【コラム】小さな違反をなくして先進国に

 数日前の昼休み、同僚たちと一緒に飲食店に向かっている途中「ウイーン」という騒音とともに白いパウダー状のほこりが舞い上がった。ビルの工事現場前の歩道で、作業員たちが平たい石板を丸ノコで切断していた。ビルの床や外壁に使用される石板のようだった。

 パウダー状のほこりはまるでスモッグのように道路に舞い上がり、行き交う人々はあちこちでこれを避けながら歩いた。パウダー状のほこりは、工事現場から遠くなればなるほど見えなくなっていったが、これは風の流れに沿って都心を飛び回っては、通行人の目や鼻、口に入り、頭部や衣服に付着したはずだ。ただ、目には見えないだけで、われわれはこうしたパウダー状のほこりを頭からかぶり、口から吸い込み、ご飯と一緒に食べているのだ。

 最近、都心の工事現場はかなりきれいになってきた。現場の周囲は2階の高さに相当するこぎれいな大型フェンスで覆われ、ダンプトラックのタイヤの土は水できれいに洗い落とさなければ出発できないようになっている。しかし、石板を切る姿は今も昔も全く変わっていないようだ。皆どうして工事現場の外や歩道横で石を切るのか分からない。ほぼ完成したビルの中で切ると、そのほこりを吸うのは自分たちだけになってしまうため、外に飛ばして一緒に吸おうとでも思ったのか。

 石板のようなものを切断する際は、常に水で洗い流しながらパウダー状のほこりが飛び散らないようにしなければならないという規定がある。にもかかわらず、誰もこれを守っておらず、監督すべき官庁も見て見ぬふりをしているようだ。

 数日前、新築ビルの雰囲気のいいフードコートで昼食を取っていたときのことだ。誰かが返却したお盆の皿の上にカクトゥギ(大根キムチ)が残っているのを見つけた従業員が、その上に新しいカクトゥギを幾つか加えて、他の客にこっそり出すのを目撃した。おかずのリサイクルだ。それからというもの、料理を手渡す所と食器を返却する所が遠く離れているフードコートに行くようになった。飲食店に行くと、残ったおかずをどのように処理しているのかチェックする癖も生じた。数年前には飲食店での食べ残しの再利用を取り締まる法律も制定されたが、当の従業員たちの認識が変わらない限り、根絶は難しいようだ。

 市民たちの気分を害するこうした小さな違反は、私たちの周囲に散乱している。デモなどに備えて道路横に列を成して待機している警察隊のバスは、車内で冷暖房を使用したいからか、エンジンをかけっぱなしにしているケースが多い。その横の歩道を通る市民たちは、これらのバスから出る排ガスの臭いのせいで息が詰まる。最近ではマフラーをねじ曲げることで、排ガスが歩道の方向に排出されないように工夫された警察隊のバスも見たが、はっきり言って気休めにすぎない。エンジンのアイドリング(停車状態でエンジンが回っている状態)を処罰することもあるが、警察隊のバスだけは例外のようだ。

 警察がビデオカメラで取り締まりをしているとはいうものの、信号が変わったにもかかわらず、交差点の真ん中で立ち往生している車が対向車線をふさいでしまうケースは、通行量の多い道路で相変らず発生している。飲食店の従業員がトイレで手を洗わずに出てくる姿もよく見受けられる。

 当事者にとっては小さな違反にすぎないかもしれないが、周辺の市民にとってはあまりにも不快な出来事だ。不快さを通り越して、市民の健康を損なう行為だ。韓国社会は、こうしたことをしないようにと訴える教育や取り締まりが依然として必要なレベルなのか。こうした小さな出来事一つ一つを正していくとき、正真正銘の先進国になれるのだろう。

パク・ジュンヒョン社会部次長
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