成年後見:弁護士が悪用 被害総額5000万円のケースも

毎日新聞 2013年06月07日 02時34分

松原容疑者が女性の親族から借りた3000万円の契約書類(一部画像加工してあります)
松原容疑者が女性の親族から借りた3000万円の契約書類(一部画像加工してあります)

 成年後見人の立場を悪用して高齢者や障害者の財産を着服する弁護士の摘発が相次いでいる。被害者側が不正に気付かず、着服額が膨らむケースも多い。東京地検特捜部が再逮捕した元東京弁護士会副会長の松原厚容疑者(76)の事件では、被害総額が約5000万円に上る見通しであることが関係者への取材で分かった。再発防止に向け、日本弁護士連合会は監視態勢の強化を決めた。

 「非常にまずいことをした。土地を売って弁済するよ」。逮捕前の4月下旬、松原容疑者は記者にそう弁解した。

 精神疾患のある50代女性の成年後見人として財産を管理していたにもかかわらず、預金を着服した業務上横領の疑いがもたれている。東京都大田区の自宅は、電気やガスが止められ、部屋に日本酒の紙パックが転がり、すさんだ暮らしぶりをうかがわせた。

 松原容疑者は不動産投資の損失を抱え、着服した金は穴埋めや借金返済に充てたとみられる。

 関係者によると、これまでに立件された3400万円のほかに、女性の別の口座から千数百万円を着服した疑いが強く、特捜部が捜査している。

 女性の親族は2008年、松原容疑者から「事務手続きに必要」と言われ、3000万円を貸したという。期限は1年後だったが、返済はまだ約400万円。親族は「肩書を信用し過ぎた。弁護士に多重債務者がいないか監視する制度が必要だ」と憤る。

 日弁連は5月の定期総会で、不正が疑われる弁護士の通帳記録や出金使途の調査権を所属弁護士会に与えることを決めた。中西一裕・前事務次長は「弁護士会の調査が遅れ、事件になるケースが目立つ。被害を未然防止する態勢が必要」と話す。

 最高裁によると、弁護士や司法書士が成年後見制度を悪用した事件は昨年末までの2年半に24件、総額約4億7000万円の被害が確認されている。【島田信幸、近松仁太郎】

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