石切山俊博
ジャパンワクチン会長兼CEOインタビュー
(7月就任予定。現GSK常務)
新会社設立でかなう念願の混合ワクチン開発
これまでGSKは日本で子宮頸がん予防ワクチンなど単体の新規ワクチンしか展開してこなかったが、ベーシックなワクチンに新しいワクチンを加えて利便性も高める混合ワクチンを日本でも提供したいという思いは強かった。これを実現するには、国内市場でベーシックなワクチンを持っている第一三共というパートナーが必要だった。
ジャパンワクチンの設立によって混合ワクチンを届ける体制は整った。今後は念願の混合ワクチン、もちろん新規ワクチンも、日本でスピーディに開発していきたい。
第一三共については営業力も大きな魅力だった。彼らが試験導入している子育て経験者のMRを活用するという手法も面白い。ユーザーに一番近い社員であり、医師にとってもユーザーとなる彼らが情報提供するのはリアリティがある。
もちろん他社もいろいろな形で挑戦してくるだろうが、われわれのようにワクチンのバリューチェーン、つまり研究、開発、生産、販売・プロモーションというすべての機能を持つプレーヤーでなければ、高い品質と安定した製品供給、そして経営を長期的に維持することは難しいのではないか。
ワクチンは生産に求められる品質基準が厳しくなっており、工場を一つ建てるにも数百億円規模の投資が必要になる時代だ。そこを含め、GSKと第一三共はコア事業として続けていく覚悟を決めている。
ワクチンによる予防医療が普及すれば、医療費の総額は下がっていくはず。われわれの取り組みは日本の社会に経済的な貢献もできると確信している。(談)
長野明
ジャパンワクチン社長兼CEOインタビュー
(7月就任予定。元第一三共専務執行役員)
種類の拡大にこだわりワンストップで品ぞろえ
第一三共はワクチンをコア事業に位置付けているが、現実問題としてこの領域で日本勢は世界大手に開発パイプライン(開発候補品)で大きく水をあけられている。今からキャッチアップするには少なくとも四半世紀はかかる。やっと追い付いたと思ったら、世界大手勢はさらに先を走っているかもしれない。
日本勢が世界との距離を縮めるために研究開発力を持つ小規模のワクチンベンチャーを買収したいと考えたところで、めぼしいベンチャーははるか10年以上前に世界大手勢が傘下に入れてしまった。だからこのタイミングで第一三共として一緒に手を組みたいというベンチャーはなかなか見当たらないわけだ。
そんな中で国内ワクチン市場へ貢献するためにGSKと見いだしたビジネスモデルが、両社の国内ワクチン事業の開発機能と営業機能を集約する合弁会社を立ち上げるというものだった。新会社の下でGSKの持つ世界一豊富なパイプラインの中から日本のニーズに応えるものを、どんどん開発できるようになった。
これまでの日本のワクチン環境は、残念なことに国民が接種できるワクチンの種類が極めて限られてきた。新会社のこだわりは売上高規模よりも何よりも、ワクチンの種類の拡大にある。われわれは市場に届けるべきすべてのワクチンをワンストップで品ぞろえするつもりだ。
ワクチンという世界は企業だけでどうこうできるものではない。政府、アカデミア、医師、患者団体、子供を持つ保護者など幅広いステークホルダーと連携し、ワクチン環境を進化させる一つの担い手になりたい。(談)