一見病院とは思えない建物
1999年3月24日、25日にアメリカ・テキサス州ダラスにある化学物質過敏症患者
のための環境施設「EHC−D」を訪問した。成田からデトロイト経由・ダラス行きで、
15時間の飛行距離、日本との時差は15時間、季節は東京より1ヶ月程早く新緑の美しい
時期であった。施設はダラスの中心部にあり、2階建ての茶色タイル張りの外観で
一見病院とは思えない建物である。庭の木々にはリスがいっぱいはね回っていて、
のどかな光景である。郊外の人里離れた所を想像していたため、町の中心部にあることは
意外であった。
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院長レイ先生の専門は心臓外科
施設内は院長であるレイ先生が案内をしてくださった。レイ先生は
心臓外科専門であり、1975年に人工臓器内に化学物質がかたまりを作ることを発見され、
又、ケネディ大統領の銃弾を取り出した方である。化学物質過敏症について、レイ先生・
石川哲先生の他にハーバード大学の
スペングル先生・
柳沢幸雄先生が研究を進めていらっしゃる
ということだった。診療所は予約制のため、待合室に
人があふれているという日本の病院風景はなかった。
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体内の化学物質を減少させるのが治療の目的
化学物質過敏症かどうかの判断は、
検査結果と身体的症状の二つで行うということである。ガラス張りのクリーンルーム
ではブース・テスティングが行われる。患者を隔離し原因となりうる物資を一つずつ
中に入れて、患者が何に反応するかを観察していく。治療の目的としては、体内の化学物質
を減少させることにあり、現在3万人の患者がいるということだった。診察時間は一人30分程度
で回数をかけてデーターを作る。金額は30分で約150ドル(1万8000円)で、
治療期間は個人差がある。
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患者のため、いたるところ配慮してある診療所
診療所内廊下は
硬木セラミック・スプレイ式しっくいを使用し、室内床は石灰石やタイルを無害ノリ
やセメントで貼っている。レイ先生のオフィスは、壁はポセリン・スチール、床には
電磁波を吸収する特殊な金属の網が敷かれている。治療室にはポプラ材を使用したサウナ、
塗ってある油とゴムを取り除いたジム器具、マッサージ用ベンチが置かれている。
このジム室に行き来できる隣室の酸素セラピー室には酸素ボンベが数個設置されており、
数人の患者が使用していた。スイッチ類は金属のものが多く、掃除には石けんと水を使用している。
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厳選された商品がならぶ患者用の売店
また診療所とは離れた1階に実験室があり、ここではホルモンレベルや全米各地から郵送されてきた患者
の住環境の空気サンプルなどの分析を行っている。売店には酸素ボンベや浄水器の他、空気清浄機、
フィルター、石けん類や日常雑貨、オーガニック食品等安全な日常商品が置かれている。
これらは10人の専門委員達によって選ばれ、それを患者がモニターとなり使用テストをしてもらい、
使用可能な物を置いているということだった。
診療所の入口で八十歳代の老婦人に声をかけられた。
「私はレイ先生に救われました。この病気で死にそうになっていた所、レイ先生の指導で
良くなりました。私の命の恩人なのです。」と熱く語られた。
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