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請戸漁港雇用確保へ独自施設 浪江町 再興へ今秋、委員会発足

 東日本大震災で津波被害を受けた浪江町の請戸漁港での漁業再開を目指し、町は今秋、相馬双葉漁協などと町水産業協働委員会(仮称)を発足させ、平成28年度にも町独自で漁業関係者らの雇用確保を目的とした水産加工施設の建設を始める。委員会では魚介類の放射性物質の影響調査や取引先確保なども検討する。県の港湾復旧工事は27年度までに完了する見通しで、30年度の一部操業開始を目指す。ただ、採算性や除染など課題は多い。
 4月の避難区域再編で、警戒区域だった町内の請戸漁港と周辺が昼間の立ち入りが可能な避難指示解除準備区域に再編されたことを受け、委員会を発足する。漁港と漁業の再興を進め、全町避難を続けている町の復興への弾みにする考えだ。
 設置する委員会は、県漁連、地元の相馬双葉漁協をはじめ、県、水産庁、町、町行政区などの代表約20人で構成する。発足後すぐに被害を受けた水産業関連施設の調査に入る。平成26年度からは全国の水産加工施設を視察するなどし、市場調査を開始。東京電力福島第一原発事故を受けた消費者の安心を確保するための工夫や鮮魚の衛生管理の在り方を検討する。販売ルートの再構築や、町が新設する水産加工施設を中心とした雇用創出の方策も探る。
 被災した水産業関連施設の復旧も手掛ける。管理事務所や荷さばき施設、漁具倉庫、資材倉庫などの各種共同利用施設は27年度後半から基本設計を進める。28、29年度の2年間で詳細設計を作り、各施設を建設する。こうした漁業再開への環境整備計画を報告書にまとめて操業開始の可否を最終決定する県漁連などに提出し、30年度の一部操業開始を目指す。
 町は、政府の復興交付金の対象となる「水産業共同利用施設復興整備事業」を活用し、各施設の基本設計までの費用約6千万円を確保する計画だ。
 震災前、請戸漁港ではコウナゴ、シラス、タコ、サケ、ホッキ、ヒラメなどの水産物が水揚げされ、首都圏などの市場に運ばれていた。町は「請戸漁港を拠点とした取り組みを軌道に乗せ、復興のシンボルにしたい」としている。
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 県と水産庁は今年度から岸壁や防波堤、水揚げ場など漁業再開に不可欠な港湾の復旧作業に着手し、平成27年度までに完了する方針。県と水産庁が災害査定した結果、復旧費は約40億円程度が見込まれている。

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今年度から復旧作業が本格化する浪江町の請戸漁港。水産施設は津波で流され、大きく壊れたままだ。漁船も横たわっている。町は政府や県、地元漁協などとともに水産業再開に向けた拠点づくりを始める=30日
今年度から復旧作業が本格化する浪江町の請戸漁港。水産施設は津波で流され、大きく壊れたままだ。漁船も横たわっている。町は政府や県、地元漁協などとともに水産業再開に向けた拠点づくりを始める=30日

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