高熱を出した、あるいは骨折をしたなどの身体の不調であれば、医療にかかることをすすめない家族はいませんし、本人がそれを拒むこともありません。しかし精神疾患となると、本人に病識(自分が病気であるという認識)がなく治療意思が伴わない場合がほとんどであるため、病気であることに気付き医療につなげることができるのは、家族でしかありません。
ところが多くの家族が、本人が心のバランスを崩していることを疑いながらも、「もう少し様子を見てみよう」「病院へ行くかどうかは本人の意思にまかせよう」などと考えてしまいがちです。これは、本人のことを尊重しているように見えて、実は家族こそが、本人が病気であることを認めきれていないのではないでしょうか。
とくに精神科医療の分野においては、人権などの問題もあることから、第三者や行政機関が積極的に介入することもなく、事態を好転させるためには、家族(保護者)が行動を起こすしかありません。また、自然の流れにまかせることが快方につながるということはまずありませんので、家族が対応をとるのに「早すぎる」ということはないのです。
現在、民間の移送会社は多数ありますが、この「精神障害者移送サービス」は、他社の移送サービスとは性質の異なるものです。
その最大の特徴は、「説得移送」であるということです。
トキワ精神保健事務所創業者である押川剛が、本人と向き合い説得して、同意のもと医療機関におつなぎします。
押川が、日本で初めて「精神障害者移送サービス」を開始した当初、後を追うように民間の移送会社が次々に登場しました。しかしどの移送会社も、宣伝上は「説得移送」を謳っていても、実際には強制拘束を行うことがほとんどでした。弊社に相談に来た家族から「民間の移送会社に依頼したところ、有無を言わさずストレッチャーで拘束し、診察を受けるまでその状態で待たされた」とうかがうことも、多々ありました。
本人にすれば、家族が身体拘束移送をする業者に依頼をしたことで、家族を恨むようなこともあります。医療にかかることを素直に受け入れられない原因にもなり、こういったケースでその後耳にするのは、服薬拒否、家族関係の悪化、本人が退院請求をした、などです。
医療につなぐ最初の段階でご本人のこころを傷つけてしまっては、結果的に満足な治療にたどり着けないことになり、入退院を繰り返す可能性も高くなります。
今では確実に移送してくれる信頼できる民間の移送会社も増え、家族も、移送の内容云々より経済面などを重要視しているように感じます。「とにかく病院に連れて行ってくれさえすればいい」ということであれば、他の移送会社を利用してください。
しかしその一方で、家族から「本人に、病識をもってもらいたい」「本人に納得して入院してもらいたい」「入院を機に、家族関係を修復したい」という相談、依頼があるのも事実です。
たしかに、本人の「これから先」を考えたときには、「説得移送」こそが、突破口となります。
なぜなら、わたしたちは説得移送の当日までに、家族へのヒアリング(聞き取り業務)や、対象者のインスペクション(視察業務)といった業務を念入りに行います。これらの調査により、病気にいたるまでの原因が見えてくることや、家族も知らなかった本人の素顔が発覚することがあります。
そして、押川という第三者が介入することによって、本人にとっても、家族以外の他者との人間関係が構築できるのです。
移送対象者となるのは、「明らかに医療を必要とする状態にありながら、自発的に受診・入院しない方」です。
- 「誰かに監視されている」「盗聴されている」などの被害妄想が原因で、電気製品を分解したり、実際に業者に盗聴器検査を依頼したりするなど、常識を逸脱した行動をとってしまう
- 幻聴・幻覚・妄想が原因で空笑(周囲の状況とは無関係に一人で笑っている状態)や独語がひどくなり、家族とも会話が成立しない
- 長期間入浴をせず、身繕い等にも支障をきたしている
- 刃物等の凶器類を振り回すことがある
- 明らかに薬物を乱用していると思われるが、所持の証拠や、尿検査による陽性反応がなく、警察も対応ができない
依頼内容、対象者の状態を簡単にうかがい、面談日時を決めさせていただきます。
来社していただき、詳しいお話をうかがいます。
移送プランやスケジュール、契約金などをご提案いたします。
契約については、家族(とくに両親の間)での意思の統一を図っていただきます。
契約時に契約金をお支払いいただきます。
対象者の病状、成育歴、家族との関係、趣味思考、友人関係、異性関係などを詳しくお聞きします。
所要時間は数時間で、数回に渡ることもあります。
時間のとれない方、遠方にお住まいの方は、電話やメールでお話をうかがうこともできます。
対象者の生活状態、行動パターン、居住環境の視察、病院までの移送ルートの確認などを行います。
本人を説得ののち、安全かつ速やかに医療機関におつなぎします。
自傷他害行為によって本人や家族が傷つけられることを防ぎます。
入院により、家族との人間関係が悪化しないよう、本人との会話にも細心の注意を払います。
移送当日に患者が不在という事態が生じないよう、前日もしくは前々日から、自宅付近でスタッフが待機します。