散々な日々
- 「奈々美。なーなちゃん。」
「はい?」
「ねーえ?やってみない?催眠術。」
私は今、一緒にテスト勉強するという名目で友人のさちの家に遊びに来ている。
実際には勉強せずに二人で漫画なんか読んじゃっているのだけど。
漫画を読みながら 二人でおしゃべりしている内にさちが催眠術の話を始めたのだ。
「さちは色んな物に興味持つわねー。それで何で催眠術なのよ?」私が聞く。
「色々本とか読んでる内にさ、掛けてみたくなっちゃったのよねえ。
あっ、もう何人かには掛けてるのよ?本当に掛かっちゃうんだから。」
「本当?さちにそんな変な才能が…。」
「変って何よ!立派な技術なんだから。まー、まだ練習中だからたいしたことはできないけどね。」
「それじゃあ私の手を見て。よーく集中してね。」
・・・
それから数十分ほど過ぎて…。
結論から言うと、どうやら私はさちの催眠術に掛かってしまったようなのだ。
さちの言葉に身を任せていたら体中の力が抜けてふわふわ雲の上に浮いているような感覚になった。
今、私はソファに座っている。体がポカポカしていい気分。体に力が入らない。
動けない。動きたいとも思わない。
「貴女は全身の力が抜けて指一本動かす事ができない。でもとてもいい気分。
どお?気分は。あっ、口だけ動かす事ができるから。喋る事だけできるよ。」
私の口が動くようになる。喋れる。
「本当に掛かっちゃったみたい…。」
「でしょ?でしょ?私の催眠術は本物なんだから。どーだ。これで少しは信じる気になったか?」
「う…うん。こりゃすごいわ…。体が温かくていい気分だし…。」
「ふふ。リラックス効果あるでしょ?」
「うん…。人の家でこんなにリラックスしていいのかって言うくらいリラックスしてるわ今…。」
「うふふ。ストレスから開放されるのは美肌効果もあるのよ。」
「そーね。あー。なんだか今すごい気持ちいいよ。」
「ふふふ。よーく催眠術に掛かってるわね。じゃあ、ちょっと立ち上がってみて。」
私は体に力を入れようとする。無理だ。どう考えても無理。
「無理。指一本も動かせないわよ。」
「アハハ。かわいいわね。奈々美ちゃん。」そう言ってさちが私の頭を撫でてくる。
子供扱いされてるようで気に食わないが、私はされるがままになるしかない。
- 「じゃあこんな事しても?」
そう言ってなんと!さちは私のスカートをめくったのだ!!
「きゃっ!やめなさい!!」私は抵抗しようと……ってできないんだった…。動けない…。
大きく私のスカートが捲られる…。きっと丸見えだろう…。恥ずかしい…。
「ほう。黒のパンツとは奈々美もやるわね。」
「みっ見るな!アンタそっちの気があったのか!?」
「馬鹿言わないでw私はいたってノーマルよ。」
「だったら…とっとと止めなさいよ!」
「でもねー。無防備な奈々美ちゃんを見てたら意地悪したくなっちゃった。」
「コラ!いい加減怒るぞ!」
「はいはい。止めるわよ。でも黒のパンティーから伸びるこの白くて細いフトモモ。これは男を誘惑できるわね(笑)」
そう言って私が動けない事をいいことにさちが私の太腿をなでなでしてきた。
さちは内股のきわどい部分を撫でてくる。こんな所誰にも撫でられたことがない。私は思わず変な声を出してしまう。
「ひゃっ!」
さらに撫でられる。
「あっ!駄目だって!止めて!ストップ!馬鹿!さち、アンタおっさん臭いぞ!」
「はいはい。やめますよ。」
そう言ってさちは太腿を撫でるのを止めてスカートを捲るのも止める。
スカートがさちの手から落ちて私のパンツと太腿が隠れる。私はほっとする。
自分でスカートの位置を直したいのだけれど、相変わらず体は動かない。私はちょっと不安になる。
「ねえ。そろそろ催眠術解いてよ。もういいでしょ…?」
「そうねえ。もうちょっとだけやらせてよ。他にもできる事あるんだよー。」
「…。もういいから。」
そう言ってると部屋をノックする音が聞こえる。
「姉ちゃん?入っていい?」どうやらさちの弟クンのようだ。さちの家には何度も来てるから面識はある。
「ん?いいよ。」
さちはあっさりオッケーする。オイオイ。私はこんな状態なんだぞ?私の事も考えてくれよ。
- ガチャ。構わずドアは開く。弟クンが入ってくる。
「姉ちゃん。ってあれ?奈々美さん来てたんだ?こんちわ。」
「こんにちわ。またお邪魔してます。」私はなんとか挨拶をする。
「ん?奈々美さん?いつもと様子が…?」早くも弟クンが私の異変に気付いたようだ。
「催眠術掛けさせてもらってるのよ。」さちが言う。
「ねえちゃん…また催眠術?いろんな人に掛けてんのかよ。」
「そーよ。奈々美もすっかり掛かっちゃったんだから。ほら。奈々美は今動けないのよ。お人形さん状態。」
悪戯な笑みをしながらさちは言う。
ぽんぽんとさちに頭を叩かれる。
「ちょ、ちょっとー。」私は抗議の声をあげる。
「姉ちゃん。あんま奈々美さんをいじめるなよ。」
「そっそうよ!止めなさいよ。」弟クンは優しい。
「何よ二人してー。」なんだかさちは拗ねている。
「それで何の用事?」さちが弟クンに尋ねる。
「ああ。母さんが下で呼んでる。今来て欲しいんだって。」
「ったく何よ。お母さんは人使い荒いんだから。せっかくいい所なのに。」さちは不服そうだ。
「じゃあ奈々美。ちょっと行って来るからそのまま待ってて。」
「ちょっとって…このまま待たせる気かい。」
「まあいいでしょ?気持ちよくてリラックスしてる状態なんだから。」
まあそうだ。私は今気分が良くてポカポカしてる。って良くない!
