■車両概要



製造初年 / 運用開始年月日 1997年 / 1997年12月20日
通常使用線区 東北・上越新幹線
E4系使用年 / 営業速度 1997年〜現在 / 240q/h
MT比・制御方式 4M4T・VVVFインバータ制御(IGBT)
主電動機・主格出力 [N/J] MT206 交流誘導電流機 420kw [420kw×4台×4両]
編成出力 6720kw
ブレーキ 交流回生ブレーキ併用 電気指令式空気ブレーキ
集電装置 PS201型パンタグラフ(下枠交差型)
保安装置 DS-ATC・ATC-2


■車両解説


JR東日本は、200系新幹線電車の中距離編成(G編成やK編成)の老朽化、更なる輸送力の増強、運用の柔軟化を目指し、E1系新幹線電車を改良した新型の2階建て新幹線電車の投入へ踏み切ることにした。その新型形式こそ、E4系新幹線電車である。

東北新幹線では1997年12月20日から、上越新幹線では2001年5月7日からそれぞれ運用を開始している。

■E4系の強み

E4系は1997年に製造を開始した。同系はE1系の弟的存在。
そのためE1系と酷似しているところが数多くあるが、改良も多く加えられている。

大きな特徴は以下の通り。

●1編成当りの両数が12両→8両へ
大量輸送・運用の柔軟性を考慮して8両編成となった。
これはE1系での失敗が反映されたところである。
E1系は12両編成のため、通勤時間帯は都合の良い車両だが、ピークを過ぎると空席が目立ち、コストパフォーマンス的にみて失敗であった。
通勤時間は大量輸送を実現し、データイムは需要に応じて編成を短くできるような新幹線、それを実現すべく考えられたのがこの8両編成を基本としたE4系であった。
先に登場したE2系新幹線電車が8両編成で登場していることもあるが、2階建てという特異性から11両編成程度(200系比)の定員を誇る他、2編成連結(16両編成化)が可能になることから実現した。現在、この2編成連結時の最大輸送定員数は世界の高速車両の中でも最高峰の1634人を誇る。
その他、8両編成となった要因として、「つばさ」の併結相手、200系K編成が8両編成であったことが言える。
のちに200系は10両化されるが、200系K編成10両とE4形P編成8両を比べると、E4系が2両少ないものの、77人定員が多い。

●カートでの車内販売の実現
車内は1〜3(9〜11)号車の2階席を3列+3列(3&3)の簡易シート、その他の普通車は1階・2階問わずリクライニング式の2列+3列のシートが並ぶ。デッキにはE1系で好評を博したジャンプシートも装備されている。
変更点は、従来のE1系では出来なかった、カートでの車販が実現可能となったこと。これはデッキ支柱をEVに応用したことで実現した。
車椅子対応の8・16号車には車販カートの他、車椅子も乗れるように拡幅されたEVが設置され、改良が加えられている。

■E4系の現状 車両と配置区

英字呼称は【P】。運用が共通されていながら、分散配置となっている。主な編成と配置所は以下のとおり。

【仙台車】現在配置無し
【新潟車】P1〜P22編成
【新潟車PN編成】P51・P52編成
【新潟車PD編成】P81・P82編成

【一般車】
P1〜P22編成に大きな差異は無いが、P21編成以降に製造されたロットは座席にグリップが付くなどの仕様変更が見られる。
【PN編成】“N”はN編成のN。
P51・P52編成は碓氷峠勾配対応車のため、抑速回生ブレーキを装備。登場当初、N編成の装備を唯一取り付けたP編成ということから「PN編成」と業務上呼ぶ。
【PD編成】“D”はデットセクションのD。
P81・P82編成はP51・P52編成の装備に加え軽井沢〜佐久平間にある周波数切替セクション対応で周波数切替装置を装備している。デットセクションに対応することから「PD編成」と業務上呼ぶ。

P1〜P22・P51・P52編成が新製当初、仙台総合車両所へ、P81・P82編成は新潟新幹線第一運転所へ直接配置された。
上越新幹線での運用拡大に伴い順次転出し、2006年のP19編成の転属で編成数が均等になっている。
2011年12月から2012年9月にかけて、E5系増備による新潟新幹線車両センターへの転属が続き、仙台所属編成が消滅している。

■仙台・新潟の2頭時代と現在の運用状況

2001年の新潟配置開始以来、運用は仙台車・新潟車ともに共通運用であった。
2004年以降、東北新幹線はE2系による運用が軸となり、E4系は新潟新幹線車両センターを拠点に動くことになる。

