超長期債が下落、株高・円安や30年債入札控え売り-10年債入札は順調
7月2日(ブルームバーグ):債券市場では超長期債相場が下落。株高や円安基調に加え、4日に30年債入札を控えて売りが優勢となった。きょうの10年物国債入札は順調となり、午後に入って先物中心に買い戻される場面もあったが、内外の景況感改善に押された。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の329回債利回りは前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.89%で開始。10年債入札結果を受けて午後1時すぎに0.875%に下げたが、3時すぎには0.895%と先月12日以来の高水準を付け、その後は0.89%で推移した。
20年物の145回債利回りは1bp高い1.745%で始まり、午前は1.75%で推移。午後3時すぎに1.755%に上昇。その後は1.75%。30年物の39回債利回りは1bp高い1.88%で開始。午後3時すぎには1.90%と先月24日以来の1.9%台となった。
マスミューチュアル生命運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は「鉱工業生産など実体経済を測る指標がそれなりに改善してきている。5月までのような期待先行型ではなく、実体経済の改善を反映した緩やかな株高・円安が進む可能性がある」と指摘。債券相場には逆風だが、10年債で0.9%台になると買いが染み出てくるとも言い、「今月の参院選までは0.8-0.9%前後で推移し、その後は0.85-0.95%程度にレンジを切り上げる」と予想した。
東京先物市場で中心限月の9月物は前日比16銭安の142円15銭で開始。次第に水準を切り上げ、午前の終了にかけてプラスに転じた。午後零時45分の入札結果発表後には一段高となり、142円47銭まで上昇。取引終了にかけて株高や円安が進むと再び下げに転じ、結局は2銭安の142円29銭で引けた。
株式相場は続伸し、TOPIX は前日比1.8%高の1171.84、日経平均株価 は246円24銭高の1万4098円74銭で引けた。日経平均の1万4000円回復は5月29日以来。東京外国為替市場で円は対ドルで下落。1ドル=99円91銭と先月5日以来の安値を付けた。野村証券の松沢中チーフストラテジストは「株や為替が先行きの景況感上振れを先行的に織り込み始めた感があり、超長期ゾーンがこれに反応して弱くなる可能性がある」と指摘していた。
財務省がこの日実施した表面利率0.8%の10年利付国債(329回債)の入札結果によると、最低落札価格は99円22銭と市場予想を1銭上回った。小さければ好調とされるテールは2銭と前回の10銭から縮小。投資家需要の強さを示す応札倍率は2.41倍と前回の3.14倍から低下した。
みずほ証券の三浦哲也チーフ債券ストラテジストは、10年債入札については警戒していたとしながらも、「日銀オペ期待感もあるためか、安心感につながる結果となった。入札が良かったので10年債対比で割安感がある先物に買い戻しが入った」と話した。
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更新日時: 2013/07/02 16:40 JST