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被災3県、復興需要で改善 13年東北路線価
仙台国税局が1日発表した2013年の東北の路線価では、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の沿岸部などでの改善傾向が目立ち、復興需要を受けた土地取引の活発化を裏付けた。一方、秋田、山形両市は地価下落に歯止めがかからず、東北域内の二極化がより鮮明になった。
東北の全52税務署の最高路線価をみると、昨年に続いて上昇した石巻市に加え、大船渡、気仙沼両市もプラスに転じた。3地点とも、商業地としての今後の発展性が見込まれたとみられる。 下落は43地点と前年より6地点減った。このうち昨年8.8%減と大きく下げた郡山市の下落幅は1.9%と、6.9ポイント改善。仙台市内の最高価額も7.5ポイントの大幅改善となり、沿岸被災地からの移転需要が都市部の地価を下支えした側面がある。 一方、震災の大打撃を免れた秋田、山形の県庁所在地は、少子高齢化などによる地盤沈下に歯止めがかからなかった。最高価額は秋田市は6.7%減、山形市も5.6%減と、それぞれ0.4ポイントと2.9ポイント下げ幅が拡大した。 被災地の地価上昇は、堅調な復興状況を示す半面、被災者にとっては移転時の経済負担が増す恐れもある。 被災地での不動産取引の現状について、東北不動産鑑定士協会連合会の小野寺和夫会長は「津波被害が深刻だった地点では売買そのものがない所もある」と指摘。「地価上昇は一時的で、災害公営住宅などの整備が進めば落ち着きを取り戻すだろう」と予想している。
◎石巻・気仙沼・大船渡 最高路線価、3署で上昇
仙台国税局が1日発表した2013年分の東北の税務署別最高路線価(1平方メートル当たり)は、東日本大震災の被害が大きかった石巻、気仙沼、大船渡の3署で上昇した。ほかの被災地も復興需要を追い風に、変動がなかったり、下落幅が縮小した地点が目立った。
<青森> 最高路線価の県内トップは青森市新町1丁目の「新町通り」。5年連続で下落し、1971年前後の水準に低下した。税務署別では全7署で前年を下回り、八戸、十和田、むつ、黒石4署で下落幅が拡大した。 主要標準地の住宅地は、青森市奥野2丁目が前年比5.4%減の3万5000円。工業地は同市富田4丁目で10.5%減の1万7000円。
<岩手> 税務署別最高路線価は大船渡で上昇、宮古、釜石、二戸で横ばい、残る5署で下落した。県内で上昇したのは1995年の久慈以来、横ばいも2002年の大船渡以来。 県内トップは盛岡市大通2丁目の大通りで24万円。前年比5.9%減でピークの1992年(139万円)から21年連続で下がった。水沢と花巻は4年連続で10%以上の下落となった。
<宮城> 最高路線価は仙台市青葉区中央1丁目の「青葉通」で166万円。5年連続で下落したが、下落幅は前年の8.7%から1.2%に縮小した。 全10税務署別の最高路線価では、石巻市蛇田新金沼の「石巻工業港曽波神線通り」と、気仙沼市本郷の「県道26号通り」の2地点が上昇した。同じく沿岸の松島町松島町内の「国道45号通り」は横ばいだった。
<秋田> 最高路線価は全8税務署で前年を下回った。トップの秋田市中通2丁目の「秋田駅前通り」は20年連続下落。前年比6.7%減の14万円で、ピークだった1993年に比べ10分の1になった。 横手署管内の横手市安田堰添の「国道13号通り」は11.3%ダウンし、仙台国税局52署で下げ幅が最も大きかった。大館署管内の最高地点は鹿角市から大館市に移った。
<山形> 最高路線価は39年連続で山形市香澄町1丁目の「山形駅前大通り」。19年連続の下落で、ピークだった1994年の13.8%の水準まで下がった。 8税務署別の最高路線価は、7署で前年を下回った。村山署管内の東根市さくらんぼ駅前2丁目の「さくらんぼ東根駅前通り」は変動がなく、3年連続の同価額となった。
<福島> 税務署別の最高路線価は10署すべてで下げ幅が縮小した。中でもいわき市平三町目の「いわき駅前大通り」が5年ぶりに横ばいとなった。いわき駅前の再開発が終わったことに加え、原発事故で避難している双葉郡民の宅地需要などが影響した。 最高地点は22年連続で郡山市の「郡山駅前通り」。下げ幅は1.9%で前年比6.9ポイント縮小した。
2013年07月02日火曜日
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