2頭時代の運用上の特徴は、E4系が他形式と連結し、同一区間の運行の場合に限り、列車名に「Max」の冠称を付けないことだ。
「Maxやまびこ・つばさ号」の間合いで「なすの」運用に入る際、誤解・誤乗防止のため「Max」の呼称無しで運転されている。「つばさ」側の編成はE3系1000・2000番代であるため11〜17号車が平屋編成となり、「Max」と列車名に付けることが出来ないためだ。
単独8両編成または2編成連結の16両編成での運転時以外では「Maxなすの」号として運転しないようにしている。「Max」の定義はその列車全体が「2階建て車両」ということになる。

因みに、山形新幹線内が運転中止などにより、「つばさ」が東京〜仙台全区間で併結された場合はこれに倣わず、「Maxやまびこ」として運転されていた。
また、「つばさ」編成が故障などにより、E3系が併結されない「なすの」も、列車名はそのままに、「なすの」として運転されていた。
E4系単独だが、「なすの号」として運転されるイレギュラーな列車となっていた。

【東北新幹線】
2004年3月のダイヤ改正で盛岡行きの定期列車が消滅している。また、東北新幹線での定期列車も2012年9月29日ダイヤ改正で終了している。
一貫して、「つばさ号」との併結相手として東京〜仙台間に運用されていた。
一部列車では晩年まで8+8の16両編成の運用も健在していた。使用されていた列車は「Maxやまびこ」「Maxなすの」「なすの」。

【上越新幹線】
2001年5月の運用開始以来、全区間8両編成での運用に限定されていたが、2004年10月16日のダイヤ改正より下りは東京〜高崎間(のちに下りは越後湯沢まで)での16両運転を開始した。そして、2012年3月改正より全区間で16両編成での運行が開始されている。
「Maxとき」「Maxたにがわ」両運用に充当されている。

上越運用では一時期、「たにがわ」へ大量投入され高崎運用を除いた全ての「たにがわ号」がE1系・E4系「Max」編成であった時期があった。
その後、E1系「たにがわ」の運用増と湯沢運用の200系運用復帰で「とき」運用へも分配された。
なお、上越新幹線内では変則的な運用が組まれ、とても効率がよい運用となっている(下記参照)。

12.10.14 改訂


■運用効率No.1!

上越新幹線の運用は好条件に恵まれている。

全区間、16両編成対応というわけではない上越新幹線の設備。
16両編成の入線範囲北限は2011年7月現在、新潟県の越後湯沢駅となっている。これは東北新幹線でいう郡山駅辺りに当る。
その越後湯沢駅では解結作業のみとなっている。連結作業は群馬県の高崎駅。

16両運用開始当初は全ての連解結をこの高崎駅で行っていたが、越後湯沢駅の解結設備整備が終了し、現在は連結作業のみが高崎駅でおこなわれている。

現在は昔ほど効率の良い運用はしていないが、今でもその名残が残っている運用がある。

☆越後湯沢で「Maxとき321号〜338号」へ流れる運用。

@ 東京→越後湯沢
 「Maxとき321号」後編成〔1〜8号車〕として、越後湯沢まで連結される。
A 越後湯沢で解結 前編成は新潟まで運転、後編成は切り離されガーラ湯沢で待機。
B 高 崎 で連結 後編成は新潟から運転。今度は前編成となる。先に越後湯沢を発車し、高崎での連結作業に備える。
C 高 崎 → 東 京  「Maxとき338号」前編成〔1〜8号車〕として、高崎で連結される。


■「Maxあさま」

1997年の運用開始以来、E4系は着々と運用範囲を広げた。
1999年4月29日からは「つばさ」併結運用の開始、2001年5月7日から上越新幹線での運用開始。

そんな中、2001年7月、軽井沢→上野・東京間に「Maxあさま号」が運転された。これは長野新幹線の軽井沢駅からの繁忙期輸送力増強を狙ったもの。軽井沢は国内有数の別荘地。信越線時代から利用客が多く、毎年慢性的な混雑に見舞われていた。在来線時代は特急「そよかぜ」などが補完していたが、その役目を果たす列車が実質無かった。

そこで、E2系と同じ8両編成でありながら、定員数は遥かに多い11両編成相当に匹敵するE4系に白羽の矢が立った。
碓氷峠の勾配対応ブレーキ(抑速回生ブレーキ)を備えたP51・P52編成が登場することになる。
その後、軽井沢〜佐久平間にある同相「デッドセクション」よりも先に入線できるよう、変圧器を備えたP81・P82編成も登場する。

