虚構の環:第3部・安全保障の陰で/5止 頭もたげる「再処理国際化」構想
毎日新聞 2013年06月30日 東京朝刊
2004年4月に経産省職員が作成した文書がある。省内部で再処理からの撤退を検討していた時期で、懇意の与野党議員への説明用にひそかに作成された。最終処分場のない現状を踏まえ、使用済み核燃料をそのまま捨てる「直接処分」と、再処理政策を続けるケースを比べている。「直接処分の場合は直ちに『トイレなきマンション』状態が露呈するのに対し(再処理なら)最終処分地選定が予定される20年代半ばまでモラトリアムを得るだけ」と指摘。再処理に膨大なコストがかかるため「政策的意義を喪失した政策(サイクル)を見直し、無用の国民負担を避けるべきだ」と結論づけている。作成に関与した関係者が語る。「さまざまな方便を使ってもサイクルの破綻ぶりは動かない。早く撤退しないと負担が増える一方だ」=おわり