社説
自民党の公約 地方と逆では不信招く(6月5日)
7月4日に予定される参院選公示まで1カ月を切った中、自民党の公約づくりが難航している。
沖縄県連は「地域版公約」に米軍普天間飛行場の県外移設を盛り込むという。名護市辺野古への県内移設を掲げる安倍晋三政権と正反対の主張である。
中央と地方で公約を都合良く使い分けるのでは、有権者を惑わせ政治不信を招くだけだ。政権与党として無責任と言わざるを得ない。
選挙公約は国民に対する大事な約束である。地方の意見を取り入れてしっかり練り上げ、明確な主張で信を問うてもらいたい。
党の選挙公約を補完し、地域の実情に合った政策を掲げるのであれば地域版公約の意味もあろう。だが全く逆の公約を掲げるのは禁じ手だ。
沖縄では党派を問わず県外移設を求める声が大半だ。在日米軍施設の74%が沖縄に集中し、普天間基地は「世界一危険」と言われている。地元負担軽減の必要性を考えれば、沖縄県連の主張は理解できる。
ところが自民党本部は辺野古移設の方針を変えようとしない。県連は県外移設を掲げて独自の戦いをする構えだ。これでは政党の体をなしていない。方針の一本化が不可欠だ。
自民党は沖縄県連の要望を取り入れて県外移設に踏み出すのが筋だろう。県連も独自路線に進む前に、党の公約に主張を反映するよう努力すべきだ。有権者受けを狙ったパフォーマンスであってはならない。
沖縄だけではない。福島県連は地域版公約に県内の原発10基すべての廃炉を盛り込む方針だ。安全が確認された原発の再稼働を目指す考えの党本部と足並みがそろっていない。
昨年の衆院選で自民党は環太平洋連携協定(TPP)をめぐり「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対」と慎重姿勢を訴えた。ところが政権についたとたん、あっさりと交渉参加にかじを切った。
自民党道連はさらに踏み込んで「暮らしを脅かすTPPを断固阻止する」と明言していた。農業団体などから「裏切りだ」との不満が噴出したのは当然である。この現状に対し、どう責任を取るのか。
地方組織が党本部と違う公約を掲げ、選挙の後になってほごにするのでは民主主義は成り立たない。
自民党は野党当時、民主党政権の「マニフェスト違反」を厳しく批判した。政権についたいま、有権者は自民党に厳しい目を光らせていることを忘れてはならない。
きのうの自民党全国幹事長会議では各地から参院選に向けた要望が相次いだ。中央の方針を地方に押しつけるのではなく、地方の声を積み上げて公約をまとめる姿勢が大事だ。
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