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[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  (リリカルなのは+オリ他、再構成、ネタ)
Name: HIMS◆49f6f03a ID:d9fe59bd
Date: 2010/06/04 00:44
前書き

こんなテスト板でグズッてた駄文を待ってて下さった皆さんに感謝の意を表します


先に断りますがコレは私の妄想のカタマリで書く時はデムパ受信モードなので細かい事は無視してください。
しないとだんだん頭が痛くなると思います。と言うか書いてる自分が頭いたいw


2010/06/03 追記

本当にゴメンナサイ。
冗談抜きで死ぬほど忙しい状況が続き執筆のしの字も出来ていません。
沖縄日帰りとか東北日帰りとか、朝の便で飛んで夜の便で戻る移動って頭おかしいとしか思えない。

現在、破綻しかけたシナリオに気付き全面的なリテイクを始めています。
進捗はコンマの世界でしか進んでいませんが、完了後には一気に再投稿を行いたいと思います。

とりあえず赤っ恥な誤文は無くしたい。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第一節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:25


『っ。ど、どうなったんだ?』
爆発直後ブラックアウトした意識が戻ったが体がまったく動かないし、今一状況がつかめない。
記憶が確かならヘッポコな修士上がりたてのボウズがメンテナンス途中の炉に誤って火を入れたのを収めるべく孤軍奮闘して・・・
『そうか、トチッたか』
炉心からあふれ出る膨大なエネルギーが研究所ごと消し飛ばすその瞬間まで俺はその場にいた筈。
『・・・ってのになんで俺は生きてる、あの熱量なら間違いなく影すら残さず蒸発だろ』
ようやく視界が開けてきたがどうやらここは病室らしい。だが何か違和感がある。
『BC兵器が使われた訳でもないのに何でケージの中に収められてるんだ?ってか何だこの花柄な壁紙は』
昔、親戚の子供が生まれた際に見たNICUそのものだ。
待てよ、このネタは何処かで見たぞ。


あぁそうだ二次創作のテンプレじゃないか・・・って冗談じゃねぇ。30過ぎのイイ年扱いたオッサンがコレかよ。


よりにもよって典型的二次創作ネタ『転生』若しくは『憑依』をカマシた事に気づく。
が、もうやっちまった以上手遅れだ。流れに身を任せるしかない。
起きた事に気づいたらしい看護士が近づいてくる。
(前に虫垂炎で入院した時に看護婦って呼んで屈強な白衣のお兄さんに掘られそうになったのは良い思い出だね)
先に断っておくが俺にナース属性は無い。どっちかと言えば冥土さんのほうが良い。喫茶店にいる奴は断固否定してやるがな!
「ん?あれっ、起きたの!?って大変だ!先生呼んでこなきゃ」
どうやら昏睡状態だったらしい。うん、ここまでテンプレ通りだと精々するな、ウン。

それから数時間程、こっちがグッタリしているのも無視してあーだこーだと体中を弄り回される。
ってソコなに指先光らせてる!!何だその何処かで見た事がありそうな魔方陣っぽいの!なんか嫌な予感ビンビンデスヨ?

疲れきって一眠りしていたらしく起きた時、居たのは誰かの腕の中。
目を開けると濡れた烏の羽のような黒髪と茶色い瞳のおねえさんの顔と、絵に描いたような北欧系な金髪碧眼のニーチャン。
とてもミスマッチな感じだがこの二人が両親だろう。所でオトウサマ(?)よ、何でそんなに泣いてらっしゃるので?
「ウウッ、本当に、本当によかった」
「本当にね。あなたが足滑らせてこの子を抱いたまま階段から落ちていなければこんな事にはならなかったのにネ」
・・・OK、把握した。こいつが元凶か。
ってオカアサマよ。そんな黒オーラ全開で苛めるな。ガキの前で教育に悪いぞ。俺じゃなかったらトラウマ確定だな。
ついでに突っ込んでおくと萎縮して涙に鼻水ダラダラで顔がグシャグシャなってるぞ、あんたの旦那。

グダグダな夫婦喧嘩を聞き流しつつ今後について考えるとして・・・
『まずあの医者とかが指先光らせていたやつだ』
あんな現象、所謂「魔法」とか「超能力」としか考えられない。
だが今まで確認出来た範囲でどう鯖を読んでも21世紀な地球の先進国、それもかなり高度医療が出来る施設に似ている。
さっき打たれた注射だって無針・無痛だったのに打たれた量は10mlとかなり多い。
ガス圧型であの量を静脈に仕込むのは実用的じゃないしモチロン痛い筈。
医療現場のこんな末端作業でコレだけ進んでいれば他の分野でもかなりの物だろう。
って事はそれなりに科学と神秘が融合しているか、アホらしいほど科学が進んで区別がつかなくなってるような世界って事か。
思いっきり中世レベルな某ピンクで虚無な世界やちょっぴりグロで物騒なきのこ世界とかじゃなくてホッとする。
まかり間違ってトゥクルーな御話にでも来た日にゃその場で舌噛み切っちゃうね、多分。

とりあえず今のままじゃ情報もヘッタクレも無い。退院するまでの辛抱だ。


あれから2週間、カテーテルの入ったままで違和感全開な下と付き合いつつ漸く退院と相成った訳だが
何とまぁ今の今まで自分の名前を知らなかった俺がここにいる。
「リシェイド君退院オメデトー!」
俺の名前ってリシェイドだったんだ・・・
「もうこんな所来ちゃ駄目だぞ?」
いや、言ってる意味は分かるがそれは自分の仕事も否定してるぞ。ソコの馬鹿看護士。


とりあえず転生先となったアーリーズ家がどんな所かと聴覚に集中すれば最初に拾えた地名らしき単語はよりにもよって「クラナガン」。
・・・OKOK、ここは一歩譲って白い魔王が君臨する世界に生まれたと諦めよう。
淫獣だってあれだけの犯罪をやらかしてなお趣味に没頭して生活できていたんだ。何とかなる筈。
だが問題はタイミングだ。遅かれ早かれスの字と数の子団対色物エース部隊の大乱闘が起きちまうこの世界だ。対応策のひとつは用意したい。

1歳過ぎのまだ未熟で小さな体をヨタヨタと家の中を放浪すると親父は一般の会社員であることが分かった。
『とりあえず親父は余程の事がなければ気にする必要性は無いか、かんばって働け、社会の歯車』
ついでにオヤジの名前はウォーレスらしい。何処にでも居そうだがその雰囲気と性格だと似合わないぞその名前。
「コラコラ、勝手に行っちゃ駄目だぞ。そうだママのお部屋にいこっか。クレア、入るよ~」
ウォーレスのオヤジに抱かれ、母親の部屋に突撃する男性陣。
フム、母親の名前ははクレアか。コレも似合わんといえば似合わんな。

「・・・何?今忙しいの」
チョッピリ殺気立ちながらこっちも見ずにデスクに向かって唸りをあげるクレアオカアサマ。
・・・アレ?もしかしてオレ、もうトラウマってた?
根性無しのオヤジはオレを置き去りにしたまま一瞬で退散、一人ではドアも開けられないので
決死の覚悟で母親に近づくオレとはえらい違いだ。

「ったく、ベルカ式のエミュレーションは別にいいけど何よこのカートリッジシステム。
私は専門外なんだからこっちに投げないでほしいわ。ただでさえ地上部隊は損耗率が激しいのにいい迷惑よ」

『デバイスでもいじってるのか?って事は技術屋か』

ふと足元にネームタグのような物が足元に落ちているのに気づく。たぶん局員証だな。
ミッド語って作中の内容から察すればほとんど英語そのままの筈だし単語ぐらいは拾えるだろう。
正体を知るのには丁度良い機会だし、どれどれ・・・

『管理局 地上本部 技術部 デバイス開発局 主任 クレア・アーリーズ 三等空尉』

うぉ、尉官様でいらっしゃいましたか。こりゃ頭が下がるわ。
オカアサマは管理局でデバイスマイスターとして開発局に勤めているって事か。
まぁコレだけ部屋いっぱいに機材そろえてりゃ誰でもその手の職だってのは分かるわな。ん?・・・

『魔導師ランク:空戦AA』

ちょ、おま。
AAか、オカアサマよ。前線組ならストライカーじゃねーか。しかもエリートな空戦組。
片や一応魔力はあるもののパンピーの旦那様、片や前線でガチバトルできる程の魔力持ちなオカアサマ。
う~む、接点が分からん。アニメやら設定集やら覗いて事情知るこっちとしてはマジでデバガメしたいぞ。


「~っ、あーもうイライラする!ってリシェイド、どうしたの?」
「(ヤベ、気づいた!?)ふぇ?パパと一緒に来たよ?」
「全くあの人は、息子の方が肝が据わってるって本当小動物ね」
オカアサマや、その意見にはオレも同意するよ。にしても傍から見たらマジきめぇな、今のオレ。
「なんかスッキリしないし息抜きでも、ってもうこんな時間か。リシェイドも一緒にご飯食べよっか?」
「(そういえば腹減ったな、丁度良いか)うんっ!」



そんなこんなで段々と状況も分かってきた。
今は新暦52年5月、自分の年齢はもうすぐ2歳。クロ助ことクロノ・ハラオウンと歳は変わらないのか?
第1期の本編すらかなり先の話だ。時間にソコソコ余裕がある。
ハラオウンつながりで目下最大のイベントは54年頃にあるであろうクライド・ハラオウン殉職を結末とする闇の書事件。
アレだけの大事になったんだ。おそらくミッドか近隣世界で物が起動したんだろう。
民間人もそれなりに被害が出ている筈だ、オカアサマみたいな比較的高位の魔力保持者は狙われかねない。
『と思いつつもこんな体じゃどうしようもないか』
事件発生時にオレは4歳、何を如何足掻いても自分の知識を生かす事は出来ないだろう。
個人的には平穏極まりない一般家庭の中で一生を過ごしたい。
前世の業?知らん、特技が生かせる学科を選んだ先に出会いがあって、その末路がああなっただけだ。

とりあえず出来るのは・・・

「ママー、パパちっさくなってるよ~?(純真な子供の真似ぐらい、か)」
「ふふっ。パパはね、ママが駄目だって言った事またやったから怒られてああなってるの」
「ゴメンナサイモウシマセンゴメンナサイモウシマセンゴメンナサイモウシマセン・・・」
『こんなハムスターニーチャン相手に何やった?マジで怯えてるじゃねーか』


「リシェイドも2歳になったし、そろそろ自分の世界の言葉ぐらいはお勉強しなきゃね」
「おべんきょう?」
「そっ、頑張れば頑張っただけやれる事が増えるのよ」
「そうだね。おまえはパパみたいになっちゃ駄目だぞ」
『自分で言ってりゃ世話ねーな、オヤジさんよ』
「ハーイッ!(タグの時にも思ったがミッド語ってまんま英語だよなぁ。うん、マジで楽勝だね。
伊達に前世は研究職で飯食ってませんよ。って事はベルカ語はドイツ語か?こっちもちっとは活けそう・・・か?)」

「ママ~、その本何~?(む、『簡単自作デバイスの作り方』!?なんと好奇心をそそる本っ!)」
「これ?昔ママが読んでた本なの。コレが今のお仕事のきっかけなのよ」
「ママのお仕事って?(そういえば本人の口から聞いた事って無かったな。保育所が管理局内だから丸分かりだが)」
「ママはね、悪い人をやっつける人の道具を作ったり直したりしてるの。リシェイドは興味あるの?」
「(OK、ここはオベンチャラ)うん!ママかっこいいし僕もママみたいな人になりたい!」
「あら、嬉しい事言ってくれるわね。でもまだ早いかな?」
『うぐっさすがに3歳児の格好じゃ厳しいか』
「クレア、リシェイドってもう普通に読み書きできるんだよ?君がちゃんと教えれば初心者本なら読めるんじゃないか?」
『うほっ、親父様ナイスフォロー!』
「あら、さすが私の子。頭は良いのね。ならしょうがない、大事に読みなさいよ」
「ウンッ。パパ、ママありがと!」


「パパお出かけ~?(キャスター&取っ手付ミドルバッグに予備の背広、典型的な出張スタイルだな)」
「パパ、ちょっとお仕事で遠くに行かなきゃ行けないんだ。4歳の誕生日がもうすぐなのに一緒にお祝いできなくてゴメンね」
「ホラホラ、パパに迷惑かけないの。ウォーレス、今度の出張は長いの?」
「うん、取引先の次元輸送船の運行に支障が無ければ一ヶ月もかからないぐらいなんだけど・・・」
『ボチボチ闇の書稼動開始時期だが・・・嫌な予感がするな』
「パパ気をつけてね?(息子からの忠告としておくか)」
「アハハ、大丈夫だよ。ちょっと寂しいだろうけどすぐに帰ってくるからママと仲良く待っててね」
「うん、約束だね?」
「そうだね、パパとリシェイドとの約束だ」


2週間後、オレは直視できない現実を味わう事になった。


『まさかこんな事になるとはな・・・』
「真に申し訳ありません。こちらの不手際で」
「ウゥ、どうしてっ!どうしてあなたが死ななきゃいけないの!?」
「奥さん、気を確かに・・・」
「ねぇ、パパどうしたの?(ったく、恨むぜ夜天の書の騎士さんよ。こんなヘマしやがって。仕事するならサクッとやれよ)」
「ッ、グスッ。パパはね死んじゃったの。もう起きないのよ」
『あんなに気強なオカアサマがこんなになるとは』
目の前には棺の中に眠るウォーレスすがり付いて泣き叫ぶクレアの姿。

事の発端は出張に出た1週間後、悪い予感はドンピシャで的中し『闇の書事件』が始まってしまった。
経過は把握してないが既にかなりの数の蒐集が行われたらしい。
管理局もボチボチ捕捉出来そうな所までいってた矢先、よりにもよって
ウォーレスの出張先である辺境世界まで一団は転移しやがった。

後は単純だ。一応コアを持ってるウォーレスが蒐集の目に遭い、
運悪くこの蒐集時に居合わせた新米局員が焦って撃った砲撃の流れ弾がコアにヒット。
よりにもよって非殺傷切ってやがったのが運の尽き。それが致命傷となって死んでしまったらしい。
スの字辺りがやりそうなクローン技術による偽装やらも疑ったが出張前にオカアサマにつけられた
胸元の噛み傷(御盛んな事で)があった事からやはり本人だった。

「管理局としてはウォーレス氏に哀悼の意を示すと共に遺族の方々には・・・「黙れ!」っ」
『うわ~、マジだよオカアサマ、マジで切れてる』
「グダグダ抜かすなこの無能ども!何であなた達みたいな愚図が現場張ってるの!?
私たち後方はあなた達を信じて無茶な要求に答えて物資の手配をしたりデバイスの整備をしてるのよ!?
それが何?こんな一人じゃ何も出来ないネズミみたいに臆病なウォーレス一人守れないなんて
あなた達それでも"海"の武装隊?守るべき者がこんな事になるだなんてあんまりだわ・・・ウゥッ」
『あぁ、本当に好きだったんだな。ウォーレスが。・・・って待ておい、クロノと身の上同じじゃねーか!?』


ウォーレスの葬儀から約一ヵ月後、予想外の人物がウチに来た。いや、想定出来なくは無かったが片隅の外だったな。
「どちらさ・・・ギル・グレアム提督!?」
「この度はお悔やみ申し上げる。少し上がってもよろしいかな?」
「え、えぇどうぞ」
『おいおい、グレアムのオッサンといえばかなりの大物じゃねーか、
って、したくないと思いつつ、ついに本編キャラと接触と思ったらこいつが最初かよorz』
男は引っ込め、でもロリも勘弁・・・ってほとんど対象外か、いても人妻!?

なにやら話し始めたらしいがどうやら今回の闇の書の顛末についてらしい。まぁ間接的だが旦那の仇と言えなくも無いし仕方ねぇか。
「・・・そうですか、最後の最後でウチと同じ境遇の方がまた」
「えぇ、私自身がトリガーを引く指示を下したのですから私が殺した事と同じです。そちらの家族からどう恨まれても仕方ありません」
「それで、今日は何でウチに?その話をするだけでは理由には弱いと思いますが」
『こんな状態でもしっかり状況を把握する辺り流石としか言えないね』
「いえ、こんな事になってしまったのもあって被害者遺族の方々の今後についてある程度お手伝いできたらと思いまして、
こうして一軒一軒回っているのですよ」
『・・・胡散クセェ。ハラオウン一家同様、ある程度意思誘導でもするんだろうな』
原作を見る限り、この人も含め管理局上層部は被害者や弱者の思考を言葉巧みに誘導する節がある。
本編主役級の面々ですらその節があったんだ。コレは気をつけるべきだな。

俺としちゃ三権分立がきちんと出来てない時点でこの社会そのものに問題あり過ぎだと思うんだが・・・間違ってるか?

「そうですか・・・ならひとつ相談が」
『ってオカアサマよ何を考えて!?』
「こちらに出来ることならある程度はお手伝いしますが何か?」
「いえね、こんな事なら魔法の知られていない世界で暮らした方が良いのかな、と」
「それは・・・」
「私自身管理局でデバイス開発をして身を立てていますし、なにより空戦AAのランク所持者です。
自分を否定するような話ですけどこう思うんです。"魔法が無ければあの人は死ななかった"って」
「・・・」
『こう来たか。あ~あ、グレアムのオッサンも渋い顔になって。まぁ言わんとする所はよく理解できる』
「ですからこの子には魔法のない世界で理不尽な力に怯えず育ってほしいんです」
『ってちょっと待て!露出狂テスタロッサ一家やスの字のごとくフラフラ飛び回る奴らが山のように居るんだぞ!?
必然的にミッドから離れるって事で自衛手段が必要になるのにどうするんだよおい』
「・・・分かりました。私の実家はそういった世界にありましてね。宜しければそちらを紹介しましょうか?」
「おねがいします」
『あれ?』

第97管理外世界、別称『ロストロギアと魑魅魍魎の巣(オレ命名)』移住確定・・・フラグ乱立か!?

『OK、開き直った。居るのかどうかは知らんが神さんよ、俺に喧嘩を売るとはいい度胸だ。
 大人しく慎ましくやって行こうと思ったがもう止めだ。
 覚悟しとけ、ミックミk・・・ゲフンゲフン、ギッタギタに引っ掻き回してやんよ!!』


でも白い魔王とその仲間達は怖いなぁ・・・出来ればスルーしたいなぁ・・・。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:30


やぁイラッシャイ、年甲斐も無く転生と憑依の間の子となってしまったリシェイド君(4さい)デスヨ?
どう考えても趣味としか思えねぇ使い魔持ちのヒゲ提督に紹介されて引っ越した先は第97管理外世界。
自分やオカアサマの名前とかを考えればヨーロッパ圏か?、って信じていた時期が僕にもありました。

でも、その年の7月、世界は俺を裏切った。

「ん?どうしたのリシェイド、そんな目で看板見つめちゃって」

なぁ、目の前に見えてる看板、どう見ても


『ようこそ、海鳴へ』・・・orz


フラグをこれ以上に増やせと?勘弁してくれ。あと観光協会さんや、寂れた温泉地のような看板はやめような。

そういえば最近になって最初に目覚める前の記憶が朧げに浮かぶようになった。

ウォーレスが高く抱き上げて頭打ったオレ(リシェイド)がタンコブ作って泣いてる様子。
クレアが四苦八苦しながら幼児食を作る様子。
家族三人で郊外の丘に上がってのんびりしている様子。

コレが本来のリシェイドの記憶なんだと感じながら、ふと今の自分と比べて違和感を感じ、そして気づいた。
・・・そう、あの時本来のリシェイドとオレが入れ替わった、いや『追記』されたんだと。
状況から察するにあの事故で魂とか精神だなんていわれる物に欠損でも出来たのだろう。
そのままではリシェイドの肉体は滅んでいたのかもしれない。だがそこに『オレ』というファクターが流れてきた。
生きるか死ぬかの瀬戸際なんだ。生きる為に、あるものは何でも取り込むのが普通だ。
だが『オレ』は強かった。まだ何年も生きてない子供が、コレでもかと神経をすり減らし社会の荒波に揉まれた
ヲタク臭ムンムンなオッサンの精神に勝てる訳が無い。・・・ハァ、なんか悪い事しちまったな。
まぁこうなった以上は仕方が無い。それに、既に『オレ』自身かなり肉体に精神が引っ張られてる。
現状じゃ文字通り『大人』にもなりきれないし体のごとくと行くわけにもいかん状況だ。
オカアサマの子供として十分に甘えて、先回りして危険を除き、精々親孝行しよう。

・・・あれ、もしかしてウォーレスの旦那、下手すると息子殺しか?
うっわ~、"俺"が引っ付いてなけりゃもしかしなくても今頃臭い飯食ってたんだな、まぁ死んじまったが。


と今後について意気込んでも、この身の上でどうこう足掻いたってたかが知れてる。
未成年、それも就学前なお子様には非常に選択肢が無いのが文明世界の理なんだ。
なら出来る範囲で、ベストは無理でもモアベターでやるしかない。
とりあえず情報整理、そして今後の基本方針だな。

1:時系列他の確認
前世で適当に流し見してた資料とかの情報が合ってれば57年に入ると高町家の末っ子、行く末は『管理局の白い魔王』となるなのは嬢、
来年6月だと『子狸+StSでは要らない子』八神はやて嬢が生まれる頃だ。
・・・パツ金の将来美人さん?アレは促成クローンだろ?猫ムスメリニスや狼っ子アルフの事を考慮すると
大体第1期開始の精々5年前程度にならないと生まれない。
って待て待て、冷静に考えれば実年齢は他の面子よりマイナス5歳・・・ヤッベェ、事実を知ってる筈でアレとなると、クロノのロリコン疑惑急浮上!!

そういえばムッツリロリエロノが訓練開始したのもこの頃らしいし、オレも準備を始めないと間に合わないのか?
スの字と数の子団もまだまだ関係無いし、とりあえず適当でも良いか。

2:自分と周辺の環境
引っ越した先は市内から離れ、郊外で売り地になってた山の中の別荘エリア数区画。
本編やSS、『原作』のうろ覚えな情報から考えるとリリカル本編関係者はおろか
存在がキ印な連中の巣窟である某さざなみ寮やセレブ街道まっしぐらなバニングスさんちの別荘、その他関わっちゃいけない人と関係の無い位置。
コレはプラス査定、高評価だ。ヘッポコグレアムでもやれば出来るじゃないか。
そういえばオカアサマはウォーレスに起きた一連の事件でウチに振り込まれた金の内、管理局関連のは全て熨斗付けて返金の模様。
『うん、あのときのオカアサマはマジで怖かった』
よっぽど管理局が嫌いになったんだな。あんなヘマした癖に表立っての処分は無いまま有耶無耶のウチに終わってる事を考えれば当然だ。
この世界へ移住するにあたり、辞表まで出してるのもそうだろう。

ちなみに収入源だが、流石にこの世界で職を求めるのが難しい事は理解していたらしく、
当面は通販型なフリーのデバイスマイスターで生計を立てていくつもりらしい。流石に開発局出身者ってのはそれだけでそれなりの名前になるみたいだ。
時間が過ぎて状況が落ち着けばこっちのプログラマなんかもやれそうな事を言ってた。まぁ言語がそっくりだし応用は利くだろう。
だがその頃にはマイスターの仕事も打ち切り。下手すりゃ外との繋がりその物も切るかもしれん。
とすれば現在の状況から見て猶予は精々2・3年。その間にオレ自身のコネを、他の次元世界とのパイプを作る必要がある。

3:今後の基本方針
さて本題だ。
今オレにあるのは前世(?)で溜め込んだ各種素粒子関連の理論と"趣味と対抗心と気紛れ"で開発した各種ビーム兵器の構造概念。
原作を見た事による、とりあえず情報面でのアドバンテージ。それと各種ネタ知識。ト○ビアなんか目じゃねーぞ。
あとは駄々こねて拝借した自作PCならぬ自作デバイス製作本。
う~む、やっぱりスバル犬やブラコンランスターもこんな本見ながら作ったのかね?
とりあえず一番重要なコネは無い。

だがオレには(まだって接頭語が付くのが悲しいが)通販がある!

前世(?)でPCパーツ買うのに利用したのと同様、デバイスパーツも通販で仕入れることは可能らしい。(簡単自作デバイスの作り方より)
最悪、演算系やエネルギー変換系以外は叩き売りのジャンクと無垢の素材、それと自前の知識で何とかなる筈。だが

『とりあえず先立つ物が無いのは痛いな。待てよ?別に物が無くても知識を売れば良いのか』

そう、オレにはこの世界と言う意味でなら少なくとも10年は進んでる技術についての知識が山のようにある。
オレが所属していた研究所で起きたブレイクスルーによる、エネルギー生成・増幅技術は時間的に考えて少なくとも数年は世に出てこない。
元ネタである、某相転移エンジンのアニメだってまだ放映前。猫かぶりを止めて一か八かあの研究所へ向かってみるか?
もしここ以外の世界の進み方が前と同じなら恩師の御平教授はまだ生きてて陣頭指揮を執ってるはずだ。
あの人ならオレが持ってる理論も理解して貰えるだろう、うまく協力を取り付けれればかなりのバックアップが見込める。
さらに言えばこの理論自体は、ミッド世界でも開発された形跡は無い。
魔法全盛になったおかげでミクロな物体の純物理的方向からは研究されずに放置されてるらしい。
魔力素子で干渉すれば中間子だろうがボソンだろうが何だろうが問答無用で操作できるってのが恐ろしい。
治金技術そのものは高いかもしれないが全て魔法という何でも有りな根幹で支えられているに過ぎない。
・・・あれ?某ゼロ魔の世界と同程度とまでは言わないがちと拙いんじゃないか?

あとは自分の身体能力か。
3歳になった時の検診で魔力量測定なる物があった。流石ミッド、魔法ありきな格差社会。本人曰く『下から数えた方が早い』ドアラだと案外下克上しそうだ。
この検診の結果、各種身体的なものは気持ち平均より上回ってるものの特に目立つ物は無く(当然だわな)
一応リンカーコアがあり、オカアサマの血を十分に引いたのか一応現時点でC+程度はあるらしい。
この時は『勝ち組か?』と思ったオレが馬鹿だった。

『リンカーコアの質が低く、出力・回復力共に訓練を受けてもAランクに届かない可能性が高い』
・・・あれ?無意味にオヤジの血も混ざってる?

嬉しいのか悲しいのか今一判らん。オカアサマも同じ心境らしく微妙な表情だったのをよく覚えてる。
だがここでふと気づいた。
『あれっ、出力・回復量は測ったがキャパシティと保存効率はどうした?』
リンカーコアの仕様、あと作中の演出から考えるに、どう見ても半永久的に魔力を完全保存する事はありえない筈。
蓄電池というよりは雑なつくりのキャパシタかコンデンサ、温度・磁界固定出来ていないフライホイール、もっと雑な表現だと穴だらけの給水タンクか。
(でなければ夜天式蒐集のようなブチ抜き技や純粋魔力砲撃でのコアへの直接干渉なんて説明が出来ん)
魔法全盛と言いつつやる事は笊だな。なら自分で検証するしかない。
ついでに言えばこの時点で最大出力や内臓量0からの回復状況も確認できていない。

『う~むやる事が多いな』

順序立てていくと
1:化けの皮を剥いで天才少年見参!
2:恩師御平教授と接触、資金源の確保
3:リンカーコアの詳細調査
4:自衛の為、専用デバイスおよびサポートシステムの用意
5:準備が整うまでは自分の存在を可能な限りミッド他管理局影響下では知られない様にする
『ここまでは必須。あとはケースバイケースか』
EX1:装備他が揃わず、準備が間に合わない状況によっては単独でミッド帰還。その場合は無限図書館に引きこもりも考慮
EX2:自身の存在がバレた場合は最悪スの字との接触もありうる、この場合は保身のため海鳴組とタップリとフラグ立ても必要
EX3:時間と物理的な余裕があれば古代ベルカを含めた主要魔術体系の解析か。知識はそのまま財となるのが基本だからな。
  もし間に合うのなら夜天の書のパッチを用意したって良い。
  管理局接触前に完全無害化できればアレだけの戦力がそのまま手札になる。

『1に保身で2に保身、34がなくて5に気まま。とりあえず30を無事平穏に迎えるのが目標だな。
ハーレム?魔王と付き合おうだなんて気概、俺にはありませんがな。"なのちゃん"だったら考えてもいいがまぁ在り得ないだろう。

スの字との接触は最終手段だ。手持ちの技術を提供すればあのキ印だ、門外だろうが相転移反応弾ぐらいは作れるだろう。
別に箱舟でチマチマやらなくても適当に無人世界でデモンストレーションして転移魔法とセットにして抑止力として公開してしまえばいい。
サイズも精々2tコンテナ程度、アルカンシェルよりよっぽど使い勝手がいいし何処でも展開できる。
ICBMに積んだ二桁Gt級水爆だって真っ青になる、防御・迎撃不能な超広域高速展開型戦略兵器の出来上がりだ。

まぁ情も湧いちまったし、大前提でオカアサマを泣かす事が無い様に気を付けないとな』

オレも甘くなったなぁ。
ともあれ、膳は急げだ。先ずは天才ッぷりをアピールするか。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:31


やぁ、ミンナ元気かい?オレか?オレはサイッコウに絶好調さハッハッハッハッ。
何がそんなに絶好調かって?フフン、予想以上に世間は刺激を求めてたって事さ。

アレ(前話)から半年。思い立ったら吉日と始めた
『リアルチヨチャン大作戦(仮)』が予想以上にトントン拍子で進行してるのサ!
いやね、初めは適当に入ったばっかり本編で名前も出なかった公立小学校でティーチャーを突付いた訳です。
テストがツマランとかこんな簡単な問題やらせるなとか、図書室の定期購読本に英文な『サイエンス』とか『ネイチャー』入れろとか。
実際にサイエンスを取り寄せてまだまだ突っ込みどころの多い論文に注釈付けて遊んだりとか。

・・・スンマセン、調子に乗りすぎました。

オカアサマは何事ぞと一ヶ月程挙動不審になったし学校のせんせいは腫物を扱う様になったし。
(それでも適当に付き合ってたクラスメイト達は変わらなかったのは不思議だ。こいつら免疫でもあるのか?)
こんな状態が始まって早半年、オレの扱いに困り始めた教育委員会に思いもかけない人からアクションがあった。
そう、コネのこの字も無い為どう接触したら良いか困っていた恩師御平教授から面談の希望が来たのだ!

どうやら暇つぶしに書き起こした、2年後に御平教授本人が書き上げるであろうプラズマ制御理論の論文を仕立て上げたのを
学校の誰かが研究所に送ったらしい。ウム、ナイスプレイだ。
(ちなみにこの論文、"俺"の時間軸じゃ奥さんの腹上で閃いたらしい。クソ、羨ましくなんて無いからな!)

『思いもかけずこんな簡単に次のステップに進めるとは予想外だ。1年はかかると覚悟していたんだが』
あれだな、日頃の行いが良いオレへのプレゼントって奴。・・・って自分で言ってりゃ世話ねーな。


そんなこんなで面談当日。
「しつれいします(さて、いよいよ本番だ)」
「どうぞ」

来賓室に入るとソコには在りし日の御平教授が座っていた。あのキモヲタっぷりはいつの時代も健在か。うん、汗くせぇ。
「君がリシェイド・アーリーズ君かい?」
「はい。私にどんな御用でしょうか」
とりあえず腹の探り合いといこう。この見た目なのに頭の回転は恐ろしいほど速くかなりのデキる人だ、気をつけねば。
「君が書いたという論文を見た。コレで十分かな?」
「・・・論文とはどの事でしょうか?私が書いたのは誰でも思いつきそうな子供の戯言ですが」
「ふむ、アレを戯言というか」
ウヘッ、目つきが変わりやがった。こりゃマジだな。
(この時は知らなかったが御平教授はこの頃スランプに陥ってたらしい。敏感になる訳だ)
「あれは最先端のその先を行く物だ。複雑極まりない素粒子物理学の最先端のパズルの一区画を攻略しかねない。
コレがどういう意味か分かるかい?」
「(ヤケに食い付きが良いな。攻めるか)自分が一番前にいるって事ですか?」
「そうだ。君は非常に面白い事をやってくれたんだ」
「はぁ。で、私にどうしろと?(さぁ、回答を返して貰おうか)」
「分かった。率直に言おう。ウチに来ないか?」
「ウチって言いますと国立研究所でしたか、そんな所へこんなクソ餓鬼を?」
「そのクソ餓鬼が最先端を突っ切っているんだ。第一人者の私が認めよう。間違いなく君は天才だ」


と、そんなこんなでトントン拍子に進んだ訳だ。
だが面談は終わっちゃいない。ってか終わらせちゃいけない。
「わかりました。お誘いに乗ります。取引ではないですがコレを見ていただけますか?」
漸く今回の本題『資金源の確保』に入る事が出来る。
用意した論文は、俺が研究室で最後にやっていた『動的球体強磁場結界型核融合炉』の実用化、この最終論文だ。
こいつは俺自身のオリジナル、もし前世のオレがこの世界にいたとしてもまだ工房にすらなっていねぇ。
俺が出してしまえば俺の手柄になる。あの頃はまだ将来について漠然としたイメージすらなかったからな。
「うん?・・・これは!?」
「以前から暖めていた超小型化を前提に考察した常温下核融合炉の構造論文です」
「冗談じゃない。完璧なブレイクスルーじゃないか!」
フフン、そりゃ寝る暇も惜しんで研究に勤しんで漸く完成するって所で死んじしまった"俺"の遺作だ。
こいつが完成すればMSだろうがASだろうがVFだろうが何だって作れる。

やっぱり漢は巨大ロボットだろ!
『憧れるなら作ってしまえばいい』
と何度頭に過ぎったか。

さて、ここからが正念場だ。キッチリ仕留めて資金源ゲットしなきゃな。
「この論文に使われている擬似空間圧縮関連の情報の一切をお渡しするとしたらどうしますか?」
「っ!?な、何故?」
「ウチは母子家庭です。それと今私は個人的な理由でまとまった資金が必要なのです」
「っ、なるほど、名は渡すが実が欲しいと。実にもったいない人間だね、君は」
「(顔色変えないとは流石教授、金より名誉優先は昔も変わらずか)はい。教授に入るパテントの20%もあれば」
「・・・まさかその為に一連の騒動を起こしたのかい?」
「(ちぃ、気づきやがったか、流石は教授だ)え、えぇ。こんなクソ餓鬼ではどんな物を出そうと評価されませんし
下手に出せば盗作されて成果をゴッソリと奪われるのが関の山です」
「ソコまで考えていたか。本当にすごいな。そうそう、その口調堅苦しく無いか?普段のままでかまわないよ」
「OK、ここからはフランクにいこう(後は適当に流せそうだな)」
「そうだな、だが私にもプライドがある。共同発表、持分は折半にしたい」

・・・あれっ?条件よくなった?

「教授はそんな条件でいいのか?世間の目もあると思うが」
とりあえず探りを入れよう。今までの経験だと世の中そんな都合よく行く訳が無かった。
「だからこそだよ。リシェイド君、君が表立って稼ぐには丁度良い条件じゃないのかい?」

むぅ、確かにそうだが余り表に出ると次元世界関連の問題が絡みかねん。
場合によっちゃこの世界から離れて二度と戻らない事も考えられる。
元々、この世界の戸籍がオレ達家族には無い。管理局のでっち上げ品で誤魔化しているに過ぎないんだ。
下手すりゃそこからオレはおろかオカアサマの事まで知られてしまうだろう。
最悪の場合、否応無く戻りたくないミッドに戻る羽目になる。流石にそれだけは避けねば。

「自分の身の安全とかを考えるとあまり好ましくないだろうが。なによりこの分野で飯を食って行く積もりも無い。
もっとフリーダムに人生を謳歌したいんだ。・・・早死にしちまったオヤジの分までね(ウォーレス、ここで活躍!)」
「そうか・・・分かった。なら君の事は匿名という形で共同発表、資金は変わらず半々で」
「(それでも十分目立つが仕方ない、ここで妥協か)わかった。まぁこの理論があれば擬似的な空間制御すら可能になるんだ。
ソコから派生する技術的進歩と特許の数々に付く価値は計り知れないだろう。オレとしちゃそれだけで十分すぎる」
『っし、交渉完了!コレで目処はついた。後は半年もあれば世界中から恐ろしい額の資金がオレの手元に流れ込む筈だ』

「だが何でソコまでして身を隠そうと?しかもこれだけの論文をブチ撒けて資金調達までするのにこれでは矛盾すら感じられる」
・・・っそこまで考えるか、まぁそれが当然だし仕方が無い。ブッチャけて文字通り"協力者"にしたほうが後々楽か。
元々想定の範囲内だ。これから先十二分に利用させてもらうさ。

「仕方ねーか、ここからはオフレコで、教授の腹の中に仕舞ったままにしてくれよ?」
「話すのかい?」
「その方が後々こっちも楽なんでね。・・・あんたは宇宙の外側がどうなってるのか想像した事は?」
「むぅ、まぁ色々考えた事はあるよ。職業柄その手の分野から意見を求められる事もあるからね。だが何でそんな事を?」
さすが素粒子学の第一人者、天文系からの御声もあったか。
「世界は無限に広がる時空の波の中に漂う泡沫のひとつに過ぎない。それが答えさ」
「っ!!まさか!?」
「あんたの予想通り、オレ、アーリーズ一家はこの世界の住人じゃない。遠く離れた別の世界の住人さ」
「・・・冗談ではないようだね」
『意外と物分りが良いな。まぁ素粒子理論の中には多世界解釈型量子演算システムなる物の研究もあるぐらいだ。
そっち方面にも明るいって事か。ウン、上々上々』
「とある世界じゃ彼此百年以上も前から次元の海に乗り出してる。ウチはそんな世界からここへやってきた」
「それだけの技術があるんだ。生活も便利だろうに何でまたこんな未発達な世界に?」

やっぱりそう思うよなぁ。ウチはそれ以上に深刻な理由がある訳だが。

「オレが片親ってのはさっきも話した通りだ。その原因が移住の理由なんだがまたその理由が特殊でね」
「特殊?」
「あぁ、そもそも次元世界へ揚々と乗り出せたのはそこの住人が先天的に世界に溢れる莫大かつ無尽蔵な精神エネルギーを
自在に汲み上げ、制御し、行使できた故だ。さて、精神エネルギーの俗称とは何だ?」
「まさか、"魔法"とでも言うのか?ハハッ、それこそファンタジーじゃないか」
オゥオゥ、苦々しく呆然と空笑いしちゃってさ。う~ん、こんな教授初めて見たぞ。
にしても頭の周りが良い人間を相手にすると会話が楽だな。オカアサマ以外じゃ初めてじゃないか?
「そう、ファンタジーさ。だが何処かの名言にこんな感じのがあったな。
『進みすぎた科学は魔法と変わらない』と、その世界じゃ名言の逆バージョンが起きたって訳だ」
「・・・ナルホド、進みすぎた魔法技術が一般科学すら底上げしたと。ならあの論文もその中のひとつかい?」
「いや、アレは完全にオレのオリジナルだよ。魔法で科学がいくら進んだってそれは魔法ありきだ。
極限までミクロな世界である素粒子の分野を広く深く研究するのに魔法は大雑把過且つ便利すぎて邪魔なだけだ。
あいつらはそれに気づいてない。だからこっちの分野は数段遅れてるという訳だ。まぁ魔法で現象その物は取り出せてるみたいだが」
あんな馬鹿共と一緒にしてほしくない。教授の方がよっぽどすごいと思うけどなぁ。
「聞けば聞くほど興味が湧くし幻滅もするな。で、そろそろ本題に戻って欲しいのだが?」

『あ~やべっ、脱線しすぎた。余分な事喋って無いよなぁ?』

「すまん、で、そんな魔法全盛な世界な訳だがそれによる犯罪もある訳でな」
「親父さんはその犯罪に巻き込まれて殺されたと」
「(まぁそう思うのが普通だけどな)いんや。オレのオヤジ、ウォーレス・アーリーズはそれを取り締まる連中に殺された」
う~ん、よくコレだけ顔色が変わるな。まぁネタが豊富だし仕方ないか。お、耳まで動かしてる。
「話を続けるぞ。オヤジはこの世界でもありふれてる所謂会社員で、ある辺境の次元世界まで仕事に出ていてな。
そこで魔力の汲み上げや変換、運用を司る"リンカーコア"を狙った事件に巻き込まれた。
リンカーコアに直接アクセスすればその人間が使える術式や技能、そして魔力その物を引き抜く事が出来る。
だが潰してしまうとその情報や魔力は拡散し蒐集できないから襲われた"だけ"なら精々昏倒して全治半月程度で済む」
「話がそれてるんじゃないか?なんで君のオヤジさんは死んだんだ」
「(ウンウン、話しやすいねぇ)リンカーコアが潰されたんだよ。よりにもよって司法機関の手でな」
「・・・君の言葉は聞いてるこっちからすれば驚きの連続だ。流石に疲れてきたな」
『まぁ歳も歳だし、内容もトンデモだもんな』
「襲われてそのまま蒐集されたなら良かったんだ。病院でちょっと寝泊りすりゃ治るんだから。
だが事もあろうにその現場に偶然居合わせた公僕の新米は隙が出来たと勘違いして
純粋魔力砲撃による相手のオーバーフローを狙わず、よりにもよって殺傷設定で魔力砲撃しやがった。
後は簡単だな。下手人には当たらず、それどころか蒐集のために表に浮き出て、しかも衰弱したリンカーコアごと被害者に直撃」
「・・・済まない、悪い事を聞いてしまったな」
オカアサマの前じゃ絶対喋れない内容だよ、未だ家族写真を見て涙流してるぐらいだ。下手すりゃぶっ倒れちまう。
「オレ自身も悲しいとは思ったがそれだけだ。あの人は好きだったが死んじまったモノはどうしようもない」
「君は本当に子供か?えらく達観してる節がある」
『おうおう、ここでそこまで踏み込みますか。まぁこれ以上の情報開示は危険だ。ボチボチお開きかな』
「歳相応じゃ無いとはオレも思うが一応まだ6歳児だぜ?そろそろお開きにしようか。流石に喋りすぎた」
「そうだな。色々と面白い事も聞けたし実りのある時間が過ごせて良かったよ。そうだ今後はどうするつもりだい?」
『あれ?言って無かったっけか』
「そっちからプッシュしてくれれば、今年にでも大検取って、来年には教授の前で手伝いぐらいはしてやるよ」
「そうか、なら文科省と教育委員会、学校には私と学会から一声かけておこう。では来年、大学で会おう」


『Yes!Yes!イーーーーーーーィヤフォーーーーーーーッ!!完璧ダゼーーーー!!』


と、思いのほかうまくいっちまった予算確保とその他オマケ。
研究所に進んでしばらく経ち、論文と特許の発表後、素粒子学会では大規模なブレイクスルーが、
ついでに社会ではエネルギー革命が起きて石油依存からの脱却がオマケで付いてきた。
メジャーがGとかに依頼しないと良いな~と思ってる小市民なオレ。
実際、中東各国他石油・天然ガス系ファンドの株が大暴落した上にアメリカなんかじゃ電力会社があっという間に倒産だもん、マジコエェ。

この3ヶ月後、リシェイド名義の口座に、為替レートが対140円だなんて時に約10億ユーロという桁違いな大金が流れ込んだのを見て、
国税局が慌て(ウホッ、いい所得税)たのはお約束。シッカリと税金は収めましたよ、えぇ。



いたいけな母子家庭からガッツリ奪うなよチクショウ。だから霞ヶ関のウマシカは嫌いなんだ。





[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:31

おーいえー、御齢8歳の俺様見参!
パープリンの国税共からガッツリ奪われるのに愕然としつつも健気に生きる、誕生日は6月なリシェイド君です。
あれは本当鶏冠きたね。税金ってのがこんな恐ろしい物とは思わなかったさ。母子家庭舐めんじゃねぇ!
・・・前世じゃ親孝行する暇も無く蒸発しちまったからな。いや、最後のアレが親横行か?マジで地球のピンチ救った(筈)。


さて、莫大ともいえる資金の調達の手筈が完了したのが3ヶ月前。ちなみにその手筈となった御平教授との会談が56年11月だったりする。
第一期開始まで後8年とちょっと。目下最大の問題である魔導師スキル取得とデバイス開発について邁進したい今日この頃。
クレア母さん(流石に黒オーラにも慣れた。良い事かどうかは疑問だが)も、さすがにアレだけの事をやればオレが色んな意味で普通じゃないって気づいたらしい。
御平教授との会談が終わり、手筈が整った日から数日たったあの日、母さんはオレを呼び止め問い質してきた。


「リシェイド、大事な話しようか」
「・・・うん(黒オーラ無しでマジになってる!?)」

居間のソファーで対面に座り、一言も話す事無く2分程過ぎる。

『ガクガクブルブルマジコエェヨォ』

普通の子ランスターも魔王の砲撃着弾寸前はこんな気分だったのだろうか。

「・・・ねぇリシェイド、あなた私に何を隠してるの?」
『!!?』
「隠すって?」
「そうね、あなたとこの世界に来て、この地に住んで、あなたはこの土地の学校に通うようになった」
「うん(どうする、どうするよオレ!?)」
「時々この世界の端末に向かって色々触ってたのは知ってた。最初は遊んでるのかと思ってたけど」

『あ、ヤベェ。デスクトップから論文のデータ消して無かったわ。OKOK、オレの自爆だ』

「まさかあんな理論に精通してるだなんて思わなかったわ。ミッドですら最先端の先にある次元のレベルよ、あれは」
「・・・(しかたねぇ、ばらそう。この人に迷惑かける訳にはいかねぇ)、だろうね」
「やっぱりそこまで理解していたのか。ねぇリシェイド。アレがどれだけ危険か分かってる?」
「知ってるよ。あれが一切魔力に頼らない重水ペレットさえ適当に入れれば半永久的に稼動可能な超高効率純粋核融合炉だって事ぐらいはね。
アレに使われている擬似空間圧縮・結界形成理論を応用すれば、闇の書を消し飛ばしたアルカンシェルと同じ規模かそれ以上の大量破壊兵器が簡単に作れる事も。
なによりミッドを含めた数多の魔法至上主義が蔓延した次元世界の殆どでは、あの理論に追い付くには越えられない壁がある事も」
「!!」
「でも、母さんが知りたいのはそんな事じゃないよね?」
「そうね。あなたの口から何を言っても驚かないようにはするけどはっきりと教えて。あなたは『何者』なの?」

『本人が望んでるんだ、これ以上困らせるのもアレだしな』
「オレはクレア・アーリーズの息子、リシェイド・アーリーズだ。・・・だがそれだけじゃない」
「ウン」
「母さんが見た論文も、さっき話した内容も、後から付加された物に過ぎない。そういう意味ではオレは母さんの息子じゃないのかもね」
「・・・っど、どういう事?」
『うっわ~、マジで涙目になってる。まぁ実の息子だと思っていた存在からからこんな言葉が出てくるんだ、当然か』
「4年前、父さんのヘマで意識不明になったのは覚えてる?」
「えぇ、全てがあの人との大切な思い出だもの。当然よ」
「あの事故で、多分本来のリシェイドの魂もしくは精神と呼ばれるような物に致命的欠損だ出来たんじゃないかな、オカルトっぽいけどこの際放置。
実際、詳しい事はオレは知らないけれど、たぶん峠というかかなりヤバイ状態だった日があったと思う」
「そうね、あなたが目覚める3日ぐらい前にフラットラインスレスレまで脳波が弱くなったってお医者様に呼ばれたもの」
「その時じゃないかな。死にたくない一心でその欠損を埋めようとしたんだ。周りにある物をかき集めて。
その時に多分、偶然にもこの知識の塊たる今の『オレ』が取り込まれたんだろう」
「・・・本来のリシェイドの意思はその情報量に負けて意識下にもぐったという訳?」
「いや、今オレの意志にはその、"本来のリシェイド"が同化してる節がいくつもある。
事実、その事故以前の記憶がちゃんと残ってるんだ。父さんと三人で丘へピクニック行ったり、
母さんが苦労しながらオレにご飯を食べさせてくれた事もちゃんと覚えてる。そういう意味じゃオレは母さんの息子だ。
ま、ちょっとチートなオツムが着いたって考えれば気も楽じゃないかな」
『さて、詳細は誤魔化しつつも大体のことは洗いざらい喋ったぞ。これでどうなる・・・・』
「何で今まで黙ってたの?」
いや、まぁ、ねぇ
「オレはね、イヤだったんだ。母さんが泣くのが」
「ぇ?」
「気が付いた時、目の前にあったのが慈愛に溢れ、心底安心した母さんと父さんの顔。
一番最初は戸惑ったさ。付加された知識とかけ離れたミッドチルダ。自分が何者なのかも分からない恐怖」
「ぅ・・・」
「でも、母さんと父さんの顔を見てホッとした。自分は守られているって実感した、暖かかったんだ。
そんな暖かい世界を壊したくなかった。母さんの子供だと証明する為にも守りたかったんだ」

「・・・ウゥ」

『チョ!?待て待て、何で急に泣き出す!』

泣いたままの母さんにそのまま抱きつかれ、身動きが取れない。ってなんか圧迫感ありすぎ!キツイって!
「ちょ、母さん苦しい。絞まってる、絞まってるって!」
「ゴメン、ゴメンね。お前を信じてやれなくて、駄目な母親で本当にごめんなさい!」
「(ったく、もうちっとフォローするか)駄目なもんか!母さんはオレの身を案じてこんな右も左も分からないような
管理外世界にまで来て立派にやってるんだ。それが駄目だなんて言わせない!
それよりオレこそ母さんの子供でいいの?
こんな、何考えているのかも分からないような奴なのに。そんなオレでも母さんの息子でいいの?」

あ~、うん。感情的になるとやっぱり引っ張られてるのがよく分かる。そのうちもっと引っ張られて、青臭く丸くなっていくんだろうな。

「馬鹿ッ!!」
オフクロさんや、耳元でそんな大声出さんでくれ。ヤバイ位に耳が痛いです。
「何て事言うの!?お前はリシェイド、あの人と私の間に出来た、たった一人の大切な宝物。誰がなんと言おうとお前は私の息子よ!」



ッ、やべぇ。ちょっとマジでグッと来たわ。やっぱ母親の愛ってのは偉大だ。・・・だけどな?

「ちょ、ヤベ、ほんとに苦しい、ギブッギブッ・・・アッ」
「え?・・・ちょっと。リシェイド?リシェイド?アレ?・・・!?ちょっと、ねぇシッカリして!」
えぇ堕ちましたよ。見事にカクッとね。だがブラックアウトしながら薄っすらと視認できた
涙目に慌てている自分の母親にちょっと本気で萌えてしまったのはお兄さんとの秘密だ。バラしたら誰であろうと絶対容赦しねぇ。



とまぁグダグダあった訳だ。ちなみにこの話には続きがある。しかもこっちの方が重要だ。


「で、リシェイドはどうしたいの?」
「うん、先ず母さんに言いたい。オレ達家族は魔法という理不尽な暴力から離れる為にこの世界に来た」
「そうね」
「だけど母さん、父さんが死んだ場所はどこだった?あの辺境世界に魔法文明があったかどうか死因が何だったか忘れたの?」
「っ!嫌っ、思い出したくない!!」
「母さん。辛いのはオレも同じだ。オレもあの人が好きだ、とても悔しいよ。だけど逃げちゃいけない、いい加減向き合おうよ」
「ぅ、うぅ・・・グスッ。そ、そうね、いい加減ふっ切れないとウォーレスに笑われてしまうものね」
「そうそう、父さんを見て散々小動物みたいだって笑ってた母さんがそんなんじゃ父さんの立場が無いよ」
「フフッ、言うじゃないの」
「やっと笑ってくれた。でさ、あの世界は辺境の無人世界で資源採掘ぐらいしかやってなかった。


だけどあそこで死んだ父さんも、闇の書の守護騎士も、トリガーを引いたウスノロ魔導師も外から来た存在だ。コレが意味するところは何?」


ハッとする母さんの顔。ようやく気づいたか。
「うん、母さんが気付いた通り、既にこの世界も含めかなりの次元世界が管理局の観測範囲内になってる。
ボチボチ4桁の大台が見えてきとかニュースでもやってた。という事は次元犯罪者が何時何処へ転移して一悶着起こしてもおかしくはないんだ」
「言われてみればそうね。全長500m近くある次元航行船がひしめき合い、長距離転送用トランスポーターが一日中稼動するような時代だもの。
私達がここに来たのと同じように簡単に来る事は可能なのね」

『父さんが死んだのは余程頭の回りを鈍らせたらしいな。聡明な母さんならハナッから理解していたと思ったんだが』

「だと思うよ?で、本題だ。母さん、オレに魔法とデバイスマイスターとしての知識を教えてほしい」
「理由を聞いても良い?」
「理由?理由か・・・うん。そうだな、自分を家族を仲間を友人を、『大切な人を守る』その為の力。それだけじゃ駄目かな」
「『大切な人を守る』為の力、ね」
「うん。闘って勝つ為の力じゃない。どんな理不尽にも負けない、守る為に戦う力が必要だと思う」
「大きな事を言うわね」
「今持ってる知識の方にこんなのがあったよ。何をするにも先ず必要なのは自分のパーソナルスペースを、『自分の居場所』守り通す力が必要だって。
それが出来なければ人は流され、理不尽に屈し、いい様に使われて最後には捨てられてしまうって」

コレはオレの持論だ。
社会の渦に巻かれ、頭が良いのか悪いのか判らない所謂『エリート』さんのいい様に使われて、何かあればスケープゴート。
出涸らしになるまで絞られればそのままカット、後は知らん振り。
日常だってそう、得体の知れないキ印な連中や、ヤの付く自営業の方々が何仕出かすか分からない。
そんな世の中でビクビクしながらおびえて暮らす?冗談キツイな。オレはそんなの嫌だね。
やりたい事があるならやれるように自分を磨けばいい。
やりたい事が無くても大切な物を守る力があれば後でやりたい事が出来たって何でも出来る。
社会の底辺にいる奴の半分はそれが出来ない奴だ。ナイフ振り回す暇があったらギリギリまで働いて少しでも貯蓄しろ。貯めた金で勉強しろ。
大学時代に会ったオッチャンなんて一度はホームレスになって空き缶拾いで何年か生き抜いた事さえあったらしい。
そんな人でも歯ぁ食い縛って這い上がって、"俺"が死ぬ間際にゃ何を如何したか年収云億オーバー、番付に乗るシャッチョウさんだぜ?

まぁ後の半分はマジで境遇辺りが原因で這い上がれないとか、冗談抜きでキツイ話になっちまうが。

「・・・」
「オレはそんな風になりたくない。死んでしまった父さんの為にも、この世の理不尽全てに負けない様になりたい」


ちょっとオーバーったか?でもコレがオレの理想。『保身』という形の、行き着く究極のひとつはコレだと思う。
何かの庇護下じゃ絶対に守り切ってくれる保障はされない。どこかで限界が来る。
だから"俺"は努力の末手に入れた頭脳で孤高を直走った。あの時のオレには誰にも奪われたくない夢があった。
御平教授の夢見た未来を"俺"が、最初に、この目で見る。そんな夢があった。
この夢は人類の行く末ですらある。事実、憑依後には一部だが実現し、世界はとんでもない事になった。こんなヤバいネタ、何時、誰に奪われてもおかしくなかった。


だからオレは追い付けない様な孤高の世界を突き進んだ。結局最後は、あまりにも理不尽すぎる力の前に屈した訳だが・・・アレは例外だよな?



「ふふっ、知らない間に随分大きな夢を持つようになったのね」
「当然!オレは母さん、クレア・アーリーズの息子だぜ?その辺で鼻垂れてピーピー泣いてるガキとは違うよ」




「・・・分かったわ。なら、本気で行くわよ。覚悟はいいわね?」
「う、うん」


もしかしてオレ、地雷踏んだ?




未だかつて無いプレッシャーが押し寄せてるのですが気のせい・・・じゃねぇ!!マジだよこの人!
あぁ、なんか背景にJOJOッぽい効果音がオカアサマの背景に見えてき・・・(以下検閲)



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:32


「ゼェゼェ。ちょ、待って。無理無理!」
「ホラッ、さっさと避けなさい!」

いきなりガチンコやってますが喧嘩ではありません。訓練・・・の筈。
母さんとの疎通から8ヶ月。ひたすら肉体強化と魔力負荷訓練に勤しんだのだが。

以下回想。
「そういえばリシェイドは私の『現役』時代を知らなかったわね」
「・・・言ってる意味が分からないよ」
「開発局はあの人と結婚してから移ったの」
「えっ?(おいおい、もしかして)」
「14時から彼是5年ぐらいかな、一時期は首都航空隊でトップ張ってたのよ。私」

『もしかしなくてもやっぱりか!!』

「す、すごいね(ちょ、冗談じゃねーぞ。本編組の化け物共と同じ穴の狢かよ!)」
「階級も一個上だったんだけどね、後方へ下がるに当たって『階級が高すぎるから無理だ!』って言うからわざわざ降格申請まで出したのよ」
「は、ハハッ(オカアサマは先代魔王様ってか!?)」

マジで勘弁してくれ。何でこんな化け物が俺の母親なんだYO!?

「さて、鍛えるに当たってとりあえず基礎体力と魔力強化から始めるんだけど、チョットこれ着けなさい」
渡されたのはシンプルなデザインのリストバンドみたいなのが4つ。言われるがままに両手足首につけた途端
「あ、あれっ!?」
強烈な脱力感と重圧が俺の全身を襲った、あと頭痛もかなり。チョットどころじゃねぇ、マジで洒落にならない。

「ふふっ、きつそうだけど我慢なさいよ。そのバンドはつけた人間の保有魔力に対して一定の負荷を加えるの。
その負荷で吸い上げた魔力を利用して全身に物理的な負荷もかけてるのよ。しかも負荷は可変1から99まで自在。とっても理想的でしょ?
母さんの父さん、お前のお爺さんね。
その人が色々なバインドの術式や、母さんの母さんが得意だった医療系の術式を研究して、改良した式を組み込んだ物なの。
私も小さい時にそれを渡されてトレーニングしたわ。父さんは術式研究が仕事だったけど趣味がデバイス製作で、その両方の集大成だったの。
結局、父さんも死んじゃってコレは形見みたいになっちゃったんだけどね。大事になさいよ?」
へ~、三代に渉った総合トレーニングツール、しかもかなり理想的だねぇ。代わりと言わんばかりに背負う物がちとキツ過ぎるが。
「じゃ、じゃあ、とりあえずこの状態で日常生活を送れとか?」
「馬鹿言わないの。この状態でミッチリとトレーニングするからこそ効果が出るんじゃない。
全身、文字通り筋肉はもちろん循環器や呼吸器、脳の演算に至る全てに負荷がかかってるこの状態で
トレーニングを積む事でようやく理想的な魔導師になる事が出来る。そういうのをこれからやるの」
チクショウ。どこの大リーガー養成ギプスだよ、オイ。
「とりあえず目標は1年で一般人の大人と同等ぐらいかな。最終的には一流とは言わないけど、
各分野のアスリートと匹敵出来るぐらいの身体能力と、私程度の魔力運用能力は持ってもらうわ」
・・・マジで勘弁。って待てよおい
「オレまだ成長期前だけど、そんな負荷かけていいの?成長遅れたり体が歪まないかな」
「あぁそれは問題ないわ。ホルモンバランスや神経系、栄養関連についてはそのバンドがフォローしてくれるから
摂取さえすれば必要な部位に常時適正量を回すから安心して倒れなさいね」

・・・おっかしいなぁ、オレは砲台、いやトーチカで十分満足なんだが。
以上、回想終わり。


とまぁこんな事があった訳だ。
で、至れり尽くせりな凶悪訓練ツールのおかげで、毎日筋肉痛と魔力枯渇で死んだ方がマシみたいなのを繰り返した。
もちろんマイスターとしての勉強もしましたよ。リソース渇々な状態の所へこれでもかって流し込んでくるんです。
こっちは見た目地味だから例を挙げても面白くないがとにかくきつかった。

んで、それがこの8ヶ月の間にあった話。大学合格後には堂々と負荷かけたまま教授の所に行って研究所に顔出しして紹介を受け、
方々へ挨拶に回り、時々研究に横槍入れたりもしてるがそっちはあまり関係ない。
ブッチャケこのまま疎遠になってもオレの今後に支障は無い。義理立てはするつもりだがな。


で、冒頭のシーンに戻るわけだが
「ちょ、この状態でオールレンジ高速機動スフィア12個同時は無理だって!って何だよその魔力砲身!?」
「無理じゃない!!さぁ、追加で魔力量B+、圧縮砲撃20連逝くわよ!」
「し、死ぬーっ!」

えぇ、ひたすら回避についての実践講義でした。まだデバイスもないし魔力量も未だB-程度。シールドもマトモに張れませんがな。

だが、魔力量については若干楽観視している。

実は訓練の合間に負荷を切って、リンカーコアについて母さんと話し合った。
「・・・という風に考えたんだけどどう?」
「そうね、確かにリンカーコアについての研究についてはまだまだ曖昧なのよね。
リシェイドの言う『穴だらけの給水塔』って表現も、極端だけどそれほど的外れじゃないかもしれない」
「実際、魔力炉みたいなモノから直接魔力供給を受けて無限砲撃を行うだなんてSSオーバー魔導師も記録には残ってる。
実績はあるし確認はしてみたい。オレとしてはリンカーコアの後天的付加・拡張も考慮に入れたいし、コレ関係の実験は色々と有意義な筈だと思う」
「面白いわその話。よし、母さんに任せなさい。カートリッジ数カートンと大容量魔力チャンバーさえあれば良さそうね?」
「そだね。それだけあれば実験には十分だと思う」
そう、前にも述べたがリンカーコアについてはまだまだ弄り様があるんじゃないかと言う事。
ようやくその実験の第一歩に踏み出せた訳だ。

実験当日、オレは母さん謹製の実験専用デバイスを手にし、カートリッジシステムを稼動させた。
デバイスの仕様は極めて単純。
カートリッジの魔力をデバイス内で完結させず、そのまま魔力チャンバー内で展開。
別ルーチンでチャンバーからオレのリンカーコアへ波長を合わせた物を流し込むようにし、
リミッターの代わりにいつもつけてるバンドと同じような魔力負荷がコンマ数パーセントだけかかるようにして、
コアがパンクしないようにしただけの代物。
各ルーチンの制御はおろか最初の機動すら遠隔で母さんが行うっていうから、実際に持ってるこっちは気楽なものだ。

カシャッと軽く乾いた音を立ててロードされていくカートリッジと共に、高揚感というか満足感が俺の中に広がる。
稼動開始時のオレの保持量は規定値からすれば80%ぐらい、カートリッジ一発で十分満腹の筈だが・・・
「1カートン消費したわ。これで総魔力量はAA+、私と変わらない程度か。凄いわね」
「もう1カートンいってみようか」
「そうね、でもキツくなったら直ぐに言いなさいよ。何かあったら大変なんだから」
「うん」
マガジンを交換し汲み上げを再開する。さて、これからが本番だ。

カシャ

「まず一つ目」
まだまだ余裕だ。乾いた体に染み渡る水の様に全身に広がっていく感じがする。
だがこれで理論上のAAAオーバーの魔力量が入った事になる。

カシャ

「二つ目よ」
まだ感じは変わらない。意外と楽にいけるんだなぁ。

カシャ

「三つ目ね。まだ大丈夫なの?」
「うん、まだいけそう。何かとっても気持ちいいんだ」

カシャ

「これで四つ目。本当に大丈夫なの?」
ようやくここで少し違和感を感じた。堰き止められたダムの水が溢れようとする感じか?
「母さん。ストップ」

「カートリッジ消費計16発。総注入魔力量320万。暫定だけどSは確実に超えたわ」
「・・・でも駄目だ」

そう、コレだけのカートリッジを消費してチャージしているのにコアからはどんどん染み出し、抜け落ちてる。
恐らく半日もしない内にオレ本来の魔力量まで減るのだろう。
実験の意味はあったが結局の所オレ自身の魔力不足についてはどうしようもない。
でも、コレは予測の範囲内だ。さて、アニメを見た"俺"と言うチートな知識をフルに使ってやろうかねぇ。
もし上手くいけば白い魔王だろうがオッドアイの王様だろうが正面からガチンコしても勝つ自身がオレにはある。
・・・と、自身はあっても痛いのは嫌だし怖いからやらないだろうけど。


凶悪極まりない砲撃の嵐を避け続ける事数ヶ月、オレも7歳になった。
「母さん。そろそろオレ専用のデバイス開発に取り掛かりたい」
「まだ早くない?」
「いや、魔力不足を補う為にも色々準備をしたいんだ」
「カートリッジシステムじゃ駄目なの?あらなら手軽よ。デバイス作るのがチョット手間だけど」
まぁ、普通ならそう思うよな。
「コストパフォーマンスと最大マウント数の問題もあるし、何よりデバイスや使用者への瞬間的な負担の大きさを考慮外とするのは駄目だと思う」
原作にもあった通り、術者への負担はかなり大きい。StS編で改良されたとは出ていたが
精々この間実験でオレが試した、間にチャンバーと同期回路を組んでAIで制御する程度だ、根本的な解決じゃない。
「それじゃあリシェイドは如何するつもりなの?」


ならどうすればいいか。オレが導き出した答えは
「・・・ユニゾンシステム。元はベルカの秘儀らしいけど無限図書館なら資料が残ってる可能性も高い。
リンカーコアの増設・拡張と魔力保持・制御用のシステムとして組めば散逸した穴抜けの資料でもたぶん開発は可能だと思う」

夜天の書?バッテンチミッコ?あんな多機能高性能機、『欲しいか?』と言われればば欲しいのだが、一民間人のオレにそこまで出来るとは思えない。
時間もそれほど余裕が無いし資料だって期待のレベルまで揃うとも限らない。とりあえずリンカーコアの拡張と魔力生成さえ出来れば及第点だ。
マトモなAIを組む必要はあるだろうが単独での稼動能力なんてそれほど必要ないし、ゆかな声見たく、リンカーコアに属性を持たせる必要も無い。
必要なのはオレの穴だらけなコアの目張りをする、云わば給水タンクの内壁シーリング材だ。
あとは外部からの魔力供給用バイパス回路と増設タンクがあれば問題ない。

「ユニゾンシステム?それに無限図書館ってあなた、」
「母さん。ミッドのスクライアか何処か、考古学系のチームに渡りをつけて資料の捜索依頼を出したい。報酬は前にこの世界で集めたお金があるからそこから工面する。
宝石やレアメタルにして替えて持っていけばかなりのレートで換金できるだろうしそれでやれないかな?」


「・・・フゥ、全くもう。仕方ないわね。確か士官学校の後輩に、『汝、書庫にて本を取れ』って空耳聞いたままドロップアウトして
そっち系に走った子がいたからちょっと聞いてみるわ。でも、良くそんな色々知っているわね。何処かで見たの?」


あっ。必要とは言えつい調子付いてベラベラ喋っちまった。仕方ない『作戦えっくす』発動!
「・・・母さんも知ってる物がユニゾンデバイスなんだけど」
「なにそれ?」
「闇の書」
「・・・え?」
「闇の書って表で動き回る守護騎士とその母体となる本型デバイスがあるんだけど、どうもその母体のデバイスってのがユニゾンデバイスらしいんだ」
「そう」
「それで興味をもってね。こっそり母さんの端末借りてネット上で色々調べたんだ」

まぁこんな所だろう。久しぶりに焦ったな。



だけど、まだまだ時間はかかりそうだ。それに"炉"もまだ準備できていない。
だが、既に種はまいた。御平教授に頼んで顔出しもした。設計完了次第発注するだけだ。

・・・プレシア、スの字、後その他色々の有象無象共。日本の、従業員50人未満の町工場の恐ろしさ、とくと味あわせてやる!




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第六節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:32

母さんに切り出してから早1年。着々とプランは進行している。

無限図書館の探索はかなり大規模でしかも公にはしないでコソコソと資料を穿り返している。民間にも公開してるってのは有難かったね。
本一冊じゃなく、データベース一つで一点のカウントという、何ともヒトを甞め腐った資料の量は流石に愕然としたが、それでも思いのほか成果が出ている。、
あ、そういや定期レポートでしか知らんが母さんのコネで編成した無限図書館探索班、一体どんな連中なんだ?
よりにもよってチーム名が『ミッド無限図書館部』だぁなんて、某漫画に影響されてる事間違い無しな名前付けやがって。
スタッフ一同の顔写真寄越させたらたぶん見覚えのあるようなのばっかりなんだろうな、アホ毛触覚とか紐パンとか目隠しヘアとか。
んで当然と言っちゃ当然なんだが検索ターゲットがキッチリ定まってると探索も早いのね。
キーワード『夜天』『ベルカ』『ユニゾン』『蒐集』『転移』『アーカイブ』『辞典』『データベース』。
恐らく後実装であろう守護騎士システムや『転生』『闇』『666(ページ)』等、現行の仕様が複数絡む場合は除外。
前述のキーワードが複数合致する技術系の物と限定したらアッサリ出てくるでやんの。
既に観測レポートのような物はかなりの数が出揃い、今現在で資料の数は既に3桁にもなった。
やっぱり報酬が半分インセンティブ式ってのは大きいな。やる気の出方が違う。
肝心なソフト側の資料はまだまだ少数だが、何故かヴォルケン・リッター各員装備のデバイスデータまで発見されたと云う呆れる結果も出てきてる。
この勢いが維持されれば、もう1年もあればオリジナルのソースコードすら出かねん、と言うかデバイス関連の資料多すぎ。
期待はしないでおくがもし出ちまったら対闇の書想定でバグフィックス用パッチでも作るか?
おもっきり本編介入する事になるがコレに関しては事情が事情だし仕方あるまい。その時はせいぜい子狸弄ってやんべ。


ったく、何処のバカだ?何も考えずに『ネ○ま』輸出したAFOは。するなら『CCさ○ら』にしとけよ、色んな意味で平和だから。
ん?何処ぞの禁書目録?アレは駄目だろ。スの字がISで再現したらマジで洒落にならん。対抗するには本人共が必要になっちまう。


・・・にしても、だ。こうも簡単に資料が集まると本編の淫獣って対無限図書館については本当に必要なのかマジで疑問だな。
今回の探索にしたって、人員の半分は母さんの後輩とその仲間だが、
向こうから今回の作業には数が明らかに足りないと連絡が来たもんで残りは急遽集めたパートさんバイト君ばかりだ。
だが適当に雇用平均給与(クラナガンとその周辺の平均給与)の時給計算でそれに色(2割増)つけた半分、
あと半分+の部分はノルマとインセンティブ形式な半出来高型にしたら、適当に求人広告で集めた人間でこの成果だぞ?

そういや現地の話だと『司書邪魔』が合言葉らしい。司書って基本受動的な仕事だもんで自分から仕事探せないんだとか。

って事は、だ。指示できる余裕がある奴なら誰でも良かったんじゃないか。アレ?もしかしてユーノも要らない子?
少なくとも俺の生まれちまったこの世界で考えれば第2期までは要らねぇな、ウン。だって資料揃ってるもん。
あぁ、事の発端もあいつか。って事はマジで淫獣以外何者でもねぇぞ。なんて羨まゲフンゲフン忌々しい奴め。





国立研究所、御平研究室。ここでオレのデバイスのコアユニットの研究・開発が進められている。
日本全国に散らばる、超と接頭語のつくようなスキル持ちの職人が1/10000ミリ以下の誤差で作った各パーツがここに集まり、
詳細は明かさず、とりあえず適当な口の堅い学生をいくつか使って組み立てを行う。

ま、デバイスのコアとは別の案件も同時進行していてその作業に混ぜてるだけだし、
これといって問題にもならないだろう。それに最終的な部分は仕様上母さんの工房でも借りなきゃ出来ない作業だ。
バラバラの訳の分からんパーツを見てもデバイスマイスターの知識がなきゃ判りっこない。
デバイスの事を知ってるのは御平教授だけだ。どうとでも誤魔化せる。
このコアユニットと、設計中のオプションユニットさえ完成すればありとあらゆる戦況に対応可能だ。

とまぁ、計画はそれなりに進んでる訳だ。
現時点で、現場で組み立てている物は殆どが各ユニットの予備部品ばかりで
本体コアユニット用のマスターパーツは既に最終段階に入ってる。
「リシェイド君、それは?」
「これか?こいつは炉心中央に仕込む魔力吸い上げ専用の転送用魔法陣だ」
「ふぅむ、パッと見は童話に出てくるような感じだが良く観察すれば何処かで見たような数式ばかりだな」

オレは御平教授と共に核となるリアクターの開発に入った。
今回搭載する予定の魔力炉は全部で5基。
メインの一回り大きい物を除き、他の4基は全て各オプションパーツ等、デバイス側だけで大半消費してしまう予定だ。
この4基は既に理論が固まっている結界圧縮型融合炉の技術を応用し
外部の所謂『マナ』等と称される自然魔力素子を機械的にリアルタイムで汲み上げながら炉心に専用魔方陣で投入。
縮退状態からさらに飽和させて、最終的には臨界を越えて相転移させて結界内で極小の魔力ビックバンを起こし、
魔力投入に使ったのとは別の魔方陣を使って必要な魔力引き出す仕組みとしている。
魔方陣自体は逆流防止も兼ねて片道通行のみのチャンネルしか用意せず、炉自体は一度起動すれば後は生成する魔力の連鎖反応で半永久的に動く筈だ。
結界自体も三重水素の時のような磁場・電場で用意したチャチな擬似結界なんかではなく、
専用に書き起こしたシールド系やバリア系の術式で用意した魔術隔壁で物理炉心壁を保護した上で
時空航行艦内部等で使われている重力制御系の術式を応用して正真正銘の重力・斥力場結界を形成している。
反応が暴走しそうなら結界の形成係数弄って炉心内部にマイクロブラックホールを生成すればそのまま消え去っちまうって寸法だ。

中央に位置する予定のメインリアクタについては前述の『魔力素子相転移炉』をさらに一歩進め、
ソース側と称される取り込まれる魔力は4基の『相転移炉』の炉心からバイパスで直接空間ごと吸い上げて流し込み
擬似ビックバン状態の魔力素子を更に励起・圧縮して増幅し、もう一度この炉心で反応させるといった形式にしている。

コードネームは『ディメンション・ドライブ』、正式名は『魔力素子飽和次元根源型相転移炉』だ。
複数の魔力素子の飽和した仮想新次元空間を複数ソースに割り当てて
更に相転移させて高位の次元を生成するんだ。コレぐらいの名前はつけなきゃこいつが可哀想だな。

ちなみにこの炉心については前述で使われたセーフティの他、取り出し口となる魔方陣は7つに、重力結界は二重構造にしてある。
それとアイドル時は7つの取り出し口のうち3つは魔力が垂れ流しでも問題の無い適当な次元空間内の虚数空間の座標を標準で指定している。
戦況によってはこの3つを味方や自分のオプションに割り振りし、戦力の増強をする。
残りの4つが俺が常時直接操れる魔力になるって訳だ。この辺は簡単に切り替えられるから特に問題は無い。
更に言えば周囲のAMF濃度が桁違いに上がるなどして結合が阻害されてもそれ以上の出力での生成すら不可能じゃないだろう、
結界内と外界は完全に切り離されてるからデバイス内で完結した魔力運用も可能だ。
ちなみに、メインのディメンション・ドライブ1基だけで計算して、標準モードである反応レベル30%で生成量は120万/s。
これは管理局の巡洋艦クラスの動力炉1基分に匹敵する。戦闘状態に移行すれば出力は80%にまで跳ね上がり生成量は320万/sまで上がる。
このクラスだと現行の次元航行艦に積まれるサイズの魔力炉では存在しない。恐らくVX級が出る頃でも届かんだろう。
実際にはコレとは別にメインの4割程度の出力となる4基の相転移炉が稼動するから全体では最大で640万/sまで稼げる。
運用時はリアクタとは別に1基辺り50万の容量がある大容量チャンバー(カートリッジ2.5発分)を48基と接続して運用するから
最終的な運用可能魔力は3040万(カートリッジ換算でなんと152発分!)と言う計算になる。将来的にはチャンバーの拡張も考えてるからこれ以上の出力も狙える。
と言いつつも実際にはメインフレームの強度的な問題が、ノンオプション状態では出力系統の問題少々あって精々800万ぐらいが限界。
最大出力で砲撃しようと思ったら専用の特殊兵装を装備する必要がある。無論対揺り篭対策でプランには入ってるが。

時間はもう少しかかるが完成は見えた。テストで作った炉での実験も全て成功している。

ちなみに、御平教授にはリアクタとは別でAMFについての研究も依頼している。
冷静に考えてみれば魔力素子はあくまで精神エネルギーの媒体でしかない。
媒体である魔力素子は粒子なのだろうが、エネルギーは基本的に『波』だ。逆位相で干渉すれば簡単に消せる。多分コレがAMFの正体だろう。
リアクタを積んだデバイスを使う俺に関しては、別にどれだけ高濃度だろうが外界と隔離された炉かれ生まれる問答無用の極大魔力で無意味化出来るだろう、
だが他の奴にはちとキツイ、ならどうするか?
そこで着目したのがAMFと魔力素子の間で起こる反応だ。
劇中におけるAMFの展開の仕方や魔力素子に対する機械側の制御システム、空間内の魔力素子の挙動の仕組み、
キーワードや実験から導き出されたのは結界型干渉波という物だった。で、ネタさえ割れれば怖くない。

ちなみにAMF自体はリアクタの開発途中で行った魔力素子の制御系術式の研究中、
素粒子計測時のボソン系物質の制御と同じヤリ口で式を弄ったらアッサリ発生できた。
一度発生プロセスが判明すれば魔力を元にして生成する式に置き換える事も可能だ。
母さんはAMFについて知らなかったから驚いていたが、俺がアタマ良過ぎって事で(ジガジサーン!)置いておこう。
こうやって考えると如何にミッドにおける各分野の研究アプローチの方向が限られた状況なのかよく解かる。
凝り固まるのは良くないという、いい例なのかもしれないがコレすら評議会の言いなりでこんな状況になってるのかもしれない。
別の角度から見るならば、監査機構や学会の派閥形成にも問題が有るだろう。

「予想通り、魔力素子一つの持てるエネルギーの波形に対しAMFはかなり幅が広い。大体1:3で収束している様だ」

『情報と機材を提供して僅か1ヶ月で此処まで漕ぎ着けやがった。マジで天才だよこの人』
「って事はその計算に当てはまる干渉波をエネルギー多めでこっちからばら撒いてやれば」
「うむ、AMFはその干渉波と合成された結果で本来の魔力には干渉せずに消滅していくだろう」
「でも教授、作れますかね?」
「既に反応アルゴリズムも、魔力素子の相転移反応時に得たエネルギー関連データも解析済みだからそう難しくは無いな」
「・・・ならオレのオプションユニットのひとつとして組み込めますかね?」
「断言は出来んがデバイスの小型化処理と同様の技術を用いれば可能だろう。コレは私に任せなさい。
久しぶりに血肉沸き踊る研究テーマが手に入ったんだ。誰にも邪魔されたくないんでな。よろしく頼むよ」
・・・やべぇ、教授見た目汗臭せぇキモヲタの癖になんかエラくカッコ良いぞ。闘志凛々と輝いてやがる。


話は飛ぶがそれから3年後、教授からAMCS(Anti Magilink Counteract System)が完成したと連絡が入る事となる。
また、コレと合わせて大出力のAMF展開システムも開発された。これでスの字対策も一段落だな。



さて、着々と進むデバイス関連と比べ、俺自身の方は全く進展が無かった。
デバイスのコアユニットが完成しない事にはどうしようも無いとはいえチョッピリ問題になってきた。
「ちょっとリシェイドこっち来なさい」
「どうしたの母さん?」
「いや、ね。コレまで色々とお前をシゴイて来た結果、それが今かなりモノになってきた訳なのは分かる?」
そりゃ、最初は50%負荷だったのが今じゃ70%ですぜ。慣れた今だからこそ平気だけどそれでもかなりキツイ。
「負荷切ればこの歳で握力が70kgとか100m走12秒とか常識外れもいい所だし持久力も100kmマラソンぐらいは逝けるもんね」
「それはいいのよ。シッカリ食べてるから体も順調に育ってるし何も問題は無いのだけれど」
「無いのだけれど?」
「スキルがねぇ、ヘッポコすぎるのよ。お前は」

ハァ?

「そりゃ、ミッド式の魔導師なら十分大成できる下地は作ったわ。後は経験だけになると思うの。
でも『何にも負けない』ってお前の考えを尊重すると古代ベルカ式まで視野に入れた対騎士戦すら想定しなきゃいけないでしょ?」

イヤイヤイヤ母さんや、あの馬鹿出力デバイスだけで十二分に抑止力ですがな。

「そう考えると近接戦も仕込みたい所なんだけど、母さんはどちらかと言えばこの通りの砲撃専門でしょ?
母さんじゃ本格的なのは教えられないからね。どうしようかな、と考えた訳」
「はぁ」


「で、行き付けのスーパーでよく会う奥さんのおうちが剣術屋さんらしいのよ」
・・・ん?
「なんでも、もうすぐ市内に喫茶店を開くらしいんだけど開店資金どうしようか困ってるって言っててね」
お、おいおい。待てって、冷や汗が止まらねぇ、それ以上言わないでくれ。
「でちょっと話し込んでお前に剣術のイロハ仕込む代わりにおまえの懐から資金援助するっていう方向で決着したのよ」
ま、マジかよ。ちょっとオニイサン膝がガクガクして止まらねぇぞ!?
「ち、ちなみにそこのお宅のお名前、は?」



「・・・たしか高町さんだったかな」
おーいえー、フィアッセ護衛イベント前に士郎ちゃんとその仲間たちに遭遇ってか!?


「と、所で何方がオレに教えてくれるので?」
「その人の旦那さんよ。何でも世界中でVIPの護衛を引き受けてるらしくってその筋じゃ結構有名みたいよ」
あぁ、わかった。オレに地雷踏めと。WTO(貿易センターの所じゃねーぞ)が冷戦末期に仕込んだ戦術核地雷を今更踏めと言う事か。


あぁいいさ、踏んでやるよ。その代わり覚悟しろ神さんよ、こっちにだって考えがあるんだ。取って置きの『作戦ぜっと』、


                   『高町なのは"光源氏"計画』


原作の"なのちゃん"並までとは言わないが好戦的な性格を矯正し、あの般若ボイスでオレを『おにいちゃん』って呼ばせてやんぜ?
早々から魔法仕込んでついでに体も造り込ましとけば、本来なら約12年後に起きたであろう負傷も回避できる。

何だ、オレ完璧じゃないか。

・・・でも失敗した時のリスクはデカ過ぎるんだよな。まぁこの辺は適当で良いや。
とりあえず魔王化さえ阻止すれば将来的な不安はかなり軽くなる、それでいこう。可愛い子に罪はねぇ。あるのは取り巻きのオッサンだ。





で、高町家の門を叩くオレ達親子。
「御免下さい」
「ハイハーイ」
出てきたのはオレとほとんど歳の変わらない女子。サラブレッド美由希だな。
「えっと、どちらさまですか?」
「私クレアっていうの、お母さんに御用があるんだけどお願いできる?」
「えっと、ちょっとまって。・・・かーさーん、クレアさんて人が来たよー!」
しばらくすると置くから足音共に女性が向かってくる。アレが生桃子か。
そういえば今のタイミングだとまだ20台前半か?母さんより気持ち若いぐらいだったな。
チクショウロリコン士郎め。って誘ったのは桃子さんの方か。アブねアブね。
「あぁ、こんにちはクレアさん。お待ちしてました。奥にどうぞ」
「いえいえ。さ、行くわよ」
「う、うん(あ~、また膝がガクガクしてきた)」
最初の一歩が僅かに遅れたのに気付いたのか
「ん?緊張してるの?僕」
「えっ!?あ、はい」
ちょ、桃子さんいきなり顔近づけんなよ。ガラにも無くドキッとしちまったじゃねーか!
「安心して。士郎さん厳しい人だけど君に悪い事はしないから」
「は、はいぃ(やべぇ、オレがオレじゃなくなってる)」

完全にこの場の主導権は高町家の面々だ。勝ち目が無い。チョットそこの母さんや、何クスクス笑ってるんで?怒るよオレ。

離れの道場に入ると正面である上座に正座するは、スラッとしてしかしどう見ても逸般人な気配の男性。
あぁ、この人が御神の業の伝承者か。リストバンドや腰のベルト、明らかに仕込んでますって風体だ。
アレがかの有名の飛針や鋼線だろう。常時標準装備かよ。

士郎さんと2mほど間を空けて向かって座る俺、依頼人となる母さん、そして今回の仲介者である桃子さん。
「えっと、貴方がクレアさんでしょうか?はじめまして、高町士郎です」
「はい、こちらこそはじめまして。クレア・アーリーズです。それとこっちが御指導頂く私の息子、リシェイドです」
取りあえず軽く猫被って適当に応対しよう。カバーストーリー自体は母さんが適当にやるって言ってたし。
「あ、はじめまして。リシェイド・アーリーズと言います。よろしくお願いします」
「行儀の良い子だね。歳はウチの美由希と同じぐらいの様だけど学校は何処に?」
「っと、去年大検取得してそのまま近くの国立大へ。今は国立研究所の御平研と言う所で主任研究員してます」

「・・・えっ?」
おーおー、見事にキョドった。

そりゃあ、まぁこんな10に満たないガキが研究所で働いてるだなんて予想外の更に斜め上だろ。
「リシェイド君ってすごいの。この歳で博士号まで持ってるらしいのよ。ウチの恭也や美由紀も見習わせなくっちゃ」
「す、凄いな。ちなみに何を研究してるのか教えてくれるかい?」
ふむ、そろそろトークの主導権を握れるか?
「身近のだと、今使ってる電気は研究の成果の一つですね」
「へーぇ、どんな研究なの?」
お、主婦桃子が食いついて来た。そりゃエネルギー革命が起きて電気代が格段に安くなったもんな。インフラ系への影響は計り知れない。
「要は1から10を作るとかそういった難しい物理の話です。オレ、研究の成果とかで収入凄いんですよ?」
「まぁそんな訳でこの子色々危ないんです。だから護身術代わりじゃないですけど、体は鍛えさせてましたが
何処かで色々仕込んでもらおうって考えてた時に桃子さんと出会いまして」
母さん、この流れとタイミングを見計らってたな、絶妙じゃないか。
「それで色々話したらリシェイド君に色々教える代わりに、お金融資してもらおうかなって。無利子で良いって言うし経済的でしょ?」
「うっ、桃子さん、それはそうだけど・・・」
そりゃ悩むわなぁ、御神の剣は元々は門外不出同然の所謂秘伝型古武術に分類される日陰の存在。だが
「なのはも生まれて喫茶店もこれから。色々とお金も必要になるだろうし倹約できる所はしなくちゃ。ね、あなた?」
「・・・わかった。クレアさん、リシェイド君。ウチの剣は少々物騒だから覚悟してくれ。よろしいかな」



OK把握した。『士郎は桃子の尻に敷かれ、御神の剣も質となる』ってか。ウム、名言だな。



「はい、分かりました」
「では後はお願いします。それじゃ、後は頑張りなさいよ?」
そう言って先に帰っていく母さん。合わせて出て行く桃子さん。この後お茶会?

あぁ、なんか急に不安になった。親の力ってこういう場所でも効くんだな。あの人だから特に大きいだろうし。

「さて、訓えるからには色々と君の事も知らなくちゃならない」
ウヘッ、何このプレッシャー。急に強くなりやがった。
「今、どれぐらいの力があるのか試してみようか」

・・・え?ま、まさかっ!?

「取りあえずそこにあるジュースの缶を思いっきり握ってくれるかい?」
あ、いきなりド突き合いじゃ無いのね。魔法の訓練と同じに考えてたよ。
返事しつつ道場の脇においてあった『開栓していない』アルミ缶を握り締める。

「最後に測った時は78kgだったか、まだ栓は開かんよな?」と思って油断した俺が馬鹿だった。
フッ、と力を加えようと力んだらスゥッと缶が拉げ

"プシューッ!"

・・・あ゛っ!?

「・・・すごいな。もうそんな握力が」
「あ、あはははははは」
火事場の馬鹿力ってか?何でこんな時に発動するんだよ!?
アァ士郎さんや、期待と懐疑と、後ちょっとキ印見るようなのを混ぜた目でこっち見ないで。オレだって予想外なんだよ。

「よし、今度は少し外を走ろうか。付いて来なさい」
そう言って外に出て行くオレ達二人。
先ずは軽く流しながらオレに指示しながらジョギングを開始。
オレの呼吸や顔色をみながらルートを指示していく事既に30分。距離にしてボチボチ3kmぐらいか。
普段のトレーニングだと一日30kmぐらいは走ってたからな。この程度はマジで余裕過ぎて演技も出来ん。


「うぅむ本当に凄いな。リシェイド君、体は鍛えていたって聞いたがどの程度なんだい?」
『嘘ついたら切る!』って感じの眼光で睨まんでくれ。こんなヘタレ苛めて何が楽しいのよあんたは?

「え、えっと。ウチは郊外の別荘地の方に住んでるんで、走る時は休日とか半ドンの時にグルッと一山とかでした。
山の方ですから何するにも体力要りますし母さんも『獅子が子を千尋の谷に落とす』って感じで川縁から突かれたりとか」
「それはまたスパルタだね」
いやいや、実際はマジで崖から転げ落ちたり魔力砲の斉射で吹っ飛ばされたりと冗談抜きでデッドオアアライブな鍛錬でしたよ?
「崖の下から上まで上って何か採ってくるとか何でもやりましたから。それはそれで楽しかったですし」

「うん、君の身体能力だけなら恭也とも正面切ってヤれそうだ。あいつにも丁度いい練習相手になるだろう」
ヤれそうの『ヤ』の字は何が入るんで?って徹とか貫とかもう使えるでしょ黒尽くめ緑川ボイス。
パンピー(そこっ、変な目でミンナ!)のオレには耐えられませんって!

「ただいま、父さん」
あれれ~?なんか謀ったかの様にタイミングよく生緑川ボイスが聞こえましたよ?
「お、丁度いい。恭也、こっちに来なさい」
「どうしたん、って誰だ?その子。父さんの隠し子か?」
「ばっ、馬鹿言うな。この子は恐れ多くも喫茶店開業の為の出資者だぞ」
「ハッ、冗談はよしてくれ。で本当の所は?」
「冗談ではないさ。この子はリシェイド君って言ってな。純粋な身体能力ならお前と引けを取らんぞ。
今日からちょっと訓える事になってな。さっきまで色々やって俺が確認したんだ」
「あ、どうもはじめまして。リシェイド・アーリーズです。えっと、貴方が『恭也さん』ですか?」
ちょ、何でこっち睨むんだよオイ。何だよ俺だって此処にいるのは不本意なんだ。
「あぁ、俺が高町恭也だ。リシェイド君だったか。歳はいくつだ?」
「今年で8歳です」
「美由紀より年下か・・・。よし、一勝負しよう。父さん、木刀を」

何て言うかもうグダグダ?ドツボコースまっしぐらだ。ハハッ、父さん俺ももうすぐそっちに逝くかも。


道場の真ん中を挟んで相対する俺と恭也(こんな奴呼び捨てだい!)。
「恭也、鋼線と飛針は無しだぞ」
「・・・わかった」
何だよその不満そうな目は、お前使う気だったんかい。

士郎さんが恭也から暗器を預かり中央に立つ。
「では二人とも準備は良いな?」
「いつでも」
「お、お願いします」


「初めッ!」


って何だよその初動の速さは!?初心者相手にいきなり本気でくんな!
両手の短い木刀を適当に構え正面から来る攻撃を受けようとするが

『ちょっ!す、すり抜けた!?』

オイオイ、いきなり貫かよ。
で、問答無用で頭に一撃貰い昏倒したのは言うまでも無い。平和な日常は何時味わえるのやら・・・




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第七節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:33

うん、お疲れさん。予想通り御神の業は習得なんて出来ん。


初っ端から貫でブッ倒された俺だが、向こうも予想外の事態だったらしい。
そりゃそうだろう、オレも勘違いしていたがこの時点じゃまだ恭也は徹すら微妙でしかなかったんだから。
妹分より下の子供の身体能力が、剣士としての自分と互角だなんて煽られた日にゃ切れるわな。
で、ブッチしたアドレナリン出まくりの状態で一戦交えるとなりゃ、何しでかすか分かる訳も無く
士郎さんすら予想外だった貫による一撃必殺(だと俺が死んでるか)が決まってしまった。ちなみにチョッピリ徹付。

ぶっ倒れたオレが目を覚ましたのはそれから2時間後。恐らく母屋だろう、ソファーの上だった。
「ぅ~っ、頭イテェ」
「大丈夫?」
氷嚢を額の打撲当ててくれる母さん、その奥では桃子さんによる恭也への説教タイムが始まってるらしい。
リビングの一角には言葉に出来ない混沌なオーラが漂ってる。
桃子さんの足にしがみ付く様にして恭也を見つめる美由希もいるがコレは単なる好奇心なのだろうか。
俺ならあんなオーラ出してる絶対権力者の傍になんて近寄りたくないね。どんなトバッチリ来るかわかんねーもん。

ふと、士郎さんが見えないと思った外から声が聞こえた。
だが士郎さん以外にも声が・・・ってロリモード般若ボイス!?って事はまさか!
ガラス越しに外を見るとそこには四郎さんに向かって飛びつく桃子さん似のロリっ子(いや実年齢2歳なんだが)。
アレが後に世界を震撼させた『管理局の白い魔王』となる高町なのは(幼少)の姿か。
しかたねぇ、取りあえず『おにいちゃん』フラグでも立てんべ。

「ちょっと外の空気吸ってくるよ」
「立ち眩みは・・・ある訳無いか。一応気をつけなさいよ?」
「うん、わかってるよ」

高町家玄関から庭へ抜け、士郎さんへ声をかける。ココで失敗すると『娘命』フラグが立って今度こそ命が無いからな、慎重にせねば。
「士郎さん。ご迷惑おかけしました」
「お、もう大丈夫なのかい?」
「はい、お蔭様で。コレぐらいは母さんの扱きで慣れてますし」
「ハハッ、そうか。恭也の奴には桃子から厳しい沙汰が下ってるだろう。それで勘弁してやってくれないか」
「えぇ、まぁあんなヤバいオーラ漂わせてる桃子さんがいますから同情すら考えてしまいますけど」
「スマンね。おおっ、そうだそうだ。なのは、さっきソファーで寝てたリシェイド君だ。挨拶なさい」
うほっ、むこうから紹介か。
「えっとぉ、こんにちわたかまちなのは、にさいですっ!」
「うん、こんにちは。俺がリシェイド・アーリーズだ。よろしくなのはちゃん」
「ハイッ!」
うぉ~、こんな純真だなんて本編参照者からすればマジ異世界でしかねぇよ!
ってか、コレがそのまま成長すればあの『なのちゃん』なのか?
クッ、そんな満面の笑みでこっち見んな!オニイサンは色々とヨゴレてるんだ。

「ふぇ?えへへ~っ」
ってあれ?ノリで頭なでちまったぞおい。逆鱗触れてないか?と士郎さんを見るが満更でも無い様子。
あんな満面の笑みなら取りあえず些細な事はスルーしてくれるらしい。ヨカッタヨカッタ。

「それでリシェイド君、今後の事なんだが」
「あ、はい何でしょう」
「うん、とりあえず半年ほど純粋に『剣術』のイロハを覚えてもらいつつ御神の剣への適正を見たいと思う」
「ちなみに、適性が無ければ?」
「多分、恭也や美由希との練習相手で打ち合いするのが基本になるだろう。たまには私も立つがね」
「わかりました。明日からもまたよろしくお願いします」
「あぁ、っとそうだ。なのはの事なんだが少し頼みたい事があってね」
「はぁ」
イキナリ何でしょ。
「これから喫茶店開業に向けて色々と忙しくなるからあの子が寂しい事になるかもしれないんだ。
時間に余裕があるときでいいから遊び相手になってやってくれないかい?」
ありゃ、親公認ですか?
「いいですよ。オレもこれから色々とお世話になる訳ですし」
「助かるよ。さて、そろそろ説教も終わった頃かな?中に戻ろうか」
・・・あぁ、トバッチリって言うか監督不行届きだもんな今日の士郎さん。
だからなのはと一緒に外に避難してたのか。そんな小細工どうせ無意味だろけど。



士郎さんと一緒に玄関に入ると先程と同様のオーラをにじませた桃子さんが仁王立ちで待ち構えていた。士郎さん、南無。



・・・っと、そんな事があった高町家訪問初日からあっという間に数ヶ月。
ちなみに今新暦の58年、こっちの世界で7月になった。本編開始まであと7年切った。
デバイスの方は炉心制御術式をミッド、古代ベルカ、近代ベルカ、意識下からの直接制御と種類の物を使って複数のラインを持たせ、
且つ冗長性も多重に付加して開発を進めている為少し遅れが出ている。古代ベルカ式に至っては発掘資料からの解析からだから特に時間がかかっている。
どの道ユニゾンユニットが完成しない事には何も始められないから焦る必要も無いんだが。


で、結局オレは
「っ、クソ。逃げるなリシェイド!」
「ざけんな!徹込めた剣で来んじゃねぇ!って何本気で振ってやがる!?」
「どうした、攻めて来ないならどんどんいくぞ!!」
恭也に凹られてますがな。

あんにゃろう、なまじこっちが耐久力あるからって本気で打ち込んできやがる。
最初は士郎さんも止めてくれたが一月ほどでスルーする様にしやがった。役立たずめ。

「おにいちゃんがんばれ~!シェイにぃもがんばれ~!」

道場の脇で応援しているのは我等がなのは様(2歳)。
さて、ココでちょっと疑問に思う奴もいるだろう。『士郎の怪我はどうなった?』と。
知らん間にボディーガード辞めてましたよあの人。あれ、フラグ潰した?

何の事は無い。

俺と教授の論文発表が原因で起きた世界的パニック『O-B-O-Nクライシス』。
エネルギー・資源系ファンド等が大打撃を受け、結果として世界中の金融業界内じゃ消滅寸前。
さらに、開発途上国のエネルギー支援関連は今までの数百分の一で何万倍もの効果を叩き上げ、
ついでに先進国でも電気供給量が超安価で安定した為、社会や経済は全く形を変えてしまった。
オマケと云わんばかりに士郎がボディガードするような人達を襲う連中の資金にも大打撃が奔った。

あの『龍』も例外ではなかったらしい。

原作ではコネというか友好というネタで護衛して死んじまった士郎さん。
本編ではナニ(都築の気紛れ)が分けたのか何とかリカバリするという道を辿った後ボディーガードの廃業と言った流れだった。
この世界でも似たような流れを追っていた筈なのだがクリステラ一家コンサートでのイベントは特に問題も発生せず平穏無事に終わってしまった。


ついでに、人間ってのはどんな奴でも精神的・金銭的余裕があれば無茶はしなくなるって事。


この世界では翠屋回転資金についての一切をウチから無利子無担保無期限で出資したせいで
夫婦への精神的プレッシャーが恐ろしく軽減、コンサートの護衛を最後にあっさり辞めちまったらしい。


でも、『龍』は未だ存続している。


マフィアなんて連中は何処からとも無く資金調達してくるからほっとけばあっという間に復活するだろう。
オレ自身コレだけの事をやらかしたし自分の身の安全もと色々と考慮した結果、こちらから攻勢に出る事にした。



そう、真のプロフェッショナル。コードネームが台所の黒い奴と同じ最強スナイパーを雇う事にしたのだ!



有り余る資金があるのだから『龍』の壊滅を依頼して後は無問題。
この際に莫大な資金とある意味最終兵器を扱う為、また各方面とも繋ぎをとる為、マスコミや公安ついでに政財界の要人に多額の献金(と言う名の賄賂)をした。
この一件が終わり、ついに最初の10億が半分まで減った。まぁ1億ユーロの依頼料で『龍』が壊滅するんなら安いもんさね。
あと、無限図書館の人件費を含む各種経費が5000万ユーロまでいった時点で明らかに問題なんだが気にしない。

ちゃんと成果は出たのだ。・・・報告の際トチりやがったがな。クソッ、おかげで痛いネタと出費が増えた。

あれは、桃子さんが実家に行く事なった時だ。時期は晩秋、山の紅葉が深くなった頃。
母さんの話によれば御神伝承組の3人は例によって山篭り、ってこの時期だと熊狩りですか?
桃子さん・なのは二人で留守番していた時、実家の母親が倒れたと連絡があったらしい。
実際は特に大事でもなかったのだが一応検査入院するらしく、その面倒を見る為に1週間ほど行く事になったと聞いた。

で、何があったのか、なのはの事を気に入っている母さんが預かろうかと切り出し、
お言葉に甘えてとウチに預ける事になり、2日目の昼過ぎ。居間で寛ぐ3人の前で事件は起きた。

「おいしいねっ!」
「そうだね。なのはのお母さんのシュークリームは美味しいね」
うん、お礼ではないがと作ってもらった、幾度と無く劇中で話題になる桃子謹製シュークリーム。

マジウメェ。赤ゴスロリ風に言えばなら『テラうま』か?

紅茶片手にのんびり過ごすオレ達二人。母さんはキッチンで夕飯の仕度を始めたところだ。
のんびりとテレビを流し見していた横で光が溢れ始める。ちょっとマテや。


『こんな日中に、しかもリビングに転移してくるなんざ何処の馬鹿だ!?』


「母さん!!馬鹿が飛んでくる!」
「えっ!?」
パタパタとこっちにかけてくる母さん、何が起きているのか解からずキョトンとしているなのは。
ん、ゲェ!?周辺空間中の魔力量が増加したせいで、なのはのリンカーコアまで活性化しやがった。

魔法陣の構成が完了すると中から女性の姿が現れてきた。どっかで見たぞこの顔。


「せ、センパーイッ!や、やりました私。ついにやりました!」

跳んで来るなりそのまま母さんにダイブかます正体不明A・・・じゃなく、正体は母さんの後輩だった。
名前はグレイス・ウィンロッド。無限図書館で探索の音頭を執らせてた奴だ。
声が妙に草柳なんだが・・・リアル見ちまった俺としちゃもう如何でもいい。

「リシェイド君つ、ついに見つけました!」
「見つけたって何をだ。後空気嫁もとい空気読めこの馬鹿」



「ですから見つけたんですって!夜天の書のオリジナルソースコード集!!」

マジかい。



「えっとぉ、正確にはRC版みたいなんですけど。2ヶ月前から書庫最深部の超大規模データバンク収納エリアの探索も開始したんです。
それで丁寧に確認作業を行っていく事2500項目、あまりにテキストばかりのデータがあったんでおかしいなって思ったんです」
「んで?」
「それで、検索で引っ掛けた私の同僚とパート君一人ずつの計3人で別ルーチン立てて内部精査を始めたんです。
データサイズはソースコード行換算で9桁後半もありますから時間はかかりましたけど」
「で、ソレが夜天の書のソースコードだと解かった訳か」
「そうです、そうなんです!こんな考古学的、デバイス工学的に貴重な発見、喜ばずにはいられませんよ!?
あぁ神様、貴方はこの素晴らしい出会いの為にあのお告げを下さったのですね!」
見つけたのは素晴らしいがこのハイテンションぶりはヤバいんじゃねぇか?
このままじゃ勢いに任せて発表しかねん。先の流れが読めなくなるから流石にそれだけは拙い。
「・・・ちなみに、仲間とパート君は?」
「へ?とりあえずオーナーに確認とるまで内緒って事で話してますけど・・・どうかしました?」
あぁ、よかった。まだ管理局にはバレてねぇ。もしバレたら全てお釈迦だ。
「・・・お前ら3人、今月の給与はインセンティブランクSS(普通の給与2か月分)でくれてやる。
今月分とは別で全員にここ半年に支払った当人の給与の5か月分をボーナスで給与に上乗せしてやる。
だが本プロジェクトは本日をもって解散!!代わりに全て忘れろと言って来いっ!当然お前も記憶から消し飛ばせ!!
この案件はマジでヤバイ。下手に管理局や聖王教会とかに知れると何で穿ったとかイチャモン付けられたりとかでこの先何処でナニされるかわかったものじゃない。
ついでにさっさとチームも解散させろ。いいな!?」

「ヒィ!!!!わ、わかりましたぁ!!」

胸倉掴んで思いっきり叱責をかけて作業を進めさせる。ついでに強制送還。
予想以上の成果に満足しつつ小躍りしそうな気分だがそうも言ってられない。なにより

「シェイにぃ、いまのなぁに?あとおむねがぽかぽかするよ。なの、びょーきになったの?」

なのはに見られちまった。リンカーコアも励起し始めてるから直ぐにでも最低限制御の仕方は教えなきゃ拙い。
既に母さん以上の魔力持ちなんだ。下手すりゃちょっと感情的になるだけで周囲10mが消し飛ぶとかもありうる。

だが、コレはチャンスだ。

淫獣とレイハさんの偏った知識ではなく、『正規』の教育を受けた母さんや研究色120%のオレから教育を行えば
本編のような魔王化は避けられる筈。ミッドの魔導師は本来、各分野を最低限はオールマイティに術式が操れる物なんだぜ?
あんな魔力コントロールと称したスフィアアタックの訓練ばかりさせてんじゃねぇ。
あんな訓練続けてたらそりゃ砲撃魔法一辺倒になるだろうよ。飛行とバインド、砲撃ぐらいしかできねぇって何処の機動兵器だよオイ。
(第2期1話の練習と母さんがリハビリでやってた訓練は全く同風景だった。母さんはスフィア数も多くしてターゲットも複数の軟式テニス球だったが)


「母さん、なのはのコア見てくれるか」
「・・・見なくても解かるわ。なのはちゃん、この歳で私と変わらない位あるんじゃないの?本物の天才じゃない」
「オレみたいにガチな訓練させれば少なく見積もっても間違いなくオーバーS、SSは確実に逝けるんじゃないか?」あっヤベ「イ」の字違う
「でしょうね。桃子さんや士郎さんにも説明しなきゃ拙いわ。管理外世界だし幼い内に管理局が絡まないよう注意も必要だから」
あの一件以来、母さんの管理局嫌いはすごい事になっている。
最愛の旦那を撃ちやがった下手人局員は結局大した罰則を受ける事無く(謹慎数ヶ月と訓告、一時的な降格で終わったらしい、マジかよ)、
今現在でも武装隊で働いているらしい。オレ達家族はそいつの顔を直接拝んだ事も無い。舐めてんのか?
それにここは管理外世界。ミッド他、外の情報にも疎いから何かあった時に拙い。今の内に家族も含め色々と教えておく必要がある。


さて、なのは光源氏化計画のはじまりとしようか。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第八節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:34

「"流入魔力量定格まで上昇。ディメンション・ドライブ結界内空間の圧縮を開始。起動までカウント5"」
ついにここまで来た。
「"4"」
長い、長い時間かけて開発した結果がようやく実った。
「"3"」
全ては明日の為、未来の為。
「"2"」
オレが、母さんが、皆が二度と泣かず笑顔でいられる為。
「"1"」
既に犀は投げられた。後は全力で足掻くだけだ。

「"ディメンションドライブ駆動開始を確認。おめでとうございます"」
試験制御用AIのカウントと共についにディメンションドライブは起動に成功。生成魔力量も予想通りだ。
ついに手札の一つが完成した。さぁ、有象無象のカス共、俺に喧嘩売ったらどうなるか覚悟しとけよ?

この覚悟ネタが5年後、俺以外の奴が、色んな意味でヤバイレベルに発揮しちまうと言う事をこの時は誰も考えもしなかった。

とりあえずぬこ先生、南無。後、なのははブッチLIKKすぎ。




もうちょっと進んで新暦61年、なのはと魔法が始めて接触し本編開始まで残す所あと5年切った。


あの一件の後、桃子さんや剣士組の帰宅を待ってオレと母さんは高町家全員を前にして説明を行った。

「・・・と言う訳なんです。色々黙っていて申し訳ありませんでした」
「なのはの体が今すぐ如何こうって訳では無いんですね?」
桃子さんも士郎さんすごく真剣な目をしている。いつもとは大違いだ。まぁ真の意味での愛娘に関する一大事だ。当然と言えば当然だ。
「それは勿論です。魔力に関しては私やリシェイドが何とか出来ますし、なのはちゃん自身も無意識に制御出来てるみたいです」
「それで、今後はどうするんです?このままって言う訳にもいかないでしょう」
「そうですね、お許しが頂けるのでしたら私が基礎から可能な限り丁寧に教えて、
将来何らかのトラブルがあっても巻き込まれないように、巻き込まれても無事切り抜けられるぐらいにはしたいと思うのですが」
「あの、逃げる事は出来ないのでしょうか?」
「それは難しいでしょう。元々私並か、それ以上の量があるのですから何時目覚めてもおかしくありません。何れ巻き込まれるでしょう。
遅かれ早かれといった所が、今回の一件で私のような人間に見つけられた事を不幸中の幸いと思うしか」
「そうですか。・・・わかりました。クレアさん、色々とご迷惑おかけしますがなのはの事、よろしくお願いします」


どうやら話はなのはを母さんが鍛えるって事で落ち着いたらしい。恭也がずっとコッチ睨んでいたがそれはスルー。
なぜか母さんの方は見ねぇ。いや見はするんだが明らかに込められた感情がおかしい。ま、マサカな。
この間、態々月村さんの所の忍嬢、連れて帰ってきたじゃねーか。散々桃子さんに弄られたのにもう忘れたのか?
彼女(まだ頭に『予定』が付くが)キープしてしかも重度のシスコンで、その上で人妻(いや未亡人か)に手ぇ出そうってか?
良い根性して・・・いや、元々原作が18禁だ。そういう素質は元々あったって事だな。


OK、把握した。あいつは相手が好みなら相手が何であろうとムッツリスケベを発揮する、そういう事か。


ってな感じで、ついに始まったなのはの魔導師講習会。
講師は基本的に母さん。面倒臭い学術的な方面からはオレが行う事となり、それと合わせて高町家に肉体的トレーニングについてのヘルプも依頼した。
こちらからは"あの"トレーニングバンドをなのは向けにコピー品を用意し、
さらに詫びも兼ねてちょっと構造を弄ってカートリッジ使って一発で1日持つ非魔導師でも『身体』負荷がかかるようにした物を剣士組全員にも配布。
それぞれ着けた最初は戸惑っていたけど一週間もしないで完全に慣れやがった。
ついでにたった一ヶ月で全員負荷70%まで上げたとか人間じゃねぇよ。流石戦闘民族高町家。
まだまだ第二次成長の真っ只中の美由希や、一応伸びしろが残っている恭也なんかは後1年もあれば恐ろしい事になるだろう。

実際なった、うん。
新暦63年の時点で、恭也は脳の中まで鍛え上げられた結果、神速の習得もアッサリとこなしたばかりか、二段掛けが屁でもないらしい。
可能性の中の一つじゃ、一時は逝っちまう膝も渡したリストのおかげで万全な成長を遂げ、
神速一段だけならそのまま10分は継続したまま戦闘可能になっちまった。化け物でも裸足で逃げ出すぞ。

美由希も似たような物。知らんうちに高町家にフラフラと顔を出すようになった美沙斗さんが初めて見た時には、驚くような成長を遂げていた。
そりゃそうだわな。まだ子供な雰囲気の残る中学生。何処にでもいそうなガキにしか見えない自分の娘が、
全力では無いとは言え、引退しかけの士郎さん以上の強さを誇る現役の御神の剣士と真っ向から打ち合えるんだぜ?
まぁ、やった後感涙極まって美由希にしがみ付いて嬉さと哀しさが混じった顔で泣いてたのは内緒だ。

後ろで母さんも潤んでいたが・・・あぁそういやウチも似たような境遇だったけ。
最近オレの顔のパーツが父さんにかなり似てきて、母さんのオレを見る顔が時々ヤバイのはスルーしておこう。コレはマジで禁則事項だ。


士郎さんは既に体が出来上がっているが負荷90%(脳への負荷は50%で音を上げた)でも屁にも思ってない。どんな構造だよあんたの体。
だがこの状態を維持し続ければ後10年は現役のままだろう。日常に支障も無い為着けっ放しでいくとか本人談。
このままの流れでいくとStS相当時期に行うであろう新米の肉体教導はこの人等方式で確定だな。



で我等がなのははと言えば、
「シェイおにーちゃん。みてみて~!」
「ん?」


・・・OK、把握した。ってチゲェ!!
気紛れで見せた核融合反応炉の術式、ショッパいストレージデバイスつかって一発でコピってんじゃねぇ!
防護結界も無いのに暴発したらどうするつもりだ!?
慌てて重力結界を周囲に展開して封印するまでの所要時間、なのはの術を視認して僅か3秒後。


無論そのまま消滅させて説教行きだ。
「フエェ~ン、ごめんなさ~い!」


にしたって天才過ぎだぞなのはのヤツ。初見の術式だろうがお構いなし。あっという間にしかも意味を理解せずに
視覚と魔力感知で得た情報の感覚だけで支配下に出来るって何処の車輪眼と剣製の混ぜ物だよ。
しかも魔力が有り余ってるから負荷かけてもぜんぜん苦にもしてねぇ、頑丈さという意味では父親似?
肉体負荷は70%から上げていないが魔力負荷と脳への負荷は既に95%。当初は10万も使えない筈だってのにその環境にすら順応して、
文字通り『あっ』という間に生成魔力量を増やし、更に術式をコレでもかと感覚で省エネ化していく。
ちなみに、昨日計ったらもう15万まで増やしてた。チクショウ、もう魔力量300万超えかよ。オーバーSSじゃねーか。甘党リンディも真っ青だ。

なお、魔力量の成長はこの辺りで一応ストップ、最終的には380万という桁違いな魔力となった。
別で測ったリンカーコアの最大キャパと保持効率もこの辺りが限界である事を示しているからもう先は無いだろう。
でも十分悪夢だ、まさか5歳で本編StS超えるなんてなぁ・・・。


母さんは母さんで娘が出来たみたいと嬉しそうな顔して、しかもコレでもかってぐらいに最高の原石を自分色に染められるとあってか
恐ろしく熱心且つ丁寧(なのはが興味を持ち嫌わない様)にありとあらゆる方面の魔法について仕込みを行っている。
俺自身もこの世界の事は勿論ミッド等、次元世界で一般的なタイプの魔法を使う為に必要な理系の授業を行い、ある意味英才教育となっている。
教えてる方からすれば、あっという間にここまで何でも吸収する教え子を持てば熱が入るって物だ。
俺が時々するネタ話(大豆は枝豆なマメ知識とか)や雑学(種のGはどうして学者ヲタに叩かれるか辺りやGガンの人気の秘密やら)になのはも興味を示してるし。
ついでに本編で苦手だった言語系もココではミッチリ仕込んでいる。オレに苦手教科なんて物はねぇ。
ミッドの歴史学以外は全部キッチリ教え込んでやんぜ。釘宮ヴォイスのアリサ様には悪いがウチのなのはがNo.1だ。


で、心身共に鍛え上げられ、能力的な面だけなら順調に大魔王いや(ド○クエ的)勇者化が進んでいる。アレ?


ちなみにうちのなのはは本編のようなヘナチョコ運動神経ではなく、十二分に御神の血を引いてた。
と言うより本編できちんと幼い内から体に合わせたトレーニングしなかったせいで運動神経キレた風になっただけじゃないのか?
実際、管理局入った後で訓練つんでそれなりの体になってるみたいだし。

この様子なら3,4年後の本編で局員になった頃には御神の剣を振るう空戦SSSも夢じゃない。生身だと多分夜モードなすずかとタイマン張れる。
今の状態は明らかにルート選択の失敗とフラグの立て間違えをしている。マジでヤベェ事になってないか?
まぁ、俺の事"シェイおにーちゃん"って慕ってるし悪い様にはならんか。


『んじゃ良いや、他はシラネ』


もし淫獣が本編どおりに動いたとして、後々犯歴が割れたら(いや割れてたか)、途端にオーバーSSS出力の砲撃でチリも影も残さず一瞬で抹消される。マチガイネェ。
本編通りならフェイトやエロノ程度でも瞬殺だな。既に操作可能スフィア数は2桁後半、母さんの話だと3桁半ばぐらいまで伸びそうとの事。
となるとプレシア女史や甘党リンディでも30分持つかどうか。最近は『ビット』の術式にも手を出し始めてる。本編超えも甚だしいな。
ジュエルシードやレリック程度の魔力結晶なら純粋魔力の力業で消滅出来そうだし(術式弄れば本編程度でもやれるんだが)マジでこの強さは洒落になってない。
こりゃ早いとこ闇の書のパッチ作って暴走を無くさないと、赤ロリはおろか姐さんでも瞬殺されちまう。シャマルゥや犬なんて論外だ。


さて、肝心のデバイス開発だが、大量の資金と時間をかけて、完璧に偶然の巡り合わせで手に入れた夜天の書のオリジナルソースコードを含めた数多の資料を
整理した状態で解析・研究を行い、最新の技術と膨大な人員を持って俺の求める仕様に合わせて再構築をした。

解析とコーディングに2年の期間を丸々消費したが元々のコードが9桁後半もある膨大なシステムだからだ。

まず解析の結果だが、予想通りというかやはりオリジナルの構造は単なる術式データベースと、
蒐集した術式を運用のためにユニゾンするだけのシンプルな代物だった。守護騎士も防衛システムも転生も搭載されていない。
無限図書館で確認できた限りじゃ限りなく初期の頃の所有者が守護騎士システムを付け、次いで防衛プログラムを。
その先は追えなかったが恐らく転生、いや正確には復元機能を追加後に暴走ルーチンを組み込んだのだろう。
コード上から軽くデバッグした結果から、全ての機能においてクラッキング対策が非常に緩い事も分かった、そりゃ簡単に弄れるわな。
ウイルス対策してないPCネットに繋いでおけば物の数時間でボットやワームが入る事だってある。
稼動していた大本のオリジナルはそういう仕様だって事だ。何だ開発者の自業自得かよ。
ちなみに守護騎士プログラムを組み込めそうな空きリソースは確認できたが、元となるコードは発見されなかった。
この辺りはマジで秘儀らしい。完全に消去されていた。恐らく当人たちを解析しても詳しい結果は出ないだろう。
ユニゾンの管制ユニットと同程度とは思えんし復元は無理と判断した。


閑話休題。

おぉ、話の参考だが管理局のエースとかが使ってる高性能インテリジェンスタイプのシステムコードは精々7桁強程度。
魔法をベースにしているミッドのシステムの構成上、一ワード単位でプログラムとして稼動する事が出来るから
こんな少ないコードでもアレ(レイハさんやバルディッシュみたいなの)だけのAIが組める事も分かった。
CとかJAVAとかDelphiみたいな言語から生成するアセンブリコードタイプだと10桁以上書いても無理だ。
ついでに膨大な量のデータベースとソレを捌けるエンジンも必要だし本体の制御系もあるから
何処ぞの大学にあるようなスパコンならいざ知らずハンドベルドサイズでは先ず再現は不可能だろう。
使い捨てストレージですら概略換算だが1PFLOPS以上のスペックがあった。
インテリジェンス向けの演算ユニットだと母さん曰く5PFLOPSは下らないとか。


俺の作るデバイスはコードのその物に意味も込めつつ、更に徹底的な効率化と堅牢性(リソース占有量の減少化や演算時のネイティブなマルチプロセス処理。
対クラッキング対策としての強固なFWや対改変防護能力、多数のオプションを同時に運用する際に用いられる高度な分散処理機能への対応等)や、
構成するシステムの冗長処理等(HW的に用意している各バックアップ回路の効率的運用等)を念頭にした概念を打ちたて、
詳細を伏せた状態で世界に散らばる言語学者や数学者にアルゴリズム構成やルーチン構造を研究依頼して概念とフローを作成させた。
そして頭は良いが人間性に問題の等で暇そうなSEを多数を雇い、やっぱりこちらの情報はある程度伏せてSDKの供給をしてシステムの開発を進めた。
ミッドで供給されているSDKならフリーの物でも、フォントさえ変えればそのまま英語圏では"訛り"で通じるから手配は楽チンだ。
それでもコーディングには約2年の歳月がかかってる。

本体側は元コードから演算効率を割り出してそれを元に再コーディング後のシステムの必要能力を算出。
最終的には換算値で30PFLOPSの演算能力と200Tバイト程度のシステム領域にストレージ領域を1Pバイト程度。
演算や制御関連は拡張可能なように設計した。
数値を出した瞬間は『無理か?』と諦めもしたが、金さえ積めば何処からともなく管理局のサブシステム(20PFLOPS)並みの演算ユニットが出てくるから恐ろしい。
まぁ、リアルでも似たようなレベルだったしそれほど驚く事でも無いか。と云う訳で金に物を言わせて闇ルートでシッカリ確保。
恐らくオレの成長やシステムが積んだ経験が増えればハードの拡張も必要だろう、一応その辺りも考慮しておいたが・・・拡張メンドイだろうな。


1ワードで意味を成す魔法だからこの程度で済むのだがこのシステムのすごさに御平教授は終始唖然としていたのは内緒だ。
普段自分等が使ってるスパコンと同程度の演算システムが手のひらサイズだもんな、そりゃ呆れるわな。


で、その成果がようやく出来上がった。
「リシェイド、ユニットへのインストールは終わったわ」
「ありがとう母さん。・・・さぁ、目覚めの時だ」
完成したコアシステム『EXTS(エクスタス、"Extra_ordinaire eXtend exTernalize System"非汎的拡張外在化システム)』。
中枢AIを兼ねたユニゾンシステム『LETIS("LInker-core Enhancing Type Integration control System"リンカーコア拡張型統合管制システム)』
そしてその管制人格たる精神となる『レティス』。


「エクスタス、『レティス』、起動だっ!」


『起動シークエンス開始。各リアクターユニット正常稼動を確認、魔力擬似物質化コード展開開始。"LETIS"外部ユニットの形成を始動』
シークエンスの読み上げと共に魔力を媒体に形成されていくレティスの体。
魔力の瞬きを周囲に纏いながら髪を靡かせゆっくりと床に立つ。
「おはようございます。マスター・リシェイド」
「あぁおはよう。レティス、気分は如何だ?」
「分かりません。私自身の経験データはほぼ0に等しいので表現のしようがありません」
「それもそうだったな。まぁ、これからオレとお前は相棒であり仲間であり家族だ。よろしく頼む」
スッと右手を差し出す。
「マスターを補助するのが私の役目。こちらこそよろしくお願いします」
レティスも右手を出し握手、そして軽い抱擁をしてファーストコンタクトを終えた。

実際には色々とテストしてバグフィックスやら機能の追加や削除なんかはまだまだ必要だ。
オリジナルのソースコードが手に入ったおかげで効率のいい外部フレームが組めたから実体化したレティス側で行使可能な魔法の割り当ても若干増やせたが、
それでも飛行を含めた移動系とバインド、シールドが精々。後は日常で使うような物体操作ぐらいだ。
フィールドや結界等は完全にエクスタス側に振ったし探索系についてもエクスタスの独断場だ。
金に物を言わせて戦艦のCIC並の演算能力を持たせたのは自慢の一つである。


エクスタスは某COSMOS第3作版装備"ドラゴントゥース"をベースに某V2○ンダムのメガ○ームシールドを足して割ったのを少し縦に潰した感じで
パッと見は普通のデバイスに比べると大きく縦に見れば平たい感じに仕上がっている。実際は杖状じゃないから長さはそれ程でもない、全長は1m程だ。
『デバイスは両利きな仕様にするために線対称にするのが普通』というのについては俺も踏襲した。コレの理由はデザイン的な問題だけ。
配色も黒をベースに白を配し、白の部分をコバルトブルーの濃淡でアクセント付けして深紅のラインを数本引きサッパリした感じにしている。
取っ手の先端側直ぐ傍にディメンション・ドライブを、そこをセンターに4点の相転移炉を配しこの辺りのデザインにも若干気を配った。
各リアクタが稼動すると周囲の魔力素子が膨大なエネルギーの余波に影響されてリアクタのコア部分を中心に渦を巻きながら光を放つ。
この際光る粒子はエクスタスに垂直ではなく、面に対し垂直から60度程後方へ傾いている。
態々リアクタの搭載時にこうなる様考慮して作ったのだが、こうでもしないとこの粒子の渦が視界を遮る原因になるからだ。
まぁ、この部分については標準で装備予定のAMFモジュールで発生しないようにするつもりだ。演出としては結構映えるからON/OFF機能つけるか。

それとレティスの容姿は全体的には母さんと本編の"リインフォース(アイン)"を意識しているが、
顔つきはといえば気持ち程度だが美沙斗さんに似ているかもしれない。鋭さというか緊張感のような物を持たせたのがこんな結果になった。
髪の色は白に近いアッシュブロンドにコバルトブルーを被せた感じ。背は170cm程と何するにも日常では困らない程度にした。

ちなみにレティスと、あとエクスタスの音声は大金はたいて某大原(♀)と某井上(♀)の声を態々サンプリングして作った。
名目は某ク○プトン社の有名ソフトシリーズって事で俺がスポンサーになって事を運んだ。この程度の出費は屁でも無い。
ウンウン、コッチの世界にも居てヨカッタべ。・・・なんだぁ?オレの趣味だ文句あっか!



あるなら堂々とかかって来い、完成したエクスタスの錆にしてくれる!!



あと関係ない話だが"俺"の記憶を元にネタ漁りをして回ったが、なんと般若も奈々も佳奈もかおりも、釘宮も久川もいた。ってか普通にテレビに出てたし。
むぅ、なのはと般若の声はほぼ全く一緒なのに誰も疑問に思わんのか。ちなみに原典製作者である都築と、あと"俺"は確認できなかった。

存在その物が生まれていないらしい。コレが世界の矛盾を解消させる答えのひとつとでも言うのか?



