三菱UFJ:タイのアユタヤ銀買収で秋にもTOB
7月2日(ブルームバーグ):三菱UFJフィナンシャル・グループ がタイの大手銀であるアユタヤ銀行の買収に向け最終調整していることが分かった。米ゼネラル・エレクトリック(GE)など同行の既存株主から株式を取得することで月内の合意を目指している。交渉が成立すれば秋にも株式の公開買い付け(TOB)を実施する。
複数の関係者によると、三菱UFJはアユタヤ銀株式25%を保有 するGEなど株主の同意を得た後、買収計画をタイ当局へ申請する予定。計画がまとまり次第、臨時取締役会を開いて決議した上で発表する方針だ。タイの株式市場で行うTOBではアユタヤ銀株の過半の取得を目指す。邦銀がアジア銀を直接経営するのは初めてとなる。
三菱UFJは2008年にカリフォルニア州のユニオンバンカルを買収後、完全子会社化し、北米で個人(リテール)・法人(ホールセール)両部門の事業基盤を確立。M&A(合併・買収)により国際事業の強化を進めている。経済成長が続く東南アジアでアユタヤ銀行を同地域の営業基盤として活用し、さらなる海外事業の拡大を図る。
関係者によると買収が完了した後、三菱東京UFJ銀行のタイ国内の支店はアユタヤ銀に統合することを検討している。背景には、現地に支店を持つ外国の銀行がタイの銀行への出資に関する規制がある。買収後、三菱UFJはアユタヤ銀のオーナーで現在は25%を保有するラタナラック・グループとも協力しながら経営したい考えで、取締役会メンバーの受け入れについても協議している。
「アジアのユニオンバンカル」ドイツ証券の山田能伸アナリストは、「とても意味がありポジティブな案件だ。アジアのユニオンバンカルを目指すことになる」と米国子銀行と同等の収益力を持つ銀行の買収であると評価。その上で、アユタヤ銀の取引は個人や中小企業中心で大企業が少なく、「三菱東京UFJ銀のタイ支店と統合すればリテールとホールセールがうまくバランスしたいい銀行になる」との見方を示した。
アユタヤ銀は昨年12月末の資産規模でタイ5位の商業銀行。1945年設立で同国内に601拠点を展開する。大手邦銀では日本国内の融資低迷などを補うため、三井住友FGが5月に約1500億円でインドネシアの銀行の株式40%を取得すると発表。みずほ も昨年ブラジル銀を買収した。三菱UFJもほかにベトナムの銀行への出資を決めている。
三菱UFJの2日の株価は前日比8円(1.3%)高の639円で取引を終了した。アユタヤ銀の株価はタイ市場で現地時間の午後2時29分現在同1.5バーツ(4.2%)高の37バーツで取引されている。
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更新日時: 2013/07/02 16:39 JST