日銀短観:大企業・製造業の景況感は2期連続の改善、プラス4に
7月1日(ブルームバーグ):日本銀行が全国の企業1万社以上を対象に行った企業短期経済観測調査(短観、6月調査)は、円安進行に伴う輸出採算の好転や、鉱工業生産と輸出の持ち直しを背景に、大企業・製造業 の景況感が2期連続で改善した。改善幅は予想を上回った。
1日発表された4半期に1度の短観で、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた業況判断指数(DI)は、大企業・製造業がプラス4と3月の前回調査から12ポイント改善した。プラス圏内に浮上したのは2011年9月調査(プラス2)以来1年9カ月ぶり。同・非製造業はプラス12と6ポイント改善した。同・非製造業の改善も2期連続。
ブルームバーグ・ニュースの事前調査では、それぞれプラス3、プラス11が見込まれていた。3カ月先の見通しはそれぞれプラス10、プラス12だった。日銀は6月の金融経済月報で、景気は「持ち直している」と指摘。先行きも「金融緩和や各種経済対策の効果もあって国内需要が底堅さを増し、海外経済の成長率が緩やかながらも次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していく」としている。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは統計発表前、「為替レートは5月下旬から調整があったとは言え、従来の企業の想定レートに比べ大幅な円安水準で推移しており、多くの輸出企業の採算は大きく好転している」と指摘。「特に改善が顕著なのは自動車セクターで、円安による収益の押上げ効果のみならず、輸出数量も米国向けを中心に好調であるほか、国内販売も堅調に推移している」としていた。
設備投資計画中小企業の業況判断DIは、製造業がマイナス14と5ポイント改善、非製造業はマイナス4と4ポイント改善した。先行きはそれぞれマイナス7、マイナス4を見込んでいる。2013年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比5.5%増と、前回調査(同2.0%減)から上方修正された。
13年度の想定為替レートは通期1ドル=91.20円、上期91.25円、下期91.16円。今回の短観の回答期間は5月28日-6月28日。調査対象企業は1万623社で回答率は99.0%。短観発表直後の円相場は下落、午前8時59分現在は1ドル=99円46銭前後で推移している。
日銀は10、11日の金融政策決定会合で、4月末に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)の中間評価を行う。アールビーエス証券の西岡純子チーフエコノミストは統計発表前、「短観だけでなく、月次指標も総じて良好なものが並びやすいことから、これらマクロ指標を総合判断する日銀は、自らの強気な景気・物価見通しの達成に自信を深めよう」と指摘していた。
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更新日時: 2013/07/01 09:01 JST