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卓上四季

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シャラップ!

その瞬間、会場はシーンと静まりかえったそうだ。スイスで開かれた国際会議で、日本の代表の口から「シャラップ!」という言葉が飛び出したからだ▼この「シャラップ」とは「お静かに」という意味には取られない。けんか腰で「黙れ、この野郎!」といったニュアンスになる。拷問禁止に関する国連の委員会で「人権人道担当大使」の発言である。不適切極まりない物言いだ▼アフリカの委員から日本の刑事司法について指摘があり、説明していた時に笑いが起きた。これにかちんときたようだ。大使は東大出身で、ポーランドやオーストラリアの大使も歴任した。エリートに属する人物だ▼この国で指導的立場にある人々の非常識な発言が、世界の批判を浴びている。イスラム諸国のことを「けんかばかりしている」とけなす東京都知事。「従軍慰安婦は必要だった」が持論の大阪市長。「日本には韓国人の売春婦がうようよいる」と言い放った国会議員もいる▼世界を相手にけんかを吹っかけているかのようだ。安倍首相肝いりの教育再生実行会議は先ごろ「世界で活躍できるグローバル・リーダーの育成」を提言した。だが内容は、まず英語教育の充実をというお手軽さだ▼この際、知事や市長、議員、大使を対象に「謙虚」と「常識」を学ぶ講座はどうか。これ以上、日本の恥を世界にさらさないためにも最優先で。2013・6・30

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