※デットセクション・・・変電設備により電気が流れない区間、あるいは周波数が変わる区間

しかし、2003年9月15日の「Maxあさま648号」上野行を最後に運転された記録がない。(東京行きの運転は同年8月31日の「Maxあさま598号」が最後。)

これは、運用に限度があることが原因のようだ。
ネックは下り列車での営業運転。乗客を乗せて走ると碓氷峠で立往生する可能性があるようで、長野方面行きは一切運転されなかった。
また、佐久平以西への入線はE4系の装備する変圧器が問題のようだ。
E4系の積む変圧器はE2系と異なる仕組みのようで、長時間佐久平以北に在線すると故障する恐れがあるなど、不安材料が多いためのようだ。そのため、運転はいずれも軽井沢始発で、佐久平以北へは入線した実績がない。

今年で運転打ち切りから8年が経過する。運転期間は2年間と、新幹線営業本線を走る列車の中では一番歴史の浅い列車となる気配が漂っている。
北側に伸びる新幹線の中では一番短命であるかもしれない。

現段階では廃止に至ってはいないが、今後運転されるかどうかは非常に際どいところであろう。


■車両編成



■E4系P編成(新潟車) 編成一覧
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車
形 式 E453形 E455形 E456形 E458形 E459形 E455形 E446形 E444形
細別記号 T1C M1 M2 T1 TK MP M2S TPSC
2階席 普通車 普通車 普通車 普通車 普通車 普通車
1階席 普通車 普通車 普通車 普通車 普通車 普通車 普通車 普通車
P1 101 101 101 1 201 1 1 1
P2 102 102 102 2 202 2 2 2
P3 103 103 103 3 203 3 3 3
P4 104 104 104 4 204 4 4 4
P5 105 105 105 5 205 5 5 5
P6 106 106 106 6 206 6 6 6
P7 107 107 107 7 207 7 7 7
P8 108 108 108 8 208 8 8 8
P9 109 109 109 9 209 9 9 9
P10 110 110 110 10 210 10 10 10
P11 111 111 111 11 211 11 11 11
P12 112 112 112 12 212 12 12 12
P13 113 113 113 13 213 13 13 13
P14 114 114 114 14 214 14 14 14
P15 115 115 115 15 215 15 15 15
P16 116 116 116 16 216 16 16 16
P17 119 119 119 19 219 19 19 19
P18 120 120 120 20 220 20 20 20
P19 121 121 121 21 221 21 21 21
P20 122 122 122 22 222 22 22 22
P21 123 123 123 23 223 23 23 23
P22 124 124 124 24 224 24 24 24
■E4系PN編成(新潟車) 編成一覧
P51 117 117 117 17 217 17 17 17
P52 118 118 118 18 218 18 18 18
■E4系PD編成(新潟車) 編成一覧
P81 125 125 125 25 225 25 25 25
P82 126 126 126 26 226 26 26 26
平成22年12月4日改正時点
■E4系P編成(8両) 東京方1号車〜4号車(9号車〜12号車) 車内設備表
−−− 1号車(9号車) 2号車(10号車) 3号車(11号車) 4号車(12号車)
形 式 E453形-100 E455形-100 E456形-100 E458形-0
細別記号 T1C M1 M2 T1
台 車 TR7007 DT208 DT208 DT208
2階:客室定員 普通車 40名 普通車 64名 普通車 64名 普通車 55名
禁煙・喫煙
設 備
1階:客室定員 普通車 35名 普55名/F14名/J2名 普通55名/Jシート2名 普通55名/Fシート14名
禁煙・喫煙
設 備
■E4系P編成(8両) 仙台・新潟方5号車〜8号車(13号車〜16号車) 車内設備表
−−− 5号車(13号車) 6号車(14号車) 7号車(15号車) 8号車(16号車)
形 式 E459形-200 E455形-0 E446形-0 E444形-0
細別記号 TK MP M2S TPSC
台 車 DT208 DT208 DT208 TR7007
2階:客室定員 普通車 55名 普通車 55名 グリーン車 36名 グリーン車 19席
禁煙・喫煙
設 備
1階:客室定員 普通車 55名 普通55名/Fシート12名 普通車 55名 普通車 25名
禁煙・喫煙
設 備
車内設備:凡例
車内設備:凡例
車内設備:凡例
車外設備:凡例
備 考 【禁煙化】2004年3月13日改正〜4(12)号車、2007年3月18日〜全面禁煙
備 考 【公衆電話】2・5(10・13)号車の公衆電話は2004年1月ごろ順次撤去 【自動販売機】2008年4月〜利用停止
平成12年12月2日ダイヤ改正〜平成22年12月4日改正時点の情報に対応


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