皆の衆、元気か?オレはボチボチだ。
さて、フェイトとの邂逅が終わった所で残る未回収ジュエルシードが10個となった訳だ。
そしてフェイトと直接対面したなのははといえば・・・
「おかーさん。これは?」
「バターは型の内側に塗っておいて」
桃子さんと一緒にお料理タイムだったりする。
フェイトとの戦闘で萎えたりしないのかって?対人戦専門である御神の剣士がその程度でヘタレる訳が無い。
父親である士郎さんや、一時は社会の闇に潜っていた美沙斗さんからも色々と話を聞く様になって精神的にも成長が進んでいる。
それに魔導師としての心構えも母さんから学んでる。メンタル面もバッチリなのだ。
如何考えても本編以上に『戦士』だよなぁ・・・
普段は平和主義だし大人しいし、何より俺を慕ってるから特に問題は無いが、将来的には拙いよなぁ・・・。
目下直ぐ来るイベントの主要人物、某烈火の将もこう云うヤツ大好きだし、絶対ヤバイよなぁ。
ってか、もし本編同様に管理局入ったら一気に駆け上がって、数年も掛からずに気付いた時には大魔王として君臨してそうだよなぁ・・・コエェよう。
「シェイおにーちゃん、出来たよー!」
ん?ボーッとしてるうちにもう出来たのか
「おう、すぐ行く」
高町家の縁側でのんびりと恭也の盆栽を眺めていた俺は奥のリビングへと向かう。
父親の生死に関わらず、あいつは爺臭かった。
父親にああ云った趣味や雰囲気は無かったのだが何故だろう。気にしたら負けだろうけど。
ちなみにオレはといえば、ああ云う物に対してこの家という環境と合う趣きの類は理解出来んでも無いが、それ以上は時に感想を持てん。
ん?士郎さんに恭也と美由希はって?いつもの通り、山篭り(と称した春先の熊狩り)だ。
『話が抜けてる、温泉は?』って?
・・・オレは不参加ですがな。やりたくも無い仕事で日本にすら居なかったぞ、チクショウ。
ちなみにココのジュエルシードは真っ先に回収されていてフェイトとアルフとの戦闘も無かった。
ちなみにユーノはココでついに初お披露目。高町家面々は次元世界についても説明済みだったから、
別途で事故でココでしばらく過ごす事になった等本当の事を教えた。
ついでにフェレットモードは禁則としてある。テメェにだけ美味しい思いはさせねえ!!
閑話休題。で、リビングで待っていたのは
「♪」
鼻の上に生クリーム乗っけて満面の笑みを浮かべオレを見るなのは。両手で抱えてるのはなのはお手製のケーキ、しかも初物。
「アラアラ♪」
ニヤニヤしながらなのはとオレを見る母さん。
「飲み物はコレでいいわよね?」
と、グラスとポットを持ってくる桃子さん。勿論ニヤニヤの表情。
・・・マジで居心地悪いんだが、逃げて良いか?
"ガラガラッ"
ん!?
「「ただいまー」」
「桃子、帰ったぞー」
・・・何でこんな早く帰って来るんだよ男共と美由希。って待て待て!?今リビング来るんじゃねえ!!
「あれ、なのはエプロンなんかして、何か作ったの?」
「うん!シェイおにーちゃんにケーキの試食してもらうの!!」
お、遅かったか・・・。
「「ホゥ、ソレは良い事を聞いたな」」
入り口からえらい殺気を感じるんだが・・・チクショウ、ピンポイントなせいで他のヤツは誰も気付いてイネぇ。
「人の妹を誑かすとは・・・良い根性してるな、リシェイド」
「あぁ、未だ可愛い盛りのオレの娘を弄ぶなんて・・・覚悟は出来てるんだろうな、リシェイド君?」
・・・もうイヤ、勘弁して。
この後フルボッコにされた上に鋼線で亀甲縛りにされた状態で庭の物干しに吊るされた。日に日に扱いが酷くなっているのは間違いない。
にしても恭也のAFO、知らん間に『閃』まで使えるようになってたのか。
ちなみに今日の凹コースだが、恭也の神速二段掛けでオレは既に追いつけない状態、で普通の斬撃から奥義へ移り先ずは虎切、そして薙旋と続くコンボ。
合わせる様に士郎さんの薙旋がブチ込まれ、浮き上がってしまった所へオマケの10トントラックをブッ壊す威力の雷徹が続いて、
とどめに瞬殺技のトドメとなる恭也の閃。ッチィ、何処のイジメだよ、オイ。
最高強度でバリヤジャケットを展開してなかったらいくらオレでも死んでたぞ?
