2007.04.02更新
 東海旅客鉄道株式会社(JR東海)様(社員数約20,000人)は、平成18年度ファミリー・フレンドリー企業として、厚生労働大臣努力賞を受賞された。夜勤や泊まり勤務など多様な勤務形態のある職場としての難しさを抱えたうえでの、同社の両立支援への取り組み状況について、人事部の白井課長代理と益田主席にお話を伺った。
(聞き手は、当社ヒューマン・キャピタル研究所の可児)。
可児
ファミリー・フレンドリー企業表彰厚生労働大臣努力賞受賞おめでとうございます。さっそくですが、両立支援への取り組み経緯についてお願いします。
JR東海様
(以下、東海)
 当社の基幹事業は鉄道業であり、安全の確保を最優先としています。社員の採用や教育についても、安全意識の醸成や確かな業務知識・経験を養うことに力を入れています。これらの取り組みは一朝一夕では成果を得ることはできないので、当社は長期の雇用・定着が重要だと考えています。また、鉄道現場の最前線で活躍する女性社員も増えており、男性社員と同様に当社で長く力を発揮していただきたいと考えています。このようなことからJR東海では以前より両立支援に取り組んできました。
可児
育児休業期間は満3歳までと、充分期間をとっていらっしゃいます。
東海
 満3歳までの期間延長は平成17年4月より実施しました。充分な期間に延長したことで社員それぞれのライフプランに合わせた選択ができるようになりました。なお、復職する際は原職への復帰を原則としています。
女性の育児休職取得率は9割以上で、オフィス部門だけでなく駅や病院などでも広く利用されています。男性の育児休職者も多く、平成17年度で3名、18年度で5名が取得しています。こうした制度の利用実績が高いことも、当社の両立支援への取り組みが評価された点だと考えています。
可児
育児短時間勤務については、いかがでしょうか。
東海
 育児・介護休業法における勤務時間の短縮等の措置として、JR東海では所定外労働を免除する制度を子が小学校に入学するまで利用可能としています。多様な職場、多様な勤務形態がある当社の特殊性を考慮しています。
育児に関連して、育児・介護費用の補助金を互助会で実施しています。ベビーシッター補助金、保育所利用補助金、ホームヘルプ補助金です。利用料金の領収書を提出いただければキャッシュバックされる仕組みです。
施設や業者は限定されていますが、この4月からベネフィット・ワンの福利厚生パッケージ「ベネフィット・ステーション」を採用しており、それに掲載されている育児・介護サービスにも補助金を適用できる予定です。
可児
両立支援が根付く職場風土づくりについては、いかがでしょうか。
東海
  家庭の充実は仕事の充実につながると考えています。 2種類の社内広報誌で特集記事を組むなどして両立支援制度を紹介したり、JR東海の福利厚生を分かりやすく紹介した冊子「My Life Our Life 〜仕事と家庭の両立ガイドブック〜」を作成して全社員に配付するなど、制度を広く社員に利用してもらえるよう工夫しています。また、新入社員や管理者の研修教育などの機会でも啓蒙に努めています。しかし、よい制度をつくっても職場の協力が得られなければ充実した支援はできないと考えています。こうした取り組みは制度を利用する側の社員への広報活動となるだけでなく、職場の理解や協力を促す風土づくりにも役立っていると考えています。
可児
ファミリー・フレンドリー企業表彰を受賞後の、新卒採用での反響はいかがでしょうか。
東海

 受賞を契機に、今まで以上に学生の皆さんから当社の福利厚生などについてご質問をいただくようになりました。特に両立支援制度への高い関心が伺えます。学生の方は会社を選ぶ際に仕事内容はもちろんのこと、仕事と家庭を両立できるような環境であるかどうかも重視しているのではないでしょうか。

可児
今後の両立支援やワーク・ライフ・バランス施策についてのお考えはいかがでしょうか。
東海
 先ほどもお話したとおり、当社は、長期雇用を前提としていますので社員のライフプラン設計を大切に考えています。昨年度ファミリー・フレンドリー企業表彰を受賞したように当社の取り組みに対してすでに社会的に高い評価もいただいていますが、今後も男性女性を問わず仕事と家庭を両立していけるように支援を続けていきたいと思っています。
可児
本日はまことにありがとうございました。
(文責 ヒューマン・キャピタル研究所)
   
主な取り組み内容(厚生労働省サイトから抜粋)
(1)育児休業制度
子が満3歳(期間雇用者については満1歳又は1歳6か月)まで取得可
(2)介護休業制度
対象家族1人につき通算1年(期間雇用者については93日)まで取得可
保存休暇(20日間を限度とする失効年次有給休暇積立制度)を介護のために利用可能
(3)勤務時間短縮等の措置
・育児のための制度所定外労働の免除(子が小学校就学前まで利用可)
・介護のための制度短時間勤務制度(通算93日まで利用可)
・育児・介護サービス費用の補助ベビーシッター補助金(未就学児を対象、1日当たり1,500円
まで)保育所利用補助金(3歳到達後の年度末まで、子ども1人当たり月5,000円)ホームヘル
プ補助金(年間20日まで、1日当たり5,000円)
(4)その他の制度
・育児休業及び介護休業中も期末手当を一部支給(最低30%保障、育児休業の場合は子が
1歳になるまで支給)し、昇進や退職手当等の算定に当たっては、休業期間を1/4出勤したも
のとみなす
・介護休業中の社会保険料等を会社が負担するとともに介護見舞金(1日当たり1,000円)を
支給
(5)社内環境整備
・休業中の従業員に対して社内報の送付等による情報提供を行うとともに、休業者の職種に
  応じて職場復帰のためのOJT等を実施
・社員が各種制度を利用しやすいように「My Life Our Life 〜仕事と  家庭の両立ガイドブッ  ク〜」を作成し、社内で配布
・新任管理者研修において、育児・介護関係制度について説明を実施

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