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今だから話せる「ガンダム」「ダンバイン」「パトレイバー」生みの親たちのメカデザイナーズサミットレポ

2012年12月18日 11時00分 (2012年12月21日 01時31分 更新)

「メカデザイナーズサミット」出席者プロフィール
大河原邦男(写真左・おおかわらくにお)/1947年、東京都生まれ。稲城市在住。1972年、タツノコプロ入社。1976年、中村光毅と「デザインオフィス・メカマン」を設立。1978年からはフリー。本文に登場した以外の主な代表作に、「タイムボカンシリーズ」「太陽の牙ダグラム」「蒼き流星SPTレイズナー」「機甲戦記ドラグナー」など。
宮武一貴(写真中央・みやたけかずたか)/1949年、神奈川県生まれ。大学在学中に、SFクリスタルアートスタジオ(後のスタジオぬえ)を創設。小説「宇宙の戦士」のために描かれたパワードスーツのデザインは、後のロボットデザインに大きな影響を与えた。本文に登場した以外の主な代表作に、「超時空世紀オーガス」、「劇場版銀河鉄道999」のアルカディア号など。
出渕裕(写真右・いずぶちゆたか)/1958年、東京都生まれ。1979年、「闘将ダイモス」の敵メカのデザインを担当してデビュー。その後、ガンダムシリーズなどのアニメにくわえ、特撮のスーパー戦隊シリーズでキャラクターデザインも担当。2002年には「ラーゼフォン」でアニメ監督デビューも果たした。本文に登場した以外の主な代表作に、小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」のナインチンゲールなど。

[拡大写真]

僕も、たしかにパッと描けたものの方がうまくいくんですよね」
大河原「ガンダムのときは、主役の3機(ガンダム、ガンキャノン、ガンタンク)に苦労させられたんですよ。スポンサーの意向もあって。でも、その当時、敵メカは商品化されないので(自由にできるから)、主役を食うようなものを作ろうと思ったんです。そうしてできたザクは、ガンダムに並ぶキャラクターに育ててもらった。(監督の)富野さんの扱いもすごく良かったから」
宮武「1話のイントロダクションのザクの動きが無かったら、ガンダムはとても今のような状況にはなってなかったですよね」
大河原「あれは、安彦(良和)さんの力ですよね。あと、やられメカじゃなく、兵器として扱ってもらえたのも大きかった」

「機動戦士ガンダム」でキャラクターデザインと作画監督を兼任した安彦氏については、3人全員が、その才能を絶賛していました。

<宇宙戦艦ヤマトの波動砲の秘密>

宮武氏は、「宇宙戦艦ヤマト」のデザインに関する、意外なエピソードも披露。
1974年に放送された「宇宙戦艦ヤマト」では、松本零士監督がメカデザインも担当。松本監督の描いた原稿を、スタジオぬえの宮武氏らがクリーンナップする形で設定制作が進められました。しかし、後にこの作品の著作者人格権に関して法廷闘争を繰り広げることになる、西崎義展プロデューサーと松本監督の間で、ヤマトのデザインに関して意見が対立。争点は、実在した戦艦大和の艦首にあった、菊の御紋でした。

宮武「西崎さんは、菊の御紋が無いとヤマトではない。絶対に必要だと。でも、松本零士さんは反戦的なところがあるので、絶対につけない。じゃあ、菊の御紋に見えれば良いんですよねってことで、(艦首の)菊の御紋をそのまま引っ込めた。それが、波動砲なんですよ」

たしかに、宇宙戦艦ヤマトの艦首に装備された波動砲を正面から見ると、内部のモールドが菊の花びらに見える!
「宇宙戦艦ヤマト2199」を制作中の出淵氏も、スカパー!特番の控え室でこの話を初めて聞き、驚いたそう。

出淵「宮武さんからは、ヤマトネタをかなり掘り出しているつもりだったんですけど。知らないネタが出てきて、久しぶりにドキドキしました。まだ、もうちょっとあるかもしれないから、掘ってみようかなって思います(笑)」

この3つのエピソードの他にも、「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督と親交のある出淵氏が、企画の初期段階で庵野監督に頼まれて、「スマートで鬼みたいな顔をしたゲッターロボ」のようなデザイン案を描いたことなど、興味深い話ばかりの約1時間50分でした。

ライター情報

丸本大輔

1974年生まれ。フリーライター。スポーツ選手や小説&漫画の著者へのインタビュー記事中心に活動を開始。しかし、いつの間にか、アニメ、イラスト系の雑誌&書籍、アニメDVDのブックレットなどが活動の中心に。好きな監督は、ヨハン・クライフ、サー・アレックス・ファーガソン、佐藤順一。
ツイッター/@maru_working

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