韓国政府が学校や医療機関などの「公共の場所」での酒類販売や飲酒を禁止することを柱とする国民健康増進法の改正を再推進していることが1日までに分かった。
公共の場所での飲酒禁止法案は、昨年9月に保健福祉部(省に相当)が明らかにしたが、官庁間の意見対立、利害関係者の反発で法制化が中断していた。朴槿恵(パク・クンヘ)政権の発足に伴い、対象場所を見直す形で再び法制化作業が始まった。
政府高官によると、先月28日にチョン・ホンウォン首相と閣僚が出席した国家政策調整会議で、公共の場所での飲酒を禁止する必要があるとの意見が出た。ただ、禁止場所と方法については、慎重な見直しが必要だとの意見が相次いだもようだ。
特に禁止場所に大学のキャンパスを含めた点、地方自治体が条例の制定により、海水浴場や公園などを飲酒禁止区域に指定できるようにした点に異論が多かったという。
政府関係者によると、会議では保健福祉部は改正案を原案通り維持するよう主張。女性家族部の趙允旋(チョ・ユンソン)長官も原則的に賛成の意向を表明し「米国の有名な公園では飲酒を原則として禁止しているが、イベントなど特定の期間には限定的に認めている」と指摘した。
しかし、法務部の黄教安(ファン・ギョアン)長官は「一律禁止とするのは無理がある」と述べ、李晟漢(イ・ソンハン)警察庁長も「一斉取り締まりを行えば、けんかが起きるなど、現場をコントロールできなくなる」という趣旨の発言を行った。
また、海水浴場と公園を禁止対象に含めることには、複数の官庁から「零細業者の反発を招きかねない」「韓国の一般的な飲酒文化とかけ離れている」といった意見が出た。これについて、保健福祉部は「公共の場所での飲酒は、多くの人に嫌悪感を与えかねない。公共の場所は子どもも利用するため、厳しい規制が必要だ」と反論したという。
政府関係者は「チョン首相は会議の最後に、法案を徹底的に準備して、反対意見を最小化することを指示した。現在は禁止場所と方式について、関係官庁が協議を進めている」と述べた。