いいえ。2013年はまだ終わっていませんから。非常に暑い日が1週間続けば、その夏の平均気温にある程度の影響が残りますが、その影響がどの程度かは、夏の残りの期間がどうなるかによります。
それに、ピーター（ホイバース氏）と私が行ったのは、古気候学的記録、たとえば樹木の年輪や氷床コアを利用した研究です。このような研究の1つの欠点は、今起こっているような1週間の熱波のようなものを考察対象にできないということです。対象にしたのは季節の平均、つまり、猛暑の夏と冷夏との比較だけです。その結果私たちは、北半球高緯度地域の夏の平均的気象状況に関して、ここ数年の気温の極端な高さは、過去600年間で例がないという結論に達したのです。
◆おふたりは、古気候学的データを統計的に分析してその結論を得られたとのことですが、どのような分析なのか、何かにたとえてご説明いただけますか？
十分なたとえではありませんが、私は身長が190センチありますから、あなたにお目にかかる前から、私の方が背が高いだろうとほぼ確信できました。この高さだと、身長の分布の中でかなり上のほうにいるからです。しかし、1000人が集まる部屋に入っていくとしたら、たぶん一番背が高いのは私ではないでしょう。
2011年は過去600年の中で最も暑い年だったのかという問題に私たちが取り組んだときも同じです。それは、私があなたより背が高いというように、2011年がある特定の年よりも平均気温が高かったのかと問うのとは、統計的に違う問題なのです。
私たちは、これに対処するために、1つの最良の推測をするのではなく、単純な統計学的モデルを作り、（古気候学的データに基づいて）実際に起こった可能性が同じくらいの4000種類の気候パターンのシミュレーションを行いました。その上で、この4000パターンの気候の歴史のうち、2011年が最も平均気温が高くなるパターンはいくつあるか、と問うことができたのです。
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