難しい話だし俺は哲学者じゃねぇからこれ以上はパスしとく。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第九節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:35

「シェイおにーちゃん、ちょっとお願いがあります」

事の起こりは新暦63年2月の頭、本編開始まで2年。ボチボチ、エクスタスとレティスのデバッグがひと段落した位で起きた。
「ん?どうしたなのは。お父さんとの鍛錬は終わったのか?」
「今日の分はさっき終わりました。今はおにいちゃん達が美沙斗さんも混じって派手に打ち合ってます」
「・・・OK、把握した。鋼線や飛針の巻き添えはオレだってゴメンだ、それでどんなお願いなんだ?」
「もうすぐ3月です」
「そうだな、来週からは3月だ。あっという間に4月でお前も小学生。聖祥大附属だったな、授業は退屈だろうが学校頑張れよ?」

「はい、それとわたしの誕生日もあります」

おおぅ、オネダリデスカ?いかんよオジョウチャン。
オジチャンお金だけは一杯あるから何でも買っちゃうかもよ?

「そういえばそうだな、でどうした。また新しいパソコンのパーツでもあるのか?」
「それもありますが、それよりももっと欲しい物があります」

なっ!?あの自他共に認めるAV・PCヲタのなのはにそれより欲しい物が有るだなんて!

「そ、それはいったい何か教えてくれるか?」
後で俺は思ったね、「あの時あんなの作るんじゃなかった」って。まぁもっと後悔する羽目になったのもあるがそれはスルーする。

「わたしにも、シェイおにーちゃんとエクスタスさんやレティスおねえちゃんみたいな関係のデバイス(と書いて相棒と読む)が欲しいのです!」
・・・冗談じゃねぇぞ。そりゃここ最近はエクスタスやレティスの調整が続いてたし
色々と運用学習する為に買い物やら何やらと出かけたりしていたがそんなに興味持つなんて。

マテよマテよ。仮にエクスタス装備でレティスのユニゾンを行ったなのはが出来上がってみろ。・・・ガクガクブルブル

「わたしも成長しました。おととい、クレア先生からオスミツキも出たんです」
おおぅ、もうそんな所まで来たんかい。

って母さんの講義だと儀礼術式以外のミッド系AAAクラス以下の術式はほぼ網羅って事だぞ!?6歳だろお前、なんてスペックだよオイ。

「だから私もそろそろシェイおにーちゃんの言う"ショッパい"ストレージではなくちゃんとした相棒がほしいんです」
「う~ん、まぁ言わんとする所は分かった。時間があまり無いから期待はせずに待っとけ。来年なら間に合うだろうがな」
「・・・はい」

ションボリするな妹分、そういう事なら仕方ない。
まぁいい機会だ。これで淫獣と新幹線の人による魔砲少女化は完全に防げそうだし頑張るとしますかね。



と、言う訳で3月15日夜、翠屋。
「「「「「「なのは、6歳の誕生日オメデトー!!」」」」」」
「ありがとうございまーす!」

まぁいつも通り翠屋でのお誕生会となった。相変わらず桃子さんのケーキウメェ。
ワイワイとやりながら円も酣となる所で桃子さんと主賓が席をはずす。
何かやる気だなと身を構えていたが桃子さんは直ぐに戻ってきた、あの人でもなのはが怒ると控えるしこの様子なら安心か。

「さて、ちょっと盛り上がり収まった所でちょっと御披露目会をしたいと思いまーす!」
なんとなく予想はついた。

「母さん、何かするのか?」
「恭ちゃん、なのはがいないよ?」
おいおい、お前らもっと早く気付けや。

いくらなんでも気ぃ抜きすぎだぞ、自分らのバアサン達がどういう風に死んだか忘れたのか?
士郎さんは呑んでいても人の動きはいつも確認してるぞ?

「さて、皆さん。なのはもついに小学生、来月からは聖祥大附属に通う事になりました!そ・こ・で、なのは~」

奥のドアからソロソロと恥ずかしそうに出てくるのは本編でコレでもかと見たあの白い制服姿。
「え、えっと・・・わたし似合っていますでしょうか?」
オウオウ初々しいねぇ、頬真っ赤にしちゃってよぉ。可愛いじゃねーか。
「なのは、よく似合ってるな可愛いぞ」
「うんうん、流石は俺の娘だ」
あぁあぁ、高町家男性陣にコレでもかって弄られてるよ。父親の士郎さんはまぁ仕方ないとして、もうチット自粛しろシスコン。


一通り弄り回された後、トコトコと俺のほうに寄ってくる。
「えへへっ、シェイおにーちゃん、似合ってますか?」
「おう、似合ってるぞ。あぁそうだ。なのは御希望の品、用意してきたからな」
「えぇ!?」
さて、プレゼントだ。手渡したのはよく指輪なんかを渡す時に使うような小さな箱。
恭也の視線にコレでもかと殺気が混じったがスルー。お前、紳士なオレがこんな小さい子を大人の階段上らせるとでも?
「開けてみ」
「う、うん」
ソロソロとゆっくり両手で箱を開ける。期待と不安と、後ちょっと驚きの混じった表情が面白い。


箱の中に鎮座するのは


楕円形に磨かれた深紅の宝玉が一つ
細めの涙型にカットされた紺碧の宝玉が二つ
三つの宝玉に捲きついて取り囲みそれぞれを繋ぐ白金の蔓と、合わせて捲かれた左右の端にある2振りの小太刀
この全て装飾が嵌った淡い光沢の白い盾


凝りに凝った豪華なペンダントだ。無論首下げ用のチェーン付。
なのはは?と言えば目を大きく開き手をプルプルと震えさせている。

「どうだ、気に入ったか?」

「ちょ、ちょっとリシェイド君、それ、一体幾らしたの?」
「桃子さん、それは野暮です。聞くとたぶん後悔しますよ?それに、コイツは宝飾品じゃありません」
「えっ?」

アーリーズ家の誇る最先端技術と日本が誇る職人芸の結晶。インテリジェンスタイプとしての機能は間違いなくエクスタス以上のハイスペック。
総投入資金は云千万にもなる桁違いな高コスト機だ。

「なのは、お前のデバイスだ。名前は"ブレイブハート"と、"ソードオブオース"。勇気の心と誓約の剣」
「シェイおにーちゃん・・・」
「一度起動してデバッグした後、初期化して魔力も完全に抜いてあるから100%お前色に染まるだろう。
お前にとって最高の相棒に足る存在になる筈だ。大事に使えよ?お前は魔力量が半端じゃないから作るのが大変だったんだぞ?」

流石にオーバーSSSの魔力に耐えられるデバイスなんてのはハッキリ言ってこの世に3桁も存在しない。
当然その仕様は完全ハンドメイド、ワンオフの超高級機となる。


なのはが管理局標準のストレージなんて持ってみろ。5分と持たずにオーバーロードで吹っ飛ぶぞ。


そんななのはの馬鹿魔力に耐えうる仕様なんてのはオレのエクスタス以上のスペックが必要だ。
その為エクスタスの予備パーツ等をなのはのデバイス用に改修し、可能な限りどんな大出力にも耐えうる仕様にした。
元々エクスタスの部品は直接魔力が動く所だと単体で1000万程度の魔力量でも耐えられるようにし、更に複数用意して並列化された仕様となっている。
それと同様のレベルで仕上げたんだが・・・オレと違って自家発電オンリーだもんなぁ、これでもかと苦労した自分がアホらしくなる。

ついでにバックアップとしてエクスタスと同様の魔力チャンバーを24基(CPの悪いカートリッジシステムなんて俺は認めん)と
それの充填専用俺の物より若干出力が高い相転移炉を1基(運用可能総魔力は1200万、魔力炉直結はオーバーロードの危険がある為無し)、
ついでにAMFユニットとAMCSモジュールも内装している。上手く使えば相手に魔力的気配を感じさせずにAAAクラスの砲撃をかます事も可能だ。
膨大な魔力を扱え、さらに対超高濃度AMF下でも通常時と変わらない戦闘が可能な様、恐ろしいほど徹底的に作りこんだ代物となった。


おいそこの母親ズ、ニヤニヤしながらコッチミンナ。
「だって、ねぇ」
「ほんと、なのはにこんな入れ込むだなんてリシェイド君も隅に置けないわ」
「・・・ちと黙ってろ」


『お゛っほん』

「さて、本邦初公開、"魔法少女"なのはのお披露目だ。とりあえず起動してみな」
「う、うん。"ブレイブハート"、"ソードオブオース"。セット・・・アップ!」

膨大な魔力を周囲に纏い、
溢れる余剰が竜巻のごとく渦が起こり、
その渦が収まった先。

なのはの左手には二周りほど小さくしたエクスタスに似た先を持つ杖と、両脇に提げるは一振りづつの小太刀。
小太刀の柄は白銀の弦と紺碧の結晶体で意匠されておりデザイン性にも拘っている。鞘も飲み込まれる感じすらある透き通った漆黒に染め上げてある。

杖の先の意匠がエクスタスに似せてあるのは俺からのちょっとした悪戯だ。
それと、このデバイスには隠しモードが搭載されている。隠しモード発動時は更にもう一つAIが起動して
色々とやるんだが・・・コレは緊急用、余程の事がない限りは起動しない。


「なのはも徹が出来るようになったって聞いてな。ボチボチ奥義も出来る様になるだろうから"ソードオブオース"は御神の業を使う事を前提に作った。
魔力関連は"ブレイブハート"とリンクしている、って言うか両方揃って一つのデバイスシステムとして機能するんだがな。
"ブレイブハート"については、非運用時にはブローチみたいにして体に引っ付けるか機動砲台としてリモート操作する事も可能にした。
さて、今度はバリアジャケットだ。専用ルーチンを組んであるからお前のイメージから理想のスペックで構成してくれる筈だ、ほら」
「・・・バリアジャケット、展開!」

デバイス起動以上魔力の渦が捲き、本編と同じ淡い赤色の魔力光が周囲を強く照らし染めあげた。
デバイス内の専用モジュールを使ってゆっくりと、完璧なバリアジャケットを形成していく。
渦が収まった先、ここまで介入した結果、ジャケットのデザインが如何変わるか楽しみだったのだが、


「ん?」


本編と殆ど瓜二つ、スカートが短くなって広がってないだけで・・・

ってStSアグレッサーモード腰巻無しVerのなのはさんがいましたよ?ナンデジャ~!!

・・・でも白ニーソと絶対領域は萌えた。コレは他がトラウマ物でも譲れねぇ。ウンウン、やっぱり可愛い物は可愛い。

「あ、あはは。・・・聖祥の制服のイメージが強かったみたい、です」
「ま、まぁそんなモンだ。で感想は?」

少しビクッとして、そのままブレイブハートを抱きしめる。オウオウ、何か涙腺緩んでないか?恭也の殺気もヤバい事になってますよ?

「あっ・・・し、シェイおにーちゃん。プレゼント、ありがとうございますっ!わたし大事に使います!」
「お、おう。まぁデバイスだし何かあったら、またどうにかしてやるから安心して使えよ」
「ハイッ!」
ちょ、待て待て、っ抱きつくな!?
「にゃはは、シェイおにーちゃーん!」
顔を俺の体に埋めるな!満面の笑みでこっち見るな!!
恭也が嫉妬に狂ってんだ。後で凹られるのは俺だぞ!?勘弁してくれ。
あれ、士郎さんも何でこっち睨んで・・・ってブ○ータスおまえもか!!


勿論この後、オレは人知れずバカ二人に思いっきり凹にされ、朝になって気付いたら簀巻きにされて路地裏に転がっていた、グスン。


ちなみに他の各々が用意したプレゼントだが美由希はぬいぐるみ、恭也が鋼線一式と飛針の消耗品群、
士郎さんは無銘だが業物の小太刀を一振り渡したらしいが、なのははオレの時と同じような喜び方でお礼したそうな。
バカ二人は当然のごとく満面の笑みだったとか。オレは凹られ損かよ。


ん?『レイハさん要らない子』化確定?

バカ言え、あんな漢気溢れる熱血砲撃デバイスなんて持たせられるか。もしウチのなのはが本編のごとく影響受けて魔砲少女化してみろ、
コロニーレーザーとは言わんがZZは無論ネェル・○ーガマも真っ青なのを間髪入れず連射できるんだぞ。
いくらオレが同レベルのエクスタスとレティスを持ってるとは言え、そんなのフォローしきれん。
それにエクセリオン程度の魔力でフレームがぶっ飛びそうなデバイスなんざ、なのはの魔力リミッター外したら一週間もかからず耐え切れずに砕け散る。


さて、そんなこんなで4月を迎えてなのはが小学校へ進み、持てる天才っぷりを存分に発揮している頃、オレはといえば

「た、足りねぇ」

オプションユニット製作の資材が足りない事が発覚してorzしていた。

調子こいてブレイブハートやソードオブオースにかなりのリソースを投入した結果、高負荷環境に耐えうる部品が悉く消費されていき、
あっという間にストックが底を付いてしまったのだ。
とりあえず自分達の魔力的な隠蔽が必要な為に、御平教授が構築した理論を元にAMFユニットとAMCSモジュール関連は優先で完成させたが
他のオプションを作る事はかなり難しい状態になってしまった。
いや、作る事は可能なんだよ、図面は完成してるから。だがミッドやらナニやら他の次元世界から原材料手配して、
職人宛に加工の依頼かけて戻ってくると、どう考えても1期には間に合わない。最終決戦以降になるだろう。
俺自身が直接介入するつもりは全く無いが、一連の流れで起きかねん次元震や砲撃の流れ弾、プレシア"説得"イベントを考えるともうちっと戦力強化したかった。
「お前も大概バカよねぇ。自分の事すっかり忘れてなのはちゃんのデバイス作るのにお熱になっちゃって」
「ックショウ、うるさいよぅ。それに母さんだってノリノリだったじゃないか!?」
「だって文字通り"最高"な愛弟子のデバイスよ?マイスターとしても興味が湧くし師匠としても楽しみだったからしょうがないじゃない」
「だったら気付いた時に一声かけてくれたって・・・」
「それはお前の責任でしょ?さ~て、今日の夜はどうしましょ?」

・・・もう如何とでもなれ。その代わり何か起きたら淫獣共に全部なすり付けじゃ!

そういえば先週、対闇の書用デバッグパッチの原型が出来上がった。
実際には稼動している実物を見ないと細かい修正が出来ないが、稼動開始から2週間もあれば完璧に抑えられるだろう。
でもパッチのサイズがその辺のヘッポコインテリジェンス並のコード量ってのはなぁ。保存媒体がかなり高くついた。
何はともあれ、クリスマスのフルボッコなんて年末で忙しいし縁起悪くて見たくねー。
去年手伝って初めて知ったが翠屋のバイトがどれだけ悲鳴上げると思ってる!なのはだって貴重な戦力なんだぞ!?

そんなアホらしいイベントには割けられない!

・・・それにあの程度ならなのは単体であっという間に抹消だ。適当に重力結界で隔離してそのままドンと最大出力で2発も撃てば完了だな。



アルカンシェル?そんな物は飾りです。エロい人にはそれが判らんのです。
高々巡洋艦一隻の出力なんてエクスタスやブレイブハートの出力より低いのは分かりきってるし。
なにより空間の相転移は周囲空間への影響もきつい(ヘタなEMPも真っ青な電磁波と重力の乱れが周辺数百キロに渡って響く)から
大気圏外でも月より内側の軌道で使うのは拙い。場合によっちゃ大規模なブラックアウトが起きちまう。
本編じゃかなりスルーしてたけど本当、管理局って人の迷惑考えてないよなぁ・・・。


とまぁこんな感じでグダグダしてる内になのはが8歳を向かえ、ついに本編の時間まで来てしまった。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:267b9309
Date: 2008/07/23 09:37

新暦65年、第97管理外世界現地時間4月1日午前0時過ぎ。

「あ~、来ちまった。ついに来ちまったよ」
何が来ちまったって?あと10日もしないうちに、この近くの航路でプレシア女史が輸送船にアクションを仕掛けてジュエルシードがこの近郊に散らばっちまう。

そう、第一期の始まりだ。

ついでに6月には守護騎士システムが起動するからボチボチ対闇の書の準備も必要なんだよな。
商店街にこまめに顔出しときゃ見つかるだろうけど。
それに対守護騎士用近接装備であるTypeBオプションは未だ完成して無い。
他のと平行だがこれが完成しない事には話し合いのテーブルにすら付いてもらえないだろう。ちと急ぐか。

なのは6歳の誕生日の後、4月上旬。オレは今後への布石としてなのはにある事を行った。

「なのは、お前の事について話しておきたい事がある」
「いきなり何でしょう、シェイおにーちゃん?」
そんなキョトンとするな。お前の為だから。いやマジで。
「小学校に通い始めて、ボチボチ授業も始まるだろう」
「えっと、週明けにはクラス・学科別の先生の発表と合わせて授業が始まるって聞きました」
「・・・大学みたいだな、まぁいい。それは良いとしてまだ体育とかはしてないって事だな?」
「えっと、話がみえないのですが」
この状況で気付けんか。まぁ今まで周囲がウチや家族ばかりだったからな。そこまで世間に疎くなってしまったか。

「先に言おう。当面トレーニングリストを外す事を禁じる。あと負荷も上げるぞ」
「ふぇ?・・・・え、えぇーーー!?な、何でですか!?」
むぅ、コレは天然さんか?もうちっと空気読める様にしないと社会に出た時よろしくないなぁ。
「バカかお前、自分の能力を考えてみろ」
「ぇ?」
「何処の家庭に握力60kg以上もある6歳児がいるんだ!何処に飛針投げて畳半分以上の所まで刺せられる一般人がいると思うんだ!?」
「むぅ、ココにいます!わたし出来るもん!!」
「・・・頼むから素でボケないでくれ。あと自分はカウントしないのがこういう話の流れでは基本だ」
「うぅ、わたし駄目な子ですか?」
「まぁ今のは、ねぇ?・・・話を戻すぞ。例えば体育でボールを投げるような事があったとしよう。と言うか確実に有るだろう」
「は、はい」
「でだ、そんな時リミッター無しのお前が本気で投げてみろ。結果は解かるな?言ってみ」
「・・・野球の球なら多分キャッチャーが吹っ飛びます」
「その前に捕った腕がへし折れる。あと球止めのフェンスやネットは間違いなく貫通する。バスケでダンク決められるジャンプ力ってのも問題だな」
「そ、それじゃあ、なのはは本気を出せないという事でしょうか?」
「うっ、涙目で言うな。コレが現実なんだから諦めろ。あと、魔力の方も150万位まで抑えるからな。
コッチも初めて魔法に触れた時のお前みたく何処で悪影響が出るか分からん」
「・・・わかりました」
「安心しろ。世の中にゃぁお前と似たような奴だってきっといる(月村のお姉さんよぅ、いい加減正体明かしてくれ。宥めんの大変なんだ)」
「そんなものですか?」
「そんな物だ。世の中ってのは意外と上手く出来てるんだぜ?」
「ハイッ!」




・・・とまぁこうしておいたおかげで『すずか、アリサお友達化』イベントは無事完了した。

いや、もしリミッター無しだとなのはが引っ叩いた瞬間、アリサちゃん確実に潰れたトマトで逝ってたよ?





で、何だかんだで無事3年生を向かえ、ついに4月も半ば、ボチボチ始まるだろうとサーチャーを隠蔽モードで町中に展開していた。

「ん?」
サーチャーに反応、数は21個。ついに来たか。
「"シェイおにーちゃん!"」
「・・・なのはか、どうした」
「"今魔力反応が!"」
「あぁ、俺も今確認した所だ。なのは、リミッター解除の条件、変更するぞ」
「"イキナリ何ですか!?"」
「身体リミッターについてはもう外しても構わん、そろそろ加減ってのも分かったろ。
対魔導師戦で魔力は最大でぶっ放すとショック死しかねんからこのままだ。
で大幅変更は対物、特にロストロギア系の場合だ。魔力についても完全開放を許可する。確実に無力化しろよ」
「"え、えぇ!?戦闘になるんですか!?"」
「尚、オレは面倒なのがイヤだから基本的に介入しねが、おまえに安全に関しては保障してやる。
・・・フム、一箇所ドンパチしてるな。ちと行ってみるか、実戦もいい勉強だぞ?」
「"シェイおにーちゃん・・・ハイッ!"」
「良い返事だ。対ロストロギア戦は初めてだし、いい経験になるだろうさ」


デバイスを展開し空中でなのはと合流。無論ステルス術式を用いて可視とレーダーからは完全に消えている。
別に念話で疎通できるから味方同士では困らないし、純物理技術しかないココのような管理外世界では完全に迷彩されて動けるってのは大きい。

「シェイおにーちゃん!」
「来たか、公園の雑木林の方でやってるな。・・・レティス」
「なんでしょうか?」
「実戦は初めてだ。模擬戦は十分やったが気ぃ引き締めんぞ」
「了解しましたマスター。ユニゾンシステム、スタンバイ完了」

「良い子だ。ユニゾン、スタート!」

ココで今のオレの容姿について断っておく。
オレの髪は母さん譲りの黒髪に父さん譲りの青い瞳、背は既に170程ある。順調に伸びているから止まる頃には180は超えるだろう。
ウェイトは格闘戦も考慮して無駄な筋肉も少量付けて70キロ代前半でキープしている。
60キロ代になると途端に攻撃・防御共に一気に軽くなってとてもじゃないが御神の剣士みたいな化け物とは戦えないからだ。
バリヤジャケットはシンプルと言うか某ア○ロ大尉が着ていたノーマルスーツが真っ黒になった感じだ。無論ヘルメットは無し。後、足回りが若干ゴツくなってる。

ユニゾンを行うとオレの髪はレティスと同じ色に変化。
ジャケットの色も変化して、淡いコバルトブルーの掛かった白をベースに黒のラインが縦に入った風になる。

「とりあえず見学だな」
「助けなくていいの?」
優しい子だねぇ、だけどココで下手に介入した時の淫獣の対応の変化にも問題がある訳で。
「如何見てもミッドの魔術師だぞ、あれ。本来ならこの世界で大っぴらに魔法使っちゃ拙い筈だ」
「・・・犯罪に巻き込まれるって事?」
頭の回転の速さとボケ具合は別物ってのが嬉しいねぇ。オニイサンとしちゃ賢い子は好きだよ。
「そうだ。まぁぶっ倒れたら救助ぐらいはしなきゃ後味悪いし、その辺は適当だがな」
「ハーイ」


ユーノSyde

突然のトラブルでばら撒かれてしまったジュエルシードを追ってこの管理外世界にきて、ついに二個目を見つけたと言うのに
「■■■■■■■■■■■■■ーーーーーッ!!!」
「っっくそっ!」
拘束しても拘束しても、何度拘束しても引きちぎってコッチに襲い掛かってくる。
輸送船からコッチずっと動きっぱなしで流石に魔力が厳しくなってきた。イチかバチか封印を・・・

「・・・」
レイジングハートが待機状態のままだけど展開している余裕は無いし、このままいくしかない!
レイジングハートを翳しながら魔法陣を展開、っ!魔力光でコッチに気付いた!?
「妙なる響き光となれ」
コッチに向かってくる、間に合うか!?
「赦されざるモノを封印の環に!」
っく、飛び掛ってきた!
「ジュエルシード、封印!」
術式発動の刹那、魔力体が魔法陣に接触・・・くそっ、負荷が大きい!
封印に失敗!?
「逃がしちゃっ、た。追い、かけなくっ、ちゃ」
あぁ、意識が・・・せめて念話を。応援を呼ばなきゃ。
「(だれか、僕の声を聞いて。力を貸して。魔法の、力を・・・)」
ぅ、省エネモードに入らなきゃ、これ以上持たな、ぁ・・・。



リシェイドSyde

さて、ターゲットは黒くて丸くてウネウネした何ともキショい物体X。どんなアフォの思念が具現化したか激しく疑問だ。
「シェイおにーちゃん、あの人イタチみたいになったけどクーちゃんの親戚?」
「いや、変身魔法だろ。それにアレはフェレットだな、一応。って事はスクライアの出か」
このシーンをなのはに目撃させた以上、あんな浪漫は実現させん。

「それで、あのウネウネした気持ち悪いのどうしたらいいの?」
「そうだなぁ・・・術式封印処理は分かるな?」
「えっと、相手のコードに強制介入してオーバーフローかロジックの停止若しくは破壊、で良かった?」
流石母さん、汎用封印術式の方も手をつけてたか。局員なら犯人取り押さえに必須の技能だもんな。
「十分だ。初めての実戦だ、いって来い。あぁやる前にAMF撒いとけ、あと結界も展開しろ。周囲への被害は抑えなきゃいかん」
「え、えぇ!!」
「何驚いてる。ミッド出身のオレや母さんが表立って魔法を使うことは出来んのはお前も知ってるだろ。
オレはこのガキの応急処置だ。とりあえずココにいるから封印処理したら戻って来い」
「え、えっと」
「今度の一件をお前の卒業試験としてやろう。最終的な結果が俺の満足いくような内容なら合格としてやる」
「っ!!」
「やる気が出たようだな。恭也達に連れられて命のやり取りって空気は知ってると思う。
あそこまで生臭い物じゃないからサクッとやって来い。ヤバくなったらフォローはしてやるから安心しろ」

鋭い目つきに変わり、『御神の剣士』の雰囲気に代わったなのは。ココまでスイッチできるのには感心する。
まぁ、出来なきゃ普段の温和な性格は維持出来んよなぁ。ココまでギャップがすごいと見てるこっちはキツイわ。


なのはSyde

シェイおにーちゃんの卒業試験と聞いた時、私は耳を疑いました。

今の『私』の全ての切欠で、6歳の誕生日にこの手にある大事な『相棒』を作ってくれた魔法の実運用以外、全ての分野で私の教師役。
小さい時から寂しい思いをしないよう面倒を見てくれた優しくて面白い人。

勉強の内容は厳しかったけど飽きない様に工夫してくれていたんだと時々思います。
ようやく各課程が終わり始めて、私としては一人立ちして隣に立てるのかな?とも思ったりしたのですが



「何マセ言ってる、このジャリンコ。合格?なもん当面は出せん。そのうち試験してやっから待っとけ」
と一刀両断。試験をしてくれると言ってたので何時かはと内心意気込んでいたりもしたのです。




「今度の一件をお前の卒業試験としてやろう。最終的な結果が俺の満足いくような内容なら合格としてやる」

よりにも寄ってこんな外からの来訪者を試験の対象にするなんて、ちょっと難易度が高いと思います。
「でも、やるしかない、よね?ブレイブハート」
『その通りだマスター』
この何処かで聞いた事あるような慇懃無礼臭い声の持ち主がブレイブハート。テニプリのあの人だ。
『我等に斬れぬモノ等無し!この困難も切り払って先に進もうぞ、御主人』
ダンディーな声のソードオブオース。この声は・・・そう、蛇さんとか金平糖の悪夢さん。

シェイおにーちゃんの作るデバイスは何故か声優さんの声をサンプリングして作ります。
おにーちゃん曰く『コレが誰にも譲れないヲタクの浪漫という物だ』だそうです。
意味が分かりませんがあの人の『拘り』ネタはよくあるのでこの時もスルーしました。

「そうだね、それじゃサクッと終わらせちゃおう。征くよ、二人とも」
『『了解したマスター(御主人)!!』』


林の陰に隠れてウネウネと修復し続ける魔力体。魔力量は大した事無いし、術式も乱暴で単純だ。
「SOO、先ずは弱らせよう!」
『承知!』
瞬間で一気に加速。そのまま斜め上から花菱を仕掛けます。あれ、コッチに気付かずにサクッと・・・もしかして弱い?

そうそう、おにーちゃんの話だと魔力運用時なら私の瞬間最大速度は音速の倍位は出てるそうです。
ちなみに、恭也おにいちゃんが使う『神速』の2段掛けだとそれより圧倒的に早く動く事も可能だとか。
体術だけでその高みにある私の家族がどれだけすごいのか、最近になってようやく分かってきました。
・・・シェイおにーちゃんが『バケモノ』って言ってるのも無理ないです。世界記録ってあまり凄く無いんだなって実感するぐらいですから。
あと反応出来てる時点でシェイおにーちゃんも十分バケモノだと私は思います。

「思ったより手応えないね。気配消してなかったのに」
『ふむ、後は術式介入だけで十分だろう。マスター止めといこう』
「そうだね、無駄に時間かけるのは良くない事だし一気に決めちゃおう。SOOとりあえず待機ね、ブレイブハート。決めるよ!!」
『了解した御主人』
『相転移炉定格、各チャンバー充填完了。ゲテモノ、魔力の貯蔵は万全か?』

あ、ネタに奔った。

「クラックモード、スタート。解析用術式展開」
『術式展開開始。解析完了まで2秒』
「ロジックブレイカースタンバイ、合わせて封鎖結界及びAMFを周囲に展開、AMCS起動!」
『各プロセス処理完了。いつでもいけるぞ』
「おっけー。それじゃ、ロジックブレイカー、ファイヤ!」
複雑な術式が幾重にも絡みついた魔力光がウネウネと蠢く魔力体に命中する。そのまま魔力反応が収束して
『術式に揉まれて溺死しろ』


「・・・ブレイブハート、ネタに奔りすぎるのは良くないと思います」
『声優ネタでマッチして反応したい気持ちは理解出来んでも無いが貴様はやり過ぎだ』
『むぅ、わかった自粛する』
「さてと、終わった、かな?」

魔力体が有った所には紫色っぽい宝石みたいなものが一つ転がっていました。



戻ってリシェイドSyde

「シェイおにーちゃん!」
我等がなのは様ご帰還ですか。ご機嫌のようだし汚れ一つない。完璧に始末したみたいだな。
「ご苦労さん、首尾は?」
そう言うとスッと取り出したるはジュエルシードが一つ。
「えへへ~、わたし、やりました!」
「OK、とりあえずオレんち行くぞ。このフェレットもどき叩き起こして話を聞かないとな」
「へ?」
何を期待していたお前。
「試験は終わってねぇぞ。言うなれば未だ問1が終わっただけだ。次も頑張れ」
「ひ、ヒドイです!アレだけ期待させておいて!!」
「だから、このフェレットもどきの話を聞いてからだと言うとるに」

とまぁ、微笑ましい口喧嘩をしながら自宅に戻るオレ達。



っし、これで覗きフラグ削除成功、ヨッシャ。

まぁ、覗かせて高町家全員に屠って貰うってのもアリだったか。なんせキ印な強さの御神の剣士が、なのは含めりゃ現在5人もいるんだぜ?
インファイトならデルタやSASの一、二個小隊程度じゃガクブルしてる間に瞬殺だ。香港の化け物共や諜報機関連中は例外だが。
対魔導師戦で相手が陸士ならどれだけヤれるか見てみたいな。かなり(魔導師側が)悲惨な結果になるだろうけど。



さて、場所は変わってユーノ・スクライアを引っ張り込んだアーリーズ家。
「いい加減起きろ、ボケが!」
勢い良くバケツで水を顔にぶちまける。山入って沢から汲み上げた水温約8度の冷水だ、さっさと目ぇ覚ませよ?
「ッブフッ!!ゲホッゲホッ・・・あれ?ここは」
「ようやく起きたか」

ユーノ本人は長ソファーに寝かせ、母さんとなのははその対面に座っている。
「え?・・・あ、ああー!!」
「どうした、財布でも落としたか?」
「え!?ちょ、ちょっと待って・・・あぁ有った有った、って違う!」
「おおぅ、本場でも難しいノリ突っ込みを素でかますなんてすげぇ!母さん、面白い奴だね」
「そうね、でもまだちょっと幼いかしら。吉本の育成科には早いんじゃない?」
「シェイおにーちゃんもクレア先生も、いくら面白くてもあまり遊んじゃ駄目だと思います。こう言うのはメリハリが必要です」

あぁあぁ、無視され続けてのの字書き始めやがった。
『マ、マスター、気をシッカリ持って!』
むぉ!?この東海道新幹線で良く聞く声は・・・、まさか、レイハさんか!
「あぁ、レイジングハート、どうせ僕は要らない子だよ。発掘したジュエルシードを運ぶ大役を買って出たのに
管理外世界にばら撒いたばかりかあんな事にまでなってしまったんだよ。僕なんて、僕なんて・・・」
『泣かないで下さい、これから挽回すればいいんです。人生、失敗の一つや二つは必ずあります!汚名は雪げるんです!』
おお~、やけに弁が立つな。レイハさんって面倒見いいのか?

『今度はコッチが先にフッ飛ばしましょう!そうすればこちらの勝ちです、後は焼くなり煮るなりどうとでも!!』
「そ、それじゃ駄目だよーーーーーッ!・・・アッ?」ドサッ

テンパり過ぎてまた倒れやがった・・・駄目だこりゃ。



日が明けて一心地付いた朝食時、ようやく落ち着いて話が出来る状態になった。
まぁ半分はコッチが煽ったのが原因だから文句は言えん。


「昨日は見苦しい所をお見せしてすみません。僕はユーノ、ユーノ・スクライアと言います」
「スクライアって事はあの発掘一家だな?」
「はい、って僕たちの事を知ってるんですか!?」
「私とリシェイドは元々ミッドの住人だから、ね。色々有って今は管理局の上の方の人の紹介でこの世界に引っ越したの」
「まぁそういう事だ。で、昨日ここら一帯に散らばった魔力反応、アレはロストロギアで良いんだな?」
「・・・ハイ。AAAランク指定ロストロギア、呼称をジュエルシードと言います」
AAAランクと聞いた途端眉間に皺が寄った母さん。
航空隊の任務で散々ロストロギア関連の犯罪に悩まされたって話だし、危険性は誰よりも理解してるもんな。
「ジュエルシード・・・AAAランクだなんて厄介ね。管理局の輸送船で運んでいたんじゃないの?」
「はい、確かに発掘した世界から本局までの移送は管理局の輸送船だったんですけど」
トロトロ喋るな。さっさと先に進みたいんだコッチは。
「だったんですけど?なんだ、誰かに襲われたか?全身タイツの数の子とか」
「数の子って何ですか?っと、襲われたと言うか、詳しい状況は聞いてませんが船全体に衝撃波が奔ってカーゴルームが損傷したんです。
その次の振動が来た時、コンテナごと船から脱落した後は見ての通り、です」
「襲撃の可能性大だな。相手は最低でもAAA、多分S+かSS程度の魔導師か。母さん、元管理局員としては如何思う?」
こちとら専門家がいるんだ。ちゃんと意見聞いとけよ?このガキンチョ。
「そうね、リシェイドの言う通りそのクラスの魔導師なのは確かだわ。直ぐにでも本局にヘルプ出すのが正解なんだけど、船はどうしたの?」
だよな、普通なら通信入れて半日もあれば本局の高速艇が救助なり何なりに来てくれる筈なんだが

「2回目の振動の後、動力にダメージがって聞きました。転送ポッドは動いてましたから大丈夫だと思いますけど、船は多分もう・・・」
「そう・・・悪かったわね」


ちょっ、プレシア女史やり過ぎですがな。流石に船一隻沈めたらフォローすんのも難しいぞ。


「えっと、話についていけないのですが、結局何が如何なってるのでしょうか?」
「あぁ、悪いな。まぁ簡単に言えば管理局に喧嘩売ったバカがいて、売った際にチョットだけ危ない荷物がこの町に零れたって話だ」
「ちょっとですか?」
「雑魚だったろ、アレ。アレがチョット飛び散っただけだ。なら問題ないだろ?」
「あれ?って事は」
「試験延長だ。残り19個、キッチリ封印しやがれ」
「ウグッ、それはチョット8歳の小学生には荷が重いのでは」
喚くな。この程度、本編じゃキッチリやり遂げてんだぜ?今のお前よりも数段弱いのに、だ。

「え、えっと、話が見えないのですが」
そういえば未だ見せてなかったな。
「ホレ、お前さん凹ってた奴だ」
差し出すはジュエルシード。なのはが最初に封印した奴だ。
「えっ!?」
「この子に感謝しとけよ?まぁ、あの程度20秒も掛からずにサクッと封印してたが」
「う~ん、あれぐらいなら魔法が使えないお兄ちゃんやお姉ちゃんでも普通に凹に出来そうです。封印以外はSOOで切り落としただけですから」
「物理的には出来ても弱らせるのが精々だから意味無いが、な。まぁ凹だけなら出来るだろう。お前より強いんだし」
「・・・何処のバケモノですか。貴方達は」

「むぅぅ、・・・わたし、お化けじゃありません!何処にでもいる普通の8歳の女の子です!!」

コラコラ

「いや、握力3桁に届きそうで100m12秒切った時点で普通じゃないから」
キョトンとするな、なのはよ。まだ確認出来ていないからハッキリは言えんが、おまえ多分夜の一族超えてるぞ?
それ以上で戦闘機動する父親や叔母、兄姉がいるから不思議に思える環境じゃないってのも問題だけど。桃子さんは別格だから論外だ。
見てみろ、今の話聞いてユーノなんて目のハイライト消えてガクブル状態になってるじゃないか。
「・・・あれ?またおかしいですか?」
「あぁ、チョットだけ面白かったが駄目駄目だ」


「・・・あ、そういえば貴方の名前を聞いて無かったんですが」
「おぉ、そうだったな。オレはリシェイド。リシェイド・アーリーズだ」


とまぁ、淫獣の役目はサクッと終わらせて身柄を確保。とりあえず休養させつつウチで雑用係と相成った。へっ、お前に良い思いはさせん!
ジュエルシードの落下ポイントはトレースし切れなかったが、出たが最後、なのはセンセイの御出陣だ。
まぁ怪我が直ったらユーノに結界張らせるか。無駄なリソースは減らした方が良いしな。
それに当面はリミッターつけたまま任せても問題ない。それにリミッター下ならフェイト戦もそれなりに楽しめるだろう。
フェイトは足が速いから貫や神速をマスターしていないなのは相手だと近接ならもしかするかも知れん。
でも奥義使え始めてるからなぁ、雷徹覚えたらヤッパ瞬殺か?
アルフは・・・ユーノはじゃ原作のままだろうから俺が捌くか。メンドイが仕方あるまい。ジュエルシード回収作業の護衛もしなあかんしな。


魔導師として動いてる時のなのはに何かあったら全責任がオレに降りかかるんだ。
1日耐久、御神の剣士4人とのサドンデスデスマッチなんて絶対にしたくねぇ!





「・・・ねぇ、私は?私の紹介は?」
「あ、母さんゴメン!」
やっべ、スルーしちまった。
母さん、隠居状態長いせいか存在感がどんどん薄くなってるんだよな。
40の大台が見えたにも拘らず厨房程度の子供がいる母親とは思えん程に若々しいけど。




この後、久しぶりに母さんに思いっきり凹られたのは言うまでも無く、ユーノはそれを目の当たりにして母さん見るだけで萎縮するようになったとさ。ギャフン。





って感じに母さんに凹られ、起き上がった時には既に昼過ぎ、原作どおりならそろそろ神社あたりで反応が出るだろう。
そういえば原作組の神咲とかが高町家にコンタクトしてないんだよな。知らん間になのはは久遠とは知り合いになってたが。
まぁ恭也が武者修行といって全国徘徊してないし、サクッと月村さん所とお付き合い始めたってのもあるんだろう。
それでも時々フィアッセが翠屋に来てるのはオレも知ってる。
恭也争奪戦に負けたのに健気と言うか、それともこの空気が好きなだけなのかは分からん。
亀とサルは一度も見ずに終わった、好みじゃないから別にいいけどな。


・・・って、言ってる傍から魔力反応増大!
「なーのはー、お仕事だ。残り19個。頑張ってこいや」
「ふぇ?」
「ボケてんじゃねぇよ。さっさと行け」
「い、いってきまーーーーすっ!!」



なのはSyde

シェイおにーちゃんに急かされて魔力反応を追うと神社の境内で犬みたいなのが暴れています。

「とりあえず、結界張ろうか」
『了解した。閉鎖結界、AMF展開。AMCS起動を確認』

コレでとりあえず周囲への影響はなくなりました。魔力体と言う事もあるのか、AMFのおかげで若干弱ってます。
「さて、相手は・・・何か取り込んでる?あまり怪我させたくないなぁ、・・・ようしっ!バインドで!」
『了解だ。リングバインド準備完了』
『チェーンバインドも準備できたぞ』

「バインド、展開!」

桃色の魔力光、シェイおにーちゃん曰く『魂の色』だそうですがこの淡い光で出来た鎖と輪がジュエルシードの魔力体に取り付き、
そのまま地面に縛りつけてあっという間に身動きを抑えていきます。
『ロジックブレイカー、スタンバイ完了だ。何時でも良いぞマスター』
「仕事が速いね。ブレイブハート」
『コレが私の仕事だからな』
「それじゃぁ・・・発射!」
後はサクッと昨晩同様に術式崩壊・魔力拡散させて終わりです。


リシェイドSyde
「ふぅむ、まぁ及第点だな」
「そうねぇ、この感じならボチボチじゃないかしら」
サーチャーでなのはの勇姿を監視・録画中なオレ達親子。・・・何で録画してるって?
いや、桃子さんからの依頼なのですわ、娘の勇姿が見たいって。
フェレットモードは強制解除でベットに寝かしてあるユーノも同じものを見ている。何かまたガクガクしてるぞ?
「どうしたユーノ、そんな震えて」
「どうしたってあの子、なのはって言いましたっけ、何であんな強いんですか!?」
あぁ、そういえば昨日のは見て無いか。
「なのはの魔力量は基本値で軽く300万オーバー。ブレイブハート・ソードオブオース運用時なら最大発揮で8桁いくぞ?」
「はっ、8桁!?オーバーSSSじゃないですか!!」
「う~ん、そう驚くほどでもねぇぞ?オレはそれ以上叩き出す事も可能だからな」
「エ゛ッ!」
顔が真っ青になったなコイツ。う~ん、やっぱりインフレは良くないか。でもやっちまったからどうしようもないんだよな。
「何、オレ自身は精々B+程度のヘナチョコさ。オレの真価は専用デバイスであるエクスタスとレティスがいて初めて発揮するからな」
「はぁ・・・」
「で、だ。お前さん。これからどうするよ」
「そうよねぇ、管理局はあまり好きじゃないけど、連絡ぐらいなら付けられるから。ユーノ君はどうしたいの?」
「・・・ジュエルシードが散らばったのは僕の責任です」
うほ、本編と同じ台詞。
「で?」
「僕が全部回収して、それから如何こう、になると思います」

・・・マジで聞いてて腹立つな。それに

「もうおせぇよ」
「どうしてですか?」
「管理外世界であるココにロストロギアが散らばった以上、現地在住の民間魔導師である私達は既に無関係とはいえないの。
管理局規定にある次元震危機下における民間魔導師の行動優先順位もあるし、徴発命令が出ればこちらの意思は無視されるわ。
この状況をスルーした、だなんて知れたら確実に『任意同行』から『色々御厄介』って流れになるでしょうね」
「そう言うこった。まぁ事をやるメインはなのはだがな。オレも大物とかは手伝ってやるし寝床も提供してやるから安心しろ」
「す、スミマセン。僕のせいで」
殊勝な態度だが、面倒事なのは変わらねぇぞ?
「・・・そんな引き目があるんならオレの事は秘密にしとけ、んまっそれがお前の身の為でもあるからな」
「何でそんな事を?」
「何、持ってる自作デバイスがちとハイスペック過ぎて睨まれかねんってだけさ」
実際にはハイスペックにも程があって『如何見てもオーバーテクノロジーです。本当にあ(ry』って感じだし。

「ただいまー」
もう帰ってきたか、お早い事で。

とまぁ第一期のパラレルは、こんな感じで始まった訳だ。この後一週間チョイでサクッとトータル10個集まり、原作以上のペースで事は進んだ。
サウンドストーリーのドキドキプール?3話のマセガキ樹イベント?・・・そういえば見てない。
研究所の顔出しに行っててプールには行ってすらない。
それに、基本的に超々遠距離からのスナイピングだったからなぁ。知らん間に防いだか?結果オーライでヨシとすんべ。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十一節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:d9fe59bd
Date: 2008/07/23 09:38

ヨッス。オレオレ、そうオレだ。
ついに『なのは、お茶会にお呼ばれ』の日が来た。巨大ぬことフェイト見参の回がついにきたのだ。


・・・オレか?オレはだな

「ウッス、元気か少女達」
「あ、シェイおにーちゃんだ~」
「・・・な、何で、な・ん・で・あ・ん・た・が・コ・コ・に・い・る・の・よ!!」
「あ、アリサちゃん落ち着いて」
「いや、忍嬢に頼まれた品持って来ただけだ。礼も兼ねたお茶で寛いでるんだが・・・問題あるのか?」



ツンデレに吠えられてました、ティーカップと仕事用のモバイルPC片手な状態で。



いやね、ジュエルシード集め始まって2回目の日曜、もしかしてとは思ってたがな。こうもビンゴするとはナンカ泣きたくなる。
「こんなヘラヘラした奴がいなければもうチョットはなのはといい勝負が出来たはずなのに、クゥゥゥッ!!」
「リシェイドさんってなのはちゃんの家庭教師さんなんだっけ?」
「うん!3歳の時から色々訓えて貰ってるんだよ」
「納得いかないわ!如何見ても頭が良い様には見えない面なのに何でなのよ!?」
「・・・なんかヤツアタリだな、オイ。ってかお前らとは何回も会って無いだろ。何でそこまで嫌われなイカンのだ?」
アリサとはどうも相性が悪いらしい。犬猿の仲ってヤツか?
「ア・ン・タって言うソ・ン・ザ・イが、私が受け付けないの!」
「アリサちゃん、言いすぎだと思うよ?シェイおにーちゃんが可哀想」
「そうだよアリサちゃん、いくらなんでもそれは・・・」
「・・・フム。悔しかったらこの論文読んでみ」
見せたのはオレが書き上げ理論構築した擬似結界隔離技術の基礎についての論文。もう何年も前の既出品だ。
「な、何よコレ、分かる訳無いじゃない、こんな難しそうな論文」
「フッ、こんなの5年以上前の基礎中の基礎だぞ?それにこの論文はオレの発表作品だ」
「なぁ!?」
「ふぇ?・・・あ、ホントだ。これシェイおにーちゃんのサインがある」
「ホントだね。セキュアデータだから改竄も無さそうだし、ホンモノかな?」
フッフッフッフッフッフッ、如何だ参ったか。伊達に頭をチートして無いぜ?
「クゥゥゥゥゥーー!」
「まぁ、今後も精進して、オレを抜くぐらいの事をして見せろ。さて、オレはボチボチ行くから後仲良くしてけよ?」
そう言って軽くアリサの頭をなでてやる。おぉおぉ、顔真っ赤にしちゃって。

「あ、頭撫でるなっーーーーー!!」



Sydeすずか

事の始まりはアリサちゃんとなのはちゃんが来る1時間ほど前の事でした。


"DINGDANG!"
「お客様、ですね」
メイド長のノエルさんがチャイムに気付きインターホンをとりました。アリサちゃん、それともなのはちゃんかな?
「はい、月村で御座います」
『その声はノエルか。リシェイド、リシェイド・アーリーズだ。忍嬢はいるか?頼まれた物を持ってきたと言ってくれ』
インターホンの向こうから聞こえたのはなのはちゃんが慕っているリシェイドさんのものでした。
お姉ちゃんに頼まれるって一体どんな物だろ、『一族』関連じゃないだろうけど・・・チョット気になります。
「ノエルさん、私が出てきます」
「すずかお嬢様・・・、ハイお願いします。私はお茶をお持ちしますので。ファリン、行きますよ」
ノエルさんはチョットだけ渋い顔をして、私付きメイドのファリンさんを連れてキッチンに行きました。

「こんにちは、リシェイドさん」
「お、すずかこんにちは。チョットお邪魔するぞ」
「あ、ハイ。お姉ちゃんの部屋分からないと思うから案内しますね?」
「助かる。にしても広い家だな」
「アハハ、そうでもないですよ」
「そういう謙遜を、小さいうちからするもんじゃねーぞ。感性がセコくなると大人になった時寂しい事になるからな」
「そういうものですか?」
リシェイドさんは体も結構大きく、大人びた雰囲気があって、それに時々ですが枯れた感じすらします。
「あぁ、そんなモンだ。ん?この箱が気になるのか?」
あれ、見てました?
「あ、ハイ。態々おねえちゃんに届け物だなんて一体何なのかなって」
「まぁ、気になるなら見ても構わんさ。見た所で如何かなる物でもないから安心していいぞ」

「お姉ちゃん、リシェイドさん来たよ」
『え!?ちょ、直ぐ開けるからチョットだけ待ってて!』
「何してんだあいつ?」
「・・・もう直ぐなのはちゃんと恭也さん来ますから」
「OK、把握した。って真昼間から部屋に篭ってナニする気だ?あの二人は・・・」
そういう事は言わない方が良いと思います。不謹慎ですし、チョットだけお姉ちゃんがうらやましいです。
「あ、あはははは」


「はぁはぁ、お、お待たせリシェイド君」
「ようやくか。邪魔すんぜ」
お姉ちゃんの部屋は、普段色々な配線や機材、工具等が部屋一杯に広がってます。ですがそれが見当たりません。ベットメイクも完璧です。
「・・・噂とは全く違うな。良くもまぁココまで片したモノだ、ビフォーアフターのアフターだけじゃ面白くないんだが」
「ど、どういう意味かしら?」
え、笑顔で怒ってます。でもそのプレッシャーにリシェイドさんも負けてません。
「気にスンナ、独り言だ。で、依頼の品を持ってきたが、どうする気だ?」
リシェイドさんが差し出したのはマスクメロンと同じ程度の球体状の機械でした。何本かのコードや配管、端子も見受けられます。
「まぁ、色々とね。恭也との愛の巣を守る為にも、ノエルを含め色々強化しなきゃいけない訳なのよ。コレはその第一歩って所」

パッと見は誰も気付かないのですがノエルさんもファリンさんも実は人間じゃなくってアンドロイドみたいな物なんです。
私は詳しく分かってませんが世間一般の所謂『ロストテクノロジー』な類の物で、それをお姉ちゃんが修復したそうです。

「だがな、そいつのヤバさをちゃんと分かってるのか?中弄って結界無しで臨界越えれば確実に海鳴丸ごと消滅すんぞ?」
「そんなヘマはしないし、制御系もバッチリよ。にしてもこんな近所に君みたいな子がいるなんて思いもしなかった。
恭也に紹介してもらわなかったらこんなの考える事も出来なかったでしょうね」
う、海鳴が消滅って
「お、お姉ちゃん、それ大丈夫なの?」
「あぁ、すずか。別にそんなビク付く事無いわ。ただの超・小・型・核・融・合・炉よ」
・・・え?
「え、えぇぇ!?」
「でもいいの?こんな安く譲ってもらっちゃって。普通なら8桁は軽いでしょ?」
「バカいうな。もう量産化の目処もたった。このサイズなら精々7桁半ばが良い所だ。搭載する重機なんかの案も幾つかメーカーから来てる。
それに、だ。静岡に有名な工場持ってる某企業とコンタクトを取って、あの有名な18m級の代物を作る準備が整ったと言ったらどうする?」
「そ、それはまた色々と魅力的な話ね」

・・・色々と不謹慎な内容の会話です、しかも経済観が全く違います。節々から察するに公の場で趣味に奔っている気がします。


本当、リシェイドさんって一体何者なんでしょうか。あの「お姉ちゃん」ともこんな風に普通に会話できるのも、ある意味凄い事です。
なのはちゃんの話だと昔から家庭教師してもらってるって言ってたけど、思い切って訊いてみようと思います。

「あのぉスミマセン、リシェイドさんって一体何者なんですか?」
この人は悪い感じしないですし、駄目で元々です。
「あれ、すずかは知らなかったけ?コイツのサジ加減一つで国の一つや二つ、簡単に傾いて消えるのよ?」
「オイオイ、何処のゼー○だよソレ。まぁ『O-B-O-Nクライシス』の一件はオレにも責任があるんだがな」
「『O-B-O-Nクライシス』って、あの?」
『O-B-O-Nクライシス』、世界の名立たるエネルギー系ファンドを一気に奈落の底に叩き落した事件。
8年前、丁度私たちが生まれた頃の事なので詳しい事は知らないんですが世界経済が瞬間的に大打撃を受けたみたいです。
未だにテレビや新聞でもこの単語が出てくるので知らない人はホトンド居ないと思います。
チラッと見たのですがお姉ちゃんが使ってた教科書にも載ってたぐらいです。
それと、名前の由来は発表が8月の半ばで、丁度日本中が御盆休みの真っ只中に起きた事だからみたいです。
「あぁ、オレと御平教授が発表した論文と特許の一群が世間に流れたらあっという間にあんな事になってな」
「ウチも結構な損失出てるのよね。何とか取り返しは出来たけど」
あ、他人事じゃなかったみたいです。あれ、御平、御平・・・!。
「御平教授ってあのよくテレビで出てくる」
「おぉ、オレの恩師だ。ちなみに、世間じゃ御平教授の研究チームって事になってるが
今普及してる核融合炉の一連の技術の半数以上が、オレの論文と特許の上に成り立ってる。オレが教授より先に論文仕上げちまってな。
で御平教授にソレ渡して隠れ蓑になってもらった訳だ。まぁ殆どあの人の研究の延長だから当然といえば当然だ。
オレは別に有名になりたいとかそういう欲は無い。で、この時取った特許のパテントが凄くてな。コレでもソコソコ金持ちなんだぞ?」
なのはちゃんが頭良い理由がなんとなく分かった気がします。物心付く前からこんな人についてもらえればアレぐらい別に不思議では・・・。


「あれ?リシェイドさんって今いくつなんです?見た感じそんな年上って感じはしないんですけど」



「んん?言ってなかったけか。未だ14だぞオレ。もう直ぐ15だがな」
え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?


「そうなのよ。私より若いくせに、こんな頭良いだなんて納得いかないわ」
「ハッ、なもん知るか。頭いいからって別に徳でも何でも無いし、使いこなせなけりゃ無駄なだけだ」
「ソレは同感ね。あれ、すずかどうしたの?ボーッとしちゃって」
リシェイドさんの傍にいると驚く事ばかり、特に驚きもして無いお姉ちゃんがすごいです。


と、こんな感じでリシェイドさんと話をした後、
庭先のテーブルで寛いでいた所にみんなが来たといった感じです。



なのはSyde
すずかちゃんのお家でお茶会をと言う事で遊びに行った先でシェイおにーちゃんと遭遇。
いつも通りアリサちゃんは一人顔を真っ赤にしてシェイおにーちゃんに当たりますが、
こちらもいつも通りに軽くスルーされて頭を撫でられてます。・・・良いなぁ。

「ッたく、せっかくのお茶会が台無しじゃない」
「未だ怒ってる。アリサちゃん駄目だよ、そんなプンプンしてちゃ」
「そうだよ、でも何でそこまで相性悪いのかな?」
「・・・アレよアレ、相反する存在なのよ私とヤツは」
「その割にはリシェイドさん軽く流してるし普通に可愛がってる感じだよね?」
「そうだよね、世話の掛かる妹?ってぐらいにしか見て無いと思うよ?」
頭撫でて貰ってる時点で普通に妹分な扱いだと思うのは私だけでしょうか。
小さい頃からずっと一緒だったのもあってか、シェイおにーちゃんと一緒にいるのが私の中では当たり前になってます。
でも頭を撫でてもらった事は余りありません。何かイベントがあれば撫でてくれましたが最近はソレも減ってます。
お父さん曰く『あいつは普段の図々しい態度に似合わず、そういう事をするのに照れてる』らしいです。照らなくても良いのに・・・。

「そういえばさっきの論文データ、本当にあいつが書いたものなの?」
「えっと、そういえばシェイおにーちゃんが何してるか二人には話してなかったっけ」
「言われてみればそうね」
「あ、私さっきお姉ちゃんの部屋で話した時聞いたよ?国立素粒子研究所で御平研の主任だって」
「・・・ウソォ!?」
「主任って言うか筆頭かな?チームの取りまとめやデータ解析なんかもシェイおにーちゃんの指揮下って話だし」
と、お仕事の関係もあってここ最近は家にいない事も時々あり、何気にクレア先生と私の二人でいる時間が意外と増えています。
そういった時に魔導師としての勉強をしてました。シェイおにーちゃんがいる時はクレア先生ソッチノケで一般教養となります。


後でクレア先生が拗ねてシェイおにーちゃんにヤツアタリしてるのもお約束です。


「そ、そんなに頭良かったの?アイツ」
「だけじゃなくって色々やってるみたいだよ?今日だってお姉ちゃんに頼まれて当たり前のように小型リアクタ持って来たから驚いちゃった」
「とりあえず大手重工業は全部関係あるって言ってた覚えがあるし、この間はNASAの人が来るとか言って東京のホテルで会談してきてたっけ。
最近は定期的に色々な研究機関にも顔を出してるみたいだよ?」
あ、アリサちゃんのデッサンが崩れてます。文字通り『ぽかーん』な感じです。
「アハ、ハハハハハ、HAHAHAHAHAHAHAHAHAーーーーー!!!!はっ・・・」
「あ、あれ?アリサちゃん!?」
「・・・壊れちゃった」
頭に血が回りすぎたのか、顔を真っ赤にしながら大声で空笑いしたかと思えばやがて青くなり、
最後には目のハイライトが消えて崩れてしまったアリサちゃん。

・・・そんなに驚く事だったのかな?

『、、は。なのは聞こえてるな?』
念話!?
『あれ?シェイおにーちゃん、どうしたの?』
『ジュエルシードだ。今結界張ったから適当にバッくれてこっち来い!』
た、タイミング良かったのか、な?
「あ、すずかちゃんゴメン。ちょっとお手洗い行ってきます」
「場所知ってるよね?私アリサちゃん見てるから行ってきていいよ」
崩れ落ちたアリサちゃんを介抱しているすずかちゃんと別れ、さっき念話で送られた場所へと向かいます。



結界の壁を越えて進んだ先に見えた物、それは
「えっ!・・・ぬこ、っじゃなかったネコ!?」
それはもう大きくなった子ネコさんでした。えっと、何があったのでしょうか。

「ったく、ぬこの欲求を、よりにもよって巨大化と解釈するなんて何処のドリフだ。チョーさんが草葉の影で突っ込んでんじゃねぇか?」
呆れながらエクスタスを構えるのはレティスおねえちゃんとユニゾンしたシェイおにーちゃん。

・・・ところでドリフって何?チョーさんって誰?



リシェイドSyde

なのは、ドリフ知らないのか・・・あ、チョーさん死んだ後の世代だからテレビ放映数も激減してるし知らなくても無理ないか。

「さて、なのは、チャッチャと仕事しろ」
「あ、はいっ!」

さて、本編通りならそろそろ、か?

ブレイブハートを展開し術式のスタンバイを進めるなのはを尻目にオレは周囲をうかがう。
本編ではフェイトの初手が奇襲であった、今までは殆ど本編をなぞってる以上、今回もそう進んでなのはが傷つく可能性がある。

もしそうなったら俺は剣士一同による処刑確定、それは絶対避けなきゃイカン!

「・・・っ、魔力反応!上から来るぞ!!」
「ふぇ?ええ!?」


『フォトンランサー、ファイヤ』


渋声バルディッシュの術式応答と共に薄い黄色の魔力光がなのはに迫る。
「ハッ、馬鹿が!」
『ブラスト・カノン、ファイヤ』
オレはエクスタスを構えて魔力砲を打ち出し迎撃、打ち落としたところでなのはの所へ急ぐ。
「あ、危ないなぁ、もう!」
そう余裕かましながら、なのははスフィアにシールド展開型の自動防衛機能を付加して周囲に展開していた。
・・・お嬢ちゃんや、その○フレクタービット、その辺の魔導師程度じゃホイホイ使えませんよ?魔力食いすぎ。

『フォトンランサー マルチショット』

多数のフォトンランサーが飛んでくるも、AAクラスの砲撃すら弾くなのはのシールドは揺らぎもせず、軽く弾かれていく。
遠距離戦でこの重装甲を完全にぶち抜けるのは本人の砲撃かオレぐらいしかいないと思う。
ココまで来るとマジ無敵だ。例えるならB-52の暴虐な各火力とF-22の凶悪キルレシオを足してついでに核シェルター背負ったって感じだ。

『サイスフォーム』

「来るぞ!」
ツインにまとめた金髪をなびかせて鎌形態のバルディッシュで斬撃を仕掛けてくるフェイトの姿が視認出来た。
「っ!行って!!」
なのはの掛け声と共にシールドを展開したスフィアが突入ルートを遮っていく。動きを止めたか?と思ったその瞬間


「けど、その程度!」
と声を張り上げながら加速、一瞬でシールドの裏側に回りこんで発生源であるスフィアを一閃し破壊。シールドを無力化しやがった。

「・・・対人戦かぁ、猫を傷付ける訳にはいかいないよね。SOO、征くよ!!」
『承知!!』
埒が明かないと見たのか、なのははブレイブハートを縮小し右腕にマウント、両手にソードオブオースを構えて一瞬で加速しフェイトに向かう。
接近戦に持ち込む気か。にしても御神の業が使えるなのはってマジ凶悪だな。神速使ってない今であの速度だから、もし会得したら一体どうなる事やら。


さて、問題はアルフか。何処に行った?結界とその周辺2キロ四方に反応は無いな。さすがにこの辺りまで正確に本編を覚えてないぞ。
後で気付いたんだが本編ではアルフは留守番だった筈なのだが・・・戦闘後にでしゃばって来た。かなり改変しちまったなぁ、気にはしてないが。



なのはSyde

「子猫を傷付ける訳にはいかいないよね。SOO、対人戦、征くよ!!」
『承知!!』
飛行術式を展開して一気に加速。
御神の業を使うのに合わせて、私の飛行魔法はブーツの底に足場用のシールドみたいな物を展開して、
その下側から魔力放出を行って飛んでます。傍から見てると鉄腕ア○ムかVFみたいだとかはシェイおにーちゃん談。

「ハァ!!」

避けられる程度の速度で右の小太刀を抜刀からの振り上げで牽制、間合いを確認しつつ様子を見ます。
・・・歳は私と同じくらいかな?よく見ると美人さんだね。
『ふむ、マスターはああいった所謂"ガイジンサン"が好みなのか』
『イカンぞ御主人!非生産的な行為は社会に対する冒涜だ!』
「・・・二人ともやる気無い?」
『『モチロン!』』
と、女子供に危害を加える事はしたくないと普段から公言しているこの2AI。
本当にAIなのか、それ以上にデバイスなのか疑わしいほどの饒舌振りをこんな感じで発揮します。
普段であれば面白い話相手ですが、シリアスな筈のこの場面で見事にハッチャケてくれたおかげで、一気に白けてしまいました。

シェイおにーちゃんじゃないですが『メンドい』で逃げると云う思考が頭を巡って・・・ハッ!?ダメダメ、ネガティブは駄目!


「・・・」
どうやら向こうもこっちの様子を見てるみたいです。
常日頃、人は話し合いで何とかできる物だと色々な人から聞かされてますし、あまりジュエルシードを刺激するのも良くありません。

と、云う訳でここは一先ず話し合いと「申し訳ないけど、ジュエルシード、故あって頂いていきます!」いぃ!?

ちょ!?振りかぶって突っ込んでくる!!

右のSOOを前に出し刃の腹で流しますが更に連撃が来てこちらは防戦一方。
「な、何でこんな事を!?下手に刺激したら次元震だって起きかねないんだよ?」
「・・・話なしても、意味が無いと思う」
「何で?言わなきゃ解かる事も解からない!!」
鎌の刃を受けた状態から左のSOOで石突側を払い、今度はこっちから攻めて行きます。
意思伝達はコミュニケーションの第一歩、出来なきゃサルからやり直せと言われた事もあります。
その『話し合い』する為に暴力に走るのは絶対に駄目とも言われましたが・・・あぁ破っちゃってる、破っちゃってるよぉ。
「破ぁぁぁ!!」
振りの一つ一つに力を込め、あの子にプレッシャーかけて押していきます。でも決定打にはなりそうにありません。
下手に砲撃すると結界を突き抜けて隠蔽しきれない可能性もありますし、
別の手段としてバインドで固めにいっても今の私と同程度の魔力を持ってるあの子なら時間も掛からず外すだろうから決定力に欠けます。
かと言って物理的に貫で当てにいくと間違いなく斬が効いてスッパリ逝くのは確実で問題ありすぎ、徹も危なそうです。

・・・御神の業は破壊力が強すぎなんです。
あの子がシェイおにーちゃんぐらい頑丈ならお構い無しなのですが『チョット待てオイ!』ウヒャ!?



御神?・・・あ。



フェイトSyde


かあさんに頼まれたジュエルシードを求め、ようやく見つけた先にいたのは2人の魔導師。
片方は私よりいくつか歳は上みたい、魔力を測ってみたけどどうも雰囲気と感じられる魔力の差が大きくてイマイチ当てにはならない。
実力を隠してるって事なのかな、それにジュエルシードの方に注意は向けていない、周囲を警戒してるみたいだ。

そしてもう一人のあの子。
白いジャケットを纏った私と同じぐらいの女の子、飛行に使ってる魔法もミッド式だったから私と同じタイプだろう。
でも両手に剣(?)を持ってるって事は特殊型かな。何にしろ気をつけたほうがよさそう。

「バルディッシュ、いける?」
『Yes.sir』
「良い子だ。フォトンランサー、セット」
『フォトンランサー、セット』

「・・・ファイヤ!」
『フォトンランサー、ファイヤ』

白いあの子目掛けて放ったフォトンランサーの一撃。


「ハッ、馬鹿が!」


もう一人の方から飛んできた溜め無しの魔力砲で吹き飛ばされた。あの子自身もシールドの付いたスフィアを展開して待ち構えてる。
「なら、今度はこれで!」
『フォトンランサー マルチショット』
フォトンランサーの複数連射、これな・・・らっ!?


目の前で起きたのはそれなりの攻撃力があるフォトンランサーが問答無用で弾かれていく光景だった。
あの子、かなり固い!!
「いくよ!バルディッシュ!!」
『Yes.sir』
「サイスフォーム、セット!」
『サイスフォーム』

そのまま一直線に彼女に向かって突撃を敢行する。一気に無力化してしまえば


「っ!行って!!」


フォトンランサーを無傷で弾いたシールド付きのスフィアが私の進路を妨げる
「けど、その程度!」
バルディッシュを構えて一閃、シールドごと切り落とす。チョット固いけどシールドさえ回避してしまえば問題ない!!

軌道をずらしながら突き進む、彼女もソレに気付いたのか両手の剣を構え直してコッチに向かってく・・・っ早い!


「ハァ!!」


振り上げてくる剣を受け流し、その流れのまま一度距離をとり体制を直す、どうやら向こうも牽制のつもりらしい。


『ふむ、マスターはああいった所謂"ガイジンサン"が好みなのか』
『イカンぞ御主人!非生産的な行為は社会に対する冒涜だ!』
「・・・二人ともやる気無い?」
『『モチロン!』』


・・・あれ?


そっちがそういう態度ならその間に貰っちゃっても問題ないよね。よし
「申し訳ないけど、ジュエルシード、故あって頂いていきます!」

バルディッシュを振りかぶって一閃。その勢いのまま回し蹴りに移行、更に斬撃を加え一気に攻める。
向こうは攻める気が無いのか受けたり流すだけの状態。

「な、何でこんな事を!?下手に刺激したら次元震だって起きかねないんだよ?」

そんなこと関係ない、母さんはジュエルシードが必要だと私に言った。これは私達の話で貴方には関係ない。だから
「・・・話しても、意味が無いと思う」


「何で?言わなきゃ解かる事も解からない!!」
彼女はそう叫びながら左の剣でバルディッシュの石突を切り払い私の姿勢を崩してきました。
「破ぁぁぁ!!」
更に勢いのある斬撃のラッシュ。

私もソレに負けじと体制を直しつつバルディッシュの鎌の刃で払い、反撃を加えます。




リシェイドSyde


・・・マジでつえぇよあの二人。本当に年齢詐称してないか調べてやりたい。
ってかチョッピリフェイトが本編より強め?魔力量はそれほど大きい訳でもないが、まぁなのはの練習相手って考えればいい事だな。


何度か競り合いをしたあと、なのははフェイトを牽制しつつ元々低めに維持していた高度を更に落としてフェイトを森の中に誘い始めた。

それと、両手の先にウッスラと見えたあの光。

「ったく・・・そこまで自在に操れるのか。どんだけ成長早いんだよ」
鋼線に違いないだろう。最新モデルでのヤツで単分子ワイヤーをベースにカーボンナノチューブの技術を応用してチョット手を加えたっていう
特殊鋼線だったか、今年の誕生日に恭也が渡した物だったな。
攻撃の合間を縫って縦横無尽に操り何かをしているらしい。接触物を傷付けず、しかも恐ろしいほど張力耐久性のある代物だった筈だ。捕獲にはもってこいだ。

あんな物まで出て来る様になると軌道エレベータも夢じゃなくなってきたな。このままだと00か?個人的にはZOEの方が・・・。


おぉ脱線しちまった。
で、なのはの仕掛けに気付かないままのフェイトはそのまま後退して茂みへと入っていくなのはを追撃していった。



数分後、結果はと言えば

「ハァハァ・・・ハッ!フ、フェイトぉ無事かい!!」
「あ、アルフ、何でそんなに息が荒いの?」
木々の間に仕掛けられた特殊鋼線に絡まり、ナニを如何したのか『恥ずかし固め』状態のフェイトと、ご主人の窮地に気付いて救援に来た(筈の)アルフという構図。


「ロジックブレイカー、発射!」
そして、封印処理を無事終わらせたなのは。一応ぬこは無傷、ショックで気絶したようだがあの位ならすぐに起きる。

まぁ初戦はこんなもんだろう、評価は及第点としようか。
特殊鋼線ったって数キロワットのレーザーか、魔法なら魔力刃の密度を限界まで上げればB+程度の魔力でも切れる事に気付いて無い様だし、この辺りは減点だな。


「そこの二人聞こえてるな?今回は多めに見てやるからとっとと消えろ」
とりあえず、今回についてはこいつらを逃がす。
情報収集もしたいし、周辺空間内にプレシアの居城があるはずだからそこも見つけたい。その時間稼ぎのためだ。
「なぁ!?アンタ、ワタシら舐めてるのかい!?」
「何言ってやがる。コッチは管理外世界の、ソレも私有地でドンパチ仕掛けてきたのをチャラにしてやるって言ってんだ。頼むからさっさと消えろ。
お前らが消えないと後始末も出来ねえんだよ。下手に暴れて管理局がでしゃばるのはコッチも嫌なんだよ。・・・それにだ、

お前等なんぞ態々手を下す必要もねぇ。もし何かヤっても返り討ちで瞬殺シテやんよ!!」

そう言いながらエクスタスから魔力を少し開放、SS程度に見えるぐらいのプレッシャーを仕掛ける。


「「っ!?」」


「どうした、さっさと行けよ」
「っクソ!覚えてろ!!」
「え、チョットまって、痛っ!あ、アルフ!?食い込んでる食い込んでる!!」


・・・アルフに引っ張られたフェイトさんの体に、絡んだままの鋼線チョット食い込みミシュラン風?衣装と相まってエロ杉ですた、ご馳走様。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十二節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:d9fe59bd
Date: 2008/07/23 09:39

皆の衆、元気か?オレはボチボチだ。
さて、フェイトとの邂逅が終わった所で残る未回収ジュエルシードが10個となった訳だ。
そしてフェイトと直接対面したなのははといえば・・・

「おかーさん。これは?」
「バターは型の内側に塗っておいて」

桃子さんと一緒にお料理タイムだったりする。
フェイトとの戦闘で萎えたりしないのかって?対人戦専門である御神の剣士がその程度でヘタレる訳が無い。
父親である士郎さんや、一時は社会の闇に潜っていた美沙斗さんからも色々と話を聞く様になって精神的にも成長が進んでいる。
それに魔導師としての心構えも母さんから学んでる。メンタル面もバッチリなのだ。



如何考えても本編以上に『戦士』だよなぁ・・・
普段は平和主義だし大人しいし、何より俺を慕ってるから特に問題は無いが、将来的には拙いよなぁ・・・。
目下直ぐ来るイベントの主要人物、某烈火の将もこう云うヤツ大好きだし、絶対ヤバイよなぁ。
ってか、もし本編同様に管理局入ったら一気に駆け上がって、数年も掛からずに気付いた時には大魔王として君臨してそうだよなぁ・・・コエェよう。


「シェイおにーちゃん、出来たよー!」
ん?ボーッとしてるうちにもう出来たのか
「おう、すぐ行く」

高町家の縁側でのんびりと恭也の盆栽を眺めていた俺は奥のリビングへと向かう。
父親の生死に関わらず、あいつは爺臭かった。
父親にああ云った趣味や雰囲気は無かったのだが何故だろう。気にしたら負けだろうけど。
ちなみにオレはといえば、ああ云う物に対してこの家という環境と合う趣きの類は理解出来んでも無いが、それ以上は時に感想を持てん。


ん?士郎さんに恭也と美由希はって?いつもの通り、山篭り(と称した春先の熊狩り)だ。
『話が抜けてる、温泉は?』って?

・・・オレは不参加ですがな。やりたくも無い仕事で日本にすら居なかったぞ、チクショウ。
ちなみにココのジュエルシードは真っ先に回収されていてフェイトとアルフとの戦闘も無かった。
ちなみにユーノはココでついに初お披露目。高町家面々は次元世界についても説明済みだったから、
別途で事故でココでしばらく過ごす事になった等本当の事を教えた。

ついでにフェレットモードは禁則としてある。テメェにだけ美味しい思いはさせねえ!!



閑話休題。で、リビングで待っていたのは

「♪」
鼻の上に生クリーム乗っけて満面の笑みを浮かべオレを見るなのは。両手で抱えてるのはなのはお手製のケーキ、しかも初物。

「アラアラ♪」
ニヤニヤしながらなのはとオレを見る母さん。

「飲み物はコレでいいわよね?」
と、グラスとポットを持ってくる桃子さん。勿論ニヤニヤの表情。


・・・マジで居心地悪いんだが、逃げて良いか?


"ガラガラッ"
ん!?
「「ただいまー」」
「桃子、帰ったぞー」
・・・何でこんな早く帰って来るんだよ男共と美由希。って待て待て!?今リビング来るんじゃねえ!!

「あれ、なのはエプロンなんかして、何か作ったの?」
「うん!シェイおにーちゃんにケーキの試食してもらうの!!」
お、遅かったか・・・。


「「ホゥ、ソレは良い事を聞いたな」」


入り口からえらい殺気を感じるんだが・・・チクショウ、ピンポイントなせいで他のヤツは誰も気付いてイネぇ。
「人の妹を誑かすとは・・・良い根性してるな、リシェイド」
「あぁ、未だ可愛い盛りのオレの娘を弄ぶなんて・・・覚悟は出来てるんだろうな、リシェイド君?」

・・・もうイヤ、勘弁して。



この後フルボッコにされた上に鋼線で亀甲縛りにされた状態で庭の物干しに吊るされた。日に日に扱いが酷くなっているのは間違いない。

にしても恭也のAFO、知らん間に『閃』まで使えるようになってたのか。
ちなみに今日の凹コースだが、恭也の神速二段掛けでオレは既に追いつけない状態、で普通の斬撃から奥義へ移り先ずは虎切、そして薙旋と続くコンボ。
合わせる様に士郎さんの薙旋がブチ込まれ、浮き上がってしまった所へオマケの10トントラックをブッ壊す威力の雷徹が続いて、
とどめに瞬殺技のトドメとなる恭也の閃。ッチィ、何処のイジメだよ、オイ。


最高強度でバリヤジャケットを展開してなかったらいくらオレでも死んでたぞ?


抑止になると期待していたなのはだが、この程度はじゃれ合いだ問題無いと云わんばかりにまたやってるよみたいな感じでコッチ見てたし
美由希は予想通りヘタレ全開、君子危うき云々を実行し、我関せずと何処からともなく文庫本を出して視線を伏せた。
後で聞いたがコイツも閃が使えるようになったとか。そんなヤツが大人しそうにしたってすぐにばれるぞ?
母親ズは『アラアラウフフ』とニヤニヤしながら傍観モード。アイスティー片手に優雅なものだ。
見た目若いし綺麗でソレが似合ってしまうから始末が悪い。皺が寄ってたりすればそこから突っ込みの一つでも入れられたのだが・・・やったらマジで殺されるか?


頼むから止めてくれよと何度視線送ってもスルーだったのは多分一生忘れないだろう。
あと本編でフルボッコにされた防衛プログラムの気持ちがちょっとだけ解かった気がする。




さて、フルボッコにされた翌日、フラフラと商店街の本屋で雑誌の物色に勤しんでたオレは目を疑った。
・・・なんでフェイトが二人?


「お、お姉ちゃん待ってよ!」
「ほら、行くよフェイト!!」
・・・お、お姉ちゃん!?


「もうっ。アリシア、フェイト、大人しくしなさい!!」
ま、マスミンボイス!?

ま、まさか!!

慌てて声の方を確認するとそこには

黒系の色がメインのシックな服装と深く被った帽子と、服の上からでもよく分かるスタイルのいいマスミンボイスと、
ヤケに元気のいいフェイトそっくりな水樹ボイスの女の子、そして我らがアイドル、フェイト・テスタロッサ。

何だよコレ、何処のカオスだよオイ!!

アリシアは16年前のヒュードラ暴走に巻き込まれて死んだんじゃなかったのか!?
リニスはバルディッシュをフェイトに渡して3年ぐらい前には消えたんじゃないのか!?


あ、アカン。頭おかしくなりそうだ。
冷静になれオレこう言う時は素数を数えるといいって何処かの誰かも言ってたし、1,2,3,5,7,11,13,17,23,29,37,41・・・

OK、情報整理開始だ。とりあえず、史実通りならアリシアはリンカーコアを持ってない、若しくは極限まで素質が無い。



という訳でチョットパッシブ探査してみると・・・うむ、魔力反応ゼロ。
ついでにリニスはアルフよりチョット強いぐらい。経験がモノを云うだろう、実戦ではかなり上と見てもよさそうだ。
リミッターが効いた状態のなのはソロで3人相手はきつい。場合に寄っちゃ俺も本格参戦になるのか、・・・メンドイ。


「ねー、リニスー今日の晩御飯は?」
「クスッ、今晩はアリシアの好きなグラタンですよ」
「ほ、ホント!?」
「あ、私作るの手伝います」
「ありがとうございます、フェイト」

・・・微笑ましいというか何と言うか。
リニスの両側にアリシアとフェイトがそれぞれ抱きついて商店街を進んでいく姿見てると、普通に歳の離れた姉妹ぐらいにしか思えん。
髪や目の色が違うけどその程度はスルーだ。3人共所謂美人さん補正が掛かるから無問題。



さて、フェイトの教師だけあってリニスはデキるだろうからこれ以上の接触は危険だな。一旦離れて考察を続けよ「グゥゥゥッ」う・・・ついでに軽く食うか。

商店街のはずれにあるファーストフード店に入り、キャンペーンの類は無かったので無難にテリヤキバーガーのセットを注文、壁を背に出来る席を陣取る。
食いながらモバイルPCを叩いている内にふと、何か気になる物が視界に入ったのか視線をそっと上げた先。



な、何で、何でプレシア女史がこんな所で黄昏ているんでしょうか!!?・・・しかもポテトを摘まみながら。

「はぁ、アリシアは元気だけど精神年齢幼いし、フェイトは利口だけど天然さん・・・あの人の分もちゃんと愛情込めて育てた筈なのに、
如何してこうなったのかしら。計画も上手くいかないしアレも手に入れられないし・・・ハァ」


マジで頭痛くなってきた。

とりあえずPCの回線を切り替えてミッド系に接続、16年前にあったヒュードラ暴走の情報が乗った当時のウェブサイト等をネットアーカイブから検索。
幾つか時系列整理された物もあったので確認していくと・・・
「ん?ちょ、オイオイ」

プレシアさん、アリシア産んでないですがな。もしかしてアレか、男とデキる前にイベント発生しちまってアリシア死亡フラグ回避。
ついでに双子状態でフェイトも出産?って事はまさか、アリシアとフェイトはなのはと同じ歳?プレシアさんプロジェクトFATE非参加!?


むっはー、全く別世界ジャン。・・・あれぇ、じゃ何であの人等ジュエルシード欲しがるんだ?理由が見当たらんぞ。




この時は完全に失念してたが、この状況が10年後に思いも寄らぬ事になるとは・・・。クソッ、スの字め!!



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十三節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:d9fe59bd
Date: 2008/07/23 09:44

初っ端から頭の痛い展開に悩まされながら早13年、もう疲れたよ、パ○ラッシュ。
俺が生まれる以前の段階で、既に歴史は変わっていたと云う事が発覚しチョッピリ切なくなってるオレガイル。


テスタロッサ一家を商店街で目撃後、チョッピリ鬱になりながらも健気にジュエルシード集めに精を出し、
ついでに表の仕事も片付けて日々を慌しく生き抜く事一週間。あっという間に5月に突入し既に第二週になった。
既に収集数もトータル16個、あとは海中内の未探査分を残すのみ。フェイトにゃ悪いがコッチで全て確保させて貰ったぜ。
まぁ、なのは達にもこのネタは教えて無いしそれでもボチボチアースラの通過時期が近いからそれに合わせよう。


ま、それは良いとして、だ。

「あ、あはははは・・・」
どうしたら良いか分からないのか空笑いしているなのは。

「どうしたのよなのは、急に笑い出したりして」
「なのはちゃん、何か変な物でも食べた?」
その様子を見て心配しているアリサとすずか。
「・・・げ、リシェイド」気付いたのか、早いな。前より棘が少なくなったが何でだ?

・・・つい昨日知ったんだが、知らない間にこの二人に魔法のことがバレてた。
よりにもよってすずかのぬこ撮影中のカメラに映ってたとか・・・何処のCCさ○らじゃ!?orz


「ふわー、これ美味しいね!」
「本当だねぇ、ホラフェイトも食べなよ」
「う、うん・・・」
「もうっアリシア、口の周りにクリームが付いてますよ」
中睦まじくシュークリーム頬張ってる双子と使い魔二匹。
フェイトはなのはに気付いたのかチョット警戒気味、シュークリーム頬張った途端陥落したが。


「「「アラアラウフフ・・・」」」
何を笑ってるのかカウンター越しに桃子さんと母さん、そして母さんの横には新規参入プレシア女史。
ついでにカウンターの奥では士郎さんがガクブルして現実から目を逸らしていた。うむカオスなオーラきついぜ。


昼過ぎにチョット顔出しした翠屋の中は、こんな感じに文字通り『混沌』、もう勘弁して。



「・・・チョットマテや!?今何て言った?わんもあぷりーず!!」

「だからこの人は私の先輩なのよ。もう20年も前の話だけど」
・・・母さんや、聞かなかったとは言え、気付けなかったとは言え・・・プレシアさんと学校の先輩後輩関係だったですか!?

「懐かしいわ・・・まだ夢を持って頑張れたあの頃が」
「夢か、私もこうやってお店持つのは昔からの夢だったから助けてくれたクレアさんにはホント感謝ね」
オイそこ、カウンター越しに黄昏れるな。溢れるカオスオーラに当たって士郎さんが機能してない。コーヒーの供給止まるぞ。店潰す気か?


「それにしても、クレアがこんな辺境に来てるだなんて思わなかったわ。ウォーレス君と結婚してからはてっきりミッドで闊歩してると思ったのに」
「いや、まぁあれから私もいろいろ有ったんです。ウォーレスも亡くなりましたし・・・」
「案内を貰った時は驚いたわ。あぁ葬式の時はごめんなさい、チョット立て込んでた時でね。行く時間も捻出できなくて・・・」
「いえ、急な話でしたし、先輩も馬鹿な連中に振り回されて苦労してたみたいですからお互い様ですよ」


・・・ナニこの回想録。プレシア女史って母さん達の結婚式にも来てたのかよオイ。
「ねぇ、リシェイド君」
「ん?何です桃子さん」
「今の話だとあの人も他所の次元世界の人なの?」
「えぇ、そうです。専攻は俺と似た方面の結構有名な学者なんですけど」


「それにしてもこんな所で遭うだなんて世の中狭い物ね」
「そうですね。ウチは・・・まぁ私の逃避で管理局の偉い人に紹介されてここまで来たんですけど、先輩はどうして?」
「あのゴタゴタの後、結婚して娘も出来て、旦那には先立たれたんだけどお姉さんの方のアリシアに魔力適正が無い事が分かってね」
「そういえばアリシアちゃんとフェイトちゃん双子でしたっけ。
フェイトちゃん魔力すごいのにアリシアちゃんの方はリンカーコアの反応も無いんですよね」
「そうなのよ、幼い内は良かったんだけど、ね。最近チョット気にするようになって・・・で、母親の私が一肌脱ごうって頑張ってるのが今なの」
「はぁ・・・。ん?」


あ、あれ?チィト待てよ、そこ。
「あ、あのぉスミマセン」
「あれ、リシェイド君?如何したの急に」
「母さんと話してた今の件ですが・・・ジュエルシードって知ってます?」
「へっ?え、えぇ、最近発掘されたとか聞いて学術研究方向の伝でチョット欲しいかな~なんて思ってたけど。
もし手に入ればナンチャッテ使い捨てデバイスが作れそうだからそれでアリシア喜ばせようかな、何て考えてたりしたし」

OK、把握した。フェイトよぅ、暴走は某福音だけで十分やで?

「・・・先輩、そのジュエルシードの輸送船がこの世界の近くで襲われてジュエルシードがこの近辺にばら撒かれたって事は聞いてます?」
「えぇ!?」
「んじゃ、お宅のフェイトちゃんがゴソゴソ動いてるのは・・・」
「し、知らないわよ。と言うより一個や二個ならそんな事しなくてもコネで手に入る程度の物だし、そんな無駄はしないわ」
「だよなぁ・・・って事はフェイトの独断暴走か。お母さんが困ってる+お姉ちゃんの願いを叶えたい、
ついでにチョッピリコンプレックスもあって動いちゃった、と」

「あ、あの子は全く・・・フェイト!!」
・・・夜叉が降臨しま(以下検閲)。



「う、うぅ。ご、ゴメンナサイ」
「うん!これでお互いお話もできて、問題も解決!!それじゃ私たち、これからは『お友達』って言う事でよろしく!」
「え、えっと」
「あ、そか。私はなのは、高町なのは。なのはでいいよ?えっとフェイトちゃん?で良かったっけ」
「うん、フェイトでいいよ。よろしく、なのは」
「あ~、フェイトがなのはとヨロシクしてる~」
「にゃははは、アリシアちゃんも、ヨロシクね」
「ウンッ!!」

「・・・さてアルフ、何か私に言う事はありますか?」
「り、リニス姐さん、ご、ゴメンよぉ。フェイトが内緒にって言「関係ありません!!」ヒゥ!?」
「何を馬鹿な事を言ってるのです!間違った事をしようとしたら止めるのが家族でしょう!!
なのに貴方は全く・・・後でちょっとお話がありますので逃げないように、良いですね!!」

り、リニス怖ェ。大人しそうでマジで怖ェよ。纏ってるオーラがチゲェよ。東鳩2の猫とかがあんな感じか?
とりあえずアルフ南無。




・・・とまぁこんな感じでカオスが発生した結果、ほぼ話が解決しちまった。
輸送船の話は有耶無耶に・・・出来ねえよなぁ。家族の為にと頑張った筈が方向間違えてこんな結果になっちまったんだから。
まぁ本編でも結構いい加減だったし、ニアSランクなフェイトだから確実に即戦力、喉から手が出るほど欲しい筈。
もし人が死んでなけりゃ初犯+精神未熟で本人身売りさせて司法取引もできるな。
上手くいけば嘱託(と云う名の社会奉仕)で数年お勤めさせる位で終わっちまうんだろう。

ちなみにユーのはココにいない。復調した事もあって、今はなのはと二人でローテーション組んで探索をやってる、今日の昼間はユーノの当番だ。
居なくて良かったぜ、バレたら何仕出かすか分からんからな。マダマダ器量の狭い坊やじゃこんな話分かる訳無い。ってかチートの俺にしか判らんか。



閑話休題。
さてさて、アリシアおねえさんのご希望に添えてみましょうかね。コレで将来的な憂いも戦力不足も一気に解決できる。
あわよくば双子姉妹丼も・・・無理か。俺にそんな甲斐性は無い、ヘタレオブヘタレ甞めんな!
「で、さっきのアリシアの話なんですが」
「あら、どうしたのかしら?アリシアの事って、あぁ、魔法の事ね?」

「その望み、叶える事が出来るって言ったら如何します?」
「なっ?リンカーコアの後天的発生は特異的な遺伝子か余程の事が無い限りありえないわ。どうやって最大の問題をクリアする訳?」
「別にリンカーコアを自然発生させる必要なんて無いんですよ。レティス」

「呼びました?」
店の奥から出てきたのは翠屋のエプロンを来たレティス、成りが良いので服装は清楚なお嬢様風に仕立ててある。
高町家の面々は勿論バイトに出るとお客からも結構受けが良いのだ。本人の学習にも役立つので半年ぐらい前からチョコチョコバイトに出している。
事情を知ってる高町家があるってのは便利なもんだ。何かあって呼び出しても一応問題が無い様に桃子さんがフォローしてくれるからな。
「あぁ、ちょっとな」
「・・・この子は?クレアの子供は貴方だけだったと思ったけど」

「・・・レティス、客はどれだけ居る?」
「今は『関係者』だけです。・・・そう聞くという事は何かするんですね」
「そうだ。桃子さんにゃ悪いが貸切の札ヨロシク。下げたらもっかいコッチ来い」
「了解です、マスター」
キョトンとした顔でコッチを見るプレシア女史。そりゃあ得体の知れない魔導師がいるだなんて知らなかっただろうし最後に「マスター」だもんな。
「一体何者なの?あの子」
「まぁそれは見てのお楽しみ、たぶん度肝を抜きますから覚悟してくださいね?」

10秒ほどでレティスは戻ってきた。さて日進月歩な科学の力、現場から離れかけたアンタにゃ如何写るよ?
「お待たせしました」
「OK。んじゃエクスタス、起動しろ」
『了解。外郭モジュール展開します』
エクスタスのメインフレームが展開されオレの右手に収まる。
「これはデバイスよね?でも・・・」
「慌てない慌てない。さてレティス、やんぞ」
「了解です。コード承認完了、全シークエンスクリア!」

「『ユニゾン、スタート!!』」

まばゆい光に手を掲げこちらを睨みつけるプレシア女史。顔をうかがうと驚愕に染まっている。どうやら最低限の知識はあったようだな。
「ゆ、ユニゾン!?まさか!!」
「そう、嘗て繁栄の極みを見せ、旧暦に滅んだベルカの秘儀。ロストテクノロジーの一片。そして魔導師の在り様を変える可能性の一つ」
『全シークエンス完了』

「オレはユニゾンシステムの解析と、現代仕様型の開発に成功した。まだ抜けはあるが、それもレティスが完成している以上時間の問題だ」
「う、嘘」
「ついでにエクスタスにも秘密があって・・・ディメンション・ドライブ出力50%までアップ」
『了解、ついでに店内を結界で覆いますね』
「あぁ、頼む」
店内が結界に覆われると同時に膨大な魔力がエクスタスから吐き出されていく。この時点で既にオーバーSかSS程度の魔力量は確保出来てる筈だ。
「い、一体何を」
「エクスタスには超小型の魔力相転移炉が搭載されている。通常運用での最大出力は3040万、術式によってはもう一桁上げる事も不可能じゃない」

「そ、そうか判ったわ!アリシアにもこう云うのを持たせるって事ね?
コレならリンカーコアが無くてもユニゾンデバイス側の擬似リンカーコアが代替になってくれるし魔力は魔力炉から直接擬似コアに流し込める」

その通り。元々エクスタスは魔力の生成能力が低いオレのリンカーコアを一気に充填する為、レティスは保存効率向上と容量アップの為に作った物だからな。
「えぇ、そうすればコストの問題さえ無視すれば一般人でもオーバーSの魔導師になれます。陸空の適正までは保障できませんけど」

「それにしても、その魔力炉はすごいわ。私が嵌められたヒュードラなんてゴミっカスもいい所、現行の巡洋艦や戦艦の魔力炉すら目じゃないわ」
「この世界は旧暦時代のミッド並に科学が進み始めてますからね、魔力が無いから物理的な分野がどんどん進歩するんですわ。
・・・そのきっかけを作ったのはオレの論文なんですがね」
「あら、自慢?」
およ、驚いたり慌てたり忙しかった顔があっという間に落ち着きやがった。くそ、調子こきすぎたか。ニヤッって見んな!
「ええ、まぁ。んで、理論なんてのは結構融通が利くんですわ、意外と。
とりあえず今のところ完成しているのがコイツと、補助でしかないがあそこに居るなのはのデバイス達ぐらいか」
「なのはちゃん?フェイトより気持ち少ないぐらいかしら。それ程魔力が多いとは思えないけどそんなすごいデバイスが要るのかしら」
「・・・なのはは常時魔力リミッター効かせてるから判らないのは無理もないか。外せば素で300万オーバーなんだが?」

「は?さ、300万!?嘘でしょ?あの子今いくつなの?ウチの子達と変わらない位でしょ!?」

そりゃ驚くわなぁ。
「あの子は遅生まれで、この前の3月に8歳になったばかり。魔力なら持たせたデバイスと色々術式合わせれば最大で4000万位は扱えますが?」
「え?・・・じょ、冗談じゃないわ!?何なのその廃スペック・・・」
「ついでにココの家族、なのはの母親である桃子さんを除いて、他の全員が常人じゃ考えられないぐらい体術が凄い。
なのはに飛行不可付けたら開始と同時に広域殲滅でもしない限り間違いなくなのはは寄られて凹に出来るかと。
なのは自身もそういった方の訓練も受けてるから後数年もあれば・・・後は言わなくても?」

「あ、あはははは・・・。い、一体何なのよ、この家は!?」




この家ぇ~?なもん『戦闘民族高町家』だべ。流石に8年も殆ど一緒に暮らしたら慣れた。慣れちゃいけないんだけどな、『普通』を忘れるから。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十四節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:d9fe59bd
Date: 2008/07/23 09:51

さて、イキナリだがついに最終ミッション。海中探査だ。

「お前等、準備はいいな?」
流石にコレはオレも出張る。なのは一人でも十分だろうがもしチョットでも怪我した日にゃ・・・忘れろオレ忘れろオレガクガクブルブル忘れろオレ忘れろオレ。

「久しぶりにシェイおにーちゃんが手伝ってくれるんだし、わたし頑張るッ!」
SOOを握り締めて両腕でガッツポーズ、気合入れてるのぉなのはさんよ。

「あ、え、えっとよろしくお願いします」
「ほらフェイト、リラックスリラックス」
フェイトのヤツは緊張してるんか?なんか堅いな。アルフは普通か。

「リシェイドさん、結界の準備出来ました。何時でもどうぞ!」
おうおう、ユーノのヤツ張り切ってるな。まぁ普段の捕り物とは格の違うイベントだもんな。それにコレでラストだし。
・・・なにより美味しい所の殆どをなのはに取られてマジで出番無しだったから流石にヤバイと感じたんだろう、もう手遅れかもしれんがな。


「よっしゃ、んじゃ・・・征くぞ!!」
「「「「応(ハイッ)!!」」」」



なのはSyde

約一ヵ月半、捜索を続けたジュエルシードもコレで最後。
場所が場所なのでチョット無茶しつつ一気にやろうということになり、
何といつもは面倒臭がるシェイおにーちゃんや、気が付いたら和解できちゃったフェイトちゃんも一緒の合同作業!!

「アルカス・クルタス・エイギアス。煌めきたる天神よ。今導きのもと降りきたれ」
習得機会の無かった儀礼術式についてはフェイトちゃんが出来るという事だったのでお願いしてます。
私としては最初から最後まで全部やり通したかったのですが流石に出来ない物はどうしようもないと言う訳で・・・。
「バルエル・ザルエル・ブラウゼル。撃つは雷、響くは轟雷」
使い魔であるアルフさんと一緒にこんな感じで術式を進めています。
・・・言語系の苦手な私としては、教わらなくて良かったのかも。多分付いていくのは無理です。


「「アルカス・クルタス・エイギアス・・・輝り轟け、サンダーフォール!!」」

サンダーフォールの掛け声と共に周辺一帯の海目掛けて雷が落ちていきます。
超広域に関しては普通の魔法よりこういった儀礼型を使って補助を受けた方が効率が良いとシェイおにーちゃん談。
考えてみれば半径5キロ四方への広域干渉なんて常識外れらしい私の魔力でも無理です。

「っ、ハァハァ・・・リシェイドさん、強制干渉出来ました」
と言いつつも流石にフェイトちゃんの肩は上がってます。やっぱりかなり魔力を消費したみたいです。
「フェイトちゃん、大丈夫?」
「う、うん。とりあえずは大丈夫、かな」
近寄って顔を覗き込みましたが少し悪いです。アレだけの魔力を込めた術式ですからやっぱりキツイのでしょうか。
「無理しないで、後は私が始末するから。下がって休んでも良いよ?」
心配になったので休ませようかと声をかけたのですが、ソレを聴いた瞬間
「そ、それだけは駄目っ!!」
「ニャァ!?」
イキナリ大声上げて私の肩を掴み顔を突きつけてきました!


あ、危うくファーストキスが・・・。い、いくら事故でもコレだけは譲れません!!
「一体如何したのフェイトちゃん」
「・・・こうなったのは私の責任なんだ。だから自分の不始末は自分で片付けなきゃ駄目なんだよ、なのは」
「そ、それはそうなんだろうけど・・・でも、それって何かおかしいと思う」
「そうかな?」
「そうだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
「そうかな?」
やっぱり私は納得できない。

「そうだよ、絶対おかしいよ」
「・・・どうして?なのは」

うん、絶対おかしい。
「友達が、友達が困ってるのに、大変なのに、それを助けないなんて、そんなのおかしいよ!」
「!?」
「わたし達友達だよね?」
「うん、なのはと私は友達だよ」
「なら、少しでも手伝わせて。それで早く終わらせよ?そうすればまたみんなでのんびり出来るから。ね?」
「な、なのは・・・うん、ありがとう。それじゃチョットだけ。直ぐに復帰するから、出番、無くさないでね?」
「うん!!」


さぁ、いよいよ本番。長かったジュエルシードの一件もコレで終わり。
「BH、SOO・・・征くよ!!」
『『応っ!!』』
ブレイブハートから迸る膨大な魔力を身に受け、ソードオブオースを両手にして、私は最後までやり通します!!



ユーノSyde

ジュエルシード発掘から今日まで、僕は驚くばかりの毎日だった。
ジュエルシード発見もそうだったけど輸送途中の爆発とそれによるコンテナ流出。
流れ着いた先であるこの第97管理外世界、海鳴で出逢った人たち。
特にミッド出身らしいクレア・アーリーズさんや、会った時には既にSSSクラスの実力を誇る高町なのは。
そのなのはすら打ち倒せるだろうと豪語するリシェイド・アーリーズさん。
あと、魔法を一切使わずに、とんでもない速度と力を発揮できる高町家の皆さん。


この人達の協力が無ければこんなに早く全部終わるとは予想も出来なかっただろう。
倒れた時、アーリーズ家に保護してもらえたおかげで衣食住や魔力補填にも困らなかったし
なのはやリシェイドさんが探ってくれたからジュエルシードもサクサク発見・回収出来た。この世界について色々と勉強できたし収穫も多い。

・・・その分自分の仕事が奪われてチョット寂しかったのは内緒にして欲しい。


「ユーノ、結界維持と補助は任せた。バケモノ共が大暴れするから気合入れて張っとけよ?」
「あ、はい。解かりました!」
最後の5個は海中に沈んでるらしく、どうせ最後だから大暴れしようかと切り出したのがリシェイドさん。
なのはのリミッターも完全解除。常人とは桁外れなその魔力がハッキリと感じ取れた。


「そいじゃ、バイパス一本お前さんのレイジングハートに回してやっから堅いのヨロシク!!」
リシェイドさんのデバイス『エクスタス』は、所謂オーバーテクノロジーのカタマリで、僕等発掘家や研究者が触るロストロギアとは似て非なる物だった。
『コレは可能性の一つ。オレが作らなくても何十年かすれば誰かが作ったんじゃねーか?』と言ってたけど・・・多分無理だし、出来てもやらないだろう。
少ないとはいえ管理局局員内でもその内の5%はAAA以上、民間も含めればそれなりの数の高位魔導師が存在するミッドチルダにおいては
ああ云ったブースト機能は需要として発生しにくい。多分将来的にもあまり日の目は見ないだろう。

『マスター、魔力流入を確認しました。毎秒60万、流入量は十分です。いつでもどうぞ』
「ありがとう、レイジングハート。それじゃやろうか」
『期待に添えましょう。ココで頑張ってアピールすればなのはさん達への好感度も「な、何言ってるんだよ!?」・・・甲斐性の無い人ですね』

最近、レイジングハートが変です。何というか、そうすぐに僕を煽るんです。一応持ち主なのに扱いも悪い気がします。
変なウイルスにでもやられたかなと思ってクレアさんに相談しましたが特に問題は無いらしいし・・・ハァ。

「・・・結界術式は5重、可能な限り流れ弾を外へ漏らさない様にしよう。ソレとバインドの準備も」
『結界展開準備開始。術式展開と同時に魔力導入、あわせて座標設定します。バインド用ルーチンは既にスタンバイ完了、何時でもいけます』
仕事はちゃんとやってくれるからとりあえず問題にはなってないけど・・・なんか不安だなぁ。



リシェイドSyde

さて、ボチボチ起動するか?

「シェイおにーちゃん、来たよ!」
言ってる傍からか!!
「おう、んじゃ適当に砲撃かましておけ、オレとサポート班がバインドでまとめてやる。集まった所でフェイトと一緒に本邦初公開の最大出力砲かましてやんな」
「うんっ!それじゃブレイブハート、ガンシュータースタンバイ!!」
『了解したコード起動" I am the bone of my Magilinks"』
オイこらシリアス場面でネタ奔んなや。・・・っておいガンシューター?チィと待てナノハサン!?


なのはの周囲に15基のスフィアが発生するがその各機の魔力量が半端じゃない。チクショウ、何でスフィアごときが80万以上あるんだよ!?
「ターゲットセット!」
『セット完了だ。何時でも征けるぞ』

本編同様に竜巻を上げているジュエルシードに対しスフィアが3機づつ囲むように配置された・・・あぁなんか結果が読めた、やる事鬼だな。

「『ゴーアヘッド!!』」

取り囲んでいたスフィアの周囲に魔法陣が展開されて仮想砲身を形成。
竜巻からの攻撃を器用に回避しながら暴走体の基点目掛けてB+クラスの砲撃でピンポイント攻撃、しかも複数回で多方向遠近お構いなし。

・・・あぁ、問答無用とはこの事を言うのか。こりゃニ○ータイプでも呼んでこんと勝てんわ。


「なぁエクスタス」
『如何しました?』
「俺必要なさそうだな」
『気にしたら負けかと』
「やっぱり?」
『はい』
「・・・とりあえずバインド張っとくか」
『了解。グラビティバインド展開。リングバインド射出』
やる事はやらなアカンのよ、と。後はほっときゃ終わるな。



この状況、オニイサンとしては寂しい限りなんですが・・・ん?

「"リシェイドさん"」
「フェイトか」
「"戦線に復帰します。指示をもらえますか?"」
「・・・なのはが何やってるかわかるな?」
「"あ、はい"」
「お前じゃあんな砲撃は魔力量足りんだろうから普通にコアに向かって砲撃しとけ。
ボチボチ縛り上げるからそうしたらなのはとタイミング合わせてブチカマシだ」
「"わかりました。それじゃ征ってきます!"」


さて、今度はフェイトか
「それじゃバルディッシュ。取って置きのアレ、いけるね?」
『Yes.sir!』
「サンダースマッシャー、フラクタルシフト!!」
『コードセット、フラクタルシフト』

フラクタル?・・・重填?あ、上へ昇った。

『ターゲット確認、射軸固定完了』
「いい子だ。・・・サンダースマッシャー、ファイヤ!!」
『サンダースマッシャーフラクタル全門発射』

あ~、OKOK。直上から魔力基点ごとジュエルシードへダメージ与えたのか。しかも全部同時、無駄に凝ってるなぁ・・・。


『マスター』
「どした?レティス」
『ボサッとしてないで仕上げに入りましょうよ』
「あぁそうだな。エクスタス、レティス、バインドムーブだ。一塊にしてやるぞ」
『『了解!』』
流石にサボってる訳にも行かないのでバインドで縛り上げている暴走体を動かして一まとめにした。こうすれば一発ブチかますだけで片が付く。

もうチット注意深くしとけば良かったなぁと反省したのはこの数時間後の話。



アースラSyde

第97管理外世界地球近辺宙域

管理局の巡洋艦がこの宙域を目指して巡航を続けていた。
「艦長、間も無く輸送船から落ちたコンテナが流れ着いた次元世界内の惑星です」
「ありがとうアレックス。それで、クロノ執務官としては今回の事件如何見てるの?」
「状況から見ると高位魔導師による強奪が一番可能性が高いのかと。しかし問題となっているジュエルシードの反応が
その時以降では一切こちらのセンサーには検出されていない事から、事故であった可能性も否定し切れません」

「か、艦長。大規模魔力反応を確認!!97管理外世界より発振してます!」
「エイミィ、すぐメインスクリーンに!!」
「了解!」

アースラのメインデッキ中央に備えられたスクリーンにはリシェイドやなのは達の姿が映し出された。
「・・・なんだんだこれは」
「この子達皆すごいわね~」
「艦長、そんなレベルじゃないですよ」

『うんっ!それじゃブレイブハート、ガンシュータースタンバイ!!』

「計測計測っと・・・へっ!?」
「なっ、一基辺り80万!?」
「あんな子で既にオーバーSランク!すごい、すごいわ~!!ア~ン、スカウトしちゃいたい!」
「か、艦長・・・」

『いい子だ。・・・サンダースマッシャー、ファイヤ!!』

「コッチの黒い子もすごいね・・・AAランク以上の砲撃を同時に5斉射も」
「そんな事より、こんな管理外世界にこれ程高位の魔導師が何人も居ると云う方が問題な気がするのは僕だけか?」
「と言う事は、選り取りミドリなのね!?」
執務官と補佐官、そして船の責任者である艦長が揃って観戦して盛り上がっている間にイベントは次の段階へと進んでいた。


「・・・っ!艦長!!」
「ん?如何したの?」
「あ、あれを・・・」
「なっ!?」




リシェイドSyde

いよいよイベントも最終段階。この世界で初めてなのはが本気でブチかます所まで来た。
収束付加や術式弄りでもう一段上が狙えるんだが、で溜め時間無しの即射だとコレがたぶん今の上限だな。まだまだ『全力全壊』には程遠い。
「それじゃ、征くよ、フェイトちゃん!!」
「うん!!」


「ブレイブハート、バスターモードスタンバイ!」
『了解だ。仮想砲門を周囲に展開、各モジュール砲撃シークエンスに移行』
「エクステンドブラスター、セット!!」
『魔力チャンバー各砲門とコンタクト、魔力充填完了』

・・・StS最終話も真っ青だな。何だよ24連砲門て。しかも魔力量が半端じゃない上に主砲は空間爆砕能力付きかよ。

「負けられないね、バルディッシュ」
『Yes.sir』
「それじゃ、フォトンランサーファランクスフルバースト、いくよ!!」
『Yes.sir!術式展開、仮想チャンバーに魔力装填終了』

コッチも同じ穴の狢か。本編なんて目じゃないな。
なんだよあのフォトンランサーのサイズと数、元のより大きい上にジェノサイドシフトクラスじゃないのか!?


お前ら、いくらなんでもやりすぎじゃ・・・ん?射線延長線上に魔力反応・・・ちょ、待て!!何でお前等がそんな所に居る!!

「ユーノ!野暮用で離れる!!封印と後始末は任せた!!」
「へっ・・・あ、ハイ!!」



「エぇクステンドぉー・・・」
「フォトンランサー、フルバースト・・・」

チッ、間に合うかどうかも怪しいぞ!?
「レティス!空間跳躍だ、座標はオレが合わせる。術式管理は任せた!!」
『了解しました。跳躍指定座標確認完了。各シークエンス、クリア』
頼むから間に合ってくれ!
「『ジャンプ!!』」



「「ブラスタぁーーーーー(ファイヤ)!!!」」




エイミィSyde

管理局に入って彼此5年ぐらい、仕事柄色々なモノを見てきたけど・・・
「ま、魔力反応更に増大!」
流石にこれは冗談であって欲しいと願ってしまいます。
「・・・何の冗談だ。僕に対する当て付けか!?」
いやいや、クロノ君ソレは僻み僻み。初めは才能が無いって言われた身としちゃ納得できないんだろうけど
「1200、1500、1700、2000・・・推定収束魔力量・・・に、2000万以上、計測ゲージ振り切れます!!」
「こ、こんなの歴史に残るような大魔導師でも発揮できないわ。一体何者なの?」
さっきまでスカウトスカウト逸材だって喜んでたリンディ艦長があっという間にシリアスモード・・・そりゃ流石にヤバ過ぎるよね。

『エぇクステンドぉー・・・』
『フォトンランサー、フルバースト・・・』


発射体制に移った?射線軸は・・・なっ!?
「かかか、か、艦長!!観測中の魔力砲、射線軸上に本艦が!!」
「な、なんですって!?緊急回避、急いで!!」

「「「ハイッ!!」」」

エライコッチャえらいこっちゃぁあわわわわ・・・。
「軌道修正開始しま・・・ぃ!?予測射軸幅が大きすぎて安全圏への離脱、間に合いません!!」
「なんて事・・・防御シールド出力最大で展開!、艦内に非常体制を発令、対ショック姿勢!!」

『『ブラスタぁーーーーー(ファイヤ)!!!』』



リシェイドSyde

『跳躍完了』
「っく、ブッツケ本番だが仕方ねぇ。エクスタス、オプションTypeD起動だ!!」
『了解です。コード承認、オプションフレームType"Defense"起動します』

オプションフレーム、なのはのデバイスを作ったせいで完成が遅れたオレの秘蔵っ子達。
結局、全部で10種以上あるユニットの内、優先で完成できたのはこの"TypeD"を含め3種類だけ。
中には部品の精錬に1年以上掛かる物もあるから次のユニット完成は来年以降となるだろう。
このフレームの発想は、ブッチャケ某F90とかで出てくるS.N.R.I.系○Sと同じハードポイントシステムでの装備拡張を元にしている。
オレ自身のバリアジャケットがシンプルなのも、手足なんかにコレを装備する為にああいったデザインにしたのだ。

TypeDはその名の通り防衛・防御用に調整されたモノで、オレ自身が纏う複合外殻装甲と
エクスタスから得られる魔力をふんだんに使った大出力の防衛システムを展開出来る。

「エクスタス、出力最大でバリアビット全展開!」
『バリアビット射出。シールドの発生を開始します』

バリアビットはネタその物、エクスタスのデザインベースでもあるメガ○ームシールドのアレだ。
こいつらの場合は一基単独でユニット直上位置にシールドを展開するんだがその防御能力は定格でSランククラスの砲撃を軽く防ぐ堅さを誇る。
と言っても今回は明らかに防御能力が足りないから全部展開、12層の鉄壁。
これだけやってもビットは間違いなく全滅だろうけど・・・一基辺り約50万ユーロもするんだが何処にも請求先が無いのが苦しい。マジ泣きたい。

「全リアクタ出力最大!ディストーションフィールド展開、船とオレを包むぞ!!」
『全リアクタ出力上昇、各エネルギー回路コンディショングリーン。ディストーションフィールド展開します』
これは簡単、原作でも多用され、オレ自身も炉心保護結界の一つで使ってる。元ネタは撫○なのだが。

「ついでだ、フィールドの外殻にAMFを最大出力で展開してやれ!!」
『よろしいのですか?』
「レティスか、なにがだ」
『管理局にAMF運用技術があることが知れても?』
「・・・ディストーションフィールド出力あげれば空間捻じ曲がって如何とでも誤魔化せる!!お前だってあんなの喰らいたく無いだろうが!!」
『『了解!!』』
AMFの濃度からして減衰率はソコソコ、恐らくシールド接触時には2000万以下程度までは抑えれるだろう、それでも1800万以上あるんだぞ・・・。


『接触までカウント5!』
「まだリソースはあるな・・・エクスタス、Gブラスターで迎撃すんぞ。シークエンススタート!!」
『グラビティブラスター発射シークエンス起動。重力子収束開始します。発射までカウント2』
「レティス!」
『ハイ!』
「お前の空きリソースでGブラスターの射線軸だけ空けろ、ソレぐらいは出来るはずだ!!」
『了解です、任せてください!!』
『発射までカウント1、二人とも急いで!!』
レティスへの指示と同時にオレの正面に射線軸分の、50センチ程度のバリアの穴が開く。
「上出来だ」
『カウント0、発射します!』

定格400万、対オーバーSSクラス収束砲およびNBC兵器迎撃をも想定した戦術砲だ。コレで可能な限り削ってやる!!

エクスタスの矛先に広がるのは収束された膨大な重力子によって形成された空間の渦。
その重力子がビームとなってバリアの穴を抜け、なのは・フェイトの砲撃を迎撃する。
『グラビティブラスター、砲撃と接触。重力子塊消滅までカウント1!!』
「残りの魔力量はいくつだ!?」
『現在約1500万、AMFに接触なおも減衰中。バリア接触時の予測値は980万です!!』
「よっしゃ、上出来だ!対ショック姿勢!!」
エクスタスを正面に構え、オレ自身のかすかに残った空きリソースでエクスタスの前にシールドをもう一枚展開して衝撃緩衝材とした。
『・1、接触します!!』
「ぐぁぁぁ!?」
何ちゅう衝撃だ。こんなの小さい頃に崖から転げ落ちた時と変わらん!あいつ等コレが終わったら説教タイムだ!!
『通過までカウント3』
「チクショウ!!」
『2』
ええいまだ終わらんのか!?
『1』
やっぱあれか、なのはに母さんが憑いちまったのがオレの運の尽きか。回復魔法とかだけ仕込んどきゃ良かったんかねぇ・・・もう後の祭りか。
『魔力砲通過!!』

も、もう二度とこんな損な役はやらねぇぞ。

「ハァハァ・・・損害報告」
『ビット・・・11基消滅。管理局の巡洋艦に到達した魔力は観測されなかった為、被害は無い模様。私も損害有りません』
「ハハッ、流石はオレの相棒だ」
『当然です』

と、和んでる所に水をさすAFOが居るのをすっかり忘れていた訳で・・・。


『時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。和んでいる所申し訳ないが事情を訊かせてもらいたい』


・・・こいつ、本当にオレと同い年か?妙にショタ臭ぇぞ。にしてもめんどいなぁ。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十五節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/24 02:29


でオレ、なのは、フェイト、ユーノ、アルフはアースラに呼び出された訳だが・・・。

「・・・メンドイ、逃げて良いか?」
「シェイおにーちゃん、流石にソレは拙いと思うよ?」
「いや、だって俺そんな暇じゃ無いし」
こう見えても97世界じゃソコソコ名が通ってしまった学者兼資産家なんだぞ?
ジュエルシード集めの最中だって定期的に海外へ行ってたの忘れたか?

そうそう、レティスについては知られないようにユニゾンしたまま、こいつらがいる前では話す事も禁じている。
もしばれればロストロギア所持とか言い出しかねないからな。用心に越した事は無いのだ。


「そこ、少しは無駄口を慎め」
「クロノ・ハラオウンだったか。こちとら船が堕ちるの守ってやったんだから、ちぃとは遠慮したら如何だ?」
「ソレは君たちがあんな砲撃するからだろう、自業自得だ」
ナンカ腹立つな。
「それ以前にあそこに出てくるこの船が悪いと思うのはオレだけか?航路から直で出るとあんな宙域には出ない筈だが」
「ソレは先日の輸送船沈没事件の影響で暫定的にあそこになっただけだ。関係各所に通達は行っている」
「ウチにメールは来なかったが・・・チッ、グレアムのオッサン、肝心な所で忘れやがったな」

そう、管理局関連他各公文書については11年前の転居以来、殆どをあの人が取り仕切っている。
オレが諸々の物資調達で使ったルートは裏寄りの物で、母さんの昔の伝を利用したモノだった為それほどが関係なかったのだが
管理外世界への移民を行ったウチは、その立場上管理局の影響下に為らざるを得ない。監視が無いだけマシか。

で、グレアムの名を聞いた途端、クロノの顔色が変わった。まぁ恩師みたいなモノだし気になるのは当然か。



で、本編のごとく、某部屋に連れてかれた訳だ・・・なのはとフェイトよ、覚悟しとけ。この後ナニされるか判らんからな。
「艦長、関係者を連れてきました」
「ご苦労さま。さ、こっちで四人とも楽にしていいわよ」

・・・出来損ないもいい所な盆栽モドキにIHヒーターな茶釜。
獅子落としはその辺のホームセンターで売ってる箱庭用とキタ。雰囲気とかそういう次元じゃなくてこっちに合わせたつもりか?
恭也が盆栽見たら多分マジ切れすんぞ。忍とどっち選ぶって聞かれて本気で悩むぐらい(2年前の話だから今は知らん)の熱の入れ様だったからな。


「・・・どうぞ」
チョットマテや。
「な、何でオレだけ塩せんべいなんだよオイ!?」
「数が足りなかったんだからしょうがないだろう。年長者が引くのが当然だ」


ざけんな。オレは同い年だぞ、と言うかホスト側のお前が何でちゃっかりキープしてんだよ!!
「・・・てめぇ、オレに喧嘩売ってるな?」
「執務官にたて突くとはいい度胸だ。身の程を教えてやろうじゃないか」


「ホラホラ、こんな所で喧嘩しないの。執務官もチョット冷静に」
折角本邦初公開クロノフルボッコの刑をやるつもりだったのに・・・リンディめ。
「う、スミマセン」
「チッ、命拾いしやがって」


「さて、あんな事をするに至った経緯とか色々話して頂けるかしら?」
「あ、スミマセンあなたは・・・」
ユーノの質問に周囲が『あっ』となる。そういやまだ名前も聞いてなかったっけか。オレは知ってるから気にならなかったけど。
「時空管理局艦隊提督、リンディ・ハラオウンです。あと本艦の艦長も兼任しています。あぁそうだ、ついでに自己紹介して頂けると助かるわ」

「リシェイド、リシェイド・アーリーズだ。ちなみに出身はミッドだがな」
「あら、ご同輩?」
「過去に色々あってな、母さんに連れられてココへ移住した。管理局に書類は行ってる筈だぞ」
「そう、でお隣は・・・」
「あ、えっと・・・なのは、高町なのはです」
「フェイト・テスタロッサです」
「ユーノ・スクライアといいます」
ピクッとハラオウン一家の顔が反応する。その手の人にゃ有名なファミリーネームのテスタロッサに
年中いたる所で遺跡発掘だなんて地雷掘りしてるスクライアと来れば驚きもするわな。

「ありがとう。で、お話頂ける?」


とまあ自己紹介も終わってユーノから発掘とこの世界にたどり着くまでの話が進む訳だ。
で、オレはこの時の為にテスタロッサ一家と事前にある口合わせをした。




某日、次元空間、次元庭園内テスタロッサ家。
「事故?」
「あぁ、事故だ」
フェイトのしでかした一件ははっきり言って非常にヤバイ。下手すりゃ終身刑クラスだ。
今回はプレシアが一切関与して無い為、情状酌量をカウントしてもその効果は薄い。
頑張っても司法取引で青春謳歌な年代を全て管理局に捧げる覚悟が必要になる。ソレを少しでも緩和する為の処置だ。

「フェイトの術式である事は残骸から把握されてしまう可能性は高い。
なら初めから魔法を使った事は認めつつ、しかし過失であったと主張してしまえばいい。あの世界内での事はオレとなのはが黙れば判らんしな」
「な、ナルホド、リシェイド君悪どいわね」
「褒めるな」
「・・・誰も褒めてませんよ。アリシア、フェイト、貴方達はああいった大人には成っちゃ駄目ですからね?」
「ハーイ!!」
「う、うん」

やかましいぞ。そこの娘共、特に当事者。
「幸い、フェイトの術式はまだ粗があるから庭園上で訓練中に暴発、辺境の次元空間内だから放置したとでもしておけば十分説得力はある」
「フェイトにはそういう様にさせればいいのね」
「と言うか、しておかないとフェイトが身売りする羽目になるからな。それだけは避けたい」
「み、身売り!?」
「・・・いや、言葉のあやだ。今後10年、20年を管理局で無償奉仕だなんて考えたくないだろ?そう言うこった」
「あ、そういう意味の身売り、ね」




「と云う訳なんです。本当に申し訳ありませんでした」
と、フェイトの口からボソボソっと歪曲された話が伝えられた。ユーノは唖然、管理局組は頭が痛そうだ。

「・・・そう、アレはそう言う事だった訳ね。不幸中の幸いは死人や酷い怪我人が出てない事かしら」
「業務上過失致傷に次元航行法違反。いや、コレは軽いな。他微罪が少し付いて、しめて・・・うん、精々禁固数年と罰金が少し程度だ。
初犯で魔導師だから嘱託登録して社会奉仕を2・3年もやれば終わるだろう」
「・・・意外と軽いんですね」
「未成年で初犯だからね」
口裏合わせりゃこんなモンだ。にしてもホント運が良かった。死人出てりゃ1,2年豚箱入ってその後10年は奉仕だろうからな。

「ところで・・・君は提督を知ってるのか?」
「あ?ウチも闇の書事件の被害者、有名な御宅と似たようなモノだ。その縁でこの世界への移住もあの人に斡旋されたんでな、色々と縁はある訳」
「・・・そう。あなたも」
「オレや母さんは別に気にしちゃいねーよ。もう過去の事だしな」



「そうそう、ねぇなのはさん?」
「あ、はい。なんでしょうか」

ん?いきなりなのは?

「貴方ウチで働かない?」
「ふぇ?」
イキナリスカウトかよ!?

「ば、バカ抜かせ!手塩をかけて育てた自慢の弟子をホイホイ他所へやれるか!!」
なのはさんや、何で今の台詞で顔を赤くしてるんで?

「あら、なのはさんの先生は貴方なの?」
「正確にはオレとオレの母さんだがな」
「貴方のお母さん?」
「管理局員なら・・・ってあんたらは海だから判らんかな?クレア・ヴァンヘッドって調べりゃすぐに出てくんぞ。地上じゃ結構有名だったからな」
キョトンとするリンディ、対するクロノは疑問顔。お、10年以上前の話だが流石に役職級だと知ってたか?
「その名前は聞いた事があるわ。確か『蒼天の黒い狩人』だったかしら」
「流石に職員暦が長いだけはあるな」

「・・・ソレ褒めてるのかしら?」
あ、やべ。地雷掘った。殺意120%増し(当社比)になっちまった。ご、誤魔化さないとヤバイ!!

「と、当然だろ。それだけ経験があれば現場でも不自由しないだろうし。
そういえばクロノとアンタ、同じファミリーネームだが歳の離れた姉弟か何かか?」


・・・一変してデレッた笑顔に変わったぞ、このオ○さん。クロノは頭痛そうだな。ハッ、せいぜい困っとけ、羊羹出さなかった罰じゃ。

「あら~、やっぱりそう見える?」
「ん?あ、ああ」
「やっぱり私もマダマダ活けるって事よね、うん。ねー、ク~ロノ~」
「ちょ、か、艦長・・・も、もうチョット自粛して下さい!」
クロノに絡みつきはじめ・・・あぁ、シリアスな雰囲気が台無しだ。いや、オレがブチ壊したんだがな。シリアス嫌いだし。

「なによ~ぅ。良いじゃない偶にはスキンシップしたって」
「お、お願いですから場所を弁えてくださいって!」

なのは、フェイト他4名はポカーンとして眺めるばっかり。で、この猥れた風景は5分ほど続いた。ウンウン、いい気味だ。


「・・・ふぅ。さて今後の事ですが私達は一旦本局へ戻り、改めてフェイトさんを確保してから処理が進んでいく事になると思います」
「で、その迎えの時には保護者とも一応面談とかをしたいんで話を通しておく事。いいね」

チッ、この手の話は母さんが渋い顔するが・・・今後の事を考えると仕方あるまい。
ソレの今回の一連の状況は全て中継放送している。なのはの一件で既に頭の線が何本もピキピキと音を発ててる筈だ。
「なら集合場所はウチにしてもらいたい」
「あら、何でかしら?」
「知っての通り、母さんは元局員だからそう言うのには慣れてる。それにウチなら何時でも跳んで来れる様にスタンバってある部屋もある」
「ソレは好都合ね。ならお願いするわ」
「あぁ、連絡入れてもらえれば出迎えもしてやっから安心しとけ」
「えぇ、それじゃヨロシクね」

ふぅ、何とか交渉第一弾は完遂か。
ジュエルシードの引渡し後、オレ達はこのまま転送ポッドより現場だった場所へと移り、そのまま解散と相成った。
アースラは一旦本局でジュエルシードの引渡しを行った後、今回の事件の後始末としてもう一度来るらしい。って事は一週間後ぐらいか?