「じゃ。行って来るから。あっ。アンタ奈々美が動けないからってエッチな事しちゃダメだよ?
例えばこんな事。」
「えっ?」
さちが私の足を持って軽く開かせる。脱力した私の足は逆らえずに開く。
「ええっ?」
ちょっとはしたない感じで私の足が開いてしまう。パカッ。
「ちょっ!」私と弟クンが同時に言う。
「いっ嫌ーーー!!」私は思わず悲鳴を上げる。
「ちょっ…姉ちゃん…そりゃかわいそうだろよ…。」
- 「何よ顔赤くして。アンタだって男なんだから奈々美のスカートの中見たいんでしょ?」
「ば、馬鹿!そんなことねーよ!」弟クンは顔真っ赤にしてる。もしかして私のスカートの中なんか見たいのか…?これだから男は……。
「馬鹿!早く足を閉じさせて!」私はさちに抗議する。
「ふん。もういいもん。奈々美はしばらくそのままでいなさい。
まあ…。馬鹿弟が間違いを起こさないようにちゃんと対策をしていってあげるわよ。」
「デクノボウになーれ。」ん?さちは何言ってんだ?
そのとたん弟クンが生気を失ったようになって動かなくなる。立ったまま。
あれ?これもしかして弟クンも催眠術に掛かっちゃったとか?
「コイツも催眠術掛けて動けなくしておくから。」
「さち…。アンタ弟にも掛けてたのかい…。」
「そーよ(笑)良い実験台じゃないの。」
「…。」
「じゃあ。ちょっと待っててねー!」
そう言ってさちは部屋から出て行ってしまう。
「こっこら!待ちなさい」
私の抗議も空しく部屋に響くだけだった…。
・・・
そして部屋に弟クンと私だけが残される。あ、正確には猫もいるようだ。さちの家の猫。
弟クンが部屋に入ってきた時に一緒に紛れ込んできたらしい。
それにしても…。
足を閉じたい…。私を変な格好にして置いて行かないでよ…。不自然に私の足は開いている。
でも相変わらず私の体は動かない…。なんとかしなければ…。
こんな状態でも私は体中がほわほわして気持ちいい…とってもいい気分…ってしっかりしろ私!
スカートの位置は大丈夫だろうか…気になる。今は自分で直す事もできないのだ…。
「あの…弟クン?」
目を閉じてぼーっと立っている弟クンに声をかける。弟クンの周りで猫がうろうろしているのに弟クンの反応は無いのだけれど…。
「…。はい…。」 返事した!起きてるみたい。
「弟クンは今意識あるの?」
「…はい…何とか…。」
- 「それならさ…。弟クン。悪いけど部屋から出て行ってくれない?」
さちの弟クンとはいえ異性の前で足を開いて無防備な姿を晒しているのはいい気分ではない…。体が動かないと不安だ…。
「…。ごめんなさい…今…動けないんです…。」
「そっか…。」
私と同じように弟クンも動けないのか…。しょうがない…。
こんな催眠術を掛けた張本人のさちー!さっさと、帰って来なさいよー!
そのまま取り残される二人。
部屋の中は音がほとんどしない。無音。
気まずい…。
弟クンの位置からは見えないとは言え、もし正面に座られたら開いた足の間からパンツが見えてしまうだろう。
心もとない…。不安だ…。
さちの家の猫が私の膝の上に乗ってくる。
よりによってなんでこんな時に…。
普段は私になつかないくせに。
こら…降りなさいよ…。あっ…ダメよ!!
猫は私をあざ笑うかのように私の膝の上でリラックスして丸まっている…。
というか開いてしまった太腿と太腿の間のスキマに埋まるようにすっぽりはまっている。
なんだこの変態猫!変な所で休んじゃって…。
くそー。さちに似て性格悪いぞこの猫!
