日本株は3日続伸、金融や輸出中心広く買い-短観改善、円安
7月1日(ブルームバーグ):東京株式相場は3営業日続伸。日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)の上振れや為替の円安推移から景気、企業業績好転への期待が広がった。銀行や証券など金融株、機械や輸送用機器など輸出関連株中心に幅広い業種が高い。
TOPIX の終値は前週末比16.86ポイント(1.5%)高の1150.70、日経平均株価 は175円18銭(1.3%)高の1万3852円50銭。
富国生命保険の山田一郎株式部長は、「為替が円安さえ保てば、収益水準は高いため、海外投資家は今期買ってくると思う。投資環境は間違いなく良い」と話した。中国のインターバンクレートも現状落ち着いており、「米国の量的緩和縮小懸念も後退している」と言う。
日銀が朝方発表した短観6月調査は、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた業況判断指数(DI)が、大企業・製造業でプラス4と3月の前回調査から12ポイント改善。1年9カ月ぶりのプラス圏に浮上した。非製造業はプラス12と6ポイント改善し、改善は2期連続。先行きは大企業・製造業がプラス10、非製造業はプラス12だった。
ブルームバーグが集計した事前予想では、大企業・製造業のDIはプラス3、大企業・非製造業DIはプラス11が予想されていた。いずれも、実際の公表値は上振れた。2013年度の大企業・全産業の設備投資計画は、前年度比5.5%増と前回調査(同2.0%減)から上方修正された。
「G7トップのスピード」バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストによると、「日本の実質国内総生産(GDP)はG7トップのスピードで14年1-3月期に向けて増加すると見ているが、今回の短観はこうした見方を維持できる内容」という。為替が足元で1ドル=99円台になっていることを踏まえると、「想定為替レートがさらに円安方向に修正され、それに応じて製造業のDIが上振れる余地は残されている」と分析する。
この日の為替市場では、円が対ドルでは99円台前半と前週末の東京株式市場の終値時点98円78銭に比べ円安水準で推移した。きょう発表の日銀短観によると、大企業・製造業の13年度の想定為替レートは、通期1ドル=91.20円。
また、製造業の活動を示す指数の拡大ペースが6月は4カ月ぶりの低水準となった中国では、前週末に比べ一時1.1%安まであった上海総合指数 が午後には下げ渋り。東海東京証券の鈴木誠一マーケットアナリストは、「米中の海外マーケットに対する悪いシナリオが、考えられていたものよりマイルドな可能性となり、投資家はどういうタイミングでリスクを取ろうかと考えている」と話していた。
売買代金は低調東証1部33業種は32業種が高く、証券・商品先物取引、その他金融、保険、海運、陸運、食料品、機械、銀行、サービスなどが上昇率上位。銀行については、ドイツ証券が第1四半期プレビューで、主要行の第1四半期当期利益は実質で会社通期予想ベースの進ちょく率が32.5%に達したと分析。特に三井住友フィナンシャルグループは40.5%と、進ちょく率が突出するとし、東証1部の売買代金トップで高かった。半面、鉱業1業種のみが安い。
もっとも、東証1部売買代金はかろうじて2兆円台に乗せた程度で、売買エネルギーは盛り上がらなかった。米国時間1日の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数など、今週は米重要統計の発表を多数控えており、緩和策縮小への影響を見極めたいとの心理も強かった。
東証1部の売買高は概算24億7756万株、売買代金は2兆397億円。値上がり銘柄数は1360、値下がりは275。
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更新日時: 2013/07/01 15:30 JST