福島第1原発:溶融核燃料取り出しを1年半前倒し
毎日新聞 2013年06月10日 21時49分(最終更新 06月11日 00時36分)
東京電力福島第1原発の廃炉工程表について、政府と東電は10日、1〜3号機の溶けた核燃料の取り出し開始目標を最大で約1年半前倒しし、2020年度上半期までに始めるなどとした改定案を発表した。各号機で作業着手の手順を定め、作業の効率化などで工程を短縮。しかし、炉内の状況を把握できていないなど課題も多く、実現性は不透明だ。
改定案によると、米スリーマイル島原発事故(1979年)を参考に11年12月に示された現行計画を細分化した。核燃料を取り出すクレーンを設置する原子炉建屋の耐震性や溶けた核燃料の状況、作業に必要な除染、ロボットなどの技術開発も考慮した。
その結果、1、2号機は最速で20年度上半期で溶けた核燃料の取り出しを開始できるとした。ただし、建屋の改造がうまくいかなかった場合などには、1号機は22年度下半期、2号機は24年度上半期としている。
一方で3号機は昨年9月にがれきが使用済み核燃料プールに落下し、核燃料取り出しが当初目標の14年末から15年度上半期に後退。この影響で溶けた核燃料の取り出し開始は早くて21年度下半期となった。建屋改造が計画通りに進まないと、23年度下半期にずれる可能性があるとしている。
東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は10日の記者会見で「炉内の状況の把握や、新たな技術開発の必要があり、不確定要素が多い」と話した。工程表は全体を3期に分割。廃炉までは現行計画が策定された11年から30〜40年かかるとしている。【鳥井真平】