肥満薬:治験で不正か…身長、体重を虚偽記載 大阪の病院

毎日新聞 2013年06月30日 20時58分(最終更新 06月30日 23時45分)

肥満症治療の市販薬の開発で、臨床試験を実施した千本病院=大阪市西成区で2013年6月30日、川平愛撮影
肥満症治療の市販薬の開発で、臨床試験を実施した千本病院=大阪市西成区で2013年6月30日、川平愛撮影
肥満症治療の市販薬を巡り、国への承認申請を取り下げた小林製薬=大阪市中央区で2013年6月30日、川平愛撮影
肥満症治療の市販薬を巡り、国への承認申請を取り下げた小林製薬=大阪市中央区で2013年6月30日、川平愛撮影

 肥満症治療の市販薬の開発で、大阪市西成区の医療法人大鵬会・千本(せんぼん)病院が実施した臨床試験(治験)のデータに改ざんの疑いがあることが30日、分かった。治験には病院職員6人が参加し、4人の身長が実際より低く記載されるなどしていた。治験条件に合わせるため、被験者を肥満に見せるよう偽装した疑いがある。開発した小林製薬(本社・大阪市中央区)は今年3月、国への承認申請を取り下げる事態になった。

 同社によると、治験は2010年4月〜11年3月、薬の効果と副作用など安全性の確認を目的に、千本病院と契約して実施。計画では、身長と体重で肥満度をみる体格指数(BMI)が「25以上35未満」の72人を対象に、1日3回4錠ずつ毎日服用し、4週間ごとに身長と体重、腹囲を計測、血液も検査する。千本病院に依頼したのは、治験施設支援会社、サイトサポート・インスティテュート(SSI、本社・東京都)から紹介されたからだという。今回の肥満薬は、小林製薬にとって初めて治験が必要な医薬品だった。

 治験終了後の11年11月、同社は市販薬として製造販売の承認を国に申請。しかし、12年9月、報道機関の取材でデータに疑義がある可能性を把握し、申請を取り下げたという。

 同社が確認したところ、被験者には病院職員も参加していたほか、10年6月の治験のカルテや症例報告書では、参加した職員4人の身長が、同時期の健康診断の記録より約4〜10センチ、低く記されていた。結果、4人のBMIは健康診断では23.44〜26.61だったのが、28.34〜30.35まで上がったという。1人は60キロだった体重が、治験では70キロとされていた。

 同社が、治験の責任医師だった千本病院の当時の内科部長に聞いたところ、「身長を測ったのはSSIのスタッフ。私は転記しただけ」などと説明したという。小林製薬によると、治験は当時の院長も補佐したという。

 千本病院によると、当時の内科部長と院長は昨秋、退職。病院は30日、「真実の解明に努めたい」とのコメントを出した。SSIの本社や大阪オフィスは30日、不在だった。

 BMIは、国際的に肥満度を示すために使われている指標。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割って算出し、日本肥満学会の判定基準では「25以上」を肥満とする。小林製薬は病院側に被験者のBMIが偏らないよう要請していた。

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