ちなみにユーノはココでお別れ、メアド程度は交換したがもう会う事も無いだろう。
う~む、航路に大きな支障が無いとこうも変わるか。StSになる前に出番が消えるとは不憫な奴め。


アースラSide

アースラ内、データ解析室
「ほえー、この子達みんな凄いや」
「さっきの戦闘データか」
「うん」
コンソール正面にはジュエルシード最後の大捕り物の風景が映し出されていた。

「今艦内にいるユーノ君も結界とか補助系に関しては言う事無いし、フェイトちゃんの使い魔だって話のアルフさんもけっこう凄いけど」
そう言いながらエイミィ・リミエッタの視線は正面のスクリーンへ。なのは、フェイトの砲撃シーンへと移る。

「黒っぽい服のフェイトちゃんが待機時で184万、最大400万オーバー。クロノ君好みのなのはちゃんに到っては待機時で既に380万以上、
観測中の最大発揮時に到っては簡易計測器のゲージが振り切れちゃって、今再計算したけどやっぱり2000万軽く超えてるもんね」
「あぁ」
「この子達の前じゃ、クロノ君勝ち目無いんじゃない?」
「ひ、酷いな、魔導師戦は魔力値だけじゃない。それ以外にも状況に合わせた応用力と、的確に使い分ける判断力も必要なんだ」
「そりゃ『一応』信頼はしてるよ。アースラの切り札だもんね~、クロノ君は」
「なんだよ、そのの『一応』って。エイミィ、実はしてないだろう」



「・・・じゃあ今度やってみる?」
「「か、艦長!?」」
「ふふっ」
入り口に立ってとんでもない事を切り出したのはリンディ・ハラオウンだった。

「それにしてもこの子達本当に凄いわね」
「はい・・・あ、そういえば」
エイミィがコンソールを触り画面を切り替える。

「あいつか」
「あら、リシェイド君の事、嫌いなの?」
「いえ、ウマが合わないと言うかそんな感じです」
「あっそう・・・でも、この子もまた凄いわね」
「はい、ジュエルシード対峙中はそれ程でもなかったんですが」
画面が切り替わり、今度はアースラ防衛のシーンに変わる。
「あの二人の同時砲撃を単独で防いだのか・・・」

「みて、この数値」
そう言いながら手元のモニターを指差すエイミィ、ソレを見て絶句する二人。
「う、嘘」
「何かの間違いじゃないのか?」
「若干の差はあるけど、間違いないと思いますよ?最大発揮は概算値ですけど軽く5000万は叩き出してます」
その数値を認識して呆然としてしまう。
「という事は」
「リシェイド君はその気になれば単独で一個艦隊相手に正面からやり合えるって事ね、人間の領域じゃないわよ、これ」
「今回は防御のみでしたから何とも言えませんが、恐らくそれ以上の可能性もありますね。表情を見る限り必死そうな感じは無いですから」
「そうね、口じゃヒィヒィ言ってたけど、目は真剣って感じじゃないし口元も緩そうだったし」


「そういえば、妙に『管理局』に対して棘のある感じだったな」
「そう言われてみれば、確かにそんな風だったわね。終始気だるそうな雰囲気だったし」
「過去に何かあったんでしょうかね?」
「クレアさんだったわね。ミッド出身の元局員だから資料もすぐ集まるでしょう。ついでに確認してみましょうか」
「そうですね、フェイト・テスタロッサの件で色々あるみたいですし、今後の事を考えて相手の事を知っておくのも良さそうです」



「それにしても、リシェイド君がクロノと同い年とは驚いたわ」
「そうですねー。同じ14歳とは思えませんでしたから」
「・・・なんですか二人して」
「「別に~、なんでもありませーん」」


「うっ。あの野郎、今度会ったら絶対仕返ししてやる」



リシェイドSide

ん?どっかの馬鹿が俺に喧嘩売ったか?
まぁいい、別に誰だろうが返り討ちでフルボッコ、水樹の新譜で本編BGMソングが出揃ったからな。条件揃えばブレイブ流して容赦無し!!

「で、現状はどうなってるのかしら?」
「とりあえずココへ来る様誘導はした。来週ぐらいには本局からコッチに戻ってくると思う」
「時期的にはそんなタイミングでしょうね。先輩、そっちはどうしますか?」
「そうね、相手の出方次第だけど、とりあえずは静観かしら。無駄に騒ぐと些細な事ですぐに公務執行妨害とか騒ぐのが『海』の基本だから」
「そうですね。取引材料に出来る物も最後の捕り物ぐらいですし、ここは大人しくして印象良くするのが良いと思います」

帰還後、母さん達に事の次第を伝えた後は速やかに作戦タイムと相成った。
一応その方向でフェイトとも話はしていたが、ココに来て管理局と接触してしまった為、専門家である母さんは保護者のプレシア女史、
当事者であるオレを交えてのミーティングを開く事になったのだ。

「それにしても、私の可愛いなのはちゃん引き刷り込もうだなんて良い根性してるわね、あの艦長さん」
おーい、誰だ聖○から泥引っ張り出した奴、母さん思いっきり黒モードになってるぞ~。

「クレア出過ぎ出過ぎ」
「アラッ、危ない危ない。・・・テヘッ?」
『テヘッ』じゃねーよ、『テヘッ』じゃ。見た目は兎も角、少しは自分の年齢考えろや。流石に拙いぞ。
「だめでしょ、そんなオーラ出したら。その中に引きずり込んじゃうでしょ?」
「確実に無力化できるから楽なんですけど・・・やっぱり駄目です?」
なんか聞き捨てならん事が耳に入ったが・・・オレの心の平穏の為にもスルーしておこう。普通にアン○マユ飼ってるだなんて誰にも言えねぇよ。


「さて、リシェイド。貴方に指令を与えます」
「え、えっとなんでせうかオカアサマ」
「その船のエース、クロノ君だったかしら?
さっきの様子と話からして多分挑んでくるからお前がフルボッコにしなさい。本件の流れの主導権を握るのに使うわ」
何でソレがここで出てくるよ、ってか何言ってるこの人。
「意味がわからんのですが?」
「同い年の子を持つ母親同士で観戦して、その最中に扱け堕してやるネタにするの」
「ひ、ヒデェ。あいつはかませ犬かよ」
そんな事の為にクロノはフルボッコにされるのか?
オレもあいつは気に食わないから望む所だが、ソレを誰かに利用されるってのは如何もなぁ。
「勝つ為には手段を選ばないのが"ホンモノ"よ」
「・・・何のホンモノか知らんが一応了解した。本当にフルボッコで良いんだな?」
「死なない程度、質量兵器の運用さえ無ければ何しても良いわよ?」
「OK、そいじゃ本気で潰してくるわ」
「頼もしいじゃない。貴方がどれだけやるか楽しみにしておくわ」



この人に睨まれたのが運の尽きだ。ハラオウン一家には可哀想な事をしたか。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十六節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/24 12:47


あっという間に一週間が過ぎ、予想通りあの馬鹿が何も知らずに喧嘩振ってきた。
会場は態々厳選したとか言う未開惑星。生命反応0、文明反応0の何も無い所をチョイスしてきた、そんなに暇なら税金返せよな。

「行くぞ!!」
「馬鹿か?テメェ程度が俺に勝てると本気で思ってるのか?」
「魔力の絶対量が戦力の決定的な差ではない事を教えてやる!!」

馬鹿だ。ホンモノの馬鹿だ。自分で敗北フラグ立てやがった。まぁいい




その他Side

時は少し戻って局員の転移直後。
「時空管理局次元巡洋艦艦長のリンディ・ハラオウンです」
「同じく、管理局執務官クロノ・ハラオウンです。この度は事件に協力いただき感謝します」

「元、地上本部所属、クレア・アーリーズです。ようこそ海鳴へ」
「フェイトの保護者、プレシア・テスタロッサです。この度は娘がご迷惑をおかけして申し訳ありません」

アーリーズ家の客間、向かい合うソファーに海鳴陣営と管理局陣営がそれぞれを陣取り比較的穏やかに挨拶が進む。と、そこへ
「お、もう来てたのか」
「チッ、嫌な奴が来たな」
「聞こえてるぞ、そこ」
リシェイドが部屋に入ると同時にクロノの雰囲気が一変、一気に険悪なムードへと変わった。犬と猿、いや亀と猿じゃ無いんだから、ねぇ?

「それでは。早速ですがフェイトさんの事ですが」
「はい、本人も反省しておりますし、罪を償う事については前向きですからその辺りを考慮していただければ助かるのですけど」
プレシアの切り替えしに予想通りと言わんばかりの雰囲気の管理局組。
「そうですね。以前お会いした時にもそのような事を仰られてましたし、
こちらとしてもまだ幼い子に重いペナルティを課すのは心情的にも良い物ではありません。
それで、一応手続きの準備と言うか、今後について資料を用意したので目を通して頂けますか?」

そう言いながらクロノが来た時から持っていたシートケースの中から数枚の紙を取り出す。
「えっと、・・・施設入りは無し。本局内で一週間程無償奉仕活動をしつつ嘱託認定を取って、・・・実働300日の嘱託就業義務?少し長くは無いですか?」
「罪状から換算して禁固1年から1年半に罰金が少し付いて普通なら終わりなのに・・・相変わらず阿漕な仕事してますね、"海"は」
「あ、阿漕って。本局はいつも慢性的な人手不足なんです。一応情状酌量と母子家庭って事等を加味してのこの提案なのですが」

少しムッとするクロノ。そこへ母親ズが追撃を仕掛ける。

「検挙率の低下と人手の問題は関係ないですよ?地上なんてもっと人手足りませんでしたから。就業義務せめて実働200日になりません?
どうせ法務部の書類をそのまま持ってきただけでしょ?あそこ一番悪い所から数字持ってきますからもっと軽く出来る筈ですけど貴方やる気ないんですか?」
「母子家庭だから?甞めないで貰いたいわね。コレでもソコソコ名の売れた研究者なのよ?
その辺の局員やサラリーマンと一緒にしないで欲しいわ。罰金なんていくらでも払ってやるわよ」

「・・・管理局って左から右へ書類流すだけで高給取りか、楽でいいなぁ」
「そういう君は何かやっているのか?」
リシェイドの一言(無論故意の発言なのだが)に怒りを顕にするクロノ。
「ココじゃあまり話せんが、この世界じゃある分野の第一人者になってる。年に数十回と学会で発表しなきゃいかんが、おかげで年収は一番価値の高い通貨で7桁単位。
この世界はミッドと比べて馬鹿みたいに物価が高いからな。ミッドの通貨に換算すりゃ、都心の超高級マンションだってフロアごと買えるぜ?」
「なぁ!?」
「あら、クロノの方が圧倒的に負けてるわね。やっぱり貴方に甲斐性求めるのは無理かしら」
「か、艦長!!」

「あら、ご兄弟かと思いましたが・・・もしかして息子さんですか?」
「えぇまぁ。この通り不出来な息子でして。意地っ張りで融通利かなくて女の子には優しく出来ない物ですからガールフレンドの一人も紹介してくれないんですよ」
「あら、甲斐性無しはうちの息子も同じような物ですわ。風の便り(御平教授からのメール)だと研究所の女性職員の3割は堕としてるくせに
全部のフラグを砕いちゃってて。娘が欲しかったんですけど主人には早くに先立たれてしまいましたし、早く良い人捕まえて欲しいと思ってるのですけど中々・・・」
気が付くとヘタレ息子を持つ母親同士の談話となっていた。

全てはクレアの策略であったのだが、それに気付かずに談話が進み・・・。


「それにしても、うちのリシェイドと同い年で執務官とは、さぞ厳しい訓練をつませたんですね?宜しければ少し教えていただけるかしら」
「いえいえ、お宅のリシェイド君に比べればうちの子なんて。それに、私が教えた訳ではなくて7年前に伝に任せっきりだったものですから私は特に何も」


「あら、もしかして育児放棄?その程度じゃ仰るとおりたかが知れますかね?子は親の愛情でこそ育つんですよ」
クレアのジャブがクリティカルに入る。リンディ本人も気にはしていたがそこをダイレクトに殴られたのだ。

「言いますわね。なら試してみます?どちらのこの方が優秀か、丁度模擬戦闘用に場所も確保していたんです」
そういいながら空間モニターを表示する。そこには荒廃した大地が延々と広がる未開の惑星が映っていた。
「中々良いロケーションですね。良いでしょう。リシェイド、ちょっと征って殺ってきなさい」
「クロノ、負けたら承知しませんからね」


「へぇ、面白いじゃねーか。なぁ」
「積もった恨み晴らしてくれる」


こんな感じで話は進み・・・




リシェイドSide

「なら俺も本気で聞かせてもらう。エクスタス、オプションTypeR、起動!」
『コード承認。Type"Raptor"起動します。・・・本気で潰す気ですね』
「当然。誰に喧嘩売ったか教えてやらんとな!!」

「な、なんだあれは」

Type"Raptor"は名前こそ"猛禽"を掲げているが、その正体は米軍が誇る傑作機、F-22Aラプターのスペックをイメージして設計した。
高い機動性を有し、圧倒的なキルレシオを発揮する為に徹底的な調整を行ったオレの渾身の作。

エクスタス本体はフレームの保護材と追加チャンバーがセットされキャパシティが1.5倍に増加。この仕様は全てのオプションに共通される。
オレ自身の方としては、両脚には機動性向上の為大出力の魔力スラスターが展開され、腰側部と肩の付け根にはそれぞれ2対4基、
計8基の魔力スラスター兼重力子バインダーモジュールがセットされる。
これは攻守走全てをカバーする万能アイテムで、先端部をターゲットに向けて重力波を打ち込めば相手の動きを抑える事が出来るし
出力の微調整でディストーションフィールドを形成し、貫通力の無いただの砲撃ならA-程度まで無力化できる。
スティンガーブレイドは多分貫けてくるけどな。ついでにコイツは重力傾斜推進器としても活用でき、
ユニットの先端に形成したフィールドを軸にポールジョイントヨロシクその場でクルクルと回る事も可能だ。
肩の方はバインダーモジュールの付け根から胸部までフレームが展開して追加装甲が展開。ついでにB+クラスの速射機関砲もマウントされる。
専用チャンバーを用意している為性能はソコソコ。50発/s連射性能と、連続発射時間を30秒程度は稼げた。
背部に関しては更に取り外し可能・伸縮自在のテールウィップ(某烈火の将のデバイスと同じ仕組み)がマウントされる。
ウィップ接触時には魔力飽和による空間爆砕のオマケが付く凶悪兵器だ。イメージは某G○03-Dの爆導索だな。
腕部はエクスタスの運用を考慮して上腕部に適当な追加装甲を設ける程度に留めた。

「さて、始めようじゃねーか」
『おっけ~。それじゃ管理局執務官クロノ・ハラオウン対リシェイド・アーリーズの模擬戦闘を開始します、レディー、ゴー!!』


「隠し玉があったのか?でもこんなコケオドシ、僕には通用しない!!」
『スティンガーショット』
様子見の砲撃か。
「バインダーセット」
腰のバインダーを正面に向け魔力砲を歪曲場で逸らす。その程度の魔力砲じゃ掠り傷も着かねえってーの。

「なっ!?、だったら!!」
叫びながら浮上、高速移動しながら何かルーチンを立ち上げてるらしい。けん制も忘れずチョコチョコさっきと同程度の砲撃を繰り返ししてきている。
んじゃオレも飛びますかね。
「ボチボチ征くべ」
『了解。格下相手では本気が出せませんね。リミッターかけます?』
「バカ言うな。今回は母さんの『指令』が出てんだぞ!?もしショボッたらオレは後でフルボッコ確定だ。お前だってスクラップにされたくないだろ?」
『そ、そうでした』
「したら適当に演出しつつ徹底的に凹るぞ。その為のTypeRだ」
『ですね。魅せてやりましょう。スラスター、魔力展開。イメージ"ZERO-C"』
回避速度を上げ、クロノの攻撃が追いつかないレベルまで加速。
スラスターから出た魔力の残滓が羽のように煌く姿はまさにアレ。と、そこに・・・
「お前までネタに走るか」
ええぃ、態々、無駄にリソース食ってBGMに"LAST IMPRESSION"なんてかけんな!!唯でさえ"ZERO-C"は目立つんだぞ!?

『良いじゃないですか、この曲ノリも良いですし』
『え?、何この曲』
「・・・気にすんな、ウチの馬鹿が態々リソース食って雰囲気出そうとしてるだけだ」



「ひ」
ひ?如何したクロノ、ワナワナして。動きが単調だぞ?

「人を」
何なんだ?一体
「如何したクロノ、腹の調子でも悪いのか?悪い物でも食ったか?」
『えぇ!?駄目だよクロノ君。体調悪いならそう言わなきゃ!』



「人を馬鹿にするのもいい加減にしろ~~!!」
『スティンガースナイブ・マルチプルシフト』



やり過ぎたか?にしても乗ってくるエイミィもいい根性してるよ。本当にこの二人将来結婚するんかいね?
「キレちった。多連装誘導弾とはメンドイな、さっさと潰すか」
『了解ショルダーカノン起動。迎撃開始します』
迫り来る追跡弾の群れを避けながら肩の速射砲で迎撃、打ち落とす。まぁ、オレの機動性の前には付いて来れ無いから、打ち落とすのも容易なんだがな。


「ったく、この程度でエースってか?寝言垂れるのも大概にしとけよ?」
『いや、マスターが強過ぎるだけであって一般的にはアレで十分にトップ張れる強さじゃないんですか?』
あ、なのはじゃないが自分基準にしちゃ拙いんだった。チート甚だしいの忘れてた。
『ま、マスター、シッカリして下さい。・・・あぁ!?バインド反応検出、囲まれています!!』
「何!?」


両手両足、更にはバインダー全部までディレイバインドに引っかかっちまった。
「ふっふっふ、年貢の納め時だな。人を散々馬鹿にしたその報い、コレを受けて塵となれ!!」
『スティンガーブレイド・マキシマム』

・・・なんだあの斬艦刀。やっぱり馬鹿だろアイツ。
いくらムカつくからって殺傷設定でそんなの撃ったら流石にもみ消せないと思うぞ?それに


「普通のバインドごときで俺を止めれると思うたか、このヘタレ!!」
「っ僕はヘタレじゃない!アタック!!」


『バインドブレイク』
エクスタスのアクション一つでバインドを霧散化。オレの動きを止めたきゃケージを二桁は容易しな!
「ハッ!ブラスターカノン、セカンドモード!段々面倒になってきた、アレで仕留めるぞ!!」
『ブラスターカノン、ファイヤ!!・・・アレってアレですか?』
「そうだ、アレは派手で見栄えも良いからな」
以前フェイトと交戦した時に使った砲撃の強化版、貫通後に爆発し対象物を吹き飛ばすAAランク砲撃。その程度コレで十分だ!
『・・・了解しました。クラスタ、リフレクタ射出。"Flash Illusion"起動します』
オレを中心に○ットモドキが大量に射出される。クラスタ、リフレクタ共にデザインは殆ど同じで四角錐状である、だが機能は名前の通り全く別物。

「くぅ!?」

オレの砲撃とスティンガーブレイドが接触して爆発、オレの様なフィールドを展開できない為余波で吹き飛ぶクロノ。
今回は残念賞ってこったな。この先もずっとだろうけどまぁ諦めろ、相手がオレじゃ仕方無ぇさ。
「各スラスター、最大戦速モードに移行。一気に行くぞ」
『了解、相手の認識範囲外へ移動します』

「くそっ、何処へ行った!?」

クロノは超々遠距離までの射程は持っていない。精々半径数キロがいい所だ。


「さっさと潰すぞ」
『かませ犬らしく盛大に散らせてやりましょうよ』
「どっちも一緒だろ、んじゃ・・・」
「『Let's Showtime!!』」


一瞬で音速の4倍まで加速、そのまま展開した子分と共にクロノに突撃する。
「ウィップ、セット」
『ワイヤー展開』
テールウィップが展開され長い尾を引く。
「『アタック!!』」
クロノの弾幕を高速起動で回避しながら突入、すれ違いざまに伸ばしたテールウィップを叩き込み、周囲の空間ごと爆砕する。
「ガッァ!?」


『リフレクタ、ターゲットを包囲。クラスタ、ビーム発射開始』

「っく、ハァハァ。が、ガンスフィアか?その程度、当たらなければ怖くない!」
いや、別に避けるのは構わんが・・・クロノーウシロウシロ!

「なんだ、この程dグッ!?」

『う、うわー。反則じゃない?』
やかましいぞエイミィ、ちゃんと保護者組を監視してるだろうな?

「ブラスターカノン、クイックモードだ」
『クイックショット、ファイヤ』

B-程度の魔力砲を矢継ぎ早に連射、クロノを取り囲むリフレクタで反射し360度のオールレンジで叩き込む。
同時に展開されたクラスタからもC程度の弱装砲が飛んで来る為、クロノを同時に襲う弾の数は数えるのも馬鹿らしい程だ。
下手に回避するとさっきの様にリフレクタが反射し巡り巡って予測不能な所から砲撃が飛んでくるし
迎撃するには数が多すぎる。バリアやシールドを展開してもなのはクラスじゃなきゃあの数の前には維持する魔力が足りない。
AMFとAMCSがあれば比較的簡単に無力化も出来ただろうが、生憎この技術を持ってるのは実質オレだけだ。
「っく、くそぅ・・・ガフッ!」


「さて、止めといこうか」
『了解。マスターも鬼ですね、スーパーノヴァ・カノン起動します。・・・これって対人で使って良いんですか?』
「本気で潰せって許可は貰ってる。あとは知らん」
超新星の名を翳す、対要塞殲滅戦用戦略砲撃。生身で受ける記念すべき一人目はお前だ。
オプションユニットでチャンバーの増設とフレームの強化をしなきゃ使えないが、威力はGブラスターの比じゃねーぜ?
超高励起状態の魔力素子を8桁倍の密度まで圧縮、空間縮退させて生成する最狂最悪の砲弾。喰らった瞬間リンカーコアが中から弾けるからな、覚悟しろや。

『魔力量・・・ろ、6500万!?ちょ、リシェイド君、いくらなんでも拙いって!?』
「・・・何言ってやがる。アイツはギブアップしねーし、気絶もしてねーぞ。なら戦闘続行だろうが?」
『ソレは起きてる様に君がビットで適度に凹ってるからでしょ?いくらクロノ君でもそんなの受けたら流石に死んじゃうよ!!』
そりゃあ、気絶したら終わりだなんてルールがあるんだから、寝ないように適度に頭と腹を交互に撃つのは当然だろう。
「いや、一応魔力ダメージだけだから死にはしないと思うが『それでも中止!!』、さいですか」
涙目になって言うなや。一応出力抑えて手加減してんだぜ?何でオレが悪者なんだよ・・・。


とまぁ、大技ぶっ放す前にレフリーストップ。クロノはテクニカルノックアウトと相成った。
終わった後の母さんとリンディの表情といったら・・・止めておこう。アレは『絶対悪』でも避けて通る。





おまけ
「シェイおにーちゃん」
「どした、なのは」
「弱い物いじめは悪い事だと思うのですが、その辺はどうなんでしょうか?」

っく、また答えにくい事を聞いてくる!なっ・・・う、上目遣い止めれぇ!?

「い、いや。アレは必要に迫られてやった訳で・・・」


「・・・普段は口酸っぱくして私に言ってるのに、自分ではアレですか、そんなんじゃ説得力無いですよ?」

黒いオーラ纏うな、やっぱりお前は桃子さん似だな!!


「うっ・・・ご、ゴメンナサイ。以後注意しますので勘弁してください」
男は黙って土下座組。

「う~ん、それじゃあ翠屋で無償奉仕、高町家の家事一週間で手を打ちます!覚悟してね?シェイおにーちゃん!」
あれ~?なんかいい様にパシリ確定?

『マスター、典型的なヒールでしたからね、しかも最後はなのはの尻に敷かれ「やかましい!」御労しいです。ヨヨヨ』
俺は間違った事はしてないんだ、なのに何でこんな目に遭うんだ!?


くそっ、誰か答えろ!!

「汚らわしいですね。アリシア、フェイト、変なのが感染るかも知れませんからアレには近寄っちゃ駄目ですよ」
「え~、リシェイドさんのさっきのアレ、綺麗だったよ?」
「うん、アレは凄かったよね」
普通はそういう感想が出るはずだよな。そういう仕様なんだし。
「アレは擬態といって、見た目で誤魔化して人を寄せ付けるんです。それで近寄ったものを・・・あぁ、ココからはおぞましくてとても!?」
酷い言われようだな。リニスさんよ、何でそこまで毛嫌いするかな。オニイサン泣いちゃうよ?


『・・・幼女におぼれて溺死しろ!』
『志も持たない者がでしゃばるからだ!』
手前らは黙れや。何でフォーマットしたのにネタ脳だけは健在なんだよ。
『『ソレは知らん!!!!』』


「ウフフッ、チート主人公のお約束でしょ?我慢なさい」
母さん、満面の笑みで正論言わないでくれ、マジで凹むから。


「クッ、次はこうはいかないですからね!覚えてなさい!!」
リンディさん、たかが模擬戦闘で何本気になってるんですか?後、今の台詞は負けフラグだから。
クロノは当分大変だろうな。親に弄られ、多分今回の事を聞きつけるぬこ先生にも弄られ・・・エイメン。



次回、交渉後半戦



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十七節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/24 16:37

とまぁ、クロノフルボッコ大作戦は不完全燃焼に終わり、各々引き上げて会談再開となった訳だが・・・

「あ、そうそう。なのはちゃん。チョットコッチいらっしゃい」
「クレア先生何の御用ですか?」


なのはを呼び出し話に加えるらしい。
「桃子さんとは話着けてきたから、貴方フェイトちゃんと一緒に嘱託と、ついでにミッドの陸士学校で短期教習うけてきなさいな」
「え?何でですか?」
「実戦経験積むのと社会勉強にはモッテコイだから。なのはちゃんクラスになると全次元世界に片手で数えるぐらいしか
相手になる存在は居ないと思うけど、管理局の嘱託で前線に出張ればソコソコ勉強にはなるでしょう。この辺は仕方が無いわ」

「あら、リシェイド君はスカウトした時嫌がったのに・・・クレアさんは認めて下さるんですね!?」
ふっ、となのはの嘱託許可の言葉と同時に蘇るリンディ、目がきらきらと輝いてるのが凄くキモイ。まぁあの強さを目にすりゃあなぁ。

「あくまでフェイトちゃんのヘルパーです。フェイトちゃんの勤め上げと同時に契約は解除させて貰いますから」
「勿体無い。なのはさん程の人なら行く行くは管理局のトップにだって上り詰める事も夢じゃないのに」

「チッ、あんな胡散臭い所、オレとしてはやりたくないんだがな。母さんが認めるなら仕方ないか」

権力分立って知ってるか?司法や立法、行政がゴッタ混ぜの社会なんて大昔の王政や悪名高い独裁国家と変わらんぞ?
流石にミッド地上は大統領府があって行政は分かれているが法的機関としての機能は管理局が完全に握ってるからな。気味が悪い事この上ない。


「また酷い言われようね。管理局が何かしたかしら?」
・・・地雷踏んだかな。



「うちの旦那、お宅の武装隊員に殺されれたんですが・・・もしかしてご存じない?」
「なっ、闇の書事件の被害者って局の資料には乗ってましたけどそんな事は一文字も」
おおぅ、内々で隠蔽ですか。流石管理局。だがそこにしびれたり憧れたりはしねぇぞ!!

「やっぱり辞めて正解だったわ。それだから信用できないんです。
マスコミにはすぐ圧力かけて情報統制するし不祥事も内々でうやむやにするし・・・」
そう言いながら母さんは当時集めた資料をテーブルに出す。ソレを見て絶句するリンディ。・・・クロノ?アースラに搬送されて寝てる。当分起きんだろ。

「こ、これは・・・」
「こんな事があったわけ!?クレア、あなた・・・」

「馬鹿でも解かる見事な管理局不祥事。10年で見事にもみ消されましたね。だからわたし達親子はこの世界に移住したんです。
こんな危ない司法と関わり合いたくなかったものですから」

いや~、まさか管理局のデータベースまで書き換えが終わってるとは思わなかったぞ。
おかげで管理局との縁はサッパリ切りたくなったぜ。こりゃ夜天の書の方も気をつけないといかんな・・・後2週間ないけど。


「そちらが管理局を嫌う理由はよく解かりました。仮に私達がコレを持ち帰っても、恐らくこの話を表に出す事は難しいでしょうね」
「あの時散々マスコミ突付いたのに結局最後まで報道されませんでしたからね。
ですからなのはちゃんフェイトちゃん共々、その能力を管理局に明け渡したくないんです。ご理解いただけますね?」


「・・・解かりました。それではフェイトさんの書類送検、なのはさんを含めての嘱託認定・事前教育と云う事での短期教習受講の手続きを進めましょう。
それでよろしかったでしょうか」

「えぇそれでおねがいします。あ、そうそう今回の懇談、全部録音してますので虚偽は許しませんよ?」

オカアサマ?ナニカクロイオーラガデテラッシャイマスガ・・・ヤバイヤバイヤバイ!!
「も、勿論です。あんな不祥事の資料見せられた後ですしそんな事出来ませんよ、アハハハハ・・・」

交渉もうまいなぁ・・・オレも勉強した方がいいのかねぇ。陸士学校の教官は『南無』だな。御神の剣士ついにミッドへってか?




と云うわけで、フェイトは最終的に実働200日の社会奉仕(管理局嘱託業務)、あとチョットの罰金で終わる事となった。

その処理と合わせて、フェイトと共になのはは夏休みを利用してミッドに短期留学が決定。嘱託認定試験と陸士学校での短期教習を受ける事になった。
教習って言ったって必要最低限の法律も教えてあるし、体術に関しては完成しつつある御神の剣士に何を況やだし、
魔法に関してもアレだから恐らく意味が無いだろう。受けたって云う認定書が欲しいだけだからな。
持ってれば身分的にかなり確立されるから損はない。オレはそんな時間的余裕無いし持っててもあまり意味は無いだろうから今回はスルー。

だが今後の事を考えるとオレ自身もその頃に一度ミッドに飛ぶ必要があるだろう。
夜天の書を本編のような外野のツマラン感情に揉まさせたくは無い。もうちっとハッピーなエンドでもいいだろ?


ついでにプレシア女史は書類関連の処理をするため一旦ミッドに行った。戻るのは6月中旬以降だろう。
あの資料を見て彼女も管理局に対して良い印象を持たなかったようだ。当然といえば当然か。
そんなこんなで話は進み、6月に入ってすぐにアリシア、フェイトが聖祥に編入。
鏡写しのようなそっくりの姿と正反対の性格な双子は大いに人気が出たのだがコレはまた別の話。



6月4日、深夜

『マスター、魔力反応を確認。・・・珍しいですね。古代ベルカ式です』
「・・・ついに起動したか。周辺10キロ四方に他の反応は無いな?」
『はい、今のところ観測されていません。急に如何しました?』
先の事を知ってる俺としちゃどうも腑に落ちんが・・・動き出すまでは様子見という事か?
起動するタイミングは知ってたはずだから余裕かましてるのかねぇ。とりあえずはやて嬢が餌付けするまで待つか。

「コレからチト忙しくなる。とりあえず隠蔽モードでサーチャー展開。魔力反応点に居る連中を全てマーキングしろ」
『了解。マーキング開始します・・・映像来ました』
エクスタスから来る念話のイメージデータより、ベット上でうろたえるはやて嬢の前に跪いて主従の確認をしている面々。
「ま、マスター」
「なんだレティス。何を驚いている?」
「これって、闇の書じゃ?」
何処で知っ・・・あぁ自分の設計ベースだから最低限の情報は叩き込んだもんな。知ってるのは当然だったか。
「おうそうだ、とりあえず守護騎士が殺気立ってるから様子見。適当なタイミングであの赤い髪の奴、シグナムだったか?
アレがボスだから一騎打ちで凹って穏やかに会談できるようにするんでその時はよろしく」

『「えぇ!?無茶ですよそんなの!!」』
お前ら仲がいいな。文字通り一身同体だから当然だろうけど。

さて、本編どおりに話が進むなら二週間ぐらい様子見してタイミング決めるか。
えげつないグレアムの策謀は絶対に実行させてなるものかよ。自身の出身管理外世界なのに甞めやがって。


6月第3週
と、定期的にマーキングして状況を確認しつつ、母さんには
「まったく・・・好きにしなさい」
とお許しを頂き、好き勝手出来るようになったのは良いのだが


「3名様でございますね?ではこちらのテーブルにどうぞ」

何で翠屋でウェイターしてんだよ、ちくせう。
「ニャハハ。この間の約束だもんね。でも良く似合ってるよその格好」
先日の約束を果たせとなのはに借り出された。この忙しいタイミングで呼ぶなよ。

「なに?なのは、こいつの弱みでも握ったの?」
「ちがうよアリサ、リシェイドさんはなのはに怒られる様な事をしてその埋め合わせしてるんだよ」
「フェイトちゃんは事情、知ってるの?」
「う、うん。私もその現場に居たから」
「あ、私も居たよ!リシェイドこーんな小さくなってなのはに土下座してたんだから。ほら」

ちょ、おま。ナニしてんだよアリシア!何であの時のちゃっかりチェキしてんだよオイ!!
「あらあら、大の男が情けないわね」
「コレ見せられると流石にチョット幻滅しちゃうかな」

アリシアの携帯にはあの時の一部始終が全て記録されていたらしい。
アリサとすずかは数分ほど食い入るように眺めてた後、オレの方を向いて鼻で笑いやがった。



「でも、リシェイド君が来てくれて良かったわ。ルックスもそれなりだし
接客も教えなくても及第点程度は出来たからあまり手間も掛からなくて済んだし、本当に助かるわね」

「・・・なのはの尻に敷かれたか。あいつもついに高町家のヒエラルヒーの底辺に組み込まれたんだな」
「でも父さん、そうなるとなのはの貞操も・・・」
「いかん、ソレは認めんぞ。よし恭也、今夜辺り久しぶりに」
「ソレはいい考えだ、うん凹ろう。最近腕が訛った気がしてならなかったんだ」

オイそこ、ナニ物騒な事話してやがる。連れの忍嬢がずっとニヤニヤコッチ見てるの止めやがれ。
「ふっ、所詮男なんてそんなものよね~」

チクショウ、神は死んだ!!


"カラーん"
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

と、接客モードで入り口も見た先。
「あ、テイクアウトでお願いします~」
見事な京都系関西弁。ソレと植田ボイス。
「この店バリアフリーなのね。車椅子が押しやすくて助かるわ」
何処ぞの若奥様風な格好の女性(?)の柚木ボイス。


OK、把握した。コッチから行かなくても向こうから強襲か。
「かしこまりました。ではカウンターへどうぞ」


そういえば、こんな狭い町なのに何で本編じゃニアミスしなかったんだ?
凄く疑問なんだが・・・。あぁご都合主義か。考えてみりゃオレ自身がソレの固まりだしな。
この世界は極端に確立変動に斑があるってか?何処の九○密さんちだオイ。


「はい、落とさないようにね」
「ありがとうございます~。それじゃいこかシャマル」
「はい、それじゃはやてちゃんいきますね」

「ありがとうございました~」


・・・とりあえずニアミス未遂で済んだか。ココでコッチの状況がばれると洒落にならん。
にしても予想より早く陥落している、7月に入った位で仕掛けても問題は無さそうだな。
よく「はやての飯は美味い」と云う表現が本編中に見られたがその辺のガキンチョの料理がそれ程の味なのか?
はやてスキーな連中には悪いが俺はコレについて否定的だ。
と言うか今までの生活が貧相すぎてチョット上手な程度の家庭料理がとてつもなく旨く感じただけだろう。



さて、仕掛けるとしよう。相手は腐っても古代ベルカ式を使う本物の『騎士』だ、本気でやるべ。



意気込んでたその晩に御神の男共に言われも無い理由でフルボッコにされたのは言うまでも無い。

今回はついに外の電柱に吊るされた。雨が冷たいよう。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十八節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/24 23:46
『ヴォルケンリッター、烈火の将シグナムだな』
『っ!?貴様何者だ!!』
のっけから喧嘩売ってます。いや売らんと話が進まんので。

7月も第2週、様子を見つつ『ニート侍』事、シグナム姐さんが一人フラフラと散歩の最中を狙い、念話を仕掛ける。

『お前たちの主、八神はやてと『書』について少し用がある』
『貴様のような怪しい奴、主に近づける事は出来ん!引き取り願おう』

予想通りの返答、本音を言えばサクッと話してパッチ当てて終わりにしたかったのだが、仕方ない。

『ならお互い剣を交えようじゃないか。一騎打ちの真剣勝負。俺が勝ったら話を通させてもらう。負ければ大人しく引こう』
『ほう、下郎の割にはいい根性をしているな。良いだろう、その勝負受けて立つ』
『週末の土曜の夜、郊外の山林公園の奥にある丘の上で待つ』
『解かった。怖気づいて逃げると云う事は無い様にしろよ。興が醒める』
『ハッ、それはコッチの台詞だ』



と喧嘩を売ったのがその週の水曜日。ちなみにコレ、なのははおろか誰にも知らせてない。
闇の書に関連する全ての処理が特秘事項だ。下手にばれればオレが犯人隠匿に加担した事になるからな。
誰にも知れず気付いた時には全て終わった後だった、とするのが今回の作戦の骨子だ。



で、土曜の22時過ぎ。
エクスタスを右手に、レティスとユニゾンした状態で待っていたオレの前に奴はやってきた。


「貴様があの時の下郎か」
「酷い言い様だな。まぁ、その通りオレがあの時の奴だ」
「一応、名を訊いておこうか」
「リシェイド・アーリーズ」
「アーリーズか。名も訊いた、あとは剣で応えよう。貴様の獲物を出すがいい」


「あぁ。エクスタス、オプションTypeB起動だ!!」
『了解。コード承認、Type"Blade"起動します』

TypeBはその名の通り近接戦用兵装。しかも一本の剣を振り回す為だけに開発された特殊仕様の限定装備。

エクスタス本体の"ヒダ"が折りたたまれ、シンプルな状態となり、それにかぶさる様にブレードモジュールが取り付く。
オレの両腕には篭手状のアーマーが装備されコレは瞬間的に高出力のシールドを発生させる事が可能だ。
他の装備と言えば足回りに若干の追加装甲と脚力・加速力向上用のパワーアシスト機能が追加されるぐらい、非常にシンプルな仕様だ。



「ほぉ、ソレが貴様の剣か」
「あぁ、そんじょそこらの鈍とは比較にならんぜ?ボチボチ始めようか。時間が勿体無いからな」


「そうだな、主はやても心配する。いざ・・・」
「オレも明日は朝一から仕事だ。そいじゃ・・・」



「「参る!!」」



掛け声と共にシグナムの振り落としを左脇納刀位置からの切り上げで迎撃する。

「ハァァァァァ!!」
「チィ!」
っく、なんつう威力。

押し合う力を利用して弾かれる様に間合いを取り、更に何度も切り結ぶ。

「チッ、太刀筋は悪くないな」
「ハンッ、こちとらもう10年近くキ印剣士共にフルボッコにされ続けたからな。門前の坊主の何とやら、だ!」
「成る程。ソレは恐れ入る。さぞ厳しい鍛錬だったのだろうな!」

た、鍛錬!?
冗談じゃない、アレが鍛錬であってたまるか!!
アレが鍛錬だって言うならゾクの抗争だって鍛錬じゃねーか!?

「やかましい!謂れの無い不条理暴力のみじゃ!!」
9年に渡る恭也と時々士郎さん稀に美沙斗さん混じりのフルボッコで募った、血と汗と涙と怒りと哀しみと世界への絶望を込め、この一撃を叩き込んでやる!!
「死にっさらせーーーーーッ!!!!」
エクスタスを振り上げ左上から斜めに振り下ろして切り払う!!
御神の業は会得できなかったがな、母さんの極悪な扱きと神速の攻撃から逃げる為に鍛えられて足腰だけは廃スペックなんだよ!!


「なぁ!?」
とっさにレヴァンティンで受けるもタイミングが合わず、込められた力に瞬間的に押し負けてそのまま下まで払い落とされた状態になるシグナム。

「貰ったぁ!!」
振り払った剣をそのまま振り上げ左脇に叩きつけて・・・なっ!!

「っくぅ!!」
「さ、鞘か!?」


「ぬ嘗ぁめるなぁぁぁ!!」
さ、鞘で斬撃!?


「ックソ!!」
本体じゃなけりゃ篭手で受けれる!

左腕を前に翳し、鞘での打撃を受けそのまま下がる。その間約10メートル。


「っっっうぅ!」
くそ、何で鞘でこの威力なんだ!?

「今の一撃を咄嗟に篭手で受けるとは。見上げた奴だ」
「ソレはコッチの台詞だ。さっきので仕留めたと思ったのに鞘で返すとは思わなかったぜ」

「もう良さそうだな、ならこれで仕切り直しだ!」
「ケッ、いい加減堕ちろや!!」


「「ハアあぁぁぁァァッ!!」」

更に切り結びを続け遂に突きまで混ざり始める。


「シぃーグぅナーーームッ!!」
「アーーーリィーーーズッ!!」

火花を散らし全身に傷を設けても尚剣舞は続く。


そして、最初の一撃から遂に2時間が経った。だが勝負は終わらない。
「ハァハァ。い、いい加減、倒れろ!」
「そ、ソレはコッチの台詞だ!」


「クッこのままでは埒があかないな」
「ハァハァ・・・あぁ、いい加減飽きてきたんだがそっちは如何だ?」
「そうだな、お互い倒れるまで打ち合うのも良いが・・・時間も厳しい。次の一撃で終わりとしよう。レヴァンティン、カートリッジロード!!」
『Jawohl!』
・・・カートリッジシステムか。その程度のブースト、エクスタスの前じゃ敵じゃねぇ。TypeBの真の恐ろしさ見せてやんよ!!


「いい度胸じゃねぇか、その言葉後悔すんなよ?エクスタス、バスターザンバー起動だぁ!!」
『了解。コード承認完了。バスターザンバー起動します。・・・また戦略兵装ですか?芸が無いですよ』
「ハッ、一撃で終わりだって言ってるだろ。ならソレに相応しい業で叩き潰してやらなきゃな!!」
バスターザンバーは魔力を極限まで圧縮し刀身を再形成する、純粋魔力兵装としては最強クラスだ。
刀身は消費する魔力に比べると短く、元の刀身より30センチ程伸びた程度しかない。
その代わり、圧縮された魔力はGブラスター以上の量を誇り、どんな相手だろうが一撃で下す事が可能。
元々は最悪のルートを辿り、単独で防衛プログラムを叩き潰す事を前提に開発した代物で、コレとスーパーノヴァ・カノンで消し飛ばす予定だった。

ちなみにTypeBで使える他の技は、どれも多数の敵を相手にするような小細工系でこう云う場で使う物じゃなかったりする。


閑話休題、一撃勝負にした事。後悔させてやんぜ!!



「征くぞ!!」
「来いや!!」



空白の時間。互いの息遣いだけがその空間を支配する。
殺気の篭った視線を交え『必殺』の業をぶつけるタイミングをうかがう。




何処から飛んできたのか、白い花びらが数枚、二人の間を抜けていく。そして・・・




「っ!紫電・・・一閃ッ!!」
「チッ!消し飛べえぇぇぇぇーーーー!!」





「「破亜阿ぁぁぁぁァァァァァーーーーー!!」」
刹那の均衡、それはすぐに破れ



「グッ・・・み、見事だ」
「っ・・・ハァハァ。テメェこそ、やるじゃねーか」


切り抜けた瞬間、立っていたのはリシェイドだけだった。


袈裟切りされているシグナムの胸当てと叩き折られたレヴァンティン。胸当てを貫通したのか、胸の切れ込みからは血も流れる。
対するリシェイドは右腕が焼け爛れ、エクスタスの強化外装もボロボロの状態となっていた。
『全く、スクラップになるかと思いましたよ?こう云うのは二度とやりたくないですね。それにしてもオプションユニット、ココまで壊して良いんですか?
TypeBの本体外装って他のユニット一基分以上のコストが掛かりましたよね?』


そう、肝心要であるエクスタスに被せる外装ユニットはその運用特性上、レアメタルや特殊処理を湯水の如く使って生成する為コストが非常に高くなる。
だから大技を使う場合はさっきの様に高密度の魔力を被せて保護するのだが・・・流石はシグナム、魔力じゃなくて業で切りやがった。



「っ・・・損害報告!!」
『言わなくても解かるでしょ?全損ですよ、ゼ・ン・ソ・ン!!
私の本体は一応無事ですけどオプションユニットは一から全部作り直しですね。ご愁傷様~』
「チクショウ、試合に勝って勝負に負けた!!」



500万ユーロがたった一回でゴミかよ、勘弁してくれ!!



今回チョット短め



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第十九節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/25 23:44

と、シグナム相手に死闘を繰り広げ、よりにもよって一番コストの掛かったTypeBを破壊されて凹みつつ
偶にしか使わない回復魔法でシグナム共々治癒を行う。慣れない魔法はするもんじゃないな、マジメンドイ。

コレだったらシャマルゥにでも声掛けとくべきだったか?


「・・・生きてるか?」
「・・・あぁ、こんな楽しい勝負は初めてだった。礼を言う」
「そか、オレは二度としたくないがな。本気でガチンコしたせいで使ったオプションは全損、御蔭でコッチは大赤字、マジで泣きたい」
「レヴァンティンも私も元はプログラムだからな。一旦闇の書に戻ってしまえばすぐに修復されるから問題ないが・・・生身は辛いのだな」

羨ましい奴め。おっと、そうだ。

「約束、忘れんじゃねーぞ」
「あぁ、主と話がしたかったのだな。騎士に二言は無い。仲間にも話は通しておこう」
「助かる、んじゃ俺は先に行くわ。論文仕上げなきゃいかんのでな。また連絡する」
「そうか、また会おう」


月明かりの元、オレ達はそこで分かれた。





で、その3日後。翠屋のシュークリームとショートケーキを手土産に八神家の門をくぐったのだが・・・

「なぁはやてはやて、コレ食べていいか?」
「あかんよヴィータ」
「そ、そんな・・・何でだよはやて!」
「さっき外で遊んできたやろ?先に手ぇ洗って来ぃ。そしたら食べてもええよ」
「う、うんっ!」

「はやてちゃん、紅茶の葉、何処に仕舞いましたっけ?」
「お、お願いだからシャマルは何もせんといて!!」
「ひ、ヒドイです。紅茶の一杯ぐらい、私でも淹れられます!!」
「・・・ソレ飲ませてザフィーラ死に掛けさせたんは何処の誰やった?」
「うっ・・・私です」
「なら大人しくソファーにでも座っとき。あ、向こう行くなら取り皿とフォーク運んでな」
「あ、ハイッ!」

普通に一般家庭だな。ザフィーラは・・・庭で寝てるのか、マジで犬じゃねーか。
「ん?シグナムは如何した」
「シグナムは近所の剣道教室でアルバイトしてるんよ。今日も昼から夕方までやってる筈やで?」
「ニート侍じゃなかったのか・・・いつも町をブラブラしてたから何もしてないのかと思ったが」
「ヒドイ人やね、あの子無愛想やけど結構人気あるんよ?」
「そうなのか?まぁカッコイイ系の美人だから野郎や一部の腐女子に人気があるのは分かるが」
「ふっ、それだけやない!シグナムの乳は大きさ硬さ共にかなりの出来なんや。
アレの乳を後ろ側わきの下からソッと手を通して掌で包む様に揉んだ時にはもうっ!!」

はやて~、鼻血鼻血。

「う~。つい興奮して若さが爆発してもうたわ、ハッハッハ~」

このオッパイ魔人のオッサン趣味め。噂は本当だったのか。
となるとかなりの出来であろうリニスと遭わせる訳にはいかんな。揉んだが最後、マジ切れして時間単位のお説教タイムに突入しちまう。


「で、ボチボチ本題に入りたいんだが・・・良いか?」
「あ、はい。ウチの子達についてでしたよね?」
ようやく本題に入れるな。さて、チャッチャと説明してさっさとパッチ当てすんべ。

「はやてが9歳の誕生日を迎えた日、『闇の書』が起動した事は理解しているな?」
「・・・うん、この子達が何も分からない私に色々教えてくれたんよ」
ヴィータの頭を撫でながら答えるはやて嬢。傍から見た感じだけだと普通に姉と妹だな。

「んじゃ、『闇の書』が病気に弱くって、既に色々感染してるってのは?」

「「「えっ!?」」」

ま、知らんで当然だわな。

「レティス、出て来い」
『了解しました』

エクスタス内部に格納状態だったレティスを呼び出し具現化させる。
自分等と如何タイプの存在が居るとは思わなかったのか、ヴォルケンリッターの面々の驚き様と言ったらすごかった。
「ウホッ、いい乳!」
「そこ、脱線しない」
「ウッ、スンマセン。つい本能が」


「ったく、話を続けるぞ。レティスは見ての通り、お宅のヴォルケンリッター、いや『闇の書』の管制プログラムとかなり近い存在だ」

「そ、ソレは本当なんですか!?」
「あぁ。と言うか、コイツを開発する際に元にしたのが『闇の書』、いや本名『夜天の書』の、RC版のソースコードだ。
だからオレはお前達以上に夜天の書について知ってるし、今どれだけヤバい事になってるのかも分かってるつもりだ」

「そ、そんな事って」
「う、嘘だ。そんな事あってたまるか!私らが一番理解してるんだ!!『闇の書』は別に何処もおかしくない!!」

「『闇の書』言うな。それにお前さん方がそう感じるのは、そういう風に認識する様データが流れているからだ。
ついでにブッチャケるとお前たち守護騎士システムすら夜天の書の初期バージョンには組み込まれていない。
元々は術式収集とエミュレーションを行うだけのユニゾンデバイスに過ぎなかったのが拡張・肥大化して今の形になっただけだ」

ヴィータとシャマルは呆然、流石にショックだったか。はやて嬢にいたっては途中から理解出来ないからか聞いてすらいないし。

「そ、それで貴方は何をしたいんですか?」



「何、大した事じゃない。その問題点を修正する為のバグフィックス用パッチデータを当てたい、それだけだ」



「「「へ?」」」



「オレだってエンジニアの端くれ、直せる物なら直したいのが心情だ。ついでに言っとくと『夜天の書』はレティスのお姉さんに当たる。
コイツの姉妹を助けるのはコイツのパートナーであるオレの務めといえる。あぁそうだ『夜天の書』を直せばはやての足も治るぞ」


「ふぇ?」
「どういう、事です?」


「お前らもジキに気付いたとは思うが、『闇の書』状態の今、リンカーコアの蒐集が行われないとコイツは主のリンカーコアを蝕む。
はやての足が悪いのはかなり幼い頃から『闇の書』が主としてはやてに引っ付いていたからだ」

「じ、じゃぁ私の足はまた歩ける様になるん?」
「あぁ。『闇の書』の修正が終わって本来のあるべき姿になり、システムの再起動を行えばお前さんのコアへの負担は無くなる。
そうなれば後はリハビリ次第ですぐにでも歩けるようになる筈だ。
ソレにまだ見ぬ書の管制ユニットとも会える様になるだろう。楽しみにしとけよ、レティスのお姉さんだからな、スタイルはかなり良い筈だぞ?」

「ほ、ホンマですね!?あとで嘘だったとか言わんといてくださいよ!?」
「安心しろはやて、もし嘘だったらわたしがアイゼンでコイツをぶっ潰してやる」
「はやてちゃんを泣かしたら承知しませんからね!?」

良い家族だ。失うには惜しいし、影を背負わせるにその背は小さすぎる。さて、気張るべ!

「んじゃ、ボチボチ作業をさせてもらう。解析する部分もあるからちと時間は掛かるが一週間もあれば終わる筈だ。
その間、何度か出入りする事になるがソレについて何か問題ないか?」
「あ、スペアキー渡しときます。大抵はウチに居ますけど買い物行ってたら鍵掛けちゃってますんで」
「了解だ。普段家に居るってのも都合が良い、はやてにはちょっと手伝ってもらう必要があるからな。
あぁ、そうだ。オレは時々翠屋にも顔出してるから、もしそこで会う事があったら何かおごってやるぞ?」
「ほ、ホントか?」
「なんだ、騎士の癖に食い物に釣られるのか?」
「ハッ・・・違う!!そ、そんな事は」
「ヴィータ、翠屋のケーキはどれも大好きやもんね。さっきもリシェイドさんの持って来たの見て大喜びやったし」


「翠屋翠屋・・・あぁ!!そういえば前にウェイターしてませんでした!?」
「ようやく気付いたか。昔からあそこの家とは懇意にしててな。翠屋の開店資金もオレが出資したから、ソレもあって割引が利くんだ。
そうだな、シュークリームなら5個買えるお金で6個買えるぞ。如何だ恐れ入ったか」


「な、何だと!?こいつデキる!はやて、気をつけないとヤバイ!!」
「ヴィータちゃん・・・シリアスぶっても今の流れ見てる人には食いしん坊万歳、お馬鹿さんにしか見えませんよ?」
「シャマルの言う通りや。それに食べすぎは体にアカンよ。でもリシェイドさんすごいなぁ。何でそんな何でもできるん?」

「何、オレが人よりチョット凄くて、その上で死ぬほど努力しただけさ」
頭の中身は思いっきりチートだがな。



「・・・さて、おまいさんが『夜天の書』の本体だな」
『・・・』
ふむ、返答なし。蒐集されてないから魔力量が足りんのか?
それにしても、システムがブラックボックスタイプじゃなくて助かった、解析用プログラムがサクサク通るから苦も無くバグ領域が確定できる。
AMF下なら防衛システムも運用出来んだろうし、とりあえずオレの前では脅威にならない。
グレアム一派に知られてアクション仕掛けられる前に全て終わらせなければいかんからココからは時間との勝負だな。

「エクスタス」
『なんでしょうか?』
「『夜天の書』にバイパス一本供給してやんな。魔力充填が規定値超えたらAMFを高濃度展開して反応を抑制、クラッキング仕掛けんぞ」
『コレはまた大仕事ですね~』
「お前な、そこまで廃スペックにしている理由、まさか忘れてんじゃないだろうな?」
『いえいえ、ただめんどくさいな~なんて思っちゃったり、えへっ?』

「で、私はどないすればよろしいんでしょうか?」
「おぉ、スマンスマン。ちぃとジッとしてろ、すぐに管理者様の出番は来るから」
「管理者?」
システム関連はズブの素人だもんな。何をしようとしてるか解からんのは仕方ないか。

「『闇の書』ってのは起動する為には本来リンカーコアを蒐集し全666ページ分の魔力コードを埋める必要がある。コレは聞いた事がある筈だ」
「はぁ。確かに初めてあの子らと会った時そんな話を聞いた気が」
「コレに関してはエクスタスを利用して実態の無い仮想データを送る事で解決が可能だ」
「仮装?コスプレでもしはるんです?リシェイドさんは何でも似合いそうですけど」
「そっちじゃなくて思い浮かべ造る方の想像だ。んで、擬似データで起動可能レベルまで上げた段階で
周囲に特殊なフィールドを張って活動出来なくする。ココからがはやての出番となる」
「それで、私は一体何をすれば」
「何、管理者権限の認証を一度通して欲しいだけだ。普通なら溢れんばかりの暴走した魔力とヤバイ程の異常現象、
ついでに管理者本人は吸い込んじまうなんてヒデェ事をしくさりやがるんだが、その手のアクションはフィールドで抑える事が出来る。
押さえている間管理者コードを通して内部へのアクセスパスを構築しちまえば後はエクスタスの廃スペックで無理やりクラッキングする事が可能だ」
「ちょっと難しいんですけど・・・もうちょっと解かりやすくなりません?」
ふむ、何かに例えた方がいいか。


「んじゃ解かりやすく説明してやっからイメージしろ、まず自分の家があってその家は電子ロック。
一階にはキ印が居座ってる。雰囲気的にはこんな感じだ」
「あ~、なんとなくわかります」
「で、どうにかして家を取りもどしたい、コレが今のオレ達だ」
「なるほど。そりゃそうですわ」
「とりあえず中に入るには入り口を超えなきゃいけない訳だが、本来なら鍵は主しか空けられないんだがキ印はそれをすり抜けたらしい。
ご丁寧に誰かが家に入るとそれを知らせる様にブザーまでつけやがった。立て篭りって事もあって家の電気は切られてるから勿論入り口の鍵はどうしようもない。
今から入ろうとしてるオレは差し詰め警察か警備員て所なんだが、鍵は開けられない。
入り口の鍵は電線繋ぎ直して主呼んでくれば問題ないんだが、ここでも問題がある。
キ印は何を考えているのか余所者が突入しようとすると主を攫って来て家の中へ放り込んじまう。無論ココでブザーは鳴っちまう。
更に問題があって、ブザーがなった途端キ印が外に飛び出て大暴れ。電線は切られて出れなくなるし家ごと吹っ飛んじまうと云うオマケつき。
で、キ印の行動に関してはコッチでどうにか対処をしたからあとは主が入り口さえ開ければ後は如何とでもできるという訳だ」
「そか、家の主は私で、家の中がシステムなんよね。で、私は入り口を開ける仕事をすればエエと」
「ま、必要なやり取りは全部オレが引き受けるんだがな。一度開けちまえば後はキ印が飛び出る前に特殊部隊の突入して終わりだ」



『マスター、まもなく『闇の書』の魔力量が定格になります』
「うっし、AMF最大出力で展開。この部屋を5重に隔離結界で覆え。外にはばれない様にしろ」
『了解。結界展開開始。AMF最大出力、AMCS正常に作動。・・・『闇の書』魔力魔力量定格に到達!はやてちゃん、今!!』
「書に触れてみ。それで認証が通ってカーネルのインターフェースが表に出てくる。そこまで行けば後はオレの仕事だ」
「あ、ハイッ!!」

はやての手が起動レベルに達している『闇の書』に触れた瞬間、眩い光が部屋を包み込んだ。
『所有者接続確認。管制システムとのリンク正常に完了。防衛システムの方は私がエミュレーションデータで誤魔化します』
「コレで管理者権限が有効になるな」
本編では起動した瞬間はやてを中に取り込んでしまったがココではそうはならなかった。
『AMFに反応、中のキャプチャーシステムがはやてちゃんを引きずり込もうとしてますね、まぁこの程度の魔力量なら楽勝でキャンセルです』
AMFによる魔力動作抑制によって全ての行動がキャンセルされたのだ。

「い、今見えたのって・・・」
「意識下にイメージを投げたか。多分それが書の管制プログラムだな。感想は?」
「・・・レティスちゃんのほうが背も高くってスタイル良かった気がしました。胸の弾力は未知数です」

そっちか!?

『『闇の書』全システム内の各プログラム動作を開始しています』
「システム中枢への経路は確保できたな?」
『もちろん、バッチリです』
「よっしゃ、とりあえず活動用の魔力を奪いつつ、システムを無力化していこう」
『了解、魔力供給ライン閉鎖、周囲のAMF濃度は高いままを維持します』



以下、バグフィックス作業をダイジェストでお送りします。


『セキュリティ突破完了、管理者権限のハックに成功しました。各プログラムを強制でスリープモードに移行させます』
「予想通り紙切れだったな」
『えぇ、最後にマスターが引っかかりかけた"理想に溺れて溺死"トラップはやばかったですが』
「・・・やかましい、アレは如何見ても踏むなと張り紙して道路の真ん中にあるバナナの皮と同じだ、踏むのはお約束なんだよ!!」
本編でフェイトに見せてた幻覚を処理してるプログラム、気になったんだよう。
『それにしても防衛プログラム、本当役立たずですね。今回ので問答無用に切り離しですけど』
「何を基準に何を防衛してるのか全く分からん。認証の方もコッチのエミュレータで誤魔化せたし無駄が多すぎる」
『と言うよりクラッキングの類に脆弱って言う時点で存在する価値が無いと思います』
「外的・物理的要因に対して某エロゲの『守護者』並に役立たずな反応示すしな。何でも破壊ってのは馬鹿のする事だ」
『デビル○ンダム張りの自己修復機能と複数脅威に対する同時対応能力には頭が上がらないですけどね。
管制人格とは別にココまでリソースを割り振れるのにはまさに脅威のメカニズムって感じです』
「安心しろ。将来的にはお前もコレクラスまで強化してやっから」
『・・・マッドな物は組み込まないで下さいね。出来もしないロケットパンチや自爆なんていやですよ?』


『主要システムへのクラッキングを開始。セキュリティが薄いアーカイバに進入しました。ここに各所への足場を構築しましょう』
「ん、何だこの無駄にアーカイバを占有してる無駄データは」
『ランダムでピックアップ、解析しま・・・うっわ~、コイツも何気にネタ脳搭載?』
「なもん削除だ!!」


「周辺プログラムの修復を始めんぞ」
『解析は80%程完了。守護騎士システムは殆どブラックボックスでしたね』
「予想通りといえば予想通りだ、まぁアレは外部データとのインターフェース部分を弄れば十分だと思うがな」
『アレだけの人格データを格納・処理できるのは流石古代ベルカの技術、ですか』
「この世界の名台詞を引用するとこんなのが出来る、『ベルカの技術は次元世界一』ってな」
『おお~!正に名言ですね!!』


『転生システム、チョット凶悪ですね』
「だなぁ。正常な状態でキャプチャー機能使って人の精神を書の中に転写しちまえば、このシステムと併用できればそれで擬似的に不老不死が得られるもんな」
『元は単なる冗長・修復システムですから直してしまえば如何と言う事は無いんですけどね』
「リアルタイム且つランダムで遠く離れた別の空間にアーカイブ部分以外の自分のコピーを生成してバックアップ取るなんざ正気の沙汰じゃないと思うがな」
『そうですか?リスク分散と言う意味では正しいと思いますけど』
「いや、ランダムって時点で駄目だろ」


「いよいよ管制人格だ。気ぃ引き締めんぞ」
『解析も完了しました。データ量が多すぎでオーバーフロースレスレですけどね』
「まぁなんとかなっただろ?」

"覗かないで"

『それにしても改変量が半端じゃないです』
「ん?空耳か・・・そんなに酷いのか?」
『改変内容は如何という事は無いんですけど、ココまで脆弱なまま放置されるシステムも珍しいと思いますよ。某○E並です。
おかげでこんな容易にクラッキング出来たんですけどね』
「ちょ、「できない子」とは、また酷い例えだな。どれどれ・・・歴代の所持者が如何にデバイスメンテしなかったか良く分かった。流石に頭が痛くなる」

"覗かないで下さい"

『いや~、コレ見ると私やレティスが如何に恵まれてるかよく分かります。有り難い事です』
「ブレイブハート共は完全にオレを甞めてるがな。あいつ等何かあっても修復手伝わんぞ?・・・ってナンカ聞こえたぞおい」
『だ、駄目ですよ~。ブラックボックス化してある部分が多くてその辺の人じゃ直し様が無いんですから・・・へ?あぁ、ログにも出てます!!』

"恥ずかしい、お願いだからやめて"
あ~、解かった。この小林声とくりゃ答えは一つ。


「はやて~、管制人格の対人インターフェースが出てきたぞ~」

「ほ、ホンマですか!?」
『はい、さっきから覗くなって五月蝿いんです』
「おぉ、恥ずかしい言われてもコッチは医者みたいな事やってんだからどうしようもないってーの」
"主はやて、助けてください"
「コレがこの子の声・・・その話は聞けん。病気ならさっさと治してもらわなあかん。はよ治して皆で遊ぼうや。その方がええやろ?」
"あ、主・・・"
「それにはよ出てきてもらわなあんさんの乳が揉めんさかい、私の理想郷の為にもはよ治してくれ!」
"・・・"

あ~あ、ネタに走って撃沈しやがった。


そんなこんなで5日経過。

『お、終わりました~』
「術式終了、ってか」


「リシェイドさん、おつかれさま~」
「ニャァ?何でシェイおにーちゃんがいるの!?」
「な、なんですって!?」

あれ~?なんでなのはとか来てるんですか?
「図書館で私とはやてちゃんが知り合って」
「そこからなのはちゃん達とも友達になったんよね」

あ~、OK。本編と同じ流れね。タイミングだけずれ込んだ、と。


「で、何でアンタがこんないたいけな女の子のウチに進入してんのよ」
言うしか、無いか?

「う~ん、コレはリニスに報告かな?」
「そうなるとまた嫌われちゃいますね、リシェイドさん」
・・・勘弁してくれ。毎回毎回弁解するのはもうイヤだ。


「・・・私もチョット知りたいな。シェイおにーちゃん、ちょっとお話しよっか」
ク、クロイオーラ・・・ガクガクブルブル


「え、えっと・・・ハイ、スミマセン。全部白状します」
結局全員にばらす事になっちまったい。




「それじゃあ、はやてちゃんが歩けなかったのは」
「おぉ、何の因果か何処からともなくやってきたそのデバイスが原因だ」

「それで、ココ一週間アンタがコソコソ動いてたのは」
「ソレを直す技術をオレが持ってたからだ」

「リシェイドは何で私達に話さなかったの?ママやクレアさんにも手伝ってもらえばよかったのに」
「・・・このデバイスはチト訳ありでな。他の人に知られる訳にはいかんのだ」

「・・・リシェイドさん」
「ん?何だフェイト、お前も何かあるのか?」
「犯罪行為は駄目ですよ?」
「お前が言うな。ソレに安心しろ、コイツ自身はまだ法に触れていない」


「私も訊きたい事がある」
清水声にふっとリビングのドアを見る。
「お、シグナムか。どした?」

「何、この間の一騎打ちの時の話だ」
いまさら何訊く気だ?野暮ったい事は言うなよ?
「で?」
「あぁ。アーリーズ、貴様はそれだけの魔導師としての能力があるのに、何故不慣れな近接戦で私に挑んできた?
魔導師戦に持ち込めば私など一瞬で叩き伏せれた筈だ」

ソレぐらい察しろよ。
「馬鹿か?お前」
「んなっ!?馬鹿とはなんだ馬鹿とは!」
「こんな得体の知れないニーチャンがイキナリ「主のデバイスが壊れてるから直させろ」だなんて言いに来て、お前はソレを信じられるか?」
「むうっ・・・確かにそうだな」
「お前は根っからの剣士だ。でもってオレも何だかんだで9年の間、剣を齧った。ならこんなオレ達が腹割って話すには剣に想いを乗せるのが一番だろ?
『口で語るな、剣で語れ』って奴だな。第一、魔導師戦になったら問答無用の殲滅戦になって無粋だろうが。
オレからすればその方が楽なんだが今回ばかりはそっちが納得しない事には話は進まんからな。それに騎士全員との全面戦争はやりたくない。
だからあえてそっちの土俵で戦う事にしたんだよ。まぁ慣れない身体能力のみでの近接戦をするはめになって、更にお前さんの炎熱変換能力を見誤った為に腕は大やけど。
これは勝負に熱中してシールドの展開を忘れてたオレの自業自得。ついでに加熱状態で掛かった物理負荷に耐えれずオプションユニットも全損になっちまった。
元々物理耐久性は望んでなかったからな。オリジナルの部品なら耐えれたんだろうがそれはSOOに・・・コレは今更か。以上、説明終わり!」



「成る程な、それにしても殊勝な奴、まぁそういう所は嫌いではないぞ?」
「やかましい、」



「・・・シェイおにーちゃんにそんな甲斐性があるとは思わなかった」
「意外ね。いつもなら何でも『メンドい』で片付けるくせに・・・」
「多分アレだよ。シグナムと気が合うと言うか、もうデキてたりして?」



「「「「「「「な、何だって~~!?」」」」」」」



「いや、ソレは無いと思うよ、お姉ちゃん。リシェイドさんってヘタレだから」
「そうかなぁ、アイツ渋チンに見えるけど実はムッツリスケベでしたって感じじゃない?
シグナムってスタイルもルックスも良いし背もソコソコ高くてリシェイドと並べると丁度良い按排だと思うな。ソレにヘタレは関係ないと思うよ?」

普段は散々オレに集るくせによくそんな事言えるな、オイ。
「・・・そんな根も葉もないヒドイ事を言うアリシアとフェイトにはもうケーキ奢らん」
「わっ、嘘ですゴメンナサイ!!」
「うぅ、スミマセン。調子に乗りました!」
「ならそういう事は言わないように。いいな」

「「はーい、いごきををつけまーす」」
ぼ、棒読み・・・こいつ等反省してねぇな。



「ねぇシグナムさん、ちょ~っと二人っきりでお話しよっか、ほらっ逝くよ!!」
「た、高町!?何だその黒い波動は!『いく』の字がおかしいぞ!!や、やmくぁW背DRFTGYふじこLP;・・・」

数時間後、ボロ雑巾のようになったシグナムを引きずって戻ってきたなのはの顔は恐ろしいほどにスッキリしていた。頬に赤い点が着いていたが無視無視。

「し、白い悪魔・・・」
シグナムさんや、ちゃんと葬ってやっから祟らんといてな?



おっかしいな~。StSネタかますような教育をした覚えは無いんだけど。






改定しますた。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/26 11:33

さて、97世界内最大の問題であった『闇の書』の修復作業も無事完了。
とりあえずはやての魔導師・騎士としての教育を進めつつ、『夜天の書』のシステム最適化をチマチマとバッチ処理。
8月末には完全に復旧が完了して、管理者権限からシステムのリネームを行う事になるだろう。

はやての勉強については7月中はなのはやフェイト、オレがメインとなり、8月以降は母さんやプレシア女史が状況を見つつ行う事になる。
本編とは比較にならない学習環境とモアベターなイベントの消化となったが、
どうも首の後ろがチリチリとプレッシャーが掛かるかのごとく疼いている。
流石にいやな感じが強く、相手が見えないから後手に回らざるを得ない。が、まぁ何とかなるだろう。その辺は適当で無問題。



「・・・量が多い」
『この世界の数値換算で2ペタバイトもありますから、まぁ大半は画像とソースコードですからね。
ニュース映像とその辺のPG100人が書くコードが一年分溜まってるのとオマケ程度ですよ?』
「私やエクスタスもお手伝いしていますし、悲観的にはならないで下さいね、マスター」
「別に量が多いのは問題じゃない。こんな物マルチタスクでガンガン処理すれば良いだけだ。
それよりもオレ個人には一切メリットが無いのに馬鹿みたいに時間がかかるってのがチョッチ気に食わないだけだ」
「『ソレは諦めましょうね』」


ええぃ、クソッタレ!


ん?イライラしながら何してるかって?
レティスを開発する時に集めた資料を整理してるんだよ。オレはどっちかって言うとモグリの科学者、こんな物専門外ジャイ。
で何でまたそんな事をやってるかと言えば、前に『夜天の書』のパッチデータを作る際に適当に流し見してたんだが、
思いのほか考古学系資料が多く混じっている事がわかった。歴代の『夜天の書』の所有者の中にはベルカの王族や何処ぞの領主なんてのもいて、
その領主にまつわる記述ってのは学術的価値が高い。何せ一度は衰退し廃退した文化だからな、記録の漏れも多い。
聖王教会のデータベースも一度覗いてみたが結構穴抜けが多く、過去の歴代聖王全ての名前の把握も出来ていない有様だった。
地球のエジプト文明みたく壁画の名鑑でもありゃ良かったんだろうけど、あそこまで律儀に残していなかったらしい。
一応かなりの文明だった訳だしな。どこかに残るだろうとたかをくくったがアッサリと喪失しちまったって訳だ。
多分本編じゃ二期から三期の間でユーノがコレをやったんだろうがココじゃ既に俺が全部抑えてる。更に出番潰しちまったか。


んでまぁえっちらほっちら頑張っていたんだけれども、その資料を見てるうちにどうも頭が痛くなってきた。
なんせ傀儡兵のデザインがどこかで見たことある物ばかりなんだよな。
『如何見てもXeonです。本当にあ(ry』
「地の文に注釈つけんな」
『でも本当に似てますね。どちらかと言えばネタよりノーマル側の私でも気付いて笑っちゃいましたからね』
「ミッド側も見覚えのあるデザインですよね」
・・・如何見てもティターン○と○導団です。ほんとうにあ(ry


そうか、さしずめ本編一期のなのははR○-78、二期開始時で○X-178にモデルチェンジされていて、更にカートリッジが着いて一足飛びにMS○-010。
なら三期はRX-93か、○ァンネル付いてるしぴったんこカンカンじゃねーか。
あ、そっか。ならアースラチームはまんまガン○ムチームで機動六課はロン○ベルなんだな。って、アースラのデザインてまんまアー○マじゃんよ。


・・・スタッフ、ネタ走りすぎ。


『それにしても何でこんなのまとめる気になったんですか?』
「交渉のネタにしようと思ってな」
「交渉、ですか?一体何処と・・・」
「こんなもん欲しがるのは一箇所しかないだろ。教会だよ教会、聖・王・教・会!!」
「『聖王教会!?』」
「あぁ、手持ちの資料ひっくるめてくれてやる代わりに『夜天の書』の保護を依頼しようと思ってな」
『保護って・・・だって問題は解決したんじゃなかったんです?マスター自身が色々やったじゃないですか』

う~む、意外と頭の廻りが悪いな。改修時はこの辺りを念入りにやってやるか?

「ったく。いくら危険性が皆無になっても、アレが『闇の書』と云う名前でS級ロストロギアとして認定されているのには変わらんだろうが」
「言われてみれば・・・」
「ブッチャケ言えばオレがレティスを作った時点であんな物別にロストロギアでくくる必要性も無くなってるし
パッチ当てた時点でその辺のオークションで出品可能なレベルにはなってはいるが、ありのままを管理局に教えるわけにもいかんだろ。
と言うかレティスの事がばれるのは拙すぎる。エクスタスとセットのお前達の存在は、下手すりゃ管理局のあり方そのものが変わる。
となれば確実に危険分子としてマークされて、最悪永久封印すらありえるんだ、そんなの嫌だろ?」
『当然です。何でそんな連中に付き合って自分の一生を棒に振らなきゃいけないんですか?』
「マスターの傍に着いてフォローするのが私の役目ですからね。そうなると役目も果たせないので困ります」

自分達の存在意義を否定されるってのはキツイわなぁ・・・。
それにもしお前達のデータが管理局経由でスの字に渡ったらこの先どうなるか見当もつかん。それだけは絶対避けなきゃな。

「だから聖王教会の上層部へ交渉材料持って直接駆け込むんだよ。
幸い、古代ベルカの資料は膨大な量が確保できているし、レティスを造る時にオレがシコシコ造った古代ベルカ式システムのSDKもある。
奴らには喉から手が出るほど欲しい筈の貴重なデータだ。コレと引き換えに『夜天の書』をベルカの歴史遺産として保護認定してもらう。
そうすれば大手を振って公に所持する事も可能になる筈。とまぁこんな事を企んでるって訳、OK?」


とまぁ、こんな感じでヒィヒィと言いながら毎日データと格闘してると言う訳。
資料の完成目標は7月末、なのは達と現地へ飛ぶつもりだ。




「んじゃ、おやすみなさい」
「ゴメンね、リシェイド君。急にヘルプしてもらっちゃって」
「あぁ、今日は完全にオフなんで問題ないです。バイト代替わりにこのケーキとか貰ってきますけど、良いんです?明らかに自給計算より多いですよ?」
「いいのいいの、どうせ衛生何とかで捨てなきゃいけないんだもの。タダで出回っても誰かの口を楽しませた方がよっぽど良いわ」


順調にデータの整理が進んで無事完了したのが7月も第4週の終わり。
その週の日曜の夜、夕方に顔を出した翠屋で掴まってそのままウェイターをする事になり、気付くと既に夜の8時を回っていた。

大量のケーキを手に商店街をフラフラと歩き家へと向かう。
「途中で八神家に半分ぐらい分けてやるか?」
そんな事を思いつつ、気を緩めて歩いていたその時


「っ!?」
け、結界!?
完全にオフだと決め込んでレティスはおろかエクスタスすら身に着けずうろついたのが仇となってしまったか。


「おまえ、たしかリシェイドだったね」
・・・この声、何処かで
「闇の書に一体何をしたんだ?」
オイオイ、冗談じゃないぞ。


「ギル・グレアムの使い魔共か。テメェ等何のつもりだ?管理局員が民間人相手にこんな事しやがって」

「それはコッチの台詞だ」
「6月に検出した闇の書の魔力が今月の半ばから急に途切れた」

・・・やっぱり観測してやがったか。

「おかしいと思って見に来て確認したけど守護騎士はちゃんと起動してた」
「なのに本体の魔力反応だけが忽然と消えてる。調べてみたらあんたが同じ頃から八神家を出入りする様になったってわかってさ」

バレたか。
「それが如何した。あそこはオレも出資して時々ウェイターまでやってる翠屋のお得意さんだ。ケーキ届けて何が悪い」
ジリジリと下がり、少しでも結界の際に移れるようにする。壁まで行けば非常用の使い捨てストレージでも何とかなる、戦闘は不可能だが。

「ケーキだけなら私らも動かない」
「でも、アンタの魔力反応が其処で出てるとわかった今、あんたをそのままにはしておけないんだよ」



「「父様の計画の為にもアンタにはココで消えてもらう!!」」





チクショウ!!




なのはSide

「っ、あれ?」
『如何したマスター』
それは何かの予感だったのか、確かに誰かの悔しそうな声が頭に響きました。
「ううん、なんでもない、それより今の術式って如何思う?」
『リソース消費量は相変わらず限界レベルの低燃費さを保ってる。だが射程が短いのではないか?』
『それより圧縮率が高すぎる気もするぞ、私の方で運用するなら良いかもしれんが射撃でアレは細すぎる』

何時もの様にブレイブハートやソードオブオースを交えての研究会。
この子達はシェイおにーちゃんの肝いりで作られた超高性能機。
前にリニスさんに見てもらった時は、その場で呆然としちゃって10分ぐらい帰って来なかった程でした。

「"っ、なのは!"」
レティスおねーちゃん?

「如何したのこんな時間に、何かあったの?」
「"き、緊急事態です!マスターとのリンクが切れました!!"」

う、うそ・・・。

「じょ、冗談だよね?だって二人のリンクって結界の数枚ぐらいは簡単に抜けるって」
「"だから緊急事態なんです!現在、エクスタスのサーチにも引っかかっていません。翠屋を出る所までは追いかけていましたが商店街へ入った途端忽然と・・・"」

何か、何かあったんだ。

「レティスおねーちゃん、消えた場所へ行こう!」
「"そうですね、私もエクスタスと共に向かいます。現地で落ち合いましょう"」

「二人とも、行くよ!!」
『『ガッテン!!』』





リシェイドSide

っく、流石に生身のままじゃキツイ。せめて木刀でもあればよかったが、・・・そうも言ってられんか。

「ほらほら、手がお留守だよ!!」
「ザケンなボケ!」
リーゼロッテが繰り出した右腕の打撃を受け流しながらそのまま関節を取りひねり上げようと体を捌く。
「なぁ!?」
「けっ、さっさと折れろや!!」

勢いのままに全体重をかけて地面へ叩きつけようとしたその瞬間
「隙だらけだよ」
「ックソ!!」
リーゼアリアの砲撃でそれを防がれる。似たような攻防を何度繰り返したか・・・。

「ハァハァ、いい加減諦めろ!!」

「どの口が訊いてるんだそんな事、私らの方がこの場じゃ上なんだ!」
「そっちこそ観念して楽になりなさい」

く、このままじゃジリ貧だ。なら一か八か!!


「それはコッチの台詞だ、テメェこそ叩き潰してやる!!」
斜め上から繰り出された回し蹴りを合気の要領で軽く往なしてそのまま放置、アリアとの間合いを一気に詰めて勝負を仕掛ける!
「な!?」
「とりあえず寝てろぉ!!」
貧弱なリンカーコアからひねり出した魔力を右手に集め、中に浮かぶアリアの腹をぶん殴っ、消えた!?くそ幻影か!!


「残念賞。お・や・す・み」


その言葉を耳元でささやかれた後、強い衝撃を受けてオレはそのままブラックアウトした。





なのはSide


商店街の真ん中にあった出所不明の結界。SOOで切り払い、突入したその先には


『「ま、ま、ま、マスターーーーーーーーーーーー!!!!!!」』


ボロボロで血だらけになって倒れていたシェイおにーちゃんと『敵』がいました。

「シェイおにーちゃん・・・な、なんで?」


「ちっ、民間人に見られた!?」
「やばいよ。このままじゃ父様に迷惑が」

ゆるさない。

「「結界!?」」

許さない、許さない。

『結界最大出力で展開完了。このボケ共、絶対に逃がしはしませんよ』
「マスターに怪我させた報い。100万倍にして返させて頂きます」


「何なんだよあんたらは!?」


「どんな理由があったとしても、貴方達は絶対に許さない!みんな、征くよ!!」

「『『『応っ!!!!』』』」




"コード承認、StSシステム起動"



シェイおにーちゃんにもらったブレイブハート達の反応が急に変化、何が・・・。
『コード確認。なのは、レティスとユニゾンしましょう』
「StSシステムはなのはの為に用意された、マスターが作ったデバイス全てが同期する最強のコード。
貴方の『敵と戦う』という感情の昂りがあるラインを超えたその時、このコードは発動します。ソレが今です、さぁ!!」

シェイおにーちゃん・・・ありがとう。

「うん。ヨロシク、レティスおねーちゃん」
「では、いきます!」

「「ユニゾン・スタート!!」」


初めてのシンクロ、レティスおねーちゃんのコードが私のコアの中で展開され、私のバリアジャケットや体を再構成していく。
何ともいえない暖かい感じと力強く溢れる魔力。

『なのは、現在シンクロ率150%、身体側が少し私に引っ張られてます。気をつけて』
「"うん、了解"」




「あ、あぁ・・・」
「じょ、冗談、でしょ?」




自分の感覚では何時ものバリアジャケットだけど、スカートが伸びたのか腰がちょっと重たく感じる。
背も伸びたらしく何時もより視線が高い。重心が若干胸よりらしい。身体的に引っ張られたってこう云う事かな?

背中には2対の大きな光の翼と大きな砲門。
腰の両側にはソードオブオースが下げられ左の下腕部には二周りほど小さくなったエクスタスがラッキング。
右手のブレイブハートは持ち手が無くなった状態のバスターモードに色々と細かい物が付いて半分に割れ、SOOの下側にラッキングされた状態に。

胸や脚周りにも追加の装甲がつき、ソレには足場形成や加速用のルーチンが専用で組まれているのもわかりました。

後で知りましたが、この時の私の魔力は待機時で650万、戦闘中にいたっては常時2000万オーバーだったそうです。




「永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術、高町なのは・・・征きます!!」










リシェイドSide

っ、一体・・・ハッ!!
意識を取り戻した瞬間、目に入ってきた物、それは

白い冥王

その人でした



・・・じゃねぇ!なんでなのはが本編三期のエクシードモードの格好なんだよ!!っていうか何でデリートした筈のStSコードが動いてんだよおい!!


今、なのはが全身に纏ってるのはオプションユニットのオリジナルパーツの残滓。
コンセプト「ヴィクトリー」の名の元、ネタ街道大爆走の結果がアレなんだが・・・


如何見てもV○ABです。ほんとうにあ(ry・・・


肩からせり出てるのはビーム砲ではなくAAクラス縮退魔力弾投射機で、
バックパックの光の翼は単なる魔力の吐出しじゃなくって、超高励起状態の魔力素子を自然魔力素子の波長に合わせて放出し、
それぞれが反応した物の残滓がああいった風に見えているに過ぎない。
見栄え最優先で作った、膨大な魔力を発揮できるデバイス群だからこその推進システムなんだが、
偶然生まれた負荷効果で、もし残滓に触れると下手な魔力刃も真っ青な切れ味と概念破壊能力による魔力によるリカバリが出来ないと云う恐ろしい事を味わうだろう。

ちなみにブレイブハートなのだが、実はバックアップ用にもう一機分のパーツをフレーム内に内装してて、
このモードの時のみ内装してるパーツを表に出してアクティブに出来る。
結果は言わなくても解かるだろう、如何見てもV.S.B.R・・・。相手の魔力波形とリンクしてシールドぶち抜く位は朝飯前、リンカーコアごと破壊しますよ?

SOOはパッと見では特に変化無いが、変わりにエクスタスのラインを一本に付き2ラインもらうという○チガイ振り。
オリジナルのTypeBの刀身は今オレが付けてる物と比較して総合的に2倍近い性能の差が出ちまう程なのだ。
そんなパーツが惜しげもなく投入されたSOOはスペック的には一番凶悪だったりする。なのはの腕と今の状態なら軽く振って空間ごと切る事すら可能だと思う。

なのは本人はレティスとユニゾンしたせいで本編エクシードモードすら屁にも思わぬ凶悪スペック(身体的に)に進化しちまってるし、こりゃ本家冥王も真っ青だな。
理想的と言わんばかりにボンキュッボンな3サイズと、背はレティスのデータをそのまま引継ぎ。
肉付きからして筋肉等は御神の剣士として理想な形になっているのだろう。今の状態で恭也や美沙斗さんとガチしてどっちが勝つか見てみたい。


その前に士郎さんと美由希が撃沈するか、娘の成長に対する興奮と(主に3サイズに対する)コンプレックスに近い鬱で。
御神、不破の血はペッタンコにするって話だもんな~。なのはや桃子さんの血で例外となっちまったって訳か。




・・・ぬこよ、貴様らは嫌いではなかったが、貴様らの父様がいけなかったのだよ、はっはっはっはっは・・・はぁ。




以下、最終兵器なのは様対ぬこをダイジェストで・・・。

「ば、バインドが利かないの!?」
エクスタスの処理能力嘗めんなよ?・・・あ、クラックして反した、ついでに縮退弾のオマケつき。

「あ、あたしの動体視力で認識できないだと!?」
・・・スンマセン、なのはさん知らない間に神速出来る様になってたみたいッス。お、綺麗な薙旋。流石士郎さんの娘で恭也の妹。

「ハァハァ・・・な、何なんだよこのスフィアの数は!?」
あ~200は超えてると思うよ?全部ガンスフィアだけど。げ、ブレイブハートのシールド貫通砲撃のオマケとリフレクタ追加しやがった。

「じ、冗談でしょ!?一体何なんなのそのバカ魔力は!!」
・・・俺を差し置いて対人戦初なスーパーノヴァ撃つんか。いや別に構わんけど貫通しちまう結界の先に、飛行機いないの確認せいよ?
ん?ターゲットはフルボッコの上ケージ5重でガチガチだから外し様が無いってさ。ストラグルバインドのオマケつき。
闇の書の防衛プログラムなんざマジで敵じゃねーな。こんなのド素人の八神家が見たらガグブルっちまう。


極大の閃光と共にぬこ二匹はズタボロ、使い古した雑巾同様となって地面に落ちた。
無論気絶、と言うかアレ喰らってまだ意識あったらそれはソレでやばいと思う。後で感想聞きたいが・・・やめとこ、とりあえず分縛っておくべ。

魔力ダメだけなら死なないってのがコレで証明された訳だが・・・インフレの頂点目指すかの如く8500万も魔力こめてんじゃねーよ。周辺空間への影響考えてないだろ。

さて寝てる間に額に『肉』でも・・・いや『萌』、『猫』もいいな。油性マジックは何処いった~。






本日の教訓、なのはが切れたらマジやばい。やばいなんてレベルじゃない。モアちゃんだって撃ち落とし!!





NGパート
「永全不動八門一『猫共、魔力の貯蔵は十分か?』派ぁ!?」

・・・お願いだからネタに奔らないで。それに台詞も被ってるYO!!




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十一節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/27 01:23

「キャー、彼方、見て見て!!」
「なっ、なのは、こんなに大きくなって。・・・と、父さんは、父さんは嬉しいぞ!!」
「負けた、なのはに負けた・・・胸の大きさもも腰の細さも業のキレも全部・・・なのはに負けた・・・料理も勝てないのに・・・うぅ」
「如何したんだ忍、そんなに興奮して」
「何言ってるのよ恭也!あのなのはちゃんの勇姿を見て何とも思わないの!?浪漫満載じゃないのよアレ!!
こうしちゃいられないわ、早くアレを完成させなきゃ・・・」
「し、忍お嬢様、お願いですから仕事に差し障るような事は止めてくださいね」
「はわわわわ~、また弄られちゃいますよ~」

ただ今、昨日深夜に起きた『神』降臨の録画データを流してます。高町家のリビングはマジカオス。一部不謹慎な言葉も含まれてた気がするけどスルー。

「なのはってあんなに強かったの?」
「なのはちゃん、容赦無しだね」
一般人な二人は完璧に他人事。まさか隣に座ってる同い年の娘が旧神すら避けて通りそうな存在とは考えもしないだろう。

「わ、私、前になのはに喧嘩売っちゃったんだよね・・・。コレ見ちゃうと今ココにいるのが嘘に思えてく・・・あっ?」
「っ!!ふ、フェイトシッカリ!気を確かにっ!!」
フェイト気絶。なのはのリミットブレイクは凶悪すぎだと改めて実感。アルフが介護に付きっ切り。

「ねぇねぇリニス、頑張れば私もアレ出来るかなぁ?」
「・・・アリシア、人には超えてはいけない壁があるんです。先ずはソレを理解しましょうね」
リニスの返答に首をかしげるアリシアの姿。あんなの二人も三人もいらないッス。・・・10人いれば管理局も殲滅出来そうだけどな。

「あのなのはちゃんすごいなぁ・・・ちょっとでエエから揉めへんかなぁ」
『あ、主はやて、彼女へのソレは少し考えた方が・・・』
「あ、あの時の仕打ちが子供だましなのか・・・高町、貴様一体何者なんだ?」
『超越者?』
「なぁアイゼン、お前アレに勝てると思うか?」
『無理ッス』
「あの厚さの結界も、5重のケージも、全て問答無用の減衰無しで撃ち抜き。ザフィーラ、貴方なら如何する?」
「盾の守護獣である私でもあれは防げん。身を張って時間稼ぎするしかなかろう。・・・稼ぐ間も無く周囲ごと広域殲滅されそうだがな」
八神家一同、一人酔っ払いつつ絶望の底に叩き落されてます。パッチ当てが無かったらあんな悪魔と戦う筈だったんだもんな。



「み、みんな人をバケモノみたいに言ってヒドイよ~~~~っ!!」


「「「「「「「「「「!?す、スミマセンナノハサン!!」」」」」」」」」」

おお~。見事なハモリ。


「で、このぬこ二匹の処遇は?」
『『ふ、ふ~ふ~!!』』
バインドで縛り上げてケージで囲み、AMFで無力化した猫状態のリーゼ共。ぬこという事ですずかが突付いてます。

「温情なんて必要ないと思うな。徹底的に痛めつけて絶望のどん底に叩き落して
止めは中性子星に強制転送で叩き込んでフルドライブのスーパーノヴァ撃ち込めばマイクロビックバンぐらいは起こせ・・・」
おいなのは、ソレは流石に酷すぎる。文字通りチリも残さず消えてなくなっちまうぞ。

「う~んと、やっぱりアレだよ。「トオヤマノキンサン」?でやってた晒し首!!」
無邪気に残酷な事言わないでくださいな、アリシアさんや。

「ウチで飼ってもいいよ?その代わり定期的にお姉ちゃんの実験台になると思うけど」
「そうねぇ、それだけ頑丈そうなら新装備の実験台にモッテコイだろうし」
・・・物騒な事言わんでくれ。

「仮にも私と同じ猫がベースの使い魔の癖に、他所の人様に迷惑をかけるとは・・・この場で成敗したい位です」
「そうだねぇ、他人様に迷惑かけちゃいけないってマスターに教わらなかったかい?」
う~ん、ここも十分物騒だが一番マトモに聞こえる。でもやっぱり不採用。


「・・・テメェら。ボチボチ黙れ、頭に響く」
「「「「「「「「「「あれ、まだ生きてたの?」」」」」」」」」」

「っ、ザケンな!!テメェら全員アレぐらいは日常茶飯事だって知ってるだろうが!!つつつ」
「マスター、まだ安静にしてなきゃダメですよ」
『全くです。いくら慣れてるからってギャグマンガみたいに次のコマで治ってるなんてありえないんですから』

そう、オレの怪我は実は大した事なかった、単に認識の違いがあっただけ。というか普段がヤバ過ぎるだけなんだがな。
なのはが物心付く前から、日常的にオレは恭也や士郎さんに凹にされていた。
あの二人にあんな風にされる事は、なのはにとって『あたりまえ』として頭の中にインプットされているようだ。

コレが別の第三者がやると別の話らしい。その結果がコレだ。
う~む、世界の終焉の最後の鍵はオレの行動一つって事か?


あと、レティスの膝枕テラ柔らかす。


「それで、あんたはどうしたいのよ」
「ん?こいつらか、なもん俺を襲撃してるシーンだけピックアップして管理局に現行犯で提出に決まってるだろうが」
『『そ、それだけは止めて!!』』
「はっ、安心しろ、提出先はグレアムのヤローに直接だ」
「ちょ、シェイおにーちゃん、それじゃ敵のど真ん中だよ!?」
「安心しろ。襲撃シーンのデータはネット上の各アーカイブに特殊な暗号処理して大量にばら撒いてある。
オレに何かあればあっという間に次元世界中に広まるって訳、ぬかりはねぇよ」


う~む、交渉材料としてはかなり大きい物を得れたな。管理局内、対『闇の書』でかなりの発言力を持つグレアムのヤローを直接操れるんだ。
予定よりはもうチッと楽に進められるか?




そんなこんなで8月、学校も夏休みに突入した。
なのは、フェイト、そしてアーリーズ家の一同は管理局の寄越した貨客船で本局のステーションに入った。


入局ゲートを出た先、何ともわかりやすい迎えを見つけるオレ達。

「何でテメェが迎えなんだよ」
「僕が事件の担当執務官だ。出頭した被疑者を迎えるのは職務のうちだからな」
二ヶ月ぶりのクロノの顔、やっぱりナンカむかつく。やっぱり撃っときゃ良かったか?


「ココから先、なのはとフェイトは同じ行動になるから一緒に来てもらおう。お前は違うと言う話だったな」
「あれ、シェイおにーちゃんは一緒じゃないの?って・・・あ」
「リシェイドさん、他にも行く所あるんですよね」

俺が引く少し大きめのレジャーボックスの中には無力化されたぬこ二匹の詰まったケージも納まっている。
「あぁ、このまま直接行こうかなと思って、な」
「ふ~ん」

「そいじゃ、ココでお別れだ。次に会うのは夏休み明けだな。頑張れよ、二人とも」
「「ハイッ!!」」

オゥオゥ可愛いねぇ、オニイサン頭撫ぜちゃうよ。・・・栗毛のぬこと金髪のわんこがいる~。



「さて、ボケを〆に征きましょうか、オカアサマ?」
「そうね、流石に堪忍袋の緒も切れそう、善人面して良い根性してるじゃない。地上式根性の叩き直しでもしてやろうかしら」
地上式根性の叩き直し?それ、ビルの上から魔力封印して紐無しバンジー(地面スレスレで魔力クッション)って聞いた覚えがあるが・・・心臓止めて殺す気か?

殺気立つオカアサマと共にグレアムのヤローのところへ向かう。
アポ取りも簡単だったな、『お宅のぬこがヤンチャしてたんで捕まえてきた』って言ったら一発でOK。まさかこいつらの独断?


「ウチのリーゼ達が迷惑をかけたようだね」
オレの目の前には白髪混じりなヒゲ面のオッサン。11年前の時と殆ど印象は変わっていない。
「あぁ、酷い目にあったぜ」
そう言いながらケージを差し出す。無論既にAMFは切った。展開したままじゃこの技術を持ってることがばれるからな。
「魔法による治療無しだと全治2週間以上の大怪我だなんて診断も頂きましたからね」
「・・・ソレは如何言う事かな?」
チッ、狸め。切捨てはしないだろうがこの感じだと曖昧にして逃げるか?
「なに、捕まえる時にチョッチこいつらが暴れてな。お陰で痛い思いをする羽目になっちまったってだけさ」
「この子の怪我は日常茶飯事でしたからそちらへあまり如何こう言うつもりはありません。
でも暴れる理由がこちらとは全く関係無い所から来ているのには流石にちょっと頭が痛たくなりましたよ。
あ、事後許諾になってしまいますがソレ相応の制裁は加えさせてもらいました。もうチョット躾はシッカリしてくださいね?」
母さんが黒いオーラを漂わせつつそう言いながらこいつらがオレに喧嘩吹っかけてきた時の映像を見せる。
伊達に何時も戦闘シーンを録画してねーよ、録画環境だけは何時でも完璧だ!!
「は、ハハッ・・・そ、それは済まなかったね」
「いやいや、この程度の事は日常茶飯事だ。慣れてっから別に気にしちゃいねーよ。ソレよりも聞きたい事がある」
「何だね?お詫びもかねて答えられる事なら何でも答えようじゃないか」
「・・・何でこいつらがあの町に闇の書があるって知っていた?オレが6月に検知した時には第二段階になったばかりだぞ?」
「そ、ソレは何かの間違いだ。現在も規模は小さいが捜査チームが方々の世界を探索している、私が知りたいぐらいだよ」

だがそうは問屋がおろし金、O-B-O-Nクライシスを抜けた先で得た力、嘗めんなよ?

「ところで、アンタ『八神はやて』って子、知ってるな?いや、知らんとは言わせないぜ、アシはとったからな」
このバカ、自分の母国の口座、自分の名前でそのまま利用してやがった。お陰ではやてへの支援がお前だって簡単に確認とれたさ。
その証拠書類をテーブルの上にぶちまけてグレアムのオッサンに見せ付ける。
伊達に莫大な資産を運用していねぇんだ。適当に取引してる銀行の頭取〆てやればこの程度の資料、簡単に集められるんだぜ?
「!!」


「テメェ、闇の書があそこに転生しているの知っててオレ達をあそこに移住させたな?」
「な、何を・・・」
「状況証拠ならいくらでもあるんですよ?極めつけは闇の書内部のログにも転生の日時が残ってた事かしら。
私達の移住は7月でしたからね、少なくとも一ヶ月前には魔力反応が検出されてる筈です。
この瞬間の魔力量はログで見る限り定期巡視艦のセンサーにも引っかかるレベルのかなり大出力な物。
なのに管理局のデータベースにこの情報は上がっていないし、明らかに隠蔽された形跡がある。答えは自ずとわかります、よね?」

「くっ、そこまで把握してたとは思わなかったよ。ログが如何とかと言う事は、貴方達はまさかあの闇の書を・・・」
おぅおぅ、『歴戦の勇士』も形無しだなぁオイ。眉間にシワ寄せちゃって情けねぇったらありゃしねぇ。
ついでにかなり悔しそうだな。ま、テメェにゃアレを捌く権利なんざこれっぽっちもねぇがな。

「あぁ、闇の書のプロテクトは堕とした。管制人格も表に引きずり出したし防衛プログラムなんてとっくの昔にデリートだ」
「そ、そんな・・・。Sクラスロストロギアをロジカル側から攻略したと言うのか!?」

「事を行ったのは全てリシェイドですけどね。結構可愛い所あるんですよ、あの子達。
例えば、ヴィータちゃんは口の周りに生クリームつけて、一生懸命ケーキと格闘するだなんて微笑ましい風景を見せてくれました」
はやて意外の魔導師組がソレを指摘すると間違いなくアイゼンで殴りかかって来るんだがな。無論返り討ち。

「シャマルさんは見た目何でも出来そうなのに実は全く出来なくて、普通に淹れた筈のお茶が守護騎士すら殺しかける毒薬になってそのまま家中パニックです」
家事で出来るのは高い所の物と重い物を運ぶのと簡単な包丁でのカットぐらいで、レンジすらマトモに使えんのは流石に問題だと思う。

「シグナムさんはそこの町内じゃ一時期『ニート侍』だなんて愛称で呼ばれた位に日長一日散歩を趣味にしてました。
流石に気にしたのか最近はアルバイトに勤しんでます。世間体気にするプログラムなんて初めて見ました」
剣道場じゃ結構人気あるらしい、最近じゃシグナム目当ての受講生まで来る始末だとか、勘弁してくれ。

「こんないい子達を隔離された次元の海の中に永久凍結しようだなんて、よくもまぁ酷い事を考えたものですね」
・・・母さんよ。ザフィーラはスルーか。まぁ普段からずっと犬のまんまだしどうしようもないんだがな。

「はやてだって健気なもんだぜ?親が死んじまってから今まで、ずっと一人ぼっちであの家を守ってたんだ。
今じゃあいつらが家族となって支えになってるが、その前は"足長おじさんと一緒や"なんて言ってアンタの事結構慕ってたんだぜ?
その気持ち踏み躙ろうなんざ人がする事じゃねぇ。ソレをやったあんた等なんて外道でも足りねぇや、カスかゴミで十分。
だからオレはあの家族を守る為にひと働きさせてもらったって訳だな。
ソレにイチャモンつけて喧嘩売ってくるとはフテェ奴らだったが、結果は見ての通り。テメェらの計画は最初ッから壊れてんだよ!」

猫もオッサンも愕然としてる。攻略は無理だと思っていたあの本が、まさか自分達を蚊帳の外にして全て終わっていたとは思いもしなかっただろう。

「ついでに良いもん見せてやんよ。エクスタス」
『ハイハーイ。それじゃ結界展開しますよー。室内を外界から隔離開始~』
「い、一体何を見せるつもりだ?」
「おっと、こっから先はオフレコだ。本当だったら身内以外の誰にもばれる訳には行かないんでな。
もし漏らしたら、そこのぬこが捕獲の際にやられた事を管理局全体にやってやらぁ。レティス、ユニゾンアウトすんぞ」
『了解、ユニゾンアウトします』

「なっ、まさか!?」
光の粒子とともにレティスがオレから離脱しオレの髪の色が元の黒に戻る。
コイツはオレの小さい時を知ってるから見た目は変身魔法で誤魔化してたがな。

「闇の書、いや本名『夜天の書』のコードは61年の時点で既にオレが解析を済ませた。
コイツは62年の末にそのコードを元にしてオレ用に調整して開発したユニゾンシステムの管制人格であるレティスだ。
コスト度外視ならあんな物いくらでも量産できんぜ?
まぁ作った所で満足に使える人間なんて魔力が足りなくて管理局魔導師の何パーセントもいねーよ。
なんせ最低がオーバーSからだ、カートリッジなんていくら使っても追いつかねぇよ」

「既にそんな所まで来ていたのか。そ、それでは私のしてきた事は一体・・・」
ふふん?いい年こいたオッサンのここまで見事なorz、最高の眺めだぜ。
「私達親子を嘗めていた罪、認めますね?」
「と、父様・・・」
「わ、私達はどうなってもいいから父様だけは!」


「・・・もういい、ロッテ、アリア。全ては私が画策してきた事だ。罪は償おう」


「なら話は早えーや。オレはこの後聖王教会の本部へ行ってコレに関連する情報を垂れ込んで闇の書の危険指定を解除できるようにするつもりだ。
コッチとしてはアンタが管理局内からソレをプッシュして結果を出してくれれば猫の悪戯もあんたがやった事も全部伏せてやんよ、それでどうだ?」
「わかった、それで片が付くなら安い物だ。だが、何故君はそこまで闇の書いや『夜天の書』だったか、コレに肩入れするのかね?」
む、肩入れか・・・まさか前世でアニメになっててソレ見てましたなんて言えねーしなぁ・・・あぁコッチのネタで良いのか。
「何、リンカーコアの質が悪い俺にとってユニゾンデバイスは重要なアイテムだ。パッチはその副産物に過ぎねーよ。
あとアレだけのお得意さん失うのは大きな損失だからな、それが避けたかった」
「お得意さんだと?」
「向こうの喫茶店に出資しててな、チョクチョクそこでウェイターもやってんだよ。で、八神家は全員がその店のケーキのファン、お得意様と云う訳、OK?」
「喫茶店の売り上げの為にSクラスロストロギアを制圧するとは・・・フッ、何とも面白い話じゃないか」
「ハッ、ちげぇねぇや」


さて、コレで局内の橋頭堡は出来た。次は教会への手回しだ。

オレはそこで母さんと別れ、単身ミッドチルダへ飛んだ。



修正しますた。
次回、交渉ミッド編?



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十二節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/29 01:42

オッサンとの交渉から2日後、ようやくミッド地上にたどり着いた。
「・・・懐かしい、と云うべきか。見える風景は記憶と全く違うが」
『あ、マスターって4歳ぐらいまでこっちでしたもんね』

降り立ったのは数年後には爆散しちまうあの空港。まぁべつに如何でもいいけどな。
さて、仕事の前にちと寄り道。母さんは思い出すとやっぱり辛いって言ってコッチまで来る事は出来なかったからな・・・。


「父さん、ひさしぶり」
『・・・ココがウォーレスさんのお墓ですか』
折角のミッドチルダ訪問だ、と云うことで10年ほったらかしにしていた父さんの墓参りに来た。
父さんも母さんも両親に先立たれていて他に親族もいない、だからココへ来る人もいないから荒れ放題だった。
周りの清掃と花を沿えそれなりに整えておく。
「アレから10年、母さんは今でも父さんの事が好きらしい。正直羨ましいよ、あんな美人にココまで慕われちゃってさ。
オレの周囲なんて母さん以上の戦略兵器級な魔導師ばっかりなんだぜ?流石にアレだと怖くて手なんかだせねーよ、ハハ」
あぁヤバイ。つい本音が・・・。
『・・・今のシーン、録画してましたよ~。フフフ、なのはやフェイトに見せたら如何反応するか・・・』
「ちょ、マジヤメレ、本当に消されるから」
『冗談です、冗談。そろそろ行かないとアポイントの時間までにあまり余裕ありませんよ?』
「解かった。そういえば申請していた飛行許可は取れたか?」
『やっぱり無理ですね。余程の事が無い限りは出せないって返答が着ました』
飛行出来ればTypeRのスラスターで一気に飛んでいけるんだがそうもいかんか。
「それじゃ、機会が会ったらまた来るよ。出来れば今度は母さんも連れて、な」


案内板を頼りにチューブに乗って、教会本部の事務局へ向かう。アポイントをとった時にはココで話をすると返答が着ていたからな。

手土産に翠屋謹製、保存が利く焼き菓子の詰め合わせと寄付金として山吹色のお菓子に変わる引換券を少々下に詰めて持ってきたが・・・まぁ大丈夫だろう。


窓口で確認を取り、待合所に居る様に云われ待つ事一時間。ちと待たせすぎだべ?
ボーっと窓の外を見ていると協会騎士の訓練が見えたが・・・レベル低いなぁ。
その程度、魔法有り小隊単位の複数集団でかかっても市街地戦なら御神の剣士の前では瞬殺だ。一小隊辺り5分持たんな。



「お、遅れて申し訳ありません!!」
ん、ようやく来たか・・・あ?


ご、御都合主義此処に極まれり!?何でおかっぱが此処にいる!!


「お部屋まで案内させていただきます教会シスターのシャッハ・ヌエラと申します。どうぞこちらへ」
「お、おう」

頭の痛い状況に悩まされつつ教会の中を進む。
歴史編纂室辺りのショボショボ爺さんにでも案内されるのかと最初は思っていたのだが、進む先は如何見ても理事会の建物。
案内人がシャッハと来れば答えは一つしかねぇか。
本編第三期より10年前だからカリムが若いってのは気になるね。恐らくオレと同じか少し上、20過ぎという事は無かろう。チョッチ期待しちゃうぞ?

「この部屋です。少々お待ちを・・・騎士カリム、お客様をお連れしました」
「'はい、中へどうぞ'」

カリムらしき声が聞こえ、案内されるがままに中へと進む。
部屋は10畳程の空間で、シックにまとめられた内装が落ち着いた雰囲気を出している。こう云う空間はどちらかといえば好みだ。
「ようこそ、お話頂いた件を担当するカリム・グラシアと申します。さぁ席へどうぞ。シャッハ、お客様にお茶をお出しして」
「承知しました」


期待していたみんなスミマセン、マジ見た目一緒やねん。そりゃ若いから肌はきめ細かそうだし張りもある。でも服装と髪型が一緒だから・・・ツマンネ。


カリムの対面に座り、シャッハが淹れたお茶の香りが鼻腔を擽る。へぇ、結構良い茶葉のようだな。
「良い茶葉のようですね。あぁ、そうだお話とは関係ありませんが地元のケーキ屋が出してる焼き菓子です。宜しければ皆様でどうぞ」
「あら、気の利く方です事。ではソレをお茶菓子にして話をさせてもらいましょうか。
シャッハ、いくつか置いて残りは事務の子に渡してね。話が終わるまであなたは待機でいいわ」
「はい、ありがたく頂戴します。では」

シャッハが部屋から出るのを確認。人払いは済んだな。

「それで、資料というのはどういった物なのですか?」
「えぇ、先ずはコレを」
とりあえずは様子見のジャブ、時系列順に整理した王朝の人の出入り図だ。婚姻関連から王籍離脱者まで、かなり詳しくなっている。
「・・・すごいですね。コレだけで教会が把握できている部分の穴の殆どを埋めてしまいます」
「苦労した甲斐がありますよ。でも、コレは序の口なんですがね」
「えっ!?」
おぉおぉ、驚いてる驚いてる。良いねぇその表情。
他の人でもそうだがこう云う意表をついた時のポカーンとした表情ってのはそいつの本性がわかるからな。カリムはソコソコまともな人間らしい。
「とりあえず当時の風刺絵等庶民レベルでの文化や日常の様子が解かる資料も大量に確保しています。他にも色々ありますが・・・実はお願いしたい事もありまして」

喜んでいたと思ったら一気に顔色が変わったな。警戒している?いや、取り入ろうとしてるとでも思ったか?
「・・・私になにを求めようとするのですか?」
「警戒しなくても問題ありません。訳有りの資料が幾つかありまして、ソレについて便宜をお願いしたいのです」
「訳有り?犯罪行為でもしたのですか?ならばその資料は受け取れませんが」
「そういうものではありません、あぁ、この部屋は完全なオフレコですか?お見せすれば少しはわかるかと思います」
「えぇ、この部屋は私の執務室も兼ねてますので基本的には監視はありません」

「"どんな感じだ?"」
『"カリムさんの云う通りですね。一応外部とは隔離されてるみたいです"』
へぇ、セキュリティはシッカリしてるらしいな。んじゃ、出てきてもらいますかね。

「レティス、出てきていいぞ」
『了解、狭いのはやっぱり嫌です。あぁ大手を振って外を歩きたい・・・』
もうちっと待て、忍に協力を要請してるからあいつの方が一段楽したらどうにかしてやるよ。


右腕のバングル状になっていたエクスタスからレティスを呼び出し具現化。カリムも流石に驚いたようだな。
「なっ、人格ユニットを持ったデバイス!?」
「さて、此処からが本番。レティス、いくぞ」
「『ユニゾン・スタート!』」


「ゆ、ユニゾンデバイス・・・教会内ですら稼動中のモノは残っていないというのに・・・何処で盗んだか今言えば罪には問いません、正直に仰って下さい」
そ、そうくるか。まぁ使ってる術式の半分はミッド式だからあの当時の仕様とは全く別物なんだよな。

「ん、睨まないで下さい。当時の技術で作られたユニゾンデバイスが超希少物なのは私も知っています。が、この子は違いますよ。
私が時間と労力と大量の資金を使って資料を収集し、現代の技術で再設計を行ったものです。
歴史的な価値なんて爪の先ほどもありません。何せ再生産可能なシロモノですからね」
「・・・確かに、貴方は古代ベルカ式にも通じているようですがその子のメインはミッド式の様ですし・・・その言葉を信用するとして、何故それだけの歴史資料が?」
「えぇ、元々大量にある資料の殆どはこのレティスを作る為に集めた物の余剰品なんです。
資料を集めた際には必要であったユニゾンデバイスの事を含め、古代ベルカ式魔法の詳細な資料も私の手元に集まりました。まぁ問題はこの次なんですがね」
「ま、まだあるのですか・・・」

さて、此処からが問題だ。確実に協力を得ないと全てが無駄になる。


「一つ確認しますが、貴方は悪名高い『闇の書』が古代ベルカの技術の塊だということはご存知ですか?」
「え、えぇ。幾度と無く事件が起きてますからその時に幾つかの術式を観測しています。
それに守護騎士が古代ベルカ式魔法を使っている事も確認していますが、ソレが何か?」

「知っているなら話は早い。2ヶ月ほど前です、私が現在居を構えている第97管理外世界で闇の書が第二段階にシフト、各システムの起動が確認されました」
「な!そ、そんな。二ヶ月もたっているのに何処にもそんな情報は・・・」

さぁ、詰めていこう。

「当然です。私が書の所有者の身柄を確保し、本来の姿である『夜天の書』に修復、書の暴走機能は既に無力化してあります」
「な、なんですって!?」

「と言うより、私が作ったレティスがそもそも『夜天の書』の、如何言えばいいか・・・うん、現代で云うRC版ですね。
そのソースコード集から解析を続けて作った物なんです。ですから必然的に闇の書についても詳しくなる訳でして・・・後は簡単。
近所で暴れそうだったから先に薬打って治したと。そんな所です」
む、カリムの奴黙っちまったい。

「・・・話が読めてきました。貴方は自分が収集したデータを餌に教会と接触し、修復が完了した『夜天の書』の身柄をこちらに預ける事を企んだ、そうですね?」
「流石はグラシア家の御息女。思考力もお高い」
「家の名前は出さないで下さい、コレは私の力です。それと修復・無力化したという話ですが、本当に安全なのですね?」
「ソレは無神経な事を言いました、申し訳ない。で、修復に関しては自身があります。
既に管制人格モジュールは所有者や周囲とのコミュニケーションの為優先で外に出る様にした位です」
「それで、貴方は正確には何を望んでいるのですか?『夜天の書』と云う最上ともいえる遺産が手に入るのなら、
古代ベルカの遺産保護を主としている教会としてそれなりの権力を行使する事は吝かではありません。無論、個人的な欲等は殆ど無理ですが」
その言葉を聴きたかった。それにオレ個人としては別に何か欲しいと言う事は無いからな。

「現在の所有者、名を八神はやてと言います。この子の身の上話になりますが両親を幼い時に亡くして天涯孤独の身になっておりまして。
書が起動した現在は守護騎士たちが家族として一緒に生活している状態なのですが、書を回収するとなるとまた一人ぼっちになってしまいます。
ようやく手に入れた温もりを他所様の都合で問答無用に奪ってしまうのは流石に酷いと思い、如何にかならないかと」
「なるほど、こちらへの協力は惜しまないから所有権は認めて欲しい。そういう事ですか」
「はい、その協力に足りない分は私のお出しする資料で埋められれば良いのですが、・・・如何でしょう」

ティーカップを取り、少し冷めた紅茶を口に含みながら一呼吸置くカリム、美人てのは何しても絵になるな~。

「解かりました。貴方の残りの資料を確認後、教会上層部に話を上げて協力を仰げるよう手配をしましょう。
ですが、この件は色々と話が絡まっていて思い通りには行かない可能性もあります。ソレは覚悟されているのですか?」
「管理局についてはこの件で発言権の強いギル・グレアム氏への貸しを利用して援護を頂ける手筈になっています。
恐らく問題ないでしょう。では残りの資料をお出しします、確認を」


交渉、無事ひと段落。そうそう、古代ベルカ式プログラムのSDKを見たカリムの顔は凄かった。
何でも、今までは教会やグラシア家に残っているデータベースを利用するぐらいしか古代ベルカ式の術式を用意出来なかったとか。
システムコードの逆コンパイルがしにくい魔法技術は解析が難しいんだよな・・・。

これでヴェロッサの教育も云々とか危険な言葉も聞こえたが・・・南無?



で、後は雑談モード。
「それにしても、この子達可愛いですね」
「自慢の弟子とその友達って所です。あぁ、この子がその八神はやて、横のパンクルックが守護騎士の一人であるヴィータです」
「まぁ・・・子タヌキみたいでフワフワなはやてちゃんも良いし、お人形みたいなヴィータちゃんも可愛いわ。思わず抱きしめてしまいそう」

一応交渉はココまでとして、保護対象の事を知ってもらおうと撮り貯めのデータを見せているのだが・・・カリムの奴萌えてやがる。
シグナムやシャマルはスルーも同然、ザフィーラにいたっては完全に空気・・・コレは前からか。

「そ、それで他には?」
「えぇ・・・ちょっとお待ちを、これかな」
つい先日のリビングの風景。バックで聞こえる嬌声は桃子さんと士郎さん。
カメラの正面はちびっ子共が、左の隅にはなのは様御降臨の映像が流れているがオレは無視する。

「この子達も可愛いわ。貴方のお弟子さんっていうなのはちゃんも・・・あ、あれ?すみません、左隅のコレは?」
「・・・気にしないで下さい。ちょっと旧神も避けて通るシロモノが降臨してるだけなんで」
「はぁ」
すんません、流石にアレを口で説明するのは難しいとです。実際に見ないとあの恐怖は解からないとです。

「ところで、この映像、かなり不謹慎と言うか無視できない数字がポツポツ見えるのですが・・・」

ヤベ。魔力とかの観測値不可視モードにすんの忘れてた。
「あ。あはははは。まさかこのカメラ内の人間の内半分近くがAAAオーバーの魔導師だなんて誰も予想できませんよね?」
なのはは言うまでも無く、フェイト、はやて、ヴィータにシグナム、プレシア、リニスも何気にAAAオーバーだったし。
チートモードのオレ込みで8人か。一個小隊全員オーバーAAAで編成可能?夢のドリームチームが自然発生、保有制限もヘッタクレも無いな。
フェイトやはやてもアーリーズ式スパルタ教育を試験運用し始めたから第二成長期をこれから迎えてどんどん伸びていくだろう。
SSはほぼ確実。はやては魔力量だけならSSSも夢じゃない。それにアリシアについても別計画が進行し始めたし・・・。
「そ、そうですね。・・・コレ、本当ですか?」
「・・・なのはは8歳の身で既にSSSオーバーの魔力とマルチレンジで高レベルな戦闘が可能です。
仮に師団規模で強襲しても、あの子にとっては片手間程度、無傷のうちに返り討ちにするでしょう。
その気になれば500キロ以上離れたターゲットすら狙撃出来ますし、近接では人の認識外速度で機動しながらの攻撃も可能です。
コッチの金髪の子、フェイトやはやても既にオーバーSクラスの能力があります。まだまだ成長しますからSSは堅いですね」
「一体何処の火薬庫ですか・・・貴方々が蜂起するだけで管理局の全機能が堕ちてしまいますよ?」
「なのはだけでおつりが来ます、なんせレティスとの愛称もソコソコ良くて・・・もういいや、実際に見てもらった方が早い」

はい、カリムさんフラッとダウン~。なのは様降臨の映像は刺激が強過ぎやねん。
「か、神は己を超える物を作られたと言うのですか・・・」
作ったのは神じゃなくてオレだけどな。
光の翼羽ばたかせて神速で機動しながらあの砲撃と斬撃したらそりゃ神にも見えるべさ。



「では、9月ごろには八神家の皆さんも一度こちらに来て頂けるのですね?」
「はい、そのまま守護騎士の連中はこき使ってやってください。騎士の訓練を遠目に見ていましたが、あの錬度は少し低すぎるかと・・・。
こいつらを使ってミッチリ扱き直してやると良いでしょう」
「えぇ、ソレは勿論です。最近の若い騎士は名前だけに惹かれてくる者も多く、質はどんどん低下するばかりで・・・。
コレはいい機会かもしれません。古代ベルカ式を使うAAAクラスの騎士の力、彼らには良い薬になります」
「では、私はコレで失礼します。まだ用事が残っていますので」
「はい、面白いお話をありがとう、礼の件は何とかやってみますので安心してください」



うっし、教会の仕事完了。
レジアスへの接触は・・・もう無理か?数の子2号も既に稼動していたはずだし監視も付いてる可能性がある。
上手く取り込めれば局内にシンパが組めたんだが・・・無いもの強請りしてもしょうがない。次にいくべ。




と思って町に繰り出したのは失敗だったと気付いたのは既に後の祭りだった。
世の中如何繋がってるか分かったもんじゃねーなとよ~く実感したさ。
オレ、自分の目を疑っちまったもんね。何処の若夫婦頑張っちゃいました+コブ付かと・・・。

この様子じゃ路線変更も有りか?



その頃事務局では・・・
「騎士カリム!!」
「如何したのシャッハ、そんなに慌てて。リシェイドさんが持ってきた御菓子、足りなくて揉め事になってるのかしら?」
「い、いえ。それは全員に行き渡ってすこぶる好評でした・・・って違います、こ、コレを見てください!!」
シャッハが手にしていたのは御菓子の箱。底の化粧紙をめくった先を見て
「ち、ちょっとコレ・・・。リシェイドさん何も仰ってなかったけど、こんなにも"寄付金"を寄越すだなんて・・・」
「えぇ、事務方とで確認を取りましたがこの小切手は間違いなく有効でした。銀行の方にも確認を入れています。
ただ、個人の寄付金としてはあまりにも破格です。理事会の中核クラスでもこの金額はおいそれと出せません。これ、如何しましょうか」
「・・・メモにも挨拶代わりとありますし有難く頂きましょう。寄付者の情報はメモの通り一般には隠匿します。
態々書いて残して行ったぐらいですから余程の事があるのでしょう」
「分かりました。ではその様に取り計らえるよう手配をします」
「えぇ、お願い」

シャッハがその場を離れるのを見送りながら
「絶対的な収入源に乏しい教会にとってあの金額はかなりの発言力にもなりうる。でも彼は敢えてそうせずに寄付金としてこちらに渡してきた。
・・・コレで理事会は完全に彼の味方になるわね」








おまけ『今日の海鳴』


高町家にて

「・・・美由希、何をしてるんだ?」
「きょ、恭ちゃん!?こ、これはね・・・」
ゴソゴソとブツを自分の後ろに寄せるがそこは御神の剣士、神速で後ろに回るなど朝飯前。

「何々・・・『スーパー豊胸マシーンEX』?
如何見ても付け口のでかい搾乳機じゃないか。さっき宅配便で来たのはコレだな?そんな無駄な事していないで庭に来い。
今日は美沙斗さんが着てるから今日明日で山へ行って乱稽古だ。サバイバルキットに飛針と鋼線を忘れるなよ」


「うぅ・・・通販、高かったのに。ソレを問答無用で無駄と言い捨てるだなんて酷いよ。わ、私だって希望持ちたいよ・・・」
"なのは様"降臨映像は余程ショックだったらしい。マジ泣きしながら箱に戻す美由希の姿はかなり鬱な影を背負っていたとか。





所変わって月村家

「さ~て、なのはちゃんの浪漫一杯なアレを見せられて私が黙る訳には行かないわ、気合入れてやるわよ!!」
「あのぉ・・・、何故私がメンテナンスベットに拘束されているのでしょうか?」

機械人形メンテナンスルーム(別名忍私室)ではマッドな趣きが通常の120%増しになっていた。
その光景はさながらショッ○ーの改○人間製造室のごとくである。

「安心しなさい。既にテストは実施して結果は良好よ。
今後、もし戦闘があったその時にはあなたは自由に正義で運命な連中も真っ青な戦闘力を発揮できるの!!」
斜め上へ顔を挙げ、右腕はグッとガッツポーズ。あぁ、既に自分の世界に入り込んでいるのですね、とノエルは落胆。
「・・・ちなみに、機能停止はどれほど掛かりますでしょうか」
「順調に行けば一昼夜で終わるわ。ファリンはフレームサイズが小さいから弄ってもキャパシティ無いし今回は見送り、・・・技術が追いつけばすぐに取り掛かるけど」
この瞬間、庭掃除をしていたファリンが寒気を感じ、センサーが壊れたのかと疑った。惜しい・・・。



それから2日後、見た目は全く変わらないが"チカラ"が満ち溢れているノエルが目撃される。
「エネルギーゲインもそうですがシステムレスポンスや機動速度も桁違いです。マグネッ○コーティングなんて真っ青ですね」
「でしょうでしょう!コレでデータは揃ったわ。リシェイド君への借りも返せるしウフフ、恭也見てなさい、今度は負けないわよ!」





修正しますた。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十三節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/30 00:55


おっかしーなー。オレこいつ等には一切干渉してないぞ?

とりあえず一段落ついたもんで休憩やらしようと郊外のショッピングモールに来ては見たのだが・・・。


「ヒッグ、ヒッグ・・・どくた~、う~ねぇ、どこぉ?」
ロリモードな水橋ボイス。
あの独特な髪と瞳の色。
そして聞き拾ってしまったとっても拙い二人の名前。

答えは一つ!如何から何処から見てもセイン(幼)です。ほんとうに(ry
・・・って、な、何なんだこのカオスは!!アリシア生存並みにきついぞコレ、一体何が起きた!?

それを見つけてから2分経過・・・誰も助けようとしねぇのか。冷たい奴等だな、って周りの大人は何やっとるか!?

