(2013年6月15日付 英エコノミスト誌)
事実は次から次へと明るみに出てきた――。
英ガーディアン紙は6月5日、米国家安全保障局(NSA)が、犯罪の疑いをかけられていない何百万という一般米国市民の通話記録を収集していると報じた。その翌日、今度は米ワシントン・ポスト紙が「プリズム(PRISM)」と呼ばれるプログラムの存在を明らかにした。NSAはこのPRISMにおいて、未知の量のEメール、インターネット通話、画像、動画、ファイル転送、ソーシャルネットワーキングのデータを大手インターネット企業から入手しているという。こうしたインターネット企業には、グーグル、フェイスブック、アップル、ユーチューブ、スカイプ、マイクロソフトのほか、A.V.M.ソフトウエアなどが名を連ねている(以上すべて米国企業)。A.V.M.ソフトウエアは中東の人々やイスラム教徒の間で人気のチャットサービス「パルトーク」を提供している。
米上院情報委員会は、広範囲に及ぶ通話記録の収集が何年間も行われていたことを確認した。6月8日にジェームズ・クラッパー米国家情報長官がPRISMの存在を認める声明を出す異例の事態となった。声明の中で同氏は、同プログラムが法に基づいており、情報収集を監督する秘密裁判所の下で実施していることを強調した。
■安全か監視かの激しい論争に
今回、一連の情報を告発した人物の素性は、この次の日に明らかになった。NSAに過去4年間、複数の民間セキュリティ請負業者を通じて勤務していたエドワード・スノーデン氏(29)が名乗り出たのである。
スノーデン氏はガーディアン紙のインタビューの中で、NSAは被疑者でもない一般市民から膨大量の情報を収集するための能力を備えていたと述べた(なおインタビューはスノーデン氏の逃亡先である香港で行われた)。同氏は「自分の言動が逐一記録されるような世界には住みたくない」と語った。また、政府によるこうした行動の是非は(スパイや秘密裁判所ではなく)国民が判断すべきだと考えている。こそこそ隠れることを嫌うスノーデン氏は、名乗り出ることを選んだ。
1952年の設立以来、NSAは世界の通信を盗聴してきた。その内容は、酔った旧ソビエト連邦指導部の通話からウサマ・ビンラディンの衛星電話に至るまで多岐に渡る。NSAが情報に対してどれほど貪欲であるかは、よく知られている。この数十年間、NSAはエシュロンというプログラムの下、世界中に受信局を展開し、情報として価値の高い通話やデータ通信を傍受してきた。
それでも今回の告発内容から、NSAによるデータ収集の規模が多くの専門家の予想を超えることがうかがえる。秘密情報機関とつながる米国の元高官は、違法すれすれのプログラムの存在が今後ますます明らかになるだろうと語る。今回のスクープ記事を執筆したガーディアン紙のグレン・グリーンワルド記者によれば、スノーデン氏はこれまでに「数千もの」機密書類を扱ってきた。そのため今後も新たな告発があるかもしれないという。スノーデン氏の告発によって既に非難の声が上がっている。また、現代の政府が行う監視の役割や範囲について、どこまでが適切なのか、激しい論争が巻き起こっている。
英ガーディアン紙は6月5日、米国家安全保障局(NSA)が、犯罪の疑いをかけられていない何百万という一般米国市民の通話記録を収集していると報じた。NSAによるデータ収集の規模は多くの専門家の予想を超える。…続き (6/28)
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