あたご衝突事故:自衛官2人、2審も無罪 東京高裁

毎日新聞 2013年06月11日 13時36分(最終更新 06月11日 23時45分)

衝突したイージス艦「あたご」(奥)と二つに折れた漁船「清徳丸」=千葉県・野島崎沖40キロ付近で2008年2月19日午前8時57分、本社ヘリから岩下幸一郎撮影
衝突したイージス艦「あたご」(奥)と二つに折れた漁船「清徳丸」=千葉県・野島崎沖40キロ付近で2008年2月19日午前8時57分、本社ヘリから岩下幸一郎撮影
清徳丸の航路を巡る主張・判断の違い(イメージ)
清徳丸の航路を巡る主張・判断の違い(イメージ)

 海上自衛隊イージス艦「あたご」の衝突事故で業務上過失致死罪などに問われた自衛官2人の控訴審判決で、東京高裁は11日、無罪とした1審を支持し、検察側の控訴を棄却した。井上弘通裁判長は「あたご側に回避義務があったとは認められない」と指摘した。

 無罪判決を受けたのは、あたごの当直士官だった後潟(うしろがた)桂太郎(41)、長岩友久(39)両被告。

 衝突に至るまでの漁船の航跡が最大の争点だった。1審・横浜地裁は2011年5月、検察側が主張した航跡を退け、一定の幅を持たせた航跡を独自に作成。仮に検察側の主張に近い西側を航行していたとしても、2隻がそのまま進めば衝突する位置関係になく、あたごに回避義務はなかったと判断した。

 これに対し井上裁判長は「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の原則を踏まえ、「被告側に最も有利な(衝突する恐れが低くなる)東側の航跡で判断すべきだ」と指摘し、漁船が右に進路変更するまで衝突の恐れはなかったと認定した。さらに1審が「不明」とした漁船の進路変更の理由については「あたごの進路を見誤った可能性がある」と推測した。

 事故当事者の行政処分などを決める海難審判では、横浜地方海難審判所が09年1月の裁決で、あたご側に事故の主因があったと認め、所属部隊に安全航行の徹底を求める勧告を出しており、刑事裁判とは異なる判断をしている。【山本将克】

 東京高検の青沼隆之次席検事の話 主張が認められず残念。判決内容を十分に精査し、適切に対処したい。

 河野克俊・海上幕僚長の話 改めて吉清さん親子のご冥福をお祈りし、引き続き再発防止に万全を期したい。

 【ことば】あたご衝突事故

 千葉・野島崎沖で2008年2月19日未明、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突。漁船船長の吉清(きちせい)治夫さん(当時58歳)と長男哲大(てつひろ)さん(同23歳)が死亡した。横浜地検は09年4月、「衝突防止義務を怠った」として業務上過失致死罪などで当直士官だった自衛官2人を起訴した。

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