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(16時間56分前に更新) |
防衛省が埋め立ての動機や必要性を説明した「埋立必要理由書」からは、日本周辺の軍事的な緊張の高まりを最大限結びつけて、沖縄の防衛上の「地理的優位性」を強調し、米軍普天間飛行場の機能を県内に押しとどめようとする狙いが、はっきりと読み取れる。
米軍がグアムやハワイへ在沖海兵隊を移転させるのは、沖縄の負担軽減以上に「核戦力を含む大規模な軍事力」を持つ中国などと一定の距離を保ち、危険性の分散を図る戦略がある。
さらに、長崎県佐世保基地から艦船で日常的にアジア・太平洋地域を巡回し、イラクやアフガン戦争では「陸上・航空」戦力が一体とされる実戦部隊の大部分が沖縄を留守にしていたことを考えると、海兵隊の存在意義は低下している。
ところが理由書では「南西諸島のほぼ中央にあること」など、沖縄がまるで未来永劫(えいごう)、海兵隊が拠点として駐留する「戦略的に重要な位置」であるように説明し、滑走路建設や自然・生活環境に最大限配慮できるなどとし「辺野古以外に選択肢はない」と結論付けた。
環境への影響がより少ない本土の自衛隊・米軍施設を含む既存空港の検討や、膨大な新基地建設費、さらに米側が日本政府に負担を求める普天間飛行場の約70倍(約200億円)に跳ね上がる年間維持費の負担について国民への説明もないまま、一方的な主張で辺野古埋め立てが進められようとしている。(知念清張)