・・・仕方ない、こんなチビっ子状態なら特に問題も無いだろう、10年もあるから忘れるだろうし。
こんな一幕の兄ちゃんなんて無視されるに決まってる。細かい事気にしてたら負けだ。



「嬢ちゃん、何で泣いてんだ?」
「ヒッグ・・・ふぇ?」



で、それから泣く子をあやす事10分、ようやく話が出来る様になった。
セイン(幼)の手にはオレンジジュースと、いくつか別で持ってたさっき教会に渡したのと同じ御菓子。ホテルで食べようと思ってたのに・・・。
「そっか、セインはおねぇちゃん達とはぐれたのか」
「うん、コレ美味しいねおじちゃん」
「おじちゃん違うオニイサンだ。それとオニイサンの名前はリシェイドって教えただろう?」
「・・・しぇ~にぃ?」
「・・・もういいやそれで」

あぁ・・・癒される。
セイン(幼)見てると小さい頃のなのはを思い出すなぁ。

今じゃあんなに逞しくなっちまって・・・orz

場内アナウンスは流れんか・・・やっぱり一応その辺は気にしているのかねぇ。
「さて、それじゃおねぇちゃん探しに行くか。心配してるだろうしな」
「うん!」


で、モール内を彷徨う事20分・・・見つからねぇ、見つからねぇよ。なんでじゃあ!!
「おねぇちゃん、見つからないな」
「・・・うん」
一応ウーノの顔は知らないという事になってるから、セインが識別できる様肩車して、
トボトボとメインエントランスの通りを歩いていく。でもこうも遭遇出来ないとなると・・・まさか切捨て?
イヤイヤ、C/Pの悪い戦闘機人のベース体を早々簡単にポイするとは思えんし・・・。



で、イッチャン端っこ。ATMコーナーまで来て
「ドクター、養育費が・・・振り込まれていません」
「評議会の連中には確かに請求をした筈なんだが一体どういう事だ?月は跨いだ筈だぞ。
すぐTELして振り込ませなければ、携帯は何処に仕舞ったか・・・」
こ、こんなショッピングモールのATMでこいつら見かけるとは思わなかったぞ。

「うーねえ~、おなかすいたおなかすいた~!」
「ほらクアットロ大人しくなさい、ドクターが困ってるでしょ?セインったら一体何処に行ったのかしら」


「ウーノ姉さん、やっぱりセインが何処にもいないよ!・・・って居たぁ!?」
「クッ、ココは私が日払いOKなガテン系のバイトで・・・」
「み、見た目さえ足りていればどんな事でもやるのに・・・うぅ」

・・・普通に家族だな、おい。

「う~ねぇ!!」
「あぁ!せ、セイン!!すみませんウチの妹がご迷惑をおかけして」
「い、いや別に気にしてないが・・・」
ウーノさんよ、普通に母親してますな。でもそこで『妹』ですかそうですか。

「妹さん、ですか?それにしては・・・」
「色々と訳ありでして、歳が離れているんです。ほら、おにいさんにありがとうは?」
「ありがとね、しぇーにぃ!」
「どういたしまして。・・・なぁいいかセイン、これからはおねぇさん達を困らせちゃいかんぞ。
人が家族を困らせても許されるのは、自分に子供が出来た時と自分が死んだ時と、本気で恋をした時だけだ。いいな、ちゃんと守れよ?」
「?・・・うん!」
本当に可愛いなぁ・・・って雰囲気に流されて頭撫でちまった・・・。
あぁ、普通に可愛いぞセイン。遠くでクアットロ(幼)が羨ましそうに見ているが・・・知らん。

にしてもだ、本編見てたコッチとしては凄い光景だな。
スの字は普通にクアットロ(幼)背負ってあやしてるし、ウーノも完全にお母さん状態、今も違和感無くセイン抱き上げてる。
ドゥーエはテンパリ具合は社会人一年生みたいな雰囲気で初々しい。
トーレは体育会系の女子高生120%な状態。所でミッドでガテン系のバイト何てあるのかいな?
チンクは原作のまんま「体は子供で頭脳は大人」の体現者。なぜか服装が・・・フリッフリなピンクハウス系、誰の趣味だよオイ。
クアットロとセインはこの通り普通に1~2歳ぐらいのチビっ子。クアットロはアレがあんな悪女になるんか・・・教育って怖い。

見ててな~んか忘れてる気が・・・あ、プレシア女史生命操作研究して無いジャン。
ってことは何か?もしかして促成処理技術がまだ出来てないとか?だから下の子二人も小さいって?
・・・ナンバーズの中なら誰選ぶと訊かれて迷わず「ウェンディ」と答えてたオレとしては頂けませんよ?この状況。どうしようもないけど。
で、この様子だと記憶操作の類もあまり出来てないっぽいぞ?こいつら見た目と言動が普通に合致してるし。
促成処理はその内出来る様になるだろうが記憶転写はプレシア女史の執念の結晶ポイからなぁ・・・。


・・・ッてヤベェ!これじゃエリオが生まれねぇ!!

アレってクローン体だろ、確か。このままだとキャロの相手いないじゃんよ・・・。時期的には完全に手遅れだ。リカバリ出来ん。


ぶっちゃけエリオは男だから如何なろうと知った事はない。生まれの不幸を呪うがいいさ。
だがキャロみたいな不幸な生まれの女の子はちゃんと幸せになるべきだと断言してるオレが、こんな状況を許す訳には行かない!!


もういい、こうなったら原作は無視だ。あの知識はもう殆ど当てにならん!!
中島家はまぁ如何とでも、とりあえずクイントさんは美人な人妻なので助けちゃおう、それでギンガとスバルにツバ付けすんべ。
ティアナは・・・兄貴のティーダだったか?コイツ助けりゃ話は終わるな。
というか助けるとこいつは局員にすらならねぇんじゃないか?・・・普通の子は本当に普通の子になりそうな悪寒発生!・・・どうしよ。
ヴァイスの『アニキ分』はこの世界じゃ希少な成分だからどうにかしたいなぁ・・・。オレもいるし別に無くても何とかなると思うが。

グリフィス君他ロングアーチ組?純血系な局員だからねぇ・・・とりあえずスルー。
母親のレティ・ロウランだったか、この人との繋がりも殆ど無いから会う事もあるまい。


で最大の問題であるキャロだが・・・今年生まれの筈だから放逐される3~5年後ぐらいに適当に探しに行けば良い。
管理局に確保されるとフェイトがこっち側だから引き取られずにそのまま使い潰されちまう。ソレは絶対阻止しなければ!

で、キャロは可愛いので海鳴在住母親ズのアイドル(抑止力)にするべきだと思う。
桃子さんや母さん辺りは愛情120%可愛がり+飛びついて着せ替え人形のコンボは確実、揉みくちゃにされるだろう。
だがこれで黒いオーラの発生と、男性陣へのアクションは確実に減る筈だ。


「うーねぇ、うんうんうなってるよ?」
「コラッ、指ささないの。何か考え込んでるみたいね、ドクターと同じタイプの人なのかしら?」


ハッ!?シマッタ思考の海に潜っちまった。
さて、君子危きに近寄らず、他所いくべ。このままだと色々やかましそうだし、さっきの御菓子の残りは・・・あった。

「それじゃあ私、別の所行きますんでコレで失礼します。あ、良かったらコレ向こうのチビちゃんにもどうぞ。じゃあなセイン、元気でな」
「す、すみません。ご迷惑おかけしてばかりで」
「ばいば~い!」



で、この場はサクッと別れたんだが、StSの時期に突入してこいつらと再会した時、まさかあんな事になると誰が予想出来ただろうか。
・・・やべぇ、ウェンディからセインに乗り換えちまいそう。



閑話休題。

別のブロックにあるATMで残高を確認・・・何処からその金出てるって?
なもん、昔からやってる裏ルートでの物資換金(洗浄済)の銭ですがな。

結局アレ以降もずっと研究員としてずっと働いてるし、資産家としての資金運用もやってるから、
一時は2億まで減った(なのはデバイス作成+部品発注)資金も最近は4億まで増えたのだ。
無論現金のみでの話、オレの場合はリアクタの現物やミッド向け換金物なんかもあるから総資産なんて分からん。


特許のパテントはって?
アレは御平教授の方に全部委任して一括管理してもらってる。管理メンドイし未成年だから社会的信用も無いし如何しようも無かった。
あの当時はまさかこれほど金が掛かるとは予想してなかったからな。予想以上に長生きしてる教授には感謝だ。
そこの金は研究目的でしか動かせないのは痛い。億単位で自由が利くはずなのに・・・権利半分放棄しちまってるからなぁ・・・orz

そういえば詳しくは聞いてないのだが、管理目的で設立した財団の規模が拡大しすぎて、ついに国連の上位機関並のネットワークになってるとか。
世界中に発電用リアクタの設置をしたり、民生品取り付け用のも実用化して販売を開始したし、更に儲けた金のかなりの額をユニセフ・ユネスコ他各支援団体に寄付してる。
財団のネットワークがない国なんて、何処ぞの鎖国状態な国でもない限り存在しない。政治力があって入り込めて無い国はヴァチカンとモナコぐらいか?
しかもエネルギーを牛耳ってるから発言力が半端じゃない。その気になれば国連や米、欧州すら潰せる勢力になりえる。


ほっときゃこの団体がそのまま中心になって統合政府として成立しそう・・・その時は名前は『地○連邦』以外は認めんぞ!



で、ソレを資源や宝飾に変えて換金してるのだが、物価比が違うのでかなり良いレートで交換できた。
無論、表じゃ制限が厳しくて必要分が確保できない為、母さんの昔の伝を経由して更にそこから経由して見つけた裏ブローカーと話をつけて、そこ経由でやっている。
犯罪?な事は知らんがな。オレ達一家がココに移住してる時点でこの世界に違法じゃ。今更何を言うか。
管理外で犯罪者が暴れようが次元震起きたとか船がぶっ飛んだとか余程の事がない限り動かないのが"海"の基本。本編でもそうだったろ?
進出した世界が広すぎて、そういう風にでもしないと人が足らずカバー出来ないらしい。欲張りすぎなんだよ・・・。


ミッドとその周辺世界は天然宝石の類は完全に枯渇してるらしい。旧暦からしてかなりの技術力があったようだし採掘期間が長かったから当然と言えば当然。
地球はまだその辺に余裕あるし、採掘開始して間もない新しくて"当たり"の出ていない鉱山や一度枯れた鉱山なら安く手に入れられる。
現在は俺も投資と言う事で南アメリカと東南アジアで2箇所ほど押さえていて、次元世界換金用としてはそれなりの安定収入源となった。
そこで取れる地球じゃ屑扱いの物ですら、それなりの価値が出るから驚きだ。ソコソコの物が出れば恐ろしい金額になる。
マージンが正規ルートの8掛けとクソ高いし、ピンはねされる事もしばしばだけどね。額が額なので俺は上得意としてソコソコ扱いはいいのだが。

マジな話、パチンコの換金よりはマトモだと思うぞ?コッチは市場での売買に出すブローカーが裏口なだけだもん。
アレ、十中八九古物商認可取ってないから、景品買取の形式でもNG、古物商法違反だ。
そのまま換金なら賭博法違反だもんな。経営者や利権の問題と、権力側がソレで遊んで換金しちゃってるから突っ込めないみたいだけどね。

とまぁこんな感じでミッドで資金に苦しむ事は無いのですよ。
その代わり食料品や加工品の類はコッチの方が格段に安い。
食料に関しては未開かつ生命反応に乏しい世界の惑星を開拓して丸ごと使って食糧生産とかしているみたいだし。資源開発の終わった惑星を弄るってのもやってるそうだ。
工業も傀儡兵のような労働力と魔法による工作処理が出来るから、純粋な物理的工業力以上に生産能力が稼げるので効率も良い。

幸か不幸か、宇宙開発の方はあまり進んでいないミッド系経済圏では近隣小惑星開発等はまだ先の話の様だ。
世界を渡るのは苦にもしないのに、宇宙空間内の航行は空間内の魔力素子量が激減する関係で敬遠していると言うのが専門家の話として雑誌に出ていた。
惑星間航行ともなると、最低でも本局の巡洋艦クラス以上の大型艦でなければ各種システムや機材の運用に十分な魔力供給が得られないとか。
エクスタスのようなデバイスが量産されればこの問題は解決するだろうが、それはオレへのリスクが無くなった時までお預けだ。
魔法技術による資源リサイクル効率が非常に高いのも資源開発が進んでいない理由のひとつかもしれない。
社会全体で見ると採掘した資源への需要が小さすぎる。需要側は宝飾や一部の消耗系、医薬品ぐらいか?




で、金下ろして適当に飯を食い、デバイスパーツの専門街を練り歩いてその日は終了。


・・・とはいかなかった。
最後に寄ったパーツショップ、ウロウロと見て出ようとしたその時
「テメェら静かにしろ!!」
右手に刃物。目つき悪いし、見た感じ頭は悪そう。前傾姿勢でウロウロと・・・。
あっぶないなぁキ印か?さっさと出んべ。

脇を抜けて後は目の前の角を抜ければ出口だって時、
「オイ待てよそこ、こら逃げんじゃねぇって言ってるだろ!!」
何で店員のネーちゃん動いてんだよ、・・・ヤベェ!
「ッ」
・・・腹が痛いのですが。慣れん事はするもんじゃないな。

「「「キャーーーーーーーーッ!?」」」



はい、如何見ても立て篭もりです。何処からともなく拡声器出して大声でなんか叫んでます。


ハァ、オレの腹赤いし・・・犯人殴ればよかったのにネーちゃん優先にしたもんで刺されちまったい。
ついでにネーちゃんはオレが刺された瞬間に自分がやられたと思って気絶。おれは突き飛ばされて通路の真ん中へ。
別にこの程度は慣れっこだけど痛い物は痛い。さすがにムカついた。
コッソリと回復魔法で傷を治しつつ店の中の様子を伺うがこれといって変化は無し。にしてもえらい野次馬の数だな、暇人共め。



どうやら外には管理局の陸士部隊も到着したらしい。でも立て篭もり開始から30分以上経ってる、遅すぎだ。
『"マスター、犯人って魔導師じゃないですよ?ほら魔力反応ゼロです"』
「"マジか、・・・普通に肉体言語で語っても勝てるな。さっきは不意を突かれたが今度はそうはい神崎!思いっきり凹っても・・・いいよな?"」
『"その行動の結果に責任が持てるならいくらでも。某社○党みたいにはならないでくださいね?"』
「"ソレ無理、やると多分○井になっちゃう。無責任放置プレイマンセー!"」
『"二人とも馬鹿な事言ってる暇があったら早く傷口塞ぎましょうよ"』
ちっ、めんどくさい。

適当に傷口を塞ぎ、とりあえず体は問題なし。あんな雑魚一匹、素手で凹にする程度余裕なのだがこうも衆人環視の中では目立ちすぎる。
ミッド人は社会基盤がしっかりしすぎなせいで体が若干脆弱だ。
海鳴のバケモノ連中に揉まれた俺が戦うと素の攻撃力が高すぎる。ちょっとぶん殴るだけで半殺しになりかねん。


にしても解決遅いなぁ。相手は複数でもなければ魔導師でもないのに・・・って野次馬が邪魔で正面から入れないのか。
あ、なるほど。これがうわさに名高い『初動が遅くてダメーポ』って奴なんだな。


と、思考の海に潜っていたオレの目に前にあまり見かけない魔方陣・・・これは召喚?違う、送喚か!!
送喚のコードが動き始めるのと同時にオレはとっさに壁際へ逃げた。魔方陣内からの反応がでかい上に犯人と魔方陣の直線状に居たからだ。

「"何送喚してくると思うよ?"」
『"式と反応量からしてやっぱり人だと思いますね。ほら、魔方陣の上に近代ベルカの陣が浮いてきましたよ?"』
監視カメラのハックもサーチャーも無しにいきなり突入か。何処の無鉄砲だ?


オレの反応に気づいたのかこっちを見て魔方陣の発生に気付き慌てふためく強盗犯。

ってそこ動くな!またオレが中心になっちまった。早く逃げないと・・・くそっ、実体化が早い!!


そして一陣の風が犯人目掛けて突っ込「プゲラッッ!!」

『『"ま、マスター!?"』』

はいはい、こうなるって分かってたさ。これでもかってぐらい気持ちよく轢かれたぜ。




「犯人確保!」

俺は無視ですかそうですか・・・ガクリッ。






再訂正しますた。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十四節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/07/30 02:05

あれ?イノシシ局員に跳ねられてガクリって逝った後・・・あ、後頭部やわらかい、膝枕確定!
レティスか?いやレティスはもっとムチフワって感じだった、コレは誰だ?


目を開けたその前には
「む、起きたのか」ウホッ、良い男!


如何みてもゼスト・グランガイツです。本当に(ry・・・チクショウ、漢にチョッピリ萌えちまったYO!!



「ナイフで刺されたと聞いたが出血がなったのでな、病院も遠かったのでこちらに運ばせてもらった」
「はぁ・・・」
オレが起きたのは地上本部、母さんの古巣のお隣さんである首都防衛隊の隊舎。
航空隊は空士が大半で、防衛隊は逆に陸士が大半を占めてるもんな。棲み分けがキッチリとされていた。仲はそれほど悪くないらしい(母さん談)。

「つまらん事を聞くがお前は魔導師なのか?」
「えぇ、どちらかと言えば研究者だと思いますが民間魔導師の登録はしてます」


「隊長、さっきの人、起きたって聞きましたけど・・・」
む、この声は・・・麻衣タソ!?って事は・・・うほ、美人!本編じゃ全く役のなかったメガーヌ発見!

「メガーヌか。ナカジマはどうした」
「轢いた時の感触だと半日は寝てる筈だからその間にと言って・・・」
「あの馬鹿が・・・すぐに連れて来い!娘が心配なのは分かるが職務はちゃんと全うしてからにしろと何度言えば・・・」
親馬鹿?クイントさん良い母親やってるんやねぇ。・・・ひき逃げは拙いと思うけど。


「坊主、コレがお前さんの轢き逃げ犯だ」
・・・猫を摘む様にクイントを突き出すゼストの旦那。

ヤベェ、旦那何してもカッコ良過ぎ。そこに痺れる憧れるだなんて次元じゃねぇ。コレがカリスマか!?

「あ、あははは・・・ゴメンナサイ。犯人しか見えてなくって君に気付くのが遅れちゃったから・・・」
「いや、別に体に支障は無いんで特に問題ないんですけど」
「そ、そう?これで実は頭が陥没してたとか障害が残ったらとか考えてたんだけど、本当に大丈夫なのね?」

『あんな程度はダメージに入りません。マスターは頑丈ですから』

「「「インテリジェントデバイス!?」」」


「オイ、エクスタス。テメェもしかしてずっと黙ってたのか!?」
『そりゃ、見知らぬ土地で倒れました~。なんて時にデバイス持ちの魔導師だったなんて知れるのは危ないじゃないですか、主に私が』
「・・・コイツ、イッペン完全にバラしてぬこ屋敷に放り込んでやろうか?忍が喜んで漁るぞ?」
『ヒ、ヒィィィッ!?そ、それだけはご勘弁を!!』


「凄い滑舌ね、ウチの娘達もコレぐらい喋ってくれば、もっと生活が華やぐんだけど・・・」
「マスターよりも自己保身優先するって一体どんな思考してるの?」
「フッ・・・」

「「た、隊長が笑った・・・」」
「笑ってはいけないのか?」
「「い、いえいえ」」
「ふむ。・・・さて坊主、少し話を聞かせてもらえないか?」

「『ぬぁ?』」





「名前はなんと言う?」
「リシェイド、リシェイド・アーリーズ。現住所は第97管理外世界、惑星名"地球"」
「魔導師ランクは?」
「登録だとC+・・・ってか、入管管理書見ながら質問するのはどうかと思いますよ?しかも俺被疑者でも何でも無いし」
「まぁそうだ。それでは本題だが・・・リシェイド、お前かなり強いだろう。その体捌きは熟練の戦士の物と同じだ」

イキナリ何を聞くつもりだこの人。
「強いだなんてとても言えませんよ。知り合いとか周囲の人間はもっと強烈ですから」
主に高町家とか高町家とか高町家とか、あと高町家とか・・・テスタロッサ家と八神家もだな。
どいつもこいつもスッピンじゃ絶対勝てねぇ。アリシアは例外だ、可愛いから。

「ねぇ、強いってどんなレベルなの?」
「えっと、ナカジマさん、でしたっけ?」
「クイントでいいわ。それで、誰がどんなレベルなのよ?」

・・・あ、母さんの事が知れたな?
「調べは付いてると思いますけど、オレの母さんは十数年前に航空隊に所属していたクレア・アーリーズ、旧姓はヴァンヘッドだったかな、この人なんで」
「やっぱり・・・一度、あの人の戦闘を見た事があるけど、あの強さはランクなんて関係ないって感じだったわ。本当にAAか怪しかったもの」
い、言われてみれば・・・最大での総魔力運用量はAAAクラスだった事が何度もあったし・・・単に認定受けてないだけか?

「管理外世界・・・あの人は空戦AAだったな、よく移住許可が下りたものだ」
「死んだオレの父さんについては管理局とちょっとワケありでして。えらいさんの一部はあまり大声で母さんを縛る事が出来ないんです」
デカイ口利いたらそれこそネットの内だけで収まったネタバレがもっと大きなメディアに載って表にまで出てきちまう。
マスコミは何だかんだでスキャンダルやゴシップが大好きだからな。
最近は大きい話題も無いし、もうチョットで時効も来るから、あと2,3年の内だと話題性十分だろう。



・・・本編じゃハラオウン一家が如何とかって話があったが、元々法律自体が穴だらけだもんな。
オレ自身は元々チート無しなら成長した今ですらB-程度の雑魚だし、母さんは三行半付けようが一応元局員。だから身元がしっかりしてるって事ですぐ許可は出た。
それに嘱託認定通れば定点監視・現地駐在員ってのがあるし、管理外世界出身者なら免除申請も比較的通りやすい。とまぁいくらでも抜け道はある。
究極はリミッターを掛けてソレを隠蔽、低魔力量の状態でランク認定試験を受ければ、ソレがそいつの能力として書類が出来る。
そうすれば仮にAAAオーバーの能力があっても、書類上はCランク程度で登録する事だって可能。後は大手を振って管理外世界に引っ越せる。
まぁ過去に登録してると次の登録作業はソレの更新になるからこのワザは使いにくい、俺もこの先更新する気無いし。
ミッド系社会下で生まれたリンカーコア持ちなら、幼少時に登録が済んでる場合が非常に多い、オレもその口だ。
魔導師登録は身分証明としてはかなり強いから、持ってると色々便利なので大抵は登録する事を優先してしまう。謂わば日本国内における車の免許と一緒。
だもんで書類上のオレの登録ランクはC+、更新した覚えはないので変わってない筈だ。


本編の方でのなのはの身柄は表現通りなら、該当者の家族とか周辺環境上の問題(現地法との兼ね合い)での転居が困難であるとか、
PT事件解決協力の謝礼(普通なら金一封)代わりやらの理由付けで本当にフリーのままで居られるようにしてたみたいだし、
そういう面ではちゃんと『考えて』仕事してたんだなと思う。嘱託だと近隣世界への出張もあるがそういった話は無かった(筈)。

とまぁ本編じゃ色々と頑張ってたクロノ執務官も、この世界じゃなのは達と情を交わす時間もネタも無かったからか、そんな甲斐性を見せる気配は無い。
と言う訳で、なのはにはあまり話してないが短期講習の受講もこの問題をクリアする為の布石のひとつ。
オレ自身は完全に失念していたが母さんがフォローしてくれたのだ、恥ずかしい限りだぜ。
合わせて嘱託認定を取れば、後は現地駐在員枠で局のデータベースに登録して終了と相成る。
近隣への出張はあっても日帰りで十分だろう。行って広域殲滅魔法を数回やって惑星単位のクリーニングで完璧だ。

ちなみにココのプレシア女史は、研究者としての資源調査名目で移住を繰り返していたらしい。海鳴は何と10回目の引越し先だったとか。



「他には誰かいるの?」
「現地で知り合った一家の面々が殆ど剣術家でコレがまた非常に強いんです。
人間の認識外の速度を体術のみで出してきて、ついでにこれまた体術のみでAランクのシールドがすり抜けられて無効化、バリアジャケットは紙切れ扱い・・・」

「え、ちょっと何それ、どんな魔法なのよ一体」
「管理外世界で魔法を使っているのか?普通なら違法だぞ」

「あ、そこの末っ子が凶悪なスペックで色々とあったんですよ。なんせ2歳の時点でAAAクラスの魔力持ちでしたから。
暴走しかけてたんでこのままじゃやばいって事で抑制する為に家族にも説明が必要だったんです」

「2歳でAAA!?今の私たちより多いの?」
ええ多いです、もう半端無く。しかも超省エネ仕様。
「ちなみに今は暫定ですけどオーバーSSSになってますよ?今度嘱託受けるんで『ナノハ・タカマチ』で確認してみれば分かります」
「SSS・・・どんな戦闘が出来るか一度手合わせ願いたいモノだ」
・・・別にいいけどさ。超えられない壁的な圧倒的スペック差に絶望するよ?
「さっき言ってた業も全部出来ますんで、ワンアクションで戦艦も楽に叩き切れると思いますけど・・・話しつけましょうか?」
「むぅ・・・今回は遠慮しておこう」
お、ゼストのオッチャン渋った。流石にビビるか。


この後、なのはの戦闘結果を知って呆然とする3人。ヨウコソ、この素敵ななのは様崇拝世界へ。


その頃のなのは様

「フェイトちゃん、嘱託試験簡単だったね~」
「うん、アレぐらいなら問題ないよね、なのは」
休憩室へ向かう二人。

その二人を見送る人影。リンディ・ハラオウンとレティ・ロウランの2提督だ。
「ねぇリンディ」
「如何したのよレティ、そんな青い顔して」
「コレ見てそんな事いえるの?」

モニターの先、死屍累々と横たわる本局主力艦隊所属の陸戦隊エース陣。最低でもAAA-、最高はSS+の猛者共なのだが・・・。
「フェイトちゃんは良いのよ、お宅のクロノ執務官とガチンコで終わったから。けど、なのはちゃんはちょっと・・・」
「そうねぇ・・・流石に部隊平均S-じゃ太刀打ちできないのかしら」
軽く流すリンディとは対照的に興奮し始めるレティ。
「何言ってるの!一個中隊が10分も経たずに壊滅よ!?砲撃すれば分隊単位で吹き飛ぶし、バインドの類は全部力技でキャンセル。
あの子の周囲を覆う分厚いガンスフィアの壁を越えた先には認識外速度で迫りバリアジャケットが無意味となる斬撃の嵐。いくらなんでも強すぎ!!」
「・・・なのはさん、アレで本気じゃないのよ。広域殲滅して無いでしょ?
前にアースラが堕ちそうになった時は砲撃の出力も今回の2倍は出てたしそれでも全力じゃないって聞いたわ」
「え、ちょっと待って・・・アースラ堕ちそうになったの!?」
「あら、言ってなかったかしら。色々あってあの子の砲撃射線上に乗っちゃったのよ。あの子の師匠って子が防いでくれたけど」
「・・・ソレはソレでどんなバケモノよ。聞くのが馬鹿らしくなって来たわ」


戻ってなのは様
「数時間後には試験結果が出て、明後日にはミッドチルダ入りなんだよね?」
「そうだね。私も小さい時にちょっと居ただけだから殆ど覚えてないけど良い所だよ」
「そういえばさっきの人達、陸戦隊って言ってたから私の世界だと海兵隊と同じだよね?
もっと強いと思ってたけどあまり手応え無かったし、アレぐらいでヘバッてたら海鳴じゃ日常生活もできないよ」
「・・・ソレはなのはの回りだけだと思う。って言うかリシェイドさんだけじゃかな、あそこまで扱い悪いのは」
「フニャ!?」




次回新キャラ!?



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十五節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/08/01 00:33
で、雑談しながら気付くと17時・・・。なんか腹減った。
「ねぇリシェイド君、お詫びもかねて食事出すから今夜ウチに来ない?奮発するわよ、ちょっとお話もしたいし」
「へ?」
ちょ、おま。
ここでわんこスバルとフラグ立て!?ギンガさんなんて素敵な有望株も居るしオジチャン悩んじゃうな~。

今手ぇ出したらロリコンの烙印とクイントの鉄拳制裁がプレゼントされるね。後、なのはにばれれば収束砲で跡形も無く蒸発かな?


「あら、着信・・・家から?」
クイントの携帯に着信・・・仕事中ぐらいマナーモードにしろよ。

「如何したのモミジ、そんな顔して」

モミジ?・・・誰ですかソレ、ココで新キャラ投入?収拾付かんにも程があるぞ。アリシアといい数の子団といい・・・。

「"おかーさん、いつものところにお菓子無いよ?ギンガとスバルが騒ぎ出しちゃった"」
「えぇ!?おっかしいなぁ、まだあったと思ったんだけど、仕方ないわねぇ・・・冷蔵庫にケーキあるからそれ食べていいわ。
母さんも、もうちょっとでお仕事終わるからそれまでは大人しく、ね?」
「"は~い"」
「今晩はちょっと奮発するから楽しみにしてなさいって、ギンガとスバルにも言っておいてね」
「"うん、それじゃ気をつけてね"」

声もちょっと記憶にないタイプか?・・・ん、なんか母さんに似てる様な気がすんだが、気のせいか。


「ごめんねー、色々手伝わせちゃって」
「イエイエ、晩飯代が浮くんでコッチとしても助かりますからお互い様って事で」
シーンは変わって戻り道。隊舎からナマジマ家に向かう途中で買い物に付き合い、テクテク歩く。最寄り駅までもソコソコあったが駅からもまた・・・飛びてぇ。

「着いたわ、ココよ。さ、上がって頂戴」
普通に庭付き一戸建て、広さは・・・土地が180位に建坪40位って所か、結構広いな。
ちょっと郊外だから買えたんだろうけど、局員の給料って安そうだし、負担がでかい様な・・・共働きで、両方とも尉官だからそれ程でもないか?

「ただいまー、みんなの大好きなお母さんが帰ってきたぞ~!」
「「「おかえりなさ~いっ!!」」」

トコトコと足音が三つ、やっぱり3人いるのね。
ギンガ、スバルは良いとして、問題はまた区の新出キャラであるモミジ。コレがどんな存在かでかなり話が変わるだろう。
もし実子ならソレはソレでハァハァだがもし戦闘機人となるとややこしくなる。本編のギンガのような事にならん様気をつけないといかんし。


「おかーさん、この人は?」
質問してくるのは一人だけ黒い髪の女の子。後ろの二人は髪の色がクイントそっくりだからギンガとスバルだな。と云うことはコイツがモミジか。
「あぁ、お客さんよ。リビングまでご案内してね」
「は~い。おにーさん、いらっしゃいませ。こちらへど~ぞ」
「おう、お邪魔すんぞ。嬢ちゃん、名前はなんて云うんだ?」
「私、モミジ・ナカジマ、8歳になります」
む、確かギンガが7歳の筈だから一つ上。スバルが二人の姉を持つのか。見た感じモミジの方は運動苦手そうだから如何変わるやら。

待てよ、と云う事はコイツはタイプゼロと呼ばれた二人よりも年上になるんだから・・・まさか技術試験機!?

「8歳か、オレの妹分達が今9歳何だがそう変わらんな。お母さん忙しいから苦労してるだろう」
「ううん。お母さん優しいし、ちゃんと私たちの事全部やってそれからお仕事してるから、私たちよりお母さんの方が心配だよ」
賢い、普通に賢い。原作のなのは並に周囲を見てやがる。妹二人もいるから余計に拍車が掛かっているのか?


とモミジと話している内にクイントは料理に掛かっていた。

「あ、そうだリシェイド君、食事終わったらちょっと話がしたいんだけど、良い?」
「時間に追われる身ではないんで幾らでも構いませんよ」


で、完成した料理がテーブルに・・・
「く、クイントさん」
「あれ、如何した少年、もっと食べないと成長しないぞ?」
いや、ね?
「ハグッ!ムシャムシャ・・・ゴクッ!」
「ガフッ!ハグハグハグハグ・・・ッハ~!!」
「パクッ!モクモクモクモク・・・コクン」

あっという間に山盛りのパスタやサラダ、寄せ揚げ等の山(比喩に非ず!!)がどんどん小さくなっていく。
その量、最低でも10キロは下らんだろう。帰りに持っていたパスタの乾麺は全部で6kg。茹でれば質量が膨れ上がって2倍近くになるから・・・冗談じゃねぇよ。

「・・・あの三人は気にしちゃだめだよ。おと~さんもそう言ってた」
「おまえは・・・食えんよなぁ普通なら」
エンゲル係数が気になるな。どんな真っ赤なラインが引かれるんだ?
それにしても、モミジを見てるとどうもフレームや各アクチュエータ等の駆動部の雰囲気に違和感を覚える。何かあるのか?
一生懸命お姉さんしようと頑張ってる様なのだが所謂『ドジっ子』状態、こけなくて良い所で普通にこける。
他にもフォークが急に握りがきつくなってひん曲がったりとかなりヤバイ。設定ミスったノエル並だ。




「あの子達も落ち着いたみたいね」
「それで、話って何です?」
それから数時間後、チビ達が疲れて自分達の部屋に移った所で密談タイムと相成った。

「率直に言うわ。あの子達を見て如何思った?」
「・・・ハッキリ言っても?」
「構わないわ」
言うべきか、言わざるべきか・・・でもモミジはやばいよなぁ、それにもう一つ気になる点もあるし。

「あの子達、かなり体に手を入れてますね、それも只のインプラントやサイバネティックどころじゃない。
完全な『義体』といった方が良いぐらいのレベルで処理が施されてる。皮膚の質感や各感覚器官の質感も生の人間とは若干アクションが違うようだったし」

「・・・初見でそこまで見抜くか。君、私たちに隠してる事まだまだ一杯あるでしょ」
「まぁ、人間それなりに秘密ってのは持ってるものですよ。それに機械の体ってのは色々とワケ有りでして。
あぁ人体実験の類は一切無いです。アンドロイドとか傀儡兵の延長ですから」
「まぁそれは良いわ。で、あの子達なんだけど、扱い上は『戦闘機人』って云う風に分類される兵器の一種になるの。
初めは不憫そうだからって引き取ったんだけど・・・後は見ての通り、情も湧い懐き懐かれ本当の家族になっちゃった。
でも相変わらず一方的な見方しか出来ない奴もいてね・・・実験だの調査だのとクダグダ喚く馬鹿が後を絶たなくてね」
殺気ピリピリは落ち着かないので勘弁してくさい。
「いや、言ってる事自体は別に間違っちゃいないと思いますよ?俺としちゃ、あの技術がスピンオフ・フィードバックされて
義手義足の類が安価かつ簡単に手に入るってなればソレはソレで社会貢献になりますし、ソレと引き換えに只でメンテナンスさせるとかお零れも預かれますから」

必要悪ってのもあるのよ?どうしてもってなら別にオレは気にしない。
まぁ、スの字と言うかプロジェクトFATE系の技術者って、やってる事が外道過ぎるんだよね。だから嫌い。

「一つ聞いても?」
「何かしら」
「モミジ、あの子のDNAマスターってオレの母さんですよね?時々見せる仕草の一つ一つや、体の各パーツのデザインが殆ど一緒だったから驚きましたよ」
「そうよ。ちなみに下の二人は何処から漏れたのか私のDNAがベースになっているの。ハァ・・・コレも神様の思し召しって事なのかしらね」
そう言ってあのチビ達を確保した時の事を語ってくれた。




ある施設の制圧、前衛の行動にあわせて援護の砲撃が降り続けるそんな中、前衛組であるクイントは施設内部へ侵入。

適当にガードロボットを叩き壊しながら奥に進んだ所で今のギンガとスバルを発見。
保護しようとした所、何処からか気配を感じたらしい。
その気配が気になって、チビっ子二人を後発組に預けて更に奥へ進むと倉庫らしき空間が見えてきて、そこには生体保存ポッドに浮かぶモミジの姿があったそうだ。

引き上げ後、本編同様マリエル・アテンザ技官によって検査に掛けられ3人共『戦闘機人』である事が発覚。
ポッドから出たモミジだが外見上は異常は無いが、内部のフレームや各機械系のステータスは劣悪で、日常生活レベルで稼動するのが精一杯らしい。

「そうですか・・・」
「えぇ、技官の話だとギンガやスバルと同じ設計仕様なら局内でパーツの製造も不可能じゃないらしいんだけど、
その仕様からして違うから技術的に穴がありすぎてあの子を治す事が出来ないの」

・・・今のオレ、いや海鳴の科学力ならどうにかできるかもしれん。だが、して良いのか?
場合によっちゃスの字にオレが確保している技術が漏れかねんし。でも・・・
「あの子、母さんのDNAをベースに弄った体だからオレの妹に当たるんですよね」
「えぇ、今日あなたとあんな風に会った時には運命すら感じたわ。モミジを救ってくれる王子様がやって来たって。
あの子、下の二人と違って私とは血も繋がってない事に気付いちゃったみたいでね。隠そうとはしてるけど結構気にもしているのよ」
母親ってのは子供が一生懸命隠そうとしても気付くんやねぇ。やっぱり偉大だわ。


「クイントさん。あの子、モミジに全部話してお預かりしても良いですか?」
「・・・聞くのは野暮かもしれないけど、如何する気?」
「折角の兄妹にめぐり合えたんだ。兄貴が妹を幸せにするぐらいしてやらないと。
オレにはあの体を治すだけの知識も財もあるし、それに母さんにも会わせてあげたいと思いまして。娘が欲しかったって言った事も何度かありますから」

「そう・・・良いわ。明日改めてあの子も交えて決めましょう。それで良い?」
「はい。あの子の意思は尊重したいですし。・・・そういえば旦那さんっているんですよね?」
ゲンヤがいねぇ。もう夜も遅い。ボチボチ帰ってきても良い頃の筈だが・・・"バサッ"!?

「あ、あぁ・・・」
「え、ちょっとあなた如何したの?」
お、若かりし頃のゲンヤ・ナカジマめっけ。思いっきりテンパってるけど気にしない。

「く、クイント、お前・・・」
「クス、何如何したの?私が綺麗なのは何時もの事でしょ?」


「ち、チクショウ!クイントが不倫したー!!」
「ちょ、えぇ!?」


オレは家庭内の事情には入り込みたくないので無責任だがメモを残してさっさと退散。
で、ホテルへの道中で気付いたんだがモミジの声って母さんと言うか、皆口ヴォイスなんだよ。チョッチ萌えちゃったい、本人はイイ年だがな。



ちなみにこの後、大暴走したゲンヤのオッチャンを先回りしたクイントが取り押さえ、膝詰談判でどうにか疑惑の解消となりましたとさ。
その後、二人の寝室からはぬこの鳴き声が一晩中聞こえたそうな。お盛んですなぁ。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十六節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:ad585f55
Date: 2008/08/01 00:32

「それじゃ、モミジちゃん預かりますんで」
「えぇ、余程の事がない限りは大丈夫の筈。入出国管理の方の書類も出来てるから」
アレから3日、モミジの方もコッチの話に納得したのか一緒に来てくれる事になった。




「モミジ、ちょっとお話があるんだけど、いいかな」
「如何したの?おかーさん」
リビングにはオレとクイント、モミジの3人、ギンガとスバルはまだ寝ていた。
学校は9時からなので問題はない・・・筈。

「おう、今日も朝からお邪魔してんぞ」
「あ、リシェイドさんお早うございます」
「モミジ、母さんお前に話してない事があるんだ」
「・・・うん」
少し雰囲気が暗くなる。やはり気付いていたらしい。
遂に自分の母親から明かされるのかと思い寂しそうな表情が浮かんでくる。


「もう薄々気付いていたとは思うけど、私とモミジの間に遺伝子的な繋がりはない、全くの他人なの」
「うん。・・・なんとなく、何となくだけど知ってた。3人と違って私だけ髪の色黒いし、雰囲気も私だけちょっと違うから」
「本題はそこじゃないんだけどね」
「え?」
キョトンとするモミジとその表情を見て苦笑いするクイント。

「リシェイド君ね、実はお前のお兄さんだって言ったら如何する?」
「へ?・・・えぇ!?」
「なんか、そう云う事らしいんだ。にしてもこの歳で妹が出来るなんて思わなかったぞ」
「まぁ普通なら驚くわよね」
「そ、ソレってどういう事なの?おかーさん!」
「う~ん、モミジの体にある遺伝子のマスターね、リシェイド君のお母さんの物なのよ。
ほら、前の検査でデータ吸い上げたでしょ?あの時に局のデータベースに合致してね。
それで何処の誰の遺伝子が元になってるか分かったの。リシェイド君に会ったのは偶然なんだけどね」

ポカーンとするモミジと少し困った表情で微笑んでいるクイント、そしてケタケタと笑っているリシェイド。
「ハハッ、あの時あそこで立てこもりでも起きなきゃオレはクイントさんと会う事なんて無かったからな。
あれだ、神様の思し召しって奴だと思うぞ?無神論者のオレでも少しいるのかなって思ったさ。
でだモミジ、お前、もう一人の『お母さん』に会いたくはないか?」
「あ、会えるの!?」
「ミッド在住じゃないけどな。まだまだ若いし、昔はもう一人子供が欲しかったなんて言ってる人だ。喜んで迎えてくれると思うぞ」
「リシェイド君はミッドでの用も済んだって話で何時でも帰れちゃうんだけど、お前が会いたいって言うなら母さん準備してやるから。で如何する?」

「・・・私、会いたいかな。クイント母さんには優しくしてもらえたし、こんな体だけどずっと嫌な顔一つしないで面倒見てくれたから本当に感謝してる。
けど、やっぱり自分のルーツも知りたい。こんな私にだって『人』の血が入ってる。自分の血のルーツが知りたいよ」




で、もみじを連れて二人で海鳴に戻ってきた。8月も既に第2週。なのは達は陸士訓練校の短期教習を受けている事だろう。
あの母さんとオレに扱かれたなのはに、教官共が教えられる事があるとは思えんが。


「ここが、私のもう一人のお母さんが住んでる所・・・」
「あぁ、もう10年になる。オレはミッド生まれだが、どっちかと言えばコッチの人間だと思ってるぐらいだ。さて、行くか」
「うん。よろしくお願いします、リシェイドさん」


「ただいま、母さん」
「お帰り。3日も滞在伸ばすだなんて、一体如何したの?もしかしてガールフレン・・・え!?」
モミジの人影が視界に入った途端顔色が驚き一色に染まる母さん。自分の押さないときに瓜二つじゃ・・・ねぇ?

「あ、えっとはじめまして。モミジ・ナカジマといいます」
「・・・ちょっとワケ有りで連れてきた」
「そ、そう。とりあえず上がって。ゆっくり話は聞くから」



「・・・そう、私の遺伝子が」
「あぁ、どうやら局の冷凍保存パッケージから持ち出されたらしい。物は無くなっていたけど履歴やらは綺麗に消されていたとか」
「防衛隊のクイント・ナカジマ?だったかしら、その人の遺伝子でも2人『戦闘機人』作られてるって言うならほぼ確定だわ。
やっぱり管理局内部には何かある。暗く汚い闇が潜んでるのね」
「ソレもかなり上層部、下手をすれば政治家クラスの人間も怪しいと思う。メインは地上側かな?」
「え・・・と、なにやら話が大きくなってませんか?」
あ、素で危機管理雑談になってた。


「ねぇモミジちゃん、ちょっとこっちに寄ってくれる?」
「へ?あ、はい」
母さんがモミジを呼び寄せ、2人がけのソファーに並ぶ。
「何ていうか、私の小さい頃にそっくりなんだけどもう一人付いた様なそんな感じかしら。
うん、モミジちゃん可愛いわ・・・クローンとは言うけどやっぱり色々と違うし、この丸っこさは私には無かったから」

そこから両腕を回してモミジを大事そうに抱きしめる。

「え?」

「ごめんね。チョットだけこうさせて・・・」
そういいながら慈しむかのように互いの鼓動を確認するように抱き合った状態になった。
「・・・あったかい」
「モミジちゃんもあったかいわ。・・・娘ってこんな感じなのかしら、なんだか悔しいわね。
もう少し仕事を続けていたらこの子を助けたのは私だったかもしれないのに。生まれ方は違ってても私の娘だものね・・・不甲斐ない母親で、本当にごめんね」
「あ・・・」
母さんの眼には薄らとだが涙も浮かびしかし表情はとても悔しそうだった。
モミジがこれまでに受けた不遇な生まれと日々に対しての悲しみと元凶への憎しみが交錯したのだろう。

「く、クレアさん」
「ん?どうしたの?」
「む、『娘』って・・・そんなこと言って良いんですか?」
「誰が気にするって言うの?」
「え、だって私『戦闘機人』なんですよ?普通の人間とは程遠いんですよ?あなたのクローンなんですよ?」
「そんな事、別に関係ないわ。私の血が入っていて私より小さいのだからソレは私の子供。これで十分じゃない」
「私なんかが、あなたを『お母さん』って呼んでも・・・良いんですか?」
「何言ってるの、あなたはリシェイドと同じ、私の娘。ソレは絶対に変わらない決定事項なのよ」

「あ、あぁ・・・」
「ほら、泣きたいなら泣きなさい。今まで溜め込んだ涙をここで吐き出しなさい。母さんが全部受け止めてあげるから」



「う、ウワァァァァァーーーーーーーーーーーーーッ!!」



・・・俺もああやって甘えたんだっけ。母さんの器は大きすぎる、オレやモミジは本当にいい母親を持ったもんだ。

野暮だから外に出るか。ココでタバコの一つでも吹かせば絵になったんだろうが、
生憎未成年だしどうもタバコの匂いは好きになれん。コンビニで時間でも潰すべ。



結局モミジは小一時間泣いて叫んで全てを吐き出して、落ち着いた頃には懐いたぬこのように母さんに甘え、擦り寄っていた。
「えへへへ・・・おか~さん」
「本当に甘えん坊ね、モミジは」
「うん!」




「で?お前は如何するつもりなの?連れてきてくれたのは嬉しいけどそれだけじゃないんでしょ?」
「あぁ、とりあえずレティス用アクティブボディの設計と基礎システムが出来上がったから月村の所といっしょに一気に仕上げるつもり。
資材も殆ど揃ってるから一ヶ月も掛からないかな。ソレが終わったらモミジの体を治そうと思う」
「私の体の事、解かるんですか?」
不思議そうにコッチを見るモミジ。管理局がデータ不足だって音を上げた物を治せるとは思ってないらしい。
「広い次元世界の中にはな、管理局すら凌駕する知識や技術がいくらでも転がってるって事さ。それに治すというよりも総入れ替えだ。
人間の成長と同様に拡張するフレームなのは勿論、圧倒的かつ高い安定性を誇るエネルギー系、そして魔導師としての能力。
ココにはその全てをクリアできるだけの知識や技術が集まっている。管理外世界を甞めるなって事だ」



レティスのアクティブボディはアイツが管理世界下で活動する為にオレと忍の奴とで企画・設計・開発を進めている物だ。
元々忍へはリアクタの供与や各種治金・材料工学やシステム工学の技術供与を行っていた。
そして忍の奴はオレが供与した物を自分が持っている機械・電子工学や人間工学、そして夜の一族の知識を併せてノエルやファリンを整備・改良していた。
エクスタス他、各デバイス達のインターフェースや物理的な内部構造に関しては忍の知識をかなり借りている。

互いに小出ししていたカードだったが知識欲と『マッドの心得』に理性が負け、互いの全てをぶちまけちまった。


そしてオレ達の持てる全てで開発を進めたのがレティスのアクティブボディという訳だ。


このボディの駆動そのものはレティス本人の擬似リンカーコアがベースなのだが、ロジカル側の能力をカバーする為に超小型融合炉も一基搭載している。
全身を構成するフレームはカートリッジシステム等魔力の長期貯蔵向けで使う魔力吸着物質に手を加えて保存・開放のコントロールの容易化を行い、
魔力保存時には圧倒的な強度を誇れるように仕立て上げた。またコレによってピークパワーはかなりの出力が稼げている。
フレーム強度の兼ね合いもあるし、何よりレティス自身の擬似コアは元々魔力生成が容量に見合うだけ生成できる訳じゃないから
大した性能でもないのだが、それでも瞬間最大出力なら100万程度まで出力が得られる。クロノより気持ち弱いぐらいか。
ちなみに、魔力チャンバーは活性化した状態で短時間しかキープできない。だからこう云う仕様では供給源が元々小さいから運用は出来ない。

魔力不足時には防御力が落ちる為、代替防衛手段として膨大なエネルギーを誇る融合炉を利用し、擬似結界を外皮の外側に向けて形成できるようにした。
コレによって9パラはおろか7.63NATO弾程度までなら大体防げる、
レオパルドA5のショト装甲のような防御効果が得られた。表層で弾き、もし入ったら最終装甲までに弾頭の突入軸を捻じ曲げて止めるのだ。

ノエルの改装でも同様の装備が搭載され、実際に月村家内警備システムで実験済みだとか。
そう言えば恭也の飛針は防げなかったらしい。見事に外皮に突き刺さったとか・・・ソレはそれで微妙だ。恭也のスペックがマジでアホみたいにつえぇ。


また、ノエルに施された改良処置の際に得られたデータを下に、オレのオプションパーツの一部(バリアジャケットに引っ付くタイプの物)が装備可能とした。
このボディ自体がデバイスの様な物なので改めて別の物を用意する必要も無い。



擬似結界による外装保護やフレームの構造設計にはかなり忍の知識を借りた。
代わりにノエルのオプション作るの手伝わされたんだが・・・なんだよスト○イカーパックって、シルエッ○パックって・・・。テメェもネタ脳かよ。
あれか、○ールストラ○クノエルとかランチ○ースト○イクノエルとかになるんか?

ガ○ダムネタはそろそろ止めねぇか?と問いて、でそれに対する返答はといえば

「何言ってるのよ!?最終目標はあのなのはちゃんをも倒せる最強リアルロボットなのよ!!」
V2○Bなのはを倒せるバケモノって一体どんなのだよ・・・。一人で全次元世界を制覇する気か?その果てはデコ後退型禿のDr.Wだぞ・・・。



で、モミジのリプレースユニットの話に戻る。
「幸運な事に、次元世界には自然界に極少量分布する、ある波形の魔力を供給された状態で炭素を加えてやると
勝手に取り込んで組成変異させて任意に増殖するだなんていう、素晴らしい生体部品が存在する」

「あ」
「そう、お前やギンガ、スバルにも使われているアレだ」
ネイティブな生体部品だなんて無理だって思ってた俺が浅はかでしたよ、えぇ。ある所にはあるもんですね、ちょっと嫉妬。
しかも義手義足の材料用途向けに普通に市場流通してるから驚いた。極一部の次元世界でしか取れないらしいけどな。


「で、レティスのアクティブボディ開発で得た情報や技術を元にもうチット手を加えて、
お前を普通の人間と寸分違わない外見と生理反応が出来る体にしてやる。流石に内臓系は無理だがな」
今のナノマシン技術では精々人工皮膚の代わりが精一杯だ。とてもじゃないが内部フレームや臓器まではエミュレーション出来ん。
だがコレでパッと見は普通の人間と全く変わらない体に出来る。
脳や脊椎は既に固定処理とパッケージ化が済んでるから移植も簡単に出来そうだ。電脳化じゃ無い所が外道臭いが気にしない。
精神のデジタル化は夜天の書のキャプチャー機能ですら実現してないからな。所詮アレはアナログデータを丸ごとパッケージ化したに過ぎん。

にしても不思議な存在なんだよな。モミジって。
戦闘機人はインヒューレントスキルによるアクションが基本だ。これはオレみたいな魔力炉の技術が無いスの字だからとった道なのだろうが。
でも、モミジにそんな能力は一切確認できない。人を上回る筋力・髄力・反応力は得られているがそれ以上は無いとの調査結果が出たそうだ。

で、リンカーコアがあるのかと聞かれればNo。正確には魔力がリンカーコアに保存できない体質だった。
コアの容量自体は母さん同様AA以上程度あったんだがな。

そんな情報から導き出したオレの予想
『戦闘機人と人造魔導師のコンバーチブル体』
遺伝子調整を行ってから人造魔導師素体として育成、レリック等の発現体との相性が悪ければ戦闘機人にして戦力とする。
工業的に増やせる有機的戦力としては恐らく一番望ましい形だろう。量産体制になった時に製造過程でリスクが減るからな。

だが、モミジはソレに失敗したらしい。

遺伝子の元は母さんだから素材としては十分な筈だ。
遺伝子を弄った際に余計な事までしたのだろうか、そのせいでリンカーコアに魔力が貯められない体になってしまった様だ。
で、体に手を入れて戦闘機人にしたのは良いが、当時の技術では素体と機械部品との相性も悪かったのか、ISが発現しない。
コレについては憶測の域を出ないが、汲み上げた傍から溢れ続ける魔力によってISの発現を阻害しているか、
あるいは母さんの遺伝子がそもそもこの手のに向いていない可能性もある。

先天能力なんてのはどっちかっていえばさ○なみ寮の連中向けな言葉だ。HGSなんて視線変えれば本来の意味でのISだろ?
本当に持ってない奴に持たせようって時点でどうかしてると思うのは俺だけだろうか。

モミジより後で作られたであろうギンガやスバルにその傾向が見られないから恐らく無理だと判断したのかもしれない。
皮肉にもソレが正解だった様であの二人は普通に魔法が使えるから世の中如何転ぶかわからん物だ。

それにモミジの『開発思想』が実現しているなら、本編でそういったネタが出ていてもおかしくない。


「と云う事で期待しとけ」
「あ、ありがとうございます。リシェイドさん!!」
「・・・母さんの事は『おか~さん』だなんて猫なで声で呼ぶのにオレは他人扱いか・・・寂しいねぇ」
ちょっと壁際にしゃがみこんで拗ねてみる。ずっと蚊帳の外だったんだからもうちょっとサービスしてもいいと思うんだよ?俺としては。
「え?えぇ!?」
「こう云う子なのよ、あなたのお兄さんは」


その後、照れているのかモジモジしながら上目遣いで小さく一言。
「お、お兄ちゃん、・・・ありがとう」



「クゥ!!・・・我一生に一片の悔いも無し!!」
アァ、コレこそ『癒し』!なのはやフェイトのようなガッツ溢れる奴には出来ない神秘の力!!



「ねぇ、見たアルフ?」
「あぁ。バッチリだよアリシア」
アーリーズ家の脇で静かに蠢く二人の影、お留守番組のアリシアとアルフだ。

「なのはちゃんやフェイトがいない間にあんな事になってるなんて、コレは問題だよね?声が聞こえなかったのは痛いけど」
「場所が場所なだけにノイズが大きいからしょうがないさ。とりあえずメール送っとこうよ。録画もバッチリだ」
「流石フェイトの使い魔!!」



問題にして欲しく無いです。マジで。



「はやては如何するんだい?」
「あの黒髪の子、まだ小さいから関係ないでしょ。オッパイ魔人のはやてには」
「・・・そうだったね。アタシも散々、散々・・・うぅ」
「ほら、泣かないの。リニスがちゃんと雷落としたでしょ?」


・・・八神はやてそしてリニス、一体ナニをした!?



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十七節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:f0973726
Date: 2008/08/02 13:38
子ネタ編



8月**日

『ミッドよ、私は帰ってきたぁ!!』


「・・・久しぶりに聞いたね。ネタ」
「そうだね、しかも一度も来た事無いソードオブオースが言ってる筈なのに、凄く迫力と言うか説得力があるような」
「所謂『中の人』効果だと思うよ」


初めての人には『はじめまして』、久しぶりの人には『こんにちわ』。私、高町なのはです。

先日の嘱託認定試験はフェイトちゃん共々無事通過。私は文句なしのSSS、フェイトちゃんも空戦S+認定を取得する事が出来ました。

フェイトちゃんの判決も簡略式で済まされて書類も殆ど時間は掛からずに終わり、アレから二日後、ついに私達はミッドチルダに降り立ったのです。


が・・・


「イキナリ大声でネタやられると新鮮さとか緊張感とか全部台無しになるよね」
「うん、でも緊張も解れたからソレはそれで良いと思うよ?」
フェイトちゃんはこう言ってフォローしているのですが
『何を言ってる!この声でこのネタをやらねば、あとは何をしろと!?』
こんな馬鹿な事ばっかり言ってます。フォローの意味が全くありません。

「でも、SOOは射撃系の術式を運用しないから『フッ、無限バンダナだ』は出来ないよ?」
『ぬ、ぬかった!?』
『ハッ、ネタに溺れて溺死しろ』
「ブレイブハート、あまり調子に乗ってると怒るよ?
それにどうせこの作品中じゃそれ以外のネタの運用は難しいんだから少しは自重しないと」


『無様だな』
『あぁ、互いに、な』


ナニがなにやら・・・とりあえずソレはさておいて、

「何処へ行けば良いんだっけ?」
「たしか、直接訓練校の方へ行けば良いって言ってたような。宿泊も寮なんだよね」
そのままタクシーに乗り指定された訓練校へ向かう私達二人。

ちなみに、今回の受講は『任意』と云う事になっているからミッド滞在中にかかる費用は全て私費で賄わなければなりません。
私にそんなお金は無いという事で、今回使うお金は全てシェイおにーちゃんのポケットマネーから出ていて、
シェイおにーちゃんは笑って『頑張って来い、金は気にするな。任せろ』と言ってカードを一枚渡してくれました。本当に頭が上がりません。

「リシェイドさんも豪快と言うか太っ腹と言うか凄いね」
「うん。小さい時からずっと面倒見たりしてくれたし、BHやSOOを作ってくれたのもそう。
今回のだってシェイおにーちゃんがいなかったらこんな悠々と出来なかっただろうし・・・本当にお世話になりっぱなし」
物心付いた時には何時も近くにいて、今もこうやってお世話になってしまっている。


ジュエルシードの一件が過ぎ、嘱託で働くようになると決まった時、ようやく今までの御礼が少しでも出来るようになれるんだと思いました。
アーリーズ家で学んだ知識で社会貢献してあの人達の想いが少しでも外に伝えられると。そう意気込んで遥々ミッドまで勉強に来たのですが・・・。


「あぁ、あんたらが。話は聞いとるよ。ほらこっちじゃ」
イキナリ空回りです。ゲートに居るべき衛兵は居らず、留守番に『退役将校が二次職斡旋で入りました』な香りがするおじいさんが一人。
身のこなしや雰囲気からそれなりの人物なのかなとも思いましたが、今では単なる好々爺のようです。


「ココが御嬢ちゃん達の部屋じゃ。鍵はコレ、無くすと任官組と同じ罰則じゃから気をつけいよ?」
「「ハイッ、ありがとうございました!」」

おじいさんとはこれでお別れらしく、この後施設内案内と言うか最初の訓練参加の為の呼び出しが来るそうです。
「訓練って言うけど、シェイおにーちゃん達やリニスさんクラスは望めないよね?」
「う~ん、座学は結構面白そうだと思う。実技はまず無理だよね」

フェイトちゃんやアリシアちゃんと話す様になって、リニスさんにも訓練を手伝って貰えるようになると
今までどれほど凄い事をしてきたかが今更分かったようなそんな感じになりました。
根本的なところ、私の砲撃に耐えれる人自体が全次元世界中に何人も居ないのですから・・・。


"コンコンッ"


「あ、はい今出ます」
ノックに気付きドアを開けるとそこには訓練生の制服を纏った女の人が。リンカーコアの気配が無いから事務方かな?

「案内を任されています、オーリス3期生です。二人ともよろしく」
「あ、よろしくお願いします。私、高町なのはといいます」
「こ、こちらこそよろしく。フェイト・テスタロッサです」
オーリスさんは背も結構高く、服装をスーツにして遠めに見れば多分その辺のキャリアウーマンと呼ばれるような人に見えてしまいそうです。


そんな覇気があるオーリスさんに連れられて向かった先は屋外演習場。
そこでは陸士候補生であろう人達が泥まみれになって実働演習を行っていました。
演習場のワキには指揮車やテントがあって、オーリスさんもこの後そこで演習内で指揮に参加するそうです。


「校長、例の二人を連れてまいりました」
「あら、ありがとう。それじゃあ下がっていいわ。オーリスさん、この演習で最後だから気を緩めないで、終われば卒業まではすぐだから頑張りなさい」
「はっ、ありがとうございます」

オーリスさんに案内されたテントには趣の良い感じの『老婦人』な制服の人と教官らしき人が多数。私達の様な外来の人も居るようです。
挨拶していた人には「校長」って言ってたからこの人がこの場では一番偉いのかな?

「二人とも、はじめまして。私がこの学校でトップのファーン・コラードよ。ようこそ、陸士訓練校へ」






で、演習終了後
「・・・なんでこうなったのかな」
「やっぱり歳相応じゃないから?なのはのSSSなんて反則って言葉すら生ぬるいと思うよ。
SSSは普通ならオーバーSの人が10年以上かけて段階的に強くなって、それでも得られない高すぎるって言われる最終目標の筈だから」



「今期最後の見せ場も終わった今日この日、何とゲストが来た。ソレも全次元世界に10人も居ないSSSとその友達のS+、しかも御年8歳がだ!!」
「「「「「Sir Yes Sir!!」」」」」
「そこで今回出迎え代わりの歓迎模擬戦となったわけだが・・・あろう事か情けを掛けられて向こうは空戦封印と来たもんだ。オレ達が甞められている。貴様ら悔しいか!?」
「「「「「Sir Yes Sir!!」」」」」
「テメーラ!あのガキ共に陸士の意地を見せてやれ!!民間人だからって遠慮は要らん。本気でぶちのめせ!!」
「「「「「Sir Yes Sir!!」」」」」



場所は移って会場内、私とフェイトちゃんのスタート地点。
「・・・凄い事になっちゃってるよね」
「でも面白いと思うよ?市街地戦なんてやる事無いから」
会場は廃棄区画の一角、建物が多く残っている所です。

「そうだね。御神の業が何処まで通用するか・・・楽しみだね、SOO」
『うむ、ようやく私の時代が来たのだな』
『くっ、私の出番が無いだと!?』
「飽きてきたら足場確保して空間殲滅で消し飛ばすからBHの出番もちゃんと有ると思うし安心していいよ」
『『ど、ド外道め・・・』』


「なのは、鋼線や飛針はダメだよ?」
「大丈夫、運営側とさっき確認してレギュレーション違反じゃないって理解してもらえたから」
ただのワイヤーと針って認識したみたいです。御神の業はコレが無くっちゃ始まらないのですが・・・。


「・・・2、1、状況、開始!」



そして模擬戦開始から20分経過。

正面、6階建てビル内に反応6。気配を消して接近、鋼線で最後尾を固めて峰打ちで〆「え、ちょまっ・・・ガクッ」る。
相手側が進入に使った外壁をSOOを使って魔力衝撃で破壊、退路を塞ぐ。この時ようやく襲われた事に気付いたようです。もう遅いよ?

屋内戦なのにバラバラに構えている所へ隣のフロアまで接近、窓枠越しに鋼線と飛針で前衛2名の身を拘束。
「はぁぁぁぁ!!」
壁をぶち抜いて飛び出しSOOで一閃、魔力量AA+の負荷がされた斬撃で薙旋を打ち込んで一個分隊処理完了です。

「フェイトちゃん、コッチ終わったよ」
「"うん、こっちも今片付いた"」
「コレで何チーム仕留めた?私は今ので三個小隊分片付いたよ」
「"私が今ので二個小隊分、後チョットかな?"」




「むぅぅ」
「す、すごいですな」
「訓練生では荷が重すぎたか。いや正規部隊でもあれは・・・」
場所は変わって教官席、モニタールーム。
「油断もせず、格下であろうと容赦なく確実に仕留めていくあの戦い振り。魔導師なのにCQBも完璧にこなしている。
なのはちゃんに至ってはミッド式はおろか古代・近代ベルカとのハイブリッドタイプ、まさに完璧なマルチレンジ仕様。
士官組に行う『勉強会』ならココで揉んで上げる所ですけど・・・あの子達、ココに来る必要性なんてあったのかしら」
ファーン・コラード校長、あなたがソレ言ったらこの子達のストッパー居ませんよ?



「残りが攻めてくる気配も無いし・・・そろそろ終わらせるね?」
「"・・・そうだね。もうちょっと続けても良かったけど、私も擦り傷とかも増えちゃったからそろそろ治療したいかな"」


「それじゃブレイブハート、征くよ!!」
『了解したマスター。各セーフティ解除、"スフィア・テンペスト"スタンバイ』

スフィア・テンペストは広域平面殲滅戦用の無属性術式です。
励起したガンスフィア500個を展開、更に周囲数キロ四方に私の魔力を薄く拡散させてセンサー兼用のフィールドとして定義。
あとは自動でガンスフィアが20個単位で群れをつくって暴れまわり、魔力がある動体反応に対して事前設定した対象以外を無差別に砲撃して無力化していきます。
総魔力量SSオーバー、スフィアの攻撃力は一基当たりB程度。
フェイトちゃんのフォローがあれば相手がクレア先生やプレシアさんクラス以上でもなければ間違いなく叩きのめす事が可能です。

「スフィア・テンペスト・・・シュート!!」

その数分後、訓練生組、総勢260人の殲滅が確認され、模擬戦は終了となった。
中継された映像と無線に響く訓練生側の音声は正に阿鼻叫喚その物。
指揮車で演習に参加していた事務方に至ってはその光景を見て茫然となり、一部には泣き出したり失禁すらしたと言う。
無論、この魔力光がトラウマとなって一目するだけで身動きが取れなくなってしまったのは言うまでも無い。

ちなみに、その光景を見たオーリスさんのコメント。
「よ、世の中にはこの世の理が通用しない存在も居るって事ね・・・絶対喧嘩しない様にしよっと」



この後、訓練生の中には「汝海にて海老を取れ」、酷いと「汝マイクを取って芸能界を目指せ」等の、"神"の声を聞いたと言う者が続出したとか如何とか。
一番酷い話では「汝街にて女を狩れ」と囁かれた根っからの軍ヲタくんが居たらしいがソレは別の話。




おまけ、その頃の海鳴

「し、忍お嬢様」
「如何したのよノエル、そんな恥ずかしそうな顔をして」
「だ、だって・・・」
「あ、もしかして増設用ユニットのお披露目が恥ずかしいの?あなたも愛いな子ね~」
「ち、違います!!」
月村家裏庭。そこでは遂に完成したノエル専用オプションの稼動テストが行われようとしていたのだが・・・。

「オプションパーツは別に良いんです。ですが・・・」
「ですが?」


「な、何でアンダースーツが旧スクにニーソなのですか!?しかも白の!!」


「そんなのお約束に決まってるじゃない」
・・・ネタに奔りよったか。
「ひ、酷い。酷すぎます・・・もうお嫁にいけません」
いやいや、あなた一応オートマタよ?



「ファリンちゃん、如何思う?」
「数年後には私もああなっちゃうんですね・・・今考えただけでも鬱になっちゃいそうです」
「そうだろうね、とりあえず日々を頑張ろう?」
「・・・はい」



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十八節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:f0973726
Date: 2008/08/03 03:15

「どんな感じだ?」
「不思議ですね。魔力形成した仮想ボディと出来る事は何も変わらない筈なのになんと言うか・・・感性が豊かになった気がします」
「そりゃセンサー類の精度向上と専用の演算モジュールのお陰だな。仮想ボディは自分のリソース喰うし各種接触面の感度も荒っぽいからしょうがない」
「マニピュレータ他各駆動部の反応も上々です。バッテリーフレームの運用レスポンスは未知数ですがチェック用プログラム上ではかなり期待そうです」

アレから一週間。ついにレティスのアクティブボディが完成した。
流石に完全なアンドロイド仕様で完全な飲食能力までは搭載できなかったが、飲料ぐらいなら何とかいけるようになった。
水分やアルコールならそのまま内部で処理してリアクタのペレットに変換する事もできるからな。

「お、おにいちゃん!?」
「ん?モミジか、如何した」
「そ、ソレ。レティスさんだよね?」
あぁそうか。こいつは月村家も行って無いしノエル達の事も知らなかったか。
「おう。俺直々渾身の作、管理世界も凌駕する某リ○ーちゃんも真っ青なアンドロイドボディだ。すげーだろ」
「モミジ?そんな大声出して・・・あら」
「コレで大手を振って外とを歩ける様になったよ。管理世界じゃ仮想ボディ持ちなんてまず居ないからな」
使い魔は元の生命体の情報が入るからまだ生物感があるんだがレティスや八神家の面々はどうも魔力臭がきついと言うか、
魔導師が相手をすると違和感を感じてしまうらしい。オレ自身も実際そうだったし母さんもそう感じたらしい。

「でも、本当に凄いわね。見た感じは仮想ボディと全く同じだけど感じる雰囲気は全く別物。人と寸分違わないわね」
「う~ん、実際にはそうでも無いんだけどね。高町家や月村家の面々なら見破れそうだし」


事実、あの一家はレティスの体が変わった事にすぐ気付きやがった。
「あれ、レティスさん。身のこなしが変わった?」
「そうだな、間接の使い方や重心移動が先週までと全く違う」
初見でそこまで見抜くか。これでも世界最高峰の技術のカタマリだぞ?
「私としては全く同じつもりだったんですけど・・・それほど違います?」



「あぁ。レティスちゃんを見た所、体重がざっと10kg以上重くなっただろ?それじゃ仕方ないよ」

で、ココで地雷踏む勇者が降臨する、と




「あ・な・た?」

うを、久しぶりに見たぜ桃子さんの黒いオーラ。
「ハッ」



「仮にもレティスちゃんは『女の子』なのよ?その女の子に向かって体重が増えただなんてデリカシーの無い事を・・・」



「・・・逃げんべ」
「その意見には賛成だ」
「うわ~、かあさん本気みたい」



オレ、恭也、美由希は揃って離脱。こんな黒オーラ満載の空間になんか誰だって居たくねぇよ。


「え?あれ?」
「チョットバックヤードにいってくるから。レティスちゃん店番よろしくね?」
「え?あ、はい」
「それじゃ、あなた。逝きますよ?」
「え、桃子さん?あ、ちょっと・・・(以下自主規制)」


その後二日ほどコーヒーの供給が止まり、士郎さん目当ての女性客がガッカリしていたのは内緒。



更に数日後、フラフラと遊びに来たアリシアとアルフの言葉にオレは耳を疑った。

「ちょ、チョット待て。今何と?」
「ゴメン!モミジちゃんとのツーショットをなのはに送っちゃった!!」
「・・・しかも『恋人疑惑』だなんて注意書き付でか」
「てへっ?ゴメ~ンチャイ」

「OK、把握した。再来週には俺は吊るし首確定と言う事が・・・orz」
とまぁ怯えてはいるが、こう言っちゃ悪いのだがお前等全員そういう事の対象とは見てないぞ、オレ。なんせ本編が本編だったからな。


「あ~あ、まさかモミジがリシェイドの妹だったなんてねぇ」
「本当、驚きだよね。そ・れ・に・し・て・も」
「・・・ん?ワヒャィ!?」
ガバッとモミジに抱きつくアリシアの姿。あまり乱暴にるなよ?マジで『体が弱い』んだからさ。
「あ~ん、このフワモチッとした雰囲気とそれに似合う透き通った黒い髪・・・本当にお人形さんみたい。一家に一人は欲しいと思わない?アルフぅ」
「そうだねぇ。モミジは何かこう・・・保護欲ってのかい?『守ってやりたい』雰囲気がめい一杯出てるからねぇ」

・・・ちいとマテや
「オイそこのクソガキ」

「「ふぇ?」」


「テメェらにモミジの事言ったよなぁ?ワケありで体が『機械化』してるって。・・・オレ達のあずかり知らぬところで弄られちまった、ってよぉ」
「お、おにいちゃん。わ、私気にしてな「いいから黙ってろ!!」!?」

流石にちょ~っと躾が足らん様だな。リニスには後で言っておくとして
「別にモミジに抱きつくとか可愛いからお持ち帰りしたい~って言うのは別に構わねぇ、事実だからな」
「え、え?じゃぁ「だがな!」」


「よりにもよって『お人形』?『一家に一人』?・・・トラウマ穿る様な事してんじゃねぇ!!」
いくらオレでも怒る時は怒るぞ?


「お、おにいちゃん。もう良いよ。アリシアさんだって悪気が会った訳じゃ無いんだよ?」
「そう言う問題じゃねぇんだよ、これは。世の中にゃぁ言っていい事と悪い事がある。お前やオレが不快感を持ったらソレは悪い事だ。
この世の全ては絶対量が常に相対的且つ同じ様に存在する。アリシアの心の何処かで問題無いって判断されたからあんな言葉が出てきた。俺はソレを認めねぇ。分かるな?」
「う・・・うん」
「オレはソレが気にくわねぇ。今のお前があるのにソレが重要な物だったとしても、傷付ける様な物ならオレはソレを否定する。そういう事だ」

「あ、あぁ・・・」
「いいかアリシア、もしまたそんな事言ってみろ。次はエクスタスでメッタ撃ちにしてやるからな。覚悟しとけ!!」

「ヒ、ヒグゥ・・・ご、ゴメンナサ~イッ!!」



この後、アリシアとアルフはリニスからのお説教もあってかかなり『おいた』をしない様になった。寂しいといえば寂しいのだがコレで良かったのだろう。



それよりも母さんとプレシア女史から魔法を学んでるはやての事が気になる。
何でも、今の所アイツに揉まれてないのは母さんとプレシア女史、それと桃子さんだけらしい。
あのリニスにすら突撃した猛者のはやてが、何故あんな魅力的な『熟女』二人に手を出さないのか本気で分からん。

"母親に突撃するんは鬼畜のする事やで?"

ハッ!?い、今電波が・・・疲れてるのかな?



その頃の八神家では・・・

「これはね、こうやって・・・」
「うわ~、すごいですねー。流石主婦」
「はやてちゃんも頑張ればすぐに出来る様になるわよ」
「そうね、昔は家事の"か"の字も出来なかったクレアが人に教えられるぐらいだから」
「せ、先輩!?」

キッチンでは主婦2人とはやてによる料理タイムとなっていた。


「一昨日はミートローフ、昨日は牛肉のたたきとゴマ豆腐、今日は一体どんなギガ美味いモンが食べられるんだ?」
「ビ、ヴィータちゃんよだれよだれ」
「おっといけねぇ」
緊張感のかけらも無く料理を待つ守護騎士連中。ヴィータは如何見ても見た目相応化。

「しかし、主の手料理も美味しかったが」
「流石、リシェイド君とフェイトちゃんのお母さん達ですね。はやてちゃんの料理がママゴトみたい」
「主も亡くなったご両親からああやって学びたかったのだろうが・・・」
「本当はソレが一番なんでしょうけど、私達にはどうしようもないから、ね」

「そう不安がる事も無いさ」
「管制人格か」
「この間、主はやてから新しい名前を頂いた。『リィンフォース』と。これからはそう呼んで欲しい」
「それでリィンフォース、さっきのはどう言う意味なの?」

「・・・よく見てみろ」
「「?」」


「うちの娘も可愛いけど、はやてちゃんも可愛いわねぇ・・・」
「そうですねぇ。大きいけど小動物みたいな雰囲気もあってアンバランスな感じがして、保護欲も適度に刺激してくれて」
「「ウチに来ない?歓迎するわよ」」
「えぇ!?」
「と言うのは冗談だけどね。でも、はやてちゃんのご両親には悪いけどこんな可愛い子ほったらかしにしちゃったのは許せないわ。
それにコレからが大切な時期なんだから・・・、あなたに『私の娘になれ』何て言わないけど、私達を母親って思って甘えてもいいのよ?」
「そうよ。はやてちゃん、これからの数年が魔導師・騎士としても、それに『女』としても一番大切な時期なの。だから私達大人に命一杯甘えなさい」

「あ・・・」

「それに、ボーイフレンドに本格的な料理の一つや二つ作ってあげたいでしょ?他にも色々あるんだから」
「そうよ。家庭的って言うのも大事だけど、一撃必殺の秘密兵器を一つや二つは持ってないと肝心な時に負けちゃうんだから・・・私みたいに、私みたいに・・・ウゥ」
プレシア女史は自爆したようです。



「まぁそういう事だ。・・・今度の転生先は本当に恵まれているな」
「そうだな。私を打ち負かす剣士も居て精進しやすい」
「主であるはやてちゃんも、周りの人もみんなやさしいし」
「何より『食事』が最高だな。アイスをホールで食べた時なんかもう・・・っ!!」
「周囲の安全が確保されている事もだな。オレの仕事がないから少々不安だが」

「「「「あれ、ザフィーラ居たの?」」」」
「・・・貴様らな、その扱いは無いと思うぞ」
ザフィーラにそう返されるが、4人はお互い視線を合わせた後首を傾げ
「だって、ねぇ」
「ココ一ヶ月以上空気だったからな。致し方ないだろう」
「そうよ。ちゃんとアピールしないとこんなヘタクソな二次創作じゃすぐに忘れ去られちゃうんだから」

「「「原因を作った貴様(お前)が何を言うか(言ってんだ)!?」」」
「ヒャイ!?」
「ほぉ・・・私が起動する前に何があった?」


「全ての現況は貴様が無理やり飲ませた"お茶"が原因だろうが・・・」
「あの後、一週間も死に掛けていたからな」
「あぁ、その後は家の中にいる事すら嫌がるもんな。お前が怖いって」
「・・・シャマルはそんな事をしでかしたのか、コイツの作るものには注意が必要だという事だな」

「ひ、酷いです。他の作品だと料理番で崇められてるのに・・・」

「な、中の人繋がりは止せ!」
「世界(管理人)から修正を喰らうぞ!!」
「そ、それだけじゃねぇ。下手すりゃ裁判沙汰になって作者が何年も赤貧生活を・・・。美味いモン喰えねー生活なんてアタシは嫌だからな!!」



「はやてちゃん、あの子達スルーして良いの?かなり過激な発言続いてるけど」
「あぁ、ほっといて下さい。ぬこがジャレとるだけやさかい。それよりも今以上に甘えちゃいますよ?」
「ええ、良いわ」
「って、二人とも鍋鍋!!」
「「!?」」




吹き零れる汁に慌てるクレアとはやて、ソレを眺めるプレシアの構図はとてもほのぼのとして微笑ましい物だった。
・・・後ろに響くカオスが無ければもっと良かったのだが。






[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第二十九節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:f0973726
Date: 2008/08/04 01:25

会議場は紛糾していた。
「一体如何いう事だね!」
「我々が捕捉する事も無く『闇の書』の所在が民間と教会に割れて、しかも主共々確保済みだと!?」
「それ所ではない!然る情報筋からでは教会側では既に解析はおろか、システムのクラックング、果ては修復まで進んでいるそうではないか!」


「「「グレアム提督、コレについて説明を願おうか!」」」




所変わって聖王教会、理事会会議室。管理局将官級会談はここにも中継が入っていた。
今回は関係者でもある為、場合によっては相互通信も可能となっている。

「凄い吠え様ですね」
「そうですな。とりあえず我々としてはあの遺産を守りぬく事が先決です。他の話は後から幾らでも出来る」
「左様。そして何よりも『寄付金』と共にコレだけの情報を提供してくれたアーリーズ氏への借りは返さねばならないからな」

「それにしてもアーリーズ氏も太っ腹な事をしてくれた物だ。あれほどの金額を供託や献金では無く『寄付』で収めたのだから」
「政財界の要職に居る我々でもアレだけの金額を一括でポンと動かすのはとてもでは無いが出来んよ。
理由は理解しかねるが『夜天の書』の保護と所有権を認めて欲しいと言う気持ちはよく分かった」


会議場側ではグレアムが予め仕込んでおいた改竄済みの各種観測データのログと聖王協会側からのデータをメインスクリーンに出して説明を続けていた。
「この様に、教会の遺跡・遺産調査が進んだ結果、『闇の書』の原典、いや改竄前の物である『夜天の書』のデータが発見され、
ソレを元に前回転生直前の魔力反応関係のログから転生先を割り出し、第二段階に入る前に接触。
その後、研究チームが状況を確認しながら修復を行っていったと言う事です。
私個人としても納得はいかなかった為、追跡調査を実施したが、起動後の主・守護騎士共に素行は良好。
住居関連以外の管理局法に触れる行為は一切見受けられなかった。・・・私からは以上だ」



「・・・ココまで周到に準備していたのね。なんと言う手回しのいい事」
会議場で述べられた説明と、教会に先日届いたリシェイドからのカンペを確認しながらその準備の良さに呆れるカリム。

「騎士カリム?」
「あ、あぁすみません。少し考え事を」
「しっかりしたまえ。君はグラシア家の跡取りであろう。若いからといってボーっとしていては困るよ?」
「は、はぁ」



「そのデータは信用に足る物なのかね?」
「11年前、君がどんな結末を迎えたかは言うまでもあるまい。あの二の舞をミッドチルダ地上で起こされては困るよ?」
「唯でさえ我々と陸の連中とは相性が悪いのだ。不確実な事をして反感を買うと本局側の人間が地上で活動する際に面倒な事にもなるからな」

「・・・ソレは私も承知している。だが教会側からは『100%信用できる』と回答が出てきた。
しかも理事会や運営委員会の承認を得た公式の執行力を持った文章でだ。教会側は今回以前の対応について、
事前調査がきちんと行われていれば今回のような穏便な処理が出来たのではないか、ソレは管理局の怠慢のせいではと言う苦情まで上がっている。
事と次第によっては教会は我々への協力体制すら切る事も辞さないと言う過激な意見すらあったそうだ」


「・・・そこまで突っ込むと言うのか」
「険しいな。教会の情報網は如何ともしがたい貴重な物だ」
「少数とは言えかなりの次元世界に展開している騎士団の戦力も大きい」
「意見を飲むしかないのか・・・採決を取ろう。『闇の書』案件についての全てを聖王教会へ移管する事についての賛否をお願いする」


数分後、スクリーンに出た結果は8割方が賛成と言う結果が出、コレによって『闇の書』についての全管理権が聖王教会へ移る事となった。

「今回の一件が、たった一人の人間の手によって全て決まっていただなんて、当事者以外は誰も予想できないでしょう。
彼とはもう少し付き合い方を考えた方が良さそうね。彼が本拠地をミッドに移すその前にパイプだけでも作っておこうかしら。

・・・それにあの御菓子も美味しかったからまた融通してもらいたいわ」




リシェイドSyde

「ウィ~ッス。調子は如何だ子狸」
「子狸ちゃうわ!!」
「それだけ吠えられるなら十分だ。ホレ、土産じゃ」

差し出すは翠屋の包み。とオレの背後より走り寄ってくる赤い影が包みをひったくり、そのままリビングへと駆け抜けていく。
「ようリシェイド、そんじゃコレはゴチになるぜ~!!」
「こ、こらヴィータ。ちゃんとみんなも呼んでこなあかんよ!」
「ハーイ!!」

おっかしいなぁ・・・守護騎士プログラムの人格側は完全にブラックボックスだったから弄ってない筈なんだが・・・如何みても普通の子供だよな?



さて、今日オレは世界に対して挑戦状を叩きつける!この結果が如何なるか、本当に楽しみだぜ・・・。



「諸君、今日は集まってくれて本当にありがとう」
「前口上は良い。何をするつもりだ」
シグナムよぅ、下手すりゃお前らの生活がガラリと変わるんだぜ?そんなにあせんなよ。

「諸君等も知っての通り、シャマルの料理は料理と呼ぶのも憚られるとても危ない物なのは知っているな?」

「当然だ」
「アタシ等が何度見た目にだまされて酷い目にあったか・・・」
「オレはそのせいで出番すら・・・」
「一度怖い物見たさに食してみたが・・・アレは酷かった」
「う~ん、ちゃんと正しい手順で作ってるんやけどねぇ・・・」

「うぅ、みんなして酷いです。私だって悪気が有る訳じゃ「其処なんだよ!!」!?」

「ふふ、夜も寝ないで昼寝てコソコソ作る事3日。苦労したなぁ・・・」


「普通に昼作って夜寝ればいいのに」
「アイツの美学と言う物なのだろう。前に高町やテスタロッサ姉妹が言っていたぞ」
「アタシも人の事いえねーけど、アイツも大概ガキ臭いよな」


「まぁ聞けや。俺は前にお前達のシステムコードにアクセスして逆アセンブリを仕掛けた事は覚えてるな?」
「あぁ。『闇の書』システムのデバッグ処理経過確認の為だったな」
「おう、その時ついでにシャマルの五感系各システムの解析もしてみた訳だ」

「は?・・・って何でそんな事してるんです!」
「・・・当事者のシャマルには悪かったが、勝手にやらせてもらった」
「それで、何か分かったのか?早く答えろ」
むぅ、ザッフィーが妙に真剣だ。そんなに出番減らされた事恨んでんのかよ・・・。

「あぁ、シャマルの五感系は何故か『闇の書』の専用補助システムが介入していたらしい。
ソレをデバック処理で回線の所でカットしちまったから、本来ならチョットしょぼい程度なのがかなり酷くなっちまったってワケだ」


「き、貴様のせいなのか!!」
「うんにゃ、どっちかって言えば『闇の書』だな。面白い事にシャマルの五感系のみ見事に弄繰り回してやがった」

どうやら本来の精度なら『何でこんなにも安っぽく作れるの?』程度で済んでいたはずなんだが、
稀にリンクの回線が不安定になって料理がクソ不味くなってたらしい。だからコレまでは『失敗』で誤魔化せた。
だが闇の書に干渉された状態でデバッグ処理しちまったせいかバグがそのままシャマルに引っ付いちまったらしい。


「で、パッチははっきり言って作れない。と言うかお前達のコードの半分以上がブラックボックスだからな。
演算系が絡む部分はどうしようもない。で、オレが考え付いたのが・・・コレだ!!」


「なっ!」
「ブッw」
「むぅ」
「ほぉ・・・」

「リシェイドさん?如何向きを変えても原典の分からないケモノミミとフォークにしか見えへんのですが・・・」
「ああそうだ。そりゃ正真正銘ケモノミミにフォークだ」

いやね、コレのデザインはネタ120%なのは承知してるさ。だけどな?

シャマルの声って元を質せば『あの人』だろ?

で今回のネタは料理だろ?




なら分かっていても地雷に走るしかないじゃないか!!




「そいじゃ、コレ付けてみ。耳は自分の耳に被せれば良い。フォークはとりあえず体に触れてりゃ如何でも良いぞ」
「は、はぁ・・・」
ウン、色は調整したから見事にマッチしてる。良い塩梅じゃねーか。

「ククッ・・・なぁリシェイド」
「どしたヴィータ、ニヤニヤして」
「あれ、完全にお前の趣味だろ」
「わかるか」
「わからいでか。でもホント無駄に凝ってるな、あの耳動いてるじゃねーか」
「当然。オレが作るからには無駄が無かったら逆におかしいだろう」

そう、あの耳はシャマル本人の精神ステータスを反映させて、喜怒哀楽等の感情を豊かに表現できる様凝りに凝った作りにしたのだ!
今なんか恥ずかしいもんでキューッと下に垂れてやがる。


「むむっ。あかん、あかんよ。あんな色物系で魅力的なシャマル、ガバッと獣風に襲わな罰が当たってしまうで、でもここはシリアスな場面やし・・・」
そこ自重せい・・・無理か、頼む誰か止めれ。ここでオヤジ臭のする百合の花は勘弁だぞ。

「「「無理」」」さいですか。


「さて、シャマル。ソレはおまいさんの五感の処理側のデータを調整する為のユニットだ。ソレをつけて料理してみ。
うまくいってりゃ普通に美味い料理が出来んぞ」
「ほ、本当ですか!?」
「お、おぉ。とりあえず昼飯でも作ったら如何だ?時間も良い頃合だ」
時計を見ると11時半を回ったところ。



「で、完成したのがコレか」
「ハイッ♪」
出て来たのは冷やし中華。タレは凝りに凝って自家製だが他はお手軽に作れる為試作には十分だろう。


「普通だ」
「普通だな」
「あぁ、普通だ」

「主の指導がモノをいっているという事ですね。さすがは我らが主です」
「リィン、そない褒められると照れるやないか~」


見た目は問題なし。匂いもOK。手は出していないがはやて監修だから間違いはないはず。
「でお味は・・・お」


「普通だ」
「普通だな」
「あぁ、普通だ」

そこの騎士共!!テメェら他にコメントは無いんか!?

「って言われてもよぉ~」
「何処でも食べれるような至って無難で普通の味付けだ。他にどう言えと?」
「だが、あの殺人料理が無くなったと思えば・・・有難い事だ」
ザッフィーはマジで死に掛けてるから流石に感傷に浸っちまったか。


「これならシャマルに手伝い任せても良さそうやね」
「ほ、本当ですか!?はやてちゃん!!」
「でも、その耳飾とフォークは何時も持てなアカンのやろ?不便やないか?」
「イエッ、はやてちゃんのお手伝いが出来るなら私はどんな苦労も惜しみません!」


これで八神家の『台所事情』も若干は良くなるって事だな。
はやてにばっか家事押し付けてんじゃねーよ、お前らの方が年齢も体格も上だろーが。もうチット気ぃ使えや。

でも普通に終わっちまったなぁ・・・。まぁそのうちフォーク持つの忘れてまた大惨事になるだろうから気にしないでおこう。


ソレがシャマルクオリティだからな。


この後、海鳴周辺でケモノミミを付けた若奥様風の女性が、
軽い身のこなしで嬉しそうに買い物する光景をよく目にする様になったそうな・・・。



ちなみに、この光景を目撃し一部始終を聞いた某月村氏のコメント。
「獣ッ娘(?)ですって!?ック、アイツめ、何処まで浪漫を追求すれば気が済むのよ!!」
「し、忍様落ち着いて!」
「こうなったらファリンの強化プランを破棄してでもぬこ娘化させてついでにすずか用のぬこスーツも・・・」

カオスがまた発生しそうです。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:f0973726
Date: 2008/08/06 01:31

夏も終わりに近づいたある日・・・。


「で、申し開きはあるの?シェイおにーちゃん」
帰ってきて早々、第一声がコレか。

「・・・リシェイドさん、とりあえず適当でもいいから早く謝った方が良いと思うよ。
なのは、あのメール見てからは実地訓練で直接打撃しか使ってないんだよ?」

ま、マジか。
陸士訓練生が卒業直前になってヒタスラ物理的フルボッコの毎日・・・冥福だけ祈っておこう。
その結果どれだけ生き残ったか・・・考えるのはやめとこ。


「・・・で、返答は無いの?」
殺気思いっきり込めて睨んでくるとはねぇ・・・だが、な。


「はっきり言ってやろう。申し開きも何も、オレは疾しい事なんてしていねぇ!!」
っていうかレティスの動作ログ取って検証したり『夜天の書』・・・いや今はリィンフォースだったな、コレのシステム最適化処理だって残ってる。
何より普通に仕事してるしフラフラ遊んでる暇なんてねぇんだよ。まぁ、その作業的な関係で待ち時間は大いに有るがな。


「へぇ・・・じゃあアリシアちゃんが送ってくれたこの画像は何?」

「何って言われてもなぁ、モミジが俺に甘えてるだけじゃねーか。ってか追伸メール見てないのか?」
「追伸?そんな物如何でも良いの。シェイおにーちゃん本人から直接聞きたいだけだもん」
あれ、もしかして見てない?


「おにいちゃん、御菓子持ってきたよ・・・って、お客さん?」
ちょ、タイミング悪す・・・クッ、鼻に生クリームとは!?ええぃ愛い奴め愛い奴め!!
そのまま眺めていたいが後出何言われるか分からないし何処かを汚すのもアレなので拭ってやる。
「ったく、鼻にクリームついてんぞ」
「へ!?あ、自分で取れるよぅ・・・」

実妹持つならやっぱりソコソコ頭の良い癒し系が一番だな。
バカや天然は面倒見るの大変だし賢すぎると馬鹿にされっからソレも勘弁だ。


「ウゥ・・・何時もいつも、私を置いて他の子ばっかりそうやって面倒見て可愛がって」
「い、いや。別にお前ばっかりエコヒイキしてる訳ではな「何で!?何で私は見てくれないの!!」いんだが・・・」


いや、ちゃんと見てはいるぞ?

そりゃお前さんの場合は本編のような中途半端にはなって欲しくないし、
何よりその危険極まりない廃スペックを如何にかしなきゃいかんから、ミッチリ心身ともに仕込む為に厳しくしてたんだが・・・言ってなかったっけ?



「あは・・・アハハハ!」


「ヒィィッ!?」
な、ナノハサンよぅ、何で急にそんなヤバイ『笑み』に変わる?モミジがガクガク震えちまったぞオイ。

「・・・ねぇシェイおにーちゃん、チョット其処退いてくれないかな?」
「なのは、お前何する気だ?」
そう問うオレに対しなのはは更に笑みを浮かべてこう返してきた。殺意は十二分に溢れかえってるがな。
「うん、安心して。とりあえず其処の女狐を折檻するだけだから・・・」
「あ、アアァ・・・・・・」
・・・殺気込めてモミジ脅すなや。
こいつまだ体直してないから色々やばいんだぞ。と云う事で体を張る。

本気で来られたらオレ程度じゃ一瞬で凹だろうけど体が頑丈だから余程の事が無い限り死にはしないだろう。
それにモミジは一応クイントから預かってる客分だ。なおさら傷付ける訳にはいかん。

「シェイおにーちゃん其処退いてよ。そいつ〆られないじゃない」
脇に下げた士郎さん譲りの小太刀握り締めてんじゃねぇ。
ソレの切れ味がどれだけヤバイか解ってるのか?っていうかシリアスにネタ奔んな!

「なら尚更退く訳にはいかねぇよ。コイツは色々とワケありでな、オレを頼るしかないんだ。
普段ならいざ知らず、悪いが今回ばかりはお前の我侭なんて聞いてる暇はねぇ」
「!!」
「お、おにい「シェイおにーちゃんは私のだ!!ぽっと出のあなたが『おにいちゃん』だなんて、『おにいちゃん』だなんて呼ぶな!!」ちゃ!?」




「ねぇおねえちゃん」
「うん?如何したのフェイト」
「モミジちゃんだっけ?あの子って一体どういう子なの?リシェイドさんの事『おにいちゃん』って・・・」
「あれ、メール届いてなかった?」
「うん、あの驚愕メールの後は一通も」
「おっかしいなぁ。アレは間違いだったって訂正の内容で出したんだけど・・・」

この時アリシアは気付かなかったが、当日その時運悪く利用していたメールサーバが一時的にダウン、
アリシアが送った筈のメールがサーバに着信と同時にダウンし、発信される前にデータ破損で消えてしまっていたという。
何と言うタイミングの悪さなのだろうか。

で、メールに書いたのと同じ内容をフェイトに説明すると

「と、言う事はモミジちゃんは私達より一つ下で、リシェイドさんの妹って事?」
「まぁそんな感じかな。何か色々有るみたいだよ。大人の世界は難しいって話らしいけど」
「じ、じゃあ今なのはがやってる事は」
「見事に空回りだね。かなり物騒な雰囲気で危ない「それなら止めなきゃ!な、なのは暴れちゃダメ!!」よ・・・ってフェイトダメ!!」



「うぅ!?邪魔するならフェイトちゃんだって!」
チィ、なのはの奴マジ切れして見境無しか!!やっぱりアリシアの訂正メール見てないのか!?


「ウワァァァァーーー!!」


フェイトに向かって振り抜く小太刀の一閃に対し、オレの身をその間に滑り込ませる。
コンマ秒の世界じゃ、いくらオレでも『神速』を使えるワケではないから魔法の発動も出来ん。反射的に体を動かすだけで精一杯だ。

「グフッ!!」

っつ~・・・。左肩から右脇腹に抜ける様に一筋、怒りに任せたせいか『斬』も『徹』も篭ってないただの振りぬきだ。
これならなのはの体重も軽いし致命傷にはならないだろうが・・・や、ヤベェ。出血が多くて意識が・・・。
『ま、マスター!?いけない、早く治療を!!』

「な、なんで・・・」
「ば、バカ言うな。お前達はみんな、お、オレの"妹"だろうが。め・・・面倒見るのは兄貴の・・や、役割、だろ?」



とまぁココでオレはブラックアウト、次に目覚めたのは6日後、病院のベットの上だった。床擦れカイ~ノ。




その他Side


"パーンッ!!"
乾いた音が室内に響く。
「何で、何でおにいちゃんを斬ったのよ!?何で私がおにいちゃんに甘えちゃいけないのよ!?」
「あ・・・あぁ、あぁ!?」
リシェイドを切り伏せた生々しい感覚、そしてモミジのビンタでようやく状況を把握し呆然そして驚愕するなのは。
ボロボロと大粒の涙で泣きながら叫ぶモミジ。


「フェイト、大丈夫?」
「わ、私は平気。ソレよりもリシェイドさんが!」
『全く馬鹿な事をしてくれたものです。ほら早く治癒魔法使って!!アリシアも止血処理をしますよ、急いで!!』
「「ハイ!」」
エクスタスに従いながら治療を始めるアリシアとフェイト。正確な指示もあって何とか出血は止まった様だが、既にかなりの血が流れている。
『応急処置はコレで十分ですが血が出すぎましたから早く救急車を呼んでください。理由は板ガラスが突っ込んできたとでも言えば良いでしょう』
「魔法で治してしまった部分は如何誤魔化すの?違和感も多いと思うけど」
『その辺りも考慮して指示を出しました。血管が一部切れて且つ贅肉や筋肉がある一定以上切り込まれていない様に見せる為に微調整しましたからね。
恐らくバレる事は無いでしょう。それにガラスで切ったと言う事にしておけば切り口が若干歪な方が説得力があります』
「・・・そっか」



そして病院での処置後に場面は移る。


「運良く致命傷は避けた様です。主要血管も傷こそ有りましたが千切れていませんでしたし、応急処置が早かったので内臓や神経系の異常は無いでしょう」
「そうですか。ご面倒をおかけします」
「いえ、ただ出血が多いので脳への影響が未知数です。身体的には計算上ギリギリ許容範囲の筈ですが負傷時に意識を失ってますので
はっきりとお答えする事は出来かねます」


乾いた電子音が規則正しく鳴り響き、リシェイドの腕には輸血用のパックが挿されていた。
「・・・全く、どうしてこの子は周りの事ばかり気にして自分を蔑ろにするのかしら」
「クレア・・・」
「あなたが傷ついて皆が悲しむ事位分かっているでしょ?もう少し自分を大切にして・・・」

「クレアおか~さん・・・」
「モミジ・・・本当、バカなお兄さんでしょ?いくらあなたやなのはちゃん、フェイトちゃんアリシアちゃんにはやてちゃんが可愛いからって、
みんなの恨み辛みはおろか、他の感情まで全部引き受けなくても良いのに。こんなにまでなって」

「どういう事?」
最近会ったばかりで、しかも事情を知らないモミジにとってクレアの言葉は少し理解できなかった。
何より、負傷した直後になのはにビンタをかまして問い詰め、最後の台詞は


「許さないから・・・、もしおにいちゃんに何かあったら、絶対に許さないから!!」
と普段のモミジでは考えられないような雰囲気でなのはを威嚇しきったのだから。


そして、クレアの独白が始まる。ソレはココにいる全員が知らなかった驚愕の内容だった。

「リシェイドはね、小さい時にあった怪我が元で少し頭が良すぎ・・・ううん、違うわね、『識って』いるの。
それこそ『未来』を見てきたと考えてもおかしくない程に色々な事を、ね」

「「「「「「!!」」」」」」

「レティスちゃんやエクスタスを作る時の事にしたってそうだし、『闇の書』についても管理局設立以前から悩まされていたのに、
あの子はサクッと解決策を導き出し穏便に済ませてしまった。そして、なのはちゃんの事もそうだったわ」
「ソレって、どういう事なの?」

「そうねぇ・・・最初、士郎さんに剣術指南をお願いしに行った時、あの子はあの家族の事を全部知っているかの様な態度だったわ。
私だって桃子さんとは話をした事があったけど士郎さんとはその時初めて会ったし
恭也君や美由希ちゃんもちろんなのはちゃんも、私は知らなかったけどあの子はそうじゃない様だったわ」

「そ、そんな」

「言われてみれば・・・」
「あぁ、アイツは俺や父さんの得意技も、御神の業も最初の一振りを受けると即認識・次発は完全に対応しようとしていた。
御神の業はそんな簡単に盗めるほど柔な代物ではないのは美由希も解かっているだろう。
そんな行為が出来るのは普通の人間じゃありえない。クレアさんの言っている事は間違っていないかもしれないな」


「なのはちゃんが魔力反応に感化されてコアが活性化した時も、私が驚く程の魔力が溢れてたのにさも『当然』みたいな態度で対応していた。
その後の訓練にしてもあの子の才能が如何伸ばせるか分かっているような教え方だった。
これは教え方が上手いとかそんな次元じゃないわ。『結果』を知っていて、更にそれ以上を目指すような感じだったわね」

クレアの独白は周囲で聞いていた高町家やテスタロッサ家の面々も驚愕する内容だった。
もしそうならリシェイドの頭の中には未来の情報が入っている事になる。
未来予測は古今東西何処でも手段こそ違えども行われ続けている事だ。
路端の八卦から超能力と言われるような第六感的情報認識力、管理世界だとレアスキルに分類される物もある。

その全てが正しく認識している訳ではなく、曖昧且つ大きい括りでしか表せない程度の精度である事は周知の事実。
だが、リシェイドの行ってきた事はそんな次元ではなかった。

「結果は見ての通りね。なのはちゃんは比類なき力を持つ、文字通り当代『最強』の魔導師になった。
誰もたどり着けなかった『闇の書』の一番理想的な結末を導き出し、リシェイド自身もオーバーテクノロジーの塊であるデバイスを手にした」




その『なのは』はココにはいない。

リシェイドを病院へ運ぶ為に呼んだ救急車が着くのとほぼ同時に、この事を聞きつけた関係者一同が現場に駆けつけた。
ボロボロと泣くモミジ。応急処置で疲れグッタリとしているアリシアとフェイト。そして



血まみれの小太刀を左手に持ち、

血だらけの床の中央に立ち、

返り血で赤く染まった自分の顔を気遣う余裕もなく、

ただ、涙を垂れ流し、

ほんの少し、かすかに聞こえる「ハハッ・・・」という声を出す、





生気の完全に抜けた「タカマチナノハ」と云うヒトガタが、




ただそこに膝立ちで、脱力した状態で震えているだけだった。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十一節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:f0973726
Date: 2008/08/08 23:57

『実の所、マスターは私達にもあまり自分の事は話していないんです』
「私達はデバイスですし、マスターの事を信じて付いていくだけなのですが・・・」
『さすがに今の話まで私達が知らなかったと言うのは寂しい限りですね』
「そこまでして守る事情と言う物が何なのか気にはなります」



「い、以外だね」
「リシェイドさんの事だから、何かの拍子でポロッと喋っててもおかしくないのに」
「後ろめたい事をする人間は得てしてそういう傾向になる物です。二人の情操的にはヤッパリ良くなかったのかしら」


「で、何故急にそんな話をする気になったの?」
「先輩・・・」
沈黙していたプレシアからの指摘、話を聞いていた全員が一度は感じた事、それにようやくメスが入る。

「そうですね・・・。そろそろ『限界』と思ったからでしょうか」
「『限界』?」
「えぇ、さっきの話の続きになりますけど、聞きますか?」
「モチロンよ。あなたが何を言わんとしているか。切り出した手前、ちゃんと確認しなくちゃね」


「明らかに不可解な行動を感じたのは今年の4月に入ってからの事。あの子は隠蔽処理をしつつ町全体にサーチャーを展開するようになった」
「4月の頭って言えばフェイトがおばかな事をやった頃ね。その同時期にサーチャーを展開する様になったって・・・まさか!?」
「えぇ、リシェイドは恐らく事件が発生するのを知っていたんです」
「ちょ、チョット待ちなさい。アレはフェイトが突飛な発案で起こした計画性の殆ど無い話よ。
ソレを知ってるだなんてやったフェイト本人以外がわかる筈が・・・って。あぁそうか、そういう事なのね」


「恭ちゃん、話についていける?」
「・・・無理だ」
「だよね、魔法関連は話半分で流してただけだし」


「・・・クレアさん、如何いう事なんですか?分かるように話してください」
「うんうん、私達じゃお母さんみたいに察するなんて出来ないもん」



「なら、結論から言うわね。リシェイドはほぼ間違いなく未来の知識を持っていて、しかも私達を事細かく把握しているでしょう。
更に言えばあの子の行動全てが将来への布石であった可能性が非常に高いわ。現に何度もハイリスクローリターンな事を何度もしているから」



「え、ちょっとまって。クレアさん、それじゃリシェイド君は未来人って事になるの?」
「あ、そういう事ではないみたいです。事実あの子が私にぼやかしてですけど打ち明けてくれた時には『意識の融合』と言ってましたから。
その言葉を信じるならあの子は間違いなくこの時代の私の子供です。ただ何か可笑しな事になっていますけど」




「それじゃ、あの子が『龍』の壊滅を『G』に依頼したのも全てを知っていたからと言う事で良いかな?」



「み、美沙斗さん!?」
「美沙斗、ソレはどういう事だ?」

「士郎さんも聞いていなかったか。・・・あの子は翠屋開店の数ヶ月後、『G』に『龍』の壊滅を依頼していたんだ。1億ユーロもの依頼料を払って、ね」

「!?」
「『O-B-O-Nクライシス』以降、『龍』の活動が大幅に縮小し行動の大半が水面下へ潜ってしまい、私が追いかけられなくなっていたのは知っての通り。
そして数年たったある日、情報屋連中の中である話が流れた。

"『龍』潰しに『G』が動いた"と。

結果は言うまでも無いかな。翌年の頭には組織の主だった連中が片っ端から暗殺されて『龍』は事実上消滅した」

「・・・『G』への連絡ルートなんて、この日本じゃほぼ存在しない。とすればあの子は公安や政財界にもアクションをかけたのか?」
「警防隊でもその結論に至ったよ。実際、あの当時の履歴を追うと『G』が何度か身を隠さずに日本に来ているからそのルートからの依頼で間違いない。
だけど、そんなリスクを犯す理由が一切不明だったから結構話題になっていたんだ。でもこれでようやく結論が出た。

彼は御神・不破の一族の事について、剣術はおろか昔起きた一連の事件すら知っている。恐らく恭也君や美由希の事も全て」



「この野郎・・・何食わぬ顔でそんな事までしてたのか・・・ん、如何した忍」
「そういえば彼、ノエルがオートマタって知っても驚きもしなかったのよね。
初めはこれぐらいの技術は他所の世界じゃ当たり前かなとも思ったんだけど・・・。
モミジちゃんの一件やレティスちゃんのボディを作ってるうちに、ね」

「・・・だからノエルがあんなに強くなってたのか」
「アラやだ。ばれちゃった?」



各々が過去の事例を思い出し、リシェイドの不自然な行動や知識と言う点が線で結ばれていく。



「この通り、あの子の行動は全て知っての上で何かを見据えて行われました。
ですが、今回の件の様にもうあの子だけでカバーできるサイズの話ではなくなっています。
4月のサーチャーの件も私には知られない様にしているつもりの様でしたがこの通りバレバレでした。
6月以降でコソコソやっていた『闇の書』の処理も、社会から半ば身を隠している私でも知れるほど、暗躍していた様です。
これは一歩間違えば暗殺すらありえた状況です。何せ相手は100年以上も敵対していた司法機関ですから。
その間に溜まった恨みつらみの度合いは想像を絶するでしょう」




「・・・そ、そんな事までしてたのね」
「そういえば、コッチに戻ってくる前にクロノに会ったけど、愕然としてた様な・・・」




「私達は既に『本来』の筋から離れた状況になっているのでしょう、あの子と接触したその時から。
もう元の道には戻れないでしょうし、恐らくその道は他人から見てあまり良くない道だったのでしょうね。
でなければ、あの子がココまで介入する必要も無い筈です。
その対価として、あの子は背負わなくてもいい筈の『想い』をその身に抱えています。
私や高町家の皆さん、特になのはちゃん。先輩の娘さん達もそうですし、
ココにはいませんが現『夜天の書』の主である八神はやてちゃんも、みんな多かれ少なかれあの子に『依存』してしまっているんです」



「確かに。今俺がこうやって桃子と喫茶店のマスターを悠々自適にしていられるのもリシェイド君が関わった御蔭だろう」
「アナタがボディーガードの仕事をしなくても生計が立つ様になったものね。私として何時何が起こるか怖くて早く辞めて欲しかったのよ」
「だから軌道に乗った頃にはすぐ辞めただろう?それに、一番忙しい時期からずっとなのはの面倒を見てくれたのも彼だ」
「・・・ソレが何でこんな事になったのかしらね」
「なのははリシェイド君に依存し過ぎていたんだろう。
物心付く頃には何時も一緒だったから彼がここ数年でどんどん忙しくなって、昔みたいに構ってもらえなくなって寂しいと思った。
そんな気持ちをまだ小学生なのに遠慮して『大人』の感情で抑えていたんだ。
だがココに来てモミジちゃんというリシェイド君の『妹』が出てきてしまい、一気に爆発してしまったんだろう。
今回のはそれに気付けなかった俺達大人の責任だ。もう少し甘えれる様にしておけば良かったのかもしれないな」




「アリシアのデバイス開発も大分進んでいるんだったわね?」
『はい、基礎理論はボチボチ纏まってきましたから、後は現在稼動している我々のデータからシミュレーションしつつ構築する事になります』
「・・・そこまで出来ていたの。フェイトの一件でも一回目の邂逅で捕まえてしまえば良かったのにあえて逃がしているのよね。
先回りしてブツの確保もしてくれたからあの子がこの世界でやろうとした色々な事実関係の誤魔化しも出来た。
そう考えるとやっぱり全部知ってたのかしらね」
『アルフさんの存在も知ってた様ですし、殆どの可能性を網羅してたんでしょう。
でなければここまでモアベターな選択を選び続ける事なんて出来ませんよ』
「でしょうね。御蔭でフェイトの方も社会奉仕だけで済んだのだから。アリシアの件も含めて、母親としては本当に感謝ね」




「皆さん、あの子を『隠し事』から開放してあげませんでしょうか。
前にも言った通り、もうあの子がやろうとしている事は自分一人でカバーできる範囲を超えてしまっています。
その恩恵を受けてしまった以上、せめて、事情だけでも理解してあげたいんです。
そうすればあの子ももっとなのはちゃんやアリシアちゃん達にも気を配れると思うんです。・・・あの子の事、如何かよろしくお願いします」


見守っていた我が子の行く末を案じ、苦心の末での告白。ソレを伝え、クレアは頭を下げた。



「頭を下げられても困ります」
「!?」


「も、桃子・・・」
「ソレは既に私達の問題でもあるんです。今回リシェイド君が入院する羽目になった直接の原因はウチのなのはです。
それにリシェイド君には何度も翠屋を手伝ってもらってますし、そろそろバイト代の上積みしてもいい頃かなと思ってましたから」
「・・・そういえばそうだな。翠屋の事も『手伝いだ』って本人が言い張って、バイト代受け取った事なんて無かったからな。
うん、これで貸し借り無し。それで良いでしょう。如何ですか?クレアさん」

「普段から凹ってるからな、侘び代わりはこれで十分だ」
「素直じゃないね、恭ちゃんは」
「ほんと、男の子ってすぐ意地張るんだから」
「五月蝿いぞ、ソコ」

「桃子さん、士郎さん。恭也君達まで・・・」


「ディメンション・ドライブの仕様を見た時は研究者冥利に尽きたし、そのお礼代わりでこの件はチャラにしてあげる。それで良いわよね?」


「せ、先輩・・・み、皆さん本当にありがとうございます!」





そして、場面はリシェイド覚醒へと移る。






オマケ
『恭也対ノエル』
8月初頭のある日の事。


「いきなり呼び出すなんて、何かあったのか?」
「ンフフフフ、べっつに~、ちょっと恭也に新しい警備システムのチェック手伝ってもらおうと思っただけよ?」
思いっきりニヤニヤした忍、マッドな薫りが此れでもかとプンプン臭っていた。

「セントリーガンや単分子ワイヤーの類は勘弁してくれ。小太刀の刃が欠けるし鋼線や飛針も再利用できんから非経済的なんだ」
以前手伝わされた際は総額80万もの出費に泣きを見た恭也。
流石に拙いと思った忍が無銘の小太刀を二振り贈って二人の仲が更に良くなったのは言うまでも無く、何処まで行ってもラブラブだったりする。
「あぁ安心して、今回はそういう方向じゃないから」
「ほぉ、それじゃ早速やろうじゃないか。最近はリシェイドの奴も忙しくて鍛錬に参加しないから少々暴れたかったんだ」




「それじゃ、逝くわよ・・・来なさい、ノエルっ!!」

"Pam!"

忍の指パッチンと共に何処から飛んできたのかかなりの速度で庭にランディングするノエルの姿。


「ノエルだと?ロケットパンチもマシンガンも切り伏せられたのをもう忘れたのか?」
「フッ。あの時は流石に私が甘かったのは確か。でも今度は違うわ!!」

「あ、あのぉ、お手柔らかにお願いしますね?」
「あ、あぁ・・・って何なんだソレは!?」


ノエルの姿、ソレは

スク水

白ニーソ

ぬこ耳

大型バックパック

腕部及び脚部についた妙にメカっぽい装甲


そして
「何でノエルが『エクスタス』を持っている!!」
「バカ言わないで、リシェイド君が手放す訳無いじゃない。それに、ノエルはオートマタよ?
この世界の技術で作られた以上、魔法なんて使えないわ」
「じゃああの禍々しい程の威圧感のあるノエルの右腕のブツは一体何だ?」

「アレ?エクスタスの仕様を参考に核融合炉と大容量コンデンサとキャパシタを仕込んだ総合武装ユニットよ」
「チョット待て、今聞き捨てならん言葉が聞こえたぞ」
「いや~苦労したわ。いくら私でもあそこまで高出力のシステムを組んだのは初めてだもの、と云うわけで殺りなさい!!」
「・・・ハァ、了解しました。忍お嬢様。では逝きます」

ユニットを構えると中央の部分が日か輝き始める。淡い青緑色の綺麗な光だが恭也の目には死神にしか映らなかった。
「じょ。冗談じゃない!!」


恭也が飛びのいたその瞬間、さっきまで居た所が地面ごと赤くジュウジュウと音を立て煮え返っていた。
「ふふ、定格10MWの高出力ビーム砲よ。NATOだろうが何処だろうがこんなの実戦配備はまだまだ先!今現在火力でノエルに勝てる存在は皆無なのよ!!」
「ちなみに、試射では250mmの劣化ウラン・セラミック複合装甲は無論、3m厚べトン壁の貫通も確認しています」

「洒落にならんぞ。が、砲戦一辺倒な仕様なら近接で終わりだ!!」
「バカね、ホント馬鹿ね。私がそんなマヌケだと思って?ノエル!!」

「気は乗りませんが・・・エールパック、ドッキングスタート」
ノエルの呼び出しと共に、忍の部屋の窓をブチ破って何かが飛び出しノエルの背中に着く。
「・・・接続終了。いきます!」


「そ、そんな!?」
「此れが新しい私の力です・・・不本意ですが」


ウィング付のブースターを背中に背負い、かなりの機動性を見せるノエル。その速度に驚いた恭也が遂に神速を使うようになった。
「御神の剣士の前ではまだ遅い!!」
「そんな、まだ追いつけないのですか!?」

庭木を利用し両者縦横無尽に駆け回り駆け引きを繰り返す。
「流石恭也ね。あのノエルの速度でも勝てないなんて・・・次は神速の模写かしら?」


そのまま日が暮れるまで打ち合いとなり、最終的にはノエルのバックパックがオーバーヒートを起こして停止、そこで決着がついた。
「ここまでやれたからいけたと思ったのに」
「ハァハァハァハァ、まだまだ、だな」
「フン、いつか絶対ギャフンって言わせてみせるんだから!!」


そう言い残して忍は館へと逃げ帰っていく。
「それでは私も失礼します。今日は本当に申し訳ありませんでした」
「いや、久しぶりに面白い戦いが出来てよかったよ。でも、こう云うのは此れっきりにして欲しい。流石に寿命が縮むからな」


恭也は清々しそうに帰路に着くが、ノエルは今後を考えると更に鬱になりそうであった。
「・・・オー人事ってオートマタでも有効なのでしょうか」





[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十二節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:f0973726
Date: 2008/08/10 15:30

病院の一室。

「グゴヲォォォォォォーーーーーー・・・・・・フシュゥゥゥゥ~~~~」


「見舞いに着てみれば・・・」
「す、凄いイビキだね」
「担ぎ込まれた日の夜からずっとこんな感じなんだよ」
「一応意識不明の重体って診断が出てるけど、コレ見るとそうは思えないよね」
すずか、アリサ、アリシア、フェイトの4人が見舞いに来た。
時はリシェイド負傷から6日が過ぎた夕方。その3日前にはICUから一般病棟へ移って大きないびきをかいて寝ていた。



「・・・リシェイドさん、なのはちゃんアレから一言も喋らないんだよ」
「ボーッとしちゃって、私達が何言っても聞こえてないのよね。な~んか暗いオーラ纏っちゃってさ、怖くて近寄れないわよ。アレ」



「・・・~ん。あ、あ、あぁぁぁぁぁ」
すずかとアリサの話に反応したのか、急に唸り始めるリシェイド。



「!!」
「り、リシェイド!?」



「あ、あぁ・・・し、しろ」


「白?」




「し、白い悪魔!!」

「「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーー!?」」


急にガバッと跳ね起きるリシェイドに驚き腰を抜かす二人。
離れて見ていたアリシアとフェイトは驚きこそしたが冷静にナースコール。
「す、すみません。見舞いの者ですが、リシェイドさん起きましたんで来てもらえますか?」







リシェイドSide

な、何かマジでやばい物夢に見ちまった、何で『白い悪魔』が俺目掛けて『全力全壊!!』なんて叫んでんだよチクショウ!!

「って、何腰抜かしてんだお前ら」
「ば」

「ば?」
バナナ食いたいのか?ココにそんなものねーぞ。


「ば、バカーーーーーーッ!驚いちゃって腰打っちゃったじゃない!!」
「り、リシェイドさん。体大丈夫ですか?」

「体?」
何でそんな事・・・あ。


「そういや斬られたんだっけか。忘れてたわ」
なのはにサクッと小太刀で切られたんだよな、って事はココは病院か。
某HGSとか出てくんなよ。これ以上厄介なのとは関わりあいたくねぇ。
ってか傷からして循環器と整形外科だからアイツは専門じゃないだろう。


「守ってもらった当人としてはどういった心境でしょうか?」
「お、お姉ちゃん・・・。う、うん。チョット寂しい、かな」

「フェイトは無事だったか」
「う、うん。リシェイドさん。あの時は本当にありがとうございました」
「気にすんな。それよりなのはは如何した。人一人切る程度で腐るタマじゃ無いだろ」

「「「「・・・」」」」

何だよ、その雰囲気。


「え、何その沈黙・・・まさかのまさか?」
「・・・そのまさかよ!なのは、あの日から一言も喋らないし食事もしないし人形みたいにボーッとして全く動かないんだから!!」

え~、冗談だろ?

サバイバルな修行中には普通に山鳩や雉、挙句はイノシシも仕留めて食っ・・・ハァ、人は流石に堪えたか。


「ったく世話の焼ける娘だ。しゃぁない、チョッチ喝入れてくんべ」
「へ!?」



「アーリーズさん、お体どんな具あ・・・て何やってるんですか!?」
チィッ、看護士来やがったか。


結局そのままベットに押さえつけられてその日は全く行動できなかった。
にしても看護士がババァばっかで目の保養にもなりゃしねぇ。こんな所さっさと出るに限る。

と、言う訳で埒もあかないし対応すんのもメンドかったからその晩の内にコソコソと表の傷口以外は治癒魔法で治した。あぁ魔法って便利や。

翌日、ドクターがソレはもう某AAの如く目をゴシゴシと何度も擦って確認しても軽傷にしか見えず、
最終的にはポカーンとして空笑いしていたのは特に印象に残っている。良い物見せてもらったぜ、オッチャン。



で、ノソノソとなのはの部屋に突入したのだが・・・
「・・・・・・」
ウォッ、目のハイライト消えてるじゃねーか、実物は初めて見たぞ。


「よう、なのは」
「・・・・・・ぁ」

「どうした、そんな湿気た顔してこんな暗い部屋に閉じ篭るなんてよぉ」
「・・・・・・ぁあ!?」

ガタガタ体震わせてミシミシ言わんばかりに両腕で体締めて・・・こりゃPTSDか?トリガーはオレの顔。
「うあぁぁぁぁぁぁーーーー!?」

・・・オイオイ。マジでやばくないか?
「お、おいなの「わたしが、わたしがっ!」は?」




「わたしが、殺した!殺しちゃった!!」
「・・・勝手に殺すなよ」
アレから一週間もたってるのに当人の顔見てフラッシュバックかよオイ。




と、調子こいてた俺も、なのはの次の言葉にはちとキた、そりゃ小学生にコレは辛いだろうて、こうなってもおかしくないってか。



「好きなのに!好きだったのに!!わたしっ!!」


「何時も一緒だって、ずっと一緒だって思ってたのに!!」




「なのは、お前・・・」
「あぁ・・・ウワアァァァァァァーーーーーーーーーーーーー!!「ホレ、もう泣くな」!?」
柄にゃ合わねぇが今回は大サービスだ。

オレはなのはを正面から抱きしめてやった。

ヤッパリまだまだ子供だ。線も細いし、こんなちっこい華奢な娘だってのに・・・。


「ッグ・・・あ、あれ?し、シェイ・・・おにー・・・ちゃ、ん?」
「おう、元気そうだな」


「へ?あ、あれ?わ、わたし・・・死んじゃった、の?」
こ、こいつ・・・ええい、イッペン〆る!!


と云うわけでお拳固一発

"がつん!"

「い、いたい・・・」
「目ぇ醒めた様だな」



「生きてる・・・」
「勝手に殺すな。オレはソコソコ頑丈じゃ」
「生きてる」
「オレ達を介抱してくれたフェイトやアリシア、モミジにも謝らなきゃなぁ」
「生きてる、生きてる!」
「もぉボチボチくどいと思うぞ」


「シェイおにーちゃんが、シェイおにーちゃんが生きてるよぉ!!」
だからくどいって。


「・・・ヒッグ・・・よかった、ヒッグ、良かったよぉ・・・」

んぁ!?良くねぇよこのバカ!!


「なのは、チョットオレの顔を見ろ」
「ヒッグ・・・・ふに・・・ゃ!?」

流石に殆ど見せねぇ怒りMAXなオレの顔は驚くか・・・だがな。



「なのは、お前、あの時何したか判ってるのか?」
「・・・ご、ゴメンナサイ」


「ゴメンナサイじゃない!!何したかって聞いてるんだよオレは!!」
「ヒッ!?」


いくらお惚けネタ野郎のオレでも優しいばっかじゃねーぞ。
「もう一度聞く、あの時何やろうとした?」
「グスッ・・・き、斬ろうと、斬ろうとしました」
「誰を」
「ふぇ、フェイトちゃんを」
「何で」
「わ、わたしを止めようとした、から・・・ィッグ」

十分現状理解してんじゃねーか。それで自制出来んって事は、ヤッパリ精神的な成長は年齢重ねにゃ無理だって事だな。


「じゃぁ、・・・なんでフェイトはお前を止めようとした?」
「も、モミジちゃんを斬ろうとしたから」


「んじゃ、何でモミジを斬ろうとした?」
「お、おにーちゃんが、シェイおにーちゃんが離れちゃうと思って、わたし離れたくないのに、あの子が奪っちゃうって思えて!!」
「はぁ・・・」


ったく、ミッドの回線はISPがしょぼい上に管理は大半が管理局の直轄。
あの話が盛り上がって回線パンク+サーバダウンしまくりだもんな。騒動起こすのもっと遅くすりゃ良かったぜ。



「ったく、な事心配せんでも良いがな。オレはオレだし、それにお前と過ごしたこの6年は何なんだ?
モミジ一人が間に入る位で切れるような縁なのか?」

「ち、違うもん!!」


「分かってるじゃねーか。そう、オレ達が海鳴で築いた縁はもう『ここに有る』物だ。縁なんてのは増える物であって早々切れるもんじゃねぇ」
「う、うん」

「それに、お前もすずかもアリサも、フェイトやアリシアだってまだまだオコチャマだからな。面倒見る人間が必要だろ?」
「・・・」
「不服そうだがお前らはそういう対象には見れんよ。肉体に引っ張られちゃいるが中身はトータル50過ぎのオッサンだぜ?
それにモミジに至っちゃ遺伝子上は母さんとほぼ同じなんだ。もしデキたらそりゃ犯罪だべ」

「へ?」



「まぁ色々有るってこった。一応お前らから目を離す予定は無ぇから安心しとけ。な?」
「・・・うん」
「そうだ、まだまだお前は子供だ、もっとオレや桃子さん達大人に甘えろ。
ソレは別に恥ずかしい事じゃないし悪い事でも無い。ソレが当然の権利なんだから」
「うん・・・ねぇシェイおにーちゃん、頭、撫でてくれる?」
「そうだ、そうやって甘えとけ。頭ぐらい何時でも撫でてやっから、甘えたくなったら何時でも言えば良いから、な?」
「う、うん。うにゃ~~・・・」
おお~、ぬこになった。栗毛の子ぬこだ。でもベソかきすぎ。
「おっしゃ、いい子だ。んじゃそのボロボロの顔洗ってこい」
「・・・?」

「ホイ、鏡鏡」

で、なのはが鏡を覗き込んだ次の瞬間・・・


「にゃ、にゃにゃ・・・にゃぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!?」



そりゃ一週間も飯も食わんと体液垂れ流しでボ~ッとしてるからだ。ソレはもう『はんにゃ』な顔立ちだった。





なのはの部屋の外Side


「'好きなのに!好きだったのに!!わたしっ!!'」


「うっわ~、なのはソレ普通なら告白だよ今の台詞」
「・・・ねぇおねぇちゃん」
ドアの所で聞き耳を立てる雑多多数の人間達。
演劇の舞台はなのはの自室、無論会場は高町家となる。


「なのはったら、いつの間にか大人になって・・・」
「み、認めん。お父さんは認めないからな!」
「・・・事が終わったらもう一回凹るか」
「き、恭ちゃん・・・シスコンは卒業って言ってなかった「やかましい」け・・・ってイタイイタイ割れる割れる!!」
3桁な握力のアイアンクローで美由希の頭を締める恭也。顔色から察するに『余計な事を』と言った所か。


「な、なのはちゃん大人だね。アリサちゃんとしては如何?」
「フンッ。な、何よあんな奴。べ、別にわたしは興味なんて」
「アハハ、アリサちゃんツンデレ~」
「そこ、うるさいっ!」
「そうだよおねぇちゃん」
「でもねぇ~・・・アレは如何見てもライバルに負けたツンデレキャラの典型的な反応じゃない?」
「わ、私はツンデレじゃないわよ!」


「「「「「「「「「いや、ソレは無い」」」」」」」」」

「ひ、酷い!?」



「まぁでも、コレで一件落着かな?」
「そもそもの原因はおねぇちゃんの空回りなんだけどね」
「ぐ、ソレはリニスに散々お尻叩かれて、一週間晩御飯のおかず1品減らしとウチのお手伝いで償うって「リシェイドさんのアレは流石に・・・」ぅ」



「それにしても、リシェイド君が抱きしめたら一発だったわね」
「・・・あぁ、オレ達が何を話しかけても全然反応しなかったのに、な」
「ヤッパリ今からでもなのはをもっと甘えさせようかしら」
「そ、ソレは良い!父親としてお風呂に入れた事すら皆無だったからな、この機会「ソレは認めません!」・・・ハィ」





「'にゃ、にゃにゃ・・・にゃぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!?'」


「あ、ヤバイ。出てくる!!」
「総員撤収、各自散開し通常業務へ戻れ!!」

「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」






リシェイドSide

なのはと揃ってリビングで頭を下げるまでは良かった。良かったんだよ。
「で、何なんだ?この『ワクテカ』な雰囲気は」

「私が話したのよ。色々と、ね」
「母さん・・・」


って事はオレがチーターだってばれたってか?もしかして補足必要?