抑止になると期待していたなのはだが、この程度はじゃれ合いだ問題無いと云わんばかりにまたやってるよみたいな感じでコッチ見てたし
美由希は予想通りヘタレ全開、君子危うき云々を実行し、我関せずと何処からともなく文庫本を出して視線を伏せた。
後で聞いたがコイツも閃が使えるようになったとか。そんなヤツが大人しそうにしたってすぐにばれるぞ?
母親ズは『アラアラウフフ』とニヤニヤしながら傍観モード。アイスティー片手に優雅なものだ。
見た目若いし綺麗でソレが似合ってしまうから始末が悪い。皺が寄ってたりすればそこから突っ込みの一つでも入れられたのだが・・・やったらマジで殺されるか?
頼むから止めてくれよと何度視線送ってもスルーだったのは多分一生忘れないだろう。
あと本編でフルボッコにされた防衛プログラムの気持ちがちょっとだけ解かった気がする。
さて、フルボッコにされた翌日、フラフラと商店街の本屋で雑誌の物色に勤しんでたオレは目を疑った。
・・・なんでフェイトが二人?
「お、お姉ちゃん待ってよ!」
「ほら、行くよフェイト!!」
・・・お、お姉ちゃん!?
「もうっ。アリシア、フェイト、大人しくしなさい!!」
ま、マスミンボイス!?
ま、まさか!!
慌てて声の方を確認するとそこには
黒系の色がメインのシックな服装と深く被った帽子と、服の上からでもよく分かるスタイルのいいマスミンボイスと、
ヤケに元気のいいフェイトそっくりな水樹ボイスの女の子、そして我らがアイドル、フェイト・テスタロッサ。
何だよコレ、何処のカオスだよオイ!!
アリシアは16年前のヒュードラ暴走に巻き込まれて死んだんじゃなかったのか!?
リニスはバルディッシュをフェイトに渡して3年ぐらい前には消えたんじゃないのか!?
あ、アカン。頭おかしくなりそうだ。
冷静になれオレこう言う時は素数を数えるといいって何処かの誰かも言ってたし、1,2,3,5,7,11,13,17,23,29,37,41・・・
OK、情報整理開始だ。とりあえず、史実通りならアリシアはリンカーコアを持ってない、若しくは極限まで素質が無い。
という訳でチョットパッシブ探査してみると・・・うむ、魔力反応ゼロ。
ついでにリニスはアルフよりチョット強いぐらい。経験がモノを云うだろう、実戦ではかなり上と見てもよさそうだ。
リミッターが効いた状態のなのはソロで3人相手はきつい。場合に寄っちゃ俺も本格参戦になるのか、・・・メンドイ。
「ねー、リニスー今日の晩御飯は?」
「クスッ、今晩はアリシアの好きなグラタンですよ」
「ほ、ホント!?」
「あ、私作るの手伝います」
「ありがとうございます、フェイト」
・・・微笑ましいというか何と言うか。
リニスの両側にアリシアとフェイトがそれぞれ抱きついて商店街を進んでいく姿見てると、普通に歳の離れた姉妹ぐらいにしか思えん。
髪や目の色が違うけどその程度はスルーだ。3人共所謂美人さん補正が掛かるから無問題。
さて、フェイトの教師だけあってリニスはデキるだろうからこれ以上の接触は危険だな。一旦離れて考察を続けよ「グゥゥゥッ」う・・・ついでに軽く食うか。
商店街のはずれにあるファーストフード店に入り、キャンペーンの類は無かったので無難にテリヤキバーガーのセットを注文、壁を背に出来る席を陣取る。
食いながらモバイルPCを叩いている内にふと、何か気になる物が視界に入ったのか視線をそっと上げた先。
な、何で、何でプレシア女史がこんな所で黄昏ているんでしょうか!!?・・・しかもポテトを摘まみながら。
「はぁ、アリシアは元気だけど精神年齢幼いし、フェイトは利口だけど天然さん・・・あの人の分もちゃんと愛情込めて育てた筈なのに、
如何してこうなったのかしら。計画も上手くいかないしアレも手に入れられないし・・・ハァ」
マジで頭痛くなってきた。
とりあえずPCの回線を切り替えてミッド系に接続、16年前にあったヒュードラ暴走の情報が乗った当時のウェブサイト等をネットアーカイブから検索。
幾つか時系列整理された物もあったので確認していくと・・・
「ん?ちょ、オイオイ」
プレシアさん、アリシア産んでないですがな。もしかしてアレか、男とデキる前にイベント発生しちまってアリシア死亡フラグ回避。
ついでに双子状態でフェイトも出産?って事はまさか、アリシアとフェイトはなのはと同じ歳?プレシアさんプロジェクトFATE非参加!?
むっはー、全く別世界ジャン。・・・あれぇ、じゃ何であの人等ジュエルシード欲しがるんだ?理由が見当たらんぞ。
この時は完全に失念してたが、この状況が10年後に思いも寄らぬ事になるとは・・・。クソッ、スの字め!!