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避難生活による「生活不活発病」初調査へ
6月29日 4時15分

避難生活による「生活不活発病」初調査へ
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東日本大震災に伴う避難生活が長期化するなかで、体を動かす機会が減って心身の機能が低下する「生活不活発病」の増加が心配されていることから、原発事故の影響で避難を続ける4000人余りを対象に初めての実態調査が福島県で始まることになりました。

東日本大震災の被災地では、現在も30万人近くが避難生活を続けており、狭い仮設住宅などにこもり体を動かす機会が減って心身の機能が低下し、体調が悪化する人が相次いでいます。
こうした状態は「生活不活発病」と呼ばれていますが、福島県内では、その詳しい実態が把握できていない状況です。
このため、原発事故の影響で、すべての住民が避難している福島県浪江町の55歳以上の住民およそ4300人を対象に、県内では初めて「生活不活発病」の実態調査が7月から始まることになりました。
調査は福島市医師会が行い、震災前と比べて、体を動かす時間がどう変化したかや、歩行などの動作がどの程度難しくなったかなど、およそ20項目で行われるということです。
医師会では年内にも結果を取りまとめる計画で、福島市医師会の丹治伸夫会長は「避難生活が長期に及ぶにつれて介護が必要になったり認知症になる高齢者が増えている。今後、自治体と協力して調査を広げていきたい」と話しています。

避難生活で高齢者は

鈴木一郎さん(87)は、原発事故の影響で、福島県大熊町の自宅からおよそ100キロ離れた会津若松市で避難生活を続けています。震災前、ひ孫の送り迎えや盆栽の手入れ、それに老人クラブの集まりに参加するなど活動的な毎日を送っていました。
しかし、震災でひ孫とは離れ離れになり、避難先に知り合いもほとんどいません。
生きがいだった盆栽も自宅に残したままです。
いまは、週に2回、デイサービスに通う以外は、一日中、部屋でテレビを眺めるか寝ているだけの毎日です。
次第に歩くのも困難になり、200メートルほど離れた病院に行くにも、途中で何度も休憩をとらなければたどり着けません。
震災から1年余りがたった去年6月には「要支援」とされ、6月には、初めて介護が必要な「要介護1」に認定されました。
鈴木さんは「ほとんど出歩かないので足が弱ってしまいました。
いまは歩くと疲れるので外に出る気持ちにもなりません」と話しています。
仮設住宅で診療を続けている関根俊二医師は「震災前は自分で歩いて診療所に来ていた人が、いまでは車椅子や寝たきりになって亡くなった人もいる。
避難生活が長くなるなかで早急に対策をとらなければならない」と話しています。
            

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