「「「「「「「「「「「「当然!」」」」」」」」」」」」

「にゃ?」

め、メンドくせぇ。




「とりあえず、母さんから聞いたと思うがオレの知識はチートそのものだ」

「チートって言うとゲームとかでよくあるアレ?」
「あぁ。『神の手』改竄処理って奴だな。1歳の時に起きた事故で死に掛けてな。その時引っ付いちまったらしい。
まぁこの体自身もソコソコなスペックだし、中身の精神もいたって健全な普通の男だから安心しろ」
オレは炉でもぺでも無いしましてやショでも無い。乳は好きだ。

「・・・それじゃあ『O-B-O-Nクライシス』の発端になったあの技術も」
「いや、アレの半分は御平教授があと数年かければ出来上がる代物で、オレの知識はその研究を引き継いで作り上げたリアクタの方だ」
「と云う事はヤッパリ君は」
むぅ、美沙斗さん妙に活舌じゃないですか。

「・・・ココで確認する、みんなはオレを未来人か何かと思っているだろう。実際に教授のデータを持ってたぐらいだからな」
「違うのかい?」
「残念ながら違います」


「く、負けた」
「ふふん、今度のお休みには何買ってもらおうかしら?」
「・・・恭ちゃん、忍さんと賭けしてたんだ。不謹慎だよ?」



「で、実際の所は何だと言うのかしら?」
「母さん達は次元世界の構造を理解してるよね?」
「えぇ、各次元世界は広い海の上に浮かぶ小船のような物。次元と言う海に浮いた船がそれぞれの世界」
「世界を超えて監視する事は可能だよね?」
「管理局設立以前から行われてきた事よ。今じゃ完全に惰性で残ってるだけの物が多いけど」


「先に答えておこうと思う。オレが元居た世界は因果の地平の向こうの『観測者』と呼べる存在だった」
「観測者?因果の地平?」



「そうか、そういう事なのね」
「・・・プレシア女史」
「リシェイド君は今の体になる前、この次元世界を外側から、こちらの時間軸に関係なく観測が可能だった。そういう事ね?」
さ、さすが学者。レスポンスいいなぁ。高町家なんて全員頭から煙りだしてる・・・。


「正確には観測者が作ったレポートを見ていたって所か」
「レポート?」

「今の状態になる前の所じゃ、観測された話をメディアに載せられる事が度々あった。
この行為はどんな世界でも起きていて、ソレはこの世界でも有ると思う。例えば美由希の持ってるラノベだってそうかもしれないからな」

「へ?」

「その作者が書いた話は本当に作者のイマジネーションからの産物なのか?」
「え、だってそうじゃなかったら盗作なんじゃ」

「別の『世界』を観測できたとして、その世界が万人に見えるとは限らない。見え方だって局部的なのか全体的なのかも判別がつかない。
その観測した物を文章にして表せば、その内容はその『観測者』のデータとなる」


「人間の脳は普段なら精々30%程度しか使って無いわ。もし残りの部分の何処かで別の『世界』を観測出来て、
その観測先が他の人間には観測できない物だとすれば、リシェイド君の話の辻褄は合うわね」



「そういう事。オレ個人の持論として、小説家とか作家の類ってのはそういう情報の取得に長けている人間じゃないかと思ってる」
寝てる間にイメージが湧いたなんて良く聞くけどさぁ、ソレって如何考えても『受信』じゃね?


「そ、それじゃあリシェイド君は俺達に何があってこれから如何なるのかも全て知っていたという事かい?」
「そんな何処ぞの神様みたいに全知じゃないです。オレは『観測者』じゃ無いから士郎さんの事だってそのレポートを通してしか知識を持っていない。
それに観測された情報だって不正確な点もあるし、レポート自体が全部網羅している訳じゃないからコレは何とも言えないです」

ってかさ、"オレ"が死んでから次の話出されてる可能性だってある訳だべ?
劇場版とか4期とかの噂もあったけど話が出てくる前におっ死んでまったしさ。




「・・・それで、これからリシェイド君は如何したいの?」
「そりゃ、方針は変えませんよ。『保身第一』コレに限ります。今までだってパーソナルエリア確保の為だけにココまでやってきたんですから」


「シェイおにーちゃん、どういう事?」
「俺が何もしなかったら、間違いなくお前はあのユーノと一緒にジュエルシード集めして、最後は管理局に入局してただろうからな。
フェイトについては若干変わったが今と殆ど変わらないか。あのレポートのままならお前も入局してる」

「ユーノって、あのユーノ君?」
「か、管理局入局はチョット・・・」


「八神家なんて悲惨だぞ?オレが直したからリィンフォースも騎士達も元のままでいられるが、
もし介入しなかったら管理局の思惑通りにリンカーコアの蒐集して最後は暴走、最善をとってもリィンは消滅する運命だった」

「そ、そんな・・・」
「はやてちゃん、そんな可哀相だったんだ」
「聞いてるとチョット許せないわね、その管理局っての」
「他所の世界の話だから私達にはちょっと縁遠いけど、はやてちゃんの事は考えちゃうかな」

「そういうこった、オレはあんな結末認めん、だから動いた。まぁ修復については運が良かったってのもあるが、な」
「にゃ?」
「レティスを作る為に資料収集してる時に偶然RC版『夜天の書』のソースコード集が見つかってな。
ソレがなけりゃ修正パッチが間に合ったかどうかって事。レティスの開発で得たデータだけじゃ厳しいぞ、アレは」

場合によっちゃ強制転移させて最大出力のスーパーノヴァ・カノンで吹き飛ばすつもりだったからな。



「それで、お前はこれから何をするの?」
「とりあえずは3つ。
1、ミッドでの活動拠点の用意。
2、なのはやフェイトを可能な限り管理局から離す。
3、八神家の管理局からのアクションと行動制限を極力外す。
これぐらいかな。後はまぁ将来を見据えて仕込みをチョイチョイと」

「将来ね・・・何か大きな事件でもある訳?」
「うん。レポートの通りなら75年位にミッド地上で大事が起きる筈なんだ。下手すりゃ管理局が無くなるかもしれない。
コッチに生活基盤も戸籍もあるけどこの世界にだってどんな影響があるか分からないし、向こうには父さんの墓もある。
使い魔や守護騎士の居るテスタロッサ家、八神家の面々にこの世界は生活しにくいだろうし、
向こうにも拠点を作っておかないと何かあった時困るから、ね。
『常に最悪を想定しろ、実際はその斜め上を行く』って考えておいても損は無いから」

いや~、スの字一家があんな微笑ましい事になってるとは思わなかったからな。こんな斜め上だったとは予想すら出来んかった。
11人の子持ちな大家族総出でミッド攻略?斜め上にも程が有るぞ。でもマジで起きかねん、いや起きるだろうなぁ・・・。


「なのはちゃんにフェイトちゃん・・・そっか、もしチームを組みたくても保有制限が掛かっちゃうのか」
「八神家の面々も、ね。一家総出でかかるなら独自戦力にしないとコッチも引っかかる。何より管理局の初動の遅さは問題あり過ぎ」
「ソレは仕方ないわ。利権や縄張り、各部隊の管理職クラス同士での出世争いもあるしドロドロもいい所」
「だから警備会社か傭兵組織でも作って介入しようと思ってる。
管理局には恨まれてるけど教会は十二分に貸しもコネも作ったから早々プレッシャーは受けないと思う。
装備に関しちゃオレが仕込めばあっという間に最強軍団の完成だし」

ブレイブハートの廉価版でも普通の魔導師に持たせれば戦力としては上々。
アリシアの件もあるし、10年も開発期間が取れれば非魔導師の戦力化が可能な汎用型の開発すらも可能だろう。

ノエルやオレのオプションユニットので培った技術を応用して、陸士向けの広域展開用機動ユニット等も視野に入れているんだ。
飛べない豚はただの豚?なら飛べるようにしてやろーじゃねーか。


「考えている事が過激な気もするけど・・・それもなのはやアリシアちゃん、フェイトちゃん達の為なのかしら?」
「当然です。あの子等は超戦略級の戦闘が可能な反則ユニット、某アニメで言う『自由』や『正義』と同じような物ですね。
なのはに至っては、はっきり言って対抗手段すら存在しません。どんな相手でも問答無用で圧倒するでしょう。
となれば管理局はなのはを欲しがるのは確実。その対策のために心理的影響も考慮しつつああいった交渉をしたんです」

「嘱託と言うかたちでも一応管理局の影響下になる。その契約期間の間に如何にか取りこめれるよう工作をするでしょうけど
当人も含めて関係者全員がソレを理解しているから向こうの望んでいる結末にはならないでしょう」
この辺に関してはかなり母さんの世話になっちまった、交渉事はどうも苦手だ。

「で、オレが組織を用意してソコになのは達を組み込めば、向こうの意思とは別でコッチの思惑通りに事件への介入も可能になる」
管理局にいなければ初っ端からオールウェポンズフリーな機動要塞が万全の体制で稼動出来る。
手順と処理さえ間違えなけりゃ、最低限の仕事でスの字一派を壊滅する事も可能だろう。


'pipi!pipi!'
ん、着信か?
「ほいほい」
「"旦那ぁ、大変ですぜ"」
ブローカーのオッチャン?ったくメンドイなぁ。
「どした、流通価格が暴騰してオレに一財産分雪崩れ込んだか?」
「"それだけならどれだけ旨いか。昨日の議会でレジアスの旦那が監視強化に踏み切って規制が厳しくなったんでさ"」
「馬鹿じゃねーか?ミッド近隣での開発は人的資源が足りないくせに機械の導入が少なくて需要に対応出来んだろうに」
管理世界じゃ質量兵器に繋がるからって重機の稼動すら魔力依存型だもんな。辺境の魔力素子微少な所じゃ稼動も出来ん。
バッテリー型は長時間の稼動が出来ないからああいった24時間稼動する現場にゃ向かん。
有線にしても辺境だとインフラが無いからエネルギー供給が大変だ。内燃機関はそういう意味じゃ結構便利なんだがなぁ。

「"えぇまさにその通り。とりあえず次の四半期までは猶予があるんで旦那の方は如何するかって確認しようと"」

資源を換金してたオレにとっちゃメンドイ事この上ない。まぁ潮時といっちゃ潮時なんだが。

「んじゃ、次はいつもの倍ぐらい流してやるよ。ソレキッチリ後残さず捌いてくれや。
手数料はもうちっと取っても構わんからしっかりやれよ」
「"それ以降は如何するんで?コッチとしては次の販路は探してるんですがね"」
「いや、ボチボチ潮時だ。手切れ金も弾んでやっからコレで仕舞いにしようや」
「"旦那との取引は旨かったんですがねぇ・・・わかりやした。そんじゃ次の搬入楽しみにしてますよ?"」
「うい、んじゃ気をつけてな」



さて、ボチボチ向こうでの活動も始めようかねぇ・・・あぁメンド。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十三節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:685a37f5
Date: 2008/08/13 01:42

「・・・で、お話はもう終わったの?」
「ん、なんかメンドい事になったけどまぁいいやって感じ」
あれ~?母さんなんでそんな怒気漏れてるのかな?
「それで?」
桃子さんも?


・・・あ、話ぶった切っちゃった。

「てへ?」



「「「「「「「「「「「「てへ?」じゃない!!」」」」」」」」」」」
え、何?何でみんなしてジリジリ寄って来るんデスカ?
「ちょ、ま、待てって」
「「「「「「「「「「「問答無用!!」」」」」」」」」」」
「待てってお・・・ア、アーーーーーーーーーーッ!?」



・・・10分後、


「うぅ、もうお婿に行けない」
「ほら、阿呆な事言ってないで話の続き!」
何だよせっかくネタに浸ってたのに邪魔するなよ・・・。


「で?これからの具体的な案はあるのかしら?」
「まぁ一応。とりあえず足場とコネ作りで数年はいるけどね」
母さんの伝は今でも結構広い。資源ブローカーにだって行き着いたし、母さんの事を知ってる局員は今でも多い。
そういう所へ行って情報網、ついでに傭兵の如く1回毎で契約する実働員として組織を知られるのもいいかもしれない。
これに関しては評議会の脳髄共に知られる可能性があがるが、せっかくクイントやゼストのオッサンとつながりが出来たんだ。
現場レベルだけで収まるよう上手くやってやれん事もない。

「それにオレは向こうでもソコソコ資産を確保できたからね。上手く運用していけばそれだけでも発言力が増えるさ」
「あ、あくどい・・・」
やかましい!


「これでもかってぐらいにチートだね」
「狡賢いというか先読みがすごいのか・・・」
「と言うよりもココまでやってるこいつを捕まえられない管理局が無能ね」
「でも、冷静に考えたらリシェイドってこっちでも向こうでも『セレブ』なんだよね。結婚したら玉の輿?ちょっと考えちゃうかも」
「・・・アリシア、後でちょっとお話があります」
「へ?何で?何で怒ってるのリニス!?」
・・・あ~、結局こうなるか。

にしても相変わらずひどい言われようだな、オレ。
「リシェイドさんはきっとそう言う星の下に生まれたんだよ、きっと」
「なぁフェイト、それは慰めになるのか?」
「・・・さぁ?でもきっといい事もあるよ・・・たぶん」
『たぶん』かい。


「でもまぁよくそんなコソコソとお金集めれたわね」
「何処の世界いっても、マネーロンダリングなんてのは意外と出来る物なんです」
管理世界の中にゃココのスイス銀のような顧客保護がしっかりした銀行で固めた所や、
某租借地のような裏事向きの銀行がある所はいくらでも存在する。
でもってちょっと調べて二重三重に手間と手数料を払えば十分安全に資金を調達可能なのだ。

まぁ、オレの場合は金払ってブローカーから始まって4回ぐらい人を跨いで繋いだんだがな。
おかげで資金保管先についてはソコソコの信用が出来る。
宝飾関連の一部は緊急事態を想定して未換金のままでキープしてるが・・・これは関係ないか。

「で、そっち方面はどんな感じなの?あなたの事だからさぞかしあくどい事を考えてるんでしょうけど」
「向こうでもボチボチ資金運用しはじめまして、まぁ適当に利益も上がってるんですわ。
と言っても資産比で精々10%台前半がいい所なんですけどね。下手に儲けると睨まれるし手数料も高いんで」
売買ルートが裏になると馬鹿みたいに手数料高くなるんだよなぁ。
起業したら全部そっちに切り替えて裏のルートはカットしてしまった方が良いか。
「またチマチマと稼いでるわね・・・。技術特許でドカッとやる気は無いの?私と違ってあなたは単独で完結してるからトラブルも無いでしょうに」
「いや~、オレの技術って如何考えても鬼札なんだよね。切れば両方大打撃を受けかねないんで流石に今はちょっと。それに」
「それに?」

「エクスタス、アレ出せ」
『・・・アレ、ですか』
「そだ」
『全く、ネタの具現化は身を滅ぼしますよ?それじゃ圧縮パック開放します』

オレの目の前でパッケージ化された空間が展開される。そして出て来たのは

「そ、ソレは一体・・・」

白く薄い素材を何度も細長く細かい山を作るように折り曲げ、片方は広げてあり、もう片方はグリップが備え付けられている。
良くみれば樹脂の折れた部分と折れた部分中間には筋も一本入っている。



「コレがオレの新兵器、名づけて『マジカルハリセン』だ!!」



同刻、八神家
'キュピーーーーーーン!!'
「ハッ!?」
「ど、如何したのはやてちゃん、そんなに驚いて」
「い、今誰かが私の中に蠢く『関西人』の魂を揺さぶるような物を出したような・・・」
「またまた~、ソレよりも如何します?コレ」
目の前にはヴィータとザフィーラが散らかした洗濯物。昨日の雨で庭はベタベタなのだ・・・。

「とりあえずアレ付けずに料理作ろか、勿論食べるんはあの二人やけどね」
「ソレはいい考えです」





「は、ハリセンってあのハリセン?」
「そ、結構弄ってあるんだけどね、ほらココ、グリップの下の所に穴があるっしょ」


「・・・もしかして」
「なのはちゃん、何か分かったの?」
「シェイおにーちゃん、如何に誰でも使える非殺傷攻撃武器は出来ないかな~なんて前に言ってたから・・・」
「なのは、ソレってまさか」
「・・・多分アリサちゃんの考えてる通りだと思うよ」


「ここにカートリッジをはめ込んでっと。アリシア~、チョッチこっちゃ来い」
「ん?何々、ソレくれるの?」
「そのうちな。とりあえずコレで軽く適当な奴叩いてみ」
「いいの?」
「ハリセンだからな。一応」
「一応って言う所が気になるけど・・・ま、いいや。それじゃ、いくよ、アルフ!!」
「え、ちょっとアリシアまっ『"スパァァーーーーーンッ!!"』カッ!?」



「どうでぃ、非殺傷術式の直接魔力打撃ダメージとハリセンの効果音とあの独特の振動。
そしてカートリッジシステムを利用した使い捨て式でこの簡易性。コレ等が組み合わさって生まれたこの凄さを!!」



「アナタって子は・・・」
「む、無駄に凝ってるわね」

「あ、アルフ大丈夫?」
「くぅぅっ。ちょっと魔力ダメージで頭がくらくらするけど他は特に無いかな。でも叩いた時の音でまだ耳鳴りが収まらないんだよ。
ったく煽ったリシェイドもそうだけど・・・アリシア、あんな思いっきり叩く事無いじゃないか!」
「ご、ゴメンゴメン。ちょっと手加減忘れて」



「うわ~、はやてが見たら確実にときめくわね」
「でも、あれ凄いよ。私たちでも魔力ダメージが与えられるんだ」
「何気に凄い発明だよね」
『す、素晴らしい。まるで我等の理想を形にしたような・・・』
『貴様またネタに奔っているのか?』
「SOO、アレはそんな高貴な物じゃないと思うよ?」
『何を言う!?我等の存在の最大理由が何か忘れたのか!?』
『そ、そうだったな』

『『我等はネタのネタによるネタの為のデバイス也!!』』

「ほら、バカな事言わないで話を聞こう」
『す、スルーか。スルーなのか!?』
『く、クソ。最近どんどん我等の扱いが悪くなっている気がするぞ』
「・・・ソレだけ暴れさせてもらえるだけでも十分だと思うよ?

と言うか、ココ数話の間一切出番無かったから読者がどれだけ二人を覚えてるかな?」

『『グフッ』』



「・・・で、一体ソレを如何するつもりなのかしら?」
「如何って、売るに決まってるじゃないか。何を今更言うんだ、母さん」
「ソレ、完全に管理局に喧嘩売ってるでしょ」
「イヤイヤイヤ、あくまで『パーティーグッツ』だから。購入者が如何使うかは知らんけどね」
ハッハッハ、コレなら一般人でも安全に魔力ダメ与えられっからな。しかも非殺傷で純粋魔力。後はハリセンの心地よい音だけだ。
「間違いなくコレは売れるだろうからね。他にもネタは一杯あるからそれで足元固めて、
社内警備部門とは名ばかりのシークレットサービスでも作って、ソコで使う装備が出来たら廉価化して護身用グッツとして売りはらう。
魔導師依存の社会ってのは問題点が多すぎると思う。ならそれに依存しない社会にすればいい。
魔力ダメージってのは便利だから大いに使うけどね」

暴徒鎮圧戦で只管ハリセンの音が鳴り響き続けるってのは何処のコントだと突っ込みたくもなるが、
戦場は花月劇場かフ○テレビのバラエティ収録現場の様な微笑ましい空間になると思う。コレは間違いない。



「・・・頭が痛いわ。昔からネタ好きだとは思ってたけどまさかココまでだなんて」
「く、クレアしっかり!!」
「だ、ダメですよクレアさん、アナタが倒れたら誰があの子を止めるんです!?」



・・・ソコまで言うか母親ズ。でもネタは辞められん。辞められんねぇ。良い物なのだよネタと言うのは。
「ネタ使うと楽なんだよぅ。じゃなきゃチーターの意味無いじゃないかよぅ」



「あ、拗ねた」
「馬鹿かアイツ」
「きょ、恭ちゃん本当の事言っちゃダメだよ」

『ゲフッ!!』


「美由希さん、リシェイドさんを一撃必殺しちゃったね」
「恭也も大概口が悪いけど、美由希ちゃんの場合は天然だからダメージ量が・・・」
「それでも仲違いせずに付き合いしてるって言う所もまたリシェイドらしいって言うか」
「高町家ヒエラルヒーの頂点はなのはちゃんだから、答えはそういう事じゃない?」
「・・・十分甘やかされてるじゃない。ボソッ(なのはばっかりずるいわよ)」
「あれ、アリサちゃん何か言った?」





「・・・でさ、他にも実はユニゾンデバイスでしたミニチュアオートマタや、実は廉価版ブレイブハートでしたハタキ。
他にも廉価版ソードオブオースでした包丁とか実は廉価版バルディッシュでした鎌とか色々あるんだけど・・・如何よ?」


「「「「「「「「「「「「ね、ネタに走るのも大概にしろ!!」」」」」」」」」」」」



市居に無数の潜在戦力ばら撒いちゃいけないのかねぇ・・・。
後々臨時戦力にする分には十分だと思うんだけど。

例えば某CL○NPの人形格闘のアレなんて版権をオレが買い取ってミッドで流して、
本編のリィン・ツヴァイのデッドコピー仕様の実機を売り出せば反響は大きいのは確実。
で、パッと見ははオモチャな癖に実は簡易型ユニゾンデバイスでした~なんていったら恐ろしい事になんべ。
これはやる気満々だけどね。だって戦力揃えるのに人件費かけたくない。

相手にばれたら諸刃の剣もいい所だけど、あるパッチを当てないと各機能が動かないような仕様にするぐらいは簡単に出来る。
75年頃、スの字が本格的に動いたタイミングでやってやれば十分だ。
と言うかあいつらがこんな玩具に興味を示すとは思え・・・あ~、この世界のあいつ等だと微妙か?まぁいいや。



「まぁ、向こうで適当に商売しながら介入の支度してくってのがとりあえずの方針かな」





「ところでリシェイド、アナタミッドチルダ地上治安法の第5条2項、忘れたの?」
「地治法5の2?・・・あ゛」
だ、ダメジャン。


「地治法第5条は集会及び結社の自由と災害時の義務内容の定義、特例項である2項では規定範囲以内の
『同グループと客観的に認められる』全魔導師のリンカーコア総抱擁魔力に制限がかかってる。
偶発的且つ短時間なら問題ないでしょうけど、魔導師の傭兵部隊を地上で展開なんて確実にご法度よ。アナタすっかり忘れてたでしょ」
「げ・・・マジでド忘れしてた」
この法律だと『客観(管理局執務官)的』に同グループと認められる魔導師同士で、半径1kmの空間に最大2500万までしかリンカーコアで固定した魔力の存在を認めていない。
V2○Bなのは一人で既にギリギリ。もし仮にココのドリームチーム@10年後だと、優に5桁に届くだろう。

罰則は禁固2年以下?冗談じゃない。



「所詮は下郎、考える事も浅はかです。アリシアとフェイトにそのバカなオツムを移さないで下さいね?」
・・・リニスさんよ、いつもの如く毒舌をどうもアリガトウ。




「やっぱり、アリシアの"アレ"をもう一歩進めるしかないか・・・やる事減らんなぁ」
ワーカーホリックになりそうで怖い今日この頃、なまじ頑丈な体が恨めしい。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十四節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:685a37f5
Date: 2008/08/16 22:59


とか何とか言ってたらあっという間に9月も過ぎて10月も終わりに近くなった。
モミジは一旦ナカジマ家に帰し、体が出来上がり次第迎えに行く事になっている。
不調な関節やセンサー等は一応応急処置をしたから当分は問題無く生活できるだろう。

「お帰りモミジ」
「あ、クイント母さんただいま。それじゃお兄ちゃん、またね」
「おう、体の事はまた連絡すっからもうちっと待っとけ。半年もあれば出来るから期待しとけよ?」
出迎えのクイントにモミジを引き渡し今後の確認となる。
「もう目処が立ったの?」
「まぁボチボチ。基礎設計は立ったし技術検証も始めたから確実な物を仕上げてみせるさ」
「・・・期待してるわよ」
「まかせろ」


ソレと合わせて八神家の面々も同行させて教会へ顔出しに行ってきた。

「ほわ~、コレがミッドチルダ・・・」
「チョクチョク来る事になるから道は覚えろよ?と言っても空港から先はタクシーで一本なんだがな」

9月に入って車椅子ともオサラバ出来たはやてとその付き人達を連れてミッド地上に到着。
あのバンドの効果とはやての才能にマジ嫉妬。オレはあくまで秀才じゃ。

クイントの案内で人に揉まれる事無くタクシーに乗り込み教会理事会の所へ直行。
前の件でコネの出来たカリムと直接会う事となる。


「お久しぶりですね。先日は色々と送って頂きありがとうございました。教会理事としても感謝を」
「いやいや、コッチこそ色々世話になっちまったからな。でコレが噂のアレだ」

はやての背中を軽く押して前に出す。
「え?」
「ホレ挨拶しろ」
「あ、や、八神はやていいます」
「ハイ、私はカリム、カリム・グラシアよ。コッチは私の秘書のシャッハ・ヌエラ。ようこそ聖王教会へ、小さな『夜天』の後継者さん」
「『夜天』?あぁ、リィンの事。それじゃ、みんなも挨拶しいや」

「はい、ヴォルケン・リッター、烈火の将シグナムだ。これから世話になる」
「同じく、鉄槌の騎士ヴィータ」
「湖の騎士シャマルです」
「盾の守護獣ザフィーラだ」

「『夜天の書』管制ユニット、リィンフォースだ。近代の騎士よ、よろしくたのむ」


「・・・知識としては知ってましたが桁違いの強さですね。雰囲気でも直ぐに分かりました」
大声じゃ言えないが俺がシステムの最適化を続けてるから更に強くなんぞ、こいつ等。
初っ端は空戦AA~AAA+程度だったこいつ等を弄り回して、今じゃAAA+~SS-まで底上げしたからな。
「えぇ、そうねシャッハ」
「とりあえずはやては最低限の知識しかない。お前さん達から色々と教えてやって欲しい」
「その間に守護騎士の皆さんにはウチの騎士達の教導をしてもらう訳ですね」
「そうだ。アーリーズが段取りしていたはずだがどこか間違いは?」
「ねぇよ。俺は忙しいから直ぐ離れにゃいかんがお前さん達はのんびりしていけ。んじゃ、カリムさんよ後は頼んだぜ」
「えぇ、確かに」
「ん、・・・あ、そだ。エクスタス、パッケージ開放しろ」
『は~い、おみやですね』
エクスタスの圧縮空間パックから取り出されたのは箱。
「前に持ってきた菓子作ってる店のケーキだ。30個位はあったはずだから適当に食ってくれ。味は保障する」
「あら、ソレはどうも。では美味しく頂きますね」
・・・ヴィータ、目ぇ輝かすな。来る前にも散々食ったじゃねーか。


この後、はやてが海鳴へ帰還した際にカリムから渡された手紙の中には翠屋の分店依頼が混ざっていた。
・・・なのはやはやて、モミジを仕込んでやらせるのも手だな。上手くいけば隠れ家になる。
本編じゃ管理局員だったからどうしようもなかったがここじゃフリーの民間人、如何とでも出来る。



で、時は進んで12月、あっという間に年の瀬となった。
何とかフルボッコのクリスマスにはならずに済んだらしい。今年も翠屋で悲鳴上げる事になるのは既に確定したがな。


で、モミジの体が漸く具体的になった。

「リシェイド君、ちょっとコレ見てくれる?」
「恭也との婚姻届か?学生結婚は不幸になるからやめとけよ」
「ち、違うわよっ!?」
すっかり通い慣れた忍の工房(自室?)、色々持ち込んでモソモソとデータ検証してたのだが・・・。


忍が差し出してきた試料ペレット、パッと見は何とも思わなかったのだが
「別にただの鋼のインゴットじゃないのか?コレが如何したってんだよ」
「ふふ、よく見てなさい」


徐にハンマーを取り出しインゴットを目赤くしてぶん殴る。見事にベッコリと変形したかの様に見えたのだが。
「ドイツで精錬に成功したのよ」
変形したはずのインゴットが見事にもとの形に戻っていく。
「ま、マジか」
「物理学的な話を抜きにすれば、コレは正しく"アダマンタイト"そのものよ」
ファンタジーの産物かと思っていたが・・・世の中何があるか分からん。
「・・・って、"アダマンタイト"は出自FFじゃなかったか?」
「あら、そうなの?」
「詳しくは知らん。ところでよ、コイツの成型や固定処理とかは如何するんだ?こんな形状復元性の高い材質だと加工が大変そうだぞ」
「それなんだけどね・・・コレ、アダマンタイトの構造体情報と電子顕微鏡写真なんだけど、見て如何思う?」

渡されたA4の資料、オレは目を疑った。

「・・・コイツ、ナノマシンと組成の結合枝や電位がほとんど同じなのか!?」
「そうなのよ。私もコレを見たときには驚いたわ」
「と言う事はナニか、ナノマシン制御システムの応用で如何とでもなる、と」


ココで確認、現行のシリコンナノマシンでは球体状(フラーレン)タイプの炭素集合体の変形、
任意の孔が開けておき数個の金属イオンを封入、偶数本のカーボンナノチューブの枝を生やしてアームの変わりとし、
イオンに干渉して制御が出来るようにした物でサイズは10~50nmと極小、アーム先端にいたっては100pm~2nmと元素を個単位でつかめる。
これを制御して複合的に結合させれば擬似生体皮膚を構成出来る。既に臨床試験も始まっている技術だ。
増殖は材料となる炭素と金属イオンさえあれば制御シグナル送っていくらでも増やせる。


御題であるアダマンタイトだが、生成には先ず無重力・超高エネルギー環境下で炭素とシリコンのハイブリッド容器を生成する所から始まる。
内部には構造記憶・制御の為にリチウムやホウ素等の比較的質量が小さく、小さいエネルギーで価数の高いイオンと、
エネルギー生成・保存の為に常温超伝導材の単結晶が封入されている。コレのサイズは若干大きく120~250nm程となる。

現行のナノマシンでは任意の金属イオンに対して制御シグナルを送って外部から動かすのだが、
アダマンタイトは其れをココの粒子一つ一つが処理を行っている、と言っても『元の形に戻す』の一つのみ。
個々の粒で番振りが行われていて、周囲の粒子とリンクし元通りに結合する様にシフトしていく仕組みだ。
元に戻るために必要なエネルギーは常温超伝導材がバッテリー兼ダイナモとなり、
各粒子が動いた際の磁場・電場の変動を利用して必要最低限のエネルギーを自己生成出来る。
映画に有ったターミ○ーターの様な液体の如く修復する事は難しいが近い事は可能だ。
十分なエネルギーを供給しておけば復元能力が結果的に弾性を生み出し、コンニャクの様に元に戻る。


「そうなのよね。で、研究スタッフも結果的にナノマシンと同じになった事を理解はしてたけど納得できない感じらしいわ」

「まぁ目標は地球上で生成可能な生体金属だったからしゃあ無いさ。コレでも十分及第点は超えるけどな」
魔力素子と言うこの世界には殆ど縁の無い要素が絡んで初めて生まれる代物だから仕方ないべ。
御平教授が今嵌まってる魔力素子とこの宇宙の関係についての研究データから察するに
宇宙が冷えるまでの過程で魔力素子が生成された形跡は無く、空間のゆがみか何かから流れ込んでいる可能性が非常に高いらしい。
であれば各種元素や素粒子に魔力素子の要素として絡まないのも当然だし、コア持ちの生物が生まれにくいのも納得がいく。


ん?何で忍がこんな治金してるかって?
コイツ経由で"一族"に素材研究の援護を依頼したからだよ。
一般側の研究が進んでナノマシンが完成し有機系はかなり研究が進んだが、その完成度はまだ低くオレの用途には不十分。
完成度を上げ最終的には金属系素体ベースで生体相性の良い物が欲しいって突っ込んだらこんな結果になっちまった。
開発の為に財団から何億も提供してるし表の研究施設なんかとも間を取ったりしたから持ちつ持たれつなんだけどな。

「で、モミジちゃんの新しい体、結局如何する気なの?」
「こいつを使うっきゃねぇだろ。コレと生体金属、ナノマシンのハイブリッドで組み上げればかなり完成度は高くなる」
「そういえばレティスちゃんのアクティブボディで作ったバッテリーフレームはどんな感じだった?」
「ピークパワー・レスポンス共に上々。強度は及第点、若干重量が重いのがネックだな。
フルに使っておけばかなりレスポンスの高い体になるだろうが・・・今回は見送りだ。
脳髄パッケージの辺に保護フレームとして一寸付ける程度の利用で止めとくさ」

普通の人間同様に成長させる気なんだぜ?極一部(脳髄パッケージとか)を除いて増殖可能な素材じゃないと困る。
アダマンタイトは自己増殖もある程度は出来そうだし不足分は注射なりサプリメント状で摂取するようにでもすりゃ十分。
取り込んじまえば後は組成変化させて組み込む事は可能だろう。


骨格は生体金属、肉はアダマンタイトとナノマシンの混合体を主に脳髄周辺等の一部を
耐熱・対寒・対衝撃・対NBC能力の高い高分子化合物でカバーし
各種アクチュエータも関節内部に仕込めるカーボンベースのフィールドモータ型を利用する。カーボンベースならナノマシンで拡張できるからな。
内臓なんかはそのまま移植する事になるだろう。内臓と言っても全部ミッド製の人工臓器だから難易度は低い。
ついでに体を構成する各ナノマシン等を制御する事を考え、元々の脳髄とは別に機械的な補助脳も接続する予定もある。
こっちは第97世界で実用化した人工神経や外部機器システムを利用するつもりだ。
臨床もほぼ終わっていて各国認可待ちの段階まで来ているから信頼性も高い。しかも電脳の一歩手前な性能の量子コンピュータと来たもんだ。
パッケージにはそういった物が付けられる様に端子が設けたあったから作業も楽で都合がいい。
この装備によって情報処理能力だけは一切の追従を許さない性能を誇れるだろう。

ココまではパッケージ化されているから何とかやってこれた。
だが生体工学はオレの専門じゃないから流石にこれ以上は付いて行けん。
医者じゃないから体捌くのに抵抗有るし知識も足りん。

関節を含めた全骨格も外皮、肉と一緒に勝手に成長し、耐久性は元の戦闘機人ボディの数倍上。
材料工学と素粒子物理学、オマケでシステム開発が専攻のオレがココまでやっている事自体間違ってると思うが気にしたら負けだ。


完成度と言う面では恐らく数の子の比じゃない、と言いつつもISも無いから単体での純粋戦闘力は皆無だけど。


だがコレは単に人間性を優先したからに過ぎない。
初っ端からノエルやレティスのような成人体にして弄れば各融合炉を複数搭載して圧倒的な性能を叩き出す事も出来るだろう。
だが、それはモミジが望む事じゃないし、俺も賛成しかねる。人は人らしく生きれた方が良いに決まってるからな。
でもエネルギー確保の為に核融合炉を一発内装してるのは気にしちゃいけない。

いや、アダマンタイトの自己発電能力とナノマシンの励起処理で動かせない事はないんだがピークパワーがあまりにも弱いんだよ。
脳髄の管理にもエネルギーが必要だし、稼動する以上熱が発生するが冷却の為に表面積の多い髪を高効率放熱索になる様にしてもまだ足りない。
となると冷却しきれない分を強制冷却できるシステムも組み込まなきゃいけない。
骨格の増殖に必要な魔力はカートリッジでも擬似コア付与(今回はコレを本命にしてる)でも如何とでもなるが
アダマンタイトやナノマシンの増殖やフル稼動に必要なエネルギーはどうやっても稼ぎきれない。
飲食で得られるエネルギー源の有機物は大半が生体金属の維持と増殖、それに脳髄の活動で精一杯だし
(だからナカジマ姉妹はアレだけ食うのか?でもクイントも暴食だったような・・・)とてもじゃないが四肢の駆動等にエネルギーを回せない。


ちなみに内装する融合炉自体はオレが最初に発表した従来の重水素起動式の高温・高圧縮型ではなく、
素粒子触媒を利用した最新型の軽水素単独起動炉にする予定だ。
というのも、ある量子の一種が密閉空間内で一定の密度を超えると水素原子の陽子と電子の結合を阻害しながら消滅する事が実験で発見。
コレを利用すると簡単に重水素生成する事ができる為効率の良い反応が得られたのだ。
反応開始(量子の生成)に必要なエネルギーはかなり多く必要だが、
一度起動すれば連鎖的にエネルギーが増えてすぐに自己補完出来る様になるから魔力総転移炉の様に半永久的な駆動が可能となる。
ついでに言えば融合してヘリウム化する際に追反応を起こすからエネルギー効率は非常に良い。
起動時のペレット一単位辺りで得られるエネルギーの効率は悪いかもしれないが運用面では非常に楽だ。
究極的な話、水飲んで腹の中で水素生成しとけば後はP-P若しくはPeP反応で重水素が精製出来る。
そこからD-D反応とD-p反応でヘリウム3が更に生成可能だ。この際トリチウムも出てくるが主反応じゃないからスルー。
生成されたヘリウム3は重水素と合わさってD-3He反応(ヤッベM○だ)へシフトしヘリウム4が生まれ、
最終的にはp-p連鎖反応からCNOサイクルまで進んで莫大なエネルギーが生成される。
この段階だと追加で炭素・窒素・酸素という反応用の触媒が必要となるため大抵はp-p連鎖反応で止めておく。
CNOサイクルまで上げるのは余程の緊急時のみだ。
このクラスの核融合反応は太陽よりも上位の反応式となる。超大型炉であれば既にこの世界でも実用化した代物だ。
既にコレの小型化研究も始まっていてソコソコ順調に進んでいる。
商用炉の第一号は軌道エレベータの頂点部分となるコアステーションのエネルギー供給用としてコイツが設置される予定だ。


この炉は太陽よりも重たい元素を核融合生成できるので反応の邪魔になる廃棄物の質量がかなり重い。
だがモミジ専用に設計するこの炉に限った話なら溜まる残滓(リチウム、ベリリウム等の放射性同位体)は魔法技術を利用して
適当な外宇宙にでも転送して廃棄すれば万事OKだから後処理も簡単。
燃料である水素は水飲んで電気分解しておけば簡単に確保できるし長期運用の面でも有意義だ。


「何気にモミジちゃんの体もマッド魂の固まりになりそうね」
「ハッハッハ、コレは家族愛だ。家族愛なんだ。家族愛に決まってる!!」


得られるエネルギー量が半端じゃないから体が成長しても弄る必要は無いし、
炉心壁の保護も今までの技術検証で得たデータを下に魔法技術も応用して作った特殊結界が使えるから
発生する熱や中性子他各種放射線等は完全に炉心内に閉じ込められる為、本人は勿論周囲への影響も出ない。
その上で最悪を想定して重要な脳髄のパッケージは特殊高分子化合物で保護すると云う鉄壁。



「ノエルより高性能なくせに限界まで人間に近づけて作ろうだなんて本当に科学の限界スレスレよね」
「こう言うのは日進月歩だからなぁ。というかこのリアクタはこの世界の技術だけじゃこんな小型化出来んから仕方ないんじゃないか?」
「それはそうだけど・・・ヤッパリ目の前にあると、ね?」
「・・・ね?じゃねぇよ、ね?じゃ。だったら自分で研究すればいいじゃねーか。金は出してやんぞ」
「コレばっかりは専門外だから無理。というよりも私のアレは全部趣味。その道でご飯食べてるあなたには勝てないに決まってるじゃない」


理論も実用化もしたけど廃棄物の関係でこの世界の技術だけだと小型化はまだまだ難しいからなぁ。
定期的に炉心中のプラズマを水素と量子流し込んで無理やり循環させて空にしてやらないと重たいヘリウム4が余って反応が鈍くなっちまう。
CNOサイクル下での燃焼は可能だが発生するエネルギー量が膨大すぎて洒落にならん。
これの対処のせいで小型化と防爆処理、超長期の安定した稼動が難しいんだよな。定期的に大出力運転が必要だなんてアホ臭すぎる。
魔法が使えるなら転送魔法利用して、反応してる横から邪魔な原子は余所へ退けられるから楽だ。




「で、カプセルの中身が例のアレ?」
「おう、非魔導師向けユニゾンデバイスのテスト機だ」
作業用コンテナと一緒に持ってきたのは俺の最新作、非魔導師が運用する事を前提としたユニゾンデバイスだ。


リンカーコアとユニゾンデバイスについてちょっと考察が必要だった。
リンカーコア自体は本来偶発的且つ自然発生する、アストラル寄りの器官という所が見解としては正しい所だろう。
自然状態の魔力素子をこのコアが汲み上げて内部で変成、汲み上げしたコアの所有者が運用可能な様にし、
ついでに変成した魔力素子をキャパシティ分まで蓄えるのがコアの機能だ。

さて、このリンカーコア、アストラル寄りの器官というのは良いのだが存在その物をどうやって構成するか、
またどうやって制御しているのか等問題点は非常に多い。
レティスの開発では時間的な問題の短縮もしたかった為オレのコアと母さんのコアのデータを収集し
そのデータを下に回収出来た資料やソースコードの情報と組み合わせて生成する事になった。


で、その時のデータが今回に生きている。



集めたデータを生体工学側から検証をしていくと、脳幹等の反射神経系から広がる神経節の一部に
周囲よりもかなり魔力濃度の高い細胞が確認された。
その細胞群を追いかけていくと脳幹の中心から小脳を抜け、大脳の視覚野と言語野それぞれの一部までに至る細長い魔力の塊のような部位も発見できた。
魔力素子は通常の電磁波では観測が出来ない。故に第97世界のような魔法技術の一切無い世界では発見は出来ないだろう。
脳幹等は魔力素子の収集部位であり、実際の細かい処理には言語野に間借りした領域でシステムを構成し演算を行っている様だ。


レティスとのユニゾンを行ってのデータ収集を行い更に情報を精査していくと
レティスが持っている筈の擬似コアは展開されて脳幹から大脳までを含む主要神経系全てに分散、
小脳の影に補助脳のような物が擬似形成される事も分かった。
処理を増やしていくとまず言語野に負荷がかかり、さらに補助脳と脳幹の周囲にある擬似神経系に負荷がかかっている事も見えてきた。


結論を言うとリンカーコアは魔力によって形成される脳の一部位と考えて差し障り無い。
そしてユニゾンデバイスはその部位を補助する為の増設ユニットと言う事になる。



「ここまで資料が出揃ってりゃ後は何とかなるってこったな」
オレはその資料を基にソースコードを書き起こし、リンカーコアを持たない人間に対し補助脳を含めたリンカーコア仮付与システムを設計した。
これは使用者それぞれへの調整が必要だがほぼ全ての人間での運用が可能な筈だ。
脳神経系の構造や精神リンク用の脳波波形の解析をして反映させないとユニゾンは難しい。
逆に言えばこれらの調整データさえ用意されていれば同一規格で作られた量産デバイスならどれでもユニゾン可能と言う事になる。
無論、モミジにもコレは利用できる。だからアリシアのシステムが完成したら今度はモミジ向けのを作成する予定だ。
必要なデータは既に集めてあるから体の移植後に微調整する程度までは構築出来るだろう。



「で、デバイス本体とは別途で腕時計やペンダントみたいなアクセサリー系なデザインのデータユニットが居る訳ね」
「おう、持っていても不自然じゃないし実用性が低いのは嫌いだからな」
アリシア向けに開発しているコレはバルディッシュの待機モードと色違いのデザインにし、
フェイトは手で持ってる状態だがアリシア向けのコレはチェーンで首に下げられる様にした。

ちなみに、当人は何のアニメを見たのか『正統派魔女っ子になる!!』と言って憚らないが
魔法術式系統がミッド系である以上、無条件で砲台になるのは確定だから諦めれと突っ込みを入れざるを得ない。
バリアジャケットについては流石にデバイス側に情報をもたせる必要があるからコッチで仕込む事になった。
でさ、『これが完成予想イメージだからヨロシクね!』と満面の笑みで渡されたスケッチがあるんだが・・・。


「「・・・何この改造巫○服」」


とまぁオレと忍は呆れ果てた。何処が正統派魔女っ子だよ、この服着るなら弾幕でもやっとけと。






[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十五節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:685a37f5
Date: 2008/08/24 00:51

「リシェイド君8番上会計!」
「もう済ませた!12番のセット持っていくぞ!恭也、さっさと4番の席空けろ!!」
「今やってる!チッ、次団体男女半々の6名!!」
「奥のボックスに入れろ!ソレは予約客!!もう一組来るからボックス一席空けてくれ!」

修羅場です。えぇ修羅場です。
12月25日、クリスマス。今年もいつも通り翠屋は地獄の忙しさだった。
3日前からほとんど不休でケーキを焼き続ける桃子さんを筆頭に
高町家総出+オレ+新戦力シグナムといったメンバーで店内の飾り付け等を進め、当日の今日はフルでホールとバックを駆け回っている。

でさ、意外とシグナムがモてるんだよ、老若男女問わず。野郎向けの上下で揃えてるから見栄えが栄えてるのは同意するが。


「ねぇねぇあのポニーテールの人、なんか良くない?」
「うんうん、でも女じゃない?」
「でもその辺のチャラい男よりも全然良いって」
「言えてる~」

「はぁ~、この店の若いのは背筋といい雰囲気といいシャッキリしとるのぉ」

「お、おい、早く行けよ、シグナムさん誘うんだろ?」
「ば、馬鹿言うな。ココはあの翠屋だぞ?」
「っく、恭也の奴が居なければ・・・それにあの羨ましいもう一人の野郎は何処の奴だ?」
「・・・長者番付に乗ってるの見た事ある」
「は?マジで!?」


なんか俺の方を嫉妬な視線付きで指差すのがいるが気にしない。
忍の奴は今年も来ないらしい。去年だと終わった途端恭也が慌てて飛び出て行くのを見るに、この後二人で仲良くといった所だろう。
美由希の奴は只管皿洗いでなのはが窯番という、どうしようもない腕の差が現れている。滝の様に涙を流すな美由希、衛生問題になるからヤメレ。

表ではレティスと他のバイトがローテーションで持ち帰り用ケーキを売り捌いているがナンパが多いらしくなかなか上手くいかないのは仕方ない所。
ナンパは強引に来た場合のみ反撃を許可してるが流石は翠屋、そういった不届き者は今の所いないらしい。
過去に散々士郎さんや恭也、時々オレまでもがそういったフテェ輩を凹にしてきたからな。


以前、なのはに手を出そうとした変態は、御神の業でソレはもう見事なぐらいに見た目は分からない様に且つ徹底的にフルボッコだったっけ。
徹で加減してブッ飛ばしていけば筋肉断裂や内的ダメージばかりで外傷は皆無になるからな。アレはマジでヒデェと思った。
見た目は何とも無さそうなのに身動き一つ取れなくなるまで只管打ちのめしてたもんな。
その後近所の公園に鋼線亀甲縛りの吊るし上げというオプション付。オマケで桃子さん主導による社会的抹殺処理も行われたのは内緒。



「おかーさん、スポンジ第25陣焼けたよ!」
「当日分が去年より3陣多いのね、コレは記録的だわ・・・さぁ、残り一時間気合入れていくわよ!!」
「「「「「応っ!!」」」」」
何だかんだで時刻は夜の8時。一陣当たり24株のスポンジを用意する翠屋パティシエ陣も流石に600の大台はキツイらしい。
夕方6時以降のディナータイムに突入すると店内は予約席が半分を占めるから若干は落ち着くもののそれでも忙しさは衰えず。


「予約ディナー客ラストオーダー完了!一般席の締めまで後20分!!」
「表の販売は?」
「ストック20全て予約入ってます!当日分待ちがあと15!!」
売れ過ぎやねん。原作・本編同様広告やCMの類は一切流さない様にしてたのに・・・。


「き、着ました。八神家です!!」
ラスト直前のこのタイミングで!?
「おぅ、ワザワザ来てやったぞリシェイド~」
「このクソ忙しいタイミングで来んじゃねーよ!」
「安心しろ、これからホールお買い上げ+飛び込みディナーなクレーマー客と洒落込んでやるぜ?」

「もぅ、あかんよヴィータ。リシェイドさんに喧嘩売るような事をしたらとんでもない事になるで?」



「・・・ヘェ、シェイおにーちゃん困らせるだなんていい度胸だね。ちょっと裏でオハナシしない?」


おおぅ、ナノハサンオーラ出過ぎ出過ぎ。
「ヒィィィィ!?ゴメンナサイゴメンナサイチョットシタイタズラゴコロナンデスユルシテクダサイナノハサン!」


「ホレみぃ、言わんこっちゃ無いで」
全くだ。なのはは冥王化が進んでるのとチョッピリヤンデレ化まで付随したせいですぐ反応しやがる。
下手に突付いた結果ブチ切れてV2化しても責任は取れんぞ?

「全く、騎士たる者相手の能力をきちんと見極めてから行動せんで如何する。では主、メニューをどうぞ」
「あら、シグナムその格好似合ってるわね。何ていうか男装の麗人?」
「ホンマやなぁ。宝塚でも活躍出来そうや。でも張りのある大きな胸はマイナス査定になってしまうんか?もったいないなぁ」
「あ、主・・・」
えぇぃ、この乳好きめ。



ちなみに、ザッフィーはお留守番。

何でって?アイツ犬だろ。翠屋は動物の入店お断りじゃ。
人型モードでも何故か犬耳隠せ無いという駄目っぷりも披露したアイツ。大の男があんなの着けてたら流石に厳しい物があるぞ。
ま、どうせこの後魔導師関係者全員集めて高町家で宴会だし別に問題は無いのだ。
八神家は合流の為に先に着ただけだったと知ったのは後の事。
シグナムがここでバイトしている時点で気付かないといけなかったのだが流石に頭の周りが悪くなってきた。


「ってかさ」
「如何したリシェイド、6時頃まで有った覇気が感じれんぞ」
「何でオレがマルチタスクや念話まで駆使して翠屋イートイン全24席を一人で捌いてるんだ!?」
「「「「・・・ドンマイ」」」」

泣きたい。

「恭也じゃソコまで頭回らないし美由希は確実にコケる、なのはを表に出すと労基法に怒られちゃうからね。
それにしてもリシェイド君は戦力になるわ~。コレなら来年は30陣700個の大台+ディナー1時間延長もいけるかしら?」
「ムリッス。いくらオレでもソレは無理。ってか士郎さんは如何したんです?」
「あぁ、あの人なら」


バックヤード、洗い場にて
「なぁ美由希、父さん達扱い悪くないか?だんだん爪がふやけてきたんだが」
「ウゥ。大丈夫、とうさんはまだディナータイムまでは活躍できるから。私なんて・・・ホラ、もうボロボロだよ?花も恥らう高校生なのにだよ?」


「こんな感じ?」
「うわ~、一応マスターなのに雑用係化してる。士郎さんって料理出来ましたよね?」
「一応、ね。でも士郎さんのは大雑把過ぎるし、こういう時のメニューには合わないから、となると後は消去法で割り当てられる仕事は、ね?」
「まぁそうなんだろうけど・・・って言うか何であの二人手袋しないんだ?」
「アラホント」




そして、2時間後


「では、乾杯!!」
「「「「「「「「「「「「カンパーーーーイッ!!」」」」」」」」」」」」
高町家へ移動した面々で打ち上げ会を兼ねたクリスマスパーティとなった訳だが。

「きょ、去年よりも疲れた・・・」
「み、右に同じ・・・」
「接客がこれほど大変な物とは思わなかった・・・」

オレ、なのは、シグナムで揃ってソファーを陣取り仰け反り状態。
いくら体が鍛えてあっても精神側からも攻められるからマジでキツイ。

「三人共お疲れさん」
「・・・ぉお、はやてか、楽しんでいるか?」
「うん、楽しんどるよ。ホンマ、こない楽しいクリスマスは何時振りやろ」
「ん?」
「もう殆ど思い出せへんのよ。オトンやオカンが居た・・・三人過ごした筈のあの頃が、な?」
「辛いか?」
「ううん、なのはちゃんやアリシアちゃんにフェイトちゃん、アリサちゃんにすずかちゃん、沢山友達も出来たし今はリィンやシグナム達も居る。
でも、な?私だけこない幸せになってオトンやオカンに悪いんちゃうかって思うんよ・・・」
「オレだって死んだ父さんをミッドにほったらかしのまま10年もコッチに暮らしてたんだ。お前がそうやって考える気持ちも分からんでも無い」
「リシェイドさん・・・」
「だがな、在り来たりだが『オレ達は今を生きている』んだ。勿論死んだ人を忘れる事は許されない事だと思う。
が、かと言ってその想いに引っ張られて何も出来ずに終わったら、ソレは想いの先にある死者への冒涜以外何物でも無い」
「冒涜ってまた厳しい言葉やなぁ」
「満足して逝けず、何か未練を残した相手に対する誠意、世界に対する存在を示す証。
何か結果を残す事、望まれた結果を生む為の道しるべとなる事。
オレ自身、父さんに対する想いはあまり強くは無かったがそれでもあの人の事は忘れない。
平凡でも良い、ただ幸せな家族があの人の希望だったんだ。
オレ自身にとって、世界は難関が多いしデカイのばかりだがクリアする目処を立てれた。さてはやて、お前は如何だ?」
「オトンの想い、オカンの想い・・・」
「二人はお前に何を願うと思う?DVな親でない限り子の幸せを願うのが普通だろ?」
「う、うん・・・」
「あんな立派な家用意して、お前の為にちゃんと部屋も拵えて、誰が如何見たってお前が幸せである様に考えてるとしか思えないぞ?」
「わたしの幸せ・・・」
「今もハッきり判るだけの想いだ、ちゃんと受け取ってその想いに答えてみせろ。ソレがお前のするべき事だろうさ」
「・・・そやね。リシェイドさんの言う通りや。今わたしが在るのはみんなオトンとオカンのお陰。なら、ちゃんと答えんとアカンよね」
「あぁ。今の家族でいい、将来は誰かと家庭を持つかもしれん。だが、只何時も幸せでいれば良いんだ」


「ムフッ・・・それじゃ、身動きとれへんシグナムで・・・。コレが、コレがわたしの幸せの形やーーーーーーーーーーッ!!」
「なぁ!?あ、主止めて下さ!?ッーーーーーーーーーーー!!」
揉み扱くの上手いなぁ・・・。でも、シリアスぶち壊すの早すぎじゃないか?


「・・・シグナムさん、辛いね」
「気にしたら負けだ」
「うん、はやてちゃんって、レティスおねーちゃんとユニゾンしたわたしの体見て興奮してたし、将来はきっと・・・」
あ~・・・ご愁傷様?




「マスター、お疲れ様です」
「おぅ、レティスか。体はどんな具合だ?」
「関節に異常はありません。バッテリーフレームの反応も良好です・・・ソレよりもマスター、ソコで寛いでいて良いんですか?」
おぉ。やる事があったな。


「ソコのアリシアさんや」
「ふぉふぇ?ふぁにふょんだぁ?」
ターキーに噛り付いてるのか・・・確かに美味いだろうが行儀が悪いぞ。
「とりあえず口の中身飲み込めや」
「ンック。で、何?この後白『身魚の塩釜』攻めが待ってるんだから早くしてよ」


「ほれ、待ちに待ったアレだ」
手渡したのは白銀のペンダント。そう、ユニゾン用データの格納ユニットだ。
「ほえ?あ、これバルディッシュの色違い?」
「バルディッシュは金色だからな。色違いで白銀に仕立てた」

「もしかして、出来たの?」
「プレシア女史か。ようやく、な。苦労したが一応完成だ。
ある程度のデバッグとシステムの最適化は必要だが骨子はほぼ完璧。

NGD(Next Generation Device)第一弾のお披露目だ。レティス」
「はい。術式リンク開始、ベースとの接続を確認。転送システム起動」
ミッド式の魔法陣が展開され、その中に人影が見えてくる。
その様子はレティスが初めてオレの前に現れた時同様、幻想的な雰囲気すらあった。

「コイツは後天的リンカーコアを付与する為に開発した最新技術の塊。
何でもかんでも魔法に頼りきりなミッド系社会ならコイツの存在は禁断の領域だ。
だが、コイツの先にあるのは魔力資質を無視出来る、真に魔法技術で確立された世界となるだろう」
「な、なんか凄いって事は分かったけど・・・いいの?貰っても」
「プレシア女史には色々と世話になったからな、そのお返しといった所だ」
転送が終わる。

見た目は何気にリィン2をおっきくした感じ。声は平仮名三文字の某声優に依頼してサンプリングしたのは当然の行為だ。
背格好は8~9歳前後、アリシアの事を意識して構築している。
更に最新の魔力偏移エミュレーション・シミュレーション技術やリアルタイム・リプログラミング処理を利用し、『成長』まで可能となった。
コレを反映するとレティス同様のアクティブボディを製作する時に、モミジの体で用いる技術を応用すれば心身共に成長するデバイスとなる。
最終的には戦闘機人すらママゴトの領域になってくるだろう。技術的・コスト的な問題はまだまだ多いけどな。


「LETIS("LInker-core Enhancing Type Integration control System"リンカーコア拡張型統合管制システム)理論発展型、
ALIM2("Acquired LInker core Mounting specification Model"後天的リンカーコア実装仕様モデル)、
開発コード『レティス・ツヴァイ』と申します。皆さん、よろしくお願いしますです!」



「「「「「「「「「「「「「「「おお~ッ!?」」」」」」」」」」」」」」」


「・・・一応正式名は教えたがまさか自己紹介で全部言い切るとは・・・一度も噛まずに」
「わ、私は言い切る自身がありません・・・」
レティスよ、暗くなるな。普通は噛む、アレはオレでも無理だ。



「可愛い!!」
「ヘェ!?ワフッ!ま、マイスター・・・助けて」
いきなり抱き付くか。
「アリシア、気に入ったか?」
「勿論!!あ~ん、フェイトはフェイトで好きだけど、こう云う歳下な妹も良いのよね!」
「へぇ、そういう見方も出来るか、まぁ良いや。ツヴァイ、コイツがお前のマスターだ。ちゃんと名前付けてもらえよ?」
「こ、この人がマスターですか・・・・」

「名前って、『レティス・ツヴァイ』じゃないの?」
「オイオイ、ツヴァイも自分で言っただろ、『開発コード』って。
マスターが自分で名前つけてやる事で、初めてコイツはお前の相棒になるんだ。
お前と一緒に文字通り『成長』するからな。愛情込めろよ?」


「う~ん、LETIS・ZWEIでしょ?LET、IS、ZWE、I、頭文字でLIZI、でも何か合わないよね。
あれ?LIZ?・・・あ、そうだリィズよリィズ!名前はリィズ!!」
『リジ』じゃ響き悪いもんな。『リズィ』もアリかなとは思ってたが・・・アリシアがそう決めたのなら、後は当人同士の問題だな。

「どぉ?気にいってくれた?」
「私の名前はリィズですか?」
「そう、貴女はリィズ。これからはリィズって呼ぶけど良いよね?」
「リィズ、リィズ・・・ハイ!私はリィズ、マスターの手となり足となるパートナーです!!あ、マスター」
「ん?如何したの」
「・・・まマスターの御名前を未だ聞いてなかったですゥ!?」
「わたしはアリシア、アリシア・テスタロッサ。わたしの事は名前で呼んでね?」
「判りました。マスター・アリシアですね!」




「・・・何気にアリシアもプロダクトバイリシェイドの一員ね」
「あの子、わたし達でもユニゾン出来るのかな?」
「おねぇちゃん良いなぁ・・・」
「ら、ライバルが、ライバルがまた増えたの!?」

「「「・・・ライバルも何もリシェイド(さん)は誰も意識に入れてないよ(わよ)?」」」
「むぅぅぅ、そうだよね、シェイおにーちゃんグラビアアイドル系のほうが好きだもんね・・・」
「なのはが勝負するなら10年後ね。と言ってもソレまでリシェイドが独身だとは限らないけどね」
「あ、アリサちゃん!?」
「例えよ例え。リシェイドの場合は付き合いは広いけど浅いからそう心配することも無いんじゃないの?」

「そういえばミッドに行った時に向こうで紹介してもろうたカリムは別嬪やったなぁ。
リシェイドさんに気が有るみたいやったしひょっとしたらひょっとするで?」
「は、はやてちゃんソレ嘘だよね!?」
「安心しぃ。気は有っても身持ち堅そうやったし付き人に強い人がついとったからリシェイドさんは掛からんよ」
「・・・なのはちゃん、リシェイドさんに御執心だね。報われそうに無いけど」
「ひぅぅぅ・・・すずかちゃんヒドイよぉ」


脇でチビっ子共がなにやら喚いてるが・・・放置で良いや。


「リシェイド・アーリーズ」
「リニスか」
「少しお話があります。外までお願いできますか?」

・・・告白フラグ?イヤイヤイヤ、如何考えたってあいつオレの事嫌いだよな。
「別に構わんが、外雪降ってんぞ?」
「わたしが猫をベースにしているので気を使ってるのですか?寒さは特に苦にしませんので気にしないで下さい」
「ん、んじゃさっさと行くべ」



で、高町家の庭、池の隅でオレ達二人は向き合っている。
「ワザワザ、他の耳から離して話すんだ。そんなに聞かれたくないのか?」
「そうですね。アリシアやフェイトに聞かれるのは少し辛いので」
「さっさと済ませよう、寒くて仕方がない」


「単刀直入に言いましょう。お分かりでしょうが私はあなたの事が嫌いです」
単刀直入・・・うん、単刀直入や。ビシッとストレートとに決まったその台詞、オニイサン心が痛いわ~。



「あなたはわたしから大切な物を奪っていく」
「オイオイ、奪うって何だよ奪うって」
お前に何かした覚えはないぞ?

「フェイトが事件を起こした件については仕方ないでしょう。ソコであなたに出会ってからあの子は変わった」
・・・そんな感じはしなかったんだが。

「知ってますか?あの子、事ある毎に貴方の事を意識するんです。『リシェイドさんは如何思うだろう』の様に。
魔法についても私が教えてきたのに訓練中にあの子が浮かべるイメージは何時も貴方かなのはちゃんなんです。
昔は私にしがみ付いて訊きに来たのに此処半年ほどで全く無くなってしまった」
な事言われてもなぁ・・・年柄年中研究してるオレやSSSオーバーで才能の塊であるなのはに訊いた方が効率良いのは当然だろうが。

「同年代の友人が出来たのは良い事でしょう、でもその影には何時も貴方が居た。
5月にアリシアと3人で買い物に行ってからは殆どそういった機会まで無くなったんです」
外出時は一応オレが保護責任者ですよ?傍にいないと危ないんだよ。

「そして貴方はアリシアにまで手を伸ばした」
・・・聞き手に依っちゃオレ変態さんじゃねーか、勘弁してくれ。

「私では如何する事も出来なかったあの子の願いをああも見事に叶えてしまった」
いや、アレはプレシア女史からの依頼だぞ、俺は自分の仕事をしただけだ。

「貴方が斬られてから、『リシェイドってお兄さんって言うよりお父さんみたいだよね』とフェイトと一緒に
貴方に甘える算段まで付けているんです。事実貴方の家に入り浸りになってますから否定はさせませんよ」
アンニャロ、最近妙に甘えながらせびって来ると思ったらそういう事かよ。
ってか何だよ『お父さん』ってよ、オレは未だ15だぞ?お前等と6歳しか違わないのに・・・。


「生まれて間もない頃からずっと見守ってきたあの子達を、私が手塩をかけて大切に育て見守ってきたあの子達を
貴方は横から掻っ攫っていった。だから私は貴方が許せない、許せないんです!」
いや、感情込めて叫ばれても困る。何より近所迷惑だ。


「・・・リニスさんよぉ、そりゃ逆恨みだべ?」
「逆恨みとはなんですか!?逆恨みとは!!」
「別にお前さんからあの子等を奪うつもりは毛頭無いし奪う気も無い」
「じゃぁ、じゃぁ何であの子達は私から離れていくのです!?」
離れていくって言われても。だって、ねぇ。

「ゲームとか完備してるのウチか月村ん所ぐらいだもんな。遊び道具がある所に子供が集まるのは道理だろうが。
それにウチなら年中開いてるし魔法で転移してきても問題にならないから、
嘱託で次元世界を飛んでるなのはやフェイトが直接来るには丁度いい場所だからしょうがないんじゃないか?」

「そんなことは訊いてません!!」


「それによ、あいつ等だってお前の事気にしてるんだぜ?」
「えっ!?」
「アリシアがな、『魔法の事でリニスにはずっと迷惑かけてたけど、コレでソレもなくなるよね?』って
リィズを創り始めた頃に訊いてきたんだ。アイツだって自分が無茶な要求してたって意識して反省してたんだぞ」
「我侭でもいい、私はあの子と一緒に居たいだけなのに・・・」
「それに、フェイトも揃って同じような事を言ってたぞ、『出来るけど忙しくて無精な母さんよりもリニスの方が『お母さん』だった』ってな。
それに『母さんは仕事で忙しいのに私達が寂しい思いをしなかったのはリニスのお陰』だとさ。十分に愛し愛されてるじゃねーか」

「アリシア、フェイト・・・」
「あいつ等は別にお前から離れようとした訳じゃない。生活空間が変わって、少しだけ生活リズムが変化しただけさ。
お前が今までやってきた事は全部あいつ等に伝わってる。その想いに答え様としてるだけだろ?なら見守ってやれよ。
いっぺん思いの丈をブチ撒け合ってみたら如何だ?多分スッキリすると思うぞ」

「・・・そう、ですね」





でさ、話は変わるんだが数日後
「私、あなたの事が好きになったみたいです」
「ハァ!?」



フラグってクーリングオフ出来たっけか・・・



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十六節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:e4e73d77
Date: 2008/08/30 22:10
「あ~眠、」
何時もと変わらず忙しい毎日を過ごしつつ、今日も朝からニュースを見ようとテレビをつける。

「'先週の国会であった『ブッチャケ議員なんて居なくてもこの国機能しそうじゃね?』という首相の発言に対し、
野党の各党主は不信任決議案の提出と、超党派議員連合での名誉毀損に対する訴訟を決めた模様です。
この一報を受けた首相は『でも事実だよ。事実、今現在国会は機能していないけど国はちゃんと動いている』とコメントを発表。'」
何時になっても程度が低いなぁ・・・小学校のクラス会じゃあるまいし。首相が一番まともそうなのは気のせいだろうか。


「'次のニュースです。5月頃に各国の天文台の偏移重力波望遠鏡によって相次いで観測された低軌道に浮かぶ謎の構造物が
地球上で建造された物ではない事が確認され、世界中の天文学者や軍事関係者で物議を醸し出しています。'」
「ブッーーーーーーーーーーーーー!!」
脂ぎったオッチャンキャスターの横に出る画像を見て流石に焦った。コレは、コレはヤバ過ぎるぞ!


「あら、この影は・・・まさか、L級巡洋艦!?」
「間違いなくアースラだ。あのバカ共、ステルス処理甘すぎだぞ、ったく」
「'国連安保理々事国の各代表はこの報告を受けて昨晩緊急会合を開いた模様です'」


半年後、軌道エレベータ1号のメインステーション竣工と合わせて『国連宇宙軍』の設立が正式に決まってしまった。
起動エレベータ本体も既にワイヤーの半分は地表と結合しているから数年以内に稼動を開始するだろう。
恐らく5年以内に実働開始するのは確実と見て良い。
方々に手を出していたオレは委員会参加に声を掛けられちまったし・・・メンドイ、非常にメンドイ。事情を全て知るだけにマジキツイ。

にしても、だ。米主導で動いてる新型機(まんまSWのX○ィング)なんて嫌だぞ。
もし仮に管理局とガチンコするなら対なのはとは言わないが、せめて八神家クラスの連中を抑えられるだけの性能が必要だが、
如何考えても防御力無いし攻撃力も決め手に欠けるし・・・まず無理だろ。
そういえば噂だと復権をかけて資源採掘用に衛星を引っ張るついでにその衛星をデ○・スター化する計画すらあるとかないとか・・・。

でさ、オレ個人としちゃ折角一から仕込むならV○とか○Sとかにしとけと思う訳だ。だって相手は如何見てもアー○マのパクリだぜ?
某掲示板じゃ軍事・旧○ャア・アニメ・VIP等で第一報から祭り状態が2週間以上続いて・・・あ、なんか募ってる。

『【立て】次期主力攻撃機のコンペに純国産機を作って名乗りを上げるスレpart1【国民よ!】』
『パクリ宇宙人に対抗してMS開発に乗り出す奴の数->』
『【OTM】あの船は某巨人族の物だと思う香具師の集い part2【真黒巣】』
『【猫目】第三体育倉庫で張り込んでみる 2夜目【凸蟷螂】』
『三○・富○重・○崎・IH○に何故か本○とS○NYまで居る有志連合を応援するスレ F-4EJ改』

・・・参加するっきゃねぇよな?
金は余る程にある。ってか使いたくても使えないからマジで余る、でもコレなら文句も出ないだろう。


で、この何気なくその場のノリで乗ったネタが、まさかのまさかで大活躍する事になるとはマジで予想外。
ベロンベロンに酔っ払った(犯罪です、飲酒は二十歳になってからにしましょう)勢いで飛行機免許取得して大正解だったZE!




閑話休題、話は1月の頭に戻る。
「寒い~」
「ゆ、雪は冷たいデス・・・ま、マスター、引っ付きませんか?」
「おぉ!?リィズ、ナイスアイデア!!」
『『抱きっ!!』』
「「あぁ~温い」」


場所はいつもの練習場所。
クリスマスから断続的に続いている雪で大いに冷え切っている。
母親ズ他年配組は揃って件の温泉に行っている。年始から貸切で一週間お休みモードだそうだ。
ちなみに翠屋は4日からの営業なのだが、定休日が重なった関係で例年より休みが一日長い。
で、どうせだからと誰かが言い出し、7日まで休みにして主要メンバーで年始から湯治と云う訳だ。
ババ臭いと漏らした美由希が思いっきり凹にされてたのは気のせい。

ちなみに恭也は25日から4日まで一度も帰ってこなかった・・・。
後でノエルから訊いたのだが初詣以外は碌に屋敷から出てないとか。
その初詣もヤケにテカテカした忍と表面上は普通でも妙にげっそりした恭也と云う何ともアレな状態だったらしい。
何でも夜になると猫になって、しかも絶好調な勢いで血まで吸い上げてたとか。
さすが御神の剣士、劣悪な環境でも耐え抜くとはその頑丈さは伊達じゃないって事だな。


「そこ、抱き合ってヌクヌクしてないでサッサとする」
「「ハーイッ」」
たった一週間で此処まで仲良くなるとは、精神年齢を近づけてAI組んだのは良かったのか悪かったのか微妙な所。

「それじゃ、いくよ、リィズ!!」
「ハイです!」


「「ユニゾーン、イン!!」」


『ユニゾン成功、データ収集は順調です』
「ヨッシャ。エクスタス、そのまま計測続行しろ。データは何時も貴重だからな」
『了解です。にしても一体何度ユニゾン処理を繰り返させるんですか?』
「そう言われてみればマスターと私の場合は此処までテストをした覚えはないですね」
リィズの前身でもあるレティスとエクスタスに組み合わせになるオレのと関係とアリシアとリィズの関係は微妙に違う。
「アリシアはリンカーコアがないからな。オレの場合はコアにレティスを接続するだけだが
アリシアとリィズの場合はリィズがリンカーコア系の部分を全部受け持つ。アリシア側のリソースは思考系位しかないんだ。
臨床的なデータはまだまだ足りん。毎回微妙に振れるユニゾンのリンク度とコアの固有振動係数なんかのデータは特に貴重だ」

このデータやオレとレティス、更にははやてとリィンのデータをサンプリングしてどんどん情報を蓄積し、
モミジ向けや量産モデルの開発に漕ぎ着けるには、その蓄えたデータに色々な条件を加味して更にシミュレーションする必要がある。
このデータ如何でLETISの将来が決まるんだ、いい加減な事は出来んのだよ。


「バリアジャケットって反則だよね。こんな薄っぺらでもエアコンみたいに快適な温度だし対NBC処理も出来るし、
高度10km以上の高高度でも低酸素症にならないし防刃・防弾も対人程度の威力なら完璧だもんね」
『擬似リンカーコア稼動状態正常。魔力変換も定格で動いてます。マスター、魔力がどんな感じか掴めました?』
「う~ん、お母さんやフェイトのを見様見真似で色々やったけど今一威力が上がらないからマダマダかな?」

・・・アイツ等は規格外じゃ。レティスがいなきゃ俺は絶対勝てん。

「変換資質もお母さんやフェイトと違って無属性だし、実の所全然上達しないんだよね・・・」
『その為に属性付加用のマルチシフトシステムが実装されてるんですよ?』
「ペラッペラの紙切れの様な擬似質量ユニットだなんて使いにくいよ」
贅沢ぬかすな。
「・・・マルチシフトシステムがどれだけ凄い装備なのか理解出来ていない様だな」
「え~、紙切れに属性情報格納してるだけでしょ?」
「ソレが凄いの!!」
そりゃ、口で言うには簡単だぜ?でもな、『任意の空間を極低温域まで強制冷却』とか
『プラズマ形成クラスの炎熱を任意の方向へ撃ち込む』、他にも『真空波での広域制圧』や『ピンポイントへの超高圧電撃』、
変換資質を持つ魔導師の各種技能を擬似的に全て再現可能にしたんだ。
「ぶっちゃけ今のお前はなのはやフェイト以上に使い勝手がいいんだよ。
なのははあの通り変換資質無しで儀礼系の苦手は克服できないままだから属性持ちの魔法は一切出来ん。
フェイトはプレシア女史同様電気と言うか雷に変換できるが他はからっきし。だがお前は違う。
天を焼き払い、大地を擂り潰し、火山すらも凍て付かせ、ついでにカミナリ様を真似出来て、
傍から見れば福○夫妻も真っ青な厨仕様。これ以上贅沢言うんじゃねぇ!」

その気になれば任意の建造物のみに地震をぶち込む事やリィンの蒐集の様なレアスキルすら模倣可能だ。
各々の物理的な現象の偏移状態を調べて理論化する必要はあるが大抵の事が模倣可能と言う時点で凶悪すぎる。
試しにヴェロッサの『犬』をコピってみたが全く持って普通に使えた。
リソース消費量が半端じゃないから札一枚で犬頑張っても8匹が限界だったが使える札の数はシステムの仕様上3枚。
最大で24匹の犬を運用可能だ。正確に情報をやり取りして制御するなら4匹位だろうがそれでも計12匹。
もし消されても手元で復元すれば問題ないのでヴェロッサ本人の能力と大きな差はない。
アリシアには教えていないが、札3枚を上手く組み合わせると半径数キロを制圧できる気化爆弾と同じ効果すら得られる。
対AMFの正統対抗手段を比較するならアリシアは間違いなく最強クラスだろう。

この技術は母さんが長年暖めてきた構想の集大成。ここ数年は働く必要が無くなって(オレの収入だけどな)趣味に没頭出来る様になってたから
何かやってるとは思ってたが此処まで凶悪とは思わなかった。
ソレをオレが借り受けてアリシアの服装に合わせてネタ仕込みしたと言う訳だ。
元の仕様は某ゲーム機のメモリーカードそのもの、ソレを3本着けてエミュレーション出来る様にデバイスを改修するって形だった。


『それよりも対魔導師戦用攻撃ユニット『陰陽球』は問題ありすぎだと思うデス』
コレに関しては御平教授の研究の集大成だ。まさか『魔法』に一切頼らず物理側の技術のみで反物質を精製するとは予想外だった。
で、このユニットは魔力非依存での小規模空間結界を形成して、魔力素子の反物質を展開する。
IS等での空間偏移移動以外での結界からの脱出は不可能だから一対一の環境なら間違いなく相手を封殺出来る。
と聞こえは良いのだが実の所カウンター能力が高いだけで使い勝手はそれほど良くない。
反物質生成や結界展開に必要なエネルギーのチャージに時間がかかる上にユニットの容量は一回分しかないから決戦兵器そのもの。
一撃かましたら数時間はチャージが必要という欠陥兵器なのだ。

「アリシアとリィズの存在はハッキリ言って誰にも知られちゃいけない様なマジで貴重な存在だ。
相手を完全に殲滅出来るだけの装備をして何が悪い」
「だって暇だもん」
『フェイトさんやなのはさんは次元世界を飛び回ってますからね~』
「そうそう、私も二人みたいに色んな所行きたいよ」
「う~ん・・・じゃ状況が落ち着いたら連れてってやるから辛抱しろ。とりあえず単独行動は絶対にダメだ。
もしリィズにトラブルが起きたらお前一人じゃリカバリなんて無理だろうし、コレだけは絶対に守れよ」
まかり間違ってスの字に情報が流れてみろ、戦闘機人全員が各々のISにS~SSクラスの空戦魔導師能力まで付いちまう。
周辺への被害を無視すればなのはとオレで惑星単位の空間殲滅すれば済むだけだが流石にソレは無理な相談だ。
「むぅ~。しょうがないなぁ」
『でも確約取り付けました!マスター、コレって公認デートじゃないですか?』
「おぉ!?言われてみればそうかも。それじゃどこかリゾート惑星のあるような世界で二人っきりとか?ムフフフフ」
・・・この馬鹿共は。


「バカ話は止め!模擬戦いくぞ~」
「『ハーイッ!』」



アリシアSide

「ねぇリィズ」
『ほぇ?マスター、何ですか?』
「リシェイドをギャフンって言わせる良い方法、ない?」
リィズと練習する様になって一週間ぐらい、ようやく魔法がどんな物か解かってきた。
『ま、マイスターをギャフンですか・・・レティスおねーさんとユニゾンしてるマイスターは文字通り反則級ですよ?』
「だから一回ぐらいギャフンと言わせたいのよ」
そりゃなのは相手に勝てるとは言わないまでも互角に近いリシェイドに勝とうだなんて幾ら私でも言わない。
『う~ん・・・とりあえず基礎固め足りないと思うですよ?やっぱり各種魔法がある程度は使えないと・・・』
「やっぱそっか・・・とりあえずいける所までいこう。それじゃ先ずは一発目、いくよスクナヒコ!!」
『任せて!』

祓串に似せた私専用デバイス『スクナヒコ』はリシェイドが私とリィズの『可能性』に賭けて名付けたってデレッデレのリニスが言ってた。
クリスマスの後家族皆で色々話してから雰囲気が変わったんだよね。
で、このスクナヒコ、パッと見は只のインテリジェント型だけど中身は全く別物だとか。
マルチシフトシステムに最適化すると既存システムじゃ対応出来ないんだって、イマイチ分からないけど別に良いや。

「フラッシュ・レイン、セット!」
『チャンバー充填、ロジックカード"閃光"装填完了』


「そいじゃ、こっちもやるか」
『ガンスフィア展開します。数は・・・とりあえず5に。さぁ行きなさい!』
リシェイドとレティスが術式を広げスフィアと飛ばす。
数は少ないけどガンスフィアだから攻撃までしてくる嫌らしい奴だ。


「とりあえず退いて・・・」
バックステップのままガンスフィアの砲撃を避け続けていく。
手加減しているのかそのスピードはフェイトやなのはにやる物よりも遅い。それでも避けるので精一杯なんだけどね。

「今!!」
『フラッシュ・レイン、ファイヤ!』


祓串に付いた無数の紙垂から放たれるのは膨大な数に分散させた『閃光』の設定を付加した純粋魔力。
攻撃力は低いけど閃光による目晦ましとスタングレネードと同様の視界封鎖、更に弱装の魔力が生み出す弱ダメージの波。
これであのスフィアは撃墜出来ただろうし、瞬間的とは言えリシェイドの動きを止められる・・・筈。


「勢いに乗せて一気に!!」
『ハイですッ!!』
『カード"爆炎"、"旋風"、"雷撃"装填。エネルギー充填まで20秒!』


「あのバカ、オレ達は良くても周囲に悪影響出るだろうが!」
『ブラスター・カノン、レベル2にシフト』
「とりあえず大人しくしやがれ!!」



「ウヒャッ!?」
『あぁ~、マイスターマジ切れしてるデス・・・』
『ど、どど、如何するんだマスター!?』
「よ、避けるしかないよ!!」
咄嗟にシールドを張って受け流しつつ何とか時間を稼ぐ。一発掠るだけで私の薄っぺらなシールドはボロボロになっちゃう。

『カウント2、1・・・充填完了!!』
「よぉ~~~しっ、スクナヒコ!」
『ブラスト・ストーム、展開!!』


リシェイドを中心に竜巻を発生させる。
「ふぅ~~~~~・・・こ、これで一矢ぐらいは報えたかな」
あの竜巻は烈風と爆炎、更に雷撃まで織り交ぜた複合攻撃。かすり傷ぐらいは「着く訳ネーよ」・・・だよね。



『AMワイヤー、展開』
エクスタスのコード読み出しと共に無数の線が私に絡まって・・・!?
「えぇ!?」
『え、AMF系!?』
縦横無尽に奔るAMF技術の応用で作られた網状のワイヤー群につかまり、ユニゾンまで強制キャンセル・・・。
『あう~・・・やっぱりあの術式じゃ足止めにもならないデスよ」
「って此処空中!!」
強制的にリィズとのユニゾンが解けてしまいそのまま・・・

「『お、落ちるーーーーっ!?』」



リシェイドSide

非殺傷設定とは言え擬似的に高熱を発生させる『フラッシュ・レイン』はこの世界の技術でもその反応を検出できる。
一応分厚い結界を張っているからバレはしないだろうが流石に危ない。
ただでさえ、アースラの件で敏感になってるんだから下手な事はしないほうが良い。ばれたらマジで洒落にならん。

『クッションフィールド展開』
「ヒャウッ!」
クッションでアリシアを回収し今日の模擬戦は終了だ。


「うぅ~・・・」
「マスタ~」
「ったく、そんなに剥れるなよ」
「こんな初心者にマジで砲撃してきたのは何処の誰よ・・・」
マジにはなってないぞ、マジには。ちぃと活は入れたが気にするな。


「ボチボチデータも集まってきたな」
『ですねぇ。それじゃあモミジちゃんのユニットもそろそろ?』
「だな。体の方は素材も集まったし骨格は殆ど完成してるから半月もあれば出来上がる」
ナノマシンとかばっかりだからデータ打ち込んでしまえば後はコンピュータ制御で終わるんだよね、うん楽チン。



そろそろ始末出来る事は始末しておかないと67年頃に起きるイベントに間に合わなくなる。
そう、ゼストのオッチャン達が全滅する事になるあの事件だ。
「とりあえず必要なのはTypeIとTypeWだな。ティアナの兄貴は69年だった筈だからまだ猶予はあるし放置でいいか」
あと抑えなきゃいけないのは70~71年頃にキャロが放逐される事ぐらいだろう。
71年4月の空港火災に関しては如何とでもなるし、何よりコッチは参加する理由も義理も無い。
可能な限り技術を隠匿する、コレは最優先される事だ。オレが方々からかき集めてきたデータや技術は全てが鬼札となる。
切り所を間違えると全てオジャン。そうなるとオレ自身を含め関係者各位に不都合すぎる。


「2月ぐらいにはクイントも含めてコッチ来るように・・・いや、俺が出向いた方が良いな」
クイントが出国するのは難しいだろうしモミジも連れてだとバレる可能性が跳ね上がる・・・ったくメンドイなぁ。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十七節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:eb48ea4d
Date: 2008/09/07 11:47

「ほえ~・・・私がいる」
「凄いわね、本当に管理局法に引っかからないの?」
「なぁリシェイド、コレ本当に大丈夫か?」


2月の終盤、オレは完成したモミジの体を持ってナカジマ家に居た。
「勿論。各物資の手配から組成技術や使用部品の全てにおいて引っかかる物はない。コレは母さんとも確認した。
移植処置そのものは作業可能な環境さえあれば簡単に出来る。順調に行けば2時間もかからないんだぞ?」

・・・とは言ったものの、内装している融合炉の炉心関係は仕様上の問題で魔力融合炉にかなり近い構造になっている。
その気になれば魔力素子を流し込んでハイブリッド炉として動かす事だって不可能じゃない、モミジのは出来ないようにしてるけどね。
コレばっかりは危険物管理関係で数個引っかかる物があったが・・・まぁバレんだろ。ミッドの技術じゃまだ『不可能』の領域だし。


「・・・でも凄いね。コレ本当に機械で出来てるの?」
「大半はナノマシンの様な特殊微細機械群だけどな。人工物100%だってのは保障してやる」
「衝撃や斬撃とかへの耐性も高いし自己修復機能もギンガやスバルの体とは比べ物になら無いのね」
「あぁ、向こうじゃこの技術の応用でアンダースーツ型の強化外骨格も開発が始まってる」
対G性の高い高分子化合物と組み合わせた次世代機動兵器向けのパイロット用外骨格だ。
その性能は富○急やベ○スの極悪コースターに乗った際にかかるGが全く感じられない程のレベルまで軽減される。
肉体組成部分にほんの少しこの特殊化合物を組み入れる事で各種外的干渉への耐久性は格段にアップ。
副次作用で質感がより『人間』らしくなったのはラッキーだったね。下手な骨皮筋衛門よりもよっぽど人間らしい外見になった。
「内臓系はミッド製の人工臓器を利用したから今まで通り食事も出来るだろうし生活面では一切変わらん。
変化するとすれば管理局での検診をして欲しくないぐらいか」

「・・・コレだけのオーバーテクノロジーを見せられちまうとソレも納得だな」
「そうね。この辺はアテンザ技官に誤魔化してもらいましょうか。モミジの場合はデータ収集してないから如何にかなる筈だわ」




と云う感じでモミジのボディ換装作業が行われた。ちなみに場所は検査担当だったアテンザ技官のラボを借りる事に。
モミジの体についての情報隠匿と等価交換という事で、大容量魔力チャンバー運用システム(エクスタスやブレイブハートに搭載している奴だ)と
カートリッジシステムの高効率化に関する研究データを渡したが・・・まぁ数年で誰かが完成させる程度の代物だ。
それにどちらも教会理事会には流した事のある技術だからソレほど影響は無いだろう。
スの字へ漏れた所で技術的ブレイクスルーに至る様な要素は無いから大した問題じゃない。


作業時間は予定の範囲内な1時間半。補助脳とのリンク用人工神経節の接合も無事完了し、後は微調整だけだ。
「ねぇリシェイド君」
「ん?」
「モミジちゃんの新しい体なんだけど・・・どうやって用意したの?」
アテンザさんよぉ、一応『詮索無用』って言ったんだけどなぁ・・・。
「別に良いっしょ。どうせ倫理的問題で日の目を見るようなものじゃないんだから」
「ソレはそうなんだけど・・・ね?」
ええぃ、貴様も忍と同じか!!
「・・・『ね?』、じゃねぇよ『ね?』じゃ。まぁ管理外世界舐めると痛い目見るって事だけはハッキリ言っとく」
「う~ん・・・ガード固いなぁ」
「アンタも懲りん人だ。それに技術局出なら知ってるだろ?『アーリーズの悲劇』は」
「あ・・・やっぱりあれって本当だったの?」
「まぁ、な。だから俺は『管理局』を信用しない。だがアンタ個人はヒトから聞いた限り『マトモ』みたいだから一応信用する事にした。
こうやってクイント経由で話を持ちかけたし、アレだけの研究データも流したんだ。後は分かるよな?」
「私だって空気位は読めるよ。にしても重たい話ね、なんだか嫌になっちゃう」
とりあえず納得はしてくれたらしい。
「戦闘機人関連はたぶん研究員共を仕切ってる黒幕が居る筈だ。そいつさえ押さえれば技術放出しても問題無くなるだろうから、ソレまで待っとけ」
「といってもこの案件って10年以上続いてるのよね。元々の技術なんて旧暦時代からあるんだし、目星なんて全く立っていないよ?」
「ま、まぁそうなんだよな」

むぅ、『全部知ってる』ってのがコレほどプレッシャーになるとは思わなかった。
何も考えずに先制攻撃で脳ミソスリ潰しと箱舟破壊すればStSで浮いてくる大半の戦略的脅威は解消しちまうんだよな~。
アインヘリアルなんて本編版なのは未満の固定砲台なんてゴミでしかないから基本放置、脅威になったら適当に瞬殺でOK。
・・・やったが最後確実に実刑喰らって臭い飯のお世話になる事間違いなしだけどな。
そういえば97世界でヌルヌルとプログラム弄ってる間に聖遺物盗難起きちまったんだよな・・・結局ヴィヴィっ子は生まれるのか。

「そういえばゼストのおっちゃん達が今の専門捜査班だったっけか?」
「昔はもうちょっと多かったんだけどね。最近は話題性も小さくなってきたし検挙してもソレが縮小化傾向にあるから
他の案件に戦力を回すって話になったらしいよ?」
う~ん、警察機構ってのは何処も同じ対応か。大規模戦闘と捜査に関しては逐次投入は無駄でしかないって分からんのか?
歴史を紐解けばそういった場面は多々あったと思うのだが・・・根本的な問題で『自作自演』だから救いが無いのは気にしない。
「チャッチャと人員を大量投入してローラー作戦すれば片付くと思うんだけど・・・そんなに予算無いのか?」
「地上はね、海のカバーエリアが広すぎるし戦艦建造の費用捻出が絡んで皺寄せが酷いのよ。
デバイスとかもやっぱり海の方が若干ランクが上かな?まぁ地上と海の魔導師ランク差を考えると何とも言えないけどね」
うわ~・・・マジで馬鹿だ。同じ組織内で食い潰し合いだなんて三流だぞ?
というか第二次大戦時の日本の逆バージョンか?アレは陸軍がリソース食い過ぎ(まぁ海軍も海軍だったが)だったな。
大陸奥地に行かず東北部沿岸辺りで資源開発でもしとけばよかったのに、無意味に戦線を広げてしまったりして戦略が酷すぎた。
「管理局って文民統制利いてないの?」
「組織の形態は一応その方向なんだけど、やっぱり組織の成り立ち理由もあってか
文武関係なく武闘派が多いの、だからどうしてもそっちの方向へ流れるのよね」
あ~・・・レジアスのオッサンとかもそういう口だよな。魔導師じゃないけど戦闘万歳な人だし。
「海はそれなりに環境が恵まれてるのもあってか結構そういった方面ではおとなしいんだけど、地上は結構荒れてるかな」
やっぱアレか、人間『衣食足りて礼節を知る』、と。


とまぁお喋りしてるうちにモミジも目が覚めた。
「ぅ・・・ん。あ、あれ?」
「目ぇ醒めた様だな」
「あ、おに~ちゃん、おはよう」
「おはようって時間でもないが・・・気分はどうだ?」
「ふぇ?」
寝台で寝た状態からスッと起き上がる。この様子だと問題なさそうだな。
「体変えただろ、違和感無いのか?」
「あ・・・。ぜんぜん気づかなかった」
「リシェイド君、何気にコッチ方面も凄いんだね・・・私が初めて モミジちゃんの体を見た時なんて凄く苦労したのに」
いや~・・・コッチ方面というかアンドロイドやオートマタ関連は散々忍に鍛えられたからな。
魔法科学方面の工学技術はデバイス系は母さんだったがその他の機械系はプレシア女史が専攻してたおかげでかなり明るくなれた。
「周囲にその手の専門家がいたから環境的に勉強はしやすかったんでね。
肝心なところは汎用品と互換性があったおかげで困らなかったと言うのも多いけど」
ミッドって何気に医療系の技術はソコソコ進んでるんだよ。
各処置に魔法技術が必要だけど、皮膚や臓器に神経節なんかは人工物が完全に実用化してるってのには驚いた。
軽度であれば脊椎損傷まで修復可能なミッドの医療技術なら本編StS時に発覚したメガーヌの昏睡が治せるというのも納得がいく。
で、モミジは無論、ギンガにスバルの消化器他各内臓や神経系の一部はそう言った既存でありふれた汎用規格の物が多い。
開発時にある程度の規格化は考えていたのだろうか?おかげでコッチも楽が出来るから感謝感謝だ。

「よいしょっと。わ、体軽い」
「重量は以前のから大体10%軽減、関節や駆動系の出力も元の50%以上高い数値になってるからな。
動くに当たっての信号についてはある程度補助脳がフォローしているから、意図的に出力を上げなきゃ今までと同じ感覚で動いても問題無い筈だ。
一ヶ月も訓練すれば今の感覚にも慣れるだろうさ」
ピョンピョンと軽く跳ねて今の体を感じているらしい。この辺りは歳相応と言った所か微笑ましい光景だ。
「じゅ、10%減!?」
・・・そんなに驚く事か?と言うかマリーさんよ、アンタ新しい方の体を台に乗せる時に抱えただろうが。
「そりゃ今までの体の構成部品の質が悪かったからな。最新鋭の技術を投入してるからコレぐらいは出来て当たり前だ」
重量的には同体格の普通の人間よりほんの誤差程度軽いぐらいか。純粋に水とたんぱく質の集合体である生身って結構重いんだよな。
「ウッ・・・将来が恐ろしいわ、今の見た目も十分かわいいのに更に中まで完璧になるなんて・・・」
ってそっちの問題かよ。母さんも未だに『美人』だもんな、モミジもあんな感じに・・・ナルホド。そりゃ恐ろしいな、同じ『女性』だと。




「マリー、預けていた物を・・・お前は!?」
ん?
「あ、クロノ執務官、お疲れ様です」

・・・なんかメンドイのが来ましたよ?

「おに~ちゃん、知り合い?」
「知り合いっちゃ知り合いだな。あまり会いたくないけど」
「ふ~ん」


「で、管理外世界在住の人間が何でこんな所に居るんだ?どうせまた悪巧みでもしているのだろう」
「ウッサイ、オレはオレで忙しいんだ。ソレよりもなんだ?そのデバイス」
マリーさんが奥から引っ張り出してきてクロノに渡したデバイスらしき杖状のモノ。
な~んか見た事あるなぁと思って記憶を穿り返して出てきたのは冷蔵庫の代わりになる何故か名前はローランの聖剣。
「グレアム提督から拝領したんだ。『もう私にコレは必要ない』と言われてね」

あ~・・・『闇の書』はオレがフラグ全部叩き潰したっけか。ならあんな特殊仕様機要らんわな。

「ソレって私物じゃないだろ?仕様からして如何見ても局の備品臭いんだが気のせいか?」
属性無しのクロノが氷結術式を運用できる時点で明らかに普通の仕様じゃない。マルチシフトシステム程では無いが。
「提督クラスにもなるとこの程度のデバイスぐらい持っていても不思議じゃない。
それよりもお前や高町なのはのデバイスの方がよっぽどヤバイと僕は思うが、製作者としての意見は?」
「HAHAHA、気にすんな。なのはクラスはアレでもキャパシティ不足だから勘弁しろと言いたいね」
最大出力での運用はアレから再封印した(筈の)StSシステムによるエクスタスとの同期までして初めて可能になるぐらいだ。
とりあえず8桁台で収まってる今なら問題ないが将来はどうなる事やら・・・。

「ソレよりもなんでココに居る?アレだけ管理局を嫌ってるお前がこんな技術局の奥に居るなんて僕としては不思議で仕方がない」
せ、説明メンドい。下手な事話すと躍起になってタイーホされるかもしれんし。


「あ、あぁ、知り合いに頼まれた野暮用だ」
「そうか、テッキリ去年みたいに限りなく黒に近いグレーな事でもしているのかと思った」
ちょ、クロノなんか今日感冴え過ぎじゃね?
「グレーも何も別にやましい事はしちゃいないし別に違法行為はした覚えは無い」
と言いつつ今回は何気にマジ真っ黒。戦闘機人なんかオモチャになるような超ハイテクの固まり弄ってたのだから。
技術的に現行の管理局の技術では追いつけないが仕様書の斜め読みだけだと黒になっちまう。
何て言ったって『戦闘機人』のボディ入れ替えだ。スの字とか裏の技術屋がまだ研究中の代物だもんな。
「で、よ、横の子は誰だい?お前の関係者にこんな顔の子が居た覚えは無いんだが・・・」

げ、モミジに気付きやがった。チョットだけ顔が赤くなったが・・・まさかな。
「わたし、モミジ・ナカジマです、えっと・・・」
「僕はクロノ・ハラオウン。管理局本局で執務官をしている。さっきリシェイドの奴を『おに~さん』と呼んでいたけど、どういう事かな?」
ええぃ、こんな所で執務官スキル発揮するで無い!
「えと、チョット色々あって私の家族はみんなミッドに住んでいます。でも、兎に角おに~ちゃんはおに~ちゃんなんです!」
・・・エエ子や、ホンマええ子や。オニイサンちょっと感動してしまったですよ。
「・・・リシェイド、お前まさか」
「何だその汚い物を見るような視線は、オレは炉でもペでも無い」
「なのはやフェイト、アリシアを囲ってる奴がよく言うよ。で、実際の所は如何なんだ?」
「シツコイ奴だなぁ。・・・テメェまさか!?」

「ボソッ(い、いや、チョット可愛いなと思ったものだから・・・)」

OK、把握した。コイツはやっぱりオレの的(ゴジジャナイヨ?)だ。俺はモミジの肩に手を伸ばし

「へ?お、おに~ちゃん!?」
後ろから抱きしめる。
「この野郎、やっぱりムッツリだったか。モミジは絶対渡さんからな!」
「・・・あんな可愛い娘達を独り占めしてるくせにまだ増やすか」
喧しい。あ~でも原作以上に男分不足するの確定してるのは確かだもんなぁ。ブッチャケ恭也と士郎さん以外男いないし(教授はジジィなので員数外だ)。


あ、やべ。もしかしてハーレムルート?
でも如何考えてもあいつ等を性的パートナーと見るのは・・・絶対無理だ。

アレななのはを筆頭とする生身で魔力ブースト無しでもSランク陸士屠れる様な戦闘一家高町。
美人雷様フェイト、郷巫女アリシア、バリアジャケットはやっぱり露出大杉プレシア女史にぬこ耳と犬耳付きのテスタロッサ一家。
そしてオレが強化しちゃったせいで全員オーバーSスペックの騎士な八神家。

・・・論外だね。それにオレ、そんなに甲斐性ないし。


「コンチワー、マリーいる?・・・ってアレ、修羅場だったりする?」
「あ、エイミィさん丁度いい所に。お宅の執務官引き取ってもらえません?仕事が止まっちゃって・・・」


数分後、オレとクロノの心底クダラナイ痴話口論の一部始終と続きを聞いたエイミィは笑顔で切れてクロノの襟首を捕まえて出て行った。
「ほら!チャッチャと歩く!!」
「ちょ、え、エイミィ!?」

・・・あの二人のフラグってフェイトがいて成り立ってた筈だよな?




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十八節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:b6e4833b
Date: 2008/09/14 22:46


モミジの体取り換えの翌日、
「と言う訳でコレから色々レクチャーするので心して聞くよーに」
「・・・ナニが如何言う訳なのか解かんないけど、ウン」
「リシェイド君、時々変な事言い出すけど、疲れてない?」
疲れていると言うか読者の為?

「さて、お前の脳ミソには『補助脳』が接続されている。コレは何度も説明したな?」
「うん、リハビリ無しにこうやって動いてるのもソレのお陰なんだよね?」
「あぁ。元々は電脳化の為に開発を進めていた物のスピンオフ品だから、スペック的には人間の脳と同じレベルで演算結果を叩き出せる」

実の所、生な脳ミソの演算能力というのはそう高くない(と言いつつもチョットしたスパコンの数ノード分クラスのスペックはあるが)。
では何がカバーしているかと言えば、膨大なマルチプロセス処理に最適化したハードウェア構造と
超曖昧・多分岐同時処理が可能な演算ロジックとルーチン構造だろう。
曖昧処理を一般的なコンピュータのロジックで処理すると無駄に大量のプロセスを消費して確率の世界を泳ぎ回らなければならない。
一例として、マルチタスクに特化した魔導師の脳だと同時処理プロセス数は万単位になる場合もある。この演算負荷は何処ぞの大型スパコンでも厳しい。
記憶野へのアクセスもデジタルな世界だと何GBにもなってしまうような動画データだって半可逆且つ"曖昧"に圧縮処理されて保存されているから
一瞬で演算用のワークスペースやレジスタでの直接呼び出しが可能なのだ。
データの復元は演算モジュール内で任意に専用の復元プロトコルを呼び出して
簡単に元の形状が分かる程度まで戻す事も出来る(脳内BGMなんてのはこう云った物だろう)。

「曖昧処理のロジックなんかが常温超伝導体や超小型量子演算プロセッサの実用化で処理可能になってな。
初めはもうチット大きかったがようやくヒトの頭にサクッと納まる程度にまで小さくなったんだ。で、モミジに収めたのはソレのスピンオフ品だ。
サイズを2/3に落としたが演算系はそのままで脳ミソの記憶野とかとリンクさせて情報量の不足を補わせてある。
補助脳のインターフェースは全てモミジの脳を経由させてあるがコレはハッキングやクラッキング対策を兼ねてる」

「ハッキング?そんな事可能なの?」
「同じ人間にそんな事をしようだなんて考えるヒトいるかしら」
「戦闘機人のシステムは元来脳ミソの中も直接弄って、調整槽から出した直後から運用可能になる様データを入力出来る仕様だったらしい。
その名残かモミジの脳髄パッケージもソレに使うであろう端子類が沢山あったからな」

その規格を有難く流用して補助脳乗っけたから世話ねーけど。

「・・・それって洗脳みたいなモノ?」
「と言うより"刷り込み"だな。将来的には無線というか魔法技術の応用で弄るんだろうけどモミジの頃はそこまで出来てなかった訳だ。
今の時点で如何か分からんからな、対策は必要と言う事で複合的にセーフティを噛ます事にしたんだ」
「ふ~ん、なんだか『お話』の世界みたいだね」
「・・・技術進歩で現実がSFを抜いちまうってのも考え物だな。夢も希望もあったもんじゃない」
ウーノやクアットロに様にシステム系に長けた相手が敵の場合、クラッキングシステムへの対策は厳重にする必要がある。
作中では無かったがデバイスへの直接アタックも理論上は不可能じゃない。ソレはオレがやった『闇の書』攻略で立証している。
対策無しの魔導師が相手ならほぼ完全に無力化出来るだろう。と言うかオレならそうやるね。
一般向けの量産デバイスなんてシステムもショボいからセキュリティ対策なんて一切してない。ストレージタイプは対策するのも簡単だが穴もでかいのだ。
サクッと大半の一般魔導師を無力化し残る上位の特装品持ちは同程度以上の手駒か波状攻撃で押し潰せばいい。

「話が逸れたな。まぁモミジの頭が良くなったって事だけ理解しとけば良い。で、ユニゾンデバイスが脳へリンクして拡張している事は前に教えたな」
「うん。リンカーコアの事も色々言ってたよね」
「あぁ。でな?電脳化した場合のコアの行方とユニゾンのリンク先がどうなるか色々と検証してみた訳だ」

コレについて実はプレシア女史の協力も仰いでいる。
魔力との相性を考えて電脳ユニットの再設計や、使い魔生成技術を応用してエミュレーションシステムを開発する際等、
多岐に渡る分野でフォローしてもらった。

あのヒトは万能系のアタマを持っている。コレは疑い様の無い事実だ。
専攻はエネルギー系らしいのだが、本人曰く『学生時代は興味が湧いたらとりあえず何でもやったわね』との事。
一時は『医者とかかっこよくないかしら?』等と生体工学系の分野にも手をつけていたらしい。
才能とやる気さえあれば制限無く何でも出来ると言う点はミッド系世界の良い所だろう。
魔導師は其れが半ば義務付けられてるってのは頂けないが。
本編と若干時間の流れが違う所は何とも言えんが、プレシア女史が本編中でプロジェクトF.A.T.Eにおいてあそこまで活躍できたのも
こういった背景があったのではないだろうか。てかリアクタ弄りの技術屋がクローンニング研究に転向なんて普通は無理。

「電脳化した直後の脳にコアは存在しない。コレは予想通りでコアは一種の臓器としてみるのが自然だ。
で、アリシアとリィズのデータを元にシミュレーションをいくらかやってみたんだが、結局そのままでは電脳ユニットはユニゾン出来なかった」

「・・・管理局の偉い様が聞いたら卒倒するような内容ね」
「と言うかリシェイドのすんでる世界って何でそんなに技術が進んでいるのに魔法科学が無いのが本当に不思議だ」
「う~ん・・・ファーストビッグバンの段階で魔力素子の要素が生まれなかったってのがそもそもの問題なんだよな。
観測データを追いかけていくと、ココ数百年こそ空間の揺らぎとかを介して別の次元世界から魔力素子が流入して
ソコソコの濃度まで上がってきてるけど、これもその世界由来の物じゃないから素粒子間での親和性が低いんだ。
(なんせ魔慮素子が干渉するとスピンの係数が1/3ずつ、フェルミオンは負方向に、ボソンは正方向にずれる。
しかも質量が魔力素子の質量エネルギーの10%分だけ、フェルミオン、ボソンに関係なく増加するのだから研究が非常にメンドい)
リンカーコア持ちなら無理矢理吸い上げられるんだけどそもそも親和性が低いせいでコアそのものが生成されないからどうしようもない」

本編じゃ素養無しのアリシアをクローンニングしたフェイトが何故かコア持ちになってるし、遺伝子がキーと言う訳でもないらしい。
環境もキーではないだろう。環境がキーならなのはは魔導師として生まれない筈だ。
このテーマの結論はきっと時間が何世紀も必要になるだろう。
研究データの収集に最低でも5世代分ぐらいのデータは必要だから促成クローン体でも使わない限り研究者も一代では無理だ。

「また脱線した・・・。まぁそんなこんなで魔導師の電脳化はありえない」
「ふ~ん、でも私って頭は生なんだよね?」
「一応な。でもパッケージの老朽化ってのからは逃げられないから20年、30年先に如何なるか分からん。
それに電脳化なんて面白そうなネタに乗っかれないのはつまらんからな。色々と調べてみた訳だ」

「なぁクイント」
「ナニ?」
「俺、もう着いて行けん。全く持って理解の外だ」
「私なんて最初っからよ?」
「・・・其れは其れで駄目なんじゃねーか?オイ」

保護者連中は当てにならんのでもう放置。まぁこんな小話如何でも良いんで気にしない。

「電脳の仕様は全部把握してるし、EXTS・LETISの開発で魔力運用面の技術も十二分にデータは在ったんで、
色々とシミュレーションしたりシミュレーションデータを元に実機を拵えたりして確認していったんだ」
「なんか凄く壮大な話になってきた・・・」

プレシア女史が妙に熱入れて励むからどんどんエスカレートしちまったんだよな。
アリシアの為にってやってた研究データなんかも色々出してくれたし、多方面の知識があるからかなり助かったのだが・・・

ヤッパシあの人もマッドやった。見事にマッドやったよ、うん。

「で、コイツがその集大成だ。エクスタス、アレ出せ」
『はいは~い・・・って最近私荷物持ち化してません?』
「キニシチャイケナイゾ?」
『・・・自覚あるんですね』


で、出て来たのは・・・
「ヘッドホン?」
「みたいに見えるがこいつがデバイスだ」
CCAで幼で母で妹な趣味の某大佐が劇中で頭にしてたアレと殆ど同じデザイン。
後頭部とあごのラインに伸びる極短いアームと耳掛けの軸、本体は耳の裏側少し上気味の位置に来る。遠目にゃ補聴器っぽいかも。
「コレは待機状態。ちなみにコア部分はモミジの電脳ユニットに組み込んである。とりあえず着けてみろ」
「う、うん」


恐る恐る耳に掛ける。慣れていないから上手に掛けられないらしいが・・・まぁ訓練と思って頑張ってくれ。


「これ、でいいのか・・・な!?」
「見えたな?」
「な、何コレ!?」

オレ自身には見えていないが
「今までの視界に急に色々浮かんで来たんだろ?」
「ね、ねぇおに~ちゃん。コレって何?何なの!?」

「耳に掛けているデバイスが補助脳側とリンクして視覚に入る情報の解析をして詳細データを出しているんだ、ついでにお前のバイタルも含めてな。
で、耳に掛けたソレがキーとなって人工リンカーコアが起動する。今の状態がオレが想定した本来あるべきお前の姿だ。
ちなみに浮いてる情報映像は任意でOFFできるぞ?」
「えと・・・オフおふOFF・・・あ、消えた。・・・コレ意味あるの?」
「お前は素の状態では護身用の攻撃魔法すら使えないからな。周囲の情報に気を配って事前に逃げるぐらいの心構えじゃないと危ないだろ?
お前用の追加装備もボチボチ作るつもりだがまだ時間もかかりそうだし。ソレが出来ればまた状況は変わってくるんだがな。
とりあえず今のお前は下手な97世界のイージス艦以上の情報処理能力を持った情報管制員って所だ。で、オマケ」
そう言いながらエクスタス経由でモミジのデバイスにアクセスし戦闘下運用モードにシフトさせる。

「!?ちょ、こ、コレ重いしブカブカ!!」
「む、計算間違えたか。っとなるとコレがあーでこーだから・・・コレでどうだ?」
「あ、シックリしてきた」
ボディの大半がプログラムでの擬似物質だから簡単に調整できるのだがこのデザインは如何みても・・・
『何処の"秩序に従属する戦略的多目的制御体系"のヘッドギア?海鳴でやるとまた叩かれますよ?』
ヤカマシイ。あのデザインは秀逸だ、特に第3作のSpec4、ぬこ耳いいよぬこ耳。
「ソイツは膨大なセンサー類が乗っかった、HMD機能も兼ねた頭部保護ユニットだ。ソレが展開されると探索能力が4割り増しになる」
「・・・おに~ちゃん」
「どした?」
「補助脳?からの反応が遅くなった気がする・・・」
「アイドル時と比べると4割り増しの情報を処理するからな、ソレはしょうがない。どの道その状態になるのは極限られた時間だけだから大丈夫だろ。
電脳ユニットは時期を見て最終版を仕上げて乗せかえるつもりだ。その時には完璧にしてやる」
そう言いながらユニットをアイドル状態に戻す。

このデバイスはあくまでモミジ専用。
AIも積んでいないし何より命名すらしてない、元よりその仕様は完全なストレージタイプとしてある。
と言うか"モミジの体の仕様の一部"なんだよな、コレ。

「・・・り、リシェイド君?」
「ようやく反応してきたな、クイント」
「ソレは置いておいて・・・、ところで、バリアジャケットは無いのかしら?」
「う~ん、それなんだよなぁ」
そうなんだよ、一点だけ大きな問題が残ってるんだった・・・。
「どうしたの?」
「いや、ね?フレームから何から全部人工物に変えただろ?」
「えぇ、そうね。と言うか戦闘機人は元々そんな感じの仕様だけど」
「でさ、ミッド製戦闘機人ボディってのは親和性が馬鹿みたいに高い部品で構成されてるんだ。それなのに何故か今のモミジ以上に機械じみてるけど」
「ふんふん」
「親和性が高いって事で元の生体パルス云々、要はバリアジャケット展開の為の身体構成データの投げ渡しが此処でされてるんだ。コレは生の人間も同様」
「・・・モミジはどうなるのかしら?」
「・・・仕様上の問題で対表面のナノマシンがソレの代替、システム起動と同時に見た目変化せず体表面がそのままバリアジャケットの機能はたすデス」
「まさか・・・」
「ゴメンモミジ。魔力砲喰らったらマッパに「このオバカ!!」イヒデブッ!?」
あ~久しぶりに殴られた気がする。


「お、おに~ちゃん!?」
「・・・ボソッ(昔のAVでそんなネタがあったような、リシェイドの奴本当に15なのか?オイ)」
「何か言ったかしら?ア・ナ・タ?」
「!?いやいやいや、俺は何も言って無いぞ、うん」

「つつ、別に魔力砲喰らわなきゃ良い訳だし、対抗手段も今色々と検討してる所だから待ってくれ。
流石に俺一人で全部仕切るのはきついんだよ・・・」
「あ、言われてみればそうだったわね」

魔力への干渉についてはAMFを含めて色々と研究データも揃ってきたし、応用も見込みも立ってきた。
この辺りの技術開発の大半がプレシア女史と御平教授と云う異色の組み合わせってのは頂けないが・・・気にしないでおこ。

「ま、モミジの体についちゃこんな所だ。事後経過確認もかねてメンテナンスは年1回、とりあえず5年間続けよう。
その結果次第では完全メンテフリーに移行する。あぁそうだ、クイント」

「ん?なにかしら」
「リボルバーナックル出せ。ちぃと強化してやる。一応休暇申請は出してあるんだよな?」
「え、えぇ。溜まりに溜まった有給があと4日はあるけど・・・出来るの?それ、使ってる私が言うのもアレだけど凄くピーキーよ」
「ハッ!こんなもんオレのエクスタスやなのはのネタ脳2匹に比べれば全く持って楽勝だ。お前にも見せただろ?アレ」
「・・・そうね、アレ作ったのリシェイド君だったわね。それじゃお願いしようかしら」

「おう、任された。んじゃ一旦モミジ連れて海鳴行ってくる。忍の奴が首長くして待ってるからな」


さて、これでリボルバーナックルに仕込みが出来る。
オレの身分じゃクイント達の救援をするのは難しいからな。せめて場所だけでも特定できる様にする必要がある。





で海鳴、マッドの住処(リシェイドの私室と言うか研究場所)。
「何この電○のタービンと言うかブロ○クン・○グナム」
「聞くな。でコレの強化をするんだが・・・如何したらいいと思う?」
「やっぱり○ータ○ェポン?ソレかドリルね、浪漫は大事よ」
「・・・と反応するのがお前だよな」

忍の奴を呼び出しリボルバーナックルを見せたのだが・・・まぁ結果はこんなもん。
「で、如何するつもりなの?」
「カートリッジシステムはそのまま魔力伝達系や耐久性なんかはパーツの総とっかえで強化できる、問題はソコから先だな。
オレが作った各種兵装はスペックが高すぎでコレに搭載する訳には行かないんだ」
「そうねぇ・・・ならやっぱりゲッ○ー2?」
「○リル・ハ○ケーンか?ならネギ○の風系もアリだと思うが」
「・・・やっぱりそうなるわよね」
「だな、まぁ一個ぐらいマトモなネタもあるし・・・今回は大人しくするか。んじゃ手伝え」
「いいけど、今回の見返りは?」
「・・・最新型電脳ユニットシステム一式」
「良いわね。これでノエルが最強になれるわ。今度こそ恭也にギャフンって言わせられる!!」

・・・まだやってたのか、アレ。

「で、何仕込むの?」
「大容量チャンバーと魔力素子サイクロトロン」
「それはまた・・・」
「折角のタービンユニットだからな。回転を利用して加速効率を上げやすいし火力を手っ取り早く上げられる」
「魔力供給源は如何するの。あんたやなのはちゃんみたいな反則は出来ないのよ?」
「何、プレシア女史からのプレゼントがある」




1ヶ月ほど前、プレシア女史に呼び出されたオレは「何か悪い事でもしたかいの?」とちょっとビビりながら女史のラボへと向かった。
「やっと着たわね」
「そりゃ、表でも仕事してるから中々フリーな時間なんて作れんさ。で?」
「一ヶ月前に管理局からジュエルシードの一個を研究用に借りたのは聞いてるわね」
「あぁ。狂喜乱舞して家族写真の入った写真立て壊して全員から責められてたのは良く覚えてるぞ」
「・・・フッ、そんな事もあったわね」
「で、そっち分野は専門外のオレを呼ぶのは何でだ?」

「っと、何処へ行ったかしら・・・と、あったあった。コレよ」
女史が引っ張り出してきたのは小さな防爆ケース。魔力耐性の非常に高い素材で構成された研究資材保管用の特注品だ。
その蓋を空けて中身を確認した時、
「お、おい、なんだよコレ!?」
「リシェイド君にはいい所ばかり持っていかれたからその意趣返しかしら」

目の前にはあの"レリック"そっくりの魔力結晶体があった。明らかにオーバーテクノロジーですがな。


「ジュエルシードの発動・運用可能な魔力量はそれほど多くないの。それはリシェイド君も知っての通り」
「だよな。オレやなのはならアレ位は反応ごと消し飛ばせる」
「でもね、構成する総魔力量はその数倍以上だったの」
「は!?」
それはそれで面白い話だが・・・どういう事だ?

「魔力素子のエネルギー縮退をするとコアの結合とスピン数が減るのは知ってるのよね?」
「あぁ、オレと教授も実地で観測した。魔力素子があくまでエネルギー伝達素子である事の証明になった」
「で、縮退前をα、縮退後をβと呼びましょうか。普通の魔力形成物は基本的に全てαで構成されているの。でも魔力結晶体はβで構成されていた。
そして縮退状態のベータは外的干渉に非常に脆く直ぐに崩壊してα状態に戻ろうとする」
「・・・良くあるパターンだな」
「そうね。管理局は実戦系の研究がメインでこう云う学術系の研究が疎かにされているのが現状だからこう云う事の発見も遅れているのよ。
話を戻すわ。で、リシェイド君が提供してくれた大出力魔力炉のお陰でこのあたりの研究が一気に進んでね。で、その結晶が研究の成果の一つなのよ」

「・・・現代の技術で形成可能になったのか?」
「えぇ、たった1立方センチの結晶を形成するのに必要な魔力はなんと10の25乗。その結晶に至っては80乗分の魔力をつぎ込んでいるわ。
100万人都市数個を何年も養える量よ、その魔力量密度は半端じゃないのよ?」

・・・真に完成されたレリックウェポンのヤバさが何となく解かった気がする。
まぁスの字系の仕様だとリンカーコアに取り込ませる様な感じだろうから実際には殆ど拡散するだろうし強くてもなのは以下だろう。
本編のゼストのオッチャンを見る限りじゃそれほど強化されているとも思えんし。


「・・・で?それだけじゃないんだろ?」
「えぇ、それとあわせて研究を進めたのがこのユニットなの」
「如何見てもカートリッジシステムじゃねーか」
女史が手に取っていたのはありふれたデザインの単発式カートリッジシステム。
「中身は全く別物よ。コレは専用に形成した結晶体を装填する事で無尽蔵とまでは言わないまでも莫大な量の魔力を簡単に扱う事が出来るわ」
「マジか」

・・・ヤベェ。オレのディメンション・ドライブが霞んじまう。

「運用時にはかなり拡散するでしょうから精々なのはちゃんみたいな戦闘が5分維持できる程度かしら。最も術者が耐えられないでしょうけど」
「それでも十二分に脅威ですがな」
「元はアリシアの為に研究を進めていたんだけど、此処に来てその研究が不要になっちゃったのよね、でも潰すのが悔しくて完成させたの」





とまぁこんな事があったりする。
「で、その結晶を圧縮空間内で丁寧に解凍すれば魔力損失が30%程度まで抑えられる様になってな。
制御系は持ち前のシステムで十分カバー可能だし使用者への負担もほぼ増えない程度まで抑えられた」
「・・・組み込む気?」
「チャンバーやサイクロトロンを含めて最終的には戦闘時に魔力量を40%程度底上げ出来る。
その機能しか盛り込めんが戦力の向上具合を考えれば破格だろう」
攻撃魔法の半数以上が一撃屋仕様のクイントには最適な装備だ。
撃ち込む時にコレから魔力を引き出して大容量チャンバーと連動させればカートリッジ以上に爆発的な威力を得る事が出来る。
仕様通りの運用なら数万発は撃てるし当面補給の必要も無い。

結晶一個精製するのに、定格最大で動いたディメンションドライブでも一週間かかる。
生産性は極めて悪いからパクってもおいそれと使える技術でもない。人造魔導師に凝ってる連中には全く持って縁遠い代物だろう。
あとは魔力依存しない発信機を数種仕込めば完成だ。
今のオレの立場じゃあの事件へ介入出来るタイミングは無いに等しい。今更立場換えなんて出来んしする気も無い。
介入出来るとすれば『現場』しかないだろう。それもクライマックス、さっさと離脱出来る頃合である必要もある。
突入場所を知っていれば事前になのは達を引き連れて闇に紛れて殲滅するだけなのだが、捜査・諜報能力の無い俺には不可能だ。



さてスの字共。ボチボチ戦場で対面といこうじゃねーか。覚悟しとけよ?俺は管理局ほど甘くねーからな。





今週の小ネタ

メールを処理しながらコーヒーを啜る。前の"俺"の時から続いている習慣の一つだ。
「'磐梯ナ○コ、コ○ミ、参加に意欲'」


ハァ!?


「・・・ネタ計画がどんどん膨れ上がってきたな」
『先週はEAと■でしたか。関係の無いメーカーが続々名乗りを上げてますね』
「マスター、郵便です」
「なんか変な予感が・・・ヤッパシ」

「'SEGAシステム開発部有志一同参加希望届'」

『おお~、ゲーム会社の大手はコンプですか?』
「・・・実機完成する前にシミュレータ代わりのゲーム筐体が完成しそうだな。無駄に高性能の」
「市居の埋もれた人材を掘り当てるには効率が良さそうですけど」
「どこかで聞いたネタだな。で、工業系の企業から名乗りは来ないのか?」
『といっても初期メーカーの傘下だったりしますからね。国内大手は大体抑えたんじゃないですか?コレで累計50社位になりますよ』



そしてこの翌年。ネタは遂に顕在化した。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第三十九節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:048b356a
Date: 2008/09/23 18:02

クイントのデバイス強化からあっという間に一年が経った。
ついに67年、あの事件が起きる年になった訳だ。


「で、あの依頼は冗談ではない、と?」
「えぇ、事務の娘達なんて態々署名までして私の所に持ってくるんです。リシェイドさん、如何にかなりませんか?」
むぅ・・・あの出店の話はマジだったのか。オレですら『ネタ』だと思ってたのに。


オレは今、教会に顔をチョクチョク出している。八神家の面々のメンテや出資者としての名前売り、
資産運用の話もあって一月の内一週間はコッチに居る様になった。
97世界での仕事については俺がソコに居なくても一応問題無い。必要なのは通信端末とよく回る頭だけ。
実際の大掛かりな実験はデータさえあれば別に如何でも良い。俺は基礎よりも応用畑の人間だからな。
問題があるとすれば去年集まった有志が暴走しないか見張る人間が居ないと言う事ぐらいか・・・。
あいつ等仕事のBGMとかぬかしてアニソンタレ流しにするし会議といえば間違いなくBD鑑賞会だ。
オフでなら何しても構わん。たとえUCガン○ム作品フルマラソンしようがマク○スの歌姫にハァハァしようが俺は何も言わん。
・・・まぁ、デスクの上に萌え系フィギアとかが有る時点でもうダメダメなんだけどね。
そういえば数日前に顔を出した時にはレイバー・甲殻マラソンをやって・・・これ以上は語るまい。


「なのはやその他ミッドに関係してる人間の仕込みをする事は出来るが・・・早くても後5・6年はかかる。
あいつ等にも私生活ってのがあるからな。まぁ時差や直通トランスポーターの設置に許可が出れば何とかしてやれんでも無い」

オレとしては少なくともなのはとはやてには97世界の大卒の資格は取らせたい。
ソレが必要になる事は先ず有り得んが、大卒の資格持っているだけで潰しが利くからな。
あいつ等頭良いし、名の売れた前例でもあるオレからプッシュがあれば中学在学中に大検取得して卒業と同時に大学入学も不可能じゃない。
上手くやれば今から7年あれば学士は取れるだろう。理系に限って言えばなのはは修士クラスの知識を叩き込んであるからな。
出身世界にバックボーンが無いってのは幾らなんでも寂しすぎる。
本編だとその辺が見事にスルーされていたが、なのはがもう一度事故って魔導師として復帰できなくなった時、あいつ等は如何するつもりだったんだ?
魔導師ありきの世界で魔導師崩れの一般職なんて格好の的だからな。吊るし上げは確実だろうし下手すりゃ闇討ちされるぞ。


「判りました。トランスポーターについてはこちらからプッシュしましょう。
今では貴方もそれなりの資産家ですから在所からの足も必要ですし、
はやてちゃんを含め八神家の皆さんの働きも大きいですからそのボーナスと言う事で」
「話が解かるじゃないか。んじゃ出店先は自治領の直ぐ近くに売り地があったからそこら一帯をオレが買おう。
雰囲気ぶち壊しのバカは客として認めないのがオレの方針だ。セレブしか住めない閑静な住宅街を作ってその真ん中に出店だ」
折角広い土地が余ってるんだから有効活用してやろうじゃないか。一時的に資産の8割以上が消える事になるが・・・まぁいい。
本家翠屋の様に抑止存在(高町夫妻)が常駐する訳でも無いからな。環境ごと整えれば不埒な輩が湧く事も有るまい。
「また大それた事を・・・」
「雰囲気の良い店の方が入りやすい、更に言えばその周辺も通いやすい空間である必要があるからな。
まかり間違ってもコンビニの前で胡坐かいて騒ぐ馬鹿が居る様な所に俺は出店する気は起きん」
ああいうのが治安低下を招くってのは基本だろうが。落書きと深夜徘徊は絶対に抑えるべき項目の一つだ。
「あ、そうそう、例の娘達がカンパを募ってるようですが・・・如何しましょうか?」
「ありがたく頂こう。代わりにプレオープンのパーティでも開いてタダ券何枚か配れば配当としては十分だな」


てな感じで翠屋ミッド分店の開店が71~73年頃という事になった・・・むぅ、六課の代わりか?




