は憲法１４条違憲です」

と書いてあります。電車にベタベタ貼ってある「女性専用車」のステッカーデザインをそのままパクッた傑作で、皮肉が効いています。５月の関東集会で頂いたものなので、出席された方はご存じのはず。膝の上にバッグを載せ、こちらには

　「フェミナチ車両反対　国交省と鉄道会社は　日本版アパルトヘイトを早急に廃止せよ！」の手書きプレート＝写真の（下）＝を掲示しました。

　２分ほどして３人の駅員だか乗務員がドヤドヤと入って来ました。一人が私に、

　「あのう、個人的に聞きたいのですが」と声をかけました。
　「色々と考え方はあると思うんですが、女性だけを集めるのが嫌なんですかね。それとも…」

　私：「男というだけで乗れない車両があるのはおかしい。男性を全員、痴漢扱いするわけじゃないですか。乗客の男女比は圧倒的に男の方が多く、女は全ての車両に自由に乗れるのに、男は６両のうち５両にしか乗れないのは納得できないです。本当に頭に来ますよ。もしよかったら、これ、お読みになって下さい」と正論５月号のコピー「女性専用車両のまやかし」を渡そうとしました。すると駅員氏は、

　「ボク、要りません。考え方は人それぞれ違いますので…」

　私：「こういう考え方の人が乗って来たと上に報告して下さい。ＴＸコールセンターに苦情を入れたら『お乗りになって結構です』と言われましたよ」と言うと渋々受け取った。

　駅員：「個人的に聞きましたので、ありがとうございました」（と去ろうとする）

　私：「もういい加減、こういうの見直して下さいよ」

　駅員：「それはできません」

　私：「組合あるでしょ？」

　駅員：「ないです。ここは第３セクターで、役所がやっているので何もできないんです」

（ＴＸって労働組合ないの？　それは知らなかった）

　駅員：（抗議乗車ボードを指差し）「これ、外して頂けませんか？」

　私：「外したら間違って乗ってると思われるじゃないですか」

（発車時間になり、３人は引き揚げる）

　電車は発車。「チョロイもんだぜ！」と、私は笑いを噛み殺しました。

　新御徒町、浅草で次々と女性客が乗って来て満席に。立ち客も２０～３０人ほどになると、私も緊張してきました。右も左も女だらけ…（気色ワル～）。まさにライオンが５０匹もいる猛獣の檻の中に放り込まれたような心境です。努めて冷静を装っていましたが、血圧はかなり上がっていたでしょう。さっき、コンビニで買ったＡＥＲＡを読んでいましたが、目は字面を追っているものの、内容がサッパリ頭に入らない。なるべく周囲のライオン…じゃなかった、女性たちを見ないように、ひたすら
ジッと我慢の子…。

　そういえば「優先席では携帯の電源をお切り下さい」の放送はあったが、男性客にご理解とご協力を呼びかける専用車案内のバカ放送はなかった。私が乗ってたので、ヤメタのだろうか（んなワケないよね…）。

　それに先程の駅員、「個人的に聞きたい」を連発していた。あれは一体どういう意味なのだろう？　個人も公人もないじゃないか。何の意図なんだ？　「考え方は人それぞれ違いますので」と言うのなら、なぜコピーの受け取りを拒否したのだろうか？

　そんなことを考えているうちに北千住到着。

　「あっ、ここですか」という男の声。また駅員が３人乗り込んで来た。

　駅員：「すみません、ご協力お願いしますとお話していたんですけど、これはやめて下さいよ！」

　さっきのにこやかな駅員たちと違い、５０歳ぐらいのリーダー格が、かなり厳しい口調で言ってきた。私も毅然と、「理解できない！　出さなかったら間違って乗ってると思われるじゃないですか。協力できないもん！」とキッパリ断った。

　駅員：「是非お客様、お願いしますよ」（今度は哀願調）
　私：「できないッ！　だって差別じゃないですか、こんなの！」
　駅員：「差別なんかしてませんよ」

　どう切り返してやろうかと思っていると、別の駅員が「すみません、そろそろ発車時間ですので」とリーダー格に耳打ちし、３人は退散した。勝ったぜ！　わはははは…。どう料理してやるかと思ったが、飛車、角も出番なく、歩と香車だけで終わってしまった将棋みたいで、拍子抜けした感があった。八潮で区間快速待ち合わせのため、多くの乗客が降りて行き、再び車内はガラガラに。こんな状況で専用車なんか絶対に必要ない！と改めて思った。

　それにしても、この抗議乗車ボードは相当の“威力”があるようです。駅員が凄く嫌がっていましたから。核心をズバリ突いているからでしょう。こんなものを出されたら鉄道会社のイメージ、悪くなりますもんね…。

　大勢の女性客に怪訝な顔で見られはしたが、ここまでやれたのも全て、皆様のお陰です。３ヵ月前の私なら、とても一人でここまではできなかった。大勢の仲間たちが守護霊のように、私を護ってくれているような気がしたので、緊張もしたが終始、落ち着いていられました。皆様に心より感謝します。
　（平成１８年７月１１日）