日銀短観、景況感が11年3月以来の高水準:識者はこうみる
[東京 1日 ロイター] - 日銀が1日発表した6月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断DIがプラス4と、2四半期連続で改善した。これは2011年3月調査のプラス6以来の高水準となる。
市場関係者の見方は以下の通り。
●想定レートは保守的、無理なドル売り圧力回避
<あおぞら銀行 市場商品部 次長 諸我晃氏>
大企業製造業・業況判断DIなどが予想より良く、日本経済が少しずつ回復してきている印象を受けた。長い目で見て、ドル/円は円安方向に向かうだろう。
企業の想定レートからは、各企業がまだ為替水準をコンサバティブにみていることがうかがえる。もし高めにみていれば、業績にも織り込まれていることから想定レートが近づけば売りが出やすいが、コンサバティブにみている分、無理なドル/円への売り圧力は避けられるのではないか。
●大企業主導の緩やかなマインド改善を確認
<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>
6月日銀短観では、大企業主導の緩やかなマインド改善を確認できた。2013年度大企業・製造業の経常利益計画は前年度比プラス14.6%と、上方修正がかかっている。
この流れなどから2013年度大企業・全産業の設備投資計画は、前年度比プラス5.5%となり、予想より強め。業績の改善を背景にこれまで先送りしてきた設備投資について、企業がやや前向きになってきた兆候が見られる。設備投資の強さは、緩やかな景気回復に沿った内容のため、違和感ない。
●改めて実体の良さ評価、金融相場から業績相場へ
<岩井コスモ証券 投資調査部 副部長 清水三津雄氏>
大企業製造業の業況判断DIが市場予想を上回ったうえ、設備投資計画も良い数値となり、前向きに評価してよい。国内景気が回復基調にあることを受けて、企業心理も改善しつつあるのだろう。
日本株は日経平均1万6000円に迫った5月高値にかけて好業績を織り込んできたが、あらためて実体の良さが評価されるとみている。4─6月期の決算発表を控えて好業績の観測記事が出ることも期待され、いよいよ金融相場から業績相場へのシフトが現実味を帯びてくる。
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