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【サッカー】

失望と驚嘆 ブラジルメディア「本音」の日本評

2013年6月30日 紙面から

 コンフェデレーションズ杯で、オセアニア王者のタヒチとともに3戦全敗で姿を消した日本代表。現地のブラジルメディア、セレソン番記者たちは日本をどう分析、どう評価したのか。お世辞や建前を何とかかいくぐり、辛口論評陣の「本音」を聞いた。 (リオデジャネイロ、松岡祐司)

 ESPNブラジルのパウロ・コボス記者は苦笑しながら、肩をすくめた。

 「日本の評判は分かっている。今の実力も分かっている。だけど、このコンフェデ杯では想像以下だった。あまりいいプレーができないまま帰ってしまったね」

 3戦9失点。ただ、「イタリア人監督だけに守備の組織はちょっとだけしっかりしていた」と評価? したが、攻撃陣への失望は大きかったようだ。

 「攻撃しない。チャンスをつくらない。チャンスをつくってシュートを打たない。どうなってるんだ? 香川はすごい選手だと聞いていたが、マンチェスターでやっているようなプレーをやってくれなかったじゃないか。すごく、がっかりしたよ」

 来年のW杯で上位進出を狙っていると伝えると…。コボス記者は「最高で1次リーグ突破だよ」と厳しく指摘。その上で「まだサッカーの差はとても大きい。日本は成長しているので10年後にはブラジルの脅威になるかもしれない。だけど、残念ながら、現時点ではまだまだだよ」

 初戦で惨敗を喫したものの、2戦目の強豪イタリアとの戦いぶりには、ブラジル報道陣からも驚嘆の声が上がったという。ブラジル最大のインターネット情報サイト「テーラ」のセルソ・バイバ記者は「イタリアに勝っていたら決勝トーナメントに行っていたかもしれない。驚いたよ」と笑い、「特に本田が素晴らしかったね」と加えた。

 ブラジル記者陣によると、ブラジル代表のスコラリ監督も「日本は2戦目でしっかり立て直してきた。たった2戦目だよ? これは驚くべきことだ」と、日本の実力を正当に評価するよう話していたという。

 そうはいっても、3年間でチームのベースを築き上げてきた日本に対し、ブラジルは昨年11月にスコラリ監督が就任したばかりだ。バイバ記者は「結果を見ると、日本は世界と大きく離れている。しかもブラジルはチームづくりの最中だから、それを考えると、余計に差は大きいね」と話し、こう続けた。

 「やはり守備だね、日本の課題は。いつも明白な個人のミスで点を取られている。もっと、守備をしっかりオーガナイズしないと、来年のW杯はもっと厳しいものになってしまうよ」

 ピッチ上のプレーだけではなく、日本の置かれた状況や背景を冷静に分析したのは、CBNラジオのアントニオ・カルロス記者だ。6月4日の豪州戦でW杯出場を決めた直後だったことに触れ、「消耗もさることながら、精神的にもリラックスしたところがあったのは仕方がないこと」と思いやり、「ブラジル戦が3試合目だったら結果は分からない。十分、力はあるんだよ」と真剣な表情で言う。「本当にそう思うのか?」と畳みかけても、カルロス記者の見立ては変わらない。

 「もっと自信を持っていいと思うよ。日本は脅威の存在なんだ。組み合わせ次第ではW杯でベスト8に入れると思う。ただ、相手が強かった時にはやはり苦しくなる。どんな相手でも、とは言えないけど、2018年大会ではベスト4を狙えるところまで来ていると信じているんだ」

 ブラジルメディアの評価はさまざまだが、一様に感じるのは期待値の高さ。辛辣(しんらつ)な厳しい評価も、希望的な観測も期待の裏返しだ。1年後のW杯本大会で、日本代表はその期待に応えられるだろうか。

 

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