で話は戻ってクイント達の事。
リボルバーナックル強化処理をした際に、併せて座標特定用の魔力非依存型座標探知機をいくつか仕込んだ。
アクティブではなくパッシブ型だから常時把握できる物ではないが、クイントが"仕事"に出た時に気をつけていれば
座標の特定・把握は可能だと踏んでコレをチョイスしている。
で、ミッドでの拠点としているワンルームマンションとミッドの各地に点在する教会の事務所のロッカーを間借りして
確認装置と情報転送用の通信機を設置、俺のモバイルに情報が飛ぶ様にセットしている。
ちなみに、クイントには魔力結晶体の事等は全く話していない。
一応ブラックボックス化してあるが結晶運用技術が有るとばれるのは流石にヤバイ。なんせ結晶自体がロストロギア扱いだからな。
クイントに害が及ぶ事だけは避けなきゃいけないからな。この辺は慎重を期したって訳。

ついでと言わんばかりにゼストのおっちゃんとも会ったりして進捗に探りも入れてたりするのだが・・・

「お前も大概暇な奴だな」
「コレでも資産家なんでセカセカ働く必要も無いんです。それよか件の連中の尻尾はまだ出てこないんですか?
個人的にはオレ自身が出向いて凹りたいんですけど」
「あぁ、色々と探りを入れて拠点潰しをしているが何処も蛻の殻で犯人が捕まらんのだ」
そりゃ、トップである評議会からリークされてるもんねぇ。コッチが出張る前に逃げるのは当然だわな。

「俺達の捜査に理解のある上級士官がいるので作戦の実行に支障が無いのが救いだが・・・あとどれだけ持つか」
「と言うと?」
「ナニ、俺個人への理解はあるが組織の一員としての理解は無いと言う事だ。世の中シガラミが多いとでも思っておけ」
ふぅむ、ゼストのおっちゃんとレジアスのオッサンとの確執いやすれ違いか、は既に在るって事か。

「地上の予算は本局と比べればかなり少ない。そこから何とかやりくりしているが、
大掛かりな捜査が必要なこの手の事件を長々と引きずる訳にも行かないと言うのが実情だ。金が掛かりすぎるからな」
人件費や装備の調達・整備にも金は掛かるし、何より人件費が洒落にならん位高いもんね。
それに日常的に起こる魔導師犯罪ですら裁ききれていない現状からすれば
解決の見込みが立たない難事件は横に置いて、まず目先の問題から始末するって考え方は間違いではない。
それにレジアス当人も腹の中じゃ戦力増強の為に戦闘機人やらナニやらが欲しいだなんて要求は出していた筈。


とすれば、だ。


本編じゃレジアスは驚いていたが、あの事件はあのタイミングで起こるべくして起きたって訳だ。
何の事はない。テメーラの不手際のツケじゃねーか。ゼストのおっちゃんには悪いがそういう奴をダチに持ったのが運の尽き。
流石にコレばっかりはオレでもリカバリ出来ん。したら先が全く読めなくなる。
ギリギリのラインで拾って・・・あぁもうその前提が狂ってたっけか。でもソコまで狂ってる訳でもないんだよな、何とも微妙な所。
でもってチンクは稼動状態に入っているのを俺が目視で確認してるしなぁ・・・。さて、どうなる事やら。


「今も調査を進めていてな、そう遠く無い時期に検挙しに行く事になるだろう。今度のはどうやら大物らしい」


・・・アレ?ソレもしかしてフラグ?




それから数週間後

『で、オプションユニットの準備は出来たんですか?』
「・・・充電終われば」
「アラアラ」
「ちくそう、何で肝心のバッテリーフレームの蓄電量が殆どなくなってるんだ!?」
「フラフラとアンティーク家具漁りなんてしてメンテナンスサボったからですよ・・・間に合いますか?」
「間に合わせるしかないだろうが」


センサーの反応が途切れてから既に10分。クイントを含むゼストのおっちゃん達は施設へ突入したらしい。
新型オプションユニットのTypeWとTypeIはその特殊な仕様の関係で構成体の7割がバッテリーフレームで出来ている。
コレの充電が終わらないと装備する意味が無い。融合炉の搭載も考えたがサイズと安全性の兼ね合いが取れなかったので断念。


『充電率98・・・99・・・満タンになりました』
「ちぃ、もう30分も経過してやがる!急ぐぞ。座標確認、転送準備!!」
「了解、ユニゾンスタート。転送先座標確認完了。魔力行使認識ジャミング開始しました。何時でもどうぞ』
「跳ぶぞ」


『『「ジャンプ!!」』』





『転送完了、魔力ジャミング正常に稼動中』
「うっしゃ、TypeI各システム起動。対象施設を中心に半径10キロを『穴』にしろ」
『了解。EMP攻撃開始、併せて各通信システムにもアタックを仕掛けます』

TypeIは『Infomation』のI、情報戦用装備だ。
未だオレと言う存在が動き回っている事を大っぴらに知られる訳にはいかない。
作中で録画データをレジアスのオッサンが見ている様なシーンもあったがあれはオレにとっては拙い。
だから可能な限り周辺の情報機器なんかは潰す必要がある。
何処で漏れるか解からないから相手が突入しているクイント達も関係なく潰す事になるが・・・ちゃんと助けるから勘弁してくれ。
で、TypeIの主要装備としてはEMP攻撃(電磁パルスによる電子機器の物理的破壊処理やジャミングによる通信阻害等)と
魔力通信を含めた各種情報インフラへの強制干渉による麻痺化をする為の装備がふんだんに用意されている。
本当は別の用途もあるんだが・・・今回は必要ないだろう。
その仕様上、この装備は殆どオレに付着するようなユニットが存在しない。
精々通信の親機がちょっと背中に引っ付くぐらいだ。何ともシンプルだが周辺機器を合わせるとTypeRよりも大きくなるんだよね。

『ユニット展開完了、周辺5キロは既に穴になりました。3分後には残りのエリアも』
"ユニット"と呼んでいるのは情報収集・干渉処理を行う為の端末体だ。
各種高精度センサーと情報伝達・干渉用の発信機を装備しており、大容量のバッテリーフレームを利用して長時間の単独稼動が可能だ。
このユニットは本体であるエクスタスと"有線"で繋がない限り一切設定等を弄れないよう徹底的な防護処理を施してある。
接続用インターフェースはセキュリティを考えてレトロなD-sub25ピンコネクタとEPROMを利用して作った専用セキュア回路を使っているのだ。
普通のデバイス仕様ならシルバーカーテンの餌食になる可能性も有るが、独自の仕様で拵えたこのシステムなら幾ら情報干渉ができるクアットロでも、
半導体コアを紫外線照射しなきゃデータが弄れないEPROMが間にある以上対応出来んだろう。
まさかあるピン3本に一定以上の電圧をかけて、また別の2ピンに電圧を掛けないと中のROMをリフレッシュ出来ないなんて
完全アナログ型ファイアウォール仕様、想像も出来まい。まぁ、リフレッシュすると防衛処置で自爆するんだが。


「突入準備だ」
『TypeW起動します。何気に初の陸戦ですね』
「正確にはシグナムとの一騎打ちも地ベタだったがな」


TypeWは陸戦専用の特殊装備。足回りの物ばかりで構成されている。

閉鎖空間での戦闘というのは非常に不便だ。特に飛行戦闘を前提としたタイプのオレみたいな奴にとっては致命的なぐらいに。
作中でなのは、スバル、ティアナがギンガの交戦場所まで向かうシーンがあった。
普段ならあっという間に追い抜ける速度で飛行可能ななのはがスバルに置いて行かれたアレだ。
入り組んだ建造物内での飛行なんてのは非効率極まりない良い例だろう。方向転換の度、慣性を殺す為に減速しないといけないからな。

で、考えた。如何すればロス無く高機動戦闘が出来るか、と。
周囲が壁やら柱やらの障害物に囲まれている。・・・で頭の中で電球が光った。


なんだ、高町家の独断場じゃねーか。


あいつ等は地ベタは当然で柱や壁、森に入れば幹は勿論細い枝でも当然の如く、場合によっちゃ自分で投げた鋼線や飛針すらも足場として
縦横無尽に駆け巡りその足場を蹴り飛ばす際の反動で加速して一撃を叩き込んでくる。

10年来の天敵にコレほど感謝する日が来るとは思わなかったね、ウン。

だが、あの戦闘機動は独特の歩行法を始めとする『御神の業』で成されている行為である。
オレが習得出来ない事は修行(と云う名のフルボッコ)を始めて直ぐに解かった事だから『何を今更』という事でもある。
だがこの問題を解決しないと対戦闘機人屋内戦がかなり不利になる、コレは拙い。

そして一生懸命ネタ漁りして何とか解決策を打ち立てられた。

その解決策を実用化して完成したのが今のTypeWなのだが、一番最初のヒントが青ダヌキの秘密道具だってのは・・・気にすまい。



で、その解決策の答え
『自身への重力制御による全空間の足場化』



そう、重力制御技術を利用すればどんな所だろうと『歩く』事が出来る。出力や制御系は如何とでもカバーできるから問題無し。
で、それだけじゃツマランし機動性の向上が本題なのだからと脚部ユニットの底面に所謂『履帯』と補助輪を装備させた。
97世界で既に汎用化している小型高性能な常温超伝導材やら何やらを利用する事で移動だけなら魔力依存0%。
ちなみに、何で履帯にしたかと云う話なんだが、ナカジマ家愛用のインラインスケートタイプでは安定性に欠ける、と言うかオレの趣味じゃない。
で、某ジャ○ーズが履いてたローラースケートは『ダサい』から却下と言うミもフタも無い理由だったりする。
本当はター○ピックも欲しかったのだが重量が増えるし足場を自在に弄れるから不必要と言う事で非採用となった。
それと頭部保護や移動経路のナビゲーションをする為にフルフェイス型のヘルメットに情報投影バイザーが付随している。
ちなみにデザインはオレのバリアジャケットに合わせて○フロ大尉ッモカぶってたあのヘルメットぽい感じに仕上げた。
被ってコミケの屋外会場とか行ったらチェキの対象になるだろう。そういう趣味は無いけどな。

で、この装備によって屋内戦が非常に楽になった。
テストで恭也とコレ着けてガチンコした時は予想以上に活躍してくれて、何とあのバケモノに一撃入れる事に成功したのだ!!

・・・まぁ、このテストの後メンテだけして充電せずにほったらかしにしちまったせいで出遅れたのは突っ込んではいけない所。
忍が驚愕した後オレの襟首掴んで『ソレ寄越せ!』と喚いたのも気にしちゃいけない。ノエルが履いたら無敵になっちまう。


「地形スキャンは?」
『ソナーでの探査は完了してます。地下10階までの空間はほぼ網羅』
「直上からぶち抜いていくぞ。ブラスター・カノン、スタンバイ」
『ブラスター・カノン、スタンバイ開始。収束率200%、突入経路をイメージに反映します』
レティスの返答と同時にオレの視覚に情報が浮かぶ。
実際にはオレの視覚野に直接情報が流し込まれていて網膜に出している訳では無く『視えて』いる訳ではない。
こういった芸当はユニゾンシステムならではだろう。でなければ補助脳装備でモミジみたいになる位か。

「ブラスター・カノン」
『Fire!!』

魔力砲で突入路を確保し、そのままオレは地下へと潜った。




クイントSide

何時もの様にフォワードとして突っ込んで来たのは良いんだけど・・・
「貧乏くじ引いたかな?」
「みたいね」
私達の周囲は何処からとも無く沸いてくる機械兵器。
一体一体は大した事無いけど数で押してくるから放出系の苦手な私達ではどうしても持久戦になってしまう。
「ッシ!!」
リボルバーナックルに魔力を乗せてブチ抜く。
リシェイド君が強化してくれなかったらカートリッジの消費量ももっと多かったと考えるとゾッとする。
今の状態でも既にローダー2セット、40発も使っているのだ。
相棒のメガーヌと中階層と思われる地下6階までは来れたのだけど、他の同僚達とはかなり離されてしまったらしい。
「っく、このフロアの残りは?」
「あと・・・20!」
「オッケー、なら一気に蹴散らしましょ。私は大物を」
「アレやる気?ならもうちょっと雑魚は離して固めた方が良いわね、コッチは任せなさい!」
メガーヌの魔法陣から無数のチェーンが伸びて相手の動きをコントロールいていく。
この建物に入ってから外部との通信が出来なくなった。コレは過去にも何度かあったし特に心配はしてないけど
メガーヌ曰く、召喚魔法のリンクも出来なくなっているらしい。
ま、召喚/送還が出来なくても補助系の腕も抜群の彼女なら特に問題にはならないと考えているのが現状だったりする。

「さてと、私も・・・カートリッジロード、タービン・リンク!!」
『魔力抽出完了。魔力ブースト開始』

4発の9ミリカートリッジから吸い上げた魔力が両腕のタービンユニットで加速されエネルギー量がどんどん膨れ上がっていく。
タービンユニットは元々打撃時の振動破砕効果とジャイロ効果による軌道安定を狙ったんだけど、この間の改修でその能力は全く別物になった。
何でも新たに開発したらしい魔力増幅回路を使ってカートリッジから汲み上げた魔力を更にブーストさせる事が出来るとか。

ついでにその機構を利用してこんな技が出来上がったりする。

「ブラストインパクト、セット!!」

術式を立ち上げながら左のナックルから高収束した魔力の塊を引き出す。円錐状に形成された高速で右回転させて底面は発射方向に向けてある。

「アタック!!」

円錐の頂点に叩きつけられた残りの魔力が干渉し、高圧の魔力ビームとなって飛び出て行く。
リシェイド君曰く『成形炸薬弾』とかいう質量兵器の仕様をモデルにしているらしい。
正確には全然似てもいないらしいのだが、とりあえず魔力収縮して射線軸上の相手に超高圧の魔力ビームが叩きつけられて
確実に破壊する事が出来るから、私としては問題なかったりする。射撃系の苦手な私にとっては非常にありがたかった。


デカブツに着弾して貫通、その後ろにいた別の機体にまで到達しようとしたその時

「「なっ!?」」



魔力が・・・拡散した!?





リシェイドSide

『ウワッ、広範囲でAMFを検出!拙いですよ、包囲網が狭まってます』
「戦いは終盤ってか?」
TypeBのブレードを振り回す。破壊力もあるし、何より魔力に依存しなくても威力が落ちないからこういった戦場では非常に有効だ。
ついでにマルチシフトシステムの技術を応用して刀身に接触時に爆裂する様術式を仕込んでいるから威力は倍増と来たもんだ。

こんな狭い所でチマチマ魔力砲を使うのはメンドイ。それにAMCSの存在は出来るだけ隠蔽したかったりする。
それにこの濃度なら自前のバカ魔力で押さえつけられる程度だし気にする必要も無い。
本編中の最終ステージ、『揺り篭』脱出時クラスのAMF濃度になったら流石にヤバイだろうが、ガジェット相手なら特に気にしないでいこう。

「クイント達は?」
『現在5階に戻ってきてます。AMFで思ったように戦闘が出来ないから結構ダメージが多いみたいです。かなり動きが遅くなってきました』
「むぅ・・・ゼストのおっちゃんはどうなった」
『・・・別ルートで7階まで降りたみたいですね。クイントさん達が陽動になったみたいです。敵性体の数も増えてます』

むぅ・・・やっぱりゼストのおっちゃん達を助けるのは難しいかもしれん、弱ったな。

というか、何でこんな馬鹿みたいにガジェットの数が多いんだ?
本編のカットから考えるにこんな多くなかったろ!?
『このフロアだけで既に20体以上、突入してからだともう50は墜としてます』
「ええぃ、何処のシ○アだよ、ったく・・・」
あの変態野郎もコソコソ動いてアレだけの勢力作ったんだもんな。子煩悩パパ状態のスの字があんな事出来るとは思えんけど。


『マスター!』
「どした」
『ゼストさんが負傷したらしいです!!』
ヤベェ、雑魚局員はもう無理だ・・・直にチンクがおっちゃんとガチンコする事になるんだろう。
おっちゃんを助けようか迷っていたが、この戦況じゃチンクに勝ってもガジェットの物量に潰される。
「クイント達のところへ急ぐぞ。ユニット起動!!」
『了解。フライホイール接続。クローラ稼動開始』



『「吶喊!!」』




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:048b356a
Date: 2008/09/28 14:38

色々終わって10年程経ってからスの字本人他から聞いたりして判った事なのだが、
オレが裏で流していたレアメタルがガジェットの中枢部分で使われてたんだと。
「いや~、ある時期から妙に流通量が増えたから資材を集めるのに助かったよ。なにせ表のルートでは高いし入手が大変だったからね。
ガジェットなんて中枢ユニット以外は二束三文で作れるから予定の10倍の数を量産できたんだ」


・・・世の中何処で如何繋がってるか解かったもんじゃないな。








「ええぃ、雑魚が多い!!」
『現在地下4階!後4フロア抜ければ合流できます!!』
AMFの展開を確認してから既に10分が経過していた。流石のオレでも手加減してこの数を相手にするのはチトきつ過ぎる。
「どけぃ!!」
叫びながらブレードを左上から斜めに振り抜いてIII型を切り落とす。


『この吹き抜けの先が5階へ降りるチューブになってるみたいです』
「・・・待て。目の前の暗闇から気配を感じる」




「君は何者だい?」
お、おいおい。何でこんな所に人型がいるんだよ。




「此処に招待したのは彼ら管理局の人達だけだったと思うんだけど、如何言うつもりかな?」
「ハッ!テメェこそナニモノだ?事と次第によっちゃ容赦しねーぞ!?」

影から浮かんできたのは如何見ても人間タイプ。つまりはスの字側の戦力という訳だが・・・あの体躯、男性体か!?

如何いう事だ?本編中じゃスの字の奴は多種多様なジャンルを制覇していく勢いで全部女性体で開発していた筈だ。
ゼストのおっちゃんが例にあるといっても所詮はこの戦闘の結果のオマケに過ぎなかった。
であればオレの前にいる奴は一体・・・。



「まぁいいや。此処にいる以上、君を生かして帰す訳には行かないんでね。大人しく死んでもらうよ!!」
『Stand Up』
無機質なAIの反応と共に奴の右手にには大きな戦槍が握られた。


『来ます!!』
「気の短い野郎だなぁオイ!」
迎撃すべく、オレもエクスタスのブレードを前に掲げ身構える。
互いの間はザッと10メートルといった所。ソコを一瞬で詰めてエモノを叩きつけてきた。

ガキッッッッッッッッ!!

「な、なんつう馬鹿力・・・テメェ戦闘機人か!?」
「そこまで知っていたのか。なおさら生かして置く訳にもいかないね」

一撃受け止めただけでもかなり腕に来た。そんな攻撃を間髪いれず連続で叩き込んでくる。


・・・と言っても普段恭也や美由希とガチンコしている事を考えるとこの程度は屁でもない。
あの世界の裏の人間てのは如何考えても戦術兵器にしか思えん。HGSとかになると戦略兵器だもんな・・・。

だが、ソレは10年近くそんな環境に『慣らされ』たオレだからその程度で済むのであって、
戦闘民族の血を引くなのはやガチンコ専門職の騎士であるシグナム、ヴィータ、ザフィーラならいざ知らず、
ウェイトの軽いフェイトやアリシア、それに後衛であるはやてやシャマルでは力負けしてそのまま押し潰されるだろう。モミジなんて論外だ。
それに野郎が持ってるあのエモノ・・・。


「・・・硬いなぁ。なら次の手を使わせてもらうよ」
『Load Cartridge』

「冗談じゃねぇ。人造魔導師のハイブリッド体かよ」
『技術の進歩って怖いですねぇ・・・』
AMF濃度がキツイからあまり気にしてなかったが、この感じだとオーバーSSは軽い。
・・・って事はまさかモミジの元の体は既にデータ収集が終わってフィードバック済みだったって事か!?

「撃ち抜け」
『Shooting Arrow』


「ックソ!」
高速で迫る魔力弾を切り払い無力化していくが戦闘開始からコッチずっと後手に回りっぱなしになってしまっている。
別に本気出せばこの程度瞬殺なのだが、色々と制約もあって『そうは問屋がおろし金』状態なのである。


「さて、どうするよ」
『マスター、圧縮パックの4番・・・コレ如何です?』
4番?何じゃコリャ・・・って、まさか!?
「お前何時の間に仕込んだ!?」
『フフン?あれですよアレ、『こんな事もあろうかと』って奴です!』
ズ、ズルイ、ズルすぎる。オレのセリフ盗られちまったZE!!

「と云う訳で、ヨイショ」
エクスタスの圧縮空間から引き抜くはM320グレネードランチャー。ついでに榴弾のストックベルトも引っ張り出す。
質量兵器は御法度だ?なもん知るかよ。相手も犯罪者だぜ、細かい事は気にしない方が良い。『勝てば官軍』と言う奴だ。
「いくぞ!!」
『クローラ稼動開始!!』


「何をするつもりか知らないけど、そんなコケオドシ僕に通用すると思っているのかい?」
『Flash Rain』
野郎のデバイスの声と共に大量の魔力弾が撃ち出される。面攻撃を仕掛けてきたって事はオレの逃げ道を無くすつもりらしい。

「ハッ!そんなモン当たるかよ!!」
『全空間軌道モードに移行』

その思惑から逸れる様にオレはTypeWの真価を発揮して壁や天井、更には何も無い空中すらも『足場』として機動し攻撃を回避していく。
元々の運用イメージは

『オンオフ自在なウィングロードを汎用技術での再現』

だからな。作中の連続した路面ではなくリアルタイムで足の裏に対して垂直方向に重力場を固定した足場を再生成していくから
地表面に対して逆さの状態で『立つ』事だって出来る。

「ブラスター・カノン、フルオートモードスタンバイ!!」
『チャンバー充填、セット完了!』
「『アタック!!』」

逆さの状態から横滑りし連射モードで弾幕を張る。
「オラオラ、さっきまでの威勢の良さは如何したよ、オイ!!」

「くぅ!?」

道を塞いでいた奴を抑えながら反対側へと回り準備は完了。
「コレでも喰らいやがれ!!」
左手で翳すはさっき引き抜いたグレネードランチャー。弾幕に紛れて相手に撃ち込むは
「な、何だこれは!?」
「速乾性の特殊硬化樹脂封入弾だ。ソイツは軌道エレベータやステーションの外壁応急補修用に開発された奴だからな。生半可な力や衝撃じゃ割れねーぜ」
何せ直径5センチのデブリの直撃と対荷重・張力各200トンクラスの耐久性を前提で開発された特殊素材だ。
コレぐらいの能力がないとステーションの外壁補修にはならないからな。まぁ軌道エレベーターの軸に遣うにはまだまだ強度が足りんのだが。
で、エアー漏れも防がなきゃいけないから硬化する前は粘性の低いジェル状と言うのが素晴らしい。こんな使い方も出来ると云う訳だ。

『ウフフフフ、こんな事もあろうかと『トリモチ』を仕込んでおいて正解でした。ネタ提供元のサングラスで金色なヘタレ大尉に感謝ですね』
・・・やっぱりそれか。
「テメーなんて相手にしてる暇はねぇんでな。アバヨ!!」
「な、待て!!ック!?」
最後の語気を某タレントっぽくしながら名も知れぬ奴に向かって更に追い撃ち、オマケで壁面を破壊して通路を塞ぎそのまま遁走。


「ったく、厄介な事になりそうだな」
『マスターやなのはちゃんなら問題無いでしょうけど、他の人では対処は難しいかもしれませんね。ソレよりも時間が』
フッとレティスがオレの頭に今の時間を浮かべ・・・って!!
「拙いな」
『遭遇してから10分以上経ってます。急ぎましょう』
「あぁ、ブラスター収束モードだ。さっさと道作った方が早えぇ」
冷静に考えてみたら何でこんなチマチマ進んできたんだ?さっさとブチ抜いてクイント達拾って逃げりゃ良かったんじゃねーか。
『って、大暴れしたら自分の事がバレるから自粛するって来る前に言ってたじゃないですか。そうそう、チャージ完了です』
「あれ、そうだったか?まぁいいや。んじゃぶっ放せ!!」



「クイント、生きてるか!?」
飛び込んだ先は地下5階最奥に位置する小さなフロアだった。
「う・・・」
抱きかかえステータスを確認するがかなり弱っているらしい、デバイス側の測定値もかなりやばい数字だ。
「おい、しっかりしろ!!」
「り、リシェイド・・・君?」
「ふぅ、意識が戻ったな。メガーヌは如何した、一緒じゃなかったのか?」
「え?」
え~、なんで此処でそんな反応するかなぁ。
「わ、私も知らないわ・・・。此処まで何とか逃げ込んで、撃ちあいながらバリケード築くのに精一杯で・・・そのまま気を失っちゃったから」

クソ、手遅れだってか?コレじゃ殆ど本編と変わらねぇーじゃねーか。
「仕方ない。離脱すんぞ」
『了解。AMCS最低出力で稼動、空間転移スタンバイ完了』

「『ジャンプ!!』」




変わったのはクイントが生き残っただけか・・・、イレギュラー野郎の事も有るし色々とやばいかも知れんな。





おまけ

「苦節1年6ヶ月。長かった。本当に長かったわ」
第97管理外世界、海鳴、月村邸。

「でも、ようやくこの苦労も報われる」
自他共に認めるスーパーマッドエンジニア、月村忍の自室からこぼれる怪しい声。

「今度こそ、今度こそ恭也をギャフンといわせてやるわよ!!」
彼女の前には液体に満たされたカプセルの中に浮かぶ、毎度毎度巻添えに遭って弄られ鬱になるノエルの姿があった。


で、数日後

「なぁ」
「フフン?」
「もう、いい加減止めないか?」

月村家の庭には恭也と忍の姿。毎度御馴染みとなった何時ものアレである。

「安心なさい。貴方の天下も今日までだから。ノエル!!」
「お呼びでしょうか」
忍の呼び声に反応しノエルが駆けつける。が

「お、オレが気配を感じられなかった!?」


「如何?最新仕様にバージョンアップしたノエルのボディは」
「また弄ったのか」
「総とっかえよ。演算ユニットからナニから全部最新技術の塊にしたから」
「・・・夜の一族とかオートマタとかロストテクノロジーとか一切無視してるのか」
「普遍化した技術がソレを追い抜いた時点で切り捨てるに決まってるでしょ。ソレが技術屋ってモノよ」

自信満々に堂々と話す忍と『もう如何とでもしてくれ』と完全に諦めモードの恭也。


「さぁ、今度こそ負かせてみせる!ノエル、行きなさい!!」
「恭也様、申し訳ありません・・・行きます」

忍とノエルの応答と共に戦いが始まった。

「今日は必須単位のレポートがあるんだ。さっさと終わらせてもらう!!」
今日は前戯なしと断って神速に移行する恭也。だが


「モノクロの領域が貴方達だけの物ではなくってよ」
そう言い捨てる忍、そして
「高機動モードに移行します」


「ナニ!?」
神速状態の恭也の前に同等の速度で動くノエルの姿。そう、科学は遂に積み重ねられた業を凌駕したのだ。


「いきます」
ノエルの掛け声と共に叩き込まれるトンファーでの一撃。
回避が間に合わないと判断し受け流そうと小太刀を構えた恭也だが、ここで更に驚愕する事になる。


「ぐぅ!?」
「所謂『浸透頸』の各種動態データを解析して開発した破砕ユニットになります」
桁外れの耐久力を誇る恭也の守りすら突き抜けてノエルの打撃が恭也の体へと突き刺さる。



神速を一旦落とし、距離を取って相対する二人。
「ふふ、モミジちゃんの体を作る時に得たデータや最新鋭のパワードスーツのデータを元に徹底的に改良を重ねて、
さらに電脳ユニットの2発載せで処理能力まで跳ね上げた、今のノエルはこの世界の技術でなしえる最強の存在よ」
「捕捉させていただきますと以前は単発だった融合炉が現在は双発となっています。
エネルギー系に余裕が出来た為各関節部などの駆動系の出力・反応速度は以前のボディの倍以上で発揮可能。
御神流の十八番である『神速』の再現も可能となりました」

「じょ、冗談じゃない。そんなやばいのと戦えるか!?」
恭也は明らかに厨仕様なボディとなったノエルとこれ以上ガチンコするのは危険と判断し、さっさと撤収する。


「遂に、遂にやったわ!!遂に恭也に勝ったのよ!!あは、アハハハハ、アーーーーーハッハッハッハッハッハッハ!!」





周囲の眼も気にせず大笑いする忍を窓から眺める二人の姿。すずかとファリンだ。
「お姉ちゃん、恭也さんは呆れて帰ったんだと思うよ。コレで余計調子に乗っちゃうのかなぁ・・・」
「と、となるとつ、次は私、ですか?」
ガクガクブルブルと怯えるファリンに対し"ポンッ"と肩に手を置くすずか

「諦めた方が早いと思う」
「しょ、ションナ~~~~~~」





[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十一節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:048b356a
Date: 2008/10/06 00:36

「クイントの容態は?」
「ギリギリだったわね。後数分遅れていたら回復は望めなかったわ」




第97管理外世界、海鳴の郊外にヒッソリと佇む小さな家の地下に広がる研究室。
極秘裏と表現するのが見事にマッチする条件の下、何とかクイントを生きて回収することに成功したオレは一目散にプレシアのところへ向かった。

この研究室はプレシアがコッチで確保した家の地下に反則と言うべき魔法技術で用意した場所である。
フォー○ドよろしく空間の入れ替え処理を行って、次元空間に浮かべていた自分の研究所のコア部分を
家の地下の地面を『入れ替え』して作った場所である。だから外部に一切痕跡を残していない。

「プレシア!!」
「いきなり如何したの・・・ってそんな事訊いてる状況じゃ無さそうね」
「こいつを頼む」
「・・・地下のポッドに入れて頂戴。とりあえず出来る限りの事はするけど、ちゃんと後で説明しなさいよ」
「あぁ。主力メンバー全員で相談もしなきゃいけないし、ソレも当然するつもりだ」

地下の生体保護ポッド(劇中でアリシアの遺体や戦闘機人とかが浮かんでいたアレのような物)に
クイントを入れてエアマスクを被せてハッチを閉める。L○Lとか酸素飽和溶液(オキシドールだろ?コレ)だとか、
そんな気の利いた物はまだ出来ていないのだ。で、治療用の特殊液にポッド内部が満たされ俺は研究室から追い出された。



で3日後
「とりあえず、一命は取り留めたわ。ちょっと障害が残りそうだけど、ね」
「障害?」
オイオイ、幾らクイントが精々AAランク程度とはいえ、対NBC防御すら可能なバリアジャケットを羽織ってるんだぞ。
オレが回収した時も体は衰弱していたがそんな致命的な外傷は無かった気がするんだが
「えぇ、高濃度AMF下で無理矢理リンカーコアを励起させて発動させてたのかしら、
コアに関連する脊椎の辺りに酷いダメージがあるの。コレばっかりは誰にも手に負えないわ」
診断データを渡されて確認し・・・はやてが闇の書に侵食されていた時に似ているな。
「人工神経ってあったよな」
「幾らミッドの生体工学が進んでいるって言っても脊椎は流石に無理だわ。アレ反射的な身体動作も司る脳の一部みたいな物なのよ。
だから仮にパッと見の状態が回復しても保存されているべきデータが存在しないからきちんと機能しないわ」
「むぅ・・・」
「彼女には悪いけど、当面は車椅子生活してもらう事になるわね」



コレじゃ意味がねーんだよ。結局スバルがクイントからシューティングアーツを学べない。
このままだと本編と同じコンプレックスを持っちまう。
ギンガにしたってまだまだ中途半端なままだ。
一対多を想定しての近接戦が身についていない今のギンガじゃどれだけ訓練しても『極めて』いない以上凹られて拉致されても仕方が無い。
本編じゃデカイ顔してスバルに仕込んでたらしいがオレから言わせて見ればあの程度付け焼刃でしかない。

リボルバーナックルの改修後、一度だけアイツの模擬戦のデータを見たが・・・


本編中で娘がやった戦闘がママゴトにしか見えなかった。もうね、如何見ても魔導師の戦闘じゃないよアレ。


なんせ魔力噴射で所謂『縮地』とか『瞬動』みたいな事をするんだから。まぁ高町家が乱用する『神速』に比べれば随分マトモだが。
あんな超高速機動で寄られて高圧縮の魔力を叩き込まれればAAAクラスの障壁だって用を成さないだろうさ。
速さは文化なんだよ。まさかソレを肉体言語で表す熱いヤツがこんな全く縁の無い世界に居たなんて思いもしなかったぜ。
まぁカートリッジ一発当たりの魔力運用効率(と言うか内部で結晶体から捻出するブースト)が向上して
今まで打撃にしか使う余裕が無かった魔力が機動にも回せるようになったから出来る様になったらしいが・・・実際は如何だろ?

ついでに言っとくとクイントのヤツ、サブミッションだってかなりの腕だぞ、アイツ。
なんせ通勤途中で痴漢見つけると相手が魔導師だろうが何だろうが容赦無しに関節決めて無力化しちまうからな。
ゼストのおっちゃんに遅刻の理由を聞かれてこの情報が別ルートから届いた瞬間、控え所の空気が一気に変わったからな。

憧れやら畏敬やらの混じった微妙な視線がクイントに集中してたし。


「とりあえず、当人が目を覚ますまでは如何しようも無いか」
「そうね。とりあえず待ちましょう」



物理戦闘でも十分強い部類に入るクイントがたかがガジェットにああも潰されるだなんて一体どれだけの数を投入したんだ?






話は変わって主要メンバーであるチビっ子共。
傍若無人、天上天下唯我独尊な我らがなのはを筆頭に、本編よりも更にチートしまくりと表現するに相応しい
けしからん成長振りを発揮するテスタロッサ姉妹。マッドの血は妹にも在ったらしいとどうも最近その気が見え隠れしてきたすずか。
オレやプレシア女史等が色々講義をしているのもあって既にかなりのオツムを誇るアリサ。その生活環境故か家政婦化が進むはやて。


何とも本編を無視したこのカオス。で、ここにカリムから振られた爆弾を投下。



「と云う訳でお前らもうちっとおさんどんと言うか料理とか菓子作りの勉強しろ」
「いきなり言われても」
「リシェイドは何時もそんな感じだよね、突発って言うか思い付きって言うか」
「そういえばリニスが嬉しそうに色々言ってたような気が・・・何かあったのかな?」
突発ではないぞ?桃子さんには話していたしリニスにも手伝いを依頼していたからな。対価に隔週で一回デート誘えと強請られたのは内緒。

「最近ちょっと出番少なかったからな、これでようやく私の出番と言う訳や。
勉強や戦闘だとなのはちゃんやフェイトちゃんには負けるけどコレばっかりは譲られへんで!」
・・・えらく熱が入ってますな。
「そりゃ当たり前や。リィンや騎士達の皆は平穏無事な生活送ってるし、
ブッチャケ作者が文盲で構成がヘボい上に古い作品のDVDBOXに熱入れてる所為で話進める気が感じられへんもん」
やかましい。天の怒り(と書いて作者の粛清と読む)が落ちるぞ。

「で、ミッドと全く関係ない私達まで呼んだのはどういった理由な訳?事と次第によっちゃタダじゃおかないわよ」
「お姉ちゃんはミッド行きたいって時々騒ぐんだけど・・・」
おぉ忘れてた。
「まぁアレだ。お前ら二人については将来的な選択肢の一つって所だな。別に魔導師じゃなくても向こうに行く事は出来るし、
今の勢いのままなら半世紀もあれば次元航行技術ぐらいは確立しそうだからな」

で、この翌週ぐらいから翠屋の厨房や高町家のキッチンから賑やかな声が響くようになった。



「ところで、リシェイド君って料理とかは出来るのかしら?」
「ん?」
高町家のリビングでモバイルの画面とにらめっこしていた所へ不意に尋ねてきた桃子さん・・・何だよそのニヤニヤした顔は。
「言いだしっぺが何も出来ないと格好付かないんじゃないのかしら?」
「ふむ、んじゃ昼はオレが作るとしようか。チビっ子共も今日は半ドンでボチボチ帰ってくるだろうし」
「あら、期待してるわよ?」


オレが『俺』の記憶を持ってる事忘れてるな、確実に。

ヲタクのオッサン舐めんなよ?
一時期凝りに凝って色々やってたからな、コッチ方面も結構手をつけたものだ。



「ランチと言う事でこんな感じにしてみた。ファミレスだとこんなもんだろ」
冷蔵庫のあまりモノでシーザー(風)サラダ。カリッカリのベーコンとパンの耳で作ったナンチャッテクルトンは好みでトッピングの器から。
メインは鶏モモのバターソテー。隠し味で炙った岩塩と摩り下ろしたタマネギ、ショウガに白ワインで軽く揉み漬けておいた。
野菜類が微妙に足りなさそうだったから鶏肉やサラダの一部、追加で根菜を使って圧力釜でポトフも用意。
主食はメンドイから適当にトーストで逃げてみた。まぁこんなもんだろ。


「「「「「「「「「・・・ナニコレ」」」」」」」」」

「オレが本気を出せばザッとこんなもんよ」
勝ち誇るオレとうなだれるチビ共。母親ズは意外なモノを見たと関心と言うか呆心というか・・・ボケーっとしていた。



「・・・普通に美味しいわね」
「アリサちゃん、凄く悔しそうだけど大丈夫?」
「シェイおにーちゃん、お嫁さんに来てくれないかな」
「なのは、ソレはさすがに色々とダメだと思うよ。美味しいのは否定できないけど」
「それ以前に、私としてはリシェイドってズボラと言うか結構いい加減な印象しかないんだけどその辺如何なの?」
「意外なところでライバル出現!?アカン、アカンよコレは!!」

チビっ子はオレの料理に『デカルチャー!!』ってか?
漢の料理は凝り始めるとキリが無いのだよ。この程度はマダマダ甘いのさ。

「恭也や美由希にも見習わせたいわ。あの子達コッチ方面はからっきしだから」
「私は母親だから前にも何度か食べた事あるんですけどね。あの子結構変な所に凝ってるんです。
オムレツはフワッフワのトロットロでバターの風味が無きゃ認めないとか、肉は火が通っていても赤くて肉汁が出てこないとダメだとか」
「料理ベタだったクレアの子供がこんなの作るだなんて、ウォーレス君もさっぱりだった筈だし・・・あ」

プレシア女史は気付いたな。
「まぁ前世と言うか『俺』は一人暮らしが長かったからな。凝り始めたらきりが無くってソコソコのレパートリーは在るぞ?」
10年以上もモソモソやってたお陰でそれなりの知識とスキルはある。
フライパンを振り回すとか体が覚える技は微妙だが焼き加減とかは知識が全て。如何とでも出来るのだ。


この一件で対抗心を持ったのか、アリサとはやての料理スキルがえらく上がっていったのは別の話。






「ナニコレ」
「ナニコレって『多足歩行型作業機械』ですよぅ。そこの立て札にも、ホラ」

・・・OK。何処の馬鹿だネタに奔ったファッキン野郎は!?


67年某月某所。『成果を発表したいので来て欲しい』と件の連中からコールがかかった為顔を出したのだが
「F-Xを国産機でって話で投資したよな?」
「そうですよぅ」
オレと話しているのは窓口役に任命している佐藤一郎(仮)君。本名は知らん、もしコレが本名ならちょっと可哀相だ。
「何処を如何すればコレが戦闘機になるんだ?」
「いやだなぁ、コレは余剰資金で作ったオマケですよぅ」

OK、誰か釘バットもってこい。関係各員オレがまとめて粛清しちゃる。

「リシェイドさん、アッチアッチ、本命がありますよぅ」
「ん?」

指差された方をみると・・・オイマテやこら。

「如何~見てもヴァリアブルファイターだよなぁオイ?」
「気のせいですよぅ。大口径の機関砲とビーム兵器とVTOL機能搭載して高機動戦闘が可能で
オマケにステルス性も考慮しろって設定したらああなっただけですって」
な訳あるか!?何処を如何見てもあの駐機状態はガウォーク形態じゃねーか!!
「何処ぞの海に宇宙船が落ちてるとかアホな事は言い出すなよ?ソレ修理したら異星人と戦争になったなんて洒落にもならん」
「リシェイドさん心配性すぎですよぅ」


この話は杞憂に終わってホッとしたのだが、外観だけで言えばVF-01すっとばして行き成りVF-22だもんなぁ。
そんなにステルス攻撃機欲しかったのか・・・って開発陣にコアな連中が多いだけか。個人的にはVF-19の方が好きなんだけど。




とまぁこんな感じで開発された『JVF-01(開発コードネーム:+(プラス)7)』は他社(国外勢)を圧倒し採用される事になった。
そりゃステルス性まで考慮に入った高性能機が国産で出てきたんだから当然だわな。

冷静に考えると開発速度が不可能なぐらい早すぎ(2年未満!)だけど、スタッフ全員が色々とカミングアウトしてるヲタだからなぁ・・・



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十二節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:048b356a
Date: 2008/10/11 14:49

「TypeJ展開」
『TypeJ展開します。・・・またえらく手間な事をするみたいですね』
「この事件で何が起きるか知ってるからこんな事する訳で、知らなきゃ普通にスルーしてるな、間違いなく」

新暦69年。この年は殆どをミッドで過ごすつもりだ。
何故かって?フラグがボロボロ零れてるからですがな。
ヴァイスのアニキの一件やランスター一家の事件やら、まぁ色々とある訳だ。
それに喫茶店の準備も進めないとな。



・・・なのはが事故った事件?
そういえば同じ場所に同じ時期に行っていたな。まぁ結果は全く違ったが。



「ヘェ、なのはが後ろを取られるなんてな」
「う~んマダマダ鍛錬が足りないのかな。ちょっと悔しかった」
お前の場合は適度に実戦積めばもう強化しなくても十分だろ?

「ソレよりもフェイトの方は大丈夫なのか?」
「あ、ハイ。ちょっと腕の所を切られただけですし、直ぐに治癒魔法で処理しましたから」
「まぁ大した事が無くて何よりだ。そういえば後何時間で社会奉仕のアレは完済になるんだ?」
「たしか、大体後10回位、今年中には終わると思います。クロノ執務官も驚きながら教えてくれましたし」


原作通り、辺境世界へ出張したなのはとフェイトはガジェットの原型らしきユニットに強襲された。
本編との最大の違いはシグナム達が同行していない、なのはとフェイトの二人だけだったという所だろう。

で、本編でのなのははドテッ腹をぶち抜かれての出血多量に神経系へのダメージを受ける等かなりの重症であったが、
此処でのなのは相手が光学ステルス搭載機だろうと問答無用、気配を感じて一機撃墜。
この際にもう一機が伏兵で存在していたらしく、不覚にも後ろを取られてしまうがソコは我らが最強なのは様。
問答無用に神速を展開して『後の先』で仕留めたらしい。

フェイトはと云うと、コッチは一体しか出なかったのだがなのはの様に気配を感じて如何こうとはいかなかった。
切られる直前に気付いて咄嗟にシールドを張って逸らそうとしたがAMFで弱体化され二の腕の露出部が切られたらしい。
まぁ切られた直後にはそのガジェットもスクラップ化したのだが。

3機も出てくるとはスの字も大盤振る舞いだねぇ。でもなのは様相手にするならその10000倍でも足りんぞ。
現行モデルのノエルクラスのスペックで旅団規模の数を投入すれば・・・オーバーSSクラス広域殲滅魔法に耐えれるかどうかが勝負の分かれ目。
うむ、戦闘機人もゴミっカスだね、今のままだと。
まぁ、アンノウンを一体は確認してるし、この先如何なるか分からないんだよな。と言いつつも結局如何にかなるんだろうけどね。






で、話は戻って
『狙撃チームが呼ばれたみたいですね』
「ハッハッハ、TypeJの性能、とくと見せてやろうじゃねーか」
TypeJは狩人(Jaeger)の名を翳した狙撃・追撃に特化したオプションユニットである。

遥か3キロ離れた先にある現場ではヴァイスのアニキがライフル片手に通りを挟んで斜め向かいのビルを駆け上がっている頃だろう。
そんな現場からクソ離れた所にある超高層ホテルの屋上からTypeJのライフルを構えているのが今のオレだ。
ちなみにこのホテル、犯人の顔を『横』から拝める位置にある。そう、路地の端がこのホテルなのだ。


ちなみに不法侵入です。鍵も力技でぶち抜いてる。部屋をとれって?台帳に名前書いたら身元ばれるからヤダ。


「ターゲットの状況は?」
『人質取ってますけど、この位置なら失敗のし様が無いです。各ユニットからの補正情報も問題ありません』
補正ユニットはTypeIで使った様な独立機動型の情報収集ユニットだ。
超高性能センサーの塊であるこのユニットは魔力センサーや光学探知機の類は無論、熱源や音源も隠蔽した完璧なステルスユニットになっている。
お陰で一機当たりの価格が一般的なインテリジェントデバイスの数倍になってしまい
壊れない事が前提なTypeDやTypeBと同様、チョットでも損害が出ると洒落にならない代物となってしまった。
ソレが何と6機もこの近辺に展開されてターゲットを捕捉している。

『狙撃チームが配置に付いたみたいです』
「うっしゃ、んじゃ仕留めんべ。AMF、アクティブステルス展開」
腹ばいになってスコープを覗く。本当はこんな事する必要ないけどやっぱり雰囲気というのは大事なのだ。
ついでに自分の存在がばれない様に隠蔽するのも忘れない。
「ターゲットロック」
『ロック完了。気象データ及び射線上の魔力素子分布状態を弾道補正要素に追加』
膨大なデータを処理して百発百中、一撃必中の体制をとる。今回は日中の、それも市街地での行動だ。
下手な事をすると直ぐにばれるから出来る限り隠蔽して確実に仕留めなければいけない。非常にメンドイ条件なのだ。

「非殺傷設定、属性付加スタンモード」
『コード確認。電撃属性を付加します。エネルギーチャージ完了』

マルチシフトシステムの流用で属性付加機能を設けたこのライフルなら、魔力弾に高電圧を乗せて電気ショックを与える事も可能だ。
頭に当てればその場で確実に無力化出来る。上手く調整すれば装甲板なんかをブチ抜いて非殺傷で相手を嬲る事も出来るから
長距離の対人戦では何気に良い装備に仕上がっている。


「『・・・シュート!』」

1メートル以上ある長い銃身はマイクロメートル単位でビッシリと魔法陣や機械的な魔力制御回路が刻まれ、
ブースト回路や魔力の収束及び軌道補正を複合的且つ精密に処理している。
ライフルの基底部はエクスタス本体であり、オプションとしてマウントしているが、
発射機構の大半はオプション側に集中していてエクスタス本体の機能はエネルギー供給源と演算処理の受け持ちしているに過ぎない。

ちなみにこの技術、何を隠そう前に穿り返してヒィヒィ言って整理した古代ベルカ系技術の応用なのだ。
無駄に凝ってる仕様が大好きだったらしい彼らの技術はこんな細かい加工すら可能にしてくれた。
教会の方はまだこの辺りにまで手が届いていないし、何よりオレ自身が『使える』ネタをある程度秘匿してるので外で流通する事も無い。
そんな秘匿技術の一つがコレだ。他にも現代の技術以上に魔力に馴染み易い特殊合金の鍛造技術やら
アームドデバイス向けの技術が結構多く見つかってる。ちなみに、この技術解析にはプレシア女史の世話になりっぱなしだったりする。


ん?オレが悪いヤツだって?何を今更。
人様に迷惑かけてないしなによりバレてないだろ?バレなきゃ犯罪じゃねーんだよ。


『ターゲットに着弾、無力化に成功。人質に怪我はありませんよ』
「ミッションコンプリートだ。サッサと逃げるぞ」
『了解。転送魔法起動、目的地はベースハウス』

「『ジャンプ!!』」


翌日の朝刊には局員の狙撃による犯人確保と載っていた。
まさか正体不明の存在が超々遠距離から狙撃してきただなんて発表出来る訳も無い。
ウンウン、良い事した後ってのはヤッパ気分がスカッとするね。




『転送完了』
「用事も済んだし、ナカジマ家に行くか」
『アレもありますしね』

採りたての運転免許を武器に買った自家用車は何故か97世界で調達したフェラーリ・テスタロッサのミッド向け改装である。
しかも特殊素材で外装を特注したから気分で模様・図柄が変えられる見事な基地外っぷり。
なんせ素体購入費が800万だぜ?でもって外装の板は特殊な計測機器使ってマイクロメートル単位の狂いも無くコピーした上で総とっかえ。
ミッドチルダ仕様と云う事で元の車と同等以上の性能の電気自動車に改装する必要もあったし
最終的な投資金額は一体幾らやら・・・。で、その結果は愛好家が見たら卒倒する事間違いなしのMAD仕様。

で、今日の気分は・・・狙撃したから会った事もあるあの人でいってみよう。
婦警でも良いけどあれは対物狙撃銃だしチョットなぁ・・・。
『・・・だからってM16A2カスタムが側面に着ますか』
「天板よりはましだろ」
『作者のロゴ絵でしたっけ』
「ボンネットにあるGの正面絵の威圧感を考えればまだ可愛いけどな」

97世界でやったら先ずチェキされるであろうこの車も、ミッドではただ痛いだけ。
にわかな奴なら逃げるのだろうが、敢えてするのがホンモノなのだ。

『10トントラックなら使った武器全部並べられそうですよね』
「免許取るのメンドイ。維持費が無駄。ってかミッドって東京の下町並に路地が細いから無理」
『またまた~、何気に普通牽引採ってるじゃないですか。大型ぐらい楽勝ですよ』

ナビに案内されながら道を進む。東京や大阪のような大混雑地帯に比べると良く流れているが町並みが単調でツマラン。
下道走るならバイクでも用意するか。リアルサイクロン号とか面白そうだ。搭載可能な融合炉なんて掃いて棄てる程あるし。
あぁ、元の世界でコレが買えたら良かったのになぁ・・・フェイトを全面に描いて某駅前に停めれば・・・。

『ところで、斜め向かいのビルにいた射手の視線が転送直前コッチに向いてたような』
・・・チョット待て
「マジか?」
『各ユニットからのデータを精査してますけど・・・たぶん何かが居た程度は感付かれてます、まぁ壁の影でしたし問題ないでしょ?』
「うわ~・・・まぁジャミングしてたし魔力運用もAMFで余程高精細センサーでも無い限り観測出来ない程度しか漏らしてない筈だし何とかなるか。
それに誰が狙撃したかなんてわかりっこないわな」
エクスタスから直で魔力を引き出して撃ち込んでるから魔力に固体識別の基準となる"色"は乗っていない。
タダでさえジャミングしていた上に生体から撃たれた物より遥かに早く自然と同化してしまう魔力砲なんて証拠の採り様がないしまぁいいだろ。

とまぁ本当なら悩ましい事をいい加減に考えているうちにナカジマ家に到着。

迷惑をかけない様ナカジマ家のある住宅街に侵入する前に絵は全て消した、オレチキン。

ゲンヤのオッサン、実は免許持って無いくせに自宅は駐車場完備だったりする。ちなみにクイントも免許こそ有れ車は持っていない。
ミッドの駐禁は日本と比べるとかなり厳しいからオレとしては有難いけど・・・無駄だよなぁこのスペース。
「ウイーッス!モミジ居るか?」
「あ、おに~ちゃんいらっしゃい」
「チビ共は?」
「庭で練習してるよ」
「ハァ、変な癖が付くから止めろって言ってるのに・・・」

最近癖になったのか、困ったりするとポリポリと耳の裏をかくようになった。
『俺』の時は頭をかいてた覚えがあるのだが・・・今のオレになってからそういう所とか細かい所が変わったらしい。
下履きのまま庭へと周り、ギンガとスバルの方へ向かう。

「ほらっ、右が甘い!」
「ヒャウッ!?」

ギンガが両手に大きめのミットを構え、スバルの打撃を受けながら構えに隙ができた所をすかさず一発入れて指摘している。
スバルはスバルで両手足をフルに使ってるしギンガも体捌きが随分『らしく』なっていた。
まぁ、実戦経験者や海鳴で高町家や某寮の連中に絡まれてるヤツならこの程度は出来て当たり前。
と言うか出来てもあの程度じゃ死ねるね、まず間違いなく。
互角にやりあうなら最低でも亜音速での機動を察知・反応出来る位の反射神経と身体能力が必要だな。
ソレかオレみたく馬鹿みたいに堅牢な防御力(と言いつつ徹の前には無力だが)。



「コラ、お前ら何してやがる!!」

「「!!?」」

「クイントに注意されてるだろ、自分等の母親の言う事ぐらいちゃんと守れ」
「「ご、ごめんなさい」」
ショボーンとしたギンガとスバル、うんワンコだ。ギンガは一寸猫と言うか狐と言うか・・・鋭さがあるけどソレはそれで萌える。
「ったく・・・まぁいい。新しいの持ってきたから、さっさとリビング行くぞ」
懐から取り出すはミッドで流通している規格のデータディスク。
「エ!?ニーチャンそれ本当?」
「嘘言ってどうするよ。モミジがキッチンでお茶入れてるはずだからさっさと汗流して来い」
「分かりま・・・あ、姉さん手伝わなきゃ」
律儀にもモミジの事を考えるギンガ。姉属性は自分の上がいても健在だってか、気にせず甘えればいいだろうに。
「それは俺がやっとくから、さっさとシャワー浴びて来い」
「「ハーイッ!」」



『三人とも元気してる?母さんはこの通り、車イスだけど元気でやってるわ』
「あ、おかーさんだ」
『スバル、モミジやギンガに迷惑かけてないでしょうね?泥だらけになるのは良いけどちゃんと流してから家に上がってる?』
「・・・(ションボリ)」
「前に言ったろ、お前らの事は出来る限り全部クイントに伝えてるって」
リビングにあるテレビには車椅子に乗ったクイントの姿が映っていた。
97世界に極秘で搬送し、なんとか一命をとりとめ身の安全を確保出来たクイントだが
一連の問題が解決するまではどうしてもミッドに帰す事が難しい。子供達との接点はこのビデオメールだけ。

ちなみに受け渡しはオレによる手渡しのみ。間違っても郵送なんてルートは使えない。
管理外世界から一般のインフラで出すとなるとどうしても管理局の検閲が入るから、どこかでクイントの生存が評議会にばれるとも限らない。
そんなリスキーな事は出来ないから、こうして定期的にクイントとナカジマ家の間を行き来する事になった訳だ。
『ギンガも、モミジの手伝いは良いけど無茶して余計に困らせちゃダメよ』
「は、は~い・・・」

ナカジマ家ってさ、原典の高町家にチョットだけ似てるんだよな。
スバルはさしずめ美由希で、ギンガは恭也、内勤なゲンヤと桃子さん、そんでもってどっちも殉職なクイントと士郎さん。
まぁギンガが体にどっか異常があるとかってのは無いしゲンヤが裏から社会を牛耳ってるとかってのも無いけさ。


『リシェイド君に新しい練習内容のデータも渡したから、それを参考にゆっくり鍛えなさい。
焦ってはダメ、ゆっくりで良いから確実に習得していくの。それじゃ、返信待ってるわ』



「と云う事でコレがそのディスクだ」
ともう一枚のディスク。中にはクイントが慣れない操作でシミュレーションしてシコシコ描いた、
シューティングアーツの動作モーションデータや各技の運用概念なんかが成長度に合わせて用意されていた。
トレーニング内容も一緒に同封されていたが、コレについてはあのバンドを着けて高町家の連中がやってた内容を参考に
かなり密度の高いモノが用意されていたりする。

クイントのヤツ、向こうで高町家と会ってかなりのカルチャーショックを受けたらしい。
そりゃ魔力運用無しの高町家を見て、魔導師である自分が勝てる要素を見出せそうに無かったらショックだわなぁ・・・。
大型トラックもぶち抜く攻撃力を誇る『奥義』と認識外の速度と機動を可能にする『神速』。
基本技ですらバリアジャケット無視して直接ダメージを与えてくるってなると普通の魔導師ならお手上げなのは仕方ない。

で、その高町家と縁が出来たのを利用し、ギンガやスバルにそのトレーニング内容を伝えようとしているのだ。
無論高町家特有のあのバケモノ仕様な遺伝的身体能力はどうしようもないが戦闘機人ボディなあの二人なら
ある程度はあの戦闘能力を身に付けられるかも知れないとクイントは踏んでいる。


「リシェイドにーさん、ありがとうございます」
「ん、まだ状況が落ち着いていないから難しいが来年か再来年ぐらいには何とかクイントに会いに行けるかもしれん。
オレも方々に手を回しているからもうチョット待ってくれ」

「ほ、ホント!?」
「オレは基本的に嘘は言わん」
ちょ、スバル見えない尻尾パタパタすんな!目輝きすぎだ!!
「母さんに会えるんですね!」
「まだ如何なるかハッキリはしないが、気長に待ってくれ」

「おに~ちゃん、良いの?あんな事言って」
「まぁ、一応色々とコネは作ってるし、何とかしたいってのは本当だ」


個人的な意見として管理局の現体制は気にいらんが別に不要とは思ってない。
むしろ職務の分割をした上で体制を強化しても良いと思う。
警察機構と司法部門をきちんと分けて相互監視出来る形態が取れれば健全で強力な組織になる筈だ。
ついでに地上と本局の区切りを全部取っ払って一まとめにした上で再編成すれば戦力的にも健全になるだろう。

強襲揚陸艦と各種補助装備を装備した陸戦部隊とバックアップや戦域カバー用の空戦部隊を上手く組み合わせれば
今の歪な体制よりは幾分マトモになると思うんだけどなぁ・・・。

縄張り意識やエリート系と土まみれの意識格差、ついでにこれでもかと頭が痛い程に偏った高ランク魔導師至上主義。
この問題を解決しない事にはどうしようもないけど・・・まぁコレばっかりはなぁ、数世代かけて意識改革しない事には無理か。



さて、明日はちょっと腹括って一仕事しますかね。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十三節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:048b356a
Date: 2008/11/02 05:00

話は少し戻ってある平日の夜。

「なぁ、ゲンヤ」
「なんだ、此処の料理が不味いってか?む、大将、生一つ追加よろしく~」
「そうじゃない」
「じゃぁ何だってんだ。此処のドテ煮、刻み生姜のアクセントがまた酒に合うんだ、騙されたと思って、な?」



「テメェ俺がヤニ嫌いで下戸だって知ってて居酒屋連れ込んで呑ませようとするんじゃねぇ!!」
夕方チョット顔出したら、なし崩しで気が付いたら帰宅ルートの途中で通るガード下の居酒屋にオレ達はいた。



「はっはっはっはっはっは、気にするな」
「気にするわ!!」
・・・馬鹿みたいにプカプカ吹かしたヤニの煙と脂っこい料理の香りが何とも絶妙なハーモニーを醸し出して非常にイライラする。
脂っこい料理は別に良いんだがヤニの煙と混ざった時のあの独特の不快感は絶対に許せない物の一つやね。
趣があると言えばソレまでなのだが・・・どうもダメだ。

「まぁ待て、こう云う所の方が他人に聞かれる事は少ないってモンさ。で話ってなんだ?」
「あ、あぁ。人を一小隊分位集めれないかなって思ってさ。身元は問わないけど機械系やパイロットの資格があるヤツが理想?」
「伝手が無い事は無いが・・・お前、何する気だ?流石に犯罪行為には荷担出来んぞ」

本音を言えば、この手の話はあまり明かしたくないんだけど・・・切り札の仕込みをしないと不味い。

「クイントを助けた時の話は前にもしたよな」
暗に戦闘機人との関連を指す。状況が状況なだけに、ゲンヤにはザッと一通りの情報を話してあった。
「!・・・って事はソッチ関連の話なのか。で、お前何を知ってる?」
「詳しくは何とも。ただ数年、多く見積もっても10年以内に奴らは必ず動き出す。対策の下準備がしたい」
「だがよ、お前さんは民間人だし、レジアス・・・今は少将だったか、やら治安維持に躍起になってる上層部は黙ってないぞ」
「な事は百も承知じゃ。ゲンヤのオッチャンよぅ、オレの肩書きとコネを忘れたのか?何の為にあれだけ金をばら撒いたと思ってるんだ?」

聖王教会の理事会に食い込んでいる上に騎士団ともかなり面識があるんだぜ?
それに航空隊は母さんの古巣だ、それなりに融通は利く。

「おまえ、まさか!?」
「引き抜いた連中を・・・そうだな、表向きは災害救助に運用する特殊航空機チームとでもするか。
実際にはオレの手札。特装の機動兵器部隊として確保する。身柄は教会騎士団所属で辺境世界出向とでもすればいいか」
なのは達が表に出せない現状で対応部隊を用意するならいっそ全く関係の無い人間達のほうが好ましい。
一切感情が入らず仕事に専念できるからな。本編中の無様っぷりは凄いとしか言い様が無い。あれをリアルでやられたらドン引きだけどね。

「おいおい・・・」
「それに、非魔導師や低ランク魔導師の航空戦力化を狙っているこのプランは上層部の目を欺いたり、あるいは後押しさせる事だって不可能じゃない」

決定的なまでの戦力不足に喘ぐミッド地上本部の部隊にとって非魔導師や低ランク魔導師の高出力化、それも倫理的になんら問題の無い方法と云うのは
喉から手が出るほど欲しい技術だろう、それを逆手に取る。

「オレの経歴を活かし、管理外世界からの技術流入と言う形を取って魔力駆動型の機動兵器を投入する。前にも教えたが
オレのエクスタスやなのはのブレイブハートに搭載された魔力炉の出力は既存の巡洋艦のソレすら上回る高出力ユニットだ。
コレを利用したシステムなら非魔導師でも十二分に戦闘に足る性能を発揮できると見込んでる」

実際には魔力結晶体やAMCS理論なんかも使ったチート機にするつもりだ。
と言うか戦力が圧倒的に足りないからコレぐらいしないと如何考えても勝ち目が無い。
「おいおい、一体どんなヤツを相手にするつもりだ?」
「・・・ロストロギア、あるいはそれに付随する魔力量を持つ物体を対象に襲撃を仕掛けてくる機械群の事は知ってるな?」
「何例か扱ったが犯人はまだ見つかっていな・・・そう言う事、か」
流石現場組、理解が早くて楽だ。
「稼動開始目標は72年頃を目標にして動き出せば2年半は時間が有るから何とかなる。
その間で下準備が出来たらコネ使って上層部へ売込んでバックボーンになる人間を探す。
ブッチャケなのはがあのレジアスの娘と知り合いだって言うからな、この辺は上手に立ち回ってやるさ。
で、デッドコピー品をいくらか局の主要に流してやって隠れ蓑にする。で、事が起きるの待って、起きたら下手人仕留めて終わりだ」


予想じゃ数個師団規模のガジェットに数の子とアンノウン野郎という凶悪的な相手を精々中隊規模の部隊で迎撃せにゃいかん。
オマケでゼストのおっさんにルーテシアの一団も加わるだろう。多分本編より雑多の戦力はコッチが負ける。
なのはやテスタロッサ家、八神家を投入した段階でその辺のミリタリーバランスは無視されるだろうが・・・コレはほぼ無理だろう。
法的バックアップが無い以上、揺り篭が浮くのを阻止出来なかった時の最終手段でしか切れない札だ。
本編では災害救助から六課転属となっていたスバルだが、この世界じゃその方向はちと微妙だし、
エリオにいたっては生まれてすらいない、というか件の両親が違法研究に投資していたって捕まってたとニュースでやってたし。
キャロはまだ干渉して無い。まぁするような所でも無いから本編通り来年か再来年辺りムラから放逐されるのだろう。
ティアナ?・・・事件起きて無いし、『にいさん』ことティーダ・ランスターの所在こそ割れたが縁は全く無いから何とも。

スバル繋がりでアテンザの所にいた時偶然『マリー』に会ったが、すれ違ったのと大して変わらなかったし・・・面と向かって会う事も無いだろう。
他の内勤組も名前を見たり遠目に伺った事はあっても面識は無く、まぁ組する事は無いと言い切れそうだ。


と云う訳で戦力が足りん、それも圧倒的に。事務とかインフラは金で何とかなるけど前衛やバックアップが確保出来んとです。




「ック。大将、席空いてるか~ヒック」
「・・・カウンターの奥側」

ん?どっかで聞いた声だな・・・。



「アイツ、まだクサッテるのか」
「知り合いか?」
というかオッチャンの知り合いでオレがそいつの声に聞き覚えがるって事はまず間違いなく局員って事だよなぁ。
誰かいたっけ?こんな場末の居酒屋に来るようなやつ。

「あぁ、狙撃チームのグランセニック・・・今は陸曹か。お前も知ってるだろ?この前起きた立てこもり事件。
周りの評価は高いんだがあの時の仕事に納得出来ないらしくてな。それからはずっとあんな感じさ」

そう言いながらクッとグラスを煽るゲンヤ、って!?
「フゥ~・・・なんか気持ちよくなってきたぞぉ・・・」
呑まれたな。まぁ最初のビールだけにしておけばいいものを調子に乗って度数が20は有るだろうキツイのを何杯も呷ってればこんな物か。

にしてもヴァイスのアニキが負け組モードになるとは予想外だった。
そりゃオレが色々とやらかしたけどさぁ・・・ってソレが原因か。
「よぅし、このオレが直~々にあの呑んだ暮れに喝うぉ入れてやるか!!」
・・・ゲンヤ、お前アルコール耐性低かったんだな。



って。ちょ、オマ。



「う~い、呑んでるか?」
「・・・ック、んだぁ?」

世紀の対決?酔っ払い同士の喧嘩なんて見たくねーぞ。どうせ最後は逆流してオートミール塗れになるだけだろうし。

「湿気た顔してんじゃねぇぞ?おめぇ仕事は如何した仕事」
「ウッセ~!仕事が何だってんだ!!ック・・・てか誰だテメェ!?」

・・・オッチャン、顔見知り程度かよ。まぁ原作でも知り合いだなんて表現無かったし、こんなもんか。
停めた方が良いんかねぇ?でも酔っ払いの仲裁なんで真っ平ゴメンだし・・・どうしよ。



と、傍観する事20分程。
とりあえずゲンヤは絡みと少し笑い上戸、ヴァイスのアニキはチョッピリ泣き上戸らしい。

「ッウ、でさでさ?ラグナのヤツ『オニーチャンオニーチャン』って、グスッ、前にも増してベッタリなんだよ。
オレなんてック、アイツを抱きしめる資格なんて持ってねぇのによぅ・・・ズズッ」
「ハッハッハ、な細かい事気にして如何する!?オレなんざ三人の娘を抱き寄せてヒゲでグリグリするのが楽しみなんだぜ?
ベッタリの何処が悪いよ!?」

・・・典型的なオッサンじゃねーか。

オレが一寸トイレに行ってる隙に意気投合したのか、気が付いたら御猪口を翳して飲みあう二人。いや、別にいいけどさ。

「グスッ、アンニャロウ、蒼銀のアイツは絶対見つけて一発殴ってやる。じゃなきゃオレの気が納まらねぇ!!」
勢い良く立ち上がり右腕を握り締めるヴァイスのアニキ。その台詞通りだと、ばれた時が怖いなぁ・・・俺殴られるんか。

「ん?蒼銀だぁ?オレ知ってるぞ?お~いリシェイド、こっちゃ来い!!」
ケラケラ笑いながらこっち向くな。ってヤベェ!アニキの目が据わりやがった!!


・・・さて。


「大将、釣りは要らん。オレは逃げる!!」
カウンター越しに札を数枚放り込んで店から飛び出す。乱闘して管理局の世話になんざ絶対なりたくない。


ばれたら後で母さんにナニされるか分かったもんじゃないからな!!
・・・と思ってた時がオレにもありました。


その数日後、久しぶりの休日を満喫すべく、ミッドにあるマンションの一室で朝から布団の中でヌクヌクしている所に

DingDong!!

んだよウルサイなぁ・・・。

DingDong!!
DingDong!!
DingDong!!
DingDong!!

「ええい喧しい!!朝っぱらから何処の馬鹿だ!?」
素っ裸にガウンを羽織り玄関の外を見ると

『ナカジマ三佐、本当にここか?』
『あ、あぁそうだが・・・』

・・・あのバカ、喋りやがった。

DingDong!!
DingDong!!
DingDong!!
DingDong!!
DingDong!!
DingDong!!
DingDong!!


これ以上やられると引越しも・・・イヤイヤイヤ、大枚叩いて買った
管理局他数多の勢力の死角・中立的な立地なこのマンションから出て行くのは流石に・・・チッ仕方ねぇか。


意を決し、ソ~ッとカギを開け「ブフッ!?」た途端にドアが開いて顔面直撃・・・あ、鼻血。


「「・・・ワリィ」」


ワリィじゃねーよチクショウ!!




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十四節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:cc2e0c11
Date: 2008/12/13 18:20


いや~、もう、ね?シリアスとかオレには似合わないってのは前から分かってたよ?でもさ、痛いのは流石にもう勘弁して欲しい訳なんだ。


「アンタがあの立て篭もりを撃ったヤツだな」
「あ、あぁ」
・・・ヤッパ殴られるんかいの?



「スマン、アンタは妹の恩人だ!!」

へ?

「あの時の俺じゃあの犯人を仕留める事なんて出来なかった。目の前で脅える妹を前にして腕が竦んじまった」
ソレは本編でも出てたっけ。まぁ如何でもいいや、な事より

「酒の席で興奮しながらオレを殴るとか叫んでたのは・・・?」

「いや~・・・酒が入ると直ぐ気が大きくなっちまってさ、バカな無い事口走っちまうんだ。
その後は泣き出すらしいけど記憶に無いから知らん」

・・・うわ~最悪ジャン。

「でもよ、アンタの"仕事"、あれはショックだった」
「ん?」
「コレでも500メートル先にいる犯人のデバイスを撃ち抜いたりとか、それなりに腕に覚えはあった。
けどアンタのやったアレはそんな物とは次元が違う。アレは人間が出来る業じゃないって、な」


「あ、あはははは・・・まぁ、ブッチャケその通りなんだけど」
そりゃ、専用に開発したデバイスのオプションユニットをフルに使ってるもん。
20キロ先の的を射抜く戦艦の主砲と同じ撃ち方してるんだから当然ジャン。
「な、なに?」
「いや、だってステルス利かした観測システムを大量に浮かべてリアルタイムで弾道計算させた物を撃ち出してるんだから当たって当然。
ついでにオレはトリガー引いただけだし?」


「・・・」
「・・・?」
無言・・・ア、アレ?なんか雰囲気が

「お、俺の」
「?」

「俺の・・・」
「俺の?」
あ、なんかプルプルしてき・・・まさか!?



「オレの感動を返せーーーーーーーーーーーっ!!」
「プゲラッ!?」


久しぶりに魔力に頼らず人力だけで空を飛んだ。何度飛んでもヤッパリ痛い。





「で、お二人さんよ、話は終わったのか?俺、仕事抜け出してきてるんだが・・・」
「「あ、忘れてた」」

「ヒデェ・・・俺は空気かよ」
ってか、ゲンヤのオッチャンマジで空気・・・多分本編の如く出番が無くなるんだろうな。





とりあえず『orz』状態になっていたゲンヤのオッチャンを職場に戻し、
「・・・いきなり出てきたこの美人さんは何方ですか?」
「レティス、自己紹介」
床に寝転がったオレを抱き上げようとレティスが現界してきたのを見てテンパるヴァイスのアニキ、お主もオトコよのぉ。


「あ、はい。コフンッ、始めまして。私は『リンカーコア拡張型統合管制システム』管制人格ユニットのレティスと申します。
普段はこの様なアクティブボディで活動していますが状況に応じて魔力形成した仮想ボディやマスターとのユニゾンも行います」


「・・・もしかしてアンタ、デバイスなのか?」
「はい。私はマスターによって作られ、マスターの為に存在しています」


とまぁ聞こえの良い事を言ってるが


「・・・オレの事ほったらかしで普段は翠屋でセコセコケーキ焼いてるのは何処の誰だったかねぇ?」
人格とインターフェースをマルチプロセス・並列処理化した上にずっと仮想ボディで翠屋通いとは此れ如何に?
「い、いやっ、そのっ、それは・・・」
「なのはなんて「レティスおねーちゃんが上手すぎで勝てない」とかボヤいてるんだけどなぁ・・・」
「えっと、そのっ・・・だって桃子さんが・・・」

まぁ、言わんとしてる事はオレも理解してるし、お前が生き生きと一般社会に溶け込んでいるのは好ましい事ではあるよ?
「だからって、翠屋二号店の店長候補筆頭がお前ってのはなぁ・・・流石に色んな意味で問題じゃないか?」
「あうぅぅ・・・」
指先をモジモジ合わせて顔を赤くして・・・あぁ和むなぁ。


「(こ、このネェチャン可愛い!)」
おいソコ、変な視線でレティス見んな!!ってかヴァイスのヤツ本編中の兄貴分が皆無じゃねーかYO!!



「まぁいいや、アンタとこうやって知り合ったのもなんかの縁だ。チョット見てもらいたい物がある」



そう言って見せたのはナカジマ三姉妹や父さんの件、他にもクイント救出時のドサクサで収集して来たデータ、
更には『闇の書』の一件であった本局の暗躍等、頭の痛い資料をワンサカ。
ついでに教会の資料庫で見つけてきた局員の魔導師資質に関するアンケート等の心理学的なデータもチラホラ・・・。


「なぁ」
「言っとくが、此れの半分はオレが痛い目して確認してるマジモンだ」
「冗談だろ?これじゃ・・・でも考えてみれば・・・」
思い当たる節はあるらしい、そりゃアレだけ大きい組織なんだから影ぐらいはチラホラと見えちまうだろうさ。


「・・・こんな物を下っ端の一局員でしかない俺に見せて、アンタ、如何しようって言うんだ?」
「近い内にミッドの郊外で店開くつもりなんだが、この間の一件の迷惑料ってのも込みでお前さんをスカウトしようかなってさ、給料は保証するぜ?」
「店?デバイスでも売る気か?」
「何言ってやがる、喫茶店だよ喫茶店。さっきレティスと話してたろ、ケーキの美味い喫茶店を開くんだ」



「は?」



「フフッ。マスターの言う通り、予定では71年の内に開店の予定です。
ただ店員として確保している面子が平均でオーバーSSだったり、私のようにヒューマンですらなかったりもしますが此れは些細な問題でしょう」
「そういうこった、で何故か面子が全員女だからチィと壁役が欲しくて探していたんだ。
アンタはマトモそうだしその風体も気に入った。ケーキは絶品だからアンタの妹も喜ぶぜ?ついでにデリバリー役やってくれると助かる」



アニキボロボロフラグ回避作戦~・・・あんま意味無いけど。てか抑え役が欲しいだけだったりする。
俺はメンドイのがイヤだからオーナー席でふんぞり返ってるつもりだ。

ん?JS事件とかその後の事件とか放置なのかって?うん、放置で良いんじゃね?ってか一々出張るのメンドイじゃん。
そりゃ肝心な所は手ぇ出すだろうけどさ、ブッチャケ根回しさえ出来てれば陳述会と最終決戦以外はスルーしても問題ないんだよね。
貨物列車奪回とか諸々の市街地戦が如何とか、レリックの話ってやるだけ無駄なんだよ。
技術的には既にその『上』を行ってるからあの程度の魔力結晶なんてのはオレからすりゃ別に脅威でも何でもない。
手は回してるけど雰囲気的になんか戦力揃えられそうに無いしさ。だったら開き直ってやるっちゅーの。

他人が死ぬのを見て心が痛まない訳ではないが、何時起きるか解からん大規模案件に首突っ込むほどオレは暇じゃない(ウソ付け)。
対個人程度なら発信機なりイベント発生条件の確認とフラグ潰しなんかで対応可能だから色々やってるけどさ、ソレが限界。
クイント生存でスバルやギンガも遺志を継ぐとかそんなノリは無い訳で、残る本編絡みのネタはランスター兄妹の話位だろう。

う~む、エリキャロでボーイミーツガールな話ってのは王道だし面白そうなのだが肝心のエリオが存在すらしてないってのは痛いなぁ


・・・って何遍言ってんだオレ。



'PiPi!!PiPi!!'
こんな中途半端な時間になんじゃらほい?ってコレは警告アラーム・・・!?
『マスター、件の人が・・・』
「マジか?」
『マジです』

え?
ちょ、このタイミングで来るか?
「・・・空気読めよ犯罪者」


「な、何の話してるんだ?あんたら」
一人放置プレイなヴァイス陸曹は場の雰囲気の変化に付いていけず呆然。

「気にすんな。チィト野暮用が出来たからチョッチ失礼」
『魔力行使隠蔽処理完了、座標の確認も済んでます。何時でもどうぞ』
「『ジャンプ』」
ヴァイスの兄貴をそのままにし、オレは即座に現場へと跳ぶ。さぁて、話の真相ってのが楽しみだ。


「お、おい!?・・・局員の前で転移魔法なんて使うなよ、ったく」

HAHAHAHA、気にすんな!目視されなきゃ問題ないのがオレクオリティだ!文句あっか?




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十五節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:cc2e0c11
Date: 2008/12/26 00:21

「なぁ」
『はい』
目の前に広がる光景
「アレ、何なんだ?」


「イヤーーーーーーーーーッ!!!?」
「アーッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャーーーーーー!?!?!?」
「く、待て、待てといってる!!」



何処にでも居そうな女とソレを追いかけるストーカーっぽい変態とソレを追う局員『ティーダ・ランスター』。
え、ナニ?まさかあのショッパそうなキ印に殺された訳?・・・そりゃ無能扱いされ

Bomb!!

ちょ、爆発!?

Bomb!!

「オイオイ、マジかよ」
こんな市街地で質量兵器・・・煙も出て無い所から察するにプラスチック爆弾?
いや、魔力反応があるからトラップ型の術式でフッ飛ばしてるって所か。一体何が・・・
『マスター、管理局の通信を傍受しました。どうやらテロリストが付近に隠れていたみたいですね。
あの変態追跡劇に刺激されてプッツンしたみたいですよ』

こりゃヤベーぞ、オイ。
お、知らん間に変態確保。って、あれ?『にーさん』の様子が・・・

「ジャミング?」
『みたいですね。さっきの通信から後、ノイズだらけになりましたし』
・・・変態確保してそのままテロリスト追撃戦・・・なんか読めてきたな。

「ボマーを潰す。急ぐぞ」
『了解。TypeR、I同時起動、各種迷彩機能稼動開始します』
そしてオレは街の影へと消えていく。さて、どのあたりを落とし所にするか・・・。



ティーダSide


今日は厄日だ。


Bomb!!


折角の休日の筈なのに、何でこうも立て続けに事件が起きるのだろうか。試験勉強の気分転換で出かけたのがウンの尽き。
さっきはさっきでネジの飛んだストーカー(ティアが見たら卒倒するだろうな・・・)を捕まえてたし
「大丈夫ですか?」
「は、はい!」
「通りを西へ!!2ブロック先で避難所を作っていますのでソコへ逃げてください!!」
間髪入れずまた仕事、逃げ遅れた人を助け、爆弾魔から遠避ける様誘導していく。

『'・・・t区、また・・・!・・・で10人目だ!!'』
『'こち・・・爆弾魔は・・・、クソッ!!'』

酷いノイズと共に聞こえてくる通信は悪夢そのもの、関係の無い民間人が巻き込まれ沢山の犠牲が出ているらしい。
緊急招集のコールを受けて現場に向かいつつ、こうやって民間人の保護をしていくけど・・・どれだけ被害だ出るんだろうか。

「にしても・・・現場は何処だろ?」

さっきからマトモに通信が繋がったためしが無い。

「'HQ、HQ、こちらランスター、状況を教えてくれ'」
『'・・・ザザッ・・・t、現在h・・・'』
うんやっぱりダメだ。諦めた方が早そう。


Bomb!!

あれ?

Bomb!!


音が近づいてる?


『'HQより各員、ホシは現在**通りを北に向かって逃走中!!周辺の局員は直ちに周辺通路を封鎖、追い込むぞ!!'』


あ、通信状態がよくなっ、って5ブロックも離れてないじゃないか・・・しかもコッチに向かってる!?
雑居ビルの陰から遠目に見える森林公園が件の通りの終着点だけど避難は済んでるのだろうか。
『'HQより各員、ホシを追い込んだ。尚、追い込んだ敷地内には多数の民間人が取り残されている。注意して対応するように'』


あぁ・・・本当に今日は厄日だ。




リシェイドSide

「メンドイなぁ・・・何だよ森林公園って、オレは御神の剣士じゃねーぞ」
『緑地化推進エリアですから』

森林公園内、中央管制室天井裏。オレは此処に潜り込んでいた。
手回しが早いのか、敷地内のインフラは既に切られていて、防犯・非常用のバックアップがかろうじて生きているのみの状態になっていた。
「・・・この状況で何処まで拾えるか判らんが仕方ない。ハッキング開始、各データ収集」
『ターゲットを捕捉しました。進入後の経路からして北東の端っこ目指して向かってるみた・・・公共インフラの魔力供給施設がありますね』
・・・下調べ万全ってか?傍迷惑この上ないな。
『マスター、スタッフや一般人がまだ残ってます!!』

オイオイ。避難してないのか?

「関係無さそうな所は封鎖なりすれば良いんだろうけどさ、インフラ殺してあるって事は間違いなく人力だろ?・・・間に合うかよ」
『ですね。とりあえずやれる事をしましょうよ』
「あぁ」

この後、コソコソ動き回って数箇所では有るが避難誘導灯を点けたり封鎖の掲示を引っ張り出したりする事が出来た。
無駄に広い(・・・後で判ったんだが山手の内側以上の広さとか、もうね、本当に呆れたさ)せいで
状況が全く把握出来ない人もワンサカいるらしい。


『・・・マスター、もう直ぐ接触しそうです。あと、多数の民間人が進行方向上に』


そういう事か、さてどうすんべ。





ティーダSide

「へーちょ」
「・・・大丈夫ですか?」
「グジュッ・・・いや、実は昨日から熱が下がんなくてよ、風邪酷いんだわ」
臨時チームとして組まれた部隊の一人が鼻を啜ってこんな事を言うがチョット笑えない。ちなみにこのチーム、みんな顔見知りだった。
海はどうか知らないけど陸じゃ人手不足なんて日常茶飯事だから変則編成のチームなんて当たり前なんです。
でも風邪ッぴきの人を前線に出すのは如何かと思うよ?そりゃ相手がテロリストで緊急召集だから仕方ないだろうけどさ
「ヤバイのなら大人しく休んでいてくださいよ。他の人間で何とかしますから」
移されるのは困るしこう言っちゃうとアレだけど足手まといは要らないんだよね。と他の隊員も口々に似たような事を言う。
もう直ぐ接敵するから雰囲気はピリピリで眉間のシワも深くなってみんな言葉が刺々しい。此処に居るって事はみんな休日だったんだろうな。
「ズズッ、まぁ安心しろって。来る前に薬飲んだしよ、なんとかなるさ」
いや、ならないと思うよ普通なら。と思いつつこの鼻啜ってるオッチャンが今の面子で唯一魔力量AA+と云うのだから頭が痛い。
「そりゃ魔力あるから力技で押せるんでしょうけど」
「それによ、今日はオメーがいるから俺も楽出来るってもんだ。なんせこの面子で唯一の空士だもんな」

「へ?マジですか?」
「「「「「「「ウン。マジで」」」」」」」


あ・・・そうだ、今日は厄日だった。ならこんなチーム編成でも納得だ、って冗談じゃないけどさ。現実なんだよね、コレ。
取るに取れなかった有給を無理矢理取らされて、ティアは学校で家にいないから勉強し始めたら如何も頭が回らなくて・・・もう踏んだり蹴ったり。


『'こちらHQ、チームアルファ聞こえているな?'』
「こちらアルファリーダ、感度良好」
『'現状のまま進むとターゲットは5分以内で密集地帯へ突入する。そうなると上空からの索敵が出来なくなる、コレは不味い。
君達には足止めとマーキングを急ぎやって欲しい。君達の中には空士も居たな'』

御指名ですか。いやもう狙ったかの様な展開一直線だね。

「'ハッ、ティーダ・ランスター三等空尉であります。コールサインはアルファ6'」
『'アルファ6、君は速やかに移動して上空からターゲットに接触。以後可能な限り相手に意識させ手足止めしろ'』
うわ~・・・そんなの訓練した覚えなんて無いんだけど、どうしよ?やるしかないんだろうなぁ・・・ハァ。

「'了解しました。直ちに移動を開始します'」
『'頼むぞ。他の各員は迂回しつつターゲットの進行方向へ先回りしてアンブッシュだ。アルファリーダ、頼むぞ'』
「'了解'。と云う訳だ。ランスター、今回はご愁傷様だな。とりあえず頑張れ。終わったら一杯奢ってやるから、な?」
「はぁ・・・って、自分呑めないんですけどね。では、逝ってきます」

「「「「「「「オイオイ、逝っちゃダメだろ、逝っちゃ」」」」」」」

・・・アレ?


そっか「逝く」んじゃなくって「征く」じゃ無いと不味いよね・・・自分で死亡フラグ立ててたら世話ないよね、ハァ。





リシェイドSide

うわ~、なんか切ねぇ~・・・。
『ジョークにしては痛すぎますけど、リアルなんですよね』
「まぁ、な。辛うじて現場は空も陸も仲違いしてないが上層部は微妙だし海は論外だ。
結局は利権と派閥争い、後は屁のツッパリにもならない見栄比べって所か」

とまぁ、TypeIの機能で盗聴と言うか集音してたんだが・・・なんかね、見ててホント可哀相なのよ、あの人等。
て言うかさ、"爆発"とか明らかにレアスキル臭い魔法使ってるテロリストを追撃するチームの最高ランクがAA+って如何言う貧弱さだよ。
それ以前に危機意識皆無のあの日本ですらSATを拵えてるんだぜ?カウンターチーム居ないって冗談じゃ無い。
「戦略はおろか、戦術レベルですら魔導師の能力依存てのは頂けないな。まぁ非殺傷が大前提じゃこんなもんか」
"テロには屈せず"が基本の地球じゃ問答無用で実行犯は射殺已む無し。まっ、生きて掴まっても一生豚箱だろうけど。
『人道的といえば聞こえは良いですけど、あれじゃ抑止力にはなりませんよね』

「まぁその辺は文化の違いってこったな。でももう少し心理学は研究するべきだと思う」
ベルカ系でも無い限りミッドの人間は宗教みたいな信仰という物が薄い。
近代的といえば聞こえは良いしドップリ日本人なオレからすれば全く抵抗は無いのだが、冷静に考えれば『拠り所が無い』と云う恐ろしい話でもある。
究極的な話、『倫理観』が希薄と考えても可笑しくないだろう。
世界的に見て超特異例である日本の場合は『道徳』とかいうムラ文化で縛り上げてるけどコレはローカルルールであって他国では一切通用しない。
宗教ってのはそう言う意味では国境無き倫理観としては優等生なのだ。
オレの知ってる限り得体の知れない新興宗教と他世界の宗教以外でミッドに存在する宗教は・・・無かったりする。



この世界に『神頼み』なんて便利な言葉は無かったのだよ。まぁ、ベルカの信仰対象がヴィヴィッ子って時点で何を況や、と。



Bomb!!
グダグダ考えてるこの瞬間も事態は進行する訳で



Bomb!!
ありゃ?・・・ヤバいか?
『・・・包囲陣が破られましたね。死人は出てないですけど大半が戦線復帰出来そうに無いです』
TypeIの索敵システムで収集されたデータを追いかけるが・・・ダメだな。

「そろそろ介入するぞ」
『了解。管理局のシステムに介入、各ステルス機能再設定を実施します』
これで局のシステムからオレ達の存在は完全に消える。ありとあらゆる履歴に残す訳にはいかないからな。
その上でアクティブ・パッシブ各種ステルス機能をフルに機能させる。あとは



「TypeJ、PAM弾スタンバイ」
『限定魔力結合干渉弾、セット完了』



TypeJ最大の特殊兵装。PAM(Pinpoint Anti Magilink)弾。
レアスキルコピー機能であるマルチシフトシステムとAMF発生システム、そしてTypeRを始めとする各オプションでも使われている
重力干渉システムを応用して生成する対防御系魔法用の干渉弾だ。
複合的な技術で生成する一種の二次魔力砲ではあるが、発射後は弾丸に接触した魔力形成物を片っ端から分解していく
単体向けでは最強の『魔導師殺し』仕様にしてある。そう、コイツはバリアジャケットすら破壊・無効化するのだ。
無論現界はある。なのはクラスの魔力行使は勿論ダメ、Sランク以上の魔導師が本気で砲撃したりシールド張るとヤッパリダメ。
主にAAAクラス以下向けの中途半端装備だったりする。しかも連射利かないから弾幕も張れないし使い勝手はすこぶる悪い。





へ?町の中で出動中の女性局員撃ったら祭りになる?イヤイヤイヤ、ソレは犯罪ですがな。
・・・チョットは考えたけどね。今の世が原作のままのストーリーだったらスの字にコレ供給して祭りにしてただろうな、きっと。
だってアレだよ?飛んでくる頭の線がどこか切れたとしか思えない戦術しか取れない機動六課戦闘要員は
エリオを除いて全員女。でランクもこの世界ほど高くない・・・となれば答えは一つしか無いっしょ。

○っぱい○っぱい○っぱい○っぱい○っぱい○っぱい!!

胸は正義なのです。けしからん身体付きも、ろけっと○っぱいも、ムチムチの熟れた体も、姉妹ろけっとも全ては桃源郷の一片。
タヌキ?・・・さぁ?



さて、妄想はその辺に掃き捨てて置くとして、だ。
「ターゲットの状況は?」
『ランスター氏がまだ囮になってますけど、ソレも長くは持たないでしょうね。テロリストは何気にAAAクラスみたいですけど
ランスター氏は如何高く見積もってもAA-程度、精々A+ですから地力の差が決定的過ぎます』

2ランク以上の差を埋めるのは・・・正攻法じゃ無理とは言わないが難しいんだよな、俺は反則技で楽勝だけど。
『先回りしても遭遇したその場で爆破されて無力化してますからね。で、どうしますか?』
「ランスターがBランク以上の有効射撃を仕掛けたら合わせてシールドとジャケット割るぞ」
『・・・民間人が居る事を忘れてませんか?』



あ、やべ




ティーダSide


「'こちらアルファ6、ターゲットの移動予測ライン上に民間人を発見!至急増援を!?'」
『'・・・こちらHQ、アルファ6、民間人を保護しつつ任務を続行せよ。尚、手配に手間取っている為現状での増援は難しい、540秒耐えろ'』

ご、540秒!?
9分も荷物背負ってあの弾幕避けろって言うのか!?


『'追加情報だ。予測ルートをこのまま進むと5キロ先に魔力インフラ施設が存在する。
ターゲットの目標地点はソコだろう。絶対に其処に辿り着かせるな'』


・・・泣いて、いいですか?




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十六節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2008/12/31 10:00

時と場所はほんの少しだけ戻る。


ナカジマ家Side

『と云う訳。判ったかしら?』
「「ハイッ!」」

モニター越しに会話する母子の姿。場所はミッド、クラナガン郊外ナカジマ家の庭先。
漸く開通したミッド・海鳴間直通トランスポーターの経路を利用してコッソリと開通させた独立回線、
ソレがこの場所にも中継・転送されていた。

『とりあえず、そのリボルバーナックルは後生大事取っておく必要は無いわ。
ソレを使うって事は、『私』までしか強く成れないって事だからね。とりあえずリシェイド君のデバイスを使っておきなさい』
「デバイスの話はいいけど、おかーさんって強くないの?」
「そだよ、おかーさん強いよね?」
娘二人の疑問は母として嬉しいのだがこの先を考えると非常に問題でもあった。
『確かにかーさんは強いわ。だけど、ね。二人はまだまだ強く成れる。なのはちゃんは知ってるでしょ?』
「「・・・ガクガクブルブル」」
まさか動画投稿サイトに訓練校や現場での暴虐シーンがうpされて(邪)神格化しているとは、
本人関係者含め誰も予想していなかったが今回は関係ないのでスルーとする。

『OK。今までのトレーニングはリシェイド君やなのはちゃんの家族が築いたやり方を元にしているの。
そんな練習を続けているんだから強く成れない訳が無いじゃない。シューティングアーツの在るべき姿を見せる為にも
二人には『全て』を身に付けてもらってかーさんを超えて欲しいのよ』

「うん、がんばるよ!」
「ワタシもワタシもーっ!」

『じゃぁ、とりあえず鍛錬場所だけど森林公園があった筈よね?』
「うん、チョット離れてるけど数駅だから二人でも行けるよ」
ギンガの返答にうなずくクイントの姿。クイントの後ろでは御神の剣士達が無差別乱取している光景が広がっていたがこれも軽くスルー。
『私も、あなた達も飛行魔法は適正が皆無だからね、そうなると市街地戦になったら遮蔽空間での機動感覚は必須。
ソレを身に就けるには森の中が一番都合が良いわ。足場も適度に不安定だから重心移動や踏み込みの感覚も大事だし、ね』




などと会話が有ったとか無かったとか・・・。




時は戻り
リシェイドSide

『ヤッパリギンガとスバルですね、アレ』
「だよなぁ・・・」

つい先日拵えたデバイスを装備した二人が恐ろしい速度で機動しながら打ち合いをしていた。


膝までを覆う高機動戦闘向けストレージデバイス『フラッシュストリーム』。
ま、ブッチャケるとTypeWのスピンオフ、と言いつつもホバー走行仕様、それも6号機型というデザイン最優先モノ。

で、両腕に装備された超近接格闘戦特化型特装アームドデバイス『ブラストアーム』。
デザインが某ア○ターと電○の間の子だが気にしない。光り輝く手甲と唸るタービンが漢らしいのだが、着けてるのはオニャノコだぞ?

ネックバンド状に仕上げたシューティングアーツ特化・各デバイス統括用セミ・インテリジェントデバイスで
ギンガ向けの『スターアイズ』、スバル向けの『グランドウォッチャー』。見た目首輪だけど卑猥じゃないよ?

クイントが慣れない机仕事でまとめた資料と要望を元に高町家や月村家と言った人外系戦闘者の意見も参考に仕上げた
ある意味最悪な仕様のデバイスセット。それがこいつ等なのだが・・・なんせ近接戦しか想定してないコマッタチャン。
そもそも開発の基本且つ絶対コンセプトってのが



『とりあえず相手より早く動いて殴るか蹴って潰す』



という頭の悪さ120%なトンデモデバイスなのだ。・・・スク○イドのDVDがクイントの片隅にあったのは気にしない。

で、『神速』での逸般人的機動が可能な高町家の面々や、そもそもスペックその物がヤバイ月村家メイド組の情報を加味し
さらになのはに与えたBHやSOO、エクスタスのTypeWと言った既存デバイス稼動ログを解析して汲み上げた超特装機。



とまぁ無駄っぷりが此処でも発揮された。で、何でソレが此処で話題に上がったかというと



「食い物の恨みは恐ろしいんだぞ」
『まして、鍛錬で極限まで腹を空かせたナカジマ家の二人の目の前であんな事をしては・・・』








爆弾魔フルボッコだZE!?







ティーダSide

・・・ボクは、夢を見ているのだろうか。

「モミジねーさん特製ハンバーグの恨みっ!!」
『Burst Knuckle』
髪の長い女の子が両腕を覆うデバイスでアッパーを叩きつけると今までの爆発とは全く違う爆音と共に爆弾魔は高く吹き飛ぶ。
よく見ると殴られた方は丸コゲなのに殴った彼女はスス一つ付いていない。

「中トロ玉子焼きのうらみぃ!!」
『Sonic Shot』
浮き上がったターゲットを一瞬消えたかと目を疑うような機動で飛び上がり蹴りつけるもう一人の子。ティアと同じぐらいかな?
蹴った傍からターゲットのバリアジャケットがズタズタに切り裂か・・・って真空波!?

「エビマヨおにぎりとクラブハウスサンドのッ!」
髪の長い子が追いつき魔力を込めた左で右頬をぶん殴る。
「ツナマヨおにぎりとテリヤキバーガーのッ!」
合わせるかの様にもう一人の小さい子が同じく魔力を込めた右で左頬をぶん殴る。


見事にサンドイッチ、顔が拉げてるね。と言うか意識なんて残ってないだろうな。


「そして」
「これが」
二人が思いっきり犯人を蹴り飛ばし互いの利き腕だろう双方の腕の動き合わせる。


「「お楽しみにって我慢してたケーキの恨みだぁーーーーーーーっ!!」」
『『Implosion Attack』』

一際強く輝く閃光と共に打ち込まれる二人のダブルパンチ、最後のアレAAAクラスの砲撃と変わらないような・・・。



「って、仕事しなきゃ」




リシェイドSide


事の顛末はこうだ。

何の因果か、今日はチビ二人がこの公園でトレーニングする日だったらしい。オレはトレーニングの事すら知らなかったがな。
で、公園のほぼ中央にあるこの密林地帯がその場所だったのだが・・・まぁソコへあの連中が駆け込んで来た訳だ。

爆音に気付き状況を察したのか二人は少し場所を移した、すぐ戻ってくるからと荷物は置いて。
そして件の連中が通り抜けた後に残ったのは・・・まぁ察しろ。

で、その光景を目の当たりにした二人はブッチして殴りこみと相成った訳。
ちなみにさっきの民間人てのは実はこいつらだったらしい、他に人影も無いし。ボマーは南無南無だ、運が無さ過ぎ。



「さて、面倒な事にならないうちにチビ引っ手繰って消えるとしますかね」
『ですね。ジャミングは開戦時から掛けてますから、後はランスター氏が眼で見たぐらいしか証拠は残りませんし』
準備がいいねぇ。
『もぅ、何年相方してると思ってるんです?いい加減慣れたモノですよ』
そうだったな。お前を作ってからもう5年以上になるのか・・・。ま、まだまだ先は長いしチャッチャとやる事しますかね。


「魔力行使隠蔽開始。突っ込むぞ」
『了解。周辺空間に低出力AMFを展開、残滓は霧散させます』




あ、PAM弾使ってねーや・・・ま、いっか。





ティーダSide

・・・一体何なんだ?

「と云う訳でこのチビ共は連れてくぞ」
『ごめんなさいね。まだこの子達を表に出す訳にはいかないんです』
「ま、待ってくれ!?」
いきなり目の前に転移してきた彼(?)は事も無げにあの子達を連れて行こうとする。
あの子達はあの子達で「にーちゃんだ」と抵抗も無く当たり前のように付いて行く、本当に知り合いらしい。

「んだよ、アンタ程度じゃオレはおろかチビ一人だって抑えられないぜ?止められないのは判ってるんだからさっさと退きな」
「彼女達は一応事件の関係者になります。こちらにも『職務』と言う物がありますので」
仮にもターゲットを無力化し抑えてしまったんだ、少なくとも戦闘中の話は訊かないといけない。

「・・・ついでに教えてやるよ。此処を中心に半径500mはチビが戦闘を開始した瞬間から強力なジャミングで
一切外部とリンク出来なくしている。アイツが抑えられた事も外では知られて無いし
此処でオレが何してもアンタの目視以外は一切証拠は残らん様に仕込んである」

「なぁ!?」
彼の言う事が本当なら、僕達の行動はすべて抑えられてたって言うのか!?

「と云う訳で安心しろ。何、お前さんの経歴に箔が付いてコッチも助かるってだけじゃねーか。
ど~せまたどっかで会う事になるだろうし、諦めるこったな」
「い、いや一応僕にも管理局々員って仕事があるんですけどね?」
と言うか、どんどん勝手に話し進めてるけど・・・って「また会う」?

「ま、待てッ!?」
バインドを起動させようとするが術式は引き出せない。まだコアが枯れる程使った覚えは無いのに如何いう事!?

「んじゃな。ランスターさんよ」
彼はそう言いながら転送していった、それも魔力残滓を残さずに。これだと追跡は不可能だろう。
後で気付いたんだけど、デバイスに残している筈の戦闘データも根こそぎ消されていた。
文字通り、手の上で踊っていたに過ぎなかったんだ。


・・・って、アレ?
ボク名乗った覚えないのに何で知ってるんだ?







これから数年後、まさか現場でチーム組む事になるとは思いもしなかったけどソレはまた別のお話。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十七節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/01/03 00:40

・・・久しぶりに地球で仕事だって帰ってきたら
「アーリーズさん、どうしたんですかぃょぅ?」
「・・・喧しい。佐藤、テメェチョット黙ってろ」
「ヒィィィ!?」

久しぶりに会ったお付君である佐藤一郎(仮)をコレでもかと殺気込めてガン付け。

「なぁ佐藤」
「?」
「この、『甲式荷電粒子形成刀』ってなんだ?俺に喧嘩売ってるのか?」
「そ、そんなわけ無いですぃょぅ」
「ほ~ぅ、んじゃその隣にある『壱型荷電粒子投射機』のデザインもそうなんだよな?」
「え、えっとソリハ・・・(汗)」
もう、ね?顔中汗だらけなのよ?あなた。


「何処の世界にUCの世界のオモチャ引っ張り出す馬鹿が居るんだ!!著作権舐めてるのか!!??」
「ぼ、ボクの知らない間にもう出てたんですぃょ~ぅっ!!」



なぁ、何で此処にRX-178のビー○サーベルと、○ームライフルがあるんだ?いや、一応ミノ粉起源じゃないけどさ。



「で、受注請けて一から設計し直した正式採用機てのはどれだ?」
「あ、アレですぃょぅ」
佐藤の指指すさk・・・!?
「C4にプ○トニウスってネタモノ○浦版かよ!?デモ機の原形留めてない上にしかも購入は何故か陸自と海自の共同!?
でもってその横にあるのは○F-22に25、って陸海空宙で部品共通性皆無って馬鹿かあいつ等!!」

「で、でもWRもVFも防衛省からの指て「ハァ!?」んですぃょぅ」
・・・あれか、「チハタソハァハァ」か、某政治団体の捏造とか都市伝説だって誤魔化してきた『ヲタの巣窟』の本性なのか。

「この国、ダメかもな」
「い、幾ら身軽だからってに、逃げないで下さぃょぅ?」


知らんがな。ってか今のオレはこの世界の生まれですら無いし。


アクティブステルスや単独ノンオプションの再突入能力はまぁ判らんでもない。でも陸自や海自に熱圏長時間滞空能力とか、
全軍に言えるけど人間にゃ耐えられん機動性能とかって全くもって無駄なだけじゃんよ・・・どうせ調達係の趣味なんだろうなぁ。
何年かするとATとかASが欲しいとか言い出すだろう・・・あっちの方が小回り利くだろうから。





「ねぇリシェイド。ソレ、何?」
「ん?あ、母さんか。気にしないで、新しいおもちゃだから」

カラーこそ艶消しのスモークシルバー、所謂『燻し銀』ではあるが、

「どこかで見たような気が・・・」
「そりゃ、テレビでも散々流れてるからね」
「ふ~ん。ま、良いわ。もうすぐ夕飯だから」
「ホイホイ。火ぃ落としたらすぐ行くよ」

パチンと証明が落ち、非常灯と常灯のモニタが薄暗く光る広い地下空間に収められたソレは



「ま、オモチャと言えば『オモチャ』だな。どうせ半年もしない内に魔改造だろうし」



確かにプル○ニウスとV○-25だった。




#此処で注釈。
#本編中では『一切』触れませんが、MSサイズの仕様であるMSZ-006PlusC4は陸自の軌道エレベータ守備隊専用機として、
#プルトニウスは海自の陸戦隊仕様として開発が進められています。まぁこのチョイスも筆者の趣味100%ですけどね。
#ちなみに、VF系も勿論筆者の趣味100%、特に意図はありません。強いて言うなればVF-25がF-14トムキャット同様
#かなり翼を畳めると云う点に惚れ込んだと言った所でしょう。部品数は22と大差無くデメリットはさほど無いので。
#また『O-B-O-Nクライシス』後、自衛隊はあの少ない戦力と存在自体に否定的な国内世論と云うハンデを物ともせず、
#大陸から迫る膨大な数の戦力と互角以上に戦い抜いたと言う潜在戦闘力を買われ、
#国連統合軍の教導部隊や宇宙軍の主要施設守備隊としてトップガン達を派遣しています。



71年3月某日。

「「「「フェイトちゃん」」」」
どんどん桃子さんに似ていくなのは、ちなみに髪型は本編と違い真直ぐ下ろしている。色々と将来が危ぶまれるが・・・まぁ何とかなるだろ。
次に本編同様同年代で一番貧相いやメリハリの無い体付きのはやて。本編の様な『闇』が無いのが唯一の救いか。
ガイジンの血がそうさせるのか、メリハリのあるアリサ。・・・ゴメン、実は頭がキレる以外は普通過ぎてコメント出来ん。
面子の中でも希少なオットリ系の雰囲気のまま成長したすずか。スタイルはメンバー1だからコレで夜の一族の能力が無かったら完璧なんだけどなぁ。

「オツトメ完了」
計算された明るさと言う恐ろしい武器を持ってけしからん身体付きへと進化したアリシア。

「「「「「「「「「「「オメデトーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」」

「あ、ありがとうございますっ!!」
我らがフェイトも眼福な程にけしからん身体付きになりました。もとい漸くジュエルシード事件のツケが完済されました。


「「「「「「それじゃ、呑むぞ(わよ~)!!」」」」」」

コラ保護者共、あんた等は呑めればそれで良いんかい!?


「と言うか、仲良し組の中学卒業やなのはちゃんの誕生日はスルーなんですね」
「いや、ソレはオレ達が居ない内に大騒ぎしたらしいぞ」
レティスとオレの会話を聞いたのか、一部保護者組はチョットだけ、本当にチョ~ットだけ反省している様なそぶりは見せたが・・・ハァ。

「でも、全員何気に飛び級で大学の籍もあるのよね」
「アレ?なのはちゃんは確か単位確保終わったんじゃなかったっけ?」
「うんっ!とりあえず最低数は確保したし、提出用の論文も仕上げたから大学も何時でも卒業できるよ」
「わたしはまだ半期分丸々足りないかな。一応専攻分は済ませたけど」
「フェイト早いね、わたしはまだ1年かかりそう・・・論文なんて手もつけて無いし」
「えっと、」
「三人とも早すぎや。あたしなんか基礎教養すら完結しておらへんよ?」


知らん間に全員賢くなってるのう。そりゃ、基礎は俺が仕込んだけどさ。


「ねぇ恭ちゃん」
「・・・なんだ?」
「実は私、留年しそうなんだ」
「そうか、ならなのはが先輩になるんだな」
「恭ちゃんが悪いんだよ。3月の山篭りで無理に奥へ行ったせいで遭難しちゃって、卒論の提出期限の最終日間に帰れなくなったんだから」
「・・・知らん」
「ひ、酷い!?」

高町家長男長女の会話の内容がなんと言うか、うん。
でも美由希のヤツは自業自得、無駄に対抗意識出してランク上げたせいで入学する時既に一浪してるもんな。

「まだまだ子供だね、美由紀は。・・・根性付けにもう少し山篭りした方が良いのかな?」
「・・・美沙斗、流石にソレは」



「シャマルさん、ローストビーフは?」
「あ、ソースの方は既に出来ました。お肉はまだ熱いのでまだ無理ですね。レティスさんの方は?」
「前菜で用意したサラダ類は掃けましたよ。後はメインの串揚げセットを出すタイミングですね」

知らん間に料理番となっているレティスとシャマル。自分で仕込んだ訳だが違和感ありすぎで怖い。

で、シグシグと赤ロリは今日も今日とて仕事中。教会で騎士見習いをフルボッコ。
仕事中の彼女らを見た某理事の感想


「殺気立ってる?」


そりゃ月に数回しか海鳴に戻れないんだから、ねぇ?
ヤッパリ海鳴で食えるメシってのが異様にグレードが高い訳で・・・後は察しろ。

ちなみに、前にデレッたリニスはと云うと
「(ニコニコ)」
「・・・」
えらい笑顔でオレの横に座ってたりする。なのはからピンポイントで来る殺気シャレにならんが・・・強いなぁ、オレ挫けそうなのに。
「あの程度で負ける様ではあなたは落とせませんからね」
いや、そう言う問題ではないと思うぞ?

「そういえばリシェイド君、ミッドの方のお店の話、最近聞かないけど如何なったのかしら?」
「あ、とりあえず買い付けた周辺地の分譲は済んだし店のガワは出来上がって、後は中身の細かい準備だけですかね」
桃子さんの話に答えながらデータを呼び出す。うん、あの空気のままだと飯が不味い、助かったぜ。
オレの周囲に浮き上がった空間スクリーンに各データを表示させつつ
「と言いつつも材料の購入ルートはチョと微妙かな?まぁソレも時間の問題だろうけど」
と状況を説明。地球産の食材じゃ搬入毎に馬鹿みたいにメンドイ検疫通さないと税関通らないもんね。そんな事したら腐っちまう。
だから検疫の要らない近隣世界のオートメーション農場で必要な食材が確保出来るように調整を進めているのだ。
「う~ん、私としてはチョット気に入らないかな?オートメーションだ、なんて。工場じゃないのに」
とは桃子さんの弁。だけどさぁ『そうは問屋が下し金』と云う訳なんですわ。

「ミッドは無駄にそういう方面が進んでしまいましたからね。結構厳しいんですよ」
「そうねぇ。ほら、この間テレビでやっていた食品偽装。似たようなのが昔はミッドでもあったのよ。
向こうじゃソレがもっと大規模で周辺次元世界を巻き込んでの大騒ぎになっちゃったの。
で、それに目をつけたとある企業が完全無人の栽培・出荷システムを開発してね。で、ソレが進んだりして今に至るって訳」

とミッド出身のご両人。まぁこんな訳で生産工程に人が絡むとえらく厳しい検査が待ってる訳。
「ま、金さえ出せば生産システムその物に口出し出来るから、生産環境は可能な限り最高の状況を維持出来るし
栽培・育成時の『手間』も可能な限り再現出来そうだし、そう味は落ちないと思うけどね」
一応、他のプラントも確認してみたけど理論上はその辺の丹波大納言だとか育成や収穫に無駄に手間のかかる黍とか粟のような雑穀は無論、
あの『○いやりファーム』の牛乳や『ごま○まご』、『松○牛』のような畜産系、
チョウザメの卵キャビアや大人の拳大サイズな黒トリュフすら生産可能だっていうんだからスゲェと思う。

「家具や内装はコッチのを使うんだっけ」
「えぇ、アッチって歴史こそ有りますけど文化は過去の戦争とかで殆ど消し飛んでますからね。某ハンバーガーの国並に寂しいんです。
とりあえずC/P悪いけど見た目重視で食器とか消耗品は則○で揃えて、あとは落ち着いたアンティーク家具で押さえようかな、と」
仕事でヨーロッパ行った時にはついででチマチマ買い込んで揃え続けた訳ですよ。コレにまた億近い金が飛んでいるのだが・・・まぁいいや。
「ま、また豪華ね・・・」
「一応ソレをウリにするつもりですから」




「リシェイド~」
「ん?アリシアか」

トコトコと寄ってくるアリシア・・・ってスゲェ、よく見たらブラしてるのに乳が揺れてる!!
「フェイトの嘱託も切れたし、何処か遠くの次元世界とか連れてってよ。前に約束したでしょ?」
「そういえばそんな話もしたな。んじゃ夏ぐらいに何処か行くとするか」

「む」
「ん?」
「ありゃ?」

魔導師組がコッチを睨む。オマイラも行きたいんか?元よりそのつもりだがな。
「安心しろ。お前ら全員連れてってやるから」
「本当?」
「あ、ありがとうございます」
と素直に反応する二人とは別で
「し、信じられへん。リシェイドさんにそんな甲斐性有るやなんて・・・」

おいコラ

「チビ狸、ソコに直れ。お前が一番手間かかってるんだぞ、自覚せい」
「・・・あ、あり?」
なんせ『闇の書』修復から管理局・聖王教会との折衝、
ミッドでの生活基盤確保や騎士達のメンテナンスに市民権調達まで全部オレがやってるんだぞ?


「そう言う意味だと私たちも色々やってもらったよね」
「ですね~。ワタシもマスターとこうやって学校通ってますし」
とアリシア・リィズ組。ちなみにリィズは去年の4月で聖祥大附属中の2年に編入していた。そう、仲良し組の一個下と言う設定だ。
「リィズは正式に戸籍の作成も出来たからな。色んな意味で世界中に喧嘩売ってるが・・・まぁいいだろ」
倫理観とか人の起源とかロボット三原則とかもう全部すっ飛ばしたオーバーテクノロジーの結晶。
ついでに言うとレティスはオレの親戚で、リィンフォースは姉、リィズは妹と言う事でミッドは無論、日本の戸籍も取得している。
そう、ユニゾンシステム3姉妹は大っぴらに街に繰り出せる身分となったのだ。
オレが徹底的に手を入れたのもあって、モミジの技術をフィードバックした擬似生体ボディが正式に導入できた。
守護騎士連中は存在を定義する根幹のカーネルプログラムその物がいまだブラックボックスだから如何ともし難いが、
一応はやてとリィンの二重同期システムを組み込む事で高い冗長性は確保出来た、此処から先はまだ見えんけどな。

先月の新聞で何処ぞの企業グループがH○Xシリーズを再現しようとか言って頑張ってるらしいが・・・ウン
リィズを紹介したら間違いなく卒倒じゃ済まんだろうな。と言うかほぼ完成形じゃねーか?後は子作りぐらいだし。




と、そんなこんなで旅行に行く事になった訳なのだが

「■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーー!!」

「「「「「「「逃げろーーーーーっ!?」」」」」」」」


トカゲの大群に追われてんだ、現在進行形で。いや、正確には『竜』なんだろうけど。

「シェイおにーちゃん、『御話』しちゃだめなの!?」
「バカッ!こんな所でバカ魔力ぶっ放したら管理局が出張ってくるぞ!!」
「フェ~ンッ!」

『マスター、お待たせしました、転送準備完了です。何時でも行けます!』
「っし、全員掴まれ!!」
「「「「ハイッ(ウンッ)!!」」」」


亜音速まで加速して追いかけてくる飛竜の群れを尻目に短距離連続転移。そのまま高高度まで逃げ切る。


「あ、危なかった~・・・」
「この世界、魔力素子の量も少し多いし、チョット危ないかも」
「ウンウン、転移した先がいきなり竜のコロニーだなんて、シャレにもならないよね」
「そやね、と言うか何でこんな世界選んだんです?」

「ま、チョット訳ありで、な。どっかに集落がある筈なんだが・・・事前調査じゃあの辺だったんだけど何処に行ったのやら」



そう、此処は第6管理世界。キャロの生まれ故郷だ。





[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十八節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/01/16 15:26

「そういえば、何でこんな世界を選んだの?他にも沢山あるのに」
『ですです。マイスターが理由も無く選ぶ事とは無いと思いますけどチョット此処イメージ湧かなかったですよ~』
至極当然なアリシアの疑問、便乗するリィズ。
「あまり縁は無いけどな。此処の先住系で召送喚に強い部族が居るらしいって聞いてな。チィト覗いてみようと思った訳だ」
ちなみにこの話、なぜかメガーヌのヤツも噂程度には知っていた。


そう、『竜召喚』の部族の事を。
まぁ噂程度と言うか管理局もナンチャッテ固有スキルレベルの一族継承型システムなんて使い難いから
興味すら湧かなかったのだろう、データベース等を浚ってみたがろくな資料が出てこなかった。
メガーヌもそういう話が有る程度までだったし、まさか本編で自分の娘とガチンコするとは思いもしなかっただろう。

にしても、だ。ミッド近隣の世界10個辺りだと旧暦からの繋がりが有るだろうに、何でもっと調査しないんだろうな?

「メインである竜種との契約については無理だろうが、ミッドの亜種術式で構築してるって話だからな。
無機物の転送技術の向上させたいし研究資料として見てみたかったんだよ」

ミッドの魔導師で召喚術師が圧倒的に少ない最大の理由、ソレはシステムの研究不足に他ならない。
そりゃ、純粋ミッド式は洗練されより実戦向けの仕様に日々進化してるだろうさ。
だけどさ、他の様式の特徴を研究して取り込んでいく事も大切だとオレは思うんだよね。
術式のコンパイラ、ココ50年で大規模なバージョンアップが無いってんだから驚きだ。
出てるのはバグフィックスと新しいハード(例えば近代ベルカ式向けで作ったカートリッジシステムとか)への対応パッチぐらい。
未知への恐怖ってのは理解出来んでも無いのだが・・・17世紀から19世紀の日本の科学技術同様停滞しちゃ不味いだろと。

ついでに言うとミッド発の新しい理論てのはココ20年の間では両手で数えるほどしか無い。はっきり言って異常だ。
逆に考古学側では定期的にそれなりの頻度で発表があるのだが・・・まぁスクライアのような日常生活で穴堀してる連中が居れば当然だわな。
で、社会で利用されている技術のその殆どが40年以上前に確立された物の発展型でしかない。まぁソレも一つの進歩では有るが。
例えるならば、BASICやCで満足してしまい、JAVAやC#、Delpheが開発されていないと言った所か。

ん?ベルカ式はって?・・・古代はPowerPC型Mac、近代はIntelPC型Macと考えろ。ちなみに近々の新理論の大半がコレ関係だから。

学会にココまで新しい風が吹いていないってのは数百億以上いるミッド人のオツムが恐ろしく貧弱という証明ですらあるのだ。
まぁ、そもそもの原因が新暦以降で出てきた魔力至上主義の台頭と、管理局の方針による質量操作系技術の研究規制があるからなのだが。
勿論、プレシアのヒュードラのような研究も行われてはいる。だがあくまで少数、基礎理論すら理解できない学者が大半なのだ。
オレがディメンション・ドライブの理論を持ち込んだ所で頭から煙が出るのが関の山。
数の子組の魔法陣みたいなのが出てくるISだって結局は新しいロジックで組まれたシステムなだけであってオレからすれば大した問題ではなかった。
これはナカジマ家の大食い姉妹の方で検証済みだ。ま、ソレが理解できないのが管理局がカバーできている技術力の限界なんだろう。

余談だが、ソレが面白くないから各言語を研究し続けて次世代システムを作りたがってるのが今のアーリーズさんちな訳。




話を戻そう。


ミッド近隣世界に住んでいる先住系が使う魔法。メガーヌから話が聞けたのが僥倖だったのだが、
どうも旧暦以前大体150~200年位前の頃、偶然漂着したミッド人から教えてもらった術式がそれぞれ独自進化したものらしい。
実の所彼女のじーさんもそう言った所の出身で、アイツが使う虫召喚の基本はソレを継承したモノだとか如何とか。

で、肝心の術式だが基礎的な部分(コンパイラのカーネル等)は殆ど同じなのだが、コーディングの細かい約束事などが微妙に違っている。
コードで例えるならVS6とVS.Netの差とメーカー別で持ってるSDKの関数群の違いを足した程度、まぁ誤差の範囲と考えて差し障りは無い。
と言いつつもVS環境のJ#とEclipse環境のJAVAってコードの記述式同じな癖に全く別物・・・おぉ脱線脱線。

だから基礎的な範囲では純粋ミッド系でも対応できる(本編ではやてやフェイトがキャロの仕込み出来たのもこの為)のだが、
各部族の信仰が絡んだ(竜とか虫とか)召喚魔法や特定の行為(火や水、木等の物理的な物に直接大規模干渉する事等)に対し
特化したルーチンを運用する特殊な魔法を少ないコードで行う彼らのシステムは、ただ単純に現代のミッド式を学んだ者ではカバー出来ない。
オレ達が運用するクソ長い儀礼魔法と同じ効果を彼らは半分以下のルーチンで同等の効果を引き出してしまうのだから頭が痛い。
専用にその式を構築した術者のスキルが『マジパネェ』級という事な訳なのだが・・・一体どんなヤツだったんだろうな。


「母さんのマルチシフトシステムは既存のミッド式のままでこういった特殊術式に追従する目的もあった。
コレを更に突き詰める為には彼らのシステムについて学ぶ必要が出てくる。その資料集めを兼ねてココを選んだって訳だ」


『「「「「へ~っ(ほ~っ)(ふ~ん)」」」」』
ま、こんなもんだよな、普通の反応は。

「と云う訳でそんな人達に会ってみようと着た訳なのだが・・・集落を移しちまったらしい。
ま、半年前の情報だからしょうがないといえばソレまでなんだけどな」

この世界は比較的気候が地球とリンクしている。誤差は約2ヶ月、日本が夏真っ盛りならコッチだと秋って所だ。
本編の描写の通りならキャロが村を出るのは寒くなってから。時期的にはもうボチボチフラグが立つ、で今年の冬に放逐となるのだろう。
とりあえずツバ付けておいて、場合によっちゃこのまま引き取って行っても問題は無い。
ココで肝心なのはキャロ本人の心にトラウマになるようなイベントを起こさせない様にする事だ。
まぁ暴走したトカゲの一匹や二匹なら、なのはセンセイの『御話』の出番も必要ないだろう。常識外れのバカ魔力を見せ付けるだけで十分。




で、ウロウロと彷徨う事3日、ようやく見つけたのだが・・・

「え、え~っと」
唖然とするフェイト。普通はそういう反応だろう。

「ほわ~っ、アレごっついなぁ~」
ナニに感心しているのか判断の付かないはやて。こらソコ、変な所凝視しない。

「おっきいね」
『ですね~』
アリシアとリィズはただ遠目に眺めるのみ。・・・精神年齢低いとはオモッテナイヨ?

「そんな慌てる程でも無いと思うけど・・・」
自分との力量を比べて余裕ブッコくなのはセンセイ。アンタが特別なだけじゃ。

「「「「亜qw背drftgyふじこlp;~~~~!!」」」」
パニック一色な某少数民族の皆さん。

「■■●■▲■●■■▲■■●■▲■●■■ーーーーー!!」
と、召喚したらしきデッカイトカゲ。如何見ても最終決戦で暴れてたアレっぽいけど・・・気にしたら負けなんだろうな。



とまぁ見事に暴走現場に出くわしちゃいましたとさ。


「なのは~」
「ほぇ?シェイおにーちゃん、呼んだ?」

「・・・凹って来い。話が進まん」
「は~い。じゃぁ、チョット『御話』してきま~す!」
「あ゛~・・・出力は2割ぐらいにしてやれよ。弱いんだから」


で、3分後
「もぅ、良いよね。じゃぁ、少し静かにしよっか・・・。エぇクスっテンドぉぉーーーー・・・ブラスタぁーーーーーーー!!」

「■■●■▲■●■■▲■■●■▲■●■■ーーーーー!?」

桃色の極光に包まれ、強制送還されるヴォルテールらしきデッカイの。
このアクションに至るまでに幾度と無く色々(最終的にはグーで殴ったもんね)と抵抗を受けたのだが・・・


ケース1、口からファイヤ
「■▲■●■●■▲■●■▲■ーーー!!」
なのは目掛けて押し寄せる炎熱。村の被害から察するに鋼鉄は溶かせる程の温度はある様だ、が

「・・・風でも吹いたかな?」

シールドすら張らず、バリアジャケットの防御力だけで無力化。

ケース2、両手から魔力弾
「■●■▲●■▲■▲■●▲■●■!!」
出力はザッと見ても100万はあるだろう、AAAクラスの魔力弾がなのはに直撃し・・・なかった。

「クレア先生の砲撃に比べたらまだまだヌルいと思うよ」

デバイスも構えず両手を前に出し、着弾の瞬間、事もあろうに魔力弾を鷲掴みし、そのまま握りつぶしてしまった・・・。

ケース3、尻尾打ち
「■●■●■●■▲■▲■●▲■!!」
大振りだがかなりの速度で振り回す尻尾往復で幾度と無くなのはを捕らえようとするが。

「・・・その程度じゃ本気のすずかちゃんと遊べないんだけどなぁ」

ほぼその場から動かず、余裕の笑みを浮かべながら最小の動きで避け続けるなのはの姿がそこに有った。

ケース4、殴る
「●▲■▲●▲■▲●▲■!!▲■●▲▲■●▲!!」
ヤケッぱちなのか、捨て身で突撃し己の拳を叩きつけようとする。だが、現実は甘くない。

「そろそろ判ったかな?」

なのははスッと掌を翳し軽く合わせるだけで巨大な拳の一撃を受け止めてしまう。無論その場から一ミリたりとも動いてはいない。
この一撃、普通なら10トントラックぐらいなら簡単に吹き飛ぶ程の威力だったのだが・・・もう何も言うまい。


と云う訳で流石は我らがなのはセンセイ、ヤツの正面に浮いた後はそのまま全てを無効にしビクともしなかった、何ちゅう鉄壁!!


で、一通り仕掛けても結果は変わらず、本能から感じ取ったのか恐怖心120%となったヴォルテールっぽいヤツ。
後はガクブルってるヘタレ竜をなのはセンセイお得意のバカ魔力砲で消し飛ばして完了。

突然の乱入者と、ソレがもたらした結果に呆然と立ち尽くす村人達。





・・・自分等の信仰対象が一撃で消し飛ぶとかマジ萎えるだろうな。






「あんたらのお陰で助かった。一族を代表して礼を言う」
「はぁ」
数刻後、ようやく落ち着きを取り戻した村の中でオレ達に向かって礼を言ってくる族長らしきオッチャン、60近いんだろう白髪まみれだ。
周囲ではミッド式に非常に類似の式で書かれた魔法陣が至る所で光っている。

「だが、こんな何も無い所へなんでまた?」
「まぁ、チョット調べ物をしてまして」
キャロの事はとりあえず置いておき、『上っ面の事情』を説明する。
「・・・とまぁそんな訳でこの辺にあなた方が住んでいると伺ったので見に来たんですが、さっきのアレは?」
「アレか・・・恥ずかしい話だが一族の中にチョット問題を抱えた子が居ましてな、例の如く力が暴走したのです」

や~っぱキャロか。

「3ヶ月ほど前にも一同暴走していましてな、その時は魔力が切れるまで暴れ続けたせいで村が丸焼けになりまして。
で此方に越したのですが・・・一族内ではあの子の術を制御する術が中々出せないので、途方にくれておるのですよ」


・・・そういう事ね。道理で事前に調べた所に『何も無かった』訳だ。



さて、話が見えて来た所で整理してみよう。

一つ、キャロはまだ村に居る。ついでにヴォルテールっぽいのの気に中って伸びてるフリードっぽい白トカゲも目視で確認済。
二つ、既に2回村を壊滅させてしまった。で、族長から聞いた話。本人は知らないのだが両親が居ない理由がコレだったとは・・・コレはキツイよ。
三つ、暴走の抑制手段が村の中には無さそう。まぁ、研究進んで無いししょうがないっちゃしょうがないんだが。
四つ、族長らしきオッチャンはまだ放逐と言う処分を下す所まで決心していない。って事はもうイッチョぐらいイベント起こすのかねぇ?

と、こんな所。で、コッチの持ち札が・・・

一つ、暴走止めた恩っぽいの。なのはは順調に歩く戦略兵器になってます。
二つ、オレが培ってきた膨大な魔力制御技術やデバイス工学のデータ、それに各種術式の開発環境集。

って所か。むぅ、チト少ない。とりあえず切り出すとすんべ。

この『世界』じゃフェイトは局員ですら無いから引き取るイベントのフラグはハナッから無い。
将来の『相方』である『エリオ坊byプロジェクトF』はプレシアの不参加もあってかこの世に生を受けてすらいない。
ってか研究の資金源だった両親でさえ何年も前に豚箱で臭い飯食ってるのだから。勿論結構な手入れが入ってるだろうから研究も進んでない筈。
必然的に局に拾われてもキャロの行く末は唯『不遇』があるだけなのだろう。先に救いが無いのは分かり切った話だ。

後ろ盾の無い低年齢魔導師の末路なんて考えずとも解かるだろ?本編の自然保護官だってフェイトの後ろ盾が無きゃ、ねぇ?

「ココでこう知り合ったのも何かの縁です。私達で宜しければその子について何か御手伝いさせて頂けませんか?
此方としても調査をしたいですから一石二鳥ですし」
「いや、そんなほかに全く縁の無いあんたらにそんな迷惑をかけさせる訳には・・・」

反応悪いが・・・悪印象は無さそうか。
どの道資料集めて帰らないと母さんキレるだろうし、と云う訳でさっさと了承しろやゴルァ!

「あの竜を止めた子も幼い時は結構大変でして、ソレもあってこの手の話には慣れていますから。騙されたと思って、如何です?」
「む、むぅ・・・」


とまぁこんなグダグダ問答を続ける事5分、なんとか相手をへし折ってキャロに会える事と相成った。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第四十九節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/02/11 23:17

'ぷにぷに'
「ぅん・・・」
'プニプニ'
「ゃん・・・」
'ぷにプニぷにプニ'
「みゅぅ~・・・」


「「「「か、かわいい」」」」

こらソコ、チビっ子のホッペ突付くのヤメレ。

「ま、マスター、浮気はダメですよぉ~」
ほれ、リィズが焼餅焼きはじめた。拗ねると始末が悪いからさっさと離れとけ。




ん?何してるかって?
キャロ(幼)の寝顔を覗き込みながらほっぺた突付いてハァハァしている姦し4人組を後ろから注意してるんだよ。




某でっかい竜の始末から数時間後、騒動の後始末が一段落した所でオレ達はようやくキャロの元へと案内された。
竜魂召喚の際に限界まで魔力を放出したせいか、召喚した当人はそのまま気絶。
使役者の存在しないヴォルテールはそのまま暴れ続け、なのはによって滅され(死んでないよ?)た。

で、だ。

「こんな小さい子があんな竜を召喚するなんて」
「でも、リンカーコアも未成熟で召喚の式に対応しきれてないし、式の構築にも色々と問題がありそうだから
その辺はいくらでも修正が利くと思うけど・・・そもそもコアの容量からしてオーバーロードだから何とも言えないかな」
「よう考えてみ?召喚の式が不完全っちゅう事は術者からの魔力供給が切れた時点で召喚状態なんて一発で切れてそのままダウンの筈やよ?
わたしの騎士達もソコのシステムに手ぇ入れたから完全な独立機動出来る様になったんやから」
「じゃあ問題は召喚そのものだね」
「そういえば、村の人たちは『竜の巫女』って言ってた様な何か関係あるのかな?」


そう、契約型の召喚魔法は非常に厄介な代物だ。

本人も例に挙げているが、守護騎士システムも夜天の書の深層部に格納されている
あいつ等のカーネル部を専用術式で外部に転送(一種の召喚)、その後『書の所有者』の魔力で持って実体化するのだ。

この際、所有者のリンカーコアが規定値以下だったりするとこのルーチンは動作しない。
何故なら動作しようとしても機能しないからだ。要はリソース不足って事。

で、騎士の魔力が急速消耗しても、リンクが確立していればマスターからのバイパス供給で肉体を維持出来るって寸法だ。
・・・マスターはバッテリー扱いなのか?まぁ、はやてもSSオーバーでボチボチSSSの大台に乗れそうだし有り余ってるから別に問題ではないが。
本編だとリインフォースIが無理矢理騎士のカーネルデータをパージして展開中の書く個体へデータを移管し
強制的にスタンドアロン駆動状態へ移行させた関係で、リンクが正常に動作せず年々衰退していく様になったらしい。正確には未検証だが、な。

ちなみに、はやてと『闇の書』の場合は『9歳の誕生日』と言うのが起動のトリガーでは無く、
9歳になったタイミングで『コアの成長が規定値を超えた』から書が起動したに過ぎない。

全ては確率の悪戯という『ご都合主義』だった。

冷静に考えてみて、普通の魔導師の下に転生してきた場合の起動トリガーは一体何ぞやと。
年齢だけがキーでは使い物にならない、なんせ『非魔導師』の元に転生する可能性だって無い訳じゃないのだから・・・。

さて、問題の竜魂召喚、コレもまた似たような術式らしい。
ただ召喚される対象が『ココ』に無いって事、それと正規であれば『独立』しているという点は全く違う。


「族長の話から察するに、この子は先天的にあの竜との契約が確立してるらしい。式で無理矢理召喚している訳じゃなく、正規の物と言う事だ」

「・・・正に『巫女』なんだね」

「そうだな。多分、術者が死ぬか召喚された物が自分を維持する分を超えて魔力を消費しない限り、ずっと状態を維持するだろうよ」
・・・ある種のチートだよな、コレ。術者の能力とか努力とか根性とかなんかもう完全に無視してる感じがする。
で、族長の話だと契約している一番強い固体の配下も契約の範疇らしい、間接契約みたいな物だとか・・・ヘェボタン15回は押せるぞ、コレ。

原作にゃこんなのなかったけど、その辺の資料が局に有るとも思えんしこんな幼い頃のキャロ自身が知っているとも思えん。
となると本編で他の竜が出てこなかったのも、るーこがワラワラと大量の虫を呼んでいたのもなんとなく解かった気がする。


とまぁそうこうしている内に

「ぅ、うん・・・ふわぁぁ~~~~・・・あれ?フリード?」

キャロが起き・・・そういえばチビ何処行った?伸びてるのとっ捕まえてその辺に置いておいたと思ったんだが。



「・・・アレかな?」
フェイトが指差す先、部屋の隅、家具の陰に頭突っ込んでプルプルと震えている白い陰、『頭隠して尻隠さず』とは正にコレの事。

「ほら、おいで」
なのはが寄ってニコニコと『笑顔』で手を差し出す、が



「キューキュー!!」
マジ涙眼で怯えてますがな。



「ね?大丈夫、何もしないから」
(第三者が見れば)優しく呼びかけて更に近づく。



が、その結果はといえば



「ク、クキュ~~~」
あ、仰向けでピタッと固まりやがった。アレか、服従のポーズか。



「・・・なんで?」
さも『理解できません』と言わんばかりの表情で首を傾げるなのは。
それに対しての周囲の反応はと言えば・・・

「「「「まぁ、・・・ねぇ?」」」」
と顔を見合わせ一様に視線で意見の合致を確認。


親分級のを一方的にフルボッコしたんだから格の差ぐらい判るわな。
って事は何か?今後外をフラフラ歩き回って竜の群れに遭遇しても、なのはの前じゃみんなワンコと変わらんという事か?


「あのな?いい加減自分基準で考えるの止めろよ?そのうちマジでシャレにならなくなるから」
「よ、よく判らないけど、うん」
だ、ダメだこりゃ。何度やってもなおりゃしねぇ。





「えっと、、あ、あの・・・」
っと忘れてた。
「悪いな、嬢ちゃん」
キョロキョロと、少し心配そうに周囲を見回す。あぁ、可愛いなぁ・・・って俺はロリコンじゃない俺はロリコンじゃないハァハァ。

「げふんげふん。嬢ちゃん、名前は何て云うんだ?」


「わたし、キャロです。えっと・・・」




その時、世界が凍った。





「おじさんは誰ですか?」





「お、オジサンって・・・」

orz

「リシェイドも20まわってるからね~。あれ位の子からすれば十分『オジサン』だよ」
「お、おねぇちゃん!?本当の事言っちゃ・・・」

フグゥッ!?

クリティカルヒット!!
リシェイド(の精神)に9999のダメージ!!
リシェイドは戦闘不能!!


「ふぇ、フェイトちゃん!?ソレ止め刺してる!!追い討ちだよソレ!!」
「あ、あれ?り、リシェイド、さん?」

へんじがない。ただのしかばねのようだ・・・。

「うわ~流石フェイトちゃんやな、サクッと軽く撃って一撃必殺クリティカルやなんてよう出来ひんわ。ソコに痺れたり憧れたりはせぇへんけど」

・・・うぅ、喧しいぞ外野。

「あ、あの、えっと・・・だいじょうぶ?おじさん」
自分が何をしたのか解かってはいないが、空気を読んだのかキャロはorz状態のオレの顔を覗き込んでくる。エェ子や、本当。
「・・・けど、オジチャンは勘弁な」
「?」
首をかしげ『私何か変な事言いました?』と意思表示するキャロの姿はもう・・・でも俺に対する認識はオジチャンなのね、ハァ。




とまぁこんな感じでキャロと知り合い、吸った揉んだ(字の如くでは有りません)の末に当初の予定通り引き取る事になった。
その過程でキャロがなのはを『様』付けで呼びそうになったり、ナニを如何間違えたのかアリシアを慕ったり
ついでに村民の一部が暴動を起こしたり(事情が事情だしこんな状況じゃ仕方ないか)と・・・まぁ如何でもいいや。


で、だ。


里を離れる際の族長達のなのはやオレに向ける視線の痛さは今更だから気にしない。
明らかに人を見る目じゃない、人外のナマモノとか頭悪いぐらい桁違いの戦略兵器を見る目だぞ、アレ。

村の外にズラッと辺り一帯の野性竜とかが勢ぞろいで頭下げてるのも視界に入るが気にしない。
キャロの話だとヴォルテールの配下一派らしいけどそんな事は如何でも良い。臣下の意を示す先がなのはって時点でもう、ね?

あと、なのはがチラッと見るだけでオレ達以外の面々(竜とか村人とか)が一様にビクッとしても気にしない。

気にしないったら気にしない!!気にしたら負けだ。オレは前だけ見て生きていくんだ・・・(現実逃避ジャナイヨ?)



ちなみにフリードはといえば

「クキュ~・・・」
「ギャーギャー」
「■▲■●~」

今生の別れの如く、お通夜の雰囲気の元、同族に激励されていたりする。ウチはあの世かよ!?


「・・・キャロが出て行くって聞いて竜が暴れたのを抑えたのはなのはとリシェイドさんだからね」
「なのは、笑ってたよ?非殺傷設定魔力刃の、しかも峰打ちなのに飛ぶ筈のない血飛沫を顔に着けながら・・・ってもしかして演出!?」
「なのはさん、ゲームや映画とかで出てくる悪役っぽかったデスよ~。やけに似合ってましたケド」
「なのはちゃんもそうやけど、リシェイドさんも大概にせなあかんよ?
何やあの"TypeD"とかいうの、古代種の集中砲火喰らってもビクともせんやないか。アレはあれで反則やで・・・」


まぁ、なのはとフェイトの合体砲撃でションボリだったからな。あれから色々強化したんだがそんなにヤバイか?
『なのはの砲撃』対策で歪曲場の出力上げてシールドの形成可能枚数増やしただけだぞ?

アイツ等も強くなってるから効果は微妙。そもそも定格最大出力のソードオブオースで切られた時点で紙っ切れだけどな!!




ところでさ、原作でキャロ追い出した後、この村って一体如何なったんだ?
オレ達のコレでこうだったんだから・・・あぁ~族長とか『契約者』がヒィヒィ喘ぎながら処理したんかねぇ。
とてもじゃないが古代種級の連中を『処理』出来たとは思えんけど。








おまけ

「よぉ、久しぶりだな」
「・・・なんでお前が此処に」
「チィと訊きたい事があってな。執務官だったから法律詳しいだろ?クロ坊?」
「クロ坊言うな!同い年で、もうお前と背丈は殆ど変わらなくなっただろうが!!」

次元管理局、本局ステーション内クロノ・ハラオウン執務室。
ナニが如何なればこうなるのか、リシェイドはクロノを尋ねていた。


「タマのちっちぇーヤツだな。まぁいいや、個人所有の次元航行船って船籍とかって如何すればいい?書類とかなら幾らでも書くから」
「直通のトランスポーターが有るんじゃなかったのか?」
リシェイドの様に自領(自宅と呼ぶのが正しいか?)とミッド地上とを直通で結ぶトランスポーターを持った場合、
次元航行船は維持に非常に金がかかる為に破棄されるか、船籍を潰して野晒しになるのが大半である。
転送システムが世に出始めた当初は信頼性等の問題もあって上流階級や金持ち等には敬遠され、旧来からある時限航行船での移動が基本であった。
時代が進み、近代になるとその風潮も変わりを告げ、コストパフォーマンスの悪い航行船は次第に消えていく事になる。
そんな時代の最中、リシェイドのこの行動はマイノリティ中のマイノリティなのだ。

「まぁ趣味みたいなもんさ。あぁ、あとミッドの飛行体運用許可も一緒に取りたい。元が97世界の航空機ベースだからな、大気圏内の方が映える」
「ソレぐらいなら幾らでも教えてやるが・・・お前、何を考えてる?」


「カリムの『予言』は知ってるんだろ?」


「なんでお前が・・・そういえば名誉理事だったか」
「そう言うこった。で、文中にある『星ほどの意思無き物が天を覆い、世界と座は力を失う』だなんてシャレにもならん」


そう、『原作』の予言とこの世界の『予言』は既に変わっていた。


「僕はベルカ語は苦手で意味がイマイチ理解できなかったんだがそれほど深刻な物なのか?なにかの比喩にしか思えないんだが」
「認識が甘い、そりゃ通信衛星とか拘留ステーションとか軌道上にゃ浮遊物は沢山有る。
その気になれば簡単に百個単位で衛星を軌道上に浮かべる事も可能だろうさ。


だがな、古代ベルカ語を訳する時の基本は『詠んで綴りの如く』だ」

「まさか」
クロノの顔に冷や汗が浮かぶ。



「覚悟しておけよ。管理局が如何とかなんて騒ぎじゃない。最悪、ミッド地上の文明が中世まで遡るかもよ?」



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/02/22 10:12

『ソ○モンよ、私は帰ってきた!!』

「はぅ~、やっぱりこの人だけは別格です~・・・『中の人』補正もオッキイデスけど」
「シッ。ほら、キャロの邪魔になるよ?」


『人に罰を与えようというのだよ、アム○』
『エゴだよソレは!!』
「・・・」







久しぶりにヨーロッパへ出張ですよ?
まぁ、手持ちのアレのお陰で公式の移動でも片道4時間一泊二日の国内モノと同程度(明らかに強行軍だがな!)で済むから素晴らしい。
「あー疲れた、ただいま~・・・『俺のこの手が真っ赤に燃える!!』って、お前らナニ見てんだ!?」





『石破ラブ○ブ天驚拳!!』
「・・・何でこんなに叫ぶの?」

独り『?』マークを浮かべているキャロ。
いや、な?BOXが出てるとは言えこんな古いの見てんじゃねーよと。そりゃCCAやGは『メイ作』だと思うが。

個人的にはCCSの方が満腹になれる。公でカミングアウトすると色々と問題だからしないがな。


「ところでソレ、何処から出してきたか正直に言ってみ?」
「リシェイドの部屋?」
・・・マテやこら。
「昨日からずっとメドレーです~」
アリシア&リィズというこの主従コンビは何を考えているのか(何も考えていないのだろうが)二人でいる時の半分は
リシェイドの部屋を物色しDVDやらナニやらを漁っていく。お陰で大人の本も置いておけない。




「あ、おかえりなさい。おとーさん!!」

ぽふっ

「・・・ウンタダイマ」

満面の笑みで迎えるキャロの一言は、まだ若いリシェイドの心を深く激しく抉り散らしていく。




・・・リシェイドです。気が付いたら娘が出来てしまったとです。

・・・リシェイドです。前世を含め、今まで嫁を取った覚えは無いとです。

・・・リシェイドです。そもそも筆下ろしした覚えも無いとです。

・・・リシェイドです。

・・・リシェイドです。


・・・orz


「私の事を『おかーさん』って呼ぶのに『おにーさん』の筈のリシェイドを『おとーさん』・・・親子で娘・・・チョットいいかも」

・・・ハッ!?
「ソコ!チョット自重自重!!」



アーリーズ家の中は、以前にも増してカオスになっていた。



「・・・なぁ、庭にいるあのワンコは一体何だ?」
赤紫っぽい色とか額のクリスタルとか・・・まさか、ね?

「あぁ~・・・驚かないでね?」
なんだよそのもったいぶる様な言い方は。・・・も、もしかして
「は、はよ言え」




「にゃんと、アルフとザッフィーの子だったりするのです!!」




おーけーおーけー。・・・あのニートめ、事もあろうに空気同士で盛りやがったか!!




「ザッフィーのヤツは如何した、男の責任取ったのか?」
・・・アイツにそんな甲斐性があるとは思えんけど。
「まっさか~。ヤるだけヤってミッドにバックレちゃった。はやても知ってるから今頃は保健所かご飯抜きって所じゃないかな?」

おおぅ、最初から最後まで期待を裏切らない奴だな。○イプカットは流石に厳しいだろう、男としての同情だけはしてやるが自業自得だな。

「・・・で、アルフは如何なんだよ?」
「『フンッ、こんなの予想のうちさ!』って息巻いて、生活費を入れるって言い出して翠屋他関係各所でアルバイト・・・」

ちょ、アルフシングルマザーになる気満々!!

って言うか知らぬ間にまたしても展開急進!?

それ以前に何気にオレってこういうイベント今までずっとノータッチ!?


もしかしてサウンドステージとかあっても出られないクチ!?ヤッパリCVが最初っから男だとダメなのか!?


「・・・肝心のあのワンコは名前何にしたんだ?」
窓の外で時折尻尾をフリフリして日向ぼっこを続ける生後数ヶ月程度の幼犬を指差す。



と、そこへ
「エリオーおいで~、散歩いくよ~」
「わうっ!!」

キャロに首輪と綱を付けて貰い、トコトコと散歩に出かけていくワンコの名前は本編で頑張っていたあの坊主と同じ名前だった。

・・・どうなる事やら。




キャロSide

わたしが"うみなり"という所にきて季節が一つうつりました。


「ほら、此処がお前の新しい家だ」


アルザスの村から私をつれてきたのはリシェイドおとうさん。
本人が言うには『オレは科学者だ』らしいですがそんなふうに見えた事はいちどもありません。

科学者って白衣着てメガネかけて無精ヒゲでくわえタバコにボサボサの頭だったと、まえにテレビで言っていた気がします。
リシェイドおとうさんは毎日ヒゲもそってるし、あたまもきれいに切ってあるし、タバコは嫌いだって言ってます。


「いらっしゃい、・・・う~んっ。この場合はお帰りかな?キャロちゃん」


村をはなれる事になるチョット前ぐらいからまわりの大人の見る目がすこしづつかわっていたのは気になってました。
"あの子"をよび出すのにしっぱいしちゃってからはそれがひどくなって・・・そんな時に助けてくれたのがリシェイドさん達でした。


「よ、よろしくおねがいします!」


迎えられて3ヶ月、クレアおかーさん(こう呼んだらすごく喜んでくれました!)と
リシェイドおとーさん(「もうそれでいいよ、もう」とチョットうつむいていました・・・)、
それにレティスさんやなのはさんにモミジさん、ほかにもアリシアさんやそのいもうとのフェイトさん、たくさんの人がわたしの事を見てくれます。



------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------

「ちょ、私はスルーか!?スルーなんか!?」
「うぅ~、マスターは紹介されても私は無しデスか~・・・あ、リィンねーさんもなんとか言ってやってください!!」
「安心なさい、私は事件後全く出てませんから・・・マスターやあなたはまだ出番が有るだけましなのです」

「「ハゥ!?」」

------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------

「フンッフフ~ンッと、後はとろ火で置いておくだけかしら。・・・ねぇ、今からでも迎えに行ったら?」
「・・・(プイッ)」
「もぅ、縛っただけで抜いた訳じゃないんだからそんなに落ち込まなくても・・・」
「うぅぅ・・・お、オレは・・・」

------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------

「ソッチは如何だ?」
「全っ然っ!ったくよぅ、ドイツもコイツも根性無しばかりでツマンネーったらありゃしねー」

「「「「「「「「「「う、うぅ・・・」」」」」」」」」」

「10期生だったか?こいつ等も使いモンならねーんじゃねーか?」
「そう言うな、我々の仕事はこの軟弱モノ共を『ツカエル』程度まで鍛える事だ、仕方あるまい」

------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------

「まぁ、リシェイドさんからメールが・・・あら、ようやく開店ですか」
「それは楽しみですね。・・・ところで騎士団練成所からこんなモノが」
「可哀相ですが本人達の為です。本当の騎士の強さを身をもって知るいい機会ですしそのままにしてあげましょう。
・・・それに、彼女達のストレスの発散も兼ねていますから、もう如何しようも無いのでは?」
「そ、そうですね。ではこの嘆願書は無かった事にしておきます」

------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------




「いくよ、エリオくん」
「わうっ!!」
そして今いちばんの友だちはこのエリオくん。わたしが来た次の日に生まれたそうです。
エリオくんのおかあさんのアルフさんはフェイトさんの"使い魔"って言ってました。フリードと同じなのかな?



「あれ?キャロちゃんエリオくんとお散歩?」
「エリオもちゃんと散歩に出られるようになったのか~。アルフに似てシャッキリした顔つきだし将来が楽しみね」

「アリサさん、すずかさん、こんにちわ!」
「わうっ!」

アリサさんとすずかさんはなのはさんやアリシアさんの『おさななじみ』って言ってました。
『おさななじみ』は小さい頃からいっしょにいる人の事を言うそうです。
"村"にいた頃は同い年ぐらいの人がいなかったのでわたしは『おさななじみ』がいませんでした。


エリオくんはわたしのはじめての『おさななじみ』です。
なのはさんが言うには『おさななじみ』はいつまでも『おさななじみ』、ずっと続くんだって。
じゃあ、エリオくんとわたしもずっといっしょなのかな?

「くぅん?」
エリオくんを見ていたら『どうしたの?』ってわたしの方を見かえしてきました。
「なんでもないよ。ほら、いこっ!」
「わんっ!!」



コッチの世界ももうすぐ夏がおわります。陽射しはまだまだつよいですが、空もたかくなってきました。
秋になるとおいしい物がイッパイだって、クレアおかーさんも言ってたので楽しみです!





リシェイドSide

「・・・そういえばよぉ」
「ふぁふぃ(なに)?」
○ッキーを咥えながらずっとDVDを見ているアリシアとリィズ、ってかこいつ等ずっと入り浸りだな、オイ。

「エリオって人型になれるのか?」



「「「あ゛!!」」」



その頃・・・

「イックシッ!!」
「あら、風邪?」
鼻をグジュグジュとしながらザブザブと皿洗いを続けるアルフ。
その傍では桃子が一番人気であるシュークリームのシューを山のように焼き上げている。

「う~ん、誰かアタシかエリオの噂でもしたのかな?」
「そういえばエリオ君、人型に成ってるの見た事無いけど、実際の所どんな感じなのかしら?」
「あ~・・・一応アタシとアイツの血を引いてるけど、誰かから魔力供給ライン繋いでる訳でも無いし
擬似コアに術式刻んでないから出来ないんじゃないか?そんな詳しい訳じゃないからどうかは知らないけどさ」

「・・・何が如何なのかはイマイチ分からないけど、とにかくなれないって事?」
「そうだね。多分出来ないと思うよ」



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十一節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/03/01 18:46

「教授っ!?」
「ぉお、リシェイド君か、久しぶりだ、ね」
ミッドチルダ系新暦72年同じく地球圏AD20**年秋、遂に教授が倒れた。


分かっていた事だった。
「無茶しないでくださいよ。オレにはアンタがまだ必要なんだ」
「無理を言わんでくれ。80も超えて孫も抱いた私だぞ?」


コッチで生を受けて最初に接触した時には既に教授は喜寿が目の前に来ていた。
「徹夜かましてぶっ倒れたのは何処の誰です?」
「若い頃は3徹ぐらい何とでもなったんだが、私も歳をとったと云う事か」


そんな教授に接触し、この人の心を掴んで離さない『オモチャ』を提供し、老体に鞭打つ原因を作ったのはこのオレだ。
「・・・オレは『前』も、そして『今』もアンタに恩を返せてないんだ」
「ははっ、『前』か。確か私の教え子だったか?その『彼』はこの世界には居たのかい?私は会った覚えが無いんだが」
「いや、如何やら居ないらしい。両親を含め『俺』の上流側血縁者は誰一人、『俺』に繋がらない人生を歩んでいたよ。
兄弟姉妹やイトコは生まれてなかった。俺に限りなく近い存在は皆『俺』に引っ張られたらしい」
「そう、か。ソレが『理』だとするなら、もし私が生まれ変わると妻や娘達には会えないと言う事なのか。ソレは少し寂しいなぁ・・・」

徹夜明けで倒れたのは疲労じゃなく、知らぬ間に膨れ上がっていた脳血管腫の破裂、所謂『脳卒中』だった。
既に一部の脳細胞が破壊されしまい、視覚と触覚は完全に無く首から下も半ば麻痺状態に。
精密検査の結果、年齢の高さも相まって電脳化による代替処理や延命処置が出来ない事も解かり、教授がもう助からない事が確定した。

「寂しいと思うなら死なない様に摂生してくれよ、漸く話せる様になった初孫が可愛いんだろ?」
「あぁ。だがな、リシェイド君、私は既に自分の人生には満足しているんだ」
「満足って、そんな・・・」
「君は理論止まりだった私の構想の先を照らし、具現化して見せてくれた、その先に待つ世界の行く末すらも。
そして世界中で私の理論と構想が認められた。コレは研究者冥利に尽きる」

目を瞑りながら、声を震わせて弱々しくもハッキリと語る教授の声に、オレの目頭は熱くなっていく。

「そんな事を言うなよ、アンタはまだ『外』に出てないじゃないか」
「・・・あぁ、だが、ソレは知らないままで良いと思うんだ」
「なぁ!?」
この独白に、オレは自分の耳を疑った。
『好奇心旺盛で知らない事があるとすぐ飛びつくのがこの教授の最大の特徴だったのに、何故?』と。


「まだ、この世界は若い。この世界から外に出るのに高町君や八神君が持つ様な『資格』の無い者がオイソレと知らない所へ行くもんじゃない。
外の『理』に触れてすらいないのに飛び出すのは危険なんだよ」

教授の考えている事は理解できる。だけど・・・
「アンタ個人は関係ないんじゃないか?少なくともアンタ自身は追いついてる筈だ」
「あぁ、『だからこそ』と言うべきか。それに高町君のビデオを見た時にまず思ったよ。『こいつ等アホか?』と、ね」

あぁ~・・・そりゃ、まぁ、ねぇ?
「個人的且つ独善的な意見を述べるならば、あんな大衆に対して無粋な文明は滅んで然るべきだと思う。
もう少しソフトな世界が作れても可笑しくは無いと思うのだが・・・」
「まぁ、先史文明が対消滅兵器やら空間兵器で文字通りの『消滅戦』してるからなぁ、言うなれば半世紀前の日本と同じみたいなもんか」
「だからといっても、あれは酷すぎる。幾ら洒落にならない被害があったとしても、だ。
次代の科学が育たない世界なんぞ、科学者として、いやヒトとして私は認めんよ」

そう言う意味ではスの字のやろうとしている事は間違いじゃないんだよなぁ・・・。行為に対する本音と建前は全く関係ないが。

「少し疲れたかな、ちょっと休ませて貰うよ。ではな、リシェイド君」
「・・・はい、教授。お疲れさまでした」



こんな感じで問答をしたその一週間後、恩師『御平秀文』はこの世を去った。





葬儀から更に一週間後、オレは教授の遺品を整理しに研究所内のラボを尋ねた。
興味の無い事に対しては極端にモノグサで生理整頓の苦手だった教授は、
大学で教鞭をとっていた頃ゼミ生や助手達を手足に(小遣いも渡していたが)片付けや買出しをさせていた。
あの当時は『俺』もそんなパシリの一人だった。この世界においては研究所が出来てからは専属のスタッフが居たのだが・・・
「相変わらず汚ねぇなぁ・・・」



床やらナニやらに散らばる書きかけや書き損じの論文の生原稿や資料、サンプル機材の部品などを整理していく。
「・・・あぁ、クソ。あの頃を思い出しちまう」
『俺』だった頃も、あの人が亡くなった時はこんな感じで整理を行った。
あの時は同じ研究チームのスタッフ総出でやったものだが今回は俺一人。
「科学の進み過ぎも考え物か」
なまじ進みすぎたが故に、電子媒体がオフィスワークの全てを席巻し、こんな作業も独りで出来る程度になってしまった。
散らばる紙媒体も、引っ張り出してきた昔の物や端末が無くて殴り書きしたような物ばかり。

字が読めないけど気にしない。文字が震えているけど気にしない。目に溜まってる物?心の汗だ、気にするな。


そんなこんなで整理を進めて数時間後、
「ん?」
机の引き出しと天板の間に隠されていた一枚のメモリーチップ、そしてそれに張り付く俺宛と書かれた教授の文字の付箋。
「一体ナニを・・・!!」
メモリーの中には、オレの予想を遥かに超えるとんでもないものが隠されていた。



全くあの人は・・・最後の最後でこんな『爆弾』を残してくれるなんてな。だが



「これで、少なくとも、負ける事は無くなった」






そんなこんなでドタバタしながらも別案件がいくつか平行で進んでいた訳で・・・



「うし、お前ら準備はいいな?」

「大丈夫、『これなら問題ないわ』ってお墨付きだもん!」
キュッ、と小さく構えて両手を握り気合を入れるなのは。最近恭也に似たのか黒い服を着る事が増えてきた・・・むぅ。

あとさ、魔力漏れてるからチョット自重しろ。漏れてる魔力だけでBランクで何人分だと思ってやがる。


「キッチンは難しいけど、ホールなら任せてください」
「そうそう、私とフェイトが居れば勝ったも同然なんだから!」
仲良く並んで応えてくれるテスタロッサ姉妹。・・・正直姉妹揃って不安要素有り過ぎなのだが此処は伏せておこう。

美人なので集客力が上がるメリットもあるが、天然とかドジっ娘とか悪戯っ娘とか暴走っ娘とか飲食店向けだとネガティブ属性も大杉・・・orz。


「厨房はあたしの独壇場や。・・・ま、料理だけならなのはちゃんやレティスさんには負けへんで?」
コックな姿のはやて、その右手に握られたフライパンが肩に掛けられ妙に似合っていた。

でも不衛生だからそのフライパンは洗っとけな?ちなみにディナーはやらないからランチタイムの軽食だけだぞ、お前の仕事。
ん?モーニングセット?・・・名古屋式も素晴らしいのだがミッド人は日本人以上に朝食抜きやがるのでパス。


「考えてみたら私達3姉妹がマスター抜きで共同作業するのは初めてですね」
「ですね、リィン姉さん。とりあえず、ケーキ各種は桃子さんの代役もいける位に成れましたので任せてください」
「姉さん達、カッコイイなぁ。リィズは大人しくカウンターで売り子デスよ・・・」

ユニゾンユニット3姉妹も何気に戦力カウント。と言うかレティスよ、何時の間にそんな所まで上達したんだ?
と言うか長女リィンはめっさ久しぶりの出番。尚、リィズだけ微妙に幼いままなのは仕様だ、文句あるか?



うし、んじゃ
「喫茶翠屋、ミッド支店開店だ!」
「「「「「「「応~~~っ!!」」」」」」」




このメンツなら年誤魔化してキャバクラ開いた方が儲かるのではないかと考えたのはおにいさんと見ているみんなとの秘密だぞ?






で、だ。
「なぁ~んで初日からコイツ等はバクバク喰い漁るかなぁ・・・」
「「ふぁふぃ?(ナニ?)」」
「ご、ごめんねおに~ちゃん」
口一杯にケーキを頬張り、4人席のテーブル一杯に並んだケーキ、後山積みの空の皿。
さて、その主といえば・・・


「ニーチャン、メニュー4ページ目全部お願い!!」
「あ、私もお願いします!!」

『初日に来たら半額にしてやる』だ何て言うんじゃなかった。『クイントの子供達』は底なしだって忘れてたよ。
ギンガもスバルも既に6ページ式メニューシートの4ページが制覇済み、そりゃ載ってる数は少ないけどよぅ。
「あぁ食費が、エンゲル係数が、お父さんのお小遣いが!?」
・・・モミジの独り言は聞かなかった事にしよう、今度ゲンヤに飯でも奢るか。


スタッフSide
4ページ目全部の注文から20分後・・・。
「れ、レティスさん!ナカジマさんの二人が次のページって!?」
半泣きになりながら厨房へ駆け込むフェイト。後ろから野太い声の声援が聞こえるがソレは無視しよう、耳に毒だ。

「ま、またですか・・・リィズ」
「しょ、ショーケースはメインの1から4ページ目しかないデスよ~」
レティスの問いにリィズの反応は非常に厳しい内容だった。
「そ、そうでした。え、え!?ちょ、ちょっと待って・・・もしかして5ページ目!?」


「・・・はい、特注大物です」
「嘘」



リシェイドSide
ちなみに翠屋は所謂冠婚葬祭などイベント系の物も一応受注販売している。
と云う事は、だ。


"がらがら"
重々しい効果音を立てながら台車で運ばれてくるモノ。
「お、お待たせしました」
「「お、おぉ~!?」」


何かもう諦めた感じのフェイトが運んできたモノ。
「は、早く早く!!」
「こ、これが・・・」


「特注メニューの壱、『翠屋の結婚式』になります」
四段サイズのフルデコレーションウェディングケーキ、これが量レベルでは翠屋最後の砦だ。攻略されるとマジで洒落にならん。
というかコレ、海鳴の本店だと時価式な上に云十万するんだぞ、お前らそんな金あるのか?あ、ゲンヤの小遣いが無くなるだけか。



さて、他の席はといえば・・・。



「あら、この紅茶」
「いい茶葉ですね。それにお湯の加減も」
「そうね、ポットで頂けるのもとても親切だわ」
ほのぼのと紅茶を口にするカリムとシャッハ。この大人の雰囲気が欲しかった。

なお、二人のテーブルに並ぶケーキの皿の枚数は気にしてはいけない。どうせ今晩か明日辺り、体重計の上で悲鳴を上げる事になるんだろうし。



「あ~んもぅ、こんな美味しいケーキが食べれるだなんて!!」
「か、母さん」
ハラオウン親子も何気に食いに来ていた。砂糖の権化『リンディ・ハラオウン』がこのイベントを見逃す訳ないのは当然だよな。
お茶代わりに飲んでるのが高町家特製ホットチョコ+角砂糖4個というのは見なかった事にしよう、胸焼けしそう。
付き添いのクロノの奴はご愁傷様というべきか。店内の男はイチャイチャカップルの片割れかオレぐらいだし。



丁度その頃、海鳴の翠屋本店では・・・。
「う~ん何時食べても美味しいわ」
「・・・ならもうチョット味わって食べなさい」
クレアのツッコミもなんのその。バクバクとケーキを食べ続けるクイントの姿。ちなみにクイントの食事代はリシェイド持ちだ。


クイントの食べっぷりを見たほかの一般客はと言えば
「う゛っ・・・」
「た、体重計が怖くないの!?」
とイロイロなモノに脅えていたりする。





とまぁこんな感じで開店してから一週間。

オレがヒィヒィ言って捻出して作った周囲の住宅街の空き家も知らん間にすべて売り払われ、
ソコに住むマダムやらナニやらが翠屋のケーキを買いに来る。リピーターが多いのは良い事なのだ。
のんびりとセイロンティーを片手にカウンターでのんびりするオレとスタッフ一同。


'がちゃ'

と入り口の開く音。ありゃ、お客か・・・へ?




「・・・」
紫の長い髪に黒い服。

「いらっしゃいませ。あれ、あなた一人?」
「(コクリ)」
背格好はキャロと殆ど同じ、コッソリとエクスタスでチェックした魔力反応は、今だとスの字の所で寝てる筈のあの人にそっくり。
接客するフェイトの姿は今の所完璧、『今日は』と云う接頭語が付くのだが。


「そっか、ケーキ、食べる?それとも持って帰る?」
「(フルフル)・・・ここで待ってろって」
よく見ると顔もそっくり・・・あれ?


・・・って、ルー子かよ!!
アレチョット待て、『待ってろ』って言ってたよなオイ!?ゼストのオッチャンも来るのかよ!!




で30分後、予想通り
'がちゃ'

と入り口の開く音。そして入ってきた人はといえば
「待たせたな。ルーテシア」
やっぱりゼストのオッチャンな訳で。


「ううん、用事は済んだの?」
「うむ、そろそろ行こうか」
・・・ヤッパ話しかけた方が良いよなぁ、空気的に。



「久しぶりだな、オッチャン」
「なっ、お前、リシェイドか!?」

はてさて、どうしたもんやら・・・。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十二節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/03/16 09:21
「オッチャン、アンタ死んだんじゃなかったのか?」
本当の所ってのはチートで知ってるんだけど。

「・・・色々あったのだ。色々と、な」
「そか。で、そのチビちゃんは?メガーヌに似てるが」
「メガーヌの娘だ。お前も話では知ってるだろう?」
そりゃ当然知ってるけどさ。一応初対面だぜ?初見で解かったらソレはソレでキモい。


さて、アノ事は教えてやってさっさと帰すか。あまり根堀葉堀問い詰めるのも不味いし。


「適当に包んでやるから持っていきな。久しぶりに会ったんだ。コレぐらいはサービスするよ」
「・・・お前此処の従業員なのか?」
「フッ、オーナーさ」

そんな会話をしながらリィズに適当に20個程パックに詰めさせて手渡す、ソッとメモも添えて。
「ん?何だコレは」
「ボソッ(見たらすぐ燃やせ)また食べに来な。サービスするから」
「あ、あぁ」




店を出て少し、ソッとメモに視線をやったゼストはその内容に驚き、快哉を漏らす。
「フッ、あいつも中々やる」
「・・・、どうしたの?」
「いや、チョット懐かしい事を思い出しただけだ」
「そう」

手早くライターで燃やしたメモは
『クイントはオレが救出した。メガーヌは・・・スマン。メカ娘とマッドは任せろ』
と云う一言が添えられた、昨年に地球で撮ったナカジマ家全員の載った写真のコピーだった。


ちなみに、この時ゼストのオッチャン達に渡した詰め合わせがよもやあんな事になると、この時は想像すらしていなかった。
ついでに戦闘機人の記憶力の良さ・・・いや、この場合はスの字が手の抜き具合に脱帽したぜ。




で、ゼスト強襲の日から更に数日後。

「リシェイド・アーリーズ、地上治安法違反ならびに質量兵器所持の疑いが挙がっています。局までご同行願えますか?」

・・・あ、あれ?

「質量兵器はまだしも、地上治安法とは何だよ、オイ」
ちゃんと書類は出したろ?
「いや、ソレは私も知らないので。とりあえず『一応』任意同行ですから」
さわやか系のニーチャンに同行を求められるオレの姿があった。

ちなみに今日は運良く定休日。この事は誰も知らない。と言うかなのはが知ったら全面戦争間違いなし、洒落にならん。





で、さ、てっきり近所の派出所あたりかチョット離れた所にある分署だと思ってたら
「・・・何故に?」
「さぁ?私に聞かれても」

覆面カーは本部ビルの地下駐車場へと入っていく。
そう、クラナガン中央区の管理局地上本部に俺は連れてこられた。・・・何かフラグ立ててたっけか?記憶にないんだが。

で、何処かの取調室でカツ丼でも取り寄せようかと企んでいたオレは更に驚く事になる。





「フンッ、ワシが管理するこの地上にあんな物を持ち込みよって・・・良い度胸してるではないか」
「え、えっと・・・」

何でレジアスのオッサンが居るんだよオイ!!

予想外にも程があるぞ!!




「で?何故地上にあんな兵器を持ち込んだ?」
「兵器ってなんですか兵器って。公私共に『質量』兵器を持ち込んだ覚えは全く無いんですが」
・・・嘘は言ってない。『質量』兵器は持ち込んでないぞ。



「では先日登録したこの機体は何だ、キサマの本籍がある管理外世界の機動兵器その物ではないか!!」

そう怒鳴りながら目の前の空間モニタに映し出されたのは自家用機として魔改造したプル○ニウスが写っていた。

「空港に着陸した時偶然ワシもソコに居てな、何処かで見た事があると思ったら案の定異世界の兵器だったという訳だ。
でリシェイド・アーリーズ、申し開きはあるのか?」
申し開きも何も・・・アホかと

「いや、ミサイルはおろか機銃も全部ウェイとバランス調整用のダミーで武装は無いし配線系も弄ったから再改造も難しいんだけど・・・」
「なら推進システムは如何なんだ?燃料推進式はミッド上空では禁止されているからな」
「それも魔力バッテリーで(実際にはもっとヤバイもん積んでるんだけどね)動くモノに乗せ変えてるし・・・
ってそもそも次元航行するには魔力推進システムは必須じゃないですか」

で、ここで横槍

「・・・ハァ、だから言ったではありませんか少将。ちゃんとスペック表も全部提出されて公的機関での検査もパスしてると」
お、オーリスか。そういえば歳あまり変わらないんだよな。
「む、むぅ」

見た目に騙されてボケたな、このオヤジ。
「にしても、よく管理外世界のモノだと気付きましたね。情報なんて殆ど流れていないと思いましたが」

情報統制の具合は洒落にならんよ。なんせ『正体不明の大型宇宙船(?)』を見つけたが故の国連宇宙軍だったのだから。
軌道上他、『外側』からの監視にはめっぽう強い仕様になってる基地が殆どだもん。
ついでに言うと、だ。変形機構は何気に表に出てなかったりする。
開発スタッフとその関係者、後は運用する限定された現場の人間ぐらいしか知らされていない。

「フン、何の為の出張員だと思っている。各世界のマスコミに拾われている様な情報は全て精査された上でデータベース化しているのだ」


・・・ん?出張員は『ウチ』の筈だぞ?じゃなきゃウチみたいなミッド純血系は向こうに住めないし。

「97世界に関しては海の所属が多いが局員もいくらか居る。情報源なんぞ探せば幾らでもあるのだ」
ど~せグレアムの取り巻き連中辺りが流したんだろうな・・・アノ世界の住人からすれば背信(とは言いすぎか)行為だぞ?ソレ。



でさ、
「態々此処までご足労いただいてすみません、アーリーズさん」
「ソレを言ったらオーリスさんよ、三日に一回なんてペースであんな辺鄙な所まで通ってくるアンタもアンタだよ」
「フフ、ですね」
・・・そう、なのは・フェイト繋がりで、何故かオーリスとは既に顔見知りだったりする。



開店当初は口コミを増やすべくチョットでも縁のある奴は片っ端から呼んで食わせた。流石に半額とか4割引とか破格の値段だが。

で、だ。

訓練校で偶然出来たなのは達と彼女の縁も今回の件では利用された訳。ちなみにオーリスだが、原作ほど鋭くない。
如何やらなのはが原因らしいのだがなんせ星すら砕く最終兵器が出会った当時はまだ10歳にもならない子供。
ソレが(書類上は微妙なのだが)民間人で、しかも自分の『友人』だと言うのだから笑えない。
で、なのはの本気を知って『悟った』とは本人の弁。この悟りのせいか如何かは不明だが本編よりも早く佐官に昇格しているのも見逃せない。

ちなみに本人曰く『どんな事も諦めと開き直りが肝心』らしい。

最近は父親のレジアスにその悟りを伝えようとしているとか如何とか。ピンピンに張り詰めた父親を見ていられないってさ。
「なのはさん、コアの魔力キャパが2800万の大台を超えたって、この間メールで見たんですが・・・」
「・・・地上治安法の根底覆しやがったからなぁ。そのせいで『タカマチ特例』まで出来たぞ」

地上治安法条文内では魔導師の身の振り方や扱いについて事細かく書かれている。

だがソレは相手が一般人相手の話。
なのはのバカ魔力はすでに複数個艦隊と正面切って砲撃戦やって一方的に押し潰すほど。

そもそも大前提である『2500万』と云う規定値を単独で超えてしまった。
(そもそもこの数値が平均的な管理局武装隊の二個中隊単位の平均値らしい。20年位おきに改正されてるがプラスマイナス100万程度)

此処まで来ると法律の適用のしようがなくなる。まさかこんなバケモノが出てくるとは誰も思うまい。
で、適当に人権団体(高ランク魔導師相手にゃあるのよ、未成年の人権が如何とか言ってるけどめっさ矛盾してるぜ)とかを突付いてアピールしたら
チョット時間はかかったが特例項の追加をさせる事が出来た訳。


で、晴れてなのはは完全フリー。流石にリミッターがかかったがそれでも常時1200万オーバー。十分人間辞めてるレベルだね。
ついでに、リミッターの管理は現地出張員枠にはまっているのもあって母さんだったりする。


ちなみに、はやても特例扱いだ。なんせ『夜天の書』の主。例えるなら国宝を個人所有してる様な物。
聖王教会他ベルカ関係者からすれば、はやてはものすごくレアな存在であり、
こちらはイベント終了後の65年末から方々に手を回し数年越しでなんとか『保護』にこぎつけたと云う曰く付きである。

ちなみに、此方に関しては『守護騎士システムの維持』と言う名目で何とリミッター無し!
何がって管理局に把握される前に全部片つけたから文句の言われ様が無いという所が素晴らしい。

ん?自画自賛言うな。


「先日の議会でも話題になりましたからね。なのはさんの存在って管理局馬鹿にしてるとしか思えませんから」
「精鋭である筈の本局陸戦隊ですら9歳のなのはに中隊単位でフルボッコだもん。アイツとやりあうなら総力戦じゃね?」
やってもなのはが勝ちそうな気がするが・・・気にしたら負けだ。
「それにしても、よくあんな特例出ましたね」
「なのはの場合は一応局の研修受けてる事になってるし、嘱託で高難度ミッションも結構な数を完遂してる。
下手しなくても勲章モノの実績があるんだ。書類上、何か優遇するぐらいはそう難しくないのさ」
「・・・そういえば単独で惑星規模殲滅戦もやった事があるとか」
「相手探すのめんどくて第三者がいない場合は問答無用らしいぞ?」
探し回って云時間より同じぐらいの疲労度だけど10分で終わるって訊かれたら応えは一つだよな?
「Sランクがハエの如く落とされていくって言うのも?」
「本人曰く、『SS+以下はみんな同じ風に落とせる』らしいぞ。それ以上はチョット活入れてくらしい」
「さすがなのはさん」


・・・原作なんて可愛い物だ。たかが(って言ったら怒られるな)SS前後の連中でヒィヒィ言っていたのだから。



「・・・おい」
「あ、おおと・・・ッフン、申し訳ありません、少将。失礼いたしました」

あ~、そういえば此処ってレジアス居たんだっけ。
「オーリス、今の話は本当か?」
「はい、先ほどの会話の内容は事実です」
「・・・つのまに」

ありゃ?ナンカ落ち込みましたよ?

「しょ、少将?」
「・・・何時の間にそんな事に」

ボソボソと何か言ってる?


「えぇい!!何故陸がスカウトしようとするとこうも邪魔が入るのだ!?」
「「あぁ~・・・ご愁傷様です」」
と言うウチの連中引っ掛けようとしてた訳?
そんな事は『有る物』として色々予測してたからある程度は対策済みだし、何より母さんが許す訳無いけど。

「訓練生のウチから目をつけてた将来伸びそうな奴は根こそぎ海が引っ張っていくし、
もし残っても無駄にエリート志望ばかり強い首都防衛隊希望ばかり。
AAA以上の高ランクになると今まで築いた物を捨てて世捨て人になったり世俗に身を隠すケースも多いと来る。
街を守っているのは一般部隊なんだと何故誰も理解しないのだ!?」

「そりゃ異性にモテるからに決まってんじゃんよ、不思議と花形部隊はみんなイケメン・ビジンなんだよな。
でもってSオーバーは強すぎて社会が窮屈で生き難いだろう?局員で在る無し関わらず」
「『海』や防衛隊は間違いなく高給取りですし、必然的に階級も高くなりますから退官後の生活も保障されると云うのもあるかと」

みんな『俗物』なんだよね、結局。
原作のなのは達だって無駄に高ランクなせいで色々と嫌味も在っただろうし仕事だってやりにくかっただろうに。

「そんな事は解かってる!」
・・・じゃあ何だって言うんだよぅ。


「隣人を守ろうとか言う気概は無いのか!?自分の住む街を守ろうと小さくとも高い志は持てんのか!?
足元も見ずになにが次元世界の平和だ!?安定だ!?そんな物後回しでもいいではないか!!」
いや、言わんとしてる事は解からんでもない。
だからって市民権こそ持ってるがコッチに籍の無いウチや全く関係の無いなのは達に如何こう言う理由にはならんよ。
米の国並に独善的且つ恩着せがましいスタンスは治安維持組織としては最低だぜ?
そりゃ、やろうとしてる事は間違ってはいないし、その功績も胸を張って堂々と威張れるだけの物がある。


だけどさ。


「オレの関係者に関しては局の腹黒いネタも一杯知ってるから入局したいとは誰も思わんよ。ナカジマ家は別だが」

「なに?」

「知らないとは言わせねえぞ。54年の『闇の書』事件で局員が民間人を撃ち殺した事を」
「・・・ぐ、」
レジアスの表情が苦虫潰したようなモノに変わる、流石に覚えていたか。
「あんたが情報操作に一役買ってたのは調査済みだ。そんな『事実』を知ってる家族やその周囲の人間があんた等に従うとでも思っているのか?」

マスコミ抑えてるのは『陸』だかんな。チョチョイと辿っていったらレジアス他何人かの管理局幹部の名前がチラホラと。
ってか上級将官は政治にも絡むから簡単に辿れる、政治団体とのつながりとかは簡単に解かる物なのよね。


『海』嫌いと言いつつもネガティブなネタはもみ消すってか?
少し昔の日本の警察でも有ったような話だし、官僚組織である以上こう云う事が無くなる訳が無いのは理解できる。
でも、実際当事者になるとちぃと洒落にはならない。

「・・・当時は他にも色々と在りましたから、あんな大スキャンダルが大っぴらになると組織の存続すら難しかったのです。
アングラで流れた情報だけで数年の間予算の大削減と局員の大幅な綱紀粛正。
ネガティブキャンペーンも水面下では何度も起きて人員不足が一層激しくなりました。
もし表沙汰で事が騒がれていたら恐らく管理局は無くなっていたと思います」


・・・な事知らんがな。
「ってか、オレと大して年変わらんのに詳しいな、オーリス」
「この仕事に就くに当たって色々と調べましたからね。まさかこんな形で遺族に会うとは思いませんでしたけど。
そういえば、撃った局員のその後ってご存知です?」
「ん?ドコゾの閑職に一年ぐらい回された後原隊に戻ったって聞いたが」
『何言ってんだ?』と表情を伺うとオーリスはクスッと苦笑いを零し、


「彼、先日在った市街地爆弾テロの時に巻添えを受けて昏睡状態なんですよ。
何でもドコゾのビルで民間人放って逃げようと出入り口に向かったら、ソコが爆発して事件中唯一の重体者になりました。
ちなみに、死者もいないので一番被害を受けたのが彼と言うなんとも・・・」


「・・・マジか!?」
「マジです」


エエェェェェ~~~~~ェェェ....。やる気うせるなぁ。隙見て非殺傷設定で限界までフルボッコにしようと思ってたのに。
と言うかあの時のほんの数分が今の所唯一のチャンスだった訳?


「キサマ等いい加減にしろ!!」
「「あ、忘れてた(ました)」」


・・・うむ、コイツも素で空気化するな。キャラは濃いくせに自己アピール弱いからなぁ。



さて、折角の縁だ、梃入れするか?


「で、戦力が欲しいって?とりあえず一個大隊分の火力があればいいか?」
「・・・何を言っている」
そう構えんな。傍から見たらオレがキモイキャラなのは先刻承知、自分でも認識してらぁ。

「まぁなんだ、オレもコッチに店を構えたからさ、『寄付』でもしてやろうかなと思って、な。とりあえずコレ見とけ」


勝手にテスク脇の端末にメディアを挿入し、ある映像を流す。
「これは・・・っ!?」
「リシェイドさん、これって」

教授の『遺産』もあるし、如何にもスの字の戦力が読めんからな。
あまり乗り気じゃ無いが、やるんだったら楽して勝ちたいし、下準備ぐらいはしておくか、ね。
「安心しろ。渡すのはミッド仕様に改修した非殺傷設定魔力砲搭載型だ」




数ヵ月後、『とある次元世界の某企業が開発した試作品の機動ユニット』が一部の部隊に配備される事になる。
その正体が一体何なのか、『何処』の世界の『某』が作ったのかは、仕込んだ一人を除いて誰も分からなかった。





おまけ1


「り、リシェイドさん」

「ん?如何した佐藤、何かあったか?」

「この間発注掛かったコレってぇ・・・」

「あぁ、ウェポンラックの中は全部抜いてある、ガワの厚いパワードスーツ程度でしかないから安心しろ」

「・・・で、でもぉ」

「別にプラズマサーモバリック弾とか縮退量子砲積んでる訳じゃないんだから問題ないって(ど~せ魔力砲に乗せ変えだし)」

「?、何か言いましたかぃょぅ?」

「んやぁ。とりあえずはよ持って来いよ」



オマケ2

「オッチャン、久しぶりだな」

『うぉ、懐かしい番号だなと思ったらマジでリシェイドの旦那じゃないか。久しぶりですねぇ』

「元気そうだな。TEL番変わってなくて助かったぜ」

『そりゃ、この番号は身内とかにしか教えてない、文字通り『私物』ですから。で、急に如何しました?』

「メールアドレスも前と?」

『ありゃ、何か御用で?一応前のアドレスもそのまま使えますけど』

「んじゃ、今すぐリスト送るから」

『ホイホイ、お、着た・・・って、旦那コレ本気かい!?』

「マジもマジ、オオマジよ」

『そりゃ、金さえ積まれりゃアルカンシェルだって用意してみせるしロストロギアだって売りさばくって詠ってたけど・・・何処と戦争する気だい?』

「いや、オレは使わんよ。野暮用でな」

『はぁ』

「ブッチャケると上から下へ非正規ルートで移すだけなんだが」

『あぁナルホド、あそこは仲悪いですからねぇ。わかりやした、すぐ手配しましょう』

「届け先は前と同じで構わんから、ソレと必要な書類もすぐ送る」

『ういうい、にしてもあれほど関わりたくないって言ってたのに何かあったんで?しかもこんな大口径欲しいだなんて』

「なに、面白い事になりそうだからちぃと引っ掻き回してみようかと考えただけだ」

『ヒデェ』

「オレが『最低』だなんて元より承知な癖に何を今更。とりあえずメールの手筈通りに頼む」

『了解。楽しみにしといてくれ』






[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十三節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/03/28 02:38


「ねぇシェイおにーちゃん」
「ん?」
「何でミッドに『マトリ○クス』の二作目とかで出てたアレがあるの?」


『地上本部の新兵器、パワーアームの秘密に迫る!』


「オレが売った。ってか地球でも特番でやってる特殊部隊の特集とか見かけるだろ?」
「そういえばそうだったね」


『見た目は華奢ですが全自動化されたシールド自動展開システムや魔力推進ユニットによって得られた高い安全性。
そして艦艇でも採用されている魔力コンデンサ式20mm機銃と200mmカートリッジ式魔力砲から得られる高い制圧力』


「・・・原作のは歩くのがやっとだったのにコッチのは飛んだり跳ねたり元気だね」


『そしてエネルギー供給はミッド全域に行き渡っている公共インフラの無接点供給システムと
大容量バッテリーを併用するハイブリッド方式採用し、運用環境を選ばない汎用性を獲得』


「金のかかる推進ユニットも汎用の小型リフターを流用しただけだから実際にはコスト掛かってないし」


『何より驚くのは圧倒的なコストパフォーマンスの良さ。一機当たりの単価は何と脅威的な破格の自家用車十台分以下!!』


「・・・本当に安い」
「そりゃ有り合わせで作ってるからな。原典からしてそんな仕様だし、まぁ『実物』はそんな優しい仕様じゃないけど」
Aクラス程度の魔力シールドを必要最低限の時間だけ展開する自動防御システムとソコソコの火力に機動力があれば十分だろ。
そもそも、ミッドは普通の鉱物資源に関しては地球に比べて格安だからこの程度の価格じゃなきゃボッタクリだぞ?

ちなみに、本家はシールド張れない(ペラの防弾板一枚とアーム添え着けのシールドで防御とかコックピットはむき出しとか如何かと思うぞ)代わりに
汎用のリアクタを積んでるから、コンデンサと組み合わせて高出力の縮退量子ビームの運用が可能だし、
面制圧用のプラズマサーモバリック弾(爆風が一万度以上に跳ね上がる気化爆弾とでも思ってくれ)なんてのも普通に乗っけてる。
ジョイントの規格にさえ合わせられれば、カールグスタフだろうがスティンガーだろうがM2だろうがなんだって着けれる。

ってか、あの『米の国』が歩兵支援システムで此処まで頑張るとはマジで予想外。
あっという間に世界中で大ヒットだもんな。軍事評論家の間じゃ費用対効果や生産効率の高さから『カラ○ニコフの再来』みたいな感じで騒がれてるし。

まぁ、先進国や国連軍は大気圏外運用が前提だから本命はマイク○ーンサイズなク○ドランか、はたまたAW○Sか、それとも大穴で『多脚耐圧戦車』か。
そういえばAIが如何とか衛星が如何とか玉川さんの声が如何とかって話も聞いたような。
他にも強殖何たらとかG3が如何とか『鉄男』が如何とか・・・ウン、技術が追い付いただけにネタの数だけプランも生まれる、と。


何にせよ、3メートル四方サイズに収まる仕様じゃなきゃ市街地やステーション内での戦闘なんて出来んから開発陣も大変だろう。


・・・俺は関係無いから良いけどさ。それに、ノエルにすら届いてない時点でまだまだ先は長いぞ?




------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------
地球、欧州某所

「ん?」
『どうかされましたか?』

「誰かが私達の噂をしたような気がしてね」
『はぁ・・・忍お嬢様、前方2000よりオートマタ一個小隊規模で接近、その後方からさらに多脚戦車も多数』

「懲りないわねぇ、全く。ノエル、砲撃用意」
『リアクタ2番直結、陽電子チャンバー充填開始。発射まで約10秒です』

ノエルの両腕に構えられた『メカニカル』で『近未来SF』風味な砲。
そしてバックパックとして接続されている感高い音を発てるユニットや腰周りから砲へと伸びるチューブ。


如何見てもブ○ーフレームとロー○ングリンです。本当にあり(ry


「ランチャーの1番から4番は使っていいわよ」
『了解しました。1番2番発射します』

肩フレームに接続されたソレは2対8セルのランチャーパック。
そして放たれるは子弾が詰め込まれた拡散弾頭。


如何見てもMk.Vのミサイルランチャーで(ry

------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------



そう言えば忍の奴、今月辺り『負の遺産を処分してくるわ』何て言ってたっけか。
陽電子砲とか縮退量子ビームとかパルスレーザーとか高周波破砕機とか、最近『荷電粒子形成刀』の小型化に成功したとか・・・まさかな。

大気圏内で陽電子ばら撒いたらどれだけヤバイか解かってるか怪しいんだよなぁ、まぁ大半は半減期短いし近くに居なきゃソレまでだけど。

「そういえば、はやての奴はまだ来ないのか?」
「う~ん、今週は講義とかが有るとか何て言って無かったけど・・・」

とか噂をすれば何とやら
「ご、ゴメン、遅れてもうた!!」

トランスポーターの動作と共に現れたのは慌てていたのがはっきりと見取れる程度に着崩れた普段着のはやて。
「ったく、もうすぐランチタイムだぞ。さっさと仕込め」
「仕込みは昨日の夜にしといたんよ、だから後はちょっと手ぇ入れて盛るだけや」

と、キッチンが賑わってきた所で

『なのは~、ランチの注文もう良い~?』
「うん、はやてちゃん来たし問題ないよ、フェイトちゃん」
『ん、お姉ちゃんにも言っておくね』
「リィズちゃんはまだ学校?」
『うん、今日はゼミが有るから遅くなるって』

念話で戦闘開始がなのはとフェイトの間で確認される。


「う~ん・・・リィンさん」
声を掛ける先はショーケースで構えるリィンフォース。
「呼びましたか?なのは」
「ごめんなさい、ホールの対応もお願いしていいですか?」
「えぇ、お昼時ですしケーキ単体は少ないでしょう、問題ありません」


と、各員慣れた感じで店の運営を進めていく。


ん、オレ?
「裏の特等席でコーヒータイムに決まってるだろ?」

「・・・誰に言ってるのですか、マスター」
コラ、すべき事はきちんとしなきゃいけないだろう、お約束は守ろうぜ。




喫茶翠屋ミッド支店、何気にスタッフ全員海鳴から自宅通勤なのですよ。・・・オレはコッチ泊まる事も少なくないけどな。




「ところでマスター、本当に良いんですか?」
「何が?」
「勝手にトランスポーターの出力上げてしまって」
「なもん、トラックの無線と一緒だって。解かる訳ねーんだから」

転送速度上げる為に送受信ユニットの出力を3割増しにしてやったからな。
勿論サードパーティ製部品つけたりして保障も無くなるし色々と問題だけど、転送時間を片道30分以内にしようとするとどうしてもなぁ・・・。
まぁ、改造って言ったってネット上で普通に流れてる内容だし、たかが知れてるのだが。

アレだ、P○PのCFW化と似たようなもんだ、やった方が便利なんだよ、色々と。





時間は数週間前にまで遡る。


「・・・何処でこんな物を用意してきた」
「むこうにゃ伝手がイッパイ在るからな。此れだけありゃリバースエンジニアリングも容易だろ?」
「確かに、この数なら数台バラして潰しても問題は無い」

ヒョンな事から出来てしまったレジアスとのコネで、オレはコイツ等のてこ入れをする事にした。

「ところで、少将のアンタなら予言の事は知っていると思ったんだが、違うか?」
「フンッ、回ってくる回覧に目は通すがワシはあんな物信じておらん。何が起きようと叩き潰すのみだ」

いや、ソレは圧倒的強者が歯向かってくるヘニャ○ンの再教育に使う言葉だぞ。
「・・・ソレが可能なら誰も苦労はしねぇよ」
如何考えても原作程度の攻勢で済むとは思えん。『当社比云百%以上プラス斜め上要素てんこ盛り』はまず確実だろう。


「ムッ?何か言ったか?」
「いんや。ところでよ、この間ゼストのオッチャンに会ったぞ」

「な、なんだと!?」
おぉ~狼狽してる狼狽してる。って卓越しに襟持つな締めてくんな!!

「そ、ソレは本当なのか?本当に奴が生きていたのか!?」
「ッグ・・・えぇい、揺すんじゃねぇよボケェ!!」
「ゥグフゥッ!?」

鈍い音と共にレジアスが卓に突っ伏・・・やっべ、手加減抜きでレバーブロー・・・死んで無いよな?

「すまん、つい本気で殴っちまった。大丈夫か?」
「ゥグ・・・き、キサマ、ワシを殺す気か!?」

あ、大丈夫そうね
「問題無さそうだな。会ったのがオレの喫茶店だからな、ゼストのオッチャンにゃ『また来な』って言っておいた。
その内また買いにでも来るだろう、アンタも娘が常連なんだから引っ付いて顔出しに来な、運が良ければ会えるかもよ」


さぁレジアス・ゲイズ、アンタに選択肢をやる。


「なっ!?・・・だが、ワシは」


『原作』に追い付き、監視が付く前にゼストと会う最後のチャンスだ。


「遺体は見つかってなかったんだろ?死んだ事にしてまで隠れなきゃいけない何かがあった、親友であるアンタに何も打ち明けないままで」


猶予は恐らく一年も無いだろう。アンタの決断如何でこの先の全てが決まる。


「・・・」
「ま、オレとしちゃ常連が増えるかどうかってだけだし、別にいいけどな」


折角のチャンスなんだ、モアベターな判断を頼むぜ?





閑話休題



で、オレは何と云うと

「あ、頭悪ぃ・・・」
『ゴメッ、ヤッチャッタw』

吹き荒れる中性子の嵐が画面一杯に映った、忍からの通信だった。
「何も考えずに最大出力でぶっ放した?アホだろお前」
『いや、余りにもウザかったから、カチンときて』

で、オレの後ろのテレビからは

『ヨーロッパの片田舎、***周辺で大規模な対消滅反応が発生!?』
『各国は関与を否定、軌道上からの監視記録でも原因は確認できず』
『緊急展開部隊、現地にて検証開始。速報では地表面で反応開始?』

・・・如何なっても知らねぇぞ、ったく。
「で、ノエルは如何なった?」
『ナンチャッテ○フィールドジェネレータのお陰でノーダメージ、現場からもちゃんと逃げ出せたわ、ブイッ!!』
「ブイッ、じゃねえッ!!馬鹿かお前は!?」
何処でそんな物仕込んだ!?
アレか、オレの研究データパチッたのか!?
いくらラボに勝手に入れるからってやって、良い事と悪い事があるぐらい判別付くよな?良い歳した大人なんだから。





で、この後始末の為に地球でオレが奔走する破目になったり、今後の為の仕込みでグダグダとやってる内にまた事態は進む訳で・・・。





あっという間に数週間が過ぎ
「オレに尋ね人?」
ミッドでオレと面識があって、且つオレを一方的に知ってる奴なんて数える程も居ないと思うんだが・・・。
「青系でショートの女の人だったよ、翠屋の焼き菓子の包み紙持って『此れをくれた人を探してる』って」


・・・あれ?
「どうも気配がモミジちゃん達に似てたんだけど・・・」


・・・オイコラ。
「何時来るか解からないって言ったらションボリしながら『また来ます』って、ついでにマドレーヌ買っていったけど。
リシェイドもホント懲りないよね、また何処かで引っ掛けたの?」



フラグか?
フラグなのか?
フラグ立っちまったのか!?

「か、勘弁してくれ・・・」
と、呟いたその瞬間



「・・・へぇ、じゃあシェイおにーちゃん心当たり有るんだ」
「(ゾクッ!?)」
お、悪寒が!?プレッシャーが!?黒いオーラが!?
「その人、何年も前って言ってからアノ頃と合致するんだけど・・・チョットお話しする?」




「三十六計逃げるに如かず!!」
「「「逃げた!?」」」
なのはのヤツまだ溜めてやがったか!幾らオレでも真正面からのガチンコじゃ勝ち目ねーぞ!!





「・・・なのは、リシェイドさん脅えて逃げちゃったよ?」
「本当にチョット訊くだけのつもりだったんだけど・・・」
「そういえばリシェイドって『オハナシ』に過剰に反応するよね」
「言われてみればそうやなぁ・・・何かあるん?」



「う~ん、『オハナシ』の切り出し方からトラウマ?私は心当たり無いけど・・・」

「「「(イヤイヤイヤ、なのは(ちゃん)に無かったら誰も分からないから)そ、そう」」」




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十四節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/04/19 03:02

「ウホ、此れはい・・・グスッ、ヤッパリ弾幕はオレには無理だぁ~」
「リシェイド、実際の戦闘なら余裕なのにゲームだとテンでダメだもんね」


ノリでエグ○リカ買ってみたけど弾幕(と云う程厚くも無いが)ゲーはどうもなぁ・・・。それなりに楽しめてるけどね。


休憩、っと言いながら席を離れ無性にアイスが食いたくなってコンビニ行って戻った所、何時の間にやらカシマシ娘共がテレビの前を占拠、


で知らん間に
「うんっ、ハードもノーミスクリア!!」
「・・・なのはは相変わらずこう云うのも強いね」
「って言うかジャンル問わず何でも『楽勝』でやれるとかドンダケ・・・」
「アレやね、何するにしても、なのはちゃん基準はアカンちゅー事や、にしても初見でノーミスは無いで、普通」


もういいよ、どうせオレはショボ吉だよ・・・orz。


「あ、あの、おと~さん?」
「・・・キャロか。おと~さん今凹んでるんだ」
違和感無くなったね。一年も経つとさ。

「これ・・・」
手渡されるのは一枚の紙、昔懐かし(と云うほど経ってもいないのだが)聖祥の案内紙。
オレの知らぬ間にキャロはなのは達の後輩になっていた訳。うむ、キャロの制服姿は可愛いのだよ・・・お、親バカじゃないんだからな!?

「ん?・・・ゲッ、授業参観か」

や、ヤベェ。唯でさえ色々と囁かれてるのに。アノ学校私立だから教師とか変わってないだろ・・・顔割れてるんだぞ、オレ。
来月辺り、ずっとミッドに居ようかしらねぇ、間違いなく噂になって近所のオバちゃんズの視線が痛いだろうし。
「お、おと~さんは来てくれますか?」
「・・・まぁ時間は取れるだろうし、顔ぐらいは出してやるよ」
モジモジと聞いて来ていたキャロの表情がパァっと明るくなる。ウンウン、チビっ子はこう云う表情じゃなきゃ、な。






で、その肝心な日に限って仕事は舞い込む訳で・・・。






「・・・ったく、あの人は」
「あ、アハハハハ・・・ハァ」
彼此5年以上お供させてる佐藤(仮称)を引き連れなぜかオレは宇宙にいた。

ラグランジュ3(所謂月の裏側に位置するの地球の衛星軌道)、此処で進んでいるあるプロジェクトに参加するためだ。
此れは教授の遺した『遺産』の一つであり、オレにとっては『切り札』と成りうる代物、いい加減にゃ出来ない。


「エメリッヒ・パーシェルにリオン・オーグマン、ねぇ」
「航空宇宙工学に天文学、空間・重力子論の権威ですょぅ」
「・・・知らん」
そもそもオレは『一応』応用系の素粒子エネルギー系と材料工学系が専攻だからそんな基礎理論系や全く別の分野なんざ完全に畑違いだ。
そもそも空間子や重力子の理論なんてミッド在住のオレからすりゃ使うだけなら『今更』な話だし。

教授とは随分仲が良かったらしいって事であの人の後釜に『弟子』であるオレが入る事に成った訳なんだが・・・どんなヤツだか。



で、ボヤいてるウチに、オレ達の乗ったシャトルが目的地であるステーションに接岸する。



で、開いたエアロックの先にいたのはと云うと
「Hei!!ユーがアーリーズかい?」
何だ?この胡散臭いルー語野郎。金髪碧眼な上にマッチョだし・・・ええぃ腰をカクカクするな、それはHGの役だろうが!!

'Pam!!'

・・・とそんな所で高く鳴り響いたのは『見事』と云うしかない長さ1メートル程もあるハリセン。
叩かれたのは当然、件のパツキンマッチョ。

「悪いねぇ、この馬鹿が暴走しちゃって。私がリオン、リオン・オーグマン。本計画の統括責任者だ」
腰振り野郎の後ろから出てきたのはアッシュブロンドの髪以外に特に特徴の無い所謂『普通』な容姿のオッサン。

「って事はこの変態が・・・」
「へ、変態とは酷い言い草じゃないか・・・僕がエメリッヒ・パーシェル、ヨロシク」
「悪いヤツじゃないんだけど、時々では有るんだがどうもああやって暴走したくなっちゃうらしくてな・・・」

うわ~・・・この分だとオーグマンのオッチャンだいぶパーシェルに引っ掻き回されてるな。



「話は全部hideから聞いてるよ」
「・・・hideって誰?」

何その厨臭いの。って云うか全部ってなんだよ全部って。

「ヒデフミの事さ、元々知り合ったのが○ちゃんねるの虹板だから。あっ、hideはコテハンね」

こ、コテハン・・・ってチョットマテや!!
「何故に○ちゃんねる!?ついでに今更だけど日本語達者だなオイ!」

「僕等生まれはヨーロッパだけど20台半ばからずっと日本に居たし」
「まぁ、アレだよ。所謂『ヲタク』の仲間さ。hideも含めてな、君だって」

うわ~・・・。



「で、全部って『何処』まで聞いた?」
佐藤(仮称)をデッキに放置し(入局とか書類仕事は任せた!)、オレ達3人は無重力の通路を奥へと進む。


「文字通り『全部』さ。君の出自からナニから、な」
「まさかそんな面白いネタだったなんて、聞いた時には腹抱えて笑っちゃったよ」

・・・信用出来るって事か、あの人が認めたのなら。

「このプロジェクトってたしか」
「あぁ。アステロイドベルト、と言っても火・木星間のメインベルトまでなんだが、ソレの探査船団の開発だ」
「と言ってるけど僕等からすればソレは表向きと言うか、『ついで』なんだけどね」

云十兆円の予算で組む船団が『ついで』程度かよ・・・。



通路をひた進み最外殻区画に到達、ソコは何故かエアロックだった。
「・・・って、普段着のままロック開けちゃ」
「あぁ、この先は乾ドックでね。まだエアは抜いてないから安心してくれ」



隔壁が開き、その先の光景がオレの目に飛び込む。



「・・・VIII?」
「デザインカッコイイだろ?ちゃんと版権も買い取った上で作ってるから問題ないさ」
「そもそも作ってる探査船団の仕様からして○ュピトリス級ソノモノだからね。で、コイツは『技術試験機』であり『護衛艦』なのさ」
「護衛艦ねぇ・・・VF在るだろ?火力だけなら○ルトニウスも在るし別に要らないんじゃないか?」
ってか機体下部に生えてる主砲の口径が中途半端にデカイし宙ぶらりで射軸変えられない仕様だから冗談抜きで不便だろ。

そもそもだ、VF単機の火力でも旧来の第5世代クラスの火力を圧倒的に上回ってるんだぜ?
オマケにFASTパックやらアーマードパック背負わせれば100発位のミサイルを携行可能になっちまう。
○ルトニウスに至ってはノーズ部分の大口径縮退量子ビームカノンや専用に開発された最新鋭の可変速/収束式ビームライフル、
オマケに腕部や両肩、ネタ元には無い増装バックパック追加してこれでもかって程に『仕込み』有ると来たもんだ。
さらにFASTやアーマード的増装も追加設計済み、無論25と同じくMS/WR両形態対応と言う凝り具合の高さ。

文字通り『戦艦並の火力』が搭載されてるって事だな。と言いつつも実の所コレクラスの火力がある戦艦なんて無い(宇宙に浮いてる奴に限る)のだが。

だから軌道エレベータ守備隊やら特殊任務部隊に配備されているし世界最高峰の性能を誇っている訳だ。



「そんな事は百も承知さ」
「あぁ。その話はあくまで『名目上』の設定だからね。それに、此れは秘匿建造艦なんだよ?」

おいおいそれって
「・・・今時『大和方式』なんて流行らんぞ」
秘匿建造と言えばヤッパコイツだろ。



「コレが表舞台に出る事はまず無い。勿論書類なんて存在しないし、使った部品も全く関係の無い所から引っ張っている事になっている」
「だが、確かに此れは此処に存在し、そして活躍する事になるんだ。それに、僕達の野心的な物も一杯詰め込んでるからね」
「野心的?」
「そう、僕やリオン、hideの三人がアーでも無いコーでも無いと頭を捻くり回しながら作り上げた物が搭載されているんだ」
「技術開発の資金はhideのお陰で潤沢に有ったからな、色々と動き回って凄い物が出来上がったって胸を張って言ってやるさ」



「「そう、宇宙と言ったら『ワープ』だろ!!」」

ハイハイワロスワロ・・・ス!?



「ちょ、待て」
「いや~、hide経由で見せてもらった魔力制御での空間圧縮システムやらナニやらを見てたらインスピレーションが沸きあがっちゃってね」
「そうそう、hideのヤツと赤提灯で一杯やりながら箸袋や紙ナプキンをメモ代わりに何度も打ち合わせしたもんさ。
他にも原作には無いネタを山の様に仕込んでる。勿論『漢の浪漫』も追加実装、ク○ーターなんて目じゃないぞ」


こ、こいつ等マジで頭イテェ、オレより二周りぐらい年上の癖に同じ穴の狢かよ・・・。


「で、ワープの方も基礎理論はあっという間に出来てね、テストも順調に進んだんだけど」
「だけど?」


「いや、本気で運用しようとするとジェネレータの出力が洒落にならないほど必要な事がわかってさ」
「あぁ、まさか指数関数的に肥大化してくとは予想の範囲内と言っても流石に厳しかったよ。
あの艦を跳ばそうと思うとザッと概算してもクライシス前の中堅国家の年間消費電力に近い桁になるからな」


冗談じゃねーぞ、何だその馬鹿喰いシステム、使い物にならね・・・ってオイ
「・・・まさか」

「そのまさかさ」
「hideの役割はコイツを含め、各艦船に載せる動力炉と主推進機関の開発だった」
あぁ、なんか話が見えてきた。まためんどくさい話になりそうだなオイ。


「hideはオールラウンダーで、君はその教え子。しかもこの手の『専門家』」
「そして、この機体を受け継ぎ主となる人間でもある」

ソコまでの事は書いてなかったぞ、教授。まぁ、此処までお膳立てされてりゃ頭も上がらないさ、流石に。

「・・・OK、把握した。俺の全てを注いでやるよ」
どうせコイツはこの世界で使う事は無いんだ、文字通りに『全て』をぶち込んでやる。ほかの船?まぁ適当にやっとくから良いだろ。
「ん、楽しみにしてるよ」
「あぁ、ちなみに君への譲渡だが、一応『自動操縦状態でのワープ航法試験中、システムトラブルによるロスト』ってシナリオがあるからあしからず」





そんなこんなで、またしても仕事が増えてしまったのが新暦で72年6月の事。

あ~、そういやスバルのヤツ陸士学校の入学が如何とか言ってたか、もう3期のシナリオ真っ只中なんだよなぁ・・・マジメンドイ。




「そう言えば、今日は生中継の取材が来るとか如何とか」

マジか!?







その頃のスバルと言えば・・・


「でェェェェヤッ!!」
『ImpactAttack』

'buth!!'

『マスター、ターゲット撃破確認。救助指定の人形の座標まで後20。構造体の劣化が激しい為外側からの突入を推奨します』

「うん、そうみたいだね。それじゃいくよフラッシュストリーム」
『Air Wall、Set』


ただ今入学直後の実技トライアル中だったり。で他にも事象は進んでいく訳で・・・。


「・・・魔力障壁を利用した足場の形成にソレを利用しての三角跳びでの構造物迂回、身体能力はすごいですな」
「特注デバイスを使っているので評価が分かれるでしょうが、あのスキルは本人特有の様で」
「筆記は壊滅のようでしたが、これだけの能力があるなら問題ではありませんね」


「・・・あの子は」
「おや、ランスター執務官補佐、あの子をご存知で?」
「い、いえ。何処かで見たような気がして」
「あの子のお姉さんではないですかな?既に局員として現場で活躍してますから何処かで一緒になったのでは?
そうそう、あの子のお姉さんもかなりの腕を持ってましてね。陸士では有りますけど対空戦でもソレを補えるだけのスキルがあるので
我々としてはあのような子が出てくるのは非常に嬉しい物ですよ」
「は、はぁ・・・」
「そういえば、近々ヒモ付きが明けて地上での実務研修に入るとか」
「はい。ようやく執務官への第一歩といったところです」
「配属先はたしか・・・」
「108部隊の執務官資格保有者が一人負傷したとかで後方支援に移されたそうです。自分はその穴埋めで回されると聞いてますが」




でもって更に場所が変わり・・・


'Bang!!'
「・・・ふぃ~、此方アルファ1、ターゲットの無力化に成功」
『此方も確認したぜ、これから突入するからフォロー宜しく。なぁヴァイス、最近調子良いじゃねーか。なんかいい事でも有ったか?』
「よせよぉ、また集ろうってのか?それに調子良いのはオレじゃなくってオーバーホールしたストームレイダーさ」
『へぇ、また随分腕の良いマイスターがいたもんだ・・・っと、犯人確保。ミッションコンプリートだ』
「まぁな。今はミッド在住じゃないし、やり取りは次元宅配とメールだけになるけど腕は確かだ。元は技術局に居たけど今はフリーなんだとか」
『エリートじゃねーか。公務員上等なこのご時世で役職捨ててフリーになるなんて今時珍しい』
「言えてる。ただなぁ・・・」
『どした?』
「いや、何処かで聞いたような話なんだよな」





更に所は変わり時間軸もほんのチョットずれ・・・
「あら、メールだわ」
「メール?今のあなたのアドレス知ってる人なんてものすごく限られてるのに珍しいわね」
アーリーズ家の庭先、優雅な午後のひと時を過ごすクレア・プレシア組。
「不定期でマイスターの仕事請けてるんです、その顧客からですよ」
「不定期って・・・まぁここで暮らす分にはあの子が十二分に稼いでるからソレで問題無いのかも知れないけど、よく客着いてるわね」
プレシアの問いに苦笑いしながらクレアはその真相を明かす。
「実は前の職場からの延長なんです。ピーキーな調整をしたカートリッジシステムや高ランク魔導師に扱き使われるアームドデバイスの
随分な数を担当させられましたから。様はスキルの問題ってヤツですね。で、今日のお客さんは、と・・・」
スクリーンを覗き込む二人の表情が若干崩れる、プレシアは兎も角、クレアは『自分の仕事』なので笑ってしまうのは不味いのだが。

「あらあら、珍しいお客さんだわ。・・・今回はオーバーホールの依頼なのか、結構前線で頑張ってるのかしらね」
「へぇ、コレはまた随分と過激な仕様だ事。でもロールアウトが5年前って、結構最近の物なのね」
「技術局にいる後輩達が『助けてくれ』って私の所に持ち込んできたんです。
この世界の技術とかも使えそうな物は結構流用してて見た目以上に高性能なんですよ、ソレ。
そうだ、どうせだしリシェイドも巻き込んで弄り倒してやろうかしら」
「・・・程々にしておきなさいよ」


その後、某デバイスがその気になれば数km先のターゲットを誤差15cm以下で撃ち抜ける、文字通りの『○チガイデバイス』に
仕上げられていた事など露知らず、普段と同じ様に使われていく事となる。








おまけ、授業参観の件


『ではアーリーズさんが御平博士の後継となる訳ですね?』
『え、えぇ。何分急な話で私も驚いていますが、それよりも義娘の授業参観に出れなかった事の方が今は問題でして・・・』


「うわ、キャロのとーちゃん宇宙にいるぜ」
「すっげ、んじゃ月の石とか持ってこれるのか?」


『むすめさんですか?確かアーリーズさんは』
『独身ですよ、年もまだ20回って直ぐです。両親を事故で失って、親族の方がトラブルにあって、で縁のあった私が引き取る事になりました』
『若い身空で大変では?』
『いえ、父を早くに失ったのもあって母も娘が出来たみたいだと喜んで面倒を見てくれていますので、それに』
『それに?』
『最初は余所余所しかったのですが大体一年ほど前位からでしょうか、私の事を父と慕ってくれるようになりまして、
最初は私も戸惑っていたんですが、それを見てると『コレが『親』の心境か』と、少し嬉しかったりもするんですよ、えぇ』

「おと~さん・・・」



「急に念話が来たと思ったら・・・全く、幾つになっても仕方の無い子ね」
「しょうがないんじゃない?あの子もキャロちゃんが大切みたいだし、悲しい思いはさせたくなかったんでしょ」
教室の後ろに佇む色気満載な未亡人二人、やっぱり可愛いキャロの授業参観に出て来ていた。
そんな二人へリシェイドからの念話は『'ゴメン、何とかテレビつけて昼前の**のニュース映して'』という簡潔な一言。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十五節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/05/06 18:18

'PiPiPi!!'
「あ゛~・・・死ぬる、マジ死ぬる」
日本国内某所、オレは空自の基地にいた。


「アーリーズさんも物好きですねぇ。これの参加、私費でしょ?」
「私で25と○ルトニウスを足に買っちゃったから、まぁしょうがないといえばそれまでなんだけど」
「「「チッ、このブルジョワめ!!」」」
「HAHAHA、なら勉強し直して一発賭けたら良いさ、当たるかどうかは知らないけど」
「「「グフッ・・・」」」


何故かといえば25と○ルトニウスのVRや実機での訓練を受ける為だ。


「にしても総飛行時間が実機でドッチも彼是200、VR込みだと500以上。ずいぶん乗りましたねぇ」
「いやいや、ホンモノのパイロットに比べればミソッカスですよ」
飛行にコスト掛からない(大気圏内でのプロペラント消費は無いもんな)からって飛びまくって4桁の時間も乗ってるようなのばっかだろ、お宅ら。
導入されたのってここ数年位だったよな?最低でも一日4時間以上乗ってんじゃんか、丼勘定の単純計算でも3000は堅いんじゃないか?
何気に原作顔負けのアクロバティックな戦闘機動とドッグファイトを当たり前の様にこなすし
(変形途中の不安定な状態を利用した錐揉み回避とかWR形態M3オーバーの巡航状態から一気にMS形態に移行しての急減速とか人間業じゃねぇ)、
全パッケージのミサイル(総勢120発!!)一斉にばら撒いても当然の如く全弾撃ち落すし、予測射撃の精度も洒落にならんし、正直どんだけ・・・。




何はともあれ、金とコネの力は凄まじいという事。
こんな得体の知れない一民間人が、最新鋭戦闘機の教習をトップガン達から受けられるなどと、考えるだけでも馬鹿らしい事すら実現できてしまう。



「じゃ、近いうちにまた来ますんで」
「『差し入れ』も上等だし、アーリーズさんならいつでも歓迎ですよ」
顔なじみとなった二等空尉(さすが全国No1.苗字、コイツも佐藤だった)に挨拶し、そのまま帰路に・・・いや仕事は山のようにあったか。
記憶の片隅に押し込んでいたモノを引っ張り出すと、オレはそのまま自分の"足"でソラへと上がった。






「で、モノは出来たのかい?」
「とりあえず、な。(まぁパチった後でとっかえるのが前提だけど)」
「ほぉ、かなりの出力が要るがそんな物が用意出来たのか?」


マットブラックをベースに警告色として赤や淡い青のマーキングを交えた仕様へとリペイントされたラグ○ロクもどき。
ちょっと操作するとオモイックソ変形して『竜人(と言うかPS1時代の出典元某召喚獣の翼がブースターなった感じが近い)』になるからスゲェ。
尚、変形後の戦闘機動は船内を之でもかと気持ち良いほど多方向にシェイクされる為、魔法技術での重力制御や空間固定が大前提な設計だったりする。


ま、そんな化け物を動かす為の動力が俺の最大の課題だった訳だが・・・。
「試作(ハイ嘘ー)だがオートマタや小型車に乗せられるサイズでの限界出力がコレだ。コレの並列搭載でカバーすれば何とかなる」

「このサイズでこの出力か・・・」
「確かに、コレなら十分クリア可能だし冗長もとりやすいだろう。その代わり数が多いから全体で見ると故障率も少し高くなるのか」
「図面と試算しかしてないし、リアクタ作るのにも時間掛かるだろうから、実機動かすには一年ぐらいは要るけどな」


メンドイのでノエル仕様のリアクタの設計をベースに再チューン、サイズも気持ち大きくして最適化。
これで一辺が大体50cm程度の空間に収まるサイズとなって、マージンを考え定格70%としたら出力は必要分の1/100に気持ち満たない程。
機体サイズとキャパ、形状から搭載空間の最大利用をする為にリアクタの形状変形版を若干数作成し
最終的な総搭載数は136発、予定分+10~15の余剰エネルギーが確保できた訳だ。



だが、コレはあくまで『しのぎ』でしかない。コレでは俺の必要とする運用想定環境下での活動に支障が出る。



「と言う訳で推進ユニットもワープ機関以外は適当だぞ」
「そんな事言ってるけど、これで十分な性能だと思うよ?」
「戦闘機ほどの機動性は無理だろうがこの性能なら十分『護衛艦』としては働ける筈だ」


せっかく重力・空間子論の権威が居るのに有効活用しない理由は何処にも無い。
リオンのオッチャンの論文や最新の考察情報、更には魔力で処理した『結果』を解析したデータをも持ち出して
あーでもないこーでもないとネタ脳搾り出した結果生まれたのが
「ロジカルドライブ、ねぇ」


サブは従来の量子反応型の反作用エンジンだが主推進機関は最先端科学の結晶を引っ張り上げた。
その名のとおり『論理』による推進機関。
超高性能な演算システムの並列処理と莫大な出力のリアクタを利用しての機体周囲の空間の直接『制御』する事によって
機体と言う存在を『其処に有る』と『定義』された結果を残すシステム。


リオンのオッチャンの理論だと、空間ってのは『立体+時間軸』の四次元に展開された表計算のシートみたいな形で表現出来るんだとか。
宇宙ひもが如何とかって話は今の宇宙のモノとコトの起こりの話であってそんなことは如何でも良いらしい。
肝心なのは『今』如何成っているか、それが如何至ろうとしているか、それだけなんだとさ。



先ずはセルその物の正負虚の判別。コレが無いと何も始まらない。


その次に来るのが物理的な存在の定義に必須な『モノ』の存在定義だ。
ここに入る値は概念に近い『光子』や『重力子』なんかも含まれるんだとか。で、『真空』か否かの判断がここでつく。
更にこの要素によってこの次に来る要素である『ベクトル』に対しある程度の影響が入る。『重力で光が曲がる』なんてのは此処で説明される訳だ。


で、前述の通りだが次に来るのが『先進波』や『遅延波』更には重力、エネルギー等を含む広義での『ベクトル』。此処が結構肝心らしい。
この値が"0"になった瞬間、本当の『絶対零度』の世界になる。するとそのセルを基点・中継点とした他のセルへの影響ってのが無くなるんだと。



ところで、虚数空間ってのはオレ達の日常とは全く違う法則に基づいてるらしい。
魔力も例に漏れず、全てが逆位相で定義されるんだとか如何とか、要は世界に対し『式』が反映させられないって事。
AMFみたいに結合阻害するんじゃなくって個々の素子の定義から否定されるから、どれだけつぎ込もうとしてもその物理法則からは逃げられない。
故に、無限に汲み上げられるディメンションドライブのオーバーロードな余剰魔力の逃がし先には最適と言う訳。
まぁ、逃がしすぎると総量が減ると言う罠が潜んでると言う事に今更ながらに気づいてシコシコ術式弄り直してる最中でもあるんだがそれは割愛。



で、そんなのが全部組み合わさるとオレとかが研究しているラボとか大学とかの結果ってのが目立ってくる訳だ。


大体こんな感じの情報がセル一個一個に格納されていて世界ってのはリアルタイムでその情報がリンクし反映され続ける事で成り立ってるらしい。
その上で物理的な方程式が云々とかになるんだとか。正直『アレの事か?』とか曖昧にしかイメージがわかないんだけどな。

ちなみに、魔力素子ってのは枠的には『モノ』と『ベクトル』両方の要素を持ってるらしい。
ミッドの研究結果やらの文献やらを漁ってはいるがミッド式・ベルカ式を含め『魔法』科学の世界においては
『そう在る物』と定義されて終わりになってしまっている。
ただ、虚数の空間においては一切の『式』が『否定』され、また通常においては『思考』や『思念』、『意思』と呼ばれるような特殊な『ベクトル』に
反応しやすい(精神エネルギーってコレなのかね?)独特な要素があるのは確かだ。
魔力素子融合炉やディメンション・ドライブは、素子の縮退反応の過程で素子個々を励起し『ベクトル』を増幅させ、周囲とのリンクを密にしていく。
んで保有するエネルギーが臨界を越えて融合が起きる。この反応があるから莫大なエネルギー源として運用が可能となる訳だ。

余談と言えば余談だがオレ自身も融合炉と言ってはいるが、魔力素子ってのは融合反応を起こして膨大なエネルギーを放出すると
自らの『質量』が維持出来ず『分裂』し、融合前の状態に戻ってしまう。
エネルギー保有状態では確かに『結合』ではなく『融合』している(質量変移とかは観測して実証しているから間違い無い)のだが如何にも解らん。
少なくとも、ディメンション・ドライブ内では最大で4回の融合反応を繰り返した素子が確認されている。
この素子の保有するエネルギー量は、最大で素子一個のエネルギーの16乗分と言う桁違いのモノになる。
素子の反応について均一化を図りたい所だが、まだ研究の半ばで吐き出し先の仕分けが出来る程度までしか式の調整が出来ない。

で、結論としちゃ、核分裂炉や核融合炉以上に再利用効率が高い、クリーンで制御の容易な反応媒体を利用する機関だなんて嫌がらせだって事。
永久機関じみた稼動が可能なのはコレが理由と言う訳。

勘違いしてはいけないのは魔力は純粋に『ベクトル』であり、特殊な要素である魔力素子とは違うと言う事。
オレ達が『魔法』と呼ぶ行為とは、魔力素子を集めてそこから『魔力』を汲み上げ、自身の精神波でコンバートし『式』を付加し、
世界に浮かぶ魔力素子に投射する事によって『反映』させ、その結果として『魔法』という解を得ると言う一連のロジックなのだ。
デバイスは精神波発生源の代替であり、演算支援モジュールであり、増幅装置であり、制御装置でもある。
脳波パターンやら術者の魔力波形をベースに追加演算したり波形の出力を増幅したり、レティスみたいな独立稼動型になれば各々での発信もする。


ジュエルシードやレリック等、所謂『魔力結晶体』と呼ばれる物は、素子一個辺りの保有魔力量が一段階レベルでの融合を維持出来る量のまま、
素子からの放出を完全に塞いで、素子同士を魔力で結合し固定化したモノだ。


で、その正体と言えば魔力と言うベクトルを全て『内側』に向けるというかなりの荒業、一歩間違えば核弾頭と変わりゃしない頭痛の種だったりする。
プレシアへの実験試料供給で生産している時に何度か生成設備が文字通りに『消し飛んだ』事があったのだが、
その原因が二段階以上に融合した素子がトリガーである事も確認されている。
あーでも無いこーでも無いと調べた結果はと言えば二段階以上の融合反応を起こした素子は『結晶化』の過程で自身を『中心』に
『結晶化』を促進(塩の結晶の出来方を見た事があればイメージ沸くだろ?)、一定量が集まると周囲の魔力と言う『ベクトル』を全て
自分に集めようとする術式にシフトする。最後の段階、中心の素子のキャパシティを超えた瞬間、周囲の空間を巻き込んで空間ごと消し飛ぶ。
消し飛ぶロジックは随分悩んだが、空間の正負反転に関する理論をリオンのオッチャンに見せてもらった時に
この辺が関連するんだろうと言う目星を立てた程度の推論が漸く立った所。



さて、そのエネルギー量が半端じゃない(まぁ、エクスタスとかから見れば大した事はないのだが)のは本編中にある演出の通り。

ただ暴走させて有り余るエネルギーで空間に干渉して次元震を起こさせても十二分に洒落にならないが、
本質は弾頭や炉のペレットとしての運用や二次的な式を付加しての戦略運用の方が恐ろしい。
任意の空間を問答無用で『消滅』させたり(次元震は魔力素子の共振と膨大なエネルギーによる空間への干渉を起こすだけだ)、
一定のフィールド下であれば物理法則を捻じ曲げることすら不可能じゃない。

究極的な話、見合うだけの演算システムと制御系さえ完成すれば某椎名作品に出てきた色々と書き換える『アレ』が実現可能だし、
マイクロブラックホールも真っ青な次元消滅弾なんてのはかなり容易に完成できるだろう。
ただ、結合を解いた瞬間指数関数的な勢いで保有エネルギーが減少するから某デバイスの如く色々と抽出に手間を掛けないと思う様に運用出来ない。
ただ、既に俺がヤッてしまってるし、他所の誰かがいつ思い付いても可笑しくないから如何ともしがたい所。



だからこそ無限かつ無尽蔵にエネルギーを生成可能なディメンション・ドライブはカウンターウェポンとなり得る訳なのだが・・・どうなる事やら。



・・・脱線が過ぎた。
で、肝心のロジカルドライブってのは動力さえ切らなければ大気圏内でも半永久的に空中に固定でき、
大気の摩擦もキャンセル可能な超科学なのだ・・・と言うが実の所、開発に際しオレは大した事はしていないんだな、コレが。


大声じゃ言えないが実はこれ、ワープ機関のスピンオフ技術でしかなかったりする。


ちなみに、此処で指す『ワープ』とは任意座標の空間の情報を『書き換える』事で実現したシステムだ。
細かい原理は俺もイマイチ解っちゃいないが、まぁ視点を変えれば色々転用可能という事だな。
何がって機体に掛かる各種エネルギーを含む全ての『ベクトル』が(制御に必要なエネルギーに目を瞑れば)全部制御可能なんだから。
その気になれば実弾・指向性エネルギー兵器、果ては各種魔力攻撃も含む一般的な攻撃手段は全て無効化可能と来たもんだ。

とまぁ聞こえは良いし確かにすごい技術なのだが、搭載しているリアクタでカバー出来る出力以上の攻撃が来たら問答無用でオワタ、
ついでに同程度の技術で開発された相手が出てきたらカウンターのし合いで泥沼確定と何気に微妙な仕様であったりする。

ちなみに現時点の限界ラインは一桁メガトンの戦術核1発耐えたらユニットがオーバーロードになって数分間は確実に無防備という貧弱振り。



で、パチった後はリアクタ共々全部まとめて総とっかえする事が決まっている。

コレだけの性能なのに何故って?

・・・このままじゃ魔力兵装の運用が出来んじゃんよ。ついでに法的問題でミッドの空も飛べん。イコール戦力としてカウント出来ないって訳。
それにリアクタ周りなんかはもっと効率上げれるし必要なスペースはもっと削る事が出来る。
推進系も今回得られた理論や色々やって得た技術(ホンチャン前にテスト機乗せない馬鹿が何処に居る?そういう事さ)をベースに
ミッド系の理論とかも混ぜればかなり楽しい仕様になる事だろう。







ちなみに、このあたりのメンドイ部分は半分ぐらいプレシアに丸投げした。
マッドの血が騒ぐのか、それとも変形後の意匠にキャロがときめいていたのを見たのか、えらく張り切っていた事だけは確かだ。

キャロってさ、一般的な『男の子』って訳でも無い(そもそもオニャノコ)のにゴッツいのやデカいのが好きってのは珍しいちゃあ珍しい。
まぁ、出身からしてそういう傾向は有ったのかも知れんが。
あと、ワンワンエリオは随分大きくなってきてて、最近じゃ時々キャロを乗せて家の中をウロウロしたりして、何気に女性陣延髄の的だったり。




地球、翠屋店内にて

「って事で任せた」
色々省いてとりあえず投げた。説明メンドイもん。資料あるから勘弁してくり。
「・・・相変わらずいきなりね。ま、良いわ面白そうだし。ところでアリシアとフェイトはちゃんと仕事出来てる?」


ふむ。そんなこともあろうかと、あぁ、そんなこともあろうかと、ずっと回してましたよ、えぇ。


「店内の防犯カメラの映像だが見るか?」


「「「勿論!!」」」
母さんに桃子さんまでPOPしよった・・・イベント発生ってか?



ちなみに、桃子さんの後ろにはリシェイドに飛びつこうとして『邪魔』と一蹴されて凹んでいる士郎さんとか
知らない間に違和感無くフリフリ衣装で給仕をする様になっていた美沙斗さん(年齢考えて自重しろよ~)とか
忍の『お出掛け』に置いてきぼり食らってチョットブルーな恭也とか微妙にカオスになっているがここはスルーしておく。


ちなみに、いつの間にやら忍は『3ヶ月』な。腹の中からやけに強い魔力を感じるのはオレだけじゃないはずだ。なのはの二の舞かなぁ・・・。


誰か忘れている気もするが・・・まぁ良いだろう、さして影響も無い。



で、ブイ流した結果は?と言えば
「・・・ヤダ」
「趣味走りすぎ」
「それ以前に違和感無く働くあの子達も・・・」

「あっるぇ~、働きっぷりが如何とか言ってたのになぜにオレの批判?」
えぇい、じと~っと汚い物を見るみたいにこっち見んな!!


「「「何で全員レース一杯のフリフリエプロンドレスなのよ!?」」」

「・・・えへ?」
「「「『えへ』じゃない!!そ、そりゃみんな可愛いけど・・・」」」

如何でも良いがあんた等よくはもるなぁ、マジで感心するわ。







・・・とまぁこんな感じでおもいっくそ丸投げして他の事に精を出すつもりだった。

魔改造とか魔改造とか絶賛放置プレイ中だった各デバイスのオーバーホールと強化とか魔改造とか・・・
うん、出来なくても構わないけどやりたい事は一杯有った。









そう、『つもり』だった。そのつもりだったんだよ、あぁ。








オセアニア某所
「で、コレは一体如何言う事かいの?」
「テロられたっぽいね」
「・・・だな」
軌道エレベータに乗って降りてきたと思ったらいきなりドカン。



『我々は"拘りのある革命家の集い"』
・・・冗談だろ?

「絶対あいつら○ルメタ読んでるな」
「って言うかそれ以外にありえないよ、あんなふざけた名前、そもそもあんなフレーズ日本人以外に思いつく人っていると思う?」
「いやいやいや、それ以前にこんな所テロって何の得があるんだ?」


そもそも軌道エレベータ自体がメガフロートの上に建造されてて逃げ道無しなんだ。
さらにエレベータ内の各種インフラも空気や食料等の供給以外は全て軌道上のメインステーションや質量調整ステーションで管理してる。
極端な話、地上ってゲートと地表との固定可能な施設さえあれば他は何もいらないから壊れても直ぐ対応できるんだぜ?


テロの対象として頂点にある質量調整ステーションの占拠・破壊なら地表落着の危険が発生する様になるからまだ解らんでもない。
だけど地表面にあるグランドステーションなんてゲート以外の価値は無い、精々人質に誰がいるかだg・・・あ。


「もしかしてオレ達がいるからか?」
「「まっさか~」」
「・・・だよなぁ」
走り出してるプロジェクトなんて別に誰でも引っ張れるしなぁ、オレ達にそれ程の価値は無いぞ、精々オレがチィと金持ってるって位?




と、頭の弱そうな連中に缶詰にされて(いや、魔法使って良いならあんなの瞬殺だけど無理っしょ、衆人環視のこの状況じゃ)
結局二週間ほど監禁された後の結果はといえば




------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------



「・・・港湾爆発?」
ありゃりゃ、豆狸と妹が管理局に入らなかったらそうなる訳?
『去年のアレと同規模程度でな、運が良かったのかは解らんが死亡者一桁で済んだ。あと噂の独立稼動ユニットらしき残骸も幾つかあったぞ』
はぁ・・・んじゃ原因はレリック絡みかねぇ。まぁ何でも良いけどスの字チョット自重しろよ~、オレ仕事したくないんだから。
「また災難だったなぁ、去年のアレと同程度って随分な災害だったんじゃねーか?」
『おぅ、ヒデェ目にあったぞ。ま、うちの部隊員からにゃ怪我人を出してねぇがな』
「去年の空港爆発で執務官一人後送しちゃってるからねぇ、まぁ良かったんじゃねーの?」
『ついでにギンガの初陣になってな、回りの評価も頗る高いし親としちゃ満足なんだが』

おぉ、ついに現場に出たか。まぁ如何考えてもあの仕様じゃ障害物破砕以外やれる事なんざ無いと思うがその辺如何よ?

「だが?」
『"クラッシャー"とか"ハードパンチャー"とか、あと"疾風の鉄拳"とかってなんともまあ微妙な二つ名も貰ったらしくてな。
当然ながら当の本人は気に入らなくて、言ってきた奴を問答無用で物理的記憶抹消してるらしい・・・ドッチもドッチなんだが笑えねぇよ』
「・・・殴られた奴は二三日お休み確定か、それで済んで良かったと思うべきかどうか微妙なラインだなオイ」




------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------



とまぁ、イベントが発生していたらしいのだが見事にスルー。
こういうネタは参加したいなぁとか密かに思ってるんだがどうもタイミングが合わないんだよなぁ・・・。


ん?

テロリストが如何なったかって?



最初は地元のチームが来たんだけど『バナナの皮を踏んでこける』という古典演劇的なギャグ行為をかましてくれて
結局全滅(不思議な事に死者は無し)、全員捕虜に追加という悲惨な結果に。


この時点で既に一週間。あまりにもグダグダだったので母さんに念話で話着けて食い物とか転送してもらってたのは内緒。
逃げようかとも思ったのだがゲートからの退出処理をしてなかったからログが残ってるのよね。
下手にハッキングして足が残るのも嫌だったし、まぁ急ぎの仕事は無かったからと言うのも有るのだが。


で、その後の交渉といえば最初に名乗り出た奴が病気でぶっ倒れるのはまだ良い。が、他に交渉出来るマトモな奴がいなくて
延々と『ダチ○ウ倶楽部』のアレみたいなグダグダな譲り合い・押し付けトークを延々と・・・。

とまぁ馬鹿らしい事をやってる内に準備整えてた守備隊のエースとかが軌道エレベータのメインシャフト伝って強行突入、漸く終わったという訳。
耐熱用の追加装甲を増設していたとはいえ、空気抵抗とか無視して強引にシャフト沿いに垂直再突入とかマジでビビッたね、うん。


こんなオバカなテロ事件のせいで色々厳しくなって、ソラに上がったりする仕事が色々と手間が掛かる様になり、前よりも更に余裕が無くなった。




・・・と、そんなこんなでオバカな事をしている内に72年が暮れてしまった。
貴重な時間を返せと除夜の鐘を聞きながら叫んでしまったが・・・来年頑張れば良いかととりあえず現実逃避。


それと、気が付いたらレジアスのオッサンが翠屋の虜になっていたのは気のせいだと思う。
あの厳つい顔のオッサンが黙々と可愛い系のデコレーションがされたケーキをチマチマ小さくフォーク入れて口に運ぶとか見るに堪えない。

けど山の様に買っていく上御得意様。だから文句は言わん。








おまけ、某所にて



「・・・ドクター」
「頭の中で『止められない止まらない』のフレーズがあふれて気が付いたらこうなっていたんだ。反省はしないよ」
ドクターと呼ばれた人間の背後には頭が痛くなる程のガジェットの山、山、山。
大きいのから中くらいの、小さいのに頭が悪そうなものと、バリエーションも豊富。
角付きにEWACユニット付き、砲撃仕様に高機動戦闘仕様、ナニをトチ狂ったのか近接戦闘専用型や極地戦闘仕様と銘の振られた物まであるらしい。
その奥には全身赤一色だったりトリコロールカラーだったり、緑一色や青一色等、原色でべったり塗られたモデルも幾つか存在し、
更にはガジェットとは似ても似つかない謎のシルエットも見受けられる。


おまけにドクターの横には『プロジェクト"G"』なる頭痛の種にしかならなさそうなプランの設計図3枚も存在していた。


「それは別にいいのですが」
「おや、○ーノ、何時もの君らしからぬ珍しい反応をするね。いつもなら『早く片付けてください』と顔を真っ赤にするのに」


どうやらこのドクターの『ものづくり』のトラブルは日常茶飯事のようだ。

だが今日はどうやら何時もと違ったらしい。




「・・・生活が色々と"圧迫"されてもう住めそうに無いので、
妹達を連れて此処を出て行こうかと思います。
今までありがとうございました」




ドクターに突きつけられたのは三行半だった。


「・・・え?ちょ、ま」




「何度薬撒いて駆除しても何処からとも無く"黒いアレ"が出てくる様な棲家はいくら現場慣れしている私でも流石に嫌だ」
「そうねぇ、この間もドクターのラーメンの中に黒いしょ「それは本当なのかい!?」・・・クスッ、冗談に決まってますわ」
「こんな環境ではポッドから出れない妹達の成長にも関わる、姉としては改善してやりたい」
「うぅ~、折角○ストのおじさんが買ってきてくれたケーキもやられたし、冷蔵庫の中も油断出来ないなんて私もう嫌だよ」
「・・・ケーキ、楽しみにしてたのに」

「グスッ、またライナーでアレ轢いちゃったよぉ・・・グチャって、グチャって・・・」
「ヒック、○ィードはまだ良いっスよ~、アタシなんて、ノズルにアレが飛び込んで・・・もうお小遣い無いのにヒドイっス・・・」





「ドクター、貴方がいけないんです。先月の振込みだって遅れた上に足りなかったのに、
最低限の掃除もしないで、経費だけに収めないでこんな無駄遣いして変な物ばかり作って散らかしたままにするんですから」





「ハハッ、まぁコレに懲りて、チョットは節制して、あと施設内を少しは綺麗に保てる様にしたら如何かな?ドクター」
「・・・ド○ーエみたいに仕事で居ないならまだしも、プーのクセにヒトの金勝手に使って年中何処かをフラ付いてる君に言われる筋合いはないよ」
地下施設でリシェイドとガチンコを演じたあのアンノウンも同じ住処に居たようだ。
どうやら義務を放棄し『社会の敵』みたいな事をしているらしい。代われるものなら代わってやりたいと思うのは**だけではない筈。




結論、世が世なら○の字と数の○団の結束は、意外と脆い物だったのかもしれない・・・。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十六節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:86199a75
Date: 2009/05/11 00:11


73年、4月

オレがばら撒いて作った住宅街の最後の空き家が埋まった。
実は区画整理する時にミスって一番外れの区画の配置が狂ってしまい、
土地は広めだが道路事情他が悪く随分値段を下げたのだが買い手がなかなか付かない状態だった。

「それじゃ、私はこの辺で」
「うい。にしても随分掛かったが、ようやく買い手が付いたな」
「ですねぇ。まぁアーリーズさんには色々と儲けさせて頂きましたし、チョット手間が掛かる程度はサービスにしますよ、では」
売買に絡む面倒事を丸投げしてた不動産屋ともコレでおさらば。

翠屋の店先で挨拶を交わし、中に戻ろうとしたその時


"グイグイ"
「ん?」
ナンジャラホイ?

「あ、あの・・・シェーニィ、私のこと、覚えて、る?」

・・・ってちょ、まて、マジか!?

「お、おまえ、もしかしてセインか?」


「ウンッ!!」

パッと咲いた花のような笑みを浮かべる薄青い髪の女の子が俺の横に居た。あと飛びつくな、危ないから。
いや、普通に可愛いだけならオレとしては問題は無いんだ。まぁ最大の難関としてなのはのプレッシャーにさえ堪えられるならだが。



だけどさ、いきなりコレは無いと思うぜ?



で、午後の穏やかな日差しが注ぐ翠屋ミッド支店の店内、コッチはもっと深刻な状況だった。

「まぁ大変だったんですね」
「えぇ、あの人も悪気は無かったと思うのですが流石に・・・」


・・・ナニを如何すればこの組み合わせでこんなカオスになるんだ?

「立場上私的だけにはなりますが、困った事があれば言って下さい。何かの助けになれるかも知れません」
「い、いえ。こちらこそ、こんな愚痴を聞いていただいてしまって。有名なシスターカリムに聞いて頂けただけでも・・・」
「それが私の役目ですから、ウーノさん」

そうそう、俺が提供した資料やらナニやらの関係で、カリムはチョット有名人だったりする。
俺が集めた資料が元になって『預言者の著書』の精度向上やら解読能力の強化も少しだけだが出来たし、
本来なら月の魔力に依存するシステムであったのだが改修した結果、対象期間を短くし条件指定を細かくする事で非依存で運用可能に。
それで簡易的に予言を汲み上げたモノ(星座とか血液型のアレと同じ様な感じ)を雑誌に載せたら大反響。
カリスマとまでは言わないが結構人気のあるコラムの連載もしてたりして、実は随分な印税を貰っていたりする。

それよか『あの』ウーノが某隔週誌の購読者だったとは・・・普通に主婦してるのか?




・・・にしてもよぅ、いやマジでさ、俺の知らない所で何が起きたんだ?
と言うかスの字は如何したスの字は。お前ら何処彼処でゴソゴソやってたんじゃないのか?





「ボソボソ(ねぇ奥様見ました?)」
「ボソボソ(えぇ、そりゃあもうバッチリ)」
「ボソボソ(ヒドイですわよね~)」
「ボソボソ(ホンマ、こない可愛い女の子一杯侍らせて外に愛人やなんてな~)」
「ボソボソ(しかもチョット○リコンの気もありません?)」
「ボソボソ(う~ん、セインちゃんそんな幼いかぁ?まぁちぃと発育は悪そうやけど)」
「ボソボソ」
「ボソボソ」


「ブツブツ(また女、知らない間にまた女・・・)」
「ボソボソ(な、なのは。殺気殺気)」
「ボソボソ(そ、そうだよなのはおねーちゃん。って、チョット黒いナニかが漏れてる!?)」
「ボソボソ(ウマウマ)」
「ボソボソ(パクパク)」
「ボソボソ」
「ブツブツ」
「ボソボソ」


・・・なんかカウンターの奥から色々と変なモノが漏れてきているが見なかった事にしよう。うん、そのほうがいい。
なんかモミジも居るみたいだが・・・あぁ、バックでまた馬鹿食いしてるのか、あの姉妹。失敗品の処理に困らないから良いけど。


「まったく、貴方も懲りない人ですね」
「・・・いや、その前になんでお前まで此処に居るんだよ?」

お前さん、履歴書の職業欄は『家政婦』、現住所は『97世界、地球、日本国、某県、海鳴』だろ?リニス。

「プレシアのお使いの帰りです。それに」
「それに?」

「クスッ、私が貴方に会いに来てはいけないのですか?」
いや、そんな微笑まれても困るんだが・・・ってなのは殺気強すぎ、あ~一般客が気絶し・・・チゲェありゃクロノか、ならいいや。

「い、いやいや、良くないし」
「お、リミエッタも一緒だったか。久しぶりだな」
この声聞く度に思い出すんだ、『にょろ~ん』とか、それかツンデレ金髪ロリ吸血鬼とか。オレもいろんな意味で末期だなぁ・・・。

「うん、久しぶり。それよりも随分繁盛してるみたいだね」
「おう、おかげさんでな。特にお宅らの某ママさん艦隊司令が一杯お金落としてくれるし」
『○ンディ茶』の恐怖さえ目を瞑ればあの人はナカジマ姉妹を除いて(そもそも比較する事が間違ってる)個人単独で一番食べるしテイクアウトも多い。
ウチの母親ズ同様に10年以上経っても全く見た目が変わらない理由については聞かない。
ちなみに、原作ではフェイトの事もあって早々内勤に移っていたが、この世界じゃ前線でバリバリ働いてるらしい。
いい金蔓だし口コミにも一役買っているので、素性やら身分やらさえ無視すれば非常に上等な顧客なのだ。


と思って油断していたら


「先月引退して内勤に変わったよ」
「え、マジで?給料減るからウチに来る回数も減るんじゃね?さすがにヤベェなソレ。また顧客確保頑張らないといけないのか?」
「・・・そんなに食べてるの?」
「ウチの売り上げの数パーぐらいはあの人なのは間違いない」

一桁パーセントと聞いて少ないと思うなよ。顧客数は順当に増えたし値段を正規の物にシフトした今でもその数は衰えていないんだ。

「ならまだ知れてるんじゃ」
「バカ言うな、初年度は割引もあってアレだったが今じゃ大口顧客も多いし、今のペースなら年商で億単位確定だぞこの店」

「・・・マジ?」
「マジ、大マジ。まぁ、普段の様子から察するに逼迫するのは先ずクロノの財布だろうが」

三回に一回は母息子の親子組で来てるんだもんな、毎度毎度付き合わされるクロノにはご愁傷様だが。


「あ、あはははは。・・・それはチョット困るんだけどなぁ」

ん?

「ところで今日はまたなんでクロノと来たんだ?前来た時は同期か何か女だけ出来たじゃねーか」
「あ~・・・うん。実は、ね」

ありゃ、フェイトが養子に行った訳でもないしフラグなんぞ立たんと思ったのだがコレはひょっとして・・・。

「つい先日、こういう関係となった訳でして」
と、すっと甲の面をこちらに向けて上げたエイミィの左手薬指に光るはソコソコ大粒の宝石。やっぱり三か月分なのか、そうなのか。

「お~、おめでとさん。で、式とかは如何したんだ?」
「実はその相談に・・・」


へ?





数週間後

・・・スゲェ顔ぶれだなオイ。
「軌道保安部の艦隊司令に本局上級指揮官辺りもチラホラ、ソレとは別で常連組のレジアス中将やら地上の有力士官も数人。
同じく常連組で義姉さん他教会関係者も幾らか。お店のスタッフは管理局総出でも勝てるか判らない測定不能とオーバーSSSを筆頭にSS前後だらけ。
参加している僕が言うのも何だけど、反体制組からすればテロしたいけどさせて貰えないただの嫌がらせだと思いますよ?」

「・・・ヌ~ッと湧くなロッサ。お前さんも随分久しぶりじゃねーか」

「えぇお久しぶりです、リシェイドさん」
「あぁ。そう言えばワンコとデバイスの調子は如何だ?」
「頗る快調です。マルチシフトのお陰で負担も少なく長時間展開出来て仕事も順調ですし」
「査察官だったか?」
「えぇ、数年前からある案件を追いかけてるんですけど如何も道が見えてこなくて」

何だろねぇ、戦闘機人関連だとネタ上げは大変なんだろうけど相手はほぼ判り切ってるからそんな話にはならんだろうし・・・。

「もう直ぐ挨拶も始まりますし、またあとで」
「おう、しっかりやれよ友人代表」


晴れやかな日差しの元、なぜか翠屋ではクロノとエイミィの結婚パーティが行われていた。



そんな晴れの舞台の裏側では・・・
「ウマウマ・・・チクショウやっぱりはやてのご飯が一番ウメェ!お替り!!」
「はいはい、そんな焦らんと、量はしっかり有るんやし、ゆっくり食べなあかんよヴィータ。ほら、シグナムを見習・・・!?」
「(コクコク)・・・、次のメニューをお願いします、主はやて」
「・・・アンタも腹ペコライオンの物まねなんてせんと、もっとゆっくり味わって食べや」


「にゃはは、二人ともずっと働き詰めで中々海鳴りへ帰れなかったからね」
「月一で帰れるか如何かのペースのシフトだったし、こんな機会でもないとはやての料理をお腹一杯とかは出来ないからしょうがないんじゃないかな」

「ヒソヒソ(此処一年位の話なら、別に仕事の合間に翠屋へ食べに来ればよかったのにと思うのは私だけ?)」
「ヒソヒソ(アリシア、ソレは言っちゃ駄目だ。こう云う時はな、言わないのが優しさってもんなんだ)」
「ヒソヒソ(ふ~ん、ところで、後ろで滝のような涎垂らしてコッチ見てる欠食児童二人はどうするの?)」


「も、モミジねぇ。私も食べたいよ~」
「ねぇさん。私もスバルに同意」
「流石に関係者じゃないし、二人とも今日は抑えて、ね?」
「「うぅ・・・」」


「ヒソヒソ(無視)」



各勢力ぞろいぶみだな、何気に。

色々と微妙な顔ぶれなお陰で時々熱視線の応酬やらも感じられるが・・・まぁ細かい事は気にしない。
この店で乱闘騒ぎ起こしたらなのは直々の二時間耐久大『OHANASHI』会と、おまけでオレ直々の『出入禁』通知だからな。
初見の『海』連中はアレにしろ、入り浸りの『陸』連中なら流石にバカな真似はしないだろ。

偉くなると大変だよな、世間体も有るから赤提灯で顔真っ赤になるまで酔っ払う事も出来ないし風俗で鬱憤晴らしも出来ん。
でもって管理局の仕事って忙しいからそもそもそんな所良く余裕も無い、と。そりゃ何かに逃げたくもなるわな。

お陰でウチの店が繁盛してるってんだから何とも。
そう言えばリクエストに『糖尿病患者の為のヘルシーメニューを』なんてのも有ったっけか。
いや、そもそも糖尿病患者がこんなプリン体やら糖質やらの塊である洋菓子を口にしている時点でものすごくNGなのだがその辺如何よ?



そんなこんなで、ボチボチ『宴も酣』な場に成ってきたし、メインであるケーキの投入だ。まぁ色々と罠も仕掛けてあるが。




ガラガラと引かれてくる二台の台車。こう言う場だとテスタロッサ姉妹が栄えるんだよな~。
「お待たせしました。特注メニューの壱、『翠屋の結婚式』、そして」
「新郎であるクロノ・ハラオウン氏の提督就任祝いとして、乗艦先であるXV級戦艦のミニチュアケーキを御用意させて頂きました!」

「「「「・・・凄い」」」」

態々桃子さんまで動員して一週間掛りで拵えた特製細工だ。
「なお、こちらのミニチュアですが、公証の仕様を元に寸借1/120として全て食べられる物で精密に再現させて頂いております」



「XV級か~、ウチにも一隻ぐらい欲しいなぁ」
とは軌道保安部の弁、ぶっちゃけスゲェ暢気。

「お、若手のプッシュで着ける事になった対空砲座も再現済みたぁ芸が細かい」
「アレってプレスリリースの情報ほとんど無かったはずだろ?良くこんな情報拾ってるな、この店」
ただただ、その細工の出来に感心している『海』関係者。

「これ一隻分の予算で何人地上の現場要員が確保出来るか・・・」
「ランニングコストだって一体どれだけ・・・」
前の二組とは対極的に厳しい目で見ている『陸』関係者。

「フン、NT対策で総計120隻の新造艦配備か、そんな物それだけ役に立つか判った物では無いのに馬鹿な連中だ」
「お、お父様駄目ですよ」
と、裏話を零し、ソレをあわてて抑えるゲイズ親子。

で、艦長となる主役である筈のクロノはと言えば
「・・・新造艦に乗れるのは嬉しいけど、僕自身、このフネがいくら集まった所で役に立つとは到底思えないんだよな」
「あ、あははは」
と、半ば諦め。エイミィもそんなクロノの呟きを聞き苦笑い。





本局広報の発表では『戦力の維持の為』となっていたが、彼らの本音はただ一つ。

『ナノハ・タカマチに勝つ』

全てはこの一言に集約されていくだろう。


9歳の時に受けた嘱託試験では、既に陸戦隊を中隊単位でなぶり殺し状態。
時が経ち、今じゃ軍団規模の戦力でも正面から押し切られる事が確実視されている。

魔導師至上主義の傾向が強い本局系の人間からすれば、ある意味なのはは理想の存在であり、また最大の『脅威』でもある。

本局上層部は恐れている、『あのナノハ・タカマチが翻意を起こしたら如何なるか』と。
・・・対極的に地上本部は『アレはもう何が如何なろうと諦める』と言うスタンスとなっているのが何とも微妙な所。


その結果、本編ではそれ程でもなかったXV級戦艦の建造が、この世界では大増産を呼び込みとんでもない事となってしまった。


だが彼らは失念している。


なのははまだ『本気』を出していない事を。

なのはのバックにはリシェイド・アーリーズと言うある意味究極の『○チガイ』が居る事を。

そもそも、リシェイドに何か起きない事には、なのはは全てに対し「だから?」で済ます気満々である事を。



だから、いくら艦隊を強化しようと如何しようと余程のブレイクスルーが起きない限り勝てないし、そもそも今の状態が続く限り戦いも起きない。



「まぁ、『無駄金ばら撒き乙』だな」
「・・・随分ぶっちゃけていますね」
「カリムか、向こうは良いのか?」
「えぇ。挨拶も済ませましたし、そもそもあまり良い目で見られていませんから」
教会の立場って意味ではそうだわな、お前さんの能力とか個人的な面では全く別だが。
「そりゃしょうがないさ、にしても本当に無駄な投資だと思うぜ?
何隻戦艦揃えたってなのはがブチ切れて全開放すれば個人で極所次元震起こして一方的になぶり殺しにする事も出来るんだ。
次元震起こさなくたって本気で砲撃すれば数発で本局ステーションを艦隊ごと消し飛ばせるってのにナニ考えてるんだか」

「・・・あの子の凄さって日常からではそこまで判りませんから、実際やり合うとか」
「やったら色々と悟るだろうな、まぁ実際にやりあった奴の半数は局員辞めてるっぽいし。あと常時リミッターの余波ってのも大きいな。
なまじ中途半端に常識はずれな馬鹿魔力が見えるせいで、本当の力が判らなくなっちまう」
「1500万が中途半端と言い切る貴方も如何かと思いますが・・・」
いや、なのはもそうだがオレ自身もレティスやらエクスタスやらのお陰で理論上は上限無しで運用可能だし。
なにより、タカマチ特例で填められたリミッターもなのはの環境順応能力によって何気にどんどん上積みされており、
『半分を割る値』と言う1200万前後まで押さえられていた筈の魔力は、知らぬ間に1500万近い値を出す様になっていたのは内緒の話。



1500万で総量の40%チョイだぜ?って事は定格なら振れ幅見込んでの概算で約3500万になっちまう。
・・・絶対此処のなのはは人間じゃねぇ、人の皮を被った別のナニかに違いない。
オレやら母さんやらプレシアやらの見積もりだと3000の大台には届かないって予想してたのに、管理局の色気がこんな事になるとは・・・。




「リシェイド」
「ん?・・・主賓が一体如何した?飯が不味かったとは言わせんぞ」

そうじゃないと苦笑いしながらカウンターに控えていたオレに寄ってくるクロノ。
チョット視線を動かすとエイミィは女友達数人と喋ってるらしく、姦しいグループが出来上がっていた。


「随分と豪華な顔ぶれな気がするけど気のせいか?」
「その内の六割が常連だって言うんだから頭わりぃぜ。翠屋のネームバリュー舐めんなよ?」

『六割』という数字に一瞬"キョトン"とするクロノ。

「・・・地上の士官をどれだけ押さえたんだ?」
「最新の調査じゃ、地上本部は翠屋製ケーキとコーヒー、紅茶の供給を一週間止めるだけで機能が一割止まって効率が最大で三割落ちるらしいぞ」
今度は"ポカーン"と情け無い感じに口を開け『ハァ?ナニ言ってんだコイツ』といった視線でリシェイドの目を見る。

「アンケート調査やら売り上げ状況やらを調査した結果だ。悪いがコレはガチだ、ネタじぇねぇぞ」
「・・・洒落になってないな、ソレは」
「気が付いたらこうなっていた。知らぬ間に優先防衛施設のひとつにカウントされていた。正直冗談は勘弁して欲しいと思ったが逃げられそうに無い」

オーリス調査の資料によると、ウチのケーキを部下に差し入れしたか否かで上司の評価が二桁位は動くんだと。
事務方、それも女性陣の評価はこれ一点に尽きるとか。その関係で入り浸りになってるレジアスの評価が此処半年で鰻登りらしい。
正直冗談にしか思えなかったが、それが本当の話と知って店員および関係者全員が例外無く愕然としたのだった。



「で、本題は?」
「あぁ、ロッサがチョット呼んでるんだ・・・裏、良いか?」
頷くオレを見てクロノ、そしてロッサの三人でバックヤードの資材庫に入る。念話でスタッフにも
『ワリィ、裏で悪巧みしてくる』
と一言。




で、資材庫内。
「コレを見てほしい」
そう言ってロッサが映したのは『陸』『海』関係無し、各所の内偵調査のデータだった。

「んだ、コレ・・・ブッ」
「コレはまた、テンプレと言うかなんと言うか」

明らかに収支の数字が可笑しい。
「まぁ、ウン。二人の予想通り、所謂『裏金』って感じだね」
「ヤル気ねぇなぁ、オイ。何だよ、この収支の差は」
「何処を如何すればこんな金が湧いて来るんだ?」

日本でも見られたカラ出張等を利用した所謂『貯蓄型』も幾らか見受けられた。

だが、最も頭が悪かったのは

「此処を見てくれ、評議会と資材開発関連の部署、あと人事局それぞれの上層部。明らかに『多い』んだ」
「・・・貯蓄にしちゃ多いがソレの財テクって考えるには少なすぎるって・・・あ~コレはアレか?」
「微妙なラインだな、しかもここ数年の数字の推移は完全に同じ値、増額した時の値はいつも近似・・・アレだな」
「事務手続き的には一切不備も無かった、如何も局内では無いみたいなんだ」


「また面倒な案件だな。オリャシラネ・・・ロッサご愁傷様」
「僕も関係ないな、ウン。僕の関係者も引っかかってなさそうだし、まぁ頑張ってくれ」

「え?っちょ二人とも!?」
「「オレ(僕)に如何しろって言うんだ?」」
いやマジで。

「額からしてソレ如何見ても外注か何かの経費のピン撥ねだろ。献金にしちゃ少なすぎだもんな」
「外郭団体と下請け関連を虱潰しに調査するしかないだろう。僕らの出る幕は無いよ」


『答えは出た。後は任せる』とロッサの肩を叩いた後置いて出て行く二人。


この時、もうチョット親身になってロッサの話を聞いて調査を手伝えば良かったと後悔するのはもう少し先の話。






おまけ

メラメラと燃える建物を背景に
「・・・つれてく」
「そうか」
黒い影が二つ、大きい物と小さい物。他に動く物は無い様だ。
小さな影の主の手の中には人形のような物が握られていた。


一週間後
「クラナガン大の古代ベルカ研究施設で爆発事故、ねぇ・・・」
「えぇ、未検証の発掘品も少なくない量が紛失してしまい、チョット騒ぎになってるんです。
ウチも少なくない額の援助をしているので他人事ではありませんし」


そう言えばなんか忘れてるんだよなぁ・・・まぁ良いか、どうせ大した事じゃねーだろうし。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十七節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:86199a75
Date: 2009/05/24 21:49

「"短距離ワープ成功!"」
モニターが並ぶ広い部屋の中は熱気で包まれていた。


「あ~あ、この後如何なるか知らない連中ってのは暢気だねぇ」
「くすねてく君がよく言うね。ま、本番と言えるデータも、十分に取れたと言えるし、
後はVR環境でシミュレーションを繰り返せば完全な実用化も直ぐかな?」
「hideの頼みも漸く片が付く訳だ。色々と楽しめてよかったよ」


「"続いて長距離ワープの試験航行に移ります。エネルギーチャージ開始、カウント・・・8"」
何も知らない一般スタッフ達は、固唾を呑んで人類の新しい一歩と言うべき出来事の始終を見届けようと目を凝らす。


「さて、弄るかね」
「座標特定用ビーコンとかを破損させて、更に魔法でジャンプアウトの瞬間に別の座標へ飛ばすんだったっけ?」
「随分メンドクサイやり方だな」

「確実にやらないとばれた時が怖いからな。あの程度の質量ならウェイトタイム無しで一気に飛ばせるから問題は無いさ」
『と言う訳でレティス、任せた』
『了解です。転送先は予定通り?』
『おう、"ネタ部屋"の特設ドックだ』

以前に拵えた地下施設、あそこの拡張は既に済ませてある。更に転送魔法を使う為レティスもコッソリ艦の中に忍び込ませてあった。

「"2、っ!?ビーコンユニットに異常発生!!停止処理が間に合いません!!"」
「転移先の予定座標に待機させてある回収チームに連絡を!!」
「エンジニアは最後に受けた動作ログを確認しろ!!」

室内は怒号と罵声、そして悲鳴、項垂れ嘆く様相へと移っていった。



あんたらにゃちとすまんがこちらも要りようでな。ワリィがコイツはオレが頂いていく。
「"ワープシークエンスエンド。機体、ロストしました・・・"」





で3日後、件の地下施設。
「よくもまぁ誰にも知られずにこんな場所を用意したもんだ」
「ホント、驚くとかそう言うのを通り越して唯呆れちゃうって感じだね」

「その辺は『魔法』の一言で」
「「ヒデェ」」


オッチャン二人を引き連れてオレ達が今居るのは海鳴の郊外、アーリーズ家の地下深く。プレシアも巻き込んでの大土木工事+魔法処理による大空間。


そう、オレが買った25や○ルトニウスも収めてあるあの空間だ。

「・・・それにしても」
「何処と戦争する気だ?この数は流石に尋常じゃないぞ」
「ん?」
あぁ~・・・最初のワンセットじゃ飽き足らず予備パーツ込みで大分買ったっけか。
「バラしたのも含めりゃ、空自のカウント方式でドッチも一飛行隊分にオマケ位はあるんじゃねーかな」
「ウッハ」
「確か12~20機だったか?・・・馬鹿だ、此処に馬鹿が居るぞ」

はっはっはっはっはっは、馬鹿で結構。

「コレでもかってぐらい儲けたから問題は無ぇ。レアメタル鉱山とかも前に幾つか買ってるし、資産運用も順調で収入にゃ困らん」
そもそも、此処に有るのはロットで買ってるからまとめ買いの割引で一機分はタダ同然なんだよな。
ここ数年コッチの資産は使って無かったから(代わりにミッドの方は稼げども稼げども全部右から左に消えてくし)
何だかんだで雪ダルマ式に増えてて随分と恐ろしい事になってたんだよな。
ついでに一般資源の価格も年々頭が痛くなる程下がっていったお陰でこんな馬鹿な買い方が出来たんだけど。


「でも如何するんだい?」
「何が」
「いや、あの艦だと組み上げ状態なら精々4機がいい所だぞ、搭載数」


「・・・は?」
え、マジで?



「ほら、原作思い出しなよ」
「あ~・・・なんかウゼェボスが居た位しか思い出せねぇ」
最初は倒す順番解らなかったり回避ミスって殺っちゃったりで何時間掛かった事か・・・ST攻にブレイクかデス着けて二周目は15分程度だったけど。

「そもそも搭載出来るであろう胴体部のサイズがサイズで、オマケに昇降用ハッチがあのサイズだぞ、お前は1stの作画の悪夢を再現する気か?」
・・・そんなに狭かったっけ?

「っと、持ってたっけか・・・あ、有った。ほら、コレ」

とエメリッヒが出したのは○Podたっち。知らん間にディスプレイ上への空間投影やら空間タッチ機能やらが付いてた超ハイテク。
『俺』が死んだ時ってこんなの無かったよなぁ・・・時代って変わるもんだと改めて実感。

「・・・ありゃりゃ」
「で、実物がコレだ」

オッチャン二人が見せてくれたのは元ネタの風貌が良くわかるマップのSS(某究極本抜粋かは知らん)と此処に運び込んだブツの生写真と概要図。


「・・・狭いな」
マジで狭い。25ならガウォークでかなりスペースを誤魔化せるかもしれんが、もう片方は融通利かんし厳しいか・・・。
出入りも本当にギリギリのスペースしか無いっぽい・・・ヤベェ、やるしかないのか?エルザからエルザII並みに魔改造するしか・・・ッ!?


「だから言ってるじゃないか」
「ああ、この艦は狭い」

参ったなぁ、そこまでする根性は無いんだよ、メンドイし。


『"「'ウフフフフフッ、私の出番の様ね!!'」"』

と空間一杯に響き渡るえらくテンションの高い声。

は?
あの未亡人ナニ騒いでる訳?
アンタこの時間はいつも洗濯とかしてるじゃんよ、こんな所にまで転送魔法展開して何してるんだよオイ。


「うをぉ、何だこれ!?」
「何も無い地ベタが光ってる!?」


魔方陣からニョキっと沸いてきたのは

「私に任せなさい。リアクタ周りも込みで思いっきり仕込んであげるわ」
「・・・もしかしなくても、張ってた?」
「勿論、漸く仕事が出来るってモノだわ。最近暇でチョット研究欲に飢えてたのよね」
あ、頭ワリィ・・・。ってか知らん間にアンタの所もオレの脛齧ってたんだけっか、何だかなぁ。



「り、リシェイド」
「あん?」
「あの人は一体誰だ?」


あ~・・・そう言えば紹介してなかったな。
「オレの母さん学生時代の先輩で魔力エネルギー機関研究の第一人者、プレシア・テスタロッサ女史。ちなみに今年18になる双子の子持ちで未亡人な」


お~?エメリッヒがプルプルと・・・
「ちょwwwwwベッピン未亡人ktkr!!」
「・・・やかましいぞ」

で、毎度のパターン。

「少し黙っておけ!!」
「うはwwwwwおヘブシッ!!?・・・は!?ぼ、僕は一体・・・」
何処から途も無く召喚されるハリセンが唸りをあげて叩き潰す。


「ナニ彼?」
「さぁ?一週間に一回はあんな感じだぜ?」
リオンのオッチャンも付き合い良いよな、普通は愛想尽かすぜ?あんなの相手にしてっと。
ん?何処かで見た気が・・・あぁあれか、『○る夫』と『や○ない夫』の関係か、なら納得だ。


「・・・そのスタイルで2児の母親か、ナニを如何すればそんな体で居られるのか全く持って理解出来んぞ」
「それ以前に思いっきり年齢不詳だよね。僕らとそう変わらないと思うんだけど」

ちなみに、母さんことクレア・アーリーズは御年4○歳(言ったら殺される)。
だがオレが『目覚めた』時の姿のまま今現在を生きてるってんだから頭が痛い。
当然、彼女は町に出歩くと当たり前の様に二十代、『女子大生』とか、酷い(この表現が正しいか如何かは解らん)と『女子高生』に間違われるらしい。

同様に桃子さん、プレシア女史も似たような物。流石に桃子さんは旦那の士郎さんが居るので『若奥様』で完結するのだが
プレシア女史の場合はウェーブの掛かった腰まで有る長い髪や、露出度の高い服にモデルも真っ青となる様なグラマーな色っぽいボディライン、
それらを含めて全身からあふれ出る独特の妖艶な雰囲気もあって『(Sな)お姉さま』な目で見られていたりするのだがソレは余談。
時々翠屋で「あの人になら踏まれても良い」とか寝言をほざく馬鹿がPOPするのは気にしない。言った直後『裏口』逝きだし。

コードネーム『奥様ズ』のナニが凄いって?

・・・この歳になっても胸が垂れてないんだぜ、いやマジ(某セクハラ娘談)で。勿論詰めてる訳ではない、天然100%のホンモノだ。
で、肝心のプレシア女史は母さんより更に大分歳年うゲフンゲフン・・・呆れてモノも言えねぇってのは真にこの事。


尚、後日翠屋+奥様ズをヲタ二人に紹介した際、例によってエメリッヒは暴走、桃子さんに飛び掛る寸前に士郎さんが放った
徹の籠められた菜ばしの投擲を人中に喰らい仰け反ってダウン(プラス2mのノックバック付)。そして気絶する直前

『大丈夫だ○、答えは獲た・・・ガクリッ』

と、ファンになぶり殺しにされそうな妄言を吐いた上に胸の前辺りで渾身の出来と言うべきサムズアップと満足げな表情+前歯キラリが。
無論、当人が正気に戻った際にはそんな事全く覚えておらず、ただ『ど~も額が痛いんだよな・・・』と眉間を摩ってつぶやいていた。
慣れたリオンやオレはいざ知らず、他の面子がドン引きだったのは言うまでも無い所。
あと、釘と同じ声であるアリサと遭遇した際にも一騒ぎあったのだが・・・最後に泡吹いて股間を押さえ悶絶していたとだけ言っておこう。

その時のアリサの台詞
『フンッ、やっぱり男は犬ね。見境が無いったらありゃしないわ』
一般客(主に男性)の鼻息が荒くなってやけに店内に熱気が篭っていたのは気のせいではない筈。



閑話休題。
この後ヲタク4人で大いに盛り上がり、ドンチャン騒ぎの中、魔改造大作戦となるのだが・・・ひとつだけ言える事がある。

よく『危ないモノはまとめて隔離』って言うだろ?ありゃ嘘だ。

こいつ等(オレも人の事言えねーけど)まとめて部屋に叩き込んで置いてみろ、一週間放置したら何が出てくるか解ったモンじゃねぇ。


「危険物の計算は足し算じゃねぇ、ありゃ如何考えても乗算・・・って核分裂と一緒かよ!?」
「ナニ馬鹿な事言ってるの、アナタが一番ノリノリだったじゃないの」
「そうよ?最初はメンドイから任せたって先輩にやってもらう積もりだったくせに、結局最後まで一番首突っ込んでたのは何処の誰だったかしら?」
「・・・バカだね」
「あぁ、バカだな」

「ギャフン」
あ・・・眩暈が。

「リシェイドの毛の生えたハートに9999のダメージ。リシェイドは戦闘不「って殺すな!?」フム、起きたか」
「ほら、仕上げ仕上げ。コレは君の仕事だ、って言うか君しか出来ないだろ?」

・・・やっぱり?

「メンド。はぁ、レティス、管制システムセットアップすんぞ、手伝え。エクスタスも起動しろ、ついでにTypeIロード」
「ハイハイ、本当にマスターは『口ばっかり』ですね。そう言っておいてもう準備完了してるじゃないですか」
『全くです。その辺もマスターの『味』なんでしょうけどね』
「フフ、ですね」

あ~・・・まぁ『昔』っからそうなんだよな。うん、お陰でだいぶ損したっけか、今じゃ懐かしいが。

「ホレくっちゃべってないで頭回せ、手を動かせ。システムとリンクしやがれ」
『TypeIスタンバイ完了。メインフレームと接続確認。全ユニットとのリンク処理を開始します』
「メインデッキのエネルギー系手動立ち上げ処理完了しました、セットアップ作業第二段階へ移行します。
CSU(Core System Unit)の起動を確認。TypeIのアーカイブユニット、リンクしました。続けてデータコピー作業に入ります」


CSUはこの艦の要、メインフレームとは別で用意した完全独立駆動型の艦全体の統合管制システムだ。
メインフレームやサブフレームを含む他の全てのシステムが97世界由来の電力駆動を前提とした仕様で開発したのに対し、
このユニットだけは持てる技術の全てを注ぎ込んで魔力駆動とのハイブリッドにしてある。
『"Hello World! Good Morning EveryOne!!"』
「・・・馬鹿な挨拶してねぇでさっさとテメェも仕事しろや。ホレ、環境変数打ち込んでやるからさっさと適用しろ」

そう、この馬鹿でかい戦闘艦のコアはデバイスなのだ。

『ひ、酷い。私はまだ起動二回目なんですよ。そんな私に何をしろと?』
「そんだけ饒舌なら十分お頭は回るな。さっさと艦のフレームを自分の制御下に置け。んで艦内環境のコントロール開始しろっての」
『むぅ~・・・。各フレームリンク確立。上位ユーザー権限にてコントロールも確保。コレで良いんですね?』
「上出来」
『ところで』
「何だ?」


『・・・私の名前って何なんですか?まだ伺って無いんですけど』



あ、ヤベッ、付けてねぇぞ、ってか完全にスルーしてた。



「なら、"エンシェリオン"は如何かな?」
「開発コードか。ソレはアリかも知れんな」
「なんだソレ?如何にも厨って感じの臭いがプンプンするフレーズだけど」

エメリッヒの口から出た謎の名前。
リオンが言うには開発コードらしいのだが、俺は聞いた覚えが無い。

「あぁ、リシェイドが加入するに当たって艦の仮称を検討した事があってな」
「その時に三人のネームから適当にイントネーション引っ張って韻の良さそうなの作ったら"Enshelion"になった訳」

「・・・お前等本当に国籍偽ってないよな?」
オモイックソ『ゆとり』日本人が浮かべそうな厨ネームじゃねーか。中二病患者のオレとしては別に構わんが。
「「・・・キ、キノセイジャナイカナ?」」

ハァ、もういい。
「という訳でお前さんはエンシェリオンな」
『はぁ』
『私やレティスもシステム名称の単語の頭文字から捩った名前ですし、お似合いと言えばお似合い?』
「そういえば他の姉妹機達は完全に仕様から独立した名前でした・・・もしかして、依怙贔屓ですか?『どちら』とは訊きませんが」

「・・・個人的にはお前さん達みたいなネーミングの仕方の方が好きなんだが、その辺は感性だもんなぁ」
『外』で運用される他のユニットにゃ悪いが、名前から仕様が推測される可能性だってある。
その意味もあってかなり意図的に俗っぽいネーミングで自分で使う以外のデバイスの銘をつけた訳だ。ま、リィズは例外だがな。



で、三日かかってセットアップが済んだのは良いんだが



「ナニこの出力」
「気張って最新鋭の魔力ハイブリッド炉積んでみたんだけどな、正直やり過ぎたっぽい」
「炉心の内壁を通常素材の立体構成結晶体に魔力結晶体を封入して形成したの。理論上では炉の耐久力はかなり跳ね上がって、
全力で回し続けても多分100年単位は持つ筈よ。少なくとも私達が死ぬまでは完全にメンテフリーね。
オマケにディメンション・ドライブの理論辺りも参考に色々と弄ったから非魔力系のエネルギー獲得量も従来の数倍はいけるわよ?」

『そんな事言ってないで早く制御系の調整して下さい、出力高すぎでコッチのコントロールだけじゃギリギリなんですよ~』

レティスのアクティブ・ボディやモミジの体の時には十分イケルって思えたんだよ?
サイズデカくしていったら予想以上に出力も洒落にならなくなるでやんの。
しかもプレシアの奴が嬉々としてMADパワー全壊(誤字に非ず)で手を加えていくのだから・・・まぁ結果が全てか。
良いのか悪いのか正直解らんレベルの誤算だったとしか言い様が無い。


ふと思うんだ、XV級なんぞ量産してないでコイツ何隻か作ればなのはと戦えない事も無い、と。
まぁ小回り利かなくて叩き切られるのがオチだろうが、な。


「防御用のフィールド出力はジェネレータの関係で変わらないのにな」
「正直まだ勉強中、あと一年は弄れねぇな」
ってかコッチは関連する論文多すぎで無理。冗談抜きで解らん分野も多いから付随するモノも調べないと手も着けられない。
知らん分野に手を着けるってのは応用系の宿命だから別に苦にもしないし慣れたもんだけど流石に幅が広いからキツイ。

『マスターマスター』
「ん?どした」
『ト○ンス○ォーメーションって叫んでも良いですか?』
「・・・自重しろ。あと此処じゃ生き埋めになんぞ」

『早くソラを飛びたーいッ!!』
気持ちは解るが、まぁ待て。具体的には2年ぐらい。







と、そんなこんなで73年も夏真っ盛りな時期となった。うむ、時間が経つのが早すぎる。






おまけ:ある転生者の叫び

『オッス、オラ(ピーーーッ!!)、お前ら元気にしてっか?』
「一人で何してるの?ほら、早くいこ!!」


サブタイ『気が付いたら○○ですがナニか?』


改めておれの名前は「XXXX」・・・また表示出来んかったぜチクショウ。

話せば長くなるんだが、


バイト帰り


途中のコンビニで肉まん買った。


頬張りながら横断歩道を渡ろうとした


トラックに跳ねられた


起きたらここにいた   <-今此処





オイそこ、『ハイハイテンプレテンプレ』とか思った奴、オレはテンプレじゃないぞ。



なぜならオレをひいたトラックはメ○セデス製だ!断じて○野の4トンじゃねぇ!!


注):冗談抜きで漫画やアニメで出てくる『トラック』の大半は日野の4~6トン車(のデザイン)。
  稀に10トンやマンモスサイズ(ギャグか運び屋さん)も出ますが・・・マイノリティなのは否めない。

  昔の作品だといすづ(のデザイン)なんかもよく見かけたんですが最近は日野ばっかりで面白くないです。
  流石にドラマはスポンサーの影響があるのか結構バリエーションも豊富。でもやっぱり日野が多い。
  日産?三菱?あぁ・・・株で大損こいたしシラネ。


でだ、気が付いたらなんか硬いモノに押し込められてたんだな、コレが。
最初は
「ウホッ、人外生命モノktkr」
とか
「マジ厨クセェw」
とか思っちゃった訳よ。

ところが、だ。

いつまで待っても出られる感じがしやしねぇ。
しかもなぜかは判らんが目が見えねぇんだよ、冗談抜きで。だから『硬いモノ』なんだけど。
んで暴れ回って(本人主観)漸く這い出せて目を開けられたと思ったその先には



「ぉ~~~~っ!」



何だ、ピンク頭のロリっ子か・・・じゃねぇよオイ!?



『まさかまさかまさかまさか』
ギシギシ言って動かない体に鞭打ってそ~っと股を覗き込むと

しろい、白いぜ。
股なんて毛の1画目分も生えてねーよ。
しかもなんか尻尾みたいなのまで生えてやがるぜ・・・。

なあ神様

おれフリードか?

フリードなのか!?


三期のDVD、TVの作画の悪さで買うのやめたのがいけなかったのか?


と、これから来るであろう苦難な道のりにorzしながらおれの第二の人生はスタートした。

でさ、キャロ可愛いよキャロ。
もう、ね?死ぬ前は自他共に認める○リコンだったおれには本当に眼福な訳よ。
胸元で抱かれてる時に顔をこすり付けてフンカフンカしたらもう幸せ一杯なんて騒ぎじゃない。

魔力暴走とか言うので『○意の波動に目覚めた』モードになった後だとキャロの魔力で一杯だから体の心から楽しめる訳。
しかも事が終わった後は名残でお肌もつやつや精気もバッチリ、本当おれ最低だなって笑って言えるんだぜ。
まぁ何年かは不遇だろうがエロ役執務官に拾われればとりあえず問題ないし、
キャロはショタにはやらん、抵抗して抵抗してずっとオレのモンにしてやるんだ!!


とか妄想を膨らませて、馬鹿みたいな幸せが続くと思っていた時がおれにもありました。



71年、某日
それは山の向こう側からやってきた。


おれ達の頭張ってるヴォルのアニキがキャロの暴走で呼ばれたのはいつもの事。
だがその日は違ったんだ。もう本能で消えるか如何かってぐらいに薄くなった記憶が
その一瞬、一発でフラッシュバックするぐらいにその衝撃は凄かった。



「じゃぁ、少し静かにしよっか・・・。エぇクスっテンドぉぉーーーー・・・ブラスタぁーーーーーーー!!」



魔王様や、魔王様が来たんや!!




いやさ、その時は全く気付きもしなかったけどさ、何でこんな田舎に来てるのかチョット意味不明なんだよ、原作完全無視っぽいし。

最初は話聞こうと(当然キャロの胸の中だが)けどありゃ無理だ。

近づいただけでビリビリ来る。
幻想種甞めんなよ?ヒューメンと違っておれたちゃBINKANなんだ。
木綿と絹漉なんて次元じゃねぇ。卵とゴマぐらいチゲェぞ、よく判らんけど。

まぁ、目を一瞬合わせただけでその覇気に圧倒されて気絶してたのは内緒な。
無論怖くて近づくのも顔を向けるのもイヤ、って事で目覚めた所がねぐらのテントだったから
箪笥の陰に逃げて頭隠してじっとしてたんだが・・・やられた、おりゃ今ぬこと同じ大きさだった・・・。



「・・・アレかな?」
おれを指差したのは誰だろうか、ドイツもコイツも馬鹿魔力漂わせやがって、禿げたら如何してくれるんだ?


で、まぁお約束ですよ。あの人が寄ってくるんです。
胃も肌も目も鼻もチリチリ痛む・・・あぁそうかアレだよ、そうアレ。アレルギー反応だよコレ。

そうかそうか、おれ、この世界だと『白い魔王アレルギー』だったん・・・な訳ねぇよな、ただ魔力がキツイだけだよな。
怖い物見たさにチョットだけ首回して後ろを見ると・・・


「ね?大丈夫、何もしないから」
全然大丈夫じゃねぇ。・・・あ、本能


「ク、クキュ~~~」


腹がチリチリ痛いけどひっくり返っちまったい。ちなみに頭は箪笥の隅に突っ込んだままな。








で、知らん間にキャロとおれは引き取られる事になった、オリーシュ野郎に。


だけどよ、あのヘタレ、女性陣に手ぇ出してねぇでやんの、って事はだ。


「クキュ~・・・(ちょwwwハーレムフラグktkr!!ゴメンなみんな、おればっかり美味しい思いしちゃってよ?)」
「ギャーギャー(テメッ、調子こいてっとあの白いのにフルボッコにされっぞ?)」
「■▲■●~(助平な事やらかしてお仕置きされるに1ペリカ)」


ん?

周囲の雰囲気は重苦しいのに何でそんな余裕なのかって?
そりゃおみゃ~さん、みんなのアイドルキャロがいなくなるんだからしょうがないべ。
村にいるのは婆とかちびっ子ばっかりだし、キャロのアレでみんな離れちゃったから心のオアシスがキャロ一人なんて当たり前じゃん。


しかも一部過激派が抵抗しようとしたらまとめてフルボッコだったし、細かい事気にしちゃ生きてけないよ?




で、その後のおれはと言うと
「きゅ~きゅ~」
「愛い奴愛い奴」

「へ~っ、アレがキャロちゃんのペットか~」
「本当は背中に羽が生えてるらしいぞ。変身魔法とか言うので羽は毟ったらしい」
「それはまた・・・」

「なぁリニス姉さん」
「どうしましたか?アルフ」
「・・・竜って美味しいのかね?」


・・・海鳴で普通に『アルビノなとかげ』やってますがナニか?・・・時々食べられそうになるけど気にしない。
前の世界も毎日食うか食われるかでそう変わらんし。




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十八節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/06/10 00:56

「おねがいッ!!」
「・・・主語が無い。ってかいきなりだなオイ」
「ティアのデバイス作ってよ、ニーチャン!!」





時は少し遡って73年5月。

「ティアナ・ランスター、前へ!」
「ハイッ!!」


何の因果か、ナニが如何転んだのか、普通にOLするだろうと予想されていた『普通の子』だが、
予想の斜め上を走り抜けて主席+証書受け取りの代表までやっていた。

「で?配属先、と・・・」
「私はティアと一緒なら何処でもいいけど」
と、無関係の人間が聴いたら間違いなく『ウワッ、百合かよ』と引く台詞。そしてその返答はと言えば


'ちゃき'


「・・・非殺傷設定でも頭を十二分にシェイクする位はできるのよ?」
「ご、ゴメン」
会心の笑みで微笑み返し、アンカーガンをスバルの脳天に突きつけて脅し文句。

此れまた何の因果か、原作通りに二人はペアとなり、そのまま卒業するに至ったのだ。
「ま、冗談はさておき、早く探さないと寮の追い出しまでに荷物の発送できなくなるわよ。ホラ、スバルもさっさと探して!」
「あ、ウン。それにしてもそのデバイス、随分使い込んであるよね。なんかこう、歴戦の証みたいな雰囲気があって、さ」
うまく話を逸らして苦手な『捜しモノ』から逃げようとしたスバルだったがそうは問屋が下ろし金だった。
「うふふ、そりゃそうよ、なんたって『お下がり』だもの、予備試験合格した時にニーサンが新調したから、その時貰ったのよ」
「あ~、そう言えば今は執務官だったっけ?ギンねぇと職場が一緒だとか」

「えぇ本当にニーサンは強いしカッコイイし優しいの。会えばミンナ虜になるわ、でも何でファンクラブが出来ないか判らないのよね。
ま、そのお陰で私がニーサンを独り占めできるんだからその辺は社会のミンナに感謝してるわ」
「ふ~ん(・・・良く言ってもニーチャン程度じゃないかな。それに翠屋の常連さんの方がダンチだと思うんだけど・・・)」
既に二人とも色々な意味で『壊れて』いた。

一人は人間(倫理)的に。

もう一人は社会(常識)的に。


だがスバルの場合は『常識』が裸足で逃げ出して星を一周した挙句土下座するような連中を知り合ってしまったが故なので如何しようもない(のか?)。

そもそもリシェイドは面こそ普通だが、最終的な戦闘能力は『世界』中からかき集めても恐らくTOP10入り出来る。
勿論、No1は我等が『ナノハサマ』だろう。コレは覆り様の無い真実であり事実だ。

スバルが翠屋で日頃『しょぼいな~』と見ていたクロノ・ハラオウンでもSランクだと言う事を忘れてはいけない。
更に言えば地上の上級将官として上から数えれば直ぐ名前が出てくる筈なのに、もう威厳もヘッタクレも無くなりそうなレジアス・ゲイズ、
『ダンディ』とか『ハードボイルド』が似合いそうなのに、何時も一緒にいるのは実子とは思えないルー子を連れたゼスト・グランガイツ、
年齢詐称としか思えない見た目と味覚破壊の権化であるリンディ・ハラオウン、
他にも高ランク・高階級の局員やカリム等教会の上級職に就いている人間が日常的に出入りし、
その半数が子供に見せてはいけない『しゃかいのうら(オバチャンOLは怖いとか男に人権は無いとか)』を様々と見せてしまっている。


とまぁ、店内における言動と周囲の反応、そして扱いを見る限り凄そうには見えないので仕方がないといえばソレまでの話。


管理局の高官が当たり前のように入り浸る翠屋は、何も知らない子供の感性を壊すには十分な環境だった。
実は次姉も十分に壊れていて、仕事中に全く他部署の上官に言葉遣いも態度も常連同士の会話をしてしまい、
『TPOを弁えろ』とゲンヤが多方向から嫌味を受けるのだが・・・関係ないので放置。



少し時間は流れて73年7月の暮れ



「ハァハァ・・・ティア、居た?」
「フゥフゥ・・・駄目ね、エリアサーチがぜんぜん利かないわ」
やはり原作に引っ張られたのか、救助部隊で汗を流す二人の姿がそこにはあった。

ちなみに、ボンベ付き与圧型フルフェイスヘルメットに全身耐熱対火着と消火用の圧縮空気式水鉄砲を装備すると
全部で50(プラスマイナス5)kg程度になる。自分の体重より重い装備で動き回るとか
正直死ねと言っているような物だがフィクションなので気にしない。
ちなみに服も与圧式になるとパワードスーツにするしかなく、反って使い勝手が良くなるのだがコレも気にしてはいけない。

「奥にまだ空間があるみたいだけど・・・」
「瓦礫が多いからね、魔力インフラにも傷がついてるみたいでちょっとしたジャミング空間になってる、
Aランク以下の平凡な魔導師な私じゃ如何しようも無いわ」

何処ぞの工場で爆発事故が起き、救助チームの一員でとなった彼女等だが、最後の一人が見つけられず、随分と奥まで来てしまっていた。
「・・・ぶち抜いて一気に中身を丸ごとバインドで絡めてみる。ティアはフォローして。いくよウォッチャー!!」
『了解。ブラストアーム、エネルギーブースト開始。フラッシュストリームの加速用チャンバー内圧力正常。
我々は破砕及び周辺熱量の拡散に全力を向けますので、バインドの制御を願います』
「おっけー・・・それじゃ、バーストインパクト、行くよ!!」
「ってスバル、あんな何勝手「うぉぉぉぉぉーーーーーッ!!」に・・・あぁもうやるわよやればいいんでしょ!?」

結局矯正出来なかったスバルの猪突猛進な性格やはりティアナを振り回す要因となった。
幸か不幸か、原作とは比べ物にならないスキルと装備に恵まれたスバルは
『うわっ、ソレヤバくね?』程度の問題なら力技で押し切れてしまう為に然程問題でも無いのだが心理的、社会生活的にはやはり問題がある訳で。

「もう、施設破砕は上級指揮官の許可が要るのに!HQ、HQ、こちらファイヤ5、応答願います」
『こちらHQ、ランスター如何した?』
「最後の要救助者が確認されず施設最深部に到達、最奥の区画が瓦礫に埋もれてます、内部確認のため破砕許可を」
当然の事ながら、此処で許可を取らないと始末書を書く羽目になる訳で、思いっきり事後な気もするがヤケクソと許可を求める。


だが、その返答はティアナを現実と言う厳しい世界に叩きつける事となった。

『・・・スマン。もう別の場所で見つかった』
「・・・は?」
『サボって近所のコンビニに行っていたらしい。さっき指揮車の裏で確保した。脱出が難しそうだから許可は出してやる。早く出て来い』


此れで何度目だろうかと、ティアナは見事な『orz』姿となって一言
「・・・了解、直ちに現場より離脱します」
と力なく返した。

『そんな事なんぞ全く興味ねぇ』と言わんばかりに、リシェイド謹製のデバイスが魔力素子を励起し、呆れる程のエネルギーを溜め込んでいた。

「アタッーーーーークッ!!」
『ナックルブラスター』
此れでもかと光り輝くコブシを瓦礫に叩きつけ吹き飛ばしたが、あまりの出力の高さにその向こう側の壁までぶち抜き、
更にはウンの無い事に周囲の足場を支えていた鉄骨まで粉砕。当然その『周囲』はスバル達の立っている場所も含まれている訳で。

「あ、ありゃ?」
「うぅ~~~~っ、この馬鹿スバル!!」
口げんかをする暇も無く、周囲が崩れ

「「落ちるーーーーーーーッ!!?」」

で、本来ならスバルのウイングロードで逃げれる筈なのだが

「ウォッチャー、ウイングロード!!」
『フラッシュストリームの熱処理に時間が掛かってます。ウイングロードの運用許容温度への冷却処理は後5秒』
「ウソォ!?」

幾らなんでも火災現場での長時間運用なんぞ想定している訳も無く、ただのホバリングなら未だしも術式の展開は無理だった。
で、まぁ当然ながら5秒もあればつぶれたトマトになれる。となると此処で活躍するのはティアナのアンカーガン。


「ック、アンカーセット!!」
ヒョロヒョロと打ち出して別の構造物に何とか撃ち込んだのは良いのだが
「・・・って何でこんな時にピキピキ変な音出してるのよ!?」
此方も散々酷使されてきたアンカーガンのフレームが歪んで無い訳が無く、総重量が200kg近い大重量を支えるなぞ
ハッキリ言って無謀でしかなかった。







で、冒頭。
73年8月へと至る訳だが・・・。
「とりあえずそこに直れこの馬鹿ワンコ。ナニはともあれ先ずはお前の説教からじゃ」
「ちょ、ソレひどい!私馬鹿じゃ無いよ!!って言うかワンコって何!?」

あ"!?

「・・・魔力補助無しとはいえ、なのはが本気で打ん殴っても壊れないデバイスを、何度壊したよお前」
ナニが凄いってスバルのISで殴っても壊れないんだぜ?
良いテスト材料が有るからって調子扱いて『徹を籠めた連打に堪えられるだけの強度を持たせる』なんて無駄な事にどれだけ苦労したか・・・。
「え、えっと・・・5回?」

「この間ので7回目だ・・・しかもちゃんと教えた筈の簡易メンテの仕方無視して勝手にバラして戻せねぇとか、馬鹿以外に如何言えと?」
「あ、あはははは・・・ゴメンナサイ」
見事な土下座犬のスバルがソコに在った・・・土下座で済むなら俺は何度でもやってやるけどな。やられる側は割に合わんのだよ。



そう、原作では試行錯誤の末にリボルバーナックルのメンテ程度は出来る様になっていたスバルだが
此処ではオレを筆頭に「やってくれる」人間がいた事でその辺の知識もカラッキシとなってしまった。

とは言うものの、魔力結晶体をフレームに埋め込み、ソレを制御・利用して推進力を得ているフラッシュストリームや
常識外れの規模で魔力素子の励起や圧縮をするブラストアームが、早々誰でも触れる程度の代物な訳が無いのは当然と言えば当然で、
むしろ十二分に仕様等を理解していたらそれはソレでヤバイの一言でもあるのだから何とも微妙な話だ。


「で?オレに如何しろと?オレはそんなに暇じゃねぇんだからさっさと何が欲しいか言え。ったくギンガの奴も注文してきやがって」
「・・・へ?」
姉が姉なら妹も妹・・・その前に親が親だったな。
「ギンガの奴がティーダの奴も連れて少し前に二人して乗り込んできたと思ったら、面倒臭いネタで放り投げていきやがった」

『Aランク砲撃が豆鉄砲扱いですかそうですか』と、一緒に来ていたティーダの奴のしょんぼり具合は凄かった。
何でも先週に処理した事件でギンガに向けて誤射しかけたらしいんだが、片手でぺチンと弾いちゃったんだとか。

で、後日談だが隊舎で模擬戦やってスペック差に愕然としたんだとか如何とか項垂れてたのが印象に残ったとは108部隊の面々の談。


「あ、あの・・・」
「ん?あぁ、ちゃんと自己紹介してなかったな。オレがリシェイド・アーリーズだ。お前さんがティアナ・ランスターだったか?」
「は、はい。スバルから色々とお伺いしてます」


・・・OKOK、ワンコ、もういっぺんそこに直れ。
「ほぉ・・・」


所謂『笑ってるけど笑ってない』表情に切り替えてスバルを睨んで見る。
「あ・・・あはははは「誤魔化すな。弁解があるなら聞くが容赦はせんぞ!」ヒゥ!?」

余計な事抜かして外に秘密が漏れるのは面倒なんだよな・・・。
「へ?ナニ?スバルあんた自分の事以外にもまだ隠し事があるとか?」

・・・ふむ。

「まぁ執行猶予付きで見逃してやる。あぁそうだ。ランスター」
「あ、はい」

「強襲と狙撃とハンド、あとSMG、バリエーションは豊富だがナニ欲しい?ちなみにお前のアニキは複合モデルだ」
そう言って取り出したのは海鳴で買っておいたエアガンの雑誌。ミリ雑誌から選ばされた兄貴よりはマシだろ?
とりあえずデザインだけ決めてもらえれば後はコッチで適当にやれるのがデバイスの良い所、後で如何とでも調整出来るからな。

「えっ!?・・・えっと(ボソボソ)」
「ん?」
一瞬驚いたような表情を見せた後うつむき加減にボソボソと何かを言ってるが・・・聞こえん。
「ん?ホレ、ハッキリ言わんかい」
「…ンと一緒で」

ナニ恥ずかしがってやがる。ホレ、スバルまでニヤニヤして見てるんだぞ?



「に、ニ イ サ ン と同じ仕様でお願いします!!」



お、おおぅ・・・耳が痛てぇ。

「ムフフフフ、ティアはお兄ちゃんっ子だもんね~」
「ウッ、ウルサイ、この馬鹿スバル!」
「ば、馬鹿って言うな!」
「そもそもアンタが後先考えずに突っ走ったから私のアンカーガン壊れちゃったんじゃない!!馬鹿じゃなかったら大馬鹿よ!!」
「アウッ・・・、ってソレってメンテする度に『ニイサンニイサン』ってほお擦りしてふやけちゃうから
肝心の作業が最低限しか出来てないティアのせいじゃないの!?」
「自分のデバイス碌にバラせないあんたに言われたく無いわよ!!」

「ワンワンッ!!」

「ニャーニャー!!」

こいつらはまぁ・・・大概にしないと叩き出すぞ?



とまぁそんなこんなで気がついたらランスター兄妹のエモノまで作る羽目になっていた訳。
なんか最近ただのデバイス屋になり下がってる気がするんだが・・・気のせいか?





おまけ


昼過ぎのチョット客足の途絶えた翠屋店内。

「最近増えたよね。この間も店の裏でウロウロしてたから潰しちゃったけど何処からともなく沸いてくるみたい」
「ホンマ、何や管理局も騎士団も話題見てると物騒な雰囲気出してるし、何処行ってもピリピリや」
「なのは、はやて、何の話?」
「新聞?・・・あぁ、アレね」

ペラペラと数面捲られた所に有る小さな写真付きの記事を見て彼女らは呟く。

「此処一ヶ月で覗き10件に万引き20件、ピンポンダッシュは三桁か。青ッ鼻垂らしたガキじゃあるまいし、ナニ考えてるのか理解出来ないよ」
「ヴィータに聞いたんやけどな、この間ついに引ったくりもあったらしいんよ」
「ウッワ」
「なんだか怖いね」

世が世ならお前らが取り締まってたんだぞと突っ込みを入れたくなる諸兄には悪いが、『此処』の彼女らは『民間人』だ。

「そう言えば」
「あれ?フェイトちゃん何か知ってるの?」
「客の話を聞いてしまうんは仕様がないんやろうけど、守秘義務忘れたらあかんで?」
「で?お姉ちゃんに言ってみなさい、ほら」

「チョット前かな、春に越してきた、えっと・・・そうウーノさん、あの人雑誌見てたら突然噴出してね。
お絞りもって訊きに行ったら丁度雑誌がソレの特集のページになってたんだ。手も握ってプルプルしながら『あ、あの人はまた・・・』とか」
「へ~」
「そりゃまたベタな話やね」
「って事はナニか知ってるんだろうね。まぁ私達がそんな事知ったところで関係無いんだけど」


まさか、後にあんな事になるとは、この時さっさと始末しておけばどれだけ楽だったかと思い返すのはまた別の話。






もいっちょおまけ 
サブタイ『ある日の翠屋とティーダにいさんの日常』


件の誤射未遂事件の翌日
「ほら、そんなに落ち込まないで下さい。ランスター執務官殿?」
「うぅ・・・どうせ僕は十把一絡げの冴えないモブ局員なんです。それに貴方に慰められても余計凹・・・ぅぅ」
「あ、アハハハハ・・・ハァ」

肩を落としどんよりとした顔で机にもたれ掛かっているティーダ・ランスターを如何にか慰めようと奮闘するギンガだが
当事者同士では傷に塩を塗るような物だった。

「そりゃ、僕だって努力してますし魔力量だって多くは無いけどA+の資格は取ってるんです」
「しかも空戦でしたよね。執務官資格も持ってますし普通の陸士から見れば十分エリートだと思いますけど」
「・・・そのエリートの渾身の砲撃を片手で『ぺちん』と弾いたのは何処の誰ですか?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・私です」

ヤッチマッタ感を今更の如く肌で感じて小さくなるギンガと
やっぱりorzな空気に覆われたティーダという組み合わせは、この後も幾度と無く演じられ108部隊のメイ物となる。


「ところで、その肘の下敷きになってる本、何です?」
「あぁ、カタログだよ。デバイスパーツの。こう見えてもデバイスは自作でさ、結構こういうのも好きなんだ。
今使ってるのも結構経たって来てるからね、そろそろハードを更新しようか悩んでるんだ」
そこには『73年Q2最新パーツ全集』と銘の振られた厚手のB4雑誌があった。

「・・・そんなの在ったんだ」
このギンガの一言がティーダに衝撃を与える。
「い、いや、こう言うのを知らないってギンガさん、それじゃ貴女のデバイス何処で手に入れたんですか!?」
「え、随分前になるんですけど知り合いの人に全部作ってもらっ「そ、ソレは在り得ない!」て、何でそんな興奮してるんですか?」

此れでもかとテンションの低かったティーダの変貌振りに驚くギンガとそのギンガの様子を気にも留めずティーダは話を続ける。
「そもそもデバイスのパーツなんていうのは非常に加工が難しいんです。なにせ魔力制御による圧縮処理や仮想ボディの構成、
魔力制御の為に載せるH/S両方込みでの演算システムの構築、他にも難関は山の様に。
だから僕ら一般の自作erは如何足掻いてもベースとなるフレームとAIのコアは市販の規格品を買うしか無いんです」

「はぁ」
ギンガの関心は既に別の所に移っていて碌に話も聞いていない。だがティーダは更にまくし立てる。
「そもそもおかしいと思ってたんです。ギンガさんのデバイス、本当に民間人が作ったんですか?
フレームから制御系から全部完全オーダーメイドじゃないですか、普通に工房に依頼すると家一軒じゃ済みませんよ!?」

「あ、あはははは、そんなに高かったんだ・・・。
えっと、作った人ですけど喫茶店のオーナーが一応本業の筈ですけど結構な数のデバイスを組んでた筈です。
スバルも私とセットで組んでもらいましたし、他にも持ってる人がいたから気にした事が無かったんですけど・・・ためしに会ってみます?」


で次の非番。

「いらっしゃいま・・・、"なのは、Code『姉』が来たよ。朝からだから本気かも"」
「フェイトさんすみません、今日はチョット別件で。リシェイドにーさん、居ますか?」
「あ、うん。奥に居るけど呼んでこようか?」
「いえ、連れもいるんでコッチが奥へ行きます」
「そう?・・・あ、お客さん来ちゃった、何かあったら呼んでね」
フェイトはそのまま客を捌きにギンガ達から離れていく。


で、やり取りの通り、後ろに居たティーダは完全に無視されていた訳で。
「やっぱり僕はモブ程度なのか・・・あ、でもちゃんと台詞あるだけバンクでやられる雑魚よりは扱い良いのかなぁ・・・?」
「い、イヤ、単純にわたしに警戒していたからじゃないかと」
「警戒ってまた何でです?」
不穏当な言葉に眉をヒクヒクとするティーダの表情は若干白い視線が混じっていた。

「いや、わたしやスバルの食事」
「・・・あぁ、そう言えば此処は飲食店か、成る程」
最初の一週間程は見てるだけで満腹になったものだが最近は慣れた物で特に気にせず一緒に食事が出来る程度になったが、
それでもナカジマ式の食事は愕然とする量だった。


翠屋の地下倉庫の奥にあるリシェイドの作業場の前、
「にーさんすみません、ギンガです」
『ん?なんか用か?今は何もして無いから入っていいぞ』
ドアをノックの後、声を掛けて入室する二人。


ドアを開けた奥には


「・・・相変わらず凄いですね」
「な、ナニ此れ・・・って彼方はっ!?」

「・・・会うのは此れで二度目か。何時かは会うと思っていたがこんな縁でとは、な」
『我々はデラー○・フ○ート!!』
とシリアスぶって格好極めようとするリシェイドの姿。虚しく流れるアニメを背景に、シリアスもヘッタクレも無いのは気にしてはいけない。



「で、だ。身持ち固いって評判のお前が男連れでオレの所に来るって事は・・・まさか!?」
「ち、違います。ティーダさんはただの同僚で今現場でバディ組んでるだけです!そういった感情は一切持ち合わせていません!」

リシェイドの茶化しに対し冷酷無比且つ一撃必殺の言葉で返すギンガの姿はソレはもう見事なモノだった。
「・・・真っ向から否定された」
「ひでぇな、普通はソコで頬赤くするなりドッチかが照れるなりすればもうチョットはいい絵になるのに叩き潰すか。流石クイントの娘」
当然、もう片方のターゲットであったティーダは轟沈状態に。
で、会話は中断されorzのティーダが現実復帰するまで暫しのウェイトタイムとなる。



気を取り直してもう一度最初から。
「にーさん、デバイスの事で少し相談が」
「あん?デバイスだぁ?少し前にオーバーホールしたばっかじゃねーか、ログにゃ特に何も無かったが問題でもあったのか?」
「あ、いえ。私の方は頗る快調なんですけど・・・」
「あぁ、そういう事か。まぁお前さん達のは限界まで特装してっからな、そりゃ仕方ないさ」


「あ、あの・・・彼方は一体何者なんですか?」
「あぁ、そう言えば自己紹介がまだだったな。オレはリシェイド・アーリーズ。個人資産家で上にある翠屋のオーナーとでも言っておこうか」
「・・・69年のあの場所にいたのは、やっぱり」
「あぁ、オレだ。一応ギンガ達ナカジマ家のチビの面倒を頼まれてたからな、アンタにゃ悪かったがオレ達は表に出る訳には行かないから
ああいった方法で処理させてもらった」
「では、彼方もギンガさん達の事を?」
「そりゃ当然。って言うかここ数年はこいつ等の検診にも顔出して手ぇ入れてるぐらいだからな」

リシェイドの発言にひたすら驚き続ける羽目になったティーダの内心はうねりを上げていた。
「(戦闘機人のシステムを理解している所か口出しまで出来る!?それ以前にギンガさんの話じゃこの人がデバイスの製作者だって言うし・・・。
そもそも此処ってタウン誌に載らない事で有名な喫茶店の筈。彼は此処のオーナーとも・・・一体何者なんだ?)」

「ゲンヤの奴とは随分長い付き合いになるし、こいつ等の姉のモミジは遺伝的にはオレの母さんのものだぜ?
そんな如何でも良い事で云々唸った所で何も始まりはしないさ。で、デバイスが如何とか言ってたな」
リシェイドの切り返しに気付いてハッとし、そして肝心の件へと話は進む。

「実は・・・」

そして二人から聞かされた先日の一件について一通りの事を聞いたリシェイドの回答はといえば
「そりゃお前さん、相手が悪いわ」
いたってシンプルで、且つ意味の理解しがたい内容だった。
「?」
「そもそもこいつ等のデバイスのコンセプト自体が『とりあえず相手より早く動いて殴るか蹴って潰す』だぞ?
そんな寝違えたようなコンセプトで動かす以上、耐久性なんかも限界まで高めてあるに決まってるじゃないか」

ちなみに、言葉の内心では『それ以前にこいつ等の鍛錬内容からしてそんなヘナチョコ玉で如何こうなる訳がねーし』
等とぶっちゃけていたのだが、そんな事など一切知らないティーダはといえば

「やっぱり僕はモブキャラなんだね、きっと」
と、本当に見事なorzをかましていた。

「ソレは視線の問題だろ、モブの様に見えてても、あんたの視線に変えれば波乱万丈な日常を映したドラマに摩り替わる。
世の中なんてのはそんなもんさ、誰だって主役になる可能性があってモブに落ちる可能性も持ってる。後は本人の自覚しだいさ」
自分自身は思いっきり『シナリオ』の本流に乗って『主人公』役をしているくせに上っ面の寝言を吐くリシェイド。
当然、話の『意味』と『内容』を理解しているギンガの目線は『うっわ~・・・』と、若干引いていたのは言うまでも無い。



で、本題。
「新しく拵えてほしい、ねぇ・・・」
「はい。やっぱりデバイスは運用に足る技術を持っている事が大前提ですけど、ソレはソレとしてスペックが高いに越した事は無いですし」
ギンガからの願い出でに、頭をポリポリと掻きながら『ウヘェメンドクセ』といった表情で相対するリシェイド。
「そりゃあまぁそうなんだろうけどさ。サラッと言ってくれるけどお前らのデバイス、一体どれ位の値が付くのか知ってるのか?」
「あ・・・」
「概算で家一軒所か小型の次元航行艦が一隻買えるぞ。予備パーツ云々もあるから実際にはもう一隻分以上は付くんだが」
リシェイドの言葉に絶句する二人。
「そんな高級機だったんだ・・・」
「ど、道理であんな廃スペックな訳だ」
只々唖然とするしかないギンガと、額を右手で押さえ軽いため息を吐きながらその桁違いさを納得するティーダ。

「まぁ、オレもモミジやクイントの事があるからな、お前らの面倒を見る事も吝かでは無ぇ。
だから出世払いの格安提供で渡してやったんだ(技術試験機も兼ねてるだなんて絶対言えん)」
ハラの中で何を考えているかは何処かへ放置し、リシェイドはデスクの脇から一冊の雑誌を『こんな事もあろうかと』と呟きながら取り出す。
「・・・此れは?」
「ミリタリー雑誌だな、97世界の。この号だと兵装の特集が組んであるし丁度良いんだよな」
表表紙の裏面や裏表紙に微妙なラインナップの通販が付いているのは無視してペラペラと雑誌を開いていき
「っと・・・此処か。お前さんはどのタイプだ?」
目当ての所であろうページで止めた。
「は?」
「は?じゃねーよ。前衛か後衛か、クロスレンジからウルトラロングレンジまでの各射程、更には弾種の得手不得手の差。
多種多様のバリエーションから必要な仕様を絞り出さないといけない。それに好みのデザインも在るだろ?」

リシェイドの言葉が理解出来ないのか、キョトンとした表情で固まる依頼組の二人。1分ほど待つも状況が変わらず、待つのが嫌になった所で
「ナニ二人して固まってんだ?」
「「ハッ!?」」
と突っ込みが入り、ビクッと挙動不審な反応をした二人がこっちの世界に戻る。
「・・・何で此処までして頂けるのか、僕には理由が見当たらないんですが」
「何、趣味みたいなもんさ。それに『陸』の技術局にゃ色々と柵もあってな、その縁で技術パテント売って随分儲けさせてもらってんだ。
何年先かは知らんがそっち経由でその内売り出されるような物だし、細かい事は気にすんな」
自棄に羽振りの良い事を言うリシェイドの態度が気になるのか、身構えるティーダであったが
「ランスターさん?リシェイドさんは細かい事気にしちゃ付いて行けませんよ?」
「お前が言うな、ってかお前等姉妹は少し自重しろ。ゲンヤが泣き言洩らしてたぞ、『クイントの所に行ってもいいかな?』って」
「うっ・・・」

何も知らない人から見れば、殉職したクイントの元へ逝きたいという風に捉えるだろう。
事情を知っている人が聞けば、『もう何もかも面倒臭くなった。見栄とか捨ててリシェイドの脛でも齧るか』という意味となる。
どちらにせよ洒落になっていないのは確かだ。ちなみに、ティーダ・ランスターはこの場合前者であった。


ゲンヤ・ナカジマ、彼は随分と追い込まれて来ているらしい。
ちなみに彼の今の小遣いは日本円換算で5000円程度、佐官である筈の彼の懐具合は氷河期レベルの寒波が吹き荒れていた。



話は戻り、リシェイド達の会話を理解しきる間も無く、その場の雰囲気に流されて雑誌を見ていくティーダの姿が20分程在った。
特集と銘打ってあるだけあり、捲っても捲っても只管銃銃銃銃銃銃銃銃・・・時々ナイフとオプション。尚、分隊支援火器の類は気にしない。
ついでに汎的な戦略・戦術のイロハから、オマケに近々であった紛争等の時系列説明まで多種多様にミリタリーだった。

彼は思う。
『歩兵の基本装備が6.35x38.1mm(0.25x1.5in)リニアマシンガンで初速が~1500m/sの可変速!?
メガワット級のビーム砲とプラズマ展開型の気化爆薬が詰まったマイクロミサイルが砲兵の標準装備!?
おまけに無補給での離脱と再突入が可能な航空/宙兵器による大気圏外からの直接超音速強襲!?
・・・何処のSFだろ、コレ』と。

旧暦の、ソレも一番戦闘の激しかった頃を知る者ならいざ知らず、
新暦世代の彼らにとって、そんな質量兵器が唸りを上げて大群で襲い掛かってくるのは悪夢でしかなく、
またそんな話というのは空想の世界でしかなかった。

「あ、あのすみません」
「ん、決まったか?」
「い、いえ、ソレよりも此処の・・・」

指差されたページの内容に『あぁ』と感慨深く答えるリシェイド。
「拘革の連中は馬鹿だったな、何の為に軌道エレベータ上層エリアの守備隊が猛者揃えなのか、チョット考えればわかる事だろうに」
「い、いやそれよりも軌道エレベータって」

「・・・そういやミッドには無かったっけか。魔法が無い世界で重力制御云々は未だ時間かかるし、その繋ぎだわな。
と言いつつも既に6基も作っちまった上に、引っ張ってきた小惑星の資源使って3万6千キロの位置を結ぶ軌道外周ステーションなんて
馬鹿なモンまでオマケ感覚で作っちまったからなぁ。
まぁ云十万キロもある真円だから各種加速器載せるにもモッテコイだし、他にも利用価値は高いから良いんじゃね?」
「そうやって聞くと97世界って魔法抜きの純粋科学だけなら確実にミッドを追い抜いてますよね、絶対。
それでもって管理局は質量兵器研究に繋がりそうな研究だからって基礎物理学は全否定してますから笑えませんし」

「・・・本当に笑えない話ですね、ソレ」
「それよりもそんな世界で生まれた管理局を個人で殲滅しかねん超戦略ユニットがいるって言う、如何しようも無い根本的な問題もあるんだけどな」
「なのはさんと御実家の人達ですね。そういえばにーさん、本当にあの家族って人間なんですか?
戦闘機人の私達が本気で掛かっても、一対一ですら魔力強化無し生身の身体能力レベルから圧倒されるとか洒落にならないんですけど」

『此処』の97世界は色々な意味で非常識だった。

もし管理局員達が高町家級に匹敵する戦術兵(兵器に非ず)がまだ沢山有ると知ったら間違いなく恐慌モノだろう、なのは一人で十分満腹なのだから。
参戦すれば間違いなくミリタリーバランスが一気に狂うだろうし、
オマケとして付いて来るであろうキ印の如く猛進した結果の各種兵器のスペックの高さも笑えない話の一つだ。

HGSの連中に至ってはその仕様の厨っぷりとキャラの扱いにくさに、作者が『ワシの文才程度じゃ無理だぎゃぁ』と、
とらはDVDEditionをプレイしながら挫折した程だ。ちゃんと動く様になるまでに10回以上再セットアップし直したのは気にしてはいけない。



「・・・」
ティーダが熱心に見入っているのは20世紀末からここ数年に至るまでで起きた動乱を駆け抜けた銃器の姿だった。
「すごい種類だ」
「意思統一のための機関は出来たが、まだ惑星単位での政権統一は成って無いからな。
各国毎、酷いと同じ国内でも全く別の仕様で回してるし、ソレで飯食ってる連中も沢山いる。
そうなれば市場原理も働くからバリエーションも増える訳だ。ここ数年は流石に絞りが利いてきたらしいけど、詳しくは知らん」

「旧暦時代の此方と同じような物ですか?」
「まぁ、宗教的聖地がギガトン級の水爆で蒸発したり云十億って人間が死んだって所は似てるかもな」
確かに、ミッド・ベルカ他多数の次元世界を巻き込んだ戦争は云千億の生命と『聖王』に連なるソレを消し飛ばした。

「ソレに載ってるのは全部そんな動乱の最前線で擦り減らされ、その中で洗練され在るべき姿になって生き残った物の最後の姿さ」
と格好をつけているが、よりにもよって余りにも今更で欠点の多い64式が載ってる辺り、編集者の趣味がにじみ出ているのは気のせいではない筈。

「あ・・・すみません、此れってどんな奴なんですか?」
と一丁の銃を指差された。

「あ~・・・F2000か。そいつは初期モデルだな、最終版はそれじゃ無くって、えっと・・・コイツだ。
何度かの改修と根本的な変更が入って、何が如何転んだのか某国の特殊部隊で正式採用されちまった曰く付きだ」
更に2ページほど捲られ、リシェイドが指差した銃は、民間向けだったモデルを原点として原形を留めない程に改修されたものだった。

「ほれ、原型と違って後ろのストックが半分ぐらいの長さに削られて伸縮型の折りたたみ式になってるだろ?
メカニカルな部品とかが抜本的な仕様変更とか言うので総とっかえになってな、でストック部分のダウンサイジングと軽量化がされたんだ。
代わりに、銃身自体は元の奴よりもフロント方向に10センチ位伸びて最終的には6センチのサイズアップで収まったって訳。
後は・・・そうだな。別ページにあるが、デザインの変更があった関係で元々在った榴弾投射ユニットが使いにくくなっちまってな。
それじゃ不味いからって別途で新規設計されてたセミオート6発装填可能なカートリッジ式の榴弾投射器まで取り付け可能になってたり、
まぁ至れり尽くせりの大改修がされた結果がコイツだ。ちなみに、最初は民間向けだったらしいぞ?何処ぞPMCが大枚払って注文付けたんだとか」

更にリシェイドは「新素材云々で重量が4kg弱から3kgジャストになって、素人でも二丁撃ちなんて馬鹿な真似も出来んだぞ」とネタも散らす。
「・・・と言う事は実際に使われてた?」
「まぁ使ってた部隊の半数以上がものの見事に水爆で消し飛んでるけどな、最後は如何あれ個々の運用実績から見れば結構頑張ってたと思うぞ?
バレルが随分伸びて狙撃も出来ない事は無い程度に集弾性は上がってたみたいだし、人間工学に基づいてとか如何とかで持ちやすいらしいし」

何故そんな事を知っているのか、そんな事はさておき、この説明を聞いたティーダの目の色はハッキリと変わっていた。
「リシェイドさん。コレベースで、如何にか出来ますか?」
「・・・マジか」
「マジです。なんかこう、一目惚れしました」

リシェイドは思う、『アホダロコイツ』と。

何せ、『O-B-O-Nクライシス』のドサクサで○衛省のネタ脳幹部と+ヲタ士官連中が何処からとも無く話を進めてライセンスを買い付け、
最大の敵であるマスゴミや野党に情報が漏れた時には、既に習○野等の猛者向けに大量生産済みという笑えないエピソードがあったのだ。

クライシス後に起きた防衛戦末期の頃は火力の高さと取り回しの良さ、何より国産銃とは比較にならない堅牢性の高さで縦横無尽の大活躍。
しかし初動である対馬攻防戦では、戦術核での自爆攻撃によって敵勢力化へ強襲降下していた一個中隊が殲滅されてしまうと言う犠牲もあった。
またこの銃を主要火器として採用していたPMCの大多数が件の中隊同様、何故か戦略・戦術核(正確には水爆なのだが)の犠牲になっていたり、
逆に核の使われていない戦場では死傷者数が異様に少なかった等、話題には事欠かないのもこの銃にまつわるエピソードの一つである。


そんなイメージの銃は、線の細いティーダには向かないと言うイメージしか湧かない。頭の中のイメージは『うさぎの脇役のサル』のアレだろうか。
そもそも彼が今まで使っていたデバイスがハンドガンかマシンピストルに類するデザインのストレージ型だったのだから否定的なイメージは一層強い。
なによりも、このエピソードが確りと雑誌に書かれているのだから、ソレを見て尚選ぶと言うのは験が悪い。


「今の装備からアサルトライフルに持ち替えるとなるとクセきついぜ?」
「承知の上です。それに火力が足りないのは前々から気にはしてましたし良い機会ですよ」

「・・・言いだしっぺはオレだったか、まぁやれるだけやってやるよ。仕様はコッチで適当にやっちまうが?」
「僕の知識程度じゃ付いていけないですからお任せします。ただ可能なら2丁1セットでお願いしますね、やってみたい事もあるんで」
ティーダからの更なる注文に『・・・ありゃ、ネタに喰いついたか?』と焦るリシェイド。
「はいはい、ソレぐらいはやってやんよ。んじゃ2ヶ月ぐらい時間くれ。向こうで原物確認してから作ってくるから」



その数日後、ネタを引っさげて妹'sが頼み込みに来ていたりしていたなど、思いもしなかったのは言う間でもない。





------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------

作者からネタビア
『原作』劇中であった山盛りパスタですが、乾麺換算で業務用15kgでは足りない事は確認済み。
その時のモノと比較して考えると量的には多分30kg以上40kg以下相当かと思われます。盛った所で自重に負けて崩れるのがオチですが。
ちなみに茹でると重量は倍近くになるので・・・頭悪いですね。普通なら皿は勿論足が細いとテーブルも持たないとだけ言っておきます。

関係無いですがスーパーのパスタのパック(500g)を所謂『ナポリタン』にして一人で食べ切った事がありますが
半分位の所で『飽き』てしまい、最終的には冷める前に食いきるという『作業』と化しました。
・・・そもそも一食で食い切ろうとするのが間違ってますが気にしちゃいけません。食べたいから食べる、それだけなんです。

それと、挑戦すると解るのですが間違ってもオカズなんて付けちゃいけません。
オカズが不味かろうが関係なく、その味の刺激に負けて(パスタを食う行為が)本気でイヤになって
冗談抜きで最後まで食い切るだけの気力が持続できません(体験済み)。だから『作業』と化すのですが。


そう考えると劇中の大食い3人(姉妹とショタ)、よくもまぁ談笑しながら悠々(?)と食えるなぁと呆れてきますね、いやマジで。



あと、おまけのおまけに出てくる話は流す様に。あぁ、出てくるF2000はイイモノだと思いますよ?
次期米さん採用予想の筆頭SCARも高い評価なんですが個人的に曲線が多くて独特で癖の強いF2000の方が好みなんでコッチで。
ブルパップ型をM4みたいなカービン仕様にするとか寝違えてるにも程がありますがこの銃はもうチョットでかくても良いと思います。

『総兵士榴弾兵化計画』は戦略モノやFPS系アクションゲームをする際の私の『シバリ』のひとつだったり。えぇ、火力至上主義です。
面で焼き払うのは大好きなんです。クラスター爆弾の類も良いです。
出来ない内は大人しくコソコソと自力固めに勤しむのみです、マトモに前に出ても損しかしないのは目に見えてるので。

ん?
XM29は如何かって?
・・・ジャガイモは好きになれません。
『へ』と『こ』の所、節操無さ過ぎだと思います。
まぁ、『ふ』と『な』の所も似たようなモンですが。

でもPSG-1は大好きですよ?
ただ。使う時は弾倉だけ300連装とかのに差し替えてフルマニュアル乱射->銃身の命数一気に消費の最低コンボですが。

------------------------------ ただ今電波が混信しております ------------------------------




[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第五十九節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/09/12 00:32



「あの機体は?」
「んあ?」
彼らの視線の先にはサッパリとした地下格納庫の真ん中に陣取ったV○系の機体がひとつ。

「原型はなんとなく解るけど随分弄ってないか?全周囲モニタ仕様になってるし・・・」
「あぁ~、ありゃ特装品だ。それにオレは乗らんしそもそも動かせんよ。根本的に仕様が違う」
何だかんだで必要無くなっちまったんだよな~、と呟くがそれが何を意味しているのか。

「いいさ、アレが必要になるなんて事態になったらマジで末期だ。しかも状況的には先ず在り得ないんじゃねーかな」
「「???」」
どうやら相当ワケアリな代物らしい。だがオッサン二人には如何もピンと来ない様だ。

「それよりもコレ如何するよ」
「あぁ、hideのアレか」
「・・・ホント、最後の最後でこんな爆弾遺して逝くなんて、一体何考えてるんだか」
三人の前に映し出された、とあるデータとそれについての独白文。

「オレ、これの封開けに行くのイヤなんだけど」
「いやいや、そんな事言われても此方も困るぞ。って言うか君が一番付き合い長いんだから、な?」
「だね、僕等も自分の話で精一杯だし。頼むよ」

「・・・前もそうだったんだよ、あの人。コッチが感傷に浸ってる所に爆弾落として絶対どっかで見張ってるに違いない。ニヤニヤかwktkしながら」
「「前が如何かは知らないが後半については激しく同意」」


「「「ハァ・・・天才とナニは紙一重だなんて言葉、誰が考えたんだよチクショウ」」」


どうやら巡航艦とは別でヒッソリとトンでもない案件を残していたらしい。
それがこの先如何なるのか、それはまだ先の話。







で本編



「そういや忘れてたんだが」
「「「「「???」」」」」

「何でアンタ等この店来る様になったんだっけ?」


ベッタリとクリームを口の周りにつけたルー子を甲斐甲斐しく拭いてやったりしているゼストのオッチャンとか
「ケーキがおいしいから」
「(クソッ!何であたしは出ちゃいけないんだよ!?)」
「・・・」
実はかばんの中でずっと我慢しているアギトとかもいたりする。


売り上げ貢献度は確実にベスト5入りしているゲイズ一家で
「言われてみれば・・・私は元々ですけど」
「・・・むぅ、思い出せんぞ。確か何かを気にしながらだった筈なのだが」
駄目ッぷりの一番は何で来る様になったか完全にド忘れしているレジアスなのは間違いない。


他にも、理由なんて不要な甘党とか
「ん~~~~~~、ほらクロノ、次頼んで~!」
「か、母さん、いい加減自分のね「ナニカイッタカシラ?」n・・・い、いえ。何でもありません」


「コッチに越してからの方が収入が減ってるのに、生活が楽になってるのは何故なんでしょうね、ハァ・・・あ、紅茶お代わりお願いします」
「ね、姉さん!?」
色々と打ち拉がれた様子のウーノ女史とやっぱり若いまま(当然と言えば当然なんだが)のドゥーエとか


もう、本当に色んな意味で『末期』だった。





で、日は改まって某日。

「と言う訳でコレから討論会デス~。司会はユニゾン3姉妹の末っ子、わたしリィズと」
「私、レティスでお送りします」
司会者らしく(?)、真っ黒のジャケットにパンツ、ネクタイを締めた井出達の二人。
髪や肌の色とのコントラストも相まって異様に映えている。写真でも売り出せばかなりの収益になるのだろうが、翠屋でそれは禁則事項だ。

「・・・オレは何も言わんぞ」
普段着のままカウンターで『マンドクセ』と毒男モードのリシェイドに

「ハーッ・・・グラスはやはり綺麗に磨くのが一番ですね」
と、マイペースにグラスを磨くのは、白いノースリーブのサマードレスに黒いエプロンと言う、
「おねえさん」な雰囲気の格好だったりするリィンフォース。麦わら帽子に向日葵畑はテンプレだが一度はやってみたい。



「・・・やっぱりシュークリームが一番」
「なぁルールーもっと食べていいか?」
「・・・食べ過ぎはダメ」
「良いじゃんか、今まで食べられなかったんだし、ソレにアタシは食べても太ったりなんかしないもんね」
「・・・余計にダメ。アギトだけずるい」
「んなっ!?ちょ、ルールーソレヒドイ!!」
漫才極めまくりのルーテシア・アギト組(ゼストが喋ってくれません)。
知らない間にアギトも外に出ていたりするが、気にしてはいけない。


そして相対するは


「・・・」
「え、えっと・・・あ、あはははは」
漸くやるべき事とか忘れてた事を思い出して憮然としているレジアスと、ちょっぴりテンパり気味なオーリスのゲイズ組がいた。


ん?いきなりカオスは酷いんじゃないかって?・・・訊くな。



「さて、いきなり波乱120%な状況からの開始です、が?」

「・・・そ、そもそもお父様が用事を忘れていた事がそもそもの原因ですよ、ね?」
「う、うるさい!!」
いきなり身内からの強烈なボディブローが飛ぶ。

「掻い摘んで説明すると~」
「レジアス氏は二、三ヶ月も通うとそのままウチのオリジナルブレンドコーヒー中毒になっていたと言う訳です」
「で、肝心な事は全部頭の中からすっ飛んでいたです。コーヒーは毎回専用ボトルでテイクアウト、オマケに豆まで買って行く位ですからね~」

姉妹の茶々入れも随分厳しい。

「そういう意味ではゼストさんも似た様な物なので五十歩百歩と言った所でしょうか?」
「ですです、通う頻度はレジアスさんの半分も無い位でしたけどシッカリ中毒状態ですもんね。
コッチもやっぱり自分の目的忘れてましたし~」

「「・・・」」

叩きのめされた中年二人は『・・・ボクワルクナイモン』と拗ねてしまい、明後日の方向を見て誤魔化そうとしていた。
良い歳した大人が情けないと突っ込みを入れたいのだが、流石にソレをすると話が続かなくなりそうなので自重する司会者組。


「・・・ったく、良い大人がグジグジとウザッたいなオイ!アンタ等会って話が有るとか如何とか言ってなかったっけか?」
気の短いリシェイドがサクッと切れて入れた突っ込みに『ハッ!?』となるオッサン二人。


「・・・ゼスト」
「何だ?」
テーブルに両肘を着き軽く手を組み、レジアスは前に座るゼストに視線を向けて問いかける。

「何で姿を消した?」
「・・・知られる訳にはいかなかった」

「そもそも、あの現場で何が起きた?貴様とアルビーノ、ナカジマの3名がMIA。崩壊した構造物の下敷きになって重体となったのが数名。
そして不自然な状態で発見された重傷者が多数。MIAになった貴様等3人が揃って指揮官クラスと言う事も有って大変だったのだぞ」
『(・・・あり?モブのオッチャン達壊滅じゃないの?)』
『(みたいですね・・・クイントさんはかなりの重体でしたから放置すると場合によってはKIA判定だったんでしょうけど)』
この辺は事後調査を怠ったリシェイドに問題があるのだがソレはさて置き

「・・・ナカジマについては俺の落ち度だ」
「ならお前とアルビーノは如何だと言うんだ?」

この瞬間、ゼストの顔色が変化した。


「アレレ?レティス姉さん」
「如何しましたかリィズ」
「・・・ゼストさん、脂汗かいてるですよ」
「あら、何か知られたくないやましい事でも有るんでしょうか?」

更に顔色が悪くなる。コレはもう


「「図星ですね」」


滝のように流れる汗、真っ青に染まる顔、目まで虚ろとなるゼストの姿がソコには在った。


「・・・普段のイメージが完全にぶち壊しだな」
リシェイドのつぶやきに反応したのか、座席から飛び降りるかの様に床にひざを着け



「レジアス、スマン!!」



土下座だった。バラエティ番組ですら中々見ない、生のジャンピング土下座だった。
それ以上に、ミッドにも土下座の文化なんて有ったんだと、デバガメ組は非常に感心していたりするのだが、それは関係無いので割愛。


「ワシとお前の仲じゃないか、ほら、正直に言え」
「・・・」
手を差し伸べ、『ホラ、立て。そんなお前は見たくない』と、とりあえず話を聞こうとするレジアス。

もう、原作もヘッタクレも無かった。
リシェイドは10年ぐらい前に完全に諦めたつもりだった。だが、現実は非情で容赦が無かった。
あのショッピングモールでの遭遇以降続いている、『知識』よりも強烈な現実に、今日もまた押し潰されそうになっていた。



「・・・実はな」
「うむ?」

「半年ほど忙しいのが続いていて、あの事件の少し前の頃に風邪を引いたのだ。
最初は疲れが出たのかと思い良い機会だと医者に診てもらったら、実は全身の過剰疲労から来るダメージやリンカーコアの消耗が酷かったと、
『当分休め、現場は出るな』なんて診断されて、な。後で詳しく聞いたら前衛はおろか魔導師自体を引退しろと言われた」
「何だと!?」
「ランクが高いのが幸いしたのか、『その辺にいる普通の局員ならもう死んでいた』らしい」
そう言いながら窓の外を見るゼストは、妙に哀愁の雰囲気が漂っていた。
この雰囲気のまま、夜にバーのカウンターでロックの高そうな酒でも持たせたらさぞ絵になっただろう。

「俺一人の給料で若手が何人雇えるか判らん。現場に出られなくなるなら、いっそ局の事を想い辞めるつもりだったのだ」
「そうか」

漸くシリアスかと思いきや



「そんな診断を受けた帰り道の売店で、何を考えたのか気まぐれで手を出した宝くじがな、当たったのだ」

「・・・は?」



やっぱりこの世界は頭が悪かった。

「しかも一等だぞ、10台半ばから定年まで勤めた一般局員の総手取りの数倍の金額が手元に転がり込んだのだ」
「・・・」

「誰にも打ち明けてはいなかったが、引退後は何処ぞの山奥で隠遁生活でもしようかと考えていた。
だがこうもランクが高いと世俗の柵も多くて色々とやりにくい。それに『お礼参り』で散っているOGが多いのは周知の通り」

『オレはついに言ったんだ、オレは言ってやったんだぞ』と黄昏ながらも満足そうなゼストとは対照的に視線を下げてプルプルするレジアス。

「適当な事件の最中で消えればソレも切れると考えてたそんな時、あの案件が転がり込んで来たから丁度良いと思った訳だ」

そしてこの最後の言葉を聴いて



「・・・こ、」



常識人は切れた。
「この馬鹿野郎が!!」
「あぁ、実はメヘブロッ!?」
唸る鉄拳がゼストの頭を吹き飛ばす。さながら『トンファーパンチ。トンファー無し』と言った所か。

ちなみに、この一撃の録画を見た某ワンコの談。
「腰も、肩も、肘も捻って、体重が目一杯拳に載って、あんな凄く綺麗で理想的なコークスクリュー初めて観ました!!」
武闘派筆頭であるレジアスらしい一面なのだろうか。
とりあえず一般局員に類する非魔導師の面々でも十分戦力足りうるのではないかと思えるのは確かだ。

ついでに、モニタリングしてたなのはの談。
「剄?でもチョット"徹"も混じってる様な・・・物理ダメージでSランク魔導師の簡易バリア破ってるからかなりの威力かも」
・・・レジアス、御神流習得予備軍?

きっと彼なら素手でもガジェットが狩れる筈だ。



閑話休題。



「・・・で?今何処でナニをしている。答えられんとは言わせんぞ」
途轍もない威圧感を全身から発して睨み付けるレジアスと殴られたのが余程効いたのか足元が覚束無い様子で中腰気味のゼスト。
原作のクライマックスなんて何処へやら、もしコレで赤髪腹ペコ侍がデバガメ組にいれば完全にネタ状態である。

「・・・だ」
ボソボソと、言い辛いのか小声で呟くが、歳のせいかそれとも嫌味なのか
「ナニをブツブツ言っている、貴様も男ならハッキリ言わんかっ!!」
レジアスは聴こえないと喝を入れる。

「め、メガーヌと、だな・・・その、なんだ」
「メガーヌ?・・・メガーヌ・アルビーノか。MIA判定三人のうちの二人が一緒に居ると言うのか?」


今まで黙っていた彼女も母親の名前が出ては黙っていられない。
「・・・毎晩ベットの上でプロレスごっこしてる」


"ピシッ"
店内が・・・凍った。


「こ、コレは爆弾発言デスッ!!出だしのレジアスさんもきつかったですがコレは痛い、コレは痛すぎますッ!!」
「普段出入りしている時の彼はハードボイルド気取りですが・・・所詮男は男だったと言う事ですね」

『(ってかあの人無事だったんかい)』
『(少なくとも子作りに励む程度には、ですね)』
『(マジ頭ワリィ・・・)』


段々と状況が解って来て、なんかもう原作が如何とか人助けが云々とかフラグがナニやらとか、リシェイドの頭の中は
『ちゃぶ台返しか~・・・良いな~全部放り投げるとか最高に気持ち良いんだろうな~』
とか、かなりお疲れ様な様相の思考が駆け巡っていた。

「さて、ゼスト。オレへの申し開きはあるか?え?勝手に突入作戦組んで部隊丸ごと玉砕させた挙句、当の本人はコレか?あ゛っ!?」

「切れたな」
「切れましたね」
「ブッチ切りですッ」
そして渦中の彼はと視線を向ければ


足を揃えて折り畳み、

足の甲は重ねず地に着け、

かかとの上に尻を軽く乗せ、

両手をひざの前に添えて、

腰から丁寧に頭を下げたその姿は

「・・・本当に、スマン」

本当に、其れは本当に惚れ惚れする様な見事な土下座だった。



と言うかこのゼスト、初っ端から此処まで土下座し続けである。此処まで情けないのは恐らく古今例が無いだろう。







gdgdな雰囲気がぶち壊されたのは、ゼストが頭を地に着けたその瞬間だった。


'gggggggggggggggggggggggggg!!'
一瞬とは言わない程度に短い時間であったがハッキリと感じられた縦揺れ。
そして地鳴りの様に聞こえる振動音と軽い衝撃波が世界を揺らし、その後の静寂が店内を満たす。

「地震か?」
「そんな訳無かろう、クラナガンの中心から周囲200キロに震源になる様な地殻変動帯は無い。
人口増加に合わせて行われてきた地表造成と旧暦以来の地殻改造技術を甘く見るな。大方、近辺で事故でも起きたのではないか?」
丁重に答えてくれたレジアスを尻目にテレビの電源を入れる。凄く凄い話があった気がするがとりあえずスルーされた様だ。

昼モノの定番である修羅場モノやサスペンス系が流れる中、画面が速報のスタジオに切り替わる。
『'**区$%番地の銀行で強盗事件が発生しました。一人が自爆しビルを吹き飛ばして逃走。非公式ですが犯人は機械であるとの情報も・・・'』
さらに画面が現場へと変わり画面を見ると見覚えのある残骸まで、具体的に言えばケーブルの生えた所謂『触手』っぽいアレとか。

「・・・いつものか」
「いつものですね」
「ですね~ってお皿ッ!?」
「・・・あぁ、グラスや飾りが!?」

店員4人の内、本来の職務に則って店内に気を配ったのが一人しかいないのは気にしないでおこう。
リィンはグラスと自分が拵えたインテリア以外は眼中に無いらしい。他の面子には無いマイペースな人格だったらしい。
主役の二人はナニを況や、末っ子だけが真面目に仕事をするとかコレ如何よ、と。

「無人機による治安悪化か。ったく、また手の込んだ事をするなぁ、オイ」
「ええぃ、何処の馬鹿かは知らんが捕まえたらタダではおかんぞ。法律の壁ギリギリまで扱いてグゥの音も出せなくしてやる」
『あれ?なんか忘れてねーか?スの字が如何こうは覚えてるんだが何気に無害っぽいし』
『他に何かありましたか?』
『・・・な~んか忘れてるんだよなぁ。思いっきり核心に触るような何かなんだろうけど・・・まぁいいや』

この疑問を、この時二人にぶつけていればと悔やむのはまた別の話・・・と言うかコレが色んな意味で『最後』のタイミングだった訳。


「・・・」
「"なでなで"」
脇で額を赤くして痛みを堪えるゼストと慰めようと頭をなでているルー子がいるが、
『もうコレ絶対シリアスなStSなんて在り得無ぇ』の決定的な証拠なので見なかった事にしよう。
と言うか主要関係者の大半が既に気心知れた顔見知りと言う時点で、第三者視線なら『ハイハイ八百長八百長』となるだろう。





結局、そんなこんなで74年も半分が過ぎようとしていた。



[3302] コレはフィクションです。実際の(ry  第六十節
Name: HIMS◆49f6f03a ID:29ed4be3
Date: 2009/12/05 02:05



『'旦那、スマン'』
「いや、オッチャンも商売だから仕様が無いんだろうけどさぁ、コッチも相手は選ぶぞ。流石に物がモノだ」
『'うっ、守秘義務破る訳には・・・仕方ない、誰にも漏らさないでくれよ?実は・・・'』
「軌道保安部か、また微妙な所だな、オイ」
『'・・・まぁ、下がアレみたいなので武装した今じゃ特に拒否感も無く欲しがるんじゃないんで?'』
「バカ言うなよ、あれは97世界の切り札のひとつだぞ。情報漏えいだって馬鹿みたいな位に厳しい体制だし
オレ自身もコッチで漏れる様なヘマはしちゃいねぇ。いや待てよ・・・まさか、な」
『'ありゃ、心当たりが?'』
「まず無ぇとは思うけど、次店に来たらOHANASHIでもすんべ」
『'常連かよ・・・'』







74年8月某日。

「カーテン閉めてもアチィぞオイ」
「照り返しだけでクリームが・・・生や飴モノ扱うの、ダメかな」
「それよりもあっという間にカビ生えてまうのは如何にかせんと。何処ぞのアニキやあらへんのに足速すぎや」

絶好調に暑い昼下がり。風通しの良い北側の軒下に吊るされた温度計が、『50度』とか熊谷や多治見も真っ青な表示で輝いている。

『'気象コントロール実験の影響による猛暑が続く中、有志による地表冷却作戦が実行されようとしています'』
「三拍子の大佐が石ころでも落とすのか?」
「質量云々忌避してるミッドの人間にそんな事する根性有る訳無いよ」
「せやな、しょーも無い氷系の術式展開するだけで芸も糞もあらへんよ、全く水芸のひとつでもせいと何度言えば・・・」

如何やらはやては相変わらず『出稼ぎ』に出している二人経由で何をするのか知っているらしいが
「・・・如何でも良いから早く暮れねぇかなぁ」
「・・・だね」

リシェイドとなのはの思考は何も考える気力も湧かないほどに茹っていた。


『'ここ数日の間、今まで世間を騒がせていた謎の無人兵器は成りを潜め、町には平穏が訪れています'』
「・・・魔法技術で動いてるくせに熱暴走でフリーズとかどんだけ~」
「やる気無いんだよ、きっと」
グダグダの店内、無論客は居ない。
日が当たる所の体感温度は『お察し下さい』としか言い様の無い、正に『地獄』。
出歩く様な○チガイは薄給で社会奉仕せざるを得ない数多の下っ端サラリーマンぐらいな物だろう。

「もう、だらしないなぁ。大の大人がナニだらけてるの?」
「ほら、なのは。あと二、三時間もすれば少しは陰って涼しくなるからがんばろ」

双子は元気だ。だが

「・・・その前に」
「二人とも、水着で接客は如何かと思うよ?」
「わたしとしてはえぇ目の保養や。いや触覚も使って精神的にも癒されても良いと思うんやけど如何?」

やはり頭の中は茹っていた。

「えぇ~」
「ほ、ほら。服少ないと少しは涼しくなるんじゃないかな?、って」

「いや、そんな面積少ないビキニにフリルにレースのついたエプロンとかイメクラじゃあるまいし。てかお前等、桃子さんにばれたら事だぞ」
「お母さん、そういう所は厳しいからね。時々お兄ちゃん茶化すのに嬉々として忍さんにそういう格好させて嗾けたりするけど」
至極尤もな感想を述べる二人とは対照的に

「ヒップにウェスト、バストは・・・んなっ84・85・86、まだ上がる!?88・89・・・アカン!!わたしのスカウターでは無理や!?」
一人別の事をやっているがスルーしよう。手がワキワキと動いていたり頭から煙が出ているかの様な幻覚が見える気もするが気にしてはいけない。




とまぁ、文字通り『茹だる様な』クソ暑い日中と

『'冷却作戦の効果によって一時的に寒波が押し寄せています。しかしこの寒波も明朝には無くなり、元の気候へと戻るでしょう'』

やり過ぎて吹雪く様な夜が演出された夏がダラダラと過ぎていく中

「あ、いらっしゃいませ」
「リシェイド~、お客来たよ」


ついに待ち人は来たれり。


「ふぅ~~~寒っ。あ、ダッチの濃いヤツ、熱いの出来るかな?」
「えぇ、出来ますよ。ケーキは如何致しましょうか?」
「う~ん・・・また後でお願いしようかな」
「はい、ではご注文の確認をしますね。ダッチコーヒーの濃い物をホットでおひとつ、以上で宜しかったでしょうか?」
「あぁ。それでお願い」

マニュアル通りに接客するフェイトを尻目に、冷蔵庫に貯めてあるダッチのボトル開け必要分を温めながら
「さて、OHANASHIでもするか」
と意気込んでみるものの、
「(と言いつつ、滑ったら痛いオッサン認定受けるってリスクはデカイんだよなぁ・・・)」
とネガティブ思考の真っ只中。

ちなみに、このダッチは高町さん家型ではなく、完全にオレの独断と偏見で作ったメニューだったりする。
士郎さんのコーヒーは基本的にドリップ、稀に演出でサイフォンを使う程度。無論、其れを継いだなのはのコーヒーも同様の淹れ方だ。

それでは芸が無いと、でかくて見栄えの良い水出し用の『塔』を特注で店内に建てたのだが・・・意外と旨いのな。
で、独特の苦味が苦手な客向けにアッサム系紅茶以外の選択肢として置いてある。
まぁ、塔の値段が云十万となって幾ら売っても『赤』だけど、それはオレのポケットマネーだからこそ出来る業な訳で。


「お待ちどうさま、ダッチのホットです(テメェ、絶対前世はヲタクだろ。あんなモン注文しやがって)」
「っ!?ありがとう。・・・そう言えば此処の人は皆97世界が本籍だったね」
ボソリと呟くがボロは出てこない。

「コッチにゃ一切輸出してない筈なんだがな」
「あの世界はある頃から妙に厳しくなって現地駐在員もどんどん潰されていったからね。まぁこれ位の役職になれば色々と知ってる事も有るさ」
そりゃ当然だ。総人口が一気に三分の一になる様な、あの混乱期を生き残った連中が甘っちょろい考えなんざ持ってる訳が無い。
「残ってる現地駐在所はウチだけだしな」
「じゃあ彼方がリシェイド・アーリーズさん、かな?」

「ハッ、よく言うぜ。軌道保安部の次官補なんて役に就いてるランクス・エクスプローラーさんよ。・・・いやオリ主候補Aとでも呼んでやろうか?」


さっさと明かせや、面倒は嫌いじゃ。

「・・・何の事かな?」
「誤魔化しても無駄だぜ、"オッチャン"経由でオレん所に依頼が来たぜ?『M○をいくらか手配して欲しい』ってな。
ありゃコッチで一度も変形させていないし、97世界だって監視用サーチャー飛ばしても軌道上の観測システムで探知されて、
超高出力レーザーで魔力が拡散されるのがオチだ。それにそれを知ってる時点でもう積みだろうよ。"オッチャン"は例外だが、な」


教授の遺したモノのひとつ、『暗黒物質の在り方とその可能性について』。
この論文が元で世界はまた一つ大きく動いた。

教授は純粋な97世界の技術のみで魔力とその伝播元となる魔力素子についての考察を一から作り上げてしまった。
未完成ではあったがこの論文はオレの与り知らぬウチに公開され、あの世界は管理局を含めた次元の海を渡る者にとってある種の鬼門となりつつあった。


それはそうだろう。
静止軌道上に浮かぶ軌道外周ステーションや付随する各種衛星に取り付けられた高精度観測機器の数々が
未だ理論立ての出来ていない未知の存在である『魔力』を観測し続けているのだから。

しかも、教授の遺した論文内にある『可能性』に綴られた『空間への干渉と制御』の項より
魔力素子が一定の密度以上に成った際に起きるであろう空間変移現象と、桁外れの『エネルギー』による拡散処理が可能であると言う事が
オカルトと呼べるモノの存在を一部認めているこの世界においては大きな問題点でもあった。

『神隠し』やその他局所的な怪奇現象の要因の一つがコレであり、それは未然に防げるのではないか、と世界レベルで認識されてしまったからだ。


その結果はといえば

「まさか局員が転移した瞬間にレーザーで蒸発する羽目になるなんて誰も思わないよ」

研究機関として登録された場所以外で高密度の特定のエネルギー『魔力』が上昇を検出した瞬間、
軌道上の軍事衛星や局地気象(熱帯低気圧とかだな)制御衛星に搭載されたTWクラスの高出力レーザーが多方向から照射される。
大気による減衰すら無視できるその熱量は、魔力素子一個あたりに置けるエネルギーのキャパシティをはるかに超え、
格納された魔力で記述された情報は粒子間の互換性すら無視して内部を侵食し一瞬でフォーマットしてしまう。

他にも重要な建造物や物資又は情報媒体の類についても、融合炉のエネルギーを利用した擬似的なAMF展開システムすら完成させ、
それを利用して外界から隔離する様になっていた。

開発者の中にL・Oなるイニシャルの知り合いの名が在った・・・ネタバレも考えたが、口頭で喋った内容以上は無いからほぼ独力だろう。


「・・・惑星間航行が可能になった文明に対してそれは驕りだろう」
オレやオレの関係者は観測不可能な自宅地下云百メートルにある隠しドックがあるから如何と言う事は無かった。
流石にそんな場所の検出は軌道上からでは無理だしそもそも必要も無い。そんな所に人なんて居ないから問題ではないのだ。
地上との連絡は専用の直通路が在るからそれを利用すれば良いだけの話で場所的な問題にはならない。


だが他の連中はそんな転移用の場所なんて用意していなかった、その結果がコレだ。
「グレアム提督も一年以上自宅に帰れなくて泣いてると言うのに」
「知らねぇよ。アイツはオレと母さんを『闇の書』の転移が確認されていた死地としか言えない海鳴に越させたんだ。
それに今まで散々滅茶苦茶やってきたんだから自業自得さ」


正規の現地駐在員であるアーリーズ家を利用せず転移してくる時点でモグリである可能性が高い。
そもそもウチは転移場所を確保できていると通知しているのだからこの局員蒸発事件自体が可笑しな話なのだ。
あの世界の地球圏内に限った話なら、移動なんぞ6時間以内で世界中何処でも行く事が可能になっているのだから
ウチ以外へ転移する必要性はほぼ皆無に等しい。監視システムは自然現象と魔導師による人為的現象の識別もしない(出来ない)から
極論を言えば正規のルートと次元航行艦で地球から離れた宙域に出る以外、この世界に来る手段は無い。

ちなみに、HGS能力やリオンのヤツの空間変移システムなど、この世界由来の『空間転移』は魔力素子を介在していない。
概念的な部分を前面に出した発想から来る空間の置換や、もっとオカルトチックだったり『存在のすり替え』等、
科学的に考えると頭が痛くなるような『出来ない事も無いが無理じゃね?』的事象であるケースが多い。



「で、だ。あんたクロノと同期だったろ?」
「そうだね。まっ、原作介入する気はあったんだけど、所詮士官候補生なんて何の権限も無いからそう何でも出来る訳でもないし。
それでもって外の情報を調べられる様になった時にはもうどっかの誰かさんがやりたい放題し終わった後だったからさ。
って言うか君はご都合主義の固まりか?面は普通だけど生まれも含めて他は全部厨仕様とかずるいにも程がある」

「あ~・・・、うん。自覚はしているが辞められないのが厨二モード。でもコレはコレで意外と面倒なんだがそこんとこ如何よ?」
「知らないよそんな事。それに、育ててくれたコッチの両親や仲間との縁も一杯あるし、正直な所『今更オリ主はねーよ』感も在ったし。
何より僕、面倒臭い事って嫌いなんだよ。だから今の勤め先な訳。やっぱり仕事は定時入りの定時退勤が一番だね」


・・・コッチはシステムがトラブったりとか炉が想定外の駆動した瞬間に問答無用で3徹確定とかデフォですが何か?

「しかも長期の出張も管轄が『陸』預かりだから基本的に無いし、背負うモノも少ないから気楽なもんだ」
「ミッドだと宙間航行は少ないからなぁ。軌道上のモノも少ないしそりゃ気楽だろうなぁ・・・向こうはマジで洒落にならないけど」


「ソレだよ。97世界ってマジでV○とかが当たり前のように飛んでいるんだって?」

ランクスが目を輝かせていた。ウンウン、おっきいメカはやっぱりロマンだよな。

「某○東作品ネタのようなブラックではないけど、明らかにオーバーな意味不明テクノロジーが蔓延してるって考えればソレも当然じゃねーか?
ま、25クラスなら一機当たり日本円で300億以上の金が要るけどな」

オレは『打出の小槌』の様な金蔓がいくつもあるから買えるけど普通は無理。
パテントや特許云々からの金は大半が『財団』の管理下だが、毎年天文学的な額の金が『財団』に集まり、
ソコの一部、それでもユーロで云百万、米ドルだと暴落したから云千万なんて金額ががオレの私的運用金となる。
更に混乱期に買い漁った資源供給地から湧く収益は一世紀以上遊び倒しても有り余るほど、じゃなきゃ私でM○やV○なんて買えんよ。

なにが凄いってオレ自身は何もしていない所だな、オレは右から左へ金を動かしただけだし。デイトレよりも酷い儲け方だな、うん。

「・・・そ、そんなにするの?」
「一度死ぬ前を思い出してからモノ言え。コレでも十二分に安いわ!!」
F-XでF-22の導入では一機当たりが安くて250億なんて試算だったんだぞ。


「まぁいい。で、何であんな物をアンタが欲しがる?軌道保安局は航空隊程じゃないが安牌扱いでソコソコ人も集まるだろうに」
漸く本題。

「・・・機動六課が無い。答えはソレだよ」
「狸と愉快な仲間達?・・・あれ、要るか?」

ランクスのヤツの答えは非常に微妙だった。
なのは対策と称して行われたXV級大量建造計画は、75年4月の段階で初期建造分も含め
延べ140隻もの桁違いな戦力が次元の海へ吐き出されるという壮大なモノとなっていた。
「正直、『海』の連中の『過剰(笑)戦力』の量・質を考えると仮に戦力が半減したとしても有り余るだろうに」

「そりゃ、僕も考えたさ。後期生産分に到っては緊急展開用と称して単独運用できる長距離高速転送システムも搭載してるんだ。
既存システムの倍以上で転送可能って言うカタログスペックを信じるなら、本局で箱舟浮上を察知してから発進しても余裕を持って間に合うだろうさ。

・・・けど、そうはいかないと思うんだよ」

「そりゃまた何でだ?腐っても本局メインフレームのハックなんて4番一人にゃ荷が重すぎだろうし
そもそも数の子はうちの近所でこれでもかって位に『一般人』してるんだ、あんな事に成る訳が無い」
オレは、この世界は狂いに狂っていると思っていた。
在り得ないほどに御都合主義が蔓延り、オレ自身もその御都合主義にドップリと漬かっている事を自覚していた。


「ソレも知っている。でもそんな事は如何でも良い事だとは思わないか?最後にモノを言うのは物量だよ。
本編だって被害を拡大した最大の要因はAMFを搭載したガジェットによる都市部の面制圧」
「ちょっと待て」
ナニを言っているコイツは


「そして、先日ウチの調査部隊が観測した軌道上の正体不明構造体を調査した時に得た画像がコレ」

コンソールに向かってデータを打ち込み、図面を起こしているのも、

「・・・笑えねぇジョークか?」

流れるラインに沿って出来上がっていくモノも、

「ネタならどれだけ良かったか。はっきり言うよ、ガジェットは既に自分で自分を創りだす段階まで来ている」

そして奥で全身を使い何かを叫んでいるのも、全てが・・・

「そして、ガジェットの幾らかの固体に到っては独立稼動すらしている」


何とか絞り出した半ば確信していたオレの問いに返って来た答えは























「そしてその正体は多分・・・オリ主だ。ってかソレしか無いっしょ。
アイツ如何見えもレオ○ルドのガワにしか見えない外殻触手で被ってるし。画像に映ったキワモノも全部ネタ仕様だし。
って言うか脇に映ってるヤツ、トリコロールカラー塗装とか冗談抜きで笑えないよ。如何考えても的じゃないか」



更に頭痛の種となった。



[3302] オリ人設定+その他各情報
Name: HIMS◆49f6f03a ID:d9fe59bd
Date: 2008/07/27 23:32
リシェイド・アーリーズ
前世での仕事は研究職+ヲタク。専門は素粒子物理学エネルギー干渉系。
研究所の寮生活であるため生活費が殆どかからないのをいい事に
アニメDVDとPCパーツにその大半を投資する。
研究用資材(150~200k前後の高温超伝導材や水素ペレット、炉心用パラジウム系合金等)
を使い空想の再現とのたまってビームサーベルやビームライフル、
果ては某記事に触発されて研究所の自室に動的球体強磁場結界型核融合炉を作るようなキ印。
(球状多方向より内側に磁場を照射して内部空間内に擬似的な結界を形成しその内部でペレットを励起・反応させる方式。
やってる事はヘリカル炉と同じだが螺旋+ドーナツ型ではなく多重円+球体型という点。
エネルギーの直接取り出しについてはとりあえず無理)
成果は挙げている為簡単に首を切る事も出来ず非常にウザッたい存在だったらしい。
研究中の事故で非密閉状態の炉が稼動を開始、これを収めるべく動くも間に合わず研究所は膨大な熱量で蒸発。
他の研究員などは退避させていた為当人のみが被害を受けた(本人の記憶を辿るなら)。

浅く広くヲタクをやっていたが仕事柄かPCに関してはプログラミングや基盤設計等が出来るだけの知識を持っている。
ちなみに、未婚で研究一筋だった為、女性遍歴も無く所謂『まほうつかい』だったのは内緒の話。


ヘリカル炉についてはNIFSの公式サイトで詳細が出てます。

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オリ主の恩師の解説
名前:御平 秀文(ミダイラ ヒデフミ)
トリップ5歳の時で年齢は65歳。絵に描いたようなデブキモヲタが爺さん化したような風体。
そんな見た目な癖に歳が30も離れた大和撫子な美人さんを嫁にしていて、子供は1男(12)1女(16!)。
しかも子供は男女揃ってファザコンという在り得ないラブラブ一家。
(全然関係無いのに素粒子学7不思議のひとつにカウントされている)
我等がリシェイドの大学時代(この時69歳)の指導役であり、博士号論文の選定でもお世話になっている。
果ては湯川か尾崎かとも言われていたが材料学的な問題で実証できない理論がいくつも溜まり、
その理論を消化できず無念のうちに73歳で没。(リシェイドの博士号は72歳の時)
(死因が腹上死って噂が流れたのは御愛嬌、でも死因が急性心不全じゃ噂が広まるのも無理は無いか)
その後リシェイドを含む研究チームが開発した磁界・電界干渉による擬似結界形成技術を用い各種理論の実証に成功。
常温核融合や空間制御といった技術が一気に現実味を帯びてきた。

ちなみにリシェイドの前世の死因は空間圧縮状態の炉心で3重水素を燃料に用いた
擬似結界圧縮式核融合炉の暴走による物。この爆発で半径5kmが文字通り『消滅』している。
この時の放出エネルギーは12000Gt(!)。溢れるエネルギーも真上を逃がしたため上空400kmにいた通信衛星すら巻き込んだ大惨事となった。
抑制・偏向処理が無ければそのエネルギー量は予想もつかず、最低でも半径数十kmは消し飛ぶと予測された。


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クレア・アーリーズ
本編(第一期)開始時35歳。
ミッド郊外、管理局内勤(術式研究)の父親と民間魔導師(医療系)の母親の間に生まれる。
4歳の時に母親を病気で亡くす。
父親の趣味であったデバイス製作に興味を持ち同じ様に趣味としてこれを楽しむようになる。
母親が亡くなり、立ち直ったのと同時期に父親よりトレーニング能力を持ったリストを渡される。
元々の才能があったのか、この後トレーニングによって魔力量が大幅に増加していった。
11歳で管理局士官学校へ進学。14歳で卒業後4月から地上本部へ配属。
配属と同時期に行った魔導師ランク認定試験で空戦ランクを取得。7月に首都航空隊へ異動辞令が下る。
順調に昇進とランク昇格を重ね、一等空尉、空戦AAランクまであがる。
また趣味であったデバイス製作もA級マイスター資格を、合わせてB級メカニック資格を取得するに至る等、公私共に順風満帆であった。
しかし、唯一の肉親となった父親も15歳の時に他界、これがきっかけで一ヶ月ほど引きこもり状態となったが復帰し引きこもり以前以上に活躍するようになる。
配属2年で前線組でのトップを張るようになり、二つ名『蒼天の黒い狩人』と謳われる様になった。
これは大抵の相手からは認識外距離となる高高度からのスピードスナイピングや同位置からの高速強襲をメインとする彼女の戦闘スタイルと、
漆黒に染まったオリジナルデザインのバリアジャケットのイメージから付けられた様である。

幼馴染であったウォーレス・アーリーズとの結婚が決まり、後方勤務への異動を希望。
その能力と階級等の問題で異動は一旦見送りとなったが、裏ワザである降格処理申請書類と妊娠を理由として条件をクリア、この時二等空尉となる。
後方勤務はデバイス開発課となり、リシェイドの出産育児休暇後も勤務を続ける。

性格は明るく人当たりも良いが、敵意を受けると一変してその相手に対し冷酷な様相に変貌する。
事象に対しあるがままを受け入れるだけの許容力があるが身内の事に対して一時的ではあるが感情的になりやすい面もある。
父親が亡くなった時はウォーレスが、ウォーレスが亡くなった時はリシェイドが慰めた事で家族との別れを受け入れ、あるがままを受け入れる事が出来た。


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確認事項及び時系列整理

数の子ロールアウト順(本編より、ディエチまでは合ってる筈):数字は振り番

初期(スの字オリジナル)
ウーノ:1
ドゥーエ:2
トーレ:3
中期(中島テクノロジー影響系)
チンク:5
クアットロ:4
セイン:6
ディエチ:10
ノーヴェ:9
後期(ごった煮)
ウェンディ:11
セッテ:7
ディード:12
オットー:8


時系列(ミッド新暦換算)一応本編内容を順守してます
各原作登場人物は当SSに影響を受けていない時間で書いてます。

新暦44年
4月
クレア・ヴァンヘッド、士官学校卒業、管理局地上本部に配属。
同時期に魔導士ランク空戦AA取得

アリシア・テスタロッサ誕生(年齢より考察、ヒュードラ暴走をキーとして)

7月
クレア・ヴァンヘッド、首都航空隊へ異動。

新暦46年
不破(高町)恭也誕生

新暦47年
ウォーレス・アーリーズ、クレア・ヴァンヘッド結婚

新暦48年
クレア・アーリーズ地上本部、技術局デバイス開発課へ異動

御神(高町)美由希誕生

新暦49年
新型魔力駆動炉『ヒュードラ』実験時に暴走
アリシア・テスタロッサ死亡(享年5歳)
(無印、スの字、年齢、出来事より考察、アニメ内じゃ26年前とか恐ろしい事を言ってたけど16年前なら辻褄が合わせられるので勝手に修正)

新暦50年
クロノ・ハラオウン誕生
ジェイル・スカリエッティ、戦闘機人技術研究ピーク
(このタイミングでプロジェクトF.A.T.Eからコッチへシフト?)

6月20日
リシェイド・アーリーズ誕生


新暦52年
4月12日
リシェイド瀕死
4月16日
覚醒、憑依処理完了

新暦54年
闇の書事件勃発
5月15日
ウォーレス・アーリーズ死亡
5月16日
ウォーレス襲撃現場監視カメラ映像がネットに流出
5月18日
ウォーレス遺体到着、葬儀


クライド・ハラオウン死亡。闇の書、アルカンシェルで蒸発

7月下旬
アーリーズ家、第97管理外世界、地球、日本、海鳴市へ移住。

新暦56年
クロノ・ハラオウン、魔導師訓練開始

6月4日
八神はやて誕生


新暦57年
2月
リシェイド、クレアに正体を明かす。トレーニング開始

3月15日
高町なのは誕生

4月
リシェイド、某国立大に特別枠で入学。特待処理を受け国立研究所へ入所

6月
リシェイド、クレア、リンカーコアのキャパシティ計測を実施

8月
核融合炉の実用化完了。各論文・特許を全世界に発表。
発表から3日後、世界各国の金融・先物市場で大パニックが発生(俗称『O-B-O-Nクライシス』)


11月
パテントにより10億ユーロの入金を確認
ミッドチルダ他、各次元世界へ物資の発注を開始
無限図書館探索依頼
EXTS開発開始

新暦58年
ディメンション・ドライブ開発開始
AMF解析・対策を御平教授に依頼


新暦59年
6月~10月
高町士郎重症時期候補B(リリカルアニメ内ベース)

新暦59年~60年
フェイト・テスタロッサ誕生(促成クローン?)

新暦60年
8月
ディメンション・ドライブ起動に成功


以上、リシェイドのヲタ脳ではこんな感じの認識でした。
結果は本編と当SSを見れば分かりますよね?



[3302] 66年次キャラ情報他
Name: HIMS◆49f6f03a ID:b6e4833b
Date: 2008/09/15 12:39
ネタです。細かい事は気にせずに流し読みしましょう。

『O-B-O-Nクライシス』
実用レベル核融合炉とソレを利用した発電・工業系応用技術の発表の影響で原油の取引額は一気に1/10にまで減少。
この余波を受けて世界経済はガタガタになった。
発端地であった日本は民間主導且つ技術の最優先導入もあって一早く立ち直りに成功。南半球の大半は打撃が小さく、欧州もそれに次いで回復。
取引目安であったニューヨークを抱える北米と産油国各国は直撃を受ける。
特に一部の産油国においては、国債や通貨等の価値が一気に1/100以下になってしまった所すらあった。
技術支援については格安、発展途上初期、発展後進国については無償での提供を『財団』は謳っていたが、
プライドを優先するアメリカや世界の変化に追従できなかった国は経済破綻が先行してしまい、無償で技術を受けても建設が不可能になっていた。
また、この突発的イベントによって世界中の個人・法人資産家の多くも致命的な程の打撃を受け、損失を回復できずにそのまま闇へと消えていった。
更にこの一連の流れで世界規模での経済縮小と小規模な紛争が発生。一部地域では核の運用すらあった。
アメリカの没落による軍事バランスの崩壊とオイル・ガスマネーに物を言わせてきた国の機能停止によるテロ組織の無力化が進み紛争は自然消滅。
一連の戦闘行為によってアジアの広い範囲にわたって放射能汚染エリアが生まれ数億もの死者も出た。
日本もこの影響を受けたがヲタク有志一同によってコッソリ実用化していたビーム砲で打ち込まれた核弾頭は全て『民間主導で』迎撃に成功。
安い給料にも拘らず自衛隊は奮戦し何とか九州北部と山陰の一部で先端が開かれた以外は被害は生まれなかった。
ちなみに『聖地』も2桁ギガトンクラスの核の嵐が吹き荒れて跡形も無く蒸発。コレがきっかけで最終的な停戦となった。

戦後は『財団』の影響を大きく受け、引き摺られる様に各分野での技術開発や理論確立のペースが加速。
リシェイド・御平という一発屋が成立した事でコレに追従しようとする研究者も大量に現れた。
また地球上のみを生活の場とする事に限界を感じた政治家や学者が多く現れ、宇宙開発の冷戦時のそれをはるかに上回るスピードで加速した。


リシェイド

97世界では有数の資産家で応用核融合物理学の権威。
ミッド系世界ではチョット裕福な人といった所だが対聖王教会においてのみ若干強めの発言力がある。
管理局の在り様については自衛隊のその名前並に疑問の念を浮かべている。
デバイスについては現在本人、なのは、アリシア、モミジの4名のデバイスを開発。
また『夜天』関連の面々のメンテナンス・システムバージョンアップも一手に引き受けており、
実質彼女等5名もリシェイドが作ったといっても可笑しくない状態となっている。
現代において唯一ユニゾンデバイスの『仕様』を『正確』に理解している存在でもある。
本人の魔力量はB-程度(本編の6課前衛より気持ち弱いぐらい)、レティスとのユニゾンによってコアが拡張されほぼ無限の魔力持ちとなる。
所謂『天才』科学者の類の筈なのだがその頭の6割は『ネタ』で占められており、日常的にネタがポロポロと溢れている。
世界に向かって『ネタ、あれ!』と平気で叫ぶウマシカ。


レティス(CV:白い羽のおねぇちゃんとか火星のうんでぃーねとかの中の人、コードネームはさーや)

稼動開始から数年が経過しほぼ『人間』と差の無い所までロジックが発展。
翠屋ではセカンドチーフ状態となっていて主要戦力の一人。制服代わりに何故かシックで飾り気の無いドレスを着て仕事をしている。
高町桃子が自分の欲求を満たす為にやったのだが、当人が羞恥心を抱く前に事に至った為その計画は失敗に終わった。
レティス当人はその格好が『当たり前』と刷り込まれてしまった為、それからずっとその格好のままでいる。
日常では微妙にレスポンスが遅くチョッピリ天然とみられる所も。

レティス当人の戦闘能力は殆ど無く、魔力運用こそ得意だが補助系一辺倒である。
だがエクスタスと同期さえすれば無尽蔵で凶悪じみた出力での魔力運用が可能な為、艦隊規模での強襲でも受けない限り脅威とはならない。
ユニゾンするとリシェイドに関しては魔力運用補助がメインとなるのだが、
何故か出来てしまうなのはとのユニゾンでは肉体強化や魔力励起効率の向上まで幅広くカバーしてしまう不思議スペック。



エクスタス(CV:裏葉様とか巫女母先生とか宇宙人先生とかパン屋の奥さんの中の人)

隠蔽処理を切ると管理局が泡吹いて止まるほどの魔力を生成可能な文字通りの『バケモノ』デバイス。
リシェイドがネタにネタを積み上げて完成させただけあってか、そのスペックの高さは尋常ではない。
コントロールAIとしては破格の処理能力とデータ量を誇り、口下手な人間よりよっぽどマトモな会話が可能である。
リシェイド程ではないがそれなりに『ネタ』脳を持っている為、そこかしこでネタが披露されている。

単体でも凶悪じみた戦闘能力を誇るがエクスタスの真価はオプションユニットを実装した時に発揮される。
66年の段階で完成しているのは防御一辺倒のTypeD、近接剣士モードであるTypeB、汎用で高い総合力を誇るTypeRの3種。
リシェイドはイベント攻略の為にオプションを構築していくつもりであり、
とりあえず66年の現段階ではTypeW、TypeI、TypeJの3種を設計、開発を続けている。


クレア

おかーさん最強説。
リシェイドの収入が半端ではない為クレアが働いていたのは精々1年ほど。
後の約10年はひたすら家事と趣味の毎日。
翠屋で気紛れにウェイトレスをしているが何気にシークレット店員扱いで大人気。
黒を基調とした落ち着いた服装に翠屋のエプロンと言う組み合わせのシンプルな格好だがそれがまたウケるらしい。
肉体派だが理論的でもあり、デバイス開発は親子3代に渡ってヤバイほどの技術力を誇っている。
ウォーレスに操を立てており、再婚のつもりは無い。所謂熟れた未亡人。


高町なのは

我らがナノハサマ。語るも不要の完成された"戦闘者"。管理局内外関係なく通じるコードネームとして"白いアレ"がある。
指すに値する代名詞が見当たらないらしく、ロストロギア以上に『触るな危険』扱いになってしまった。
御神の剣士としては未だ成長の途中であるが、レティスとのユニゾンをする事によって肉体的ポテンシャルを最大に引き上げ奥義の行使すら可能になる。
その結果がどうなったのかは作中の通り。
魔力については単独でSSSオーバー、魔力炉実装機であるブレイブハートの補助を受けると一個艦隊を真正面から迎撃可能となる顕在した悪夢となる。
知識については本編の様な砲撃一辺倒ではなく、各種補助系もそれなりに使える様、クレアが丁寧に仕込んでいる。
また、リシェイドがベルカ式についての研究を一通り終えた段階で近接についての術式の一部を古代ベルカ式に変更する様矯正。
コレによって攻撃力が当初の2割り増しとなっていたりする。
リシェイドが居れば他は別にといったスタンスを取るも友人関係はそれなりに円満である。
最近ではヤンデレな香りもしたがその表現方法が某刃傷沙汰以外ではチビっ子のダダと大差なく、リシェイドは完全にスルーしている。
66年になり、世界を渡る様になると自分の恵まれた環境についての意識も始まり、隣に居れれば良いといった感じの感情も僅かだが浮き始めた。


ブレイブハート(CV:弓兵、庭球プリンスのアイスエンペラーの所の部長、10作目モアシーと蛙の中の人)

ネタの塊1号。
魔力炉を一基搭載している為、術者に負荷を掛けず安定した魔力運用が可能。
元々はエクスタスのオプションユニットの初期構想仕様品を流用して開発している為無駄にスペックが高い。
そのお陰で各種運用負荷関係についての耐久性が非常に高く、エクスタスからの魔力供給を受けても平気で運用が可能である。
デバイスとしては射撃、トラップ担当。


ソードオブオース(CV:金平糖の悪夢とか固体蛇とかあとバトーの中の人)

ネタの塊2号。
普通なら魔力展開用ユニットの保護材等に使う超高額素材をふんだんに使った特装ボディの持ち主。
エクスタスの魔力ラインを2本貰っても耐えうる脅威のキャパシティを誇っている。
どちらかといえば突っ込み役だがブレイブハートの相方に相応しい程のネタ脳は持ち合わせている為一般人が関わると確実にボケ役となる。
ブレイブハートと同様ペラペラとお喋りが大好きである。

御神の業に最適化してフレームを構成している為、魔力を用いなくても桁違いの切れ味を持っており
またなのはの体に合わせた重量になるよう調整がされている為、正に『鬼に金棒』な状態である。
デバイスとしては近接、各種補助を担当。



フェイト

天然さん。リニス存命で家族円満だったせいか若干魔力量が本編よりも多く66年現在でSS-程。
リニスに丁寧に仕込んでもらったお陰で、なのは程では無いにせよソコソコ汎用的な魔力行使が可能となっている。
その為、本編の様な近接一辺倒な先頭スタイルでは無く、『近代戦式なスタンスで可能にした御神流のオコボレ』な戦闘スタイルとなった。
魔力で自分を隠蔽、ミドル・ショート・クロスの各距離で『先の先』若しくは『後の先』を取って一撃で落とす。
結果、なのはの戦闘を見て師事する様に・・・でもやっぱり御神流は習得出来そうに無い。
最近魔導師らしい戦闘が減ってバルディッシュの出番が少なくなり、チョット拗ねていたり。

65年9月以降はなのはと同じ聖祥附属に編入。ちなみにアリシアや八神はやても同時に編入している。
基本『美人さん』、運動神経はなのは、すずかに追従するスペックがある為体育の時の人気度は計り知れない。
座学は本編とほぼ同じ程度。本編と違い自身の現状に失敗こそ有れ特に引き摺るような事も無い為会話のレスポンスや反応も明るい。


アリシア

何処が如何変わったのか、何故か生きてる人。しかも生まれるタイミングまで遅れに遅れている。
フェイトとは一卵性双生児の筈なのに性格は全く違うし某双子姉妹芸能人の様なあのシンクロ具合も見えない。
元気ハツラツでイタズラも好き、フェイトの使い魔の筈のアルフとはフェイト以上に仲が良い。
本編同様リンカーコアを持たず生まれたがリシェイドの計らいで遂に魔導師化。
コ○ケはおろか同人ショップにすら行った事が無い筈なのに何処で見たのかそのバリアジャケットは某郷の改造巫女服となった。


リィズ

見た目はStSのSS1でリィンツヴァイが見せたおっきいモード。
パッと見はショボいのに戦闘機人なんてオモチャにしか思えない様なハイテクの塊。
アリシアとユニゾンする事で圧倒的な戦闘力を誇るがAMF下ではユニゾンを維持できない為戦力としては微妙。
この先、成長していくとレティスと似たような外見になる(予定)。要は美人さん。


リニス

ぬこ耳いいよぬこ耳。何故か存命な人(?)二人目。
アリシア、フェイトのベビーシッターから始まって家政婦・家庭教師とテスタロッサ家の家事全般を一手に引き受けている。
『双子には無償の愛を、害虫には天罰を』をモットーにやってきたが、65年遂に陥落。典型的なツンデレさんになった。
と言ってもPTO、公私の分は弁えていて何事も冷静に進めようとする性分な為、中々攻勢に出れない模様。


アルフ

出番がマジで無い奴。
フェイトが3歳の時に「ワンワン死んじゃイヤ!」と云う理由で使い魔化したという微妙な経緯があったりするが気にしない。
フェイトが十二分に強い為戦闘に参加する必要性が無く本編の様な関係は一切無く、
大抵海鳴の商店街でフライドチキン片手にフラフラしている、所謂ニート。


プレシア

歴史変動の一人目。
確認事項として本編のアリシアと当作のアリシアの遺伝子提供者は別人。
作中でも判る通り、どうやら男を落とし損ねたらしい。結果アリシアが生まれないままヒュードラ事件勃発。
その後別の男とデキてアリシア、フェイトが生まれた模様。
悲劇とかそういうのかんけーねーよな状態な為、本編の様なキ印にはなっておらず、普通に母親している。
リシェイドの技術や構想に同調ししっかりマッドな本性を表していたりする。


高町家

家長の士郎、長男恭也、長女美由希、次女なのは、居候の不破美沙斗と完全無敵に戦闘集団。
恭也に関しては原典の様な膝の負傷も無くブッチャケ当作中生身では最強のユニット。
50トントラックを叩き潰せる非常識な攻撃力と神速二段掛けの長時間運用も平気な何処のW0カスタム野郎。
高校時代に色々あって月村忍とデキたらしい。二人っきりになると本当に恭也かと疑うほど甘々バカップルになるらしい。
美由希も同様に原典を超える性能を誇るも恭也の圧倒的性能の前に霞んでしまっている。
と言いつつもこの二人を打ち負かせる家長士郎と美沙斗の二人はマジで反則。この辺りは実戦経験の差だろう。
そしてヒエラルヒを無視する存在である桃子に関しては更に話がややこしい。
何処に繋がっているのか一切不明のコネを用いて政官民関係なく大抵の無理は通せる日本の裏の支配者。
料理の腕は原典・本編同様かなりの物。



月村家

リシェイドの登場で一番状況が宜しくない方向へ変化したであろう家。
忍のマッドぶりは常軌を逸しており、ノエルの強化と恭也と如何ラブラブするかしか頭に無いらしい。
一番の被害者であるノエルはビームライフルやス○ライカーバック、シル○ットパックの装備が可能になっていたり
核融合炉が実装されたりともう滅茶苦茶。その副作用で筐体の稼働レスポンスが御神の剣士並まで跳ね上がっている。
すずかは本編と大差無し。早いうちから毒されている為かリシェイドや忍の無茶苦茶ッぷりを許容。将来はマッドの仲間入りか?
吸血鬼モードに移行してもそれに追従・凌駕してくる高町家にチョッピリ嫉妬していたりも。

アリサ

すずか同様大差なし。リシェイドはライバルと言うか目指すべき目標のような感じで見ている。Likeは有るがLoveでは無い(筈)。
なのはの天才っぷりに引っ張られて本編よりも若干頭は良くなっている。


八神家

本編とは全くかけ離れた状況になり一番理想的な時間軸に進めたであろう一家。
リシェイドが徹底的に介入した結果守騎士全員が強化、シャマルにいたっては料理下手の解消すらしてしまい
残る問題はザッフィーの存在感の薄さ(出番の無さ)を解消するのみとなった。
教会と懇意にしており、収入もソコから得ている。何気に管理局勤務より額が多いと言うのは気にしない。
ちなみにはやてに関しては本編と違い一切縛りが無い為なのは達以上に普通の生活をしている。


カリム

リシェイドをチョッピリ尊敬しちゃった将来が危ぶまれる人。
教会運営を続けてきた家の跡取りである為リシェイドの行為に関心しているのは確か。
未だ20代前半、他に相手を見つければ助かる見込みはあるのだが・・・周りは既婚者ばかりで出会いは無さそう。
翠屋の味に惚れ込み教会から正式に出店希望を出した。


ナカジマ家

リシェイドの影響をもろに受けている家族その2。
モミジのイメージは・・・幼い元気な紫苑様?とりあえず今の体は最先端技術の塊となった。
生体情報制御系が外皮のナノマシンスキンではなくその内側に展開されている為、バリアジャケットを纏えないと言う厨設定を持っている。
内蔵している融合炉は定格出力でMSA-0011を凌駕するスーパーボロット仕様。魔法技術万々歳であるとはリシェイドの弁。
ギンガ・スバルが出てこないのは筆者の頭がソコまで回らないだけで十二分に元気。
何気にクイントも強化されたが、それでもオーバーSとのガチンコだと微妙な程度。
AMCSは搭載していない為、対ガジェット・戦闘機人戦においては全く持って意味が無かったりするが気にしない。




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