というか…まずい…トイレに行きたくなってきた…。
早く帰ってきてよさち…。
さちが来るまでなんとか我慢しな……え…?
!!?
ヤバイ!!!!!!
我慢が利かない!!全身が脱力してるせいで…体に力が入らないせいで。
その……おしっこを我慢する時の踏ん張りがきかないのだ…。
体に力を入れて我慢することができない。このままじゃあ…。
あああああ…!!
はは…冗談でしょ…?さちが来てパッと催眠術解いてくれるんでしょ?
でも一向にさちが帰ってくる気配は無い。部屋は静寂に包まれている。部屋には催眠状態で動けない私と弟クン。
弟クン!?このままじゃ私は弟クンの側で漏らし……
- あっ…。
あああっ…。
ちょっと…ちょっとだけ出てしまった…。温かい感触が……。
私のパンツが湿り気を帯びて私のアソコに張り付く。ああ…。
嫌ああああああああああ!!
待って!!これ冗談でしょ?夢でしょ?ウソでしょ?
側に弟クンがいるのに…。やだやだ!!バレたくない…!
さちの家の猫は私の醜態に気付いたのか…私から離れる。逃げるように。弟クンの方に向かう。
嫌!弟クンには気付かれたくない!!大丈夫…。まだちょっと出てしまっただけ…。
平然を装いなさい私!余計な事を言わなければバレ無いはず。
余計な声を出して墓穴を掘らないように気を付けないと…。声を出すな私!耐えろ…!
そんな事を考えている間にも出てしまいそうだ…。
ああ…。足を閉じて踏ん張りたい…閉じられない…。手を動かして股間を押さえたい…動かせない…。
いやあ…。もう無理!!我慢できない!!誰か助けて!!でちゃう!!
やだよ!!
もう誰でもいいから私の股間を……手で押さえて!!やだ!!いや!漏らしたくない…!!漏らしたくないよ……。助けてよ…。
もう無理!ちょっとの刺激でも出てしまいそう…。ああ…。嫌!
ダメだ!!!もう無理だ!!本当無理だ…!!これは夢じゃない!!どうする!?
もうダメだ!でてしまう?どうする?
そうだ!弟クンにばれるのだけは回避しなくては…。そうだ!絶対そうだ!どうやったらバレない?
できる!私はできる!弟クンにはバレない。うまくやれる。うまくやるのよ!!
もう限界だった…。私は防波堤が決壊するように…。
「じょー…。」私はこの音をかき消す為に喋る!ひたすら喋る!!
「えーと!!おっオトウトクン!?すごいねえ。催眠術ってあるんだねえ?
オトウトクンは何時さち…お姉ちゃんに掛けてもらったの?どんな感じだった?お姉ちゃんにからかわれたりしな・・・ry」
私は…その……おしっこ…を漏らしながら…必死に喋った…。喋り続けた。大きな声で。涙声にならないよう頑張った。
全てをかき消すために。音を消すために。もう恥がどうとか言ってられなかった。
必死だった…。喋り続けたのだ。
全てが終わるまで……。
・・・
- 「…?奈々美さん?一度にそんなに話されても訳分かりませんよ…?どうしたんです?」
「いっいやあ。ちょっときになってねえ。これ。ほら。すごいでしょ?さいみんじゅつって!ね!?」
ちょっと声が裏返ってしまう。
私の心はもうボロボロだ…。とりあえず喋り続けて……ごまかさなければ…。
私の下に出来た…。この水溜りを…。
「…?そうですね。姉ちゃんって…ry」
弟クンが何やら喋っているが、私は上の空だ…。
やってしまった…。出してしまった…。ははは…。この年になって…。はは。。。
お小水を出しながら喋るって私も器用になったものね。はは…。
全ては終わったのだ。終わってしまったのだ……でも放心状態とか悲しんでる場合じゃない。落ち込んでる暇は無い。
弟クンには隠し通す。バレない。大丈夫。
弟クンの目が閉じて催眠術に掛かっているのは、まだ私に運がある証拠。大丈夫。弟クンは何も見えないんだから。
何も見えてないんだから。
「そっそうねー。いろんな事ができるんだねえ…。」私は適当に相槌を返す。大丈夫。バレてない。
私は今までに無いくらい顔を赤くしてるだろう。高血圧で倒れてしまいそう…。
声だけは平然さを保っている。大丈夫。
下半身が湿っていて冷たい。ハハハ。ぐっしょりいっちゃってるなあ……。
なんだか目も冷たいなあ…。目からも水が出るんだね。ふふ。
「もー!本当にお母さんは人使いが荒いんだからあ!」
さちの、のん気な声が遠くから聞こえてくる。部屋に戻ってくるようだ。
この地獄のような瞬間もやっと終わりを告げるのか…。
さっちん。やってくれるわね。
わざとでは無いとはいえ、この私にお漏らしさせるなんて…。はは。しかも男の前で。あはは。
さち!!!この落とし前、どうやって付けてくれようか!